説明

燃料装置及び方法

高レベルの貯蔵エネルギーをもつ所与の量の変換水を、燃焼装置、例えば内燃エンジンに通じる燃料ラインの一セグメントを実質的に包囲した中央キャビティが作られるようにする幾何学的配列状態に組織化することによって燃料燃焼率を向上させる装置及び方法。燃料は、変換水によって包囲された空間内を通り、低レベルの貯蔵エネルギー状態での水メモリ伝達の結果として分子クラスタ化が刻み込まれた状態になる。このプロセスにより、燃料の特性が改変され、それにより燃料を高レベルの効率で、しかも汚染物質、例えば炭化水素及び一酸化炭素の排出量が減少した状態で利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、燃料効率を向上させると共に燃焼排出量(エミッション)を減少させるよう炭素を主成分とする燃料を改質する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の基本的な機能は、分子が互いに会合する方法に影響を及ぼす水の種々の形態に関するメモリ刻印能力に起因していると考えられる。水は、極性結合の形態で酸素原子に共有結合された2つの水素原子から成る分子で構成されている。極性結合は、酸素原子の周りに僅かな局所化された負の電荷及び水素原子の周りに僅かな局所化された正の電荷によって特徴づけられる。これら部分電荷により、水分子は、結果的に種々の格子構造が得られるような仕方で他の水分子と結合することができる。或る形態の水素結合がいったん生じると、電子の再分布により、次に生じる水素結合の能力が変わる。適正な条件下においては、水分子は、互いに会合して小さなクラスタになり、これらクラスタは、例えば水道水中に通常存在するバルク形態の水の中の分子とは多くの点において異なる仕方で挙動する。
【0003】
水分子をこれらが特定の性質、例えば周波数及び電磁共鳴を備える小さなクラスタの状態になるようにする種々の手段が存在する。かかる手段としては、渦運動を含む場合のある衝撃力を加えること、鉱物及び固体の添加、ガスの添加、イオン化、電気との接触及び強い又は弱い磁力を加えることが挙げられる。正しく行われると、かかる手段は、特定の周波数及び安定性を備えた水クラスタを生じさせることができる。このようにして作られるかかる形態の水は、変換水(transformed water)と呼ばれている。
【0004】
かかるクラスタの一形態は、20個の水素結合状態の水分子(これは、十二面体水クラスタとも呼ばれている)で形成された閉二十面体対称性を備えている。しかしながら、クラスタがこれよりも小さい又は大きい場合のあるクラスタ化水の他の形態が存在する。かかるクラスタは、他の分子がこれら自体特定の仕方でそれぞれ整列することができるようにする水伝達メモリ特性を備えた安定した構造を備えるよう作られるのが良い。
【0005】
分子メモリ伝達は、他の水分子の特定の構造及び周波数にさらされたときに、分子の互いに対する配置を変える分子の能力として定義される。水メモリをひとまとまりの分子に伝達する一手段は、変換水のバッチを追加することである。この結果、非変換分子は、これらの配置を再構成して特定の分子クラスタ特性を備えた変換状態になる。水メモリは又、電磁分子シグナリングによって伝達でき、同様に非変換分子を変換状態に変換する。これについては、ジェイ・ベンベニステ、ジェイ・アイッサ及びデー・グイロネット(J. Benveniste, J. Aissa and D. Guillonnet),「ア・シンプル・アンド・ファースト・メソッド・フォー・イン・ビーボ・デモンストレーション・オブ・エレクトロマグネティック・モレキュラー・シグナリング(EMS)・バイア・ハイ・ダイルーション・オア・コンピュータ・レコーディング(A Simple and Fast Method for in Vivo Demonstration of Electromagnetic Molecular Signaling(EMS) via High Dilution or Computer Recording)」,FASEBジャーナル(FASEB Journal),1999年,第13巻,A163ページを参照されたい。
【0006】
燃料を変換水にさらすことにより燃料の品質を向上させてより効率的な且つ排出量を少なくした燃焼を行わせることができる。かかる品質向上に関する正確なメカニズムを確かめるのは現在の分析技術の能力を超えている。というのは、分子の構造化の変更は、ナノレベルで行われるからである。それにもかかわらず、この現象の根源的な原因を説明することができる幾つかの分子化学的モデルが存在する。一つの可能性としては、燃料装置中の変換水が燃料分子の構造に影響を及ぼして燃料分子が酸素の存在下でより効率的に燃焼するようになるということである。また、品質が向上した燃料の燃焼の結果として、クラスタ化構造に基づく高いエネルギー性を有する燃焼プロセス中に水が生じる場合がある。
【0007】
もう1つの可能性としては、メモリ伝達により、燃料中にナノバブルの生成が誘起されるということである。非常に小さい、例えば2〜3ナノメートル範囲のナノバブルが作られている場合、メモリ伝達は、分子の幾何学的変化と分子サイズレベルでナノバブルの生成の両方を達成する場合がある。これは、空気と水が燃料の微量成分である燃料ラインを通る流れを考慮した場合に特に当てはまる。燃料がラインを通って移動しているときの燃料の品質向上は、悪影響を受ける場合があり、その結果、空気は、ナノバブルの状態に構造化されると共に水の微小クラスタが燃料中に生じるようになる場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ジェイ・ベンベニステ、ジェイ・アイッサ及びデー・グイロネット(J. Benveniste, J. Aissa and D. Guillonnet),「ア・シンプル・アンド・ファースト・メソッド・フォー・イン・ビーボ・デモンストレーション・オブ・エレクトロマグネティック・モレキュラー・シグナリング(EMS)・バイア・ハイ・ダイルーション・オア・コンピュータ・レコーディング(A Simple and Fast Method for in Vivo Demonstration of Electromagnetic Molecular Signaling(EMS) via High Dilution or Computer Recording)」,FASEBジャーナル(FASEB Journal),1999年,第13巻,A163ページ
【発明の概要】
【0009】
本発明は、高レベルの貯蔵エネルギーをもつ所与の量の変換水を、燃焼装置、例えば内燃エンジンに通じる燃料ラインの一セグメントを実質的に包囲した中央キャビティが作られるようにする幾何学的配列状態に組織化することによって燃料燃焼率を向上させる装置及び方法を提供する。燃料は、変換水によって包囲された空間内を通り、低レベルの貯蔵エネルギー状態での水メモリ伝達の結果として分子クラスタ化が刻み込まれた状態になる。このプロセスにより、燃料の特性が改変され、それにより燃料を高レベルの効率で、しかも汚染物質、例えば炭化水素及び一酸化炭素の排出量が減少した状態で利用できる。
【0010】
本発明は、最も一般的には連続流れ形態で利用されるが、入れ物、例えばタンク、缶、ジャー、ボトル、キャニスタ及びボウル内に貯蔵された燃料を品質向上させる静的形態で動作するよう改造可能であることが想定される。静的形態では、燃料は、所要時間にわたり変換水により包囲された中央キャビティ内に挿入される入れ物内に収容される。このやり方により、品質の向上した燃料をバッチ方式で作ることができ、又、かかるやり方は、標準型入れ物、例えばプロパン又はブタン用キャニスタ内に貯蔵された燃料を品質向上させるのに特に有用である。連続流れ形態では、燃料ラインは、燃料ラインが中央キャビティを通って延びるよう装置によって包囲される。燃料は、中央キャビティにより構成された空間内における水の滞留時間がメモリ刻印効果を保証するのに十分であるようにする流量で管を通って中央キャビティの近位端から遠位端まで運ばれる。燃料は、中央キャビティにより包囲された燃料ラインの部分を通過している間に変換され、かくして、燃料が中央キャビティの遠位端のところで管から出る時点まで品質向上状態に変換される。
【0011】
試作品としての装置について行った試験の立証するところによれば、かかる装置は、燃料経済性を向上させると共に排出量を減少させることができる。カリフォルニアに所在する排出施設での試験の示すところによれば、上述した好ましい実施形態に従って構成された試作品装置は、エンジンからの空気排出量に対して全体としてプラスの作用効果を示した。本装置が燃料ラインに装着された状態で又はそのようにしなかった状態で2005シボレータホー(Chevrolet Tahoe)について3回の連続試験を行った。表1に示されているように、炭化水素及び一酸化炭素排出量の相当な減少が観察された。
【0012】
〔表1〕 ガソリンエンジンからの排出量減少
全炭化水素 一酸化炭素 非メタン炭化水素
(グラム/マイル) (グラム/マイル) (グラム/マイル)
本装置ありの平均値 0.109 1.485 0.092
本装置なしの平均値 0.131 1.648 0.115
%差 −17.3 −9.9 −19.7
【0013】
乗用車が2つのコースを走行した状態で行われた表2に示す試験のコンパイルは、本装置が車両燃料ラインに取り付けられている場合には燃料経済性の向上が実証された。
【0014】
〔表2〕燃料効率向上‐ガソリンエンジン車両
燃料効率 燃料効率 効率の
本装置なしの場合 本装置ありの場合 上昇
車両 エンジン コース (マイル/ガロン)(マイル/ガロン) (%)
2007 3.5 カリフォルニア州 25.25 26.40 4.6
ビュイック リットル アプランドから
ランデブー 6気筒 カリフォルニア州
パーム・ストリングス
まで往復旅行
145.2マイル

2004 3.5 カリフォルニア州 26.71 30.98 16.0
GMC リットル アプランドから
キャニオン 6気筒 カリフォルニア州
ピックアップ パサデナまで
(延長型キャブ) 往復旅行
100マイル
を僅かに超える
【0015】
別の試験の示すところによれば、本装置は、ディーゼルエンジンに利用された場合に燃料経済性を向上させることができた。この試験は、ツイン型デトロイトエンジンを搭載した70‐フィート船舶内で行われた。この船舶は、エンジン動力下においてカリフォルニア州サンペドロハーバーからカタリナ島まで26マイルの距離を走行した。エンジンのうちの一方は、本装置が取り付けられた燃料ラインから燃料を受け取り、これに対し、他方のエンジンは、本装置が設けられていない燃料ラインから燃料を受け取った。本装置により品質向上した燃料を用いたエンジンにより得られる燃料効率の向上結果が表3に示されている。
【0016】
〔表3〕 ディーゼルエンジンにおける燃料消費量
本装置なしの場合の 本装置ありの場合の
エンジンにおける燃料使用量 エンジンにおける燃料使用量 バーセント差
(ガロン) (ガロン)
65 60 8.33
【0017】
核磁気共鳴スペクトル測定法(NMR)の利用によるガソリン及びディーゼル油についての評価結果の示すところによれば、燃料の構造の変化は、燃料が本装置による活性化をいったん生じると、起こる。以下の表は、本装置による活性化が行われた燃料のサンプル及び本装置による活性化が行われなかった燃料のサンプルに対して行われたNMRのデータを反映している。
【0018】
〔表4〕 水素NMRガソリン整数比較
活性化芳香族頻度整数と非活性化芳香族頻度整数の関係
活性化 非活性化 差(%)
16.21 15.71 3.3
活性化炭化水素頻度整数と非活性化炭化水素頻度整数の関係
活性化 非活性化 差(%)
123.52 125.21 −1.6
247.82 246.80 0.4
342.7 345.14 −0.7
【0019】
〔表5〕 水素NMRディーゼル整数比較
活性化炭化水素頻度整数と非活性化炭化水素頻度整数の関係
活性化 非活性化 差(%)
634.79 632.71 0.3
1245.28 1251.52 −0.6
2071.10 2075.36 −0.2
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】連続流れ形態にある本発明の組み立て斜視図である。
【図2】連続流れ形態にある本発明の分解組み立て斜視図である。
【図3】連続流れ形態にある本発明の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、図2及び図3は、燃料タンクと、燃焼装置、例えば内燃エンジンとの間で連続管を通って流れている間に燃料の品質を向上させることができる実施形態を状態で発明全体30を示している。好ましい実施形態では、3つの実質的に円筒形の容器36が、実質的に半円を形成するよう六角形シェル32aの一方の半部内に配置されている。さらに、他の3つの実質的に円筒形の容器が、六角形シェル32bの対向した半部内に配置されていて、これら容器は、シェル32と関連した半円形状の逆方向に向けられた半円を実質的に形成するようになっている。シェル32a,32bを図1及び図2に示すように互いに結合すると、中央キャビティ34aが作られる。シェル32a,32bを互いに結合すると共に燃料ライン34b周りに固定すると、中央キャビティ34aは、この燃料管を包囲し、これを容器36に密接して位置決めすることになる。
【0022】
燃料ライン34b内の燃料の品質向上のため、好ましい実施形態における第1ステップでは、これら容器の頂側端部のところに設けられた開放オリフィス38を通って変換水を円筒形容器36内に注ぎ込む。次に、例えばストッパ、キャップ又は蓋のような手段によってオリフィスを密封するのが良い。次のステップでは、シェル32a,32bを互いに結合して中央キャビティ34a内の燃料管34bを包囲する。当該技術分野において周知である手段、例えばシェルを燃料管の周りにクランプし、これら半部をボルトの使用によって互いに固定することによってシェルを固定するのが良い。次に、中央キャビティ34aによって包囲された管34bの部分内の燃料の滞留時間が品質向上効果を達成するのに十分であるようにするほど十分な流量で燃料が管34を通って流れるようにする。燃料が中央キャビティ32aによって包囲された燃料ライン34bの部分内に滞留している期間の間、燃料は品質向上され、管のかかる部分から出る際に完全に変換される。燃料ライン34b内に流れを生じさせると共にこれを制御する手段は、当該技術分野においては周知であり、かかる手段としては、ポンプ、重力、弁及び豆コックが挙げられる。また、変換水の1つ又は2つ以上の容器から成る種々の配列で容器36を使用しても良いことは注目されるべきである。
【0023】
本装置によって包囲された燃料ラインの部分内の燃料の滞留時間は、幾つかの要因によって決まり、かかる要因としては、燃料の性状、変換水の量及びエネルギーレベル、燃料ライン34周りの容器36の配列状態、容器によって包囲された燃料ライン又はその一部分の直径及び燃料の所望の品質向上の度合いが挙げられる。実験により適当な滞留時間を容易に決定することができる。例えば、燃料ラインの既知の直径、燃料効率及び燃料が装置を通って流れている期間の間に測定された燃焼装置の排出量を含む特定のセットアップにより燃料を流すことができる。測定により得られたデータを用いると、燃料の品質向上に悪影響を及ぼすパラメータの必要な調節を行うことができる。例えば、必要ならば、装置を通って延びる燃料ラインの部分の直径を増大させ、装置の長さを増大させ、或いは変換水のエネルギーレベルを増大させるという手段によって滞留時間を長くすることができる。
【0024】
3つの実質的に円筒形の容器36を六角形シェル32aの一方の半部内に配置してこれらを実質的に半円形を形成するようにすることにより、燃料装置の静的形態を変形実施形態として実現することができる。他の3つの実質的に円筒形の容器をこれら容器がシェル32aと関連した半円形状の逆方向に向けられた半円を実質的に形成するよう六角形シェル32bの対向した半部内に更に配置する。六角形シェルを互いにいったん結合すると、中央キャビティ34aが形成される。燃料を収容した入れ物、例えばガソリン缶又はプロパンキャニスタは、品質向上状態への燃料の変化を達成するのに必要な時間にわたり中央キャビティ34a内に配置される。
【0025】
当業者であれば認識されるように、上述の説明は、本発明の或る特定の好ましい実施形態に関している。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、説明した特定の実施形態の種々の改造を行うことができる。例えば、円筒器(cylinder)35を流通チャンバ周りに位置決めすることも出来、この場合、筒体の入口端部が燃料タンクから来た燃料ラインの端部に取り付けられ、出口端部がエンジンに行く燃料ラインの端部に取り付けられた状態で流通チャンバ周りに位置決めしても良い。これにより、特定用途向けに、例えば自動車の特定のモデル及び変形モデルに適当な滞留時間が得られるようにするのに十分な長さ及び直径の流通チャンバを組み込むことができる。想到できるかかる全ての変更例及び改造は、本発明に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料品質を向上させる装置であって、炭素を主成分とする燃料と、前記燃料を変換水により包囲された中央キャビティ内に配置する手段とを有する、装置。
【請求項2】
前記手段は、入れ物である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記手段は、燃料管である、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記変換水は、前記中央キャビティ周りに半径方向に配置された2つ又は3つ以上の容器内に収容される、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記手段は、燃料管であり、前記変換水は、前記中央キャビティの周りに半径方向に配置された2つ又は3つ以上の容器内に収容される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
燃料の品質を向上させる方法であって、炭素を主成分とする燃料を、前記燃料の燃料効率を向上させるのに有効な期間にわたり、変換水により包囲された中央キャビティ内に配置する配置ステップを有する、方法。
【請求項7】
前記配置ステップ中、前記燃料を容器内に配置する容器内配置ステップを更に有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記中央キャビティ内に配置された燃料管を更に有し、前記配置ステップは、前記燃料管を通って前記燃料を流通させるステップから成る、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記変換水は、前記中央キャビティの周りに半径方向に配置された2つ又は3つ以上の容器内に収容される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記変換水は、前記中央キャビティの周りに半径方向に配置された2つ又は3つ以上の容器内に収容される、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−530923(P2010−530923A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513499(P2010−513499)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/068158
【国際公開番号】WO2009/003020
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509351214)
【出願人】(509351225)
【Fターム(参考)】