説明

燃料電池システム及び気体排出方法

【課題】小型な構成で安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる燃料電池システム及び気体排出方法を提供する。
【解決手段】燃料電池と、水素発生器と、燃料電池と水素発生器とを接続する接続部とを備え、水素発生器は、反応室と接続部との間に設けられ、反応部より低温であり、かつ接続部の温度以下に保たれる放熱部を備える。燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、燃料電池本体の外部に排出される気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体を備え、可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、排出弁を開放し、燃料供給部の内部の気体を燃料電池本体の外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム及び気体排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、固体高分子電解質膜を挟んでアノード極とカソード極を有する。アノード極側に水素ガス等の燃料ガスを供給し、カソード極側に酸化用ガス、例えば酸素や空気を供給し、これらの電気化学反応により電力を発生する。
【0003】
このような固体高分子型燃料電池システムの発電において、例えば、アノード極側に燃料ガスを供給する燃料供給部の内部に、カソード極側から電解質膜を介し、空気などの燃料ガス以外の気体(不純ガス)が混入している場合、発電性能が著しく低下してしまう。このため、燃料供給部の内部の不純ガスを排出して燃料ガス濃度を高める必要がある。しかしながら、不純ガスを排出する際に、燃料ガスも排出されるため、排出された不純ガスに対して燃料ガスの濃度が高い場合、燃料ガスに引火する危険性がある。
【0004】
燃料供給部の内部の燃料ガス濃度を高める方法として、燃料供給部の内部の不純ガスを排出し、燃料ガスに置換する機構を有し、排出ガスに含まれる燃料ガスを除去するために、燃焼や触媒作用などを用いた排気処理装置を用いる燃料電池システムが特許文献1に開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、不純ガスを燃料電池システムから排出する際に、排出ガス中の燃料濃度を可燃濃度未満の濃度にするため、排出ガスを週容器内で空気により希釈し、希釈した排出ガスを大気中に排出する排出水素処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−331888号公報
【特許文献2】特開2004−6183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法では、排出ガスに含まれる燃料を除去するために、燃焼や触媒作用などを用いた排気処理装置や、排出ガスを希釈する構造が必要であり、燃料電池システムの体積を増大させる。これらのガス置換に用いられる装置による燃料電池システムの体積の増大は、特に、ノートPCやデジタルカメラなど小型電子機器に燃料電池を応用する場合に小型化の妨げとなる。
【0008】
そこで、本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、小型な構成で安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる燃料電池システム及び気体排出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第1の特徴は、燃料極と酸化剤極と燃料極及び酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、燃料供給部に燃料を導入する燃料導入路と、燃料導入路に配置され、燃料導入路を開閉制御し、燃料供給部への燃料の導入を制御する燃料弁と、燃料供給部に配置され、燃料供給部の気体を排出する排出流路と、排出流路に配置され、排出流路を開閉制御する排出弁とを備え、燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、燃料電池本体の外部に排出される気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体を備え、可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、排出弁を開放し燃料供給部の内部の気体を燃料電池本体の外部に排出することを要旨とする。
かかる特徴によれば、可動体が第一位置から第二位置に移動する際に、排出ガスの濃度が燃料ガスの可燃濃度未満となる空間が形成され、発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【0010】
また本発明の第2の特徴は、燃料弁及び排出弁は、可動体と機械的に接続し、可動体の動作と、燃料弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、駆動部を1箇所とすることができ、構造の簡素化が可能となる。
【0011】
また本発明の第3の特徴は、燃料供給部は、燃料供給部の内部部の体積を変化させる圧縮部を備え、圧縮部は、可動体と機械的に接続し、圧縮部を圧縮する動作と、燃料弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、簡便な構造で、安全に確実に気体を排出することが出来る。
【0012】
また本発明の第4の特徴は、燃料弁は、可動体と機械的に接続されている燃料制御回転部と、燃料制御回転部の外周面に沿って形成される燃料制御バルブ筐体とを有し、燃料制御回転部を回転することにより、燃料導入路を開閉制御し、排出弁は、可動体と機械的に接続されている排出回転部と、排出回転部の外周面に沿って形成される排出バルブ筐体とを有し、排出回転部を回転することにより、排出流路を開閉制御し、燃料制御回転部と排出回転部と可動体を回転軸で接続することにより、可動体の動作と、燃料弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、燃料弁や排出弁の制御や駆動の機器を排除することが可能となり、より簡易な構造で、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【0013】
また本発明の第5の特徴は、燃料極と酸化剤極と燃料極及び酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、燃料供給部に燃料を導入する燃料導入路と、燃料導入路に配置され、燃料導入路を開閉制御し、燃料供給部への燃料の導入を制御する燃料弁と、燃料供給部と連結流路により連結されるパージ室と、連結流路に配置され、連結流路を開閉制御する連結流路弁と、パージ室に配置され、パージ室の気体を排出する排出流路と、排出流路に配置され、排出流路を開閉制御する排出弁とを備え、燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、燃料電池本体の外部に排出される気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体とからなり、可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、排出弁を開放しパージ室の内部の気体を燃料電池本体の外部に排出することを要旨とする。
かかる特徴によれば、パージ室の内部の気体を可動体が第一位置から第二位置に移動した際に排出するので、可動体が第一位置から第二位置に移動する際に形成される空間に対して、確実に排出ガスの濃度が燃料ガスの可燃濃度未満となる排出ガスの量とすることができるので、発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【0014】
また本発明の第6の特徴は、燃料弁及び連結流路弁及び排出弁は、可動体と機械的に接続され、可動体の動作と、燃料弁及び連結流路弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、駆動部を1箇所とすることができ、構造の簡素化が可能となる。
【0015】
また本発明の第7の特徴は、パージ室は、パージ室の内部の体積を変化させる圧縮部を備え、圧縮部は、可動体と機械的に接続し、圧縮部を圧縮する動作と、燃料弁及び接続流路弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、簡便な構造で、安全に確実にパージ室の内部の気体を排出することが出来る。
【0016】
また本発明の第8の特徴は、燃料弁は、可動体と機械的に接続されている燃料制御回転部と、燃料制御回転部の外周面に沿って形成される燃料制御バルブ筐体とを有し、燃料制御回転部を回転することにより、燃料導入路を開閉制御し、連結流路弁は、可動体と機械的に接続されている連結回転部と、連結回転部の外周面に沿って形成される連結バルブ筐体とを有し、連結回転部を回転することにより、連結流路を開閉制御し、排出弁は、可動体と機械的に接続されている排出回転部と、排出回転部の外周面に沿って形成される排出バルブ筐体とを有し、排出回転部を回転することにより、排出流路を開閉制御し、燃料制御回転部を回転することにより、燃料弁の開閉を制御し、排出回転部を回転することにより、排出制御弁の開閉を制御するものであり、燃料制御回転部と排出回転部と可動体を回転軸で接続することにより、可動体の動作と、燃料弁及び排出弁の開閉制御とは同期することを要旨とする。
かかる特徴によれば、燃料弁や排出弁の制御や駆動の機器を排除することが可能となり、より簡易な構造で、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【0017】
また本発明の第9の特徴は、燃料電池システムで用いられる気体排出方法であって、燃料電池システムは、燃料極と酸化剤極と燃料極及び酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、燃料供給部に燃料を導入する燃料導入路と、燃料導入路に配置され、燃料導入路を開閉制御し、燃料供給部への燃料の導入を制御する燃料弁と、燃料供給部に配置され、燃料供給部の気体を排出する排出流路と、排出流路に配置され、排出流路を開閉制御する排出弁とを備える燃料電池本体と、燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、燃料電池本体の外部に排出される気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る空間を作る可動体とを備え、可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、燃料弁を閉止し、排出弁を開放し、燃料供給部の内部の気体を燃料電池本体の外部に排出する気体排出ステップを含む気体排出方法であることを要旨とする。
かかる特徴によれば、燃料電池本体に取り付けられた可動体が第一位置から第二位置に移動する際に、排出ガスの濃度が燃料ガスの可燃濃度未満となる空間が形成され、発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【0018】
また本発明の第10の特徴は、燃料電池システムで用いられる気体排出方法であって、燃料電池システムは、燃料極と酸化剤極と燃料極及び酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、燃料供給部に燃料を導入する燃料導入路と、燃料導入路に配置され、燃料導入路を開閉制御し、燃料供給部への燃料の導入を制御する燃料弁と、燃料供給部と連結流路により連結されるパージ室と、連結流路に配置され、連結流路を開閉制御する連結流路弁と、パージ室に配置され、パージ室の気体を排出する排出流路と、排出流路に配置され、排出流路を開閉制御する排出弁とを備える燃料電池本体と、燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、燃料電池本体の外部に排出される気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体とを備え、可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、燃料弁及び連結流路弁を閉止し、排出制御弁を開放し、パージ室の内部の気体を燃料電池本体の外部に排出する気体排出ステップを含む気体排出方法であることを要旨とする。
かかる特徴によれば、パージ室の内部の気体を可動体が第一位置から第二位置に移動した際に排出するので、可動体が第一位置から第二位置に移動する際に形成される空間に対して、確実に排出ガスの濃度が燃料ガスの可燃濃度未満となる排出ガスの量とすることができるので、発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体の外部に排出することが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型な構成で安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる燃料電池システム及び気体排出方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態1に係る燃料電池システムの概観図である。
【図2】本実施の形態1に係る燃料電池システムの概略図である。
【図3】本実施の形態1に係る燃料電池システムの気体排出フローである。
【図4】本実施の形態1に係る燃料電池システムの変更例1を示す概略図である。
【図5】燃料弁及び排出弁の構成例である。
【図6】燃料弁及び排出弁及び燃料電池システムのスイッチの構成例である。
【図7】本実施の形態1に係る燃料電池システムの変更例2を示す概略図である。
【図8】本実施の形態2に係る燃料電池システムの概略図である。
【図9】本実施の形態2に係る燃料電池システムの気体排出フローである。
【図10】本実施の形態2に係る燃料電池システムの変更例1を示す概略図である。
【図11】連結流路弁及び排出弁の構成例である。
【図12】連結流路弁及び排出弁及び燃料電池システムのスイッチの構成例である。
【図13】本実施の形態2に係る燃料電池システムの変更例2を示す全体概略図である。
【図14】燃料供給部の構成例である。
【図15】本実施の形態1及び2に係る燃料電池システムの適用例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1及び図2及び図3に基づいて燃料電池システムの本実施の形態1を説明する。
図1は、本実施の形態1に係る燃料電池システムの全体概略図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態1に係る燃料電池システム1は、燃料電池本体2と、燃料電池本体2の外側に、可動体回転軸4により回転するように取り付けられた可動体3と、可動体回転軸4に取り付けられた位置(回転)検出部6とで構成されている。
【0024】
可動体3は、可動体回転軸4を中心に回転し、燃料電池本体2の周囲を第一位置から第二位置に移動する。燃料電池本体2の周囲の可動体3が第一位置から第二位置に移動する間の範囲に、可動体3の移動を妨げるものがある場合、可動体3が、第一位置から第二位置に移動することが不可能となり、逆に、燃料電池本体2の周囲の可動体3が第一位置から第二位置に移動する間の範囲に、可動体3の移動を妨げるものがない場合には、可動体3が、第一位置から第二位置に移動することが可能である。すなわち、可動体3が、第一位置から第二位置に移動することが可能であった場合は、燃料電池本体2の周囲に少なくとも可動体3の第一位置から第二位置への移動範囲の空間が作られていることになる。この可動体3の第一位置から第二位置への移動範囲の空間を燃料電池本体2から燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる体積とすることにより、安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる。
【0025】
図2に基づいて、燃料電池本体2から外部に排出ガスを排出する構造を説明する。
図2に示すように、燃料電池本体2は、発電部20と、発電部20の燃料極23に燃料を供給する燃料供給部31とを備える。
【0026】
発電部20は、電解質膜21を挟んで酸化剤極22と燃料極23とで構成され、電解質膜21は、電解質膜21の両面に図示しない触媒層がそれぞれ配置される構成である。
【0027】
燃料極23は、図示しないガス拡散層、集電体層を備え、また酸化剤極22も同様に、図示しないガス拡散層、集電体層を備える。燃料極23及び酸化剤極22の集電体層からそれぞれ図示しない導線により、燃料電池の出力に接続される。
【0028】
酸化剤極22側は、大気に開放された構成を示したが、燃料極23側と同様に、酸化剤を酸化剤極22に供給する酸化剤供給路と酸化剤供給路に酸化剤を導入する酸化剤導入路を備える構成とすることも可能である。
【0029】
燃料供給部31には、燃料供給部31に燃料ガスを導入する燃料導入路36と燃料供給部31から排出ガスを排出する排出流路37が設けられている。燃料導入路36には、燃料導入路36の流通の開閉を行う燃料弁33が配置される。また、排出流路37には、排出流路37の流通の開閉を行う排出弁34が配置される。また、燃料弁33および排出弁34は、コントローラ5により開閉を制御される。
【0030】
燃料導入路36に導入される燃料ガスの供給源は、たとえば、水素を圧縮して充填した水素ボンベや、水素を水素吸蔵合金、炭素系材料等に吸蔵し容器に収めたボンベなどを用いることができる。また、水酸化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物の加水分解や、金属と塩基性あるいは酸性水溶液との反応によって水素を得るものであってもよい。さらに、アルコール、エーテル、ケトン類を水蒸気改質して水素を得るメタノール改質型や、ガソリン、灯油、天然ガスといった炭化水素を水蒸気改質して水素を得る炭化水素改質型など、加水により水素を発生する構成であってよい。
【0031】
燃料導入路36に燃料ガスの供給源との接続部を設け、燃料ガスの供給源を着脱可能な構成とすることもできる。
【0032】
燃料電池システムの稼動時、燃料弁33を開放して燃料供給部31に燃料を供給している。また、排出弁は閉止し、外部への排出を行わない。また、電解質膜21を介して、空気が酸化剤極22側から燃料供給部31へ透過する。この空気が不純ガスとして、燃料ガス濃度を低下させ発電性能を悪化させる。このため、燃料供給部31の内部の不純ガスを燃料供給部31の外部に排出して燃料ガス濃度を高める必要がある。
【0033】
また、燃料電池システムの停止時の燃料弁33および排出弁34の状態は、共に閉止状態である。停止時においても、稼動時と同様に、空気が酸化剤極22側から燃料供給部31へ透過する。従って、燃料電池システムの起動時には、燃料供給部31の不純ガスを燃料供給部31の外部に排出することが必要となる。
【0034】
ここでは、燃料弁33および排出弁34は、コントローラ5により開閉駆動される電磁弁を用いている。
【0035】
以上のような構成において、燃料供給部31から排出ガスを燃料電池本体2から外部に排出する際の動作を説明する。
図3は、気体排出フローを示す。
【0036】
燃料電池システムの発電時、燃料弁33は、開放状態であり、燃料供給部31に燃料ガスを供給している。排出弁34の状態は、閉止状態である。まず、可動体3を第一位置から第二位置に移動させる(S11)。この移動が可能であれば、燃料電池本体2の周囲に少なくとも可動体3の第一位置から第二位置への移動範囲に移動を妨げるものがなく開放された空間であることになる。可動体3の第一位置から第二位置に移動したことを位置(回転)検出部6で検知し(S12)燃料弁33を閉止し(S13)、排出弁34を開放し(S14)、燃料供給部31の内部のガスを燃料電池本体2の外部へ排出する。このときの排出ガスの量は、燃料供給部31の容積と、燃料供給部31の圧力と燃料電池外部の圧力(大気圧)により定まる量となり、排出ガス量=燃料供給部31の容積x(燃料供給部31の内部の圧力−大気圧)/大気圧である。可動体3が第一位置から第二位置に移動する際に形成される空間において、排出ガスの濃度が、燃料ガスの可燃濃度未満となる様に、可動体3の移動範囲と排出ガス量の比を設定することにより、排出ガスを原因とした発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出することが出来る。排出される気体は、空気など不燃ガスも含まれることを考慮し、可動体3の移動範囲を設計することも可能であるが、排出ガスが全て可燃性の燃料ガスであった場合を想定した設計が好ましい。
【0037】
排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出した後、排出弁34を閉止し(S15)、燃料弁33を開放(S16)して燃料供給部31に燃料ガスを供給する。このとき、燃料供給部31の燃料ガス濃度が発電に充分な濃度になる様、燃料供給圧力や燃料供給部31の容積や排出量が設定される。これにより、安全に排出ガスを燃料電池本体から排出し、発電性能を維持することが出来る。
【0038】
また、図3のフローの燃料弁33を閉止する操作(S13)を行わずに、排出弁34を開放する時間により排出量を制御することもできる。
【0039】
また、この気体排出フローは、燃料電池システムの起動時に適用することもできる。その場合、S11において、燃料電池システムの起動前である停止時、燃料電池システムの発電の起動スイッチはOFF状態であり、燃料弁33および排出弁34の状態は、共に閉止状態である。よって、S11で、可動体3の第一位置から第二位置へ移動させた後に、燃料弁33を開放し、燃料供給部31に燃料ガスを供給し、燃料供給部31の内部の圧力は、燃料電池本体2の外部より高い圧力とする工程が加わる。そして、S16が終了した後に、燃料電池システムの発電の起動スイッチをONにして、発電を開始する。これにより、安全に排出ガスを燃料電池本体から排出して燃料電池を起動することが出来る。
【0040】
図16(a)に、燃料供給部31の構成例を示す。(b)はB−B面の断面図、(c)はC−C面の断面図を示す。燃料供給部31は、燃料極の面に対し、複数の溝形状でそれぞれ構成された複数の燃料供給路31aからなる。複数の燃料供給路31aのC−C面における断面積はそれぞれ略同一であり、少なくとも、燃料極の触媒層配置領域217と接触する部分では、互いに合流や交差することなく離間して配置される。
【0041】
また、複数の燃料供給路31aは、燃料導入路接続部215を介し燃料導入路36と接続される。燃料ガスは、燃料導入路36から燃料導入路接続部215に導入され、複数の燃料供給路31aにそれぞれ供給される。供給された燃料ガスにより、燃料供給路31aの内部の不純ガスを排出流路接続部216の方へ押し出すことができる。
【0042】
ここで、図16(a)に図示するように、燃料導入路接続部215の左側から燃料ガスが供給される場合を想定する。この場合、燃料導入路接続部215のB−B面における断面積は、各燃料供給路31aのC−C面における断面積よりも大きくなるように構成される。つまり、燃料導入路接続部215の16(a)で示す左右方向における圧力損失は、各燃料供給路31aの図16(a)で示す上下方向における圧力損失よりも小さくなるように構成される。これにより、燃料導入路接続部215の左側から供給された燃料ガスは、各燃料供給路31aの内部よりも、燃料導入路接続部215の図16(a)で示す右側へ、より多く供給される。したがって、燃料導入路接続部215の右側の方まで十分に燃料ガスが供給されるため、左側の燃料供給路31aの方が右側の燃料供給路31aよりも多くの燃料ガスが供給され易いということはなく、複数の燃料供給路31aへ均一に燃料ガスを供給することができる。よって、複数の燃料供給路31aへの燃料ガスの導入圧力のばらつきが小さくなり、各燃料供給路31aの内部の不純ガスを均一に排出流路37の方へ向かって押し出すことができる。
また、複数の燃料供給路31aと排出流路37は、排出流路接続部216を介し接続される。
【0043】
上述の燃料導入路接続部215と複数の燃料供給路31aの関係と同様に、排出流路接続部216のB−B面における断面積は、各燃料供給路31aのC−C面における断面積よりも大きくなるように、つまり、排出流路接続部216の図16(a)で示す左右方向における圧力損失は、各燃料供給路31aの図16(a)で示す上下方向における圧力損失よりも小さくなるように構成される。これにより、各燃料供給路31aから排出流路接続部216へ押し出された不純ガスは、各燃料供給路31aの内部に逆流して導入されることなく、排出流路接続部216から排出流路37へ向かって排出され、確実に不純ガスを排出することができる。
【0044】
尚、燃料供給部31の構成は上述の構成に限られるものではない。燃料極の触媒層配置領域217と接触する部分に形成された燃料供給部31全体において、ばらつきが小さく、均一に燃料導入路36から排出流路37へ、気体の流れが生じるような構成であれば良い。
【0045】
(実施の形態1の変形例1)
図4及び図5に基づいて燃料電池システムの本実施の形態1の変形例1を説明する。
図4は、本実施の形態1の変形例1に係る燃料電池システムの発電部の構成図である。
【0046】
実施の形態1の構成において、燃料弁33及び排出弁34をボールバルブの様な機械的な弁構造とし、さらに、燃料弁33と排出弁34を機械的に接続し、それらを可動体3と機械的に接続する構成とした。これにより、可動体3が第一位置から第二位置に移動し、燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる空間を確保する動作と、可動体3を第一位置から第二位置に移動させる動作に燃料弁33と排出弁34を同期させることが出来るので、コントローラや電磁弁などを用いずに、燃料弁33及び排出弁34の開閉動作を行い、燃料供給部31から安全に排出ガスを排出することができる。
【0047】
燃料弁8及び排出弁9の構成例を図5に示す。左側が燃料弁33を、右側が排出弁34を示し、(A)及び(C)が燃料電池システムの発電時、(B)が燃料供給部31から外部への気体排出時を示す。
【0048】
この弁構造は、流路を持つ球状の回転部を回転させ、その回転角度により弁の開閉を行う、いわゆるボール弁構造である。燃料弁33および排出弁34の構造を、このようなボール弁構造とする。あわせて、燃料弁33の燃料制御回転部125および排出弁34の排出回転部135を図示しない回転軸で連結することにより、燃料制御回転部125と排出回転部135の回転角度を同期する構造としている。燃料弁33は、燃料制御回転部流路124を配置した燃料制御回転部125と、燃料弁入路121、回転方向に2つの異なる角度で配置された第一の燃料弁出路122および第二の燃料弁出路123を配置した燃料制御バルブ筐体126とで構成される。一方、第一の燃料弁出路122、第二の燃料弁出路123と、燃料弁入路121との間を流通しない状態とする場合(例えば、図4燃料弁(A))に、燃料制御回転部125と燃料制御バルブ筐体126の間の気密性を高めるために、第一の燃料弁出路122および第二の燃料弁出路123の燃料制御回転部125と対面する入口に、燃料制御シール体127をそれぞれ設置する。
【0049】
排出弁34は、排出回転部流路134を配置した排出回転部135と、排出流路弁入路131、排出流路弁出路132を配置した排出バルブ筐体136とで構成され、排出流路弁出路132の排出回転部135と対面する入口には、排出シール体137がそれぞれ設置されている。
【0050】
次に、可動体3の第一位置から第二位置への移動と、燃料弁33および排出弁34の状態について説明する。
【0051】
図5の(A)は可動体3が第一位置にあり、(C)は可動体3が第二位置にあり、いずれも、燃料電池システムの発電時の状態を示す。(B)は、可動体3が第一位置から第二位置に移動する途中の状態で、(A)から(B)の状態を経て(C)の状態となる。
【0052】
可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの発電時、図5(A)で示すように、燃料制御回転部流路124は、燃料弁入路121および第一の燃料弁出路122と流通状態となる。よって、燃料弁33は開放状態となり燃料供給部31へ燃料ガスが導入される。一方、このとき、排出弁34は閉止状態である。
【0053】
次に、可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程で、(B)に示すように、燃料弁33は、閉止状態となり、一方、排出弁34の排出回転部流路134は、排出流路弁入路131および排出流路弁出路132は流通状態となる。よって、排出弁34は開放状態となる。これにより、燃料供給部31から排出流路37を通じ、燃料電池本体2の外部に排出される。
【0054】
次に、可動部3が、第二位置となった際には、(C)に示す状態となる。排出弁34は閉止状態である。つまり、排出回転部流路134は、排出流路弁入路131、排出流路弁出路132を流通する状態にない。一方、燃料弁入路121、燃料制御回転部125と第二の燃料弁出路123は流通可能な状態にあり、燃料弁33は開放状態である。なお、可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程の(B)の状態で排出弁34が開放されるので、(A)に示す状態から、排出弁34が開放される(B)に示す状態になる間の可動体3の移動によって形成される空間を外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる体積となるよう設計される。このような構造で、可動部3と燃料弁33の燃料制御回転部125および排出弁34の排出回転部135を回転軸で連結し、燃料弁33および排出弁34の開放及び閉止を切り替えることで、燃料供給部31から安全に排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出することが出来る。
【0055】
このような構造は、可動部3の動作に同期して、1つの操作により行うことができるので、駆動部を1箇所とすることができ、電磁弁などの削減と構造の簡素化が可能となる。
【0056】
また、図6に示すように、燃料弁8及び排出弁9の回転と、燃料電池システムのON−OFFを切り替えるスイッチを同期させるとよい。
【0057】
図6の左側が燃料弁33を、中央が排出弁34を、右側に燃料電池システムのON−OFFスイッチを示す。(A)が燃料電池システムの出力停止時、(B)が燃料供給部31への燃料ガスの導入時、(C)が燃料供給部31から外部への気体排出時、(D)が燃料電池システムの発電時を示す。
【0058】
この弁構造は、上述の図5に示した弁構造と同様である。燃料弁33の燃料制御回転部125および排出弁34の排出回転部135を図示しない回転軸で連結することにより、燃料制御回転部125と排出回転部135の回転角度を同期する構造としている。さらに、燃料電池システムのON−OFFを行うスイッチは、燃料弁33および排出弁34の構造と同様に、回転部であるスイッチ回転部145と、その外周に配置されるスイッチ筐体146で構成される。スイッチ回転部145は外周面に回転部端子148を有し、スイッチ筐体146は内周面に筐体端子149を有する。
【0059】
燃料電池システムの停止した状態から起動する際の可動体3の第一位置から第二位置への移動と、燃料弁33および排出弁34及びスイッチの状態について説明する。
【0060】
図6の(A)は可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの出力停止時、(D)は可動体が第二位置にあり、燃料電池システムの発電時の状態を示す。(B)と(C)は、可動体3が第一位置から第二位置に移動する途中の状態で、(A)から(B)から(C)の状態を経て(D)の状態となる。
【0061】
可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの出力停止時、図6(A)で示すように、スイッチは、回転部端子148と筐体端子149は接触していないOFF状態である。このとき、燃料弁33は閉止状態であり、排出弁34も同様に閉止状態である。
【0062】
可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程で、まず、(B)に示すように、燃料弁33は流通状態となり燃料供給部31へ燃料ガスが導入される。一方、このとき、排出弁34は閉止状態である。
【0063】
次に、(C)に示すように、燃料弁33は、閉止状態となり、一方、排出弁34は流通状態となる。これにより、内部のガスは、燃料供給部31から排出流路37と通じ、燃料電池本体2の外部に排出される。
【0064】
次に、可動部3が、第二位置となった際には、(D)に示す状態となる。燃料弁33は流通状態である。一方、排出弁34は閉止状態である。このとき、スイッチは、回転部端子148と筐体端子149が接触しON状態となり、発電が開始され燃料電池システムが起動する。
【0065】
これにより、燃料電池システムのユーザーが行う燃料電池システムのスイッチON操作と連動して可動部3の第一位置から第二位置への移動を行い、燃料弁133および排出弁134の開閉制御を行うことが可能である。よって、ユーザーがスイッチ操作を行った際に、確実に燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる空間を確保し、燃料供給部31から安全に排出ガスを排出し燃料電池システムを起動することが出来る。
【0066】
(実施の形態1の変形例2)
図7に基づいて燃料電池システムの本実施の形態1の変形例2を説明する。
図7は、本実施の形態1の変形例2に係る燃料電池システムの発電部の構成図である。
【0067】
実施の形態1の構成において、燃料供給部31と気体を流通する容積が可変の圧縮部39を備える。圧縮部39は、ベローズやダイヤフラムを用いることができる。また、プランジャとピストンで構成することもできる。圧縮コマ40は、可動部3の可動部回転軸4に可動部3の回転と同期して回転する。圧縮コマ40は、可動部回転軸4に偏心して取り付けられた楕円形状であり、外周部を圧縮部39に接する。これにより、可動部3の回転に同期して、圧縮コマ40が回転し、圧縮部39の容積を変化させる。
【0068】
図7の(A)は、可動部3が、第一位置にあり、このとき、圧縮コマ40は、圧縮部39を圧縮しない。可動部3を第一位置から第二位置に移動させる間に、(B)の状態となる。このとき、可動部3の動作と同期し圧縮コマ40が圧縮部39を圧縮する。さらに、可動部3は第二位置に移動し、圧縮コマ40は圧縮部39を圧縮しない状態となる.すなわち、可動部3が第一位置から第二位置に移動する間に、圧縮部39は、一度圧縮される。(A)の状態では、可動部3が第一位置のとき、燃料弁33と排出弁34を閉止し、圧縮コマ40により圧縮部39が圧縮された(B)の状態において、排出弁34を開放し、圧縮部39及び燃料供給部31の内部の気体を排出し、排出弁34を閉止する。その後、可動部3が第二位置に移動し、燃料弁33を開放し、燃料供給部31に燃料ガスを供給する。これにより、可動部3の動作に同期して、燃料供給部31の内部の気体を効率よく外部に排出することが出来る。
【0069】
また、実施の形態1の変形例1に示した様に、燃料弁33及び排出弁34をボールバルブの様な機械的な弁構造とし、さらに、燃料弁33と排出弁34を可動体3と機械的に接続し動作を同期する構成とすることにより、可動体3の動作と、燃料弁33及び排出弁34の動作を1つの操作により行うことができるので、駆動部を1箇所とすることができ、電磁弁などの削減と構造の簡素化が可能となる。
【0070】
また、圧縮部39を圧縮した際に、圧縮部39及び燃料供給部31の内部の圧力は、通常の発電状態での圧力より高くなる。燃料弁33の燃料供給側の燃料導入路36より圧力が高く、かつ、排出弁34より燃料電池外部の圧力よりも高いので、燃料弁33及び排出弁34を圧力差により流体の流れを一方向に規制する逆止弁の様な簡単な弁構造とすることが可能であり、より簡素な構造で安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる。
【0071】
(実施の形態2)
燃料電池システムの本実施の形態2を説明する。
本実施の形態2の燃料電池システムは、図1の実施の形態1に係る燃料電池システムの全体概略図に示す燃料電池システムと同様の構成で、燃料電池本体2と、燃料電池本体2の外側に、可動体回転軸4により回転するように取り付けられた可動体3と、可動体回転軸4に取り付けられた位置(回転)検出部6とで構成され、可動体3の第一位置から第二位置への移動範囲の空間を燃料電池本体2から燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる体積とし、安全に排出ガスを燃料電池本体から排出する。
【0072】
図8は、本実施の形態2に係る燃料電池システムの発電部の構成図である。
図8に示すように、燃料電池本体2には、発電部20と、発電部20の燃料極に燃料を供給する燃料供給部31とパージ室32を備える。
【0073】
燃料供給部31には、燃料供給部31に燃料ガスを導入する燃料導入路36が設けられている。燃料導入路36には、燃料導入路36の流通の開閉を行う燃料弁33が配置される。また、燃料供給部31は、パージ室32と連結流路38によりパージ室32と接続され、連結流路38には、連結流路38の流通の開閉を行う連結流路弁38が設置される。パージ室32には、パージ室32から排出ガスを排出する排出流路37が設けられている。排出流路37には、排出流路37の流通の開閉を行う排出弁34が配置される。また、燃料弁33および連結流路弁38および排出弁34は、コントローラ5により開閉を制御される。
【0074】
図9は、気体排出フローを示す。
燃料電池システムの発電時、燃料弁33および連結流路弁38は、開放状態である。このとき、排出弁34の状態は、閉止状態である。まず、可動体3を第一位置から第二位置に移動させる(S21)。この移動が可能であれば、燃料電池本体2の周囲に少なくとも可動体3の第一位置から第二位置への移動範囲に移動を妨げるものがなく開放された空間であることになる。可動体3の第一位置から第二位置に移動したことを位置(回転)検出部6で検知し(S22)連結流路弁38を閉止し(S23)、排出弁34を開放し(S24)、パージ室32の内部のガスを燃料電池本体2の外部へ排出する。このときの排出ガスの量は、パージ室32の容積と、パージ室32の圧力と燃料電池外部の圧力(大気圧)により定まる量となり、排出ガス量=パージ室32の容積x(パージ室32の内部の圧力−大気圧)/大気圧である。可動体3が第一位置から第二位置に移動する際に形成される空間において、排出ガスの濃度が、燃料ガスの可燃濃度未満となる様に、可動体3の移動範囲と排出ガス量の比を設定することにより、排出ガスを原因とした発火の危険が無く、安全に排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出することが出来る。排出される気体は、空気など不燃ガスも含まれることを考慮し、可動体3の移動範囲を設計することも可能であるが、排出ガスが全て可燃性の燃料ガスであった場合を想定した設計が好ましい。
【0075】
排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出した後、排出弁34を閉止し(S25)、連結流路弁38を開放(S26)する。これにより、パージ室32に、燃料供給部31の内部の気体がパージ室32に移動する。このとき、燃料供給部31の燃料ガス濃度が発電に充分な濃度になる様、燃料供給圧力や燃料供給部31およびパージ室32の容積や排出量が設定される。これにより、燃料供給部31の内部の圧力を維持することができるので発電を停止することなく安全に排出ガスを燃料電池本体から排出し、発電性能の低下を防止することが可能となる。
【0076】
また、この気体排出フローは、燃料電池システムの起動時に適用することもできる。その場合、S21において、燃料電池システムの起動前である停止時、燃料電池システムの発電の起動スイッチはOFF状態であり、燃料弁33および排出弁34の状態は、共に閉止状態である。よって、S21で、可動体3の第一位置から第二位置へ移動させた後に、燃料弁33を開放し、燃料供給部31に燃料ガスを供給し、燃料供給部31の内部の圧力は、燃料電池本体2の外部より高い圧力とする工程が加わる。そして、S26が終了した後に、燃料電池システムの発電の起動スイッチをONにして、発電を開始する。これにより、安全に排出ガスを燃料電池本体から排出して燃料電池を起動することが出来る。この動作は、可動体3を燃料電池システムの発電の起動スイッチと同期させることにより実現させても良い。
【0077】
(実施の形態2の変形例1)
図10及び図11に基づいて燃料電池システムの本実施の形態1の変形例1を説明する。
図10は、本実施の形態2の変形例1に係る燃料電池システムの発電部の構成図である。
【0078】
実施の形態2の構成において、連結流路弁35及び排出弁34をボールバルブの様な機械的な弁構造とし、さらに、連結流路弁35と排出弁34を機械的に接続し、それらを可動体3と機械的に接続する構成とした。これにより、可動体3が第一位置から第二位置に移動し、燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる空間を確保する動作と、可動体3を第一位置から第二位置に移動させる動作に連結流路弁35と排出弁34を同期させるが出来るので、コントローラや電磁弁などを用いずに、連結流路弁35及び排出弁34の開閉動作を行い、安全に排出ガスを排出することができる。
【0079】
本実施例における連結流路弁35及び排出弁34の構成例を図11に示す。左側が連結流路弁35を、右側が排出弁34を示し、(A)及び(C)が燃料電池システムの発電時、(B)が燃料供給部31から外部への気体排出時を示す。
【0080】
弁構造は、実施の形態1の変形例1で述べた図5に示す構造と同様であり、流路を持つ球状の回転部を回転させ、その回転角度により弁の開閉を行う、いわゆるボール弁構造とし、さらに、連結流路弁35の連結流路回転部155及び排出弁34の排出回転部135を図示しない回転軸で連結することにより、同期する構造としている。
【0081】
次に、可動体3の第一位置から第二位置への移動と、連結流路弁35および排出弁34の状態について説明する。
【0082】
可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの発電時、図11(A)で示すように、連結流路弁35は開放状態であり、排出弁34は閉止状態である。
【0083】
可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程で、(B)に示すように、連結流路弁35は、閉止状態となり、排出弁34は開放状態となる。これにより、パージ室32の内部の気体は、排出流路37を通じ、燃料電池本体2の外部に排出される。
【0084】
次に、可動部3が、第二位置となった際には、(C)に示す状態となり、排出弁34は、閉止状態となり、連結流路弁35は、開放状態となる。なお、可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程の(B)の状態で排出弁34が開放されるので、(A)に示す状態から、排出弁34が開放される(B)に示す状態になる間の可動体3の移動によって形成される空間を外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる体積となるよう設計される。
【0085】
このような構造で、可動部3と連結流路弁35の連結流路回転部155および排出弁34の排出回転部135を回転軸で連結し、連結流路弁35および排出弁34の開放及び閉止を切り替えることで、パージ室32から安全に排出ガスを燃料電池本体2の外部に排出することが出来る。
【0086】
このような構造により、可動部3の動作に同期して、1つの操作により行うことができるので、駆動部を1箇所とすることができ、電磁弁などの削減と構造の簡素化が可能となる。
【0087】
また、図12に示すように、燃料弁8及び連結流路弁35及び排出弁9の回転と、燃料電池システムのON−OFFを切り替えるスイッチを同期させるとよい。
【0088】
図12に燃料弁33および連結流路弁35および排出弁34および燃料電池システムのON−OFFスイッチの状態を示す。(A)が燃料電池システムの出力停止時、(B)が燃料ガスの導入時、(C)がパージ室32から外部への気体排出時、(D)が燃料電池システムの発電時を示す。
【0089】
燃料弁33の燃料制御回転部125および連結流路弁35の連結流路回転部155および排出弁34の排出回転部135を図示しない回転軸で連結することにより、回転角度を同期する構造としている。さらに、燃料電池システムのON−OFFを行うスイッチは、回転部であるスイッチ回転部145と、その外周に配置されるスイッチ筐体146で構成される。スイッチ回転部145は外周面に回転部端子148を有し、スイッチ筐体146は内周面に筐体端子149を有する。
【0090】
燃料電池システムの停止した状態から起動する際の可動体3の第一位置から第二位置への移動と、燃料弁33および連結流路弁35および排出弁34及びスイッチの状態について説明する。
【0091】
図12の(A)は可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの出力停止時、(D)は可動体が第二位置にあり、燃料電池システムの発電時の状態を示す。(B)と(C)は、可動体3が第二位置から第二位置に移動する途中の状態で、(A)から(B)から(C)の状態を経て(D)の状態となる。
可動体3が第一位置にあり、燃料電池システムの出力停止時、図12(A)で示すように、スイッチは、回転部端子148と筐体端子149は接触していないOFF状態である。このとき、燃料弁33は閉止状態であり、連結流路弁35および排出弁34も同様に閉止状態である。
【0092】
可動体3が第一位置から第二位置に移動する過程で、まず、(B)に示すように、燃料弁33および連結流路弁35は流通状態となり燃料供給部31へ燃料ガスが導入され、パージ室32に燃料供給部31の内部の気体が押し出される。一方、排出弁34は閉止状態である。
【0093】
次に、(C)に示すように、連結流路弁35は、閉止状態となり、一方、排出弁34は流通状態となる。これにより、パージ室32の内部のガスは、排出流路37を通じ、燃料電池本体2の外部に排出される。
【0094】
次に、可動部3が、第二位置となった際には、(D)に示す状態となる。排出弁34は閉止状態となり、燃料弁33および連結流路弁35は流通状態となる。このとき、スイッチは、回転部端子148と筐体端子149が接触しON状態となり、発電が開始され燃料電池システムが起動する。
【0095】
これにより、燃料電池システムのユーザーが行う燃料電池システムのスイッチON操作と連動して可動部3の第一位置から第二位置への移動を行い、燃料弁133および連結流路弁35および排出弁134の開閉制御を行うことが可能である。よって、ユーザーがスイッチ操作を行った際に、確実に燃料電池本体2の外部に排出される可燃性気体の濃度が可燃濃度未満となる空間を確保し、燃料供給部31から安全に排出ガスを排出し燃料電池システムを起動することが出来る。
【0096】
さらに、図14に示す燃料供給部31の構成とすることにより、燃料導入路36から燃料供給部31に燃料を導入した際に、確実に燃料供給室32の内部の不純ガスをパージ室32に押し出すことができ、発電性能を維持することが出来る。
【0097】
(実施の形態2の変形例2)
図13に基づいて燃料電池システムの本実施の形態2の変形例2を説明する。
図13は、本実施の形態2の変形例2に係る燃料電池システムの発電部の構成図である。
【0098】
実施の形態2の構成において、パージ室32と気体を流通する容積が可変の圧縮部39を備える。圧縮部39は、ベローズやダイヤフラムを用いることができる。また、プランジャとピストンで構成することもできる。圧縮コマ40は、可動部3の可動部回転軸4に可動部3の回転と同期して回転する。圧縮コマ40は、可動部回転軸4に偏心して取り付けられた楕円形状であり、外周部を圧縮部39に接する。これにより、可動部3の回転に同期して、圧縮コマ40が回転し、圧縮部39の容積を変化させる。
【0099】
図13の(A)は、可動部3が、第一位置にあり、このとき、圧縮コマ40は、圧縮部39を圧縮しない。可動部3を第一位置から第二位置に移動させる間に、(B)の状態となる。このとき、可動部3の動作と同期し圧縮コマ40が圧縮部39を圧縮する。さらに、可動部3は第二位置に移動し、圧縮コマ40は圧縮部39を圧縮しない状態となる。すなわち、可動部3が第一位置から第二位置に移動する間に、圧縮部39は、一度圧縮される。(A)の状態では、可動部3が第一位置のとき、連結流路弁35と排出弁34を閉止し、圧縮コマ40により圧縮部39が圧縮された(B)の状態において、排出弁34を開放し、圧縮部39及びパージ室32の内部の気体を排出した後、排出弁34を閉止する。その後、可動部3が第二位置に移動した際に、連結流路弁35を開放する。これにより、可動部3の動作に同期して、パージ室32の内部の気体を効率よく外部に排出することが出来る。
【0100】
また、実施の形態2の変形例1に示した様に、燃料弁33及び連結流路弁35及び排出弁34をボールバルブの様な機械的な弁構造とし、さらに、燃料弁33と連結流路弁35と排出弁34を可動体3と機械的に接続し動作を同期する構成とすることにより、可動体3の動作と、燃料弁33及び連結流路弁35及び排出弁34の動作を1つの操作により行うことができるので、駆動部を1箇所とすることができ、電磁弁などの削減と構造の簡素化が可能となる。
【0101】
また、圧縮部39を圧縮した際に、圧縮部39及びパージ室32の内部の圧力は、通常の発電状態での圧力より高くなる。燃料供給部31より圧力が高く、かつ、排出弁34の燃料電池外部の圧力よりも高いので、連結流路弁35及び排出弁34を圧力差により流体の流れを一方向に規制する逆止弁の様な簡単な弁構造とすることが可能であり、より簡素な構造で安全に排出ガスを燃料電池本体から排出することができる。
【0102】
(実施の形態3)
図15は、実施の形態1及び2に係る燃料電池システムの適用例である。表示パネルがヒンジ部で回転可能なノートパソコンの表示パネル部を可動体とし、ヒンジ部に位置(回転)検出部を設けた例である。このノートパソコンの表示パネル部は、縦20cm横25cmである。可動部である表示パネル部で形成される空間は、表示パネル部を開く角度を120度とすると、約10Lであり、水素ガスの可燃濃度は4%であるので、燃料電池本体の外部に排出される気体を全て水素ガスとした場合、400cc未満の排出量であれば、可燃濃度に達することは無く、安全に排出することが可能である。ノートパソコンの消費電力は10Wから15W程度であり、それに用いられる燃料電池の発電セルの燃料供給部など容積は10cc程度であるので、排出される水素の量は、400ccに対して極めて小さく、燃料供給部の容積分の気体を排出した際に、可燃濃度に達することは無く、安全に燃料電池本体の外部に排出できる。また、可動部を動かす為には、手や腕などの動作の為の空間が必要であり、排出された可燃性気体の濃度は、さらに低く抑えられる。
【0103】
一連の実施の形態における可動部は、回転軸を持つ移動体として説明したが、移動体を板状のものとし、平行移動することにより空間を作る構造でもよく、移動体の形状や動作方向によらず、第一位置から第二位置に移動する際に、燃料電池本体の外部に排出される気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間が形成される構造であればよい。
【符号の説明】
【0104】
1 燃料電池システム
2 燃料電池本体
3 可動体
4 可動体回転軸
5 コントローラ
6 位置(回転)検出部
20 発電部
21 電解質膜
22 酸化剤極
23 燃料極
31 燃料供給部
32 パージ室
33 燃料弁
34 排出弁
35 連結流路弁
36 燃料導入路
37 排出流路
38 連結流路
39 圧縮部
40 圧縮コマ
121 燃料弁入路
122 第一の燃料弁出路
123 第二の燃料弁出路
124 燃料制御回転部流路
125 燃料制御回転部
126 燃料制御バルブ筐体
127 燃料制御シール体
131 排出流路弁入路
132 排出流路弁出路
134 排出回転部流路
135 排出回転部
136 排出バルブ筐体
137 排出シール体
151 連結流路弁入路
152 第一の連結流路弁出路
153 第二の連結流路弁出路
154 連結流路回転部流路
155 連結流路回転部
156 連結流路バルブ筐体
157 連結流路シール体
145 スイッチ回転部
146 スイッチ筐体
148 回転部端子
149 筐体端子
215 燃料導入路接続部
216 連結流路接続部
217 触媒層配置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と酸化剤極と前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、
前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に前記燃料を導入する燃料導入路と、
前記燃料導入路に配置され、前記燃料導入路を開閉制御し、前記燃料供給部への前記燃料の導入を制御する燃料弁と、
前記燃料供給部に配置され、前記燃料供給部の気体を排出する排出流路と、
前記排出流路に配置され、前記排出流路を開閉制御する排出弁と、
を備える燃料電池本体と、
前記燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、前記燃料電池本体の外部に放出される前記気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体と、
からなる燃料電池システムであって、
前記可動体が前記第一位置から前記第二位置に移動した際に、前記排出弁を開放し前記燃料供給部の内部の気体を前記燃料電池本体の外部に放出することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料弁及び前記排出弁は、前記可動体と機械的に接続し、
前記可動体の動作と、前記燃料弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料供給部は、前記燃料供給部の内部の体積を変化させる圧縮部を備え、
前記圧縮部は、前記可動体と機械的に接続し、
前記圧縮部を圧縮する動作と、前記燃料弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料弁は、前記可動体と機械的に接続されている燃料制御回転部と、前記燃料制御回転部の外周面に沿って形成される燃料制御バルブ筐体とを有し、前記燃料制御回転部を回転することにより、前記燃料導入路を開閉制御し、
前記排出弁は、前記可動体と機械的に接続されている排出回転部と、前記排出回転部の外周面に沿って形成される排出バルブ筐体とを有し、前記排出回転部を回転することにより、前記排出流路を開閉制御し、
前記燃料制御回転部と前記排出回転部と前記可動体を回転軸で接続することにより、前記可動体の動作と、前記燃料弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
燃料極と酸化剤極と前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、
前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に前記燃料を導入する燃料導入路と、
前記燃料導入路に配置され、前記燃料導入路を開閉制御し、前記燃料供給部への前記燃料の導入を制御する燃料弁と、
前記燃料供給部と連結流路により連結されるパージ室と、
前記連結流路に配置され、前記連結流路を開閉制御する連結流路弁と、
前記パージ室に配置され、前記パージ室の気体を排出する排出流路と、
前記排出流路に配置され、前記排出流路を開閉制御する排出弁と、
を備える燃料電池本体と、
前記燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、前記燃料電池本体の外部に放出される前記気体に含まれる可燃性気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体と、
からなる燃料電池システムであって、
前記可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、前記排出弁を開放し前記パージ室の内部の気体を燃料電池本体の外部に放出することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料弁及び前記連結流路弁及び前記排出弁は、前記可動体と機械的に接続され、
前記可動体の動作と、前記燃料弁及び前記連結流路弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記パージ室は、前記パージ室の内部の体積を変化させる圧縮部を備え、
前記圧縮部は、前記可動体と機械的に接続し、
前記圧縮部を圧縮する動作と、前記燃料弁及び前記接続流路弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料弁は、前記可動体と機械的に接続されている燃料制御回転部と、前記燃料制御回転部の外周面に沿って形成される燃料制御バルブ筐体とを有し、前記燃料制御回転部を回転することにより、前記燃料導入路を開閉制御し、
前記連結流路弁は、前記可動体と機械的に接続されている連結回転部と、前記連結回転部の外周面に沿って形成される連結バルブ筐体とを有し、前記連結回転部を回転することにより、前記連結流路を開閉制御し、
前記排出弁は、前記可動体と機械的に接続されている排出回転部と、前記排出回転部の外周面に沿って形成される排出バルブ筐体とを有し、前記排出回転部を回転することにより、前記排出流路を開閉制御し、
前記燃料制御回転部を回転することにより、前記燃料弁の開閉を制御し、
前記排出回転部を回転することにより、前記排出制御弁の開閉を制御するものであり、
前記燃料制御回転部と前記排出回転部と前記可動体を回転軸で接続することにより、
前記可動体の動作と、前記燃料弁及び前記排出弁の開閉制御とは同期することを特徴とする請求項6から7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料電池システムで用いられる気体排出方法であって、
前記燃料電池システムは、
燃料極と酸化剤極と前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、
前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に前記燃料を導入する燃料導入路と、
前記燃料導入路に配置され、前記燃料導入路を開閉制御し、前記燃料供給部への前記燃料の導入を制御する燃料弁と、
前記燃料供給部に配置され、前記燃料供給部の気体を排出する排出流路と、
前記排出流路に配置され、前記排出流路を開閉制御する排出弁と、
を備える燃料電池本体と、
前記燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、前記燃料電池本体の外部に放出される前記気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る空間を作る可動体とを備え、
前記可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、前記燃料弁を閉止し、前記排出弁を開放し、
前記燃料供給部の内部の気体を燃料電池本体の外部に放出する気体排出ステップを含むことを特徴とする気体排出方法。
【請求項10】
前記燃料電池システムで用いられる気体排出方法であって、
前記燃料電池システムは、
燃料極と酸化剤極と前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された電解質膜から構成される燃料電池と、
前記燃料極に燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料供給部に前記燃料を導入する燃料導入路と、
前記燃料導入路に配置され、前記燃料導入路を開閉制御し、前記燃料供給部への前記燃料の導入を制御する燃料弁と、
前記燃料供給部と連結流路により連結されるパージ室と、
前記連結流路に配置され、前記連結流路を開閉制御する連結流路弁と、
前記パージ室に配置され、前記パージ室の気体を排出する排出流路と、
前記排出流路に配置され、前記排出流路を開閉制御する排出弁と、
を備える燃料電池本体と、
前記燃料電池本体に備えられ、第一位置から第二位置に可動し、前記燃料電池本体の外部に放出される前記気体の濃度が可燃濃度未満の濃度となる広さを有する空間を作る可動体とを備え、
前記可動体が第一位置から第二位置に移動した際に、前記燃料弁及び前記連結流路弁を閉止し、前記排出制御弁を開放し、前記パージ室の内部の気体を燃料電池本体の外部に放出する気体排出ステップを含むことを特徴とする気体排出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−142178(P2012−142178A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293727(P2010−293727)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】