説明

燃料電池システム及び制御方法

【課題】燃料電池システムを構成するセルにセル電圧低下が生じた場合において、当該燃料電池システムを継続して効率的に使用して電力を供給する。
【解決手段】スタックを構成するセルのセル電圧を検出し、セル電圧が所定の下限電圧値より低下した場合に、当該セルに燃料ガスあるいは酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給して当該セルに繰り返し振動を加え、導電体化する(S104,S105)。導電体化した後、当該セルを制御対象から除外して通常制御に移行する(S107,S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム及びその制御方法に関し、特に電圧低下セルが生じた場合の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガスが供給され、これらのガスを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池は、複数のセルを積層して構成されるが、各セルの短絡等による電圧低下が生じた場合には、これを迅速に検出するとともに、その対策が講じられなければならない。
【0003】
下記の特許文献1には、燃料電池の水詰まりを判定する判定電圧よりもセル電圧が低下したセルを短絡推定セルとして特定し、短絡推定セルの隣接するセルのセル電圧が平均セル電圧よりも小さい場合に、電気的な短絡の発生を判定してシステムの運転を停止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−43602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池を構成する特定のセルに短絡等が生じてセル電圧が低下した場合に、単にシステムの運転を停止するだけでは当該燃料電池システムの利用が図れない。一方、特定のセルのセル電圧が低下した燃料電池をそのまま継続して使用すると、セル間の電圧ばらつきが増大してしまい、燃料電池システムの効率を大幅に低下させてしまう。セル電圧の低下を検出した場合に、当該セルを迂回できるようなバイパス回路を別途設けることも考えられるが、燃料電池システムの部品点数の増大及びコスト増加を招く問題がある。
【0006】
本発明の目的は、燃料電池システムを構成するセルにセル電圧低下が生じた場合において、当該燃料電池システムを継続して効率的に使用して電力を供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応させて発電する複数のセルを積層したスタックを備える燃料電池システムであって、前記セルのセル電圧を測定する電圧センサと、前記セル電圧を所定の下限電圧と大小比較し、前記セル電圧が前記下限電圧より低下した場合に、前記セル電圧が低下したセルを選択的に導電体化する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記制御手段は、前記セル電圧が低下したセルを繰り返し振動させることで導電体化する。
【0009】
また、本発明の他の実施形態では、前記制御手段は、前記セル電圧が低下したセルに前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給する。
【0010】
また、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応させて発電する複数のセルを積層したスタックを備える燃料電池システムの制御方法であって、(a)前記複数のセルのそれぞれのセル電圧を検出するステップと、(b)検出した前記セル電圧を所定の下限電圧値と大小比較するステップと、(c)前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルを選択的に導電体化するステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、さらに、前記(c)ステップに先立ち、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルが短絡していることを判定するステップを備え、前記(c)ステップでは、短絡していると判定されたセルを選択的に導電体化する。
【0012】
また、本発明の他の実施形態では、前記(c)ステップでは、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルに繰り返し振動を与えることで導電体化する。
【0013】
また、本発明の他の実施形態では、前記(c)ステップでは、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルに前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃料電池システムを構成するセルにセル電圧低下が生じた場合においても、当該燃料電池システムを継続して効率的に使用して電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の燃料電池システムの概観斜視図である。
【図2】実施形態の燃料電池システムの分解斜視図である。
【図3】実施形態の処理フローチャートである。
【図4】実施形態の振動回数とセル抵抗との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0017】
1.燃料電池システムの基本構成
まず、燃料電池システムの構成について説明する。図1及び図2に、燃料電池システムの基本構成を示す。図1は、燃料電池システムの概観斜視図であり、図2は燃料電池システムの分解斜視図である。
【0018】
燃料電池システムは、複数のセル2を積層したスタック3を有し、スタック3の両端に位置するセル2の外側に順次、出力端子5付の集電板6、絶縁板7及びエンドプレート8が配置される。スタック3は、両エンドプレート8間を架け渡すようにして設けられたテンションプレートが各エンドプレート8にボルト等で固定されることにより、セル2の積層方向に所定の圧縮力が印加された状態となっている。また、スタック3には、セル2のセル電圧を測定するための電圧センサが設けられる。なお、図1において出力端子5付の集電板6を示しているが、電圧センサによる電圧監視を実行するために、セル積層方向に沿った所定の複数個所にさらに別の出力端子を予め設けてもよい。電圧センサから出力されたセル電圧は、図示しないECU(電子制御装置)に供給される。ECUは、セル電圧を所定の下限しきい値と大小比較し、セル電圧が下限値以上を維持しているか否かを判定することでセル電圧の異常を監視する。なお、電圧センサに加えて電流センサや抵抗値センサを設けてセル電圧に加えてセル電流値やセル抵抗値を監視してもよい。
【0019】
セル2は、図2に示すように、膜−電極アセンブリ(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)11と、MEA11を挟持する一対のセパレータ12a、12bで構成される。MEA11及び各セパレータ12a、12bは矩形の板状に形成される。また、MEA11はその外形が各セパレータ12a、12bの外形よりも小さくなるように形成される。MEA11と各セパレータ12a、12bとは、それらの間の周辺部をシール部材13a、13bとともに成形樹脂によりモールドされる。
【0020】
MEA11は、高分子材料のイオン交換膜からなる電解質膜21と、電解質膜21を両面から挟む一対の電極22a、22b(それぞれカソード電極とアノード電極)で構成される。電解質膜21には、その周縁部24を残した状態で各電極22a、22bがホットプレスで接合される。
【0021】
MEA11を構成する電極22a、22bは、その表面に付着された白金等の触媒を担持した多孔質のカーボン材料の拡散層で構成される。電極22aには空気等の酸化剤ガス、電極22bには水素ガス等の燃料ガスが供給され、これら2種類のガスがMEA11内で電気化学反応を生じてセル2の起電力が生じる。
【0022】
セパレータ12a、12bは、ガス不透過の導電性材料で構成される。導電性材料としては、カーボンや導電性を有する硬質樹脂、アルミニウム、ステンレス等である。セパレータ12a、12bの両面には、複数の凹部により構成される溝状の流路が形成される。溝状の流路は、酸化剤ガスのガス流路や燃料ガスのガス流路、あるいは冷却水流路を構成する。具体的には、セパレータ12aの電極22a側となる内側の面にストレート状の酸化剤ガスのガス流路31aが複数形成され、その裏面にはストレート状の冷却水流路32が複数形成される。また、セパレータ12bの電極22b側となる内側の面にストレート状の燃料ガスのガス流路31bが複数形成され、その裏面には冷却水流路32が複数形成される。セル2におけるこれらガス流路31a、31bは互いに平行となるように形成される。なお、隣接するセル2のセパレータ12aとセパレータ12bは、それらの間における周辺の部分が成形樹脂によりモールドされる。
【0023】
セパレータ12a、12bの端部付近には、酸化剤ガスの入口側のマニホールド41、燃料ガスの入口側のマニホールド42、及び冷却水の入口側のマニホールド43が形成される。また、セパレータ12a、12bの反対側の端部には、酸化剤ガスの出口側のマニホールド51、燃料ガスの出口側のマニホールド52、及び冷却水の出口側のマニホールド53が形成される。セパレータ12aにおける酸化剤ガス用のマニホールド41とマニホールド51は、セパレータ12aに溝状に形成された入口側の連絡通路及び出口側の連絡通路を介してそれぞれが酸化剤ガスのガス流路31aに連通する。また、セパレータ12bにおける燃料ガス用のマニホールド42とマニホールド52は、セパレータ12bに溝状に形成された入口側の連絡通路及び出口側の連絡流路64を介してそれぞれが燃料ガスのガス流路31bに連通する。このようにして、セル2には、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却水が供給される。例えば、酸化剤ガスは、セパレータ12aのマニホールド41から連絡通路を通ってガス流路31aに流入し、MEA11の発電に供され、連絡通路を通ってマニホールド51に流出する。連絡通路には調整弁が設けられ、酸化剤ガスの流量が調整される。また、燃料ガスは、セパレータ12aの間にホールド42から連絡通路を通ってガス流路31bに流入し、MEA11の発電に供され、連絡通路をとおってマニホールド52に流出する。連絡通路には調整弁が設けられ、燃料ガスの流量が調整される。燃料ガス及び酸化剤ガスのガス流量は、ECUにより制御される。
【0024】
2.セル電圧低下時の制御
このような構成において、スタック3を構成するセル2のいずれかにセル電圧の低下が生じた場合、ECUは、当該セルに短絡等の異常が生じたものとして、異常時の制御に移行する。異常時の制御においては、セル電圧が低下したセルを局所的に繰り返し振動させることで導電体化させる。そして、セル電圧が低下したセルを導電体化することで実質的に当該セルを単なる導体として取り扱い、スタック3をそのまま使用し続ける。
【0025】
図3に、本実施形態の処理フローチャートを示す。まず、ECUは、セル2のセル電圧を所定の下限しきい値と大小比較し、セル電圧が下限しきい値より小さいか否かを判定する(S101)。下限しきい値は、セル2が正常に動作していると想定される電圧範囲の下限値である。下限しきい値は、全てのセル2に対して同一値を設定してもよいが、スタック3におけるセル位置を考慮してセル2毎に異なる値を設定してもよい。セル電圧が下限しきい値以上である場合、短絡等の異常が生じていないとして燃料電池の通常の制御を実行する(S108)。一方、セル電圧が下限しきい値より小さい場合には、所定の電圧復帰制御に移行する(S102)。
【0026】
電圧復帰制御では、調整弁を調整して燃料ガスや酸化剤ガスの流量を増大させ、あるいは背圧を変更する。そして、再びセル電圧を下限しきい値と大小比較する(S103)。電圧復帰制御を実行した後でセル電圧が下限しきい以上となった場合には、セル電圧が回復したものとして(S103でYES)、通常制御に移行する。一方、電圧復帰制御を実行してもセル電圧が下限しきい値より小さい場合には、セル電圧が回復しないものとして(S103でNO)、以下の異常時処理を実行する。
【0027】
すなわち、セル電圧が回復しない場合には、当該セル2が拡散層のケバや電解質膜21の脆化等により電解質膜21が損傷して短絡した可能性が高く、あるいは触媒が劣化した可能性が高いとして、セル電圧が低下した当該セル2のみに繰り返し振動を印加する。当該セル2を繰り返し振動させることで、電解質膜21をほぼ完全に破壊し、これにより当該セル2の抵抗値を限りなくゼロに近づけて導電体化するためである。既述したように、電解質膜21はカソード電極22aとアノード電極22bとの間に介在する高分子材料のイオン交換膜であり、電解質膜21をほぼ完全に破壊することで当該セル2は導電体化する。拡散層のケバが原因で電解質膜21に損傷が生じている場合には、当該セル2に繰り返し振動を印加することで、拡散層のケバも同様に振動し、あるいは拡散層の他のケバも振動して電解質膜21を損傷せしめ、結果として電解質膜21をほぼ完全に破壊してカソード電極22aとアノード電極22bとを電気的に短絡することができる。電解質膜21が脆化している場合も同様であり、繰り返し振動を印加することで、脆化した電解質膜21がさらに脆化しやがてほぼ完全に破壊してカソード電極22aとアノード電極22bとを電気的に短絡することができる。
【0028】
ここで、セル電圧が低下した当該セル2のみに繰り返し振動を印加する方法としては、スタック3を構成する各セル2にはそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスが供給されているので、これらのガスを利用するのが好適である。すなわち、セル電圧が低下したセル2の燃料ガスあるいは酸化剤ガスのいずれか、あるいは両方のガスを間欠的に供給することで、ガス圧を間欠的に変動せしめ、このガス圧の間欠的な変動によって当該セル2を繰り返し振動させる(S104)。燃料ガスあるいは酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給することで、新たに部品を設けることなく当該セル2を繰り返し振動させることができる。
【0029】
燃料ガスあるいは酸化剤ガスの少なくともいずれかの間欠的な供給は、当該セル2が導電体化するまで継続して実行される(S104及びS105であり、S105で導電体化していないと判定された場合にはS104の処理を繰り返し実行する)。当該セル2が導電体化したか否かは、例えばセル2に設けられた抵抗値センサの出力を監視して判定することができる。あるいは、予めどの程度の回数だけ振動を繰り返し印加すればセル2が導電体化するかを実験により決定しておき、決定された回数だけ振動を印加したか否かを判定してもよい。この点については、さらに後述する。
【0030】
セル電圧が低下したセル2に繰り返し振動を印加して導電体化した後、導電体化したセル2を制御対象から除外し(S106)、そのまま燃料電池システムを使用し続ける。但し、スタック3を構成するセル数が導電体化したセル数分だけ減少しているため、燃料電池システムからの電力を車両駆動モータに供給して車両を走行させる場合、燃料電池システムの電圧を昇圧するコンバータの昇圧値を変更する(S107)。すなわち、導電体化したセル数だけ燃料電池システムの電圧が低下するので、その減少分を補償するようにコンバータの昇圧値を増大する。その後、通常の制御に移行する(S108)。
【0031】
図4に、セル2に印加される振動回数とセル2の抵抗値との関係を示す。図において、横軸は振動回数、縦軸はセル2の抵抗を示す。振動回数が200回程度まででセル抵抗は急激に減少し、振動回数が200回程度以降ではセル抵抗は徐々に減少していく。そして、振動回数が1000回程度に達すると、セル抵抗はほぼゼロまで低下し、導電体化しているといえる。このように、セル2に燃料ガスあるいは酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給してセル2を繰り返し1000回程度振動させることで、セル2を導電体化することが可能である。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、本実施形態では、図3の処理フローチャートに示すように、電圧復帰制御を実行してもセル電圧が低下したままである場合に、当該セルは短絡したものとみなして間欠的に振動を印加しているが、セル電圧が復帰しなかった当該セルに対して所定の短絡判定処理を実行し、その結果、短絡していると判定した場合に、当該セルに繰り返し振動を印加してもよい。所定の短絡判定処理は、公知の方法を用いることができるが、一例を挙げると、セル抵抗を検出し、セル電圧が低下し、かつ、セル抵抗も低下している場合に、確かに当該セルが短絡したと判定する等である。あるいは、既述した従来技術のように、短絡推定セルの隣接するセルのセル電圧を考慮して当該セルが短絡したと判定してもよい。そして、セル電圧が低下し、かつ、短絡と判定したセル2に対してのみS104で繰り返し振動を与え、短絡以外の原因でセル電圧が低下していたと判定した場合には、S104の処理に移行することなく燃料電池システムの運転を停止することも可能である。
【0034】
また、本実施形態では、セル電圧の低下したセルを導電体化する方法として、当該セルに繰り返し振動を印加する方法を例示したが、他の方法で導電体化することも可能である。例えば、電解質膜21を物理的に移動させてカソード電極とアノード電極を接触させる、あるいは、電解質膜21を溶解液で溶解させてカソード電極とアノード電極を接触させる等である。
【0035】
また、本実施形態において、セル電圧が低下したセルを「導電体化する」とは、当該セルのセル抵抗をほぼゼロまで低下させることを意味するが、十分に小さい閾抵抗値を設定し、セル程度がこの閾抵抗値以下となることを導電体化するということもできる。あるいは、セル2を構成するセパレータ12a、12bは硬質樹脂やアルミニウム等の導電性材料で構成されているが、このセパレータ12a、12bと同程度の導電性に設定するということもできる。
【0036】
また、本実施形態では、燃料ガスあるいは酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給して電解質膜21を繰り返し振動させているが、燃料ガス及び酸化剤ガスをともに間欠的に供給する場合、それぞれの供給周期をシフトさせてもよい。すなわち、燃料ガスをある周期Tで間欠的に供給する場合、供給するタイミングをオン、供給しないタイミングをオフとしたときに、燃料ガスがオンのときに酸化剤ガスをオフ、燃料ガスがオフのときに酸化剤ガスをオンとする。繰り返し振動を印加する回数を1000回とした場合に、最初の500回を燃料ガスの間欠的供給とし、残りの500回を酸化剤ガスの間欠的供給とすることもできる。
【0037】
また、本実施形態では、スタックを構成するセルのうち、セル電圧が低下したセルを選択的に導電体化して通常運転に移行しているが、通常運転に移行した後も、残りのセルに対してセル電圧を継続して監視し、所定の下限電圧値以上であるか否かを判定することは言うまでもない。そして、導電体化したセル以外にもそのセル電圧が下限電圧値より低下した場合には、再び当該セルに対して繰り返し振動を印加することで導電体化し、その後に通常運転に移行する。複数のセルのセル電圧が同時に下限電圧値より低下した場合には、それらのセルを同時に導電体化する。なお、ECUは、導電体化したセルの数をカウントして順次メモリに記憶しておき、導電体化したセル数が所定の許容値に達した場合には、導電体化して通常運転に移行するのではなく、導電体化することなくその時点で運転を中止する。
【0038】
また、本実施形態では、車両に搭載される燃料電池システムを例示したが、車両に限らず他の移動体やロボット等にも搭載される燃料電池システムにも適用し得る。
【0039】
さらに、本実施形態では図1及び図2に示すような燃料電池システムを例示したが、本発明はこのような燃料電池システムに限定されるものではなく、MEAとこれを挟持する一対のセパレータを備える任意の形状の燃料電池システムにも適用し得る。
【符号の説明】
【0040】
2 セル、3 スタック、12a,12b セパレータ、21 電解質膜、22a,22b 電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応させて発電する複数のセルを積層したスタックを備える燃料電池システムであって、
前記セルのセル電圧を測定する電圧センサと、
前記セル電圧を所定の下限電圧と大小比較し、前記セル電圧が前記下限電圧より低下した場合に、前記セル電圧が低下したセルを選択的に導電体化する制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記制御手段は、前記セル電圧が低下したセルを繰り返し振動させることで導電体化することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、
前記制御手段は、前記セル電圧が低下したセルに前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学反応させて発電する複数のセルを積層したスタックを備える燃料電池システムの制御方法であって、
(a)前記複数のセルのそれぞれのセル電圧を検出するステップと、
(b)検出した前記セル電圧を所定の下限電圧値と大小比較するステップと、
(c)前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルを選択的に導電体化するステップと、
を備えることを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、さらに、
前記(c)ステップに先立ち、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルが短絡していることを判定するステップ
を備え、前記(c)ステップでは、短絡していると判定されたセルを選択的に導電体化することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【請求項6】
請求項4、5のいずれかに記載の方法において、
前記(c)ステップでは、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルに繰り返し振動を与えることで導電体化することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、
前記(c)ステップでは、前記セル電圧が前記下限電圧値よりも低下したセルに前記燃料ガスあるいは前記酸化剤ガスの少なくともいずれかを間欠的に供給することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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