説明

燃料電池システム

【課題】簡素な構造で、水供給ポンプを凝縮水に含まれる埃などの異物から保護でき、水供給ポンプを異物から保護するフィルタの寿命が長くなり、フロートスイッチに異物が付着しないようにできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】フロートスイッチ25を、凝縮水タンク24の底部の出口30の上方に配置し、凝縮水タンク24の出口30とフロートスイッチ25を囲む筒形フィルタ29を設け、フロートスイッチ25の下方に筒形フィルタ29と一体に構成され凝縮水タンク24の出口30を覆う出口フィルタ31を設け、出口フィルタ31の目を筒形フィルタ29の目より細かくし、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタ29を通過した後に出口フィルタを通過して凝縮水タンクの出口から流出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を用いて発電を行い排ガス中の水分を回収して有効利用する燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の燃料電池システムとしては、水素製造装置の排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水を貯める凝縮水タンクと水供給ポンプとの間の水供給路にフィルタを設けて、水供給ポンプを凝縮水に含まれる埃などの異物から保護した燃料電池システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら、上記従来の燃料電池システムを説明する。図6は従来の燃料電池システムの構成を示すものである。
【0004】
図6に示すように、従来の燃料電池システムは、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから燃料ガスを製造する水素製造装置1と、水素製造装置1によって製造された燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池2と、燃料電池2を冷却する冷却水を貯める冷却水タンク3と、燃料電池2と冷却水タンク3との間で冷却水を循環させるための冷却水路4と、冷却水路4に設けられ燃料電池2と冷却水タンク3との間で冷却水を循環させる冷却水ポンプ5と、燃料電池2から冷却水タンク3に戻る冷却水路4に設けられ燃料電池2との熱交換により暖められた冷却水を冷却する熱交換器6と、燃料電池2より排出される排気燃料ガスを冷却し排気燃料ガスに含まれる水分(水蒸気)を凝縮させる燃料側凝縮器7と、燃料電池2より排出される排気酸化剤ガスを冷却し排気酸化剤ガスに含まれる水分(水蒸気)を凝縮させる空気側凝縮器8と、燃料側凝縮器7と空気側凝縮器8で凝縮した凝縮水を貯める大気開放型の凝縮水タンク9と、凝縮水タンク9内に凝縮水タンク9の水位に連動して上下動する部分を有し凝縮水タンク9の水位が第1の所定水位を超えるとONし凝縮水タンク9の水位が第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になるとOFFするフロートスイッチ10と、途中にフロートスイッチ10により動作する水供給ポンプ12を有し凝縮水タンク9の底部の出口から流出した凝縮水を浄化して冷却水タンク3に導く水供給路13と、冷却水タンク3内部の余剰冷却水を凝縮水タンク9に排出する水排出路14と、凝縮水タンク9の底部の出口と水供給ポンプ12との間の水供給路13に設けられ凝縮水に含まれる埃などの異物が水供給ポンプ12に流れないようにする1重のフィルタ15とを備えている。
【0005】
上記のように構成された従来の燃料電池システムについて、以下、その動作を図6を参照しながら説明する。
【0006】
燃料電池システムの運転中は、水素製造装置1が、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから水素を主成分とする燃料ガスを製造する。燃料電池2が、水素製造装置1によって製造された燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う。このとき燃料電池2の電気化学反応によって酸化剤ガス側に水が生成され、燃料電池2から、排気燃料ガスと排気酸化剤ガスが出る。水素製造装置1が製造した燃料ガスの一部は水素製造装置1内で燃焼される。また、燃料電池2は発電により熱を発生する。
【0007】
燃料電池2から排出された排気燃料ガスは、燃料側凝縮器7に導かれて燃料側凝縮器7で外気と熱交換することにより冷却されて排気燃料ガスに含まれる水分(水蒸気)が凝縮する。また、燃料電池2から排出された排気酸化剤ガスは、空気側凝縮器8に導かれて空気側凝縮器8で外気と熱交換することにより冷却されて排気酸化剤ガスに含まれる水分(水蒸気)が凝縮する。燃料側凝縮器7と空気側凝縮器8で凝縮した凝縮水は、それぞれ凝縮水タンク9に貯められる。
【0008】
凝縮水タンク9内の凝縮水の水位が第1の所定水位を超えると、フロートスイッチ10がONになり、水供給ポンプ12が動作する。水供給ポンプ12の動作により、凝縮水タンク9内の凝縮水は、凝縮水タンク9の底部の出口から水供給路13に流れる。水供給路13に流入した凝縮水は、フィルタ15で濾過された後、水供給ポンプ12を通って図示しない浄化装置により純水になって冷却水タンク3に注がれる。このとき、冷却水タンク3に水が過剰に入ったとしても水排出路14により余剰冷却水は凝縮水タンク9に排出される。ここで、冷却水タンク3の上方にある気体は水排出路14を通じて大気開放された凝縮水タンク9と接続されているため、冷却水タンク3内部の圧力は常に大気開放された状態と同等である。凝縮水タンク9内の凝縮水の水位が第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になるとフロートスイッチ10がOFFになり、水供給ポンプ12が停止し、凝縮水タンク9の底部の出口からの凝縮水の流出が止まる。
【0009】
冷却水タンク3の冷却水は、冷却水ポンプ5により冷却水路4を通って燃料電池2に送られて燃料電池2との熱交換により暖められる。燃料電池2との熱交換により暖められた冷却水は熱交換器6で冷却されて冷却水タンク3に戻る。熱交換器6で回収した燃料電池2の熱は、お湯として貯湯タンク(図示せず)に貯められ、給湯などに利用される。また冷却水タンク3内部の冷却水が所定水位以下になったことを図示しない水位検知手段により検知した場合や、燃料電池の起動時に、水供給路13の水供給ポンプ12を作動させることにより冷却水タンク3に凝縮水タンク9の水を供給することもある。このとき冷却水タンク3に水が過剰に入ったとしても水排出路14により余剰冷却水は凝縮水タンク9に排出される。
【0010】
ここで、凝縮水タンク9が大気開放型であること等から、凝縮水タンク9内の凝縮水には埃や水垢が含まれることがある。この埃や水垢は、凝縮水と共に凝縮水タンク9の底部の出口から水供給路13に流出して水供給ポンプ12に向かって流れるが、フィルタ15の目より大きい埃や水垢は、水供給ポンプ12の手前(直前)に配置されたフィルタ15により捕捉されて、水供給ポンプ12にはフィルタ15により濾過された凝縮水が流れ込む。そのため、フィルタ15により、水供給ポンプ12を、凝縮水に含まれる埃などの異物から保護できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−306523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の構成では、水供給ポンプ12の手前(直前)のフィルタ15は、凝縮水中の異物を捕らえるようにフィルタの目を細かくしているため、埃や水垢などによるの汚れが堆積しやすく。そのため、フィルタ寿命が短く、フィルタ15を交換する頻度が多くなるという課題を有していた。
【0013】
また、フロートスイッチ10は、繊維状のゴミ、埃などの異物の付着により、凝縮水タンク9の水位に連動して上下動する部分が、凝縮水タンク9の水位に連動しなくなり、水供給ポンプ12が凝縮水タンク9の水位に応じた動作をしないという課題を有していた。
【0014】
このフロートスイッチ10の課題を解決するために、フロートスイッチ10を保護するフィルタを追加するという構成も考えられるが、その場合は、フィルタが複数になり、構造が複雑になるという課題も有していた。
【0015】
そこで、本発明は、簡素な構造で、水供給ポンプを凝縮水に含まれる埃などの異物から保護でき、水供給ポンプを異物から保護するフィルタの寿命が長くなり、フロートスイッチに異物が付着しないようにできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明の燃料電池システムは、フロートスイッチにおける凝縮水タンクの水位に連動して上下動する部分を、凝縮水タンクの底部の出口の上方に配置し、凝縮水タンクの出口とフロートスイッチにおける上下動する部分を囲む筒形フィルタを設け、従来の水供給ポンプの手前のフィルタの代わりに、フロートスイッチの上下動する部分の下方に筒形フィルタと一体に構成され凝縮水タンクの出口を覆う出口フィルタを設け、出口フィルタの目を筒形フィルタの目より細かくし、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタを通過した後に出口フィルタを通過して凝縮水タンクの出口から流出するように構成したのである。
【0017】
本発明の燃料電池システムでは、フロートスイッチにおける上下動する部分を囲む筒形フィルタを設けたので、水の浮力で上下する簡単な構造で水位連動性を要するフロートスイッチにおいても、筒形フィルタで、繊維状のゴミ、埃などの異物から、フロートスイッチを保護でき、フロートスイッチにおける上下動する部分に異物が付着しないようにでき、フロートスイッチが水位に連動して正しくON/OFF動作することができる。
【0018】
また、本発明の燃料電池システムでは、従来の水供給ポンプの手前のフィルタの代わりに、フロートスイッチの上下動する部分の下方に筒形フィルタと一体に構成され凝縮水タンクの出口を覆う出口フィルタを設けたので、フィルタの位置が水供給路にある場合よりも燃料電池システム全体の構成が簡単になると共に、筒形フィルタと出口フィルタとを一緒に配置、交換でき、フィルタの配置、交換が容易になる。
【0019】
また、本発明の燃料電池システムでは、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタを通過した後に出口フィルタを通過して凝縮水タンクの出口から流出するように構成したので、筒形フィルタの目より大きい異物は、出口フィルタに到達する前に筒形フィルタで捕捉され、筒形フィルタを通過した異物のみが出口フィルタに到達することになり、筒形フィルタがある分、出口フィルタの部分のフィルタの寿命が長くなる。
【0020】
また、本発明の燃料電池システムでは、出口フィルタの目を筒形フィルタの目より細かくしているので、水供給ポンプに到達する異物を、出口フィルタの目の大きさを筒形フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせた場合よりも、小さな異物に限定できる。また、筒形フィルタの目を出口フィルタに適した目の大きさに合わせた場合よりも、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差が小さくなり、フロートスイッチが凝縮水タンクの水位を正しく検知できる。
【0021】
なお、凝縮水タンクの出口から流出する凝縮水は、必ず、筒形フィルタを通過するので、本発明の構成において出口フィルタを省略した方が、構成が簡単になるが、その場合の筒形フィルタの目の大きさを筒形フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせると、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差を小さくできるが、水供給ポンプに到達する異物を小さな異物に限定することはできなくなる。逆に、筒形フィルタの目の大きさを出口フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせると、水供給ポンプに到達する異物を小さな異物に限定することができるが、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差を小さくできなくなる。したがって、本発明の構成において、出口フィルタは省略しない方が良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の燃料電池システムによれば、簡素な構造で、水供給ポンプを凝縮水に含まれる埃などの異物から保護でき、水供給ポンプを異物から保護するフィルタの寿命が長くなり、フロートスイッチに異物が付着しないようにでき、フィルタの配置、交換の作業が容易になり、フロートスイッチが凝縮水タンクの水位を正しく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムの構成を示す構成図
【図2】同実施の形態の燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す断面図
【図3】同実施の形態の燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す断面図
【図5】同実施の形態の燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す一部を切り欠いた斜視図
【図6】従来の燃料電池システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電する燃料電池と、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから前記燃料電池に供給する前記燃料ガスを製造する水素製造装置と、前記燃料電池と前記水素製造装置の少なくともいずれか一方の排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水を貯める大気開放型の凝縮水タンクと、前記燃料電池を冷却する冷却水を貯める冷却水タンクと、途中に水供給ポンプを有し前記凝縮水タンクの底部の出口から流出した凝縮水を浄化して前記冷却水タンクに導く水供給路と、前記凝縮水タンクの前記出口の上方で前記凝縮水タンクの水位に連動して上下動する部分を有し前記凝縮水タンクの水位が第1の所定水位を超えると前記水供給ポンプをONし前記凝縮水タンクの水位が前記第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になると前記水供給ポンプをOFFするためのフロートスイッチと、前記凝縮水タンクの前記出口と前記フロートスイッチの前記上下動する部分を囲むように設けられた筒形フィルタと、前記フロートスイッチの前記上下動する部分の下方に前記筒形フィルタと一体に構成され前記凝縮水タンクの前記出口を覆う出口フィルタとを備え、前記出口フィルタの目が前記筒形フィルタの目より細かく、前記排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、前記筒形フィルタを通過した後に前記出口フィルタを通過して前記凝縮水タンクの前記出口から流出するように構成したものである。
【0025】
本発明の燃料電池システムでは、フロートスイッチにおける上下動する部分を囲む筒形フィルタを設けたので、水の浮力で上下する簡単な構造で水位連動性を要するフロートスイッチにおいても、筒形フィルタで、繊維状のゴミ、埃などの異物から、フロートスイッチを保護でき、フロートスイッチにおける上下動する部分に異物が付着しないようにでき、フロートスイッチが水位に連動して正しくON/OFF動作することができる。
【0026】
また、本発明の燃料電池システムでは、従来の水供給ポンプの手前のフィルタの代わりに、フロートスイッチの上下動する部分の下方に筒形フィルタと一体に構成され凝縮水タンクの出口を覆う出口フィルタを設けたので、フィルタの位置が水供給路にある場合よりも燃料電池システム全体の構成が簡単になると共に、筒形フィルタと出口フィルタとを一緒に配置、交換でき、フィルタの配置、交換が容易になる。
【0027】
また、本発明の燃料電池システムでは、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタを通過した後に出口フィルタを通過して凝縮水タンクの出口から流出するように構成したので、筒形フィルタの目より大きい異物は、出口フィルタに到達する前に筒形フィルタで捕捉され、筒形フィルタを通過した異物のみが出口フィルタに到達することになり、筒形フィルタがある分、出口フィルタの部分のフィルタの寿命が長くなる。
【0028】
また、本発明の燃料電池システムでは、出口フィルタの目を筒形フィルタの目より細かくしているので、水供給ポンプに到達する異物を、出口フィルタの目の大きさを筒形フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせた場合よりも、小さな異物に限定できる。また、筒形フィルタの目を出口フィルタに適した目の大きさに合わせた場合よりも、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差が小さくなり、フロートスイッチが凝縮水タンクの水位を正しく検知できる。
【0029】
なお、凝縮水タンクの出口から流出する凝縮水は、必ず、筒形フィルタを通過するので、本発明の構成において出口フィルタを省略した方が、構成が簡単になるが、その場合の筒形フィルタの目の大きさを筒形フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせると、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差を小さくできるが、水供給ポンプに到達する異物を小さな異物に限定することはできなくなる。逆に、筒形フィルタの目の大きさを出口フィルタに適したフィルタの目の大きさに合わせると、水供給ポンプに到達する異物を小さな異物に限定することができるが、筒形フィルタの内側の水位と筒形フィルタの外側の水位との差を小さくできなくなる。したがって、本発明の構成において、出口フィルタは省略しない方が良い。
【0030】
第2の発明は、特に、第1の発明における出口フィルタとして、目のある部分が立体的な形状のフィルタを用いたものであり、目のある部分が平面的な形状のフィルタよりも、目のある部分の表面積が大きくなるので、出口フィルタとして、目のある部分が平面的な形状のフィルタを用いた場合よりも、出口フィルタの寿命を長くすることができ、また、出口フィルタの寿命と筒形フィルタの寿命とが近づくように調節して、無駄のないフィルタ交換をすることが可能になる。
【0031】
以下、本発明の燃料電池システムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、先に説明した実施の形態と同一構成については、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における固体高分子形の燃料電池システムの構成を示す構成図であり、図2、図3は、同実施の形態の燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す断面図と斜視図である。
【0033】
図1〜図3に示すように、本実施の形態の燃料電池システムは、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから燃料ガスを製造する水素製造装置16と、水素製造装置16によって製造された燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う固体高分子形の燃料電池17と、燃料電池17との熱交換により燃料電池17を冷却する冷却水を貯める冷却水タンク18と、燃料電池17と冷却水タンク18との間で冷却水を循環させるための冷却水路19と、冷却水路19に設けられ燃料電池17との熱交換により暖められた冷却水を冷却する熱交換器20と、冷却水路19に設けられ冷却水タンク18の冷却水が燃料電池17との熱交換により暖められた後に熱交換器20で冷却されて冷却水タンク18に戻るように燃料電池17と冷却水タンク18との間で冷却水を循環させる冷却水ポンプ21と、燃料電池17より排出される排気燃料ガスを冷却し排気燃料ガスに含まれる水分(水蒸気)を凝縮させる燃料側凝縮器22と、燃料電池17より排出される排気酸化剤ガスを冷却し排気酸化剤ガスに含まれる水分(水蒸気)を凝縮させる空気側凝縮器23と、底部に出口30を有し燃料側凝縮器22と空気側凝縮器23で凝縮した凝縮水を貯める大気開放型の凝縮水タンク24と、凝縮水タンク24の出口30の上方で凝縮水タンク24内に凝縮水タンク24の水位に連動して上下動する部分を有し凝縮水タンク24の水位が第1の所定水位を超えるとONし凝縮水タンク24の水位が第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になるとOFFするフロートスイッチ25と、途中にフロートスイッチ25により動作する水供給ポンプ26を有し凝縮水タンク24の底部の出口30から流出した凝縮水を浄化して冷却水タンク18に導く水供給路27と、冷却水タンク18内部の余剰冷却水を凝縮水タンク24に排出する水排出路28と、凝縮水タンク24の出口30とフロートスイッチ25の上下動する部分を囲むように設けられた筒形フィルタ29と、フロートスイッチ25の上下動する部分の下方に筒形フィルタ29と一体に構成され凝縮水タンク24の出口30を覆う出口フィルタ31と、凝縮水タンク24の出口30と水供給路27の入口32とを漏れなく連通させるパッキン33とを備え、出口フィルタ31の目が筒形フィルタ29の目より細かく、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタ29を通過した後に出口フィルタ31を通過して凝縮水タンク24の出口30から水供給路27の入口32に流れるように構成されている。なお、本実施の形態では、凝縮水タンク24の出口30は筒形フィルタ29の下部に一体に構成されている。
【0034】
また、一般的に、フロートスィッチ25は、水の浮力で上下する簡単な構造で摺動部はクリアランスが大きく、一方、水供給ポンプ26は、微妙な水の流れを制御する精密部品であり、摺動部は極めてクリアランスが小さくなっている。
【0035】
上記のように構成された本実施の形態の燃料電池システムについて、以下、その動作を説明する。
【0036】
燃料電池システムの運転中は、水素製造装置16が、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから水素を主成分とする燃料ガスを製造する。燃料電池17が、水素製造装置16によって製造された燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う。このとき燃料電池17の電気化学反応によって酸化剤ガス側に水が生成され、燃料電池17から排気燃料ガスと排気酸化剤ガスが排出される。水素製造装置16が製造した燃料ガスの一部は水素製造装置16内で燃焼される。また、燃料電池17は発電により熱を発生する。
【0037】
燃料電池17から排出された排気燃料ガスは、燃料側凝縮器22に導かれて燃料側凝縮器22で外気と熱交換することにより冷却されて排気燃料ガスに含まれる水分(水蒸気)が凝縮する。また、燃料電池17から排出された排気酸化剤ガスは、空気側凝縮器23に導かれて空気側凝縮器23で外気と熱交換することにより冷却されて排気酸化剤ガスに含まれる水分(水蒸気)が凝縮する。燃料側凝縮器22と空気側凝縮器23で凝縮した凝縮水は、それぞれ凝縮水タンク24に貯められる(回収される)。
【0038】
凝縮水タンク24内の凝縮水の水位が第1の所定水位を超えると、フロートスイッチ25がONになり、水供給ポンプ26が動作する。水供給ポンプ26の動作により、凝縮水タンク24内の凝縮水は、筒形フィルタ29で濾過された後、出口フィルタ31で濾過されて、凝縮水タンク24の底部の出口30から水供給路27の入口32に流れる。水供給路27に流入した凝縮水は、水供給ポンプ26を通って図示しない浄化装置により純水になって冷却水タンク18に注がれる。このとき、冷却水タンク18に水が過剰に入ったとしても水排出路28により余剰冷却水は凝縮水タンク24に排出される。ここで、冷却水タンク18の上方にある気体は水排出路28を通じて大気開放された凝縮水タンク24と接続されているため、冷却水タンク18内部の圧力は常に大気開放された状態と同等である。凝縮水タンク24内の凝縮水の水位が第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になるとフロートスイッチ25がOFFになり、水供給ポンプ26が停止し、凝縮水タンク24の底部の出口30からの凝縮水の流出が止まる。
【0039】
燃料電池17の温度を一定に保つために、冷却水タンク18の冷却水は、冷却水ポンプ21により冷却水路19を通って燃料電池17に送られて燃料電池17との熱交換により暖められる。燃料電池17との熱交換により暖められた冷却水は熱交換器20で冷却されて冷却水タンク18に戻る。熱交換器20で回収した燃料電池17の熱は、お湯として貯湯タンク(図示せず)に貯められ、給湯などに利用される。また冷却水タンク18内部の冷却水が所定水位以下になったことを図示しない水位検知手段により検知した場合や、燃料電池の起動時に、水供給路27の水供給ポンプ26を作動させることにより冷却水タンク18に凝縮水タンク24の水を供給することもある。このとき冷却水タンク18に水が過剰に入ったとしても水排出路28により余剰冷却水は凝縮水タンク24に排出される。
【0040】
ここで、凝縮水タンク24が大気開放型であること等から、凝縮水タンク24内の凝縮水には埃や水垢が含まれることがある。この埃や水垢は、凝縮水と共に凝縮水タンク24の底部の出口30から水供給路27に流出して水供給ポンプ26に向かって流れるが、筒形フィルタ29で筒形フィルタ29の目より大きい埃や水垢は、筒形フィルタ29により捕捉され、筒形フィルタ29を通過した埃や水垢のうち、出口フィルタ31の目より大きい埃や水垢は、出口フィルタ31により捕捉されて、水供給ポンプ26には、筒形フィルタ29と出口フィルタ31で濾過された凝縮水が流れ込む。そのため、筒形フィルタ29と出口フィルタ31により、水供給ポンプ26を、凝縮水に含まれる埃などの異物から保護できる。
【0041】
本実施の形態では、凝縮水タンク24内の筒形フィルタ29の下方の出口30の上に筒形フィルタ29と一体に構成された筒形フィルタ29より目の細かい出口フィルタ31があり、微妙な水の流れを制御する精密部品で摺動部のクリアランスが極めて小さな水供給ポンプ26に対しては極小の埃などの侵入を防ぐようにし、さらに水供給ポンプ26に対して、筒形フィルタ29、出口フィルタ31の順に2重のフィルタ構成となっているため、出口フィルタ31に繊維状のゴミ、埃などが直接付かない状態が得られる。同時に、水の浮力で上下する簡単な部品で、凝縮水タンク24の水位に追従するフロートスイッチ25においても筒形フィルタ29で繊維状のゴミ、埃などが付着しない状態が得られる。
【0042】
本実施の形態の燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電する燃料電池17と、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから燃料電池17に供給する燃料ガスを製造する水素製造装置16と、燃料電池17と水素製造装置16の少なくともいずれか一方の排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水を貯める大気開放型の凝縮水タンク24と、燃料電池17を冷却する冷却水を貯める冷却水タンク18と、途中に水供給ポンプ26を有し凝縮水タンク24の底部の出口30から流出した凝縮水を浄化して冷却水タンク18に導く水供給路27と、凝縮水タンク24の出口30の上方で凝縮水タンク24の水位に連動して上下動する部分を有し凝縮水タンク24の水位が第1の所定水位を超えると水供給ポンプ26をONし凝縮水タンク24の水位が第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になると水供給ポンプ26をOFFするためのフロートスイッチ25と、凝縮水タンク24の出口30とフロートスイッチ25の上下動する部分を囲むように設けられた筒形フィルタ29と、フロートスイッチ25の上下動する部分の下方に筒形フィルタ29と一体に構成され凝縮水タンク24の出口30を覆う出口フィルタ31とを備え、出口フィルタ31の目が筒形フィルタ29の目より細かく、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタ29を通過した後に出口フィルタ31を通過して凝縮水タンク24の出口30から流出するように構成したものである。
【0043】
本実施の形態の燃料電池システムでは、フロートスイッチ25における上下動する部分を囲む筒形フィルタ29を設けたので、水の浮力で上下する簡単な構造で水位連動性を要するフロートスイッチ25においても、筒形フィルタ29で、繊維状のゴミ、埃などの異物から、フロートスイッチ25を保護でき、フロートスイッチ25における上下動する部分に異物が付着しないようにでき、フロートスイッチ25が水位に連動して正しくON/OFF動作することができる。
【0044】
また、本実施の形態の燃料電池システムでは、従来の水供給ポンプの手前のフィルタの代わりに、フロートスイッチ25の上下動する部分の下方に筒形フィルタ25と一体に構成され凝縮水タンク24の出口30を覆う出口フィルタ31を設けたので、フィルタの位置が水供給路27にある場合よりも燃料電池システム全体の構成が簡単になると共に、筒形フィルタ29と出口フィルタ31とを一緒に配置、交換でき、フィルタ29,31の配置、交換が容易になる。
【0045】
また、本実施の形態の燃料電池システムでは、排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、筒形フィルタ29を通過した後に出口フィルタ31を通過して凝縮水タンク24の出口30から流出するように構成したので、筒形フィルタ29の目より大きい異物は、出口フィルタ31に到達する前に筒形フィルタ29で捕捉され、筒形フィルタ29を通過した異物のみが出口フィルタ31に到達することになり、筒形フィルタ29がある分、出口フィルタ31の部分のフィルタの寿命が長くなる。
【0046】
また、本実施の形態の燃料電池システムでは、出口フィルタ31の目を筒形フィルタ29の目より細かくしているので、水供給ポンプ26に到達する異物を、出口フィルタ31の目の大きさを筒形フィルタ29に適したフィルタの目の大きさに合わせた場合よりも、小さな異物に限定できる。また、筒形フィルタ29の目を出口フィルタ31に適した目の大きさに合わせた場合よりも、筒形フィルタ29の内側の水位と筒形フィルタ29の外側の水位との差が小さくなり、フロートスイッチ25が凝縮水タンク24の水位を正しく検知できる。
【0047】
なお、凝縮水タンク24の出口30から流出する凝縮水は、必ず、筒形フィルタ29を通過するので、本実施の形態の構成において出口フィルタ31を省略した方が、構成が簡単になるが、その場合の筒形フィルタ29の目の大きさを筒形フィルタ29に適したフィルタの目の大きさに合わせると、筒形フィルタ29の内側の水位と筒形フィルタ29の外側の水位との差を小さくできるが、水供給ポンプ26に到達する異物を小さな異物に限定することはできなくなる。逆に、筒形フィルタ29の目の大きさを出口フィルタ31に適したフィルタの目の大きさに合わせると、水供給ポンプ26に到達する異物を小さな異物に限定することができるが、筒形フィルタ29の内側の水位と筒形フィルタ29の外側の水位との差を小さくできなくなる。したがって、本実施の形態の構成において、出口フィルタ31は省略しない方が良い。
【0048】
また、本実施の形態の燃料電池システムでは、筒形フィルタ29と出口フィルタ31が一体の2重フィルタ構成となり、筒形フィルタ29で繊維状のゴミ、埃などを捕り、次に筒形フィルタ29より目の細かい出口フィルタ31で極小の埃などを捕って、水供給ポンプ26を汚れから保護し、また、同時に、筒形フィルタ29で繊維状のゴミ、埃などを捕り、フロートスイッチ25を保護できる。その結果、簡素な構造で水供給ポンプ26のフィルタすなわち出口フィルタ31の寿命を永くさせるとともに、フロートスイッチ25の誤動作を防止することができる。
【0049】
以上、説明したように本実施の形態の燃料電池システムによれば、簡素な構造で、水供給ポンプ26を凝縮水に含まれる埃などの異物から保護でき、水供給ポンプ26を異物から保護する出口フィルタ31の寿命が長くなり、フロートスイッチ25に異物が付着しないようにでき、フィルタ29,31の配置、交換の作業が容易になり、フロートスイッチ25が凝縮水タンク24の水位を正しく検知できる。
【0050】
(実施の形態2)
図4、図5は、本発明の実施の形態2における燃料電池システムに用いた筒形フィルタと出口フィルタを示す断面図と一部を切り欠いた斜視図である。
【0051】
本実施の形態は、実施の形態1における出口フィルタ31の目のある部分を立体形状の凹形として、筒形フィルタ29内で、出口フィルタ31の目のある部分の表面積を増やしたものであり、その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0052】
本実施の形態で用いた出口フィルタ31は、目のある部分が平面的な形状の実施の形態1の出口フィルタ31よりも、目のある部分の表面積が大きくなるので、出口フィルタ31として、目のある部分が平面的な形状のフィルタを用いた実施の形態1の場合よりも、出口フィルタ31の寿命を長くすることができ、また、出口フィルタ31の寿命と筒形フィルタ29の寿命とが近づくように調節して、無駄のないフィルタ交換をすることが可能になる。
【0053】
また、筒形フィルタ29と出口フィルタ31を一体のまま出口フィルタ31の表面積を増やすことで、簡素な構造の状態で出口フィルタ31の寿命をさらに長くすることができる。なお、本実施の形態では凹形にしたが、凸形あるいはドーム型、波形等にしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の燃料電池システムは、簡素な構造で、水供給ポンプを凝縮水に含まれる埃などの異物から保護でき、水供給ポンプを異物から保護するフィルタの寿命が長くなり、フロートスイッチに異物が付着しないようにでき、フィルタの配置、交換の作業が容易になり、フロートスイッチが凝縮水タンクの水位を正しく検知できるので、家庭用の燃料電池システムに適している。
【符号の説明】
【0055】
16 水素製造装置
17 燃料電池
18 冷却水タンク
19 冷却水路
20 熱交換器
21 冷却水ポンプ
22 燃料側凝縮器
23 空気側凝縮器
24 凝縮水タンク
25 フロートスイッチ
26 水供給ポンプ
27 水供給路
29 筒形フィルタ
30 出口
31 出口フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電する燃料電池と、燃焼の熱を利用して水と原料ガスから前記燃料電池に供給する前記燃料ガスを製造する水素製造装置と、前記燃料電池と前記水素製造装置の少なくともいずれか一方の排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水を貯める大気開放型の凝縮水タンクと、前記燃料電池を冷却する冷却水を貯める冷却水タンクと、途中に水供給ポンプを有し前記凝縮水タンクの底部の出口から流出した凝縮水を浄化して前記冷却水タンクに導く水供給路と、前記凝縮水タンクの前記出口の上方で前記凝縮水タンクの水位に連動して上下動する部分を有し前記凝縮水タンクの水位が第1の所定水位を超えると前記水供給ポンプをONし前記凝縮水タンクの水位が前記第1の所定水位より低い第2の所定水位以下になると前記水供給ポンプをOFFするためのフロートスイッチと、前記凝縮水タンクの前記出口と前記フロートスイッチの前記上下動する部分を囲むように設けられた筒形フィルタと、前記フロートスイッチの前記上下動する部分の下方に前記筒形フィルタと一体に構成され前記凝縮水タンクの前記出口を覆う出口フィルタとを備え、前記出口フィルタの目が前記筒形フィルタの目より細かく、前記排ガス中の水分を凝縮させて回収した凝縮水が、前記筒形フィルタを通過した後に前記出口フィルタを通過して前記凝縮水タンクの前記出口から流出するように構成した燃料電池システム。
【請求項2】
前記出口フィルタは、目のある部分が立体的である請求項1記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−250998(P2010−250998A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96859(P2009−96859)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】