説明

燃料電池の構造体

【課題】「横縞型」の燃料電池の構造体であって、支持基板が外力を受けた場合において支持基板が変形し難く、且つ、長時間の稼働後も燃料ガスが燃料極に供給される前に燃料ガス中に含まれる未改質成分を確実に改質できるものを提供すること。
【解決手段】ガス流路11が形成された平板状の支持基板10の主面に、電気的に直列に接続された複数の発電素子部Aが配置される。支持基板10の主面における複数の発電素子部Aに対応する位置には、複数の凹部12がそれぞれ形成される。各凹部12には、対応する発電素子部Aの燃料極20が埋設される。支持基板10と各燃料極20との界面には、支持基板10に含まれる「電気絶縁性を有するMgOの粒子」の表面に、燃料極20に含まれる「未改質成分の改質を促進するNiの微粒子」が固着した構造を有する「改質反応促進層15」が介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、「ガス流路が内部に形成された電気絶縁性を有する多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の表面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、燃料極、固体電解質、及び空気極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電子伝導性を有する1つ又は複数の電気的接続部」とを備えた固体酸化物形燃料電池の構造体が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。このような構成は、「横縞型」とも呼ばれる。
【0003】
上述した「横縞型」の燃料電池では、通常、未改質の燃料ガス(例えば、都市ガスの主成分であるメタン、プロパン、気化した灯油やガソリン)を改質する改質器を通過した後の燃料ガスが、支持基板の内部に形成されたガス流路に供給される。ガス流路に供給される燃料ガスには、改質器によって改質されなかった未改質成分が不可避的に含まれる。未改質成分は燃料電池の化学反応には寄与し得ない。従って、燃料の利用率を向上して燃料電池の発電効率を向上させるためには、燃料ガスが前記ガス流路から支持基板内部の多数の気孔を介して燃料極へと移行する過程において、少しでも多くの未改質成分を改質する必要がある。
【0004】
この問題に対処するため、特許文献3に記載の「横縞型」の燃料電池では、電気絶縁性を有する支持基板を構成する材料に、酸化ニッケル(NiO)が添加されている。NiOは、燃料ガスが示す還元雰囲気下において金属ニッケル(Ni)となり、未改質成分の改質を促進する触媒機能を発揮する。しかしながら、この構成では、燃料電池の稼働時間が長くなるにつれて、支持基板内のNiが徐々に粒成長してNi粒子の比表面積が小さくなる、という現象が発生する。Ni粒子の比表面積が小さいと、上述した触媒機能が十分に発揮され得ず、従って、未改質成分の改質が十分に進行し得ない。この結果、燃料電池の稼働時間が長くなるにつれて、燃料利用率が低下して燃料電池の発電効率が低下していく、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−106916号公報
【特許文献2】特開2008−226789号公報
【特許文献3】特開2005−116289号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、「横縞型」の燃料電池の構造体であって、支持基板が外力を受けた場合において支持基板が変形し難く、且つ、長時間の稼働後も燃料ガスが燃料極に供給される前に燃料ガス中に含まれる未改質成分を確実に改質できるものを提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池の構造体は、ガス流路が内部に形成された電気絶電性を有する多孔質の支持基板と、前記支持基板の表面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ「少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順に積層されてなる複数の発電素子部」と、1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電子伝導性を有する1つ又は複数の電気的接続部とを備える。即ち、この構造体は、「横縞型」の燃料電池の構造体である。支持基板は、平板状であっても、円筒状であってもよい。
【0008】
本発明に係る燃料電池の構造体の特徴は、前記支持基板と前記各発電素子部内の燃料極との界面に、燃料ガスが前記界面を通過する際に前記燃料ガス中の未改質成分の改質を促進する改質反応促進層が介装されたことにある。具体的には、前記改質反応促進層は、前記支持基板に含まれる電気絶縁性を有する物質の粒子の表面に、前記燃料極に含まれる前記未改質成分の改質を促進する物質の微粒子が固着した構造を有し得する。前記電気絶縁性を有する物質としては、酸化マグネシウム(MgO)が採用され得、前記未改質成分の改質を促進する物質としては、ニッケル(Ni)が採用され得る。
【0009】
上述した改質反応促進層が介装された構成では、燃料電池が長時間に亘って稼働しても、未改質成分の改質の進行が抑制され難いことが判明した。具体的には、改質反応促進層が「電気絶縁性を有する物質の粒子(MgO)の表面に、未改質成分の改質を促進する物質(Ni)の微粒子が固着した構造」を有する場合、燃料電池が長時間に亘って稼働しても、複数のNi微粒子の間の凝集が発生しないことが判明した。従って、上述した文献に記載した燃料電池のように「燃料電池が長時間に亘って稼働すると、Ni粒子の比表面積が低下して燃料電池の発電効率が低下する」という問題が発生しない。この結果、長時間の稼働後も、燃料ガスが燃料極に供給される前に燃料ガス中に含まれる未改質成分が確実に改質され得る。
【0010】
本発明に係る燃料電池の構造体では、前記支持基板が平板状を呈し、前記平板状の支持基板の主面における前記複数の箇所に、前記支持基板の材料からなる底壁と全周に亘って前記支持基板の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第1凹部がそれぞれ形成され、前記各第1凹部に、対応する前記発電素子部の燃料極がそれぞれ埋設されることが好適である。これによれば、燃料極を埋設するための各第1凹部が周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板において各第1凹部を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板が外力を受けた場合に変形し難い構造であるといえる。
【0011】
加えて、本発明に係る燃料電池の構造体では、前記各電気的接続部は、緻密な材料で構成された第1部分と、前記第1部分と接続され且つ多孔質の材料で構成された第2部分とで構成され、前記埋設された各燃料極の外側面に、前記燃料極の材料からなる底壁と全周に亘って前記燃料極の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第2凹部がそれぞれ形成され、前記各第2凹部に、対応する前記電気的接続部の前記第1部分がそれぞれ埋設されることが好適である。
【0012】
これによれば、第1凹部に埋設された燃料極の外側平面上に電気的接続部の第1部分が積層される(接触する)構成が採用される場合に比べて、燃料極と電気的接続部の第1部分との界面の面積を大きくできる。従って、燃料極と電気的接続部の第1部分との間における電子伝導性を高めることができる。この結果、燃料電池の発電出力を高めることができる。
【0013】
ここにおいて、前記第1凹部の平面形状(支持基板の主面に垂直の方向からみた場合の形状)は、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形、長円形である。また、前記支持基板が長手方向を有し、且つ、前記複数の第1凹部が長手方向に沿って所定の間隔をおいて配置されていることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る燃料電池の構造体を示す斜視図である。
【図2】図1に示す燃料電池の構造体の2−2線に対応する断面図である。
【図3】図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。
【図4】図1に示す燃料電池の構造体の作動状態を説明するための図である。
【図5】図1に示す燃料電池の構造体の作動状態における電流の流れを説明するための図である。
【図6】図1に示す支持基板を示す斜視図である。
【図7】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。
【図8】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。
【図9】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。
【図10】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。
【図11】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。
【図12】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。
【図13】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。
【図14】図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。
【図15】支持基板と燃料極集電部との界面に改質反応促進層が介装された構成を説明するための模式図である。
【図16】図15に示した改質反応促進層の具体的な構造を説明するための図である。
【図17】本発明に係る燃料電池の構造体の第1変形例の図2に対応する断面図である。
【図18】本発明に係る燃料電池の構造体の第2変形例の図2に対応する断面図である。
【図19】本発明に係る燃料電池の構造体の第3変形例の図2に対応する断面図である。
【図20】本発明に係る燃料電池の構造体の第4変形例の図3に対応する断面図である。
【図21】本発明に係る燃料電池の構造体の第4変形例の図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構造体を示す。このSOFCの構造体は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
【0016】
このSOFCの構造体の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの構造体の全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの構造体の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの構造体の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの構造体の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
【0017】
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。各凹部12の長さ(x軸方向の寸法)は5〜50mmであり、幅(y軸方向の寸法)は2〜95mmであり、深さ(z軸方向の寸法)は0.03〜1.5mmである。
【0018】
支持基板10は、例えば、MgO(酸化マグネシウム)、MgAl(マグネシアアルミナスピネル)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、NiO(酸化ニッケル)、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)から選ばれる一つ以上の材料から構成される。
【0019】
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
【0020】
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
【0021】
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
【0022】
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
【0023】
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。なお、後述するように、支持基板10と各燃料極集電部21との界面(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)には、未改質の燃料ガス(例えば、メタン)の改質を促進するための改質反応促進層15が介装されている。
【0024】
各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0025】
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
【0026】
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0027】
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
【0028】
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
【0029】
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
【0030】
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸化性イオン(酸素イオン)伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
【0031】
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
【0032】
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
【0033】
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
【0034】
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
【0035】
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
【0036】
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
【0037】
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
【0038】
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
【0039】
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
【0040】
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
【0041】
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
【0042】
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
【0043】
以上、説明した「横縞型」のSOFCの構造体に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に改質後の燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
【0044】
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFCの構造体全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
【0045】
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの構造体の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
【0046】
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
【0047】
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
【0048】
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
【0049】
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
【0050】
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0051】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
【0052】
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0053】
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0054】
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体が得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20(集電部21+活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20(集電部21+活性部22)の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したSOFCの構造体の製造方法の一例について説明した。
【0055】
(改質反応促進層の介装)
上記実施形態では、図15に示すように、支持基板10と各燃料極20(集電部21)との界面(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)に、未改質の燃料ガス(例えば、メタン)の改質(例えば、メタンから水素への改質)を促進するための改質反応促進層15が介装されている。この改質反応促進層15は、支持基板10と各燃料極集電部21との界面の全域(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分の全域)に亘って設けられていても、前記界面の一部のみに設けられていてもよい。
【0056】
図16に示すように、上記実施形態では、改質反応促進層15は、MgO(即ち、支持基板10に含まれる電気絶縁性を有する物質)の粒子の表面に、Ni(即ち、燃料極20に含まれる未改質成分の改質を促進する物質)の微粒子が固着した構造を有する。この固着したNi粒子の存在によって、燃料ガスが前記界面を通過する際、メタン(CH)→水素(H)の改質反応が促進され得る。
【0057】
この改質反応促進層15は、以下のように形成される。先ず、上述のように、MgOを含む支持基板の成形体10gと、その成形体10の凹部に埋設されたNiOを含む燃料極の成形体20gとが共焼成される際(図12→図13を参照)、支持基板と燃料極との界面に「(Mg,Ni)O」という固溶体が生成される。この固溶体は、還元雰囲気において非常に還元され難い性質を有する。上述した還元処理等の実行により、この固溶体の還元が進行すると、図16に示すように、MgOの粒子の表面に、Niの微粒子が析出・固着した構造が現れる。
【0058】
或いは、改質反応促進層15は、以下の方法によっても形成され得る。先ず、改質反応促進層15の原料粉末としてのMgO粉末とNiO粉末がモル比で1:1になるように秤量された。次いで、これらの混合物が大気雰囲気1400℃で5時間焼成された。これにより、MgOとNiOの固溶体((Mg,Ni)O)が作製された。なお、完全に固溶が完了していることは、粉末X線回折等によって確認された。この固溶体がポットミルで粉砕され、D50=0.52μmの粉末が得られた。得られた粉末に溶剤、バインダーを添加してスラリーが作製され、このスラリーがスプレーコート法によって、上述した支持基板の成形体10g(図6を参照)の各凹部にそれぞれ塗布された。そして、図8〜図14に示す上述と同じ手順に従ってSOFCが作製される。その後、上述した還元処理等の実行により、この固溶体の還元が進行すると、図16に示すように、MgOの粒子の表面に、Niの微粒子が析出・固着した構造が現れる。
【0059】
上述した改質反応促進層15(図16に示す構成を有する層)が介装された構成では、燃料電池が長時間に亘って稼働しても、未改質成分の改質の進行が抑制され難いことが判明した。より具体的に述べると、燃料電池が長時間に亘って稼働しても、MgO粒子に固着する複数のNi微粒子の間の凝集が発生しないことが判明した。従って、上述した背景技術の欄で述べたように「燃料電池が長時間に亘って稼働すると、Ni粒子の比表面積が低下して燃料電池の発電効率が低下する」という問題が発生しない。この結果、長時間の稼働後も、燃料ガスが燃料極に供給される前に燃料ガス中に含まれる未改質成分が確実に改質され得る。
【0060】
(追加の作用・効果)
以上、説明したように、上記本発明の実施形態に係る「横縞型」のSOFCの構造体では、支持基板10の上下面に形成されている、燃料極20を埋設するための複数の凹部12のそれぞれが、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板10において各凹部12を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板10が外力を受けた場合に変形し難い。
【0061】
また、支持基板10の各凹部12内に燃料極20及びインターコネクタ30等の部材が隙間なく充填・埋設された状態で、支持基板10と前記埋設された部材とが共焼結される。従って、部材間の接合性が高く且つ信頼性の高い焼結体が得られる。
【0062】
また、インターコネクタ30が、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bに埋設され、この結果、直方体状のインターコネクタ30の幅方向(y軸方向)に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。従って、燃料極集電部21の外側平面上に直方体状のインターコネクタ30が積層される(接触する)構成が採用される場合に比べて、燃料極20(集電部21)とインターコネクタ30との界面の面積を大きくできる。従って、燃料極20とインターコネクタ30との間における電子伝導性を高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力を高めることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに、複数の発電素子部Aが設けられている。これにより、支持基板の片側面のみに複数の発電素子部が設けられる場合に比して、構造体中における発電素子部の数を多くでき、燃料電池の発電出力を高めることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、固体電解質膜40が、燃料極20の外側面、インターコネクタ30の外側面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、燃料極20の外側面とインターコネクタ30の外側面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。また、支持基板10は平板状を呈しているが、円筒状であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、各凹部12にはインターコネクタ30の全体が埋設されているが、インターコネクタ30の一部のみが各凹部12に埋設され、インターコネクタ30の残りの部分が凹部12の外に突出(即ち、支持基板10の主面から突出)していてもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、凹部12における底壁と側壁とのなす角度θが90°になっているが、図17に示すように、角度θが90〜135°となっていてもよい。また、上記実施形態においては、図18に示すように、凹部12における底壁と側壁とが交差する部分が半径Rの円弧状になっていて、凹部12の深さに対する半径Rの割合が0.01〜1となっていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図19に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10の主面に複数の凹部12が形成され、各凹部12に燃料極20がそれぞれ埋設されているが、図20に示すように、支持基板10の主面上に燃料極20がそれぞれ積層されていてもよい。この場合、図20に示すように、改質反応促進層15は、支持基板10の主面上における、支持基板10と燃料極20との界面に形成される。
【0070】
加えて、上記実施形態においては、図3に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
【0071】
これに対し、図21に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。これによれば、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の4つの側面の全てと底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
10…支持基板、11…燃料ガス流路、12…凹部、15…改質反応促進層、20…燃料極、21…燃料極集電部、21a、21b…凹部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、A…発電素子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路が内部に形成された電気絶縁性を有する多孔質の支持基板と、
前記支持基板の表面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順に積層されてなる複数の発電素子部と、
1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部と、
を備えた燃料電池の構造体において、
前記支持基板と前記各発電素子部内の燃料極との界面に、燃料ガスが前記界面を通過する際に前記燃料ガス中の未改質成分の改質を促進する改質反応促進層が介装された、燃料電池の構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池の構造体において、
前記改質反応促進層は、
前記支持基板に含まれる電気絶縁性を有する物質の粒子の表面に、前記燃料極に含まれる前記未改質成分の改質を促進する物質の微粒子が固着した構造を有する、燃料電池の構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池の構造体において、
前記電気絶縁性を有する物質は、酸化マグネシウム(MgO)であり、前記未改質成分の改質を促進する物質は、ニッケル(Ni)である、燃料電池の構造体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の燃料電池の構造体において、
前記各燃料極は、集電部と、前記集電部に対して酸素イオン伝導性を有する物質の含有割合が大きい活性部と、により構成され、
前記改質反応促進層は、前記支持基板と前記各燃料極の集電部との界面に介装された、燃料電池の構造体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の燃料電池の構造体において、
前記支持基板は、平板状を呈し、
前記平板状の支持基板の主面における前記複数の箇所に、前記支持基板の材料からなる底壁と全周に亘って前記支持基板の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第1凹部がそれぞれ形成され、
前記各第1凹部に、対応する前記発電素子部の燃料極がそれぞれ埋設され、
前記改質反応促進層は、
前記各第1凹部に埋設された燃料極と前記支持基板との界面における前記第1凹部の底壁及び側壁に対応する部分の全て又は一部に介装された、燃料電池の構造体。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池の構造体において、
前記各電気的接続部は、緻密な材料で構成された第1部分と、前記第1部分と接続され且つ多孔質の材料で構成された第2部分とで構成され、
前記埋設された各燃料極の外側面に、前記燃料極の材料からなる底壁と全周に亘って前記燃料極の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第2凹部がそれぞれ形成され、
前記各第2凹部に、対応する前記電気的接続部の前記第1部分がそれぞれ埋設された、燃料電池の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−93178(P2013−93178A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233932(P2011−233932)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【特許番号】特許第5117610号(P5117610)
【特許公報発行日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】