説明

燃料電池システム

【課題】 燃料電池を電源とした燃料電池システムにおいて、燃料電池の過負荷状態での発電を防止し、燃料電池システムの劣化を防ぎ、燃料電池から安定的な出力が得られる簡易な構成の形態が可能である小型の燃料電池システムの提供。
【解決手段】 燃料電池を構成する全ての単セル1a、1b、1cの過負荷状態を検出し、過負荷状態が検出されると燃料電池出力の遮断、或いは過負荷状態のセルが正常の発電状態に復帰するように燃料電池出力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システムに関し、特に転極乃至過負荷による燃料電池単セルの劣化を防止して携帯機器等の小型電子機器の電源として有用なものとなるよう工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される携帯機器の消費電力は、機器の高機能化に伴い、増加の一途をたどっており、電源の容量の向上が大きな課題となっている。かかる状況の下、高エネルギー密度の小型エネルギー電源として、燃料電池が注目されている。
【0003】
燃料電池は、電解質を二種類の電極が挟持してなり、燃料極で水素、或いはメタノール等の燃料を酸化し、酸素極で大気中の酸素を還元することにより、電気を発生させる。燃料電池の中でも、固体高分子型燃料電池(PEFC)は室温付近での発電が可能であることと、出力密度が高く小型化が可能であることから、携帯機器用の電源としての応用が期待されている。
【0004】
電源として燃料電池を用いる場合、燃料電池の単セルの実用的な動作電圧は0.5V付近である。そこで、実用的な負荷に必要な電圧を得る為に、必要な数だけ前記単セルを直列に接続して所定の高い出力電圧を得ている。
【0005】
このように、燃料電池の単セルを直列に接続することによって、高電圧・高出力の燃料電池が得られるが、複数の単セルを直列接続して用いる場合には、各単セルの出力のバラツキに起因して前記単セルの集合体としての燃料電池の発電性能が悪化するという問題が発生する。発電性能の低い単セルは、抵抗成分となり、前記燃料電池の出力を低下させてしまうからである。このため、各単セルの出力のバラツキを抑えるべく、補器類等を利用して燃料供給方法を制御する等の工夫が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−103998号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池は、一次電池や二次電池等に比べて負荷応答性が低く、また負荷電流の増加にともない各種過電圧(活性化過電圧、抵抗過電圧、拡散過電圧)による電圧降下を生起する。さらに、負荷電流値が一定であっても、燃料電池からの出力電圧は一次電池や二次電池等に比べて電圧変動の幅が大きい。特に、拡散過電圧による燃料電池電圧の電圧降下の影響が顕著となる発電領域においては、負荷電流の増加に対する電圧降下の比率が大きい。
【0008】
かかる特性を有する燃料電池の過負荷状態での負荷の印加は、燃料電池が転極を起こす等、劣化の原因となり好ましくない。
【0009】
ちなみに、従来方法である燃料の供給制御のみでは、燃料電池の起電時や、外部負荷へ電力を供給する際の急激な負荷の増加に対応しきれない。かかる状態で、発電性能の低い単セルが過負荷状態での運転を強要され、過負荷状態での運転を行っている単セルが存在する状態で当該燃料電池が発電を続けると、過負荷状態で運転を行っている前記単セルは、電解質膜の劣化や触媒金属の溶出、凝集等による性能劣化を生起する。この結果、前記単セルを含む燃料電池を利用した燃料電池システムの出力が低下してしまう。
【0010】
さらに、携帯機器等の小型電子機器向けの燃料電池システムとしては、燃料の供給を行う装置が大型化してしまうため、前述の如き燃料の供給方式のものは適さない。特に小型携帯機器の電源は、寸法が限られ軽量かつ小型であることが求められるので、体積を要する補器類を用いずに燃料電池の過負荷状態での発電を防止し、燃料電池システムの劣化を防ぎ、燃料電池から安定的な出力が得られる燃料電池システムであることが肝要である。
【0011】
本発明は、上記従来技術に鑑み、直列に接続されて燃料電池を構成する各単セルの転極・過負荷運転を有効に防止するとともに前記各単セルの機能回復も実現し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が一定時間以上継続して検出されたとき前記転極・過負荷状態を表す転極・過負荷状態信号に基づき前記燃料電池の出力を遮断する保護手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、異常検出手段により単セルの転極・過負荷が検出された時点で燃料電池の出力が遮断されるので、転極・過負荷状態となっている単セルの劣化を未然に防止することができる。さらに、本形態によれば、転極・過負荷状態が検出された後、所定時間をおいて出力の遮断を行うようにしたので、チャタリング現象の影響を除去して精度よく転極・過負荷状態の検出を行いつつ、必要なときのみ確実に出力の遮断動作を行わせることができる。
【0014】
特に、燃料電池は、一次電池や二次電池などに比べて負荷応答性が低く、同時に負荷電流の増加に伴い各種過電圧(活性化過電圧、抵抗過電圧、拡散過電圧)による電圧降下を生起して、負荷電流値が一定であっても、燃料電池からの出力電圧は一次電池や二次電池などに比べて変動の幅が広いという特性を有する。そこで、前記保護手段に、燃料電池の負荷応答性を考慮した遅延要素を介在させることでその安定的な動作を保証することは、燃料電池の出力を有効に利用するという観点から重要なことである。
【0015】
本発明の第2の態様は、
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が一定時間以上継続して検出されたとき前記転極・過負荷状態を表す転極・過負荷状態信号を送出する保護手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力電流が漸減するように制御する電流制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、異常検出手段により単セルの転極・過負荷が検出された時点で燃料電池の出力電流を制限することができるので、転極・過負荷状態となっている単セルの劣化を未然に防止することができる。同時に、制限はされているが電流の供給は継続することができる。さらに、本態様によれば、転極・過負荷状態が検出された後、所定時間をおいて電流制限を行うようにしたので、チャタリング現象の影響を除去して精度よく転極・過負荷状態の検出を行いつつ、必要なときのみ確実に電流制限動作を行わせることができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が検出された場合、この状態を表す転極・過負荷状態信号に基づき前記燃料電池の出力を遮断する保護手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力の回復を行う出力回復手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1の態様と同様の燃料電池の出力の遮断を行う一方で、燃料電池の出力回復措置を行うことができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が検出された場合、この状態を表す転極・過負荷状態信号を送出する保護手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力電流が漸減するように制御する電流制限手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力の回復を行う出力回復手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第2の態様と同様の電流制限を行いつつ、燃料電池の出力回復措置を行うことができる。
【0021】
本発明の第5の態様は、
上記第3又は第4の態様において、
前記転極・過負荷状態信号は、前記異常検出手段により転極・過負荷状態が一定時間以上継続して検出されたことを条件として形成されるようにしたことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、転極・過負荷状態が検出された後、所定時間をおいて上記第3又は第4の態様における出力の遮断又は電流制限を行うようにしたので、チャタリング現象の影響を除去して精度よく転極・過負荷状態の検出を行いつつ、必要なときのみ確実に出力の遮断又は電流制限等の必要な動作を行わせることができる。
【0023】
本発明の第6の態様は、
上記第3乃至第5の態様の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、転極・過負荷状態が検出された単セルのみに回復措置を行うものであることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、単セル毎の回復措置が行われる。この結果、回復措置に要する処置作業等は最小限度のもので済む。
【0025】
本発明の第7の態様は、
上記第3乃至第5の態様の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、転極・過負荷状態が検出された単セルを含め前記燃料電池を構成する全ての単セルを対象として回復措置を行うものであることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、燃料電池全体として一体の回復措置が行われる。この結果、各単セルの状態を揃えることが可能になるとともに、転極・過負荷が検出されなかった単セルの出力が向上する。
【0027】
本発明の第8の態様は、
上記第3乃至第7の態様の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルの両端を短絡するスイッチ手段を有しており、転極・過負荷状態が検出された場合にはこの状態となっている単セルの両端を前記スイッチ手段で短絡するように構成したことを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、転極・過負荷が検出された単セルはスイッチ手段でバイパスされ、直列に接続された残りのセルで電流を供給しつつ転極・過負荷状態の回復を図ることができる。
【0029】
本発明の第9の態様は、
上記第3乃至第8の態様の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、前記単セルの電極近傍に生成された水を除去するものであることを特徴とする。
【0030】
転極・過負荷の根本的な原因の一つとして、燃料や酸素の供給が負荷に対して不十分であることが考えられる。電極近傍の生成水は酸素の供給を阻害するだけでなく、生成水は電解質膜を逆拡散し燃料極の燃料供給をも阻害する場合がある。それにより、酸素および燃料が負荷に対して相対的に不足する。したがって、電極上の水を除去することによって転極・過負荷状態の単セルの機能を回復させることができる。
【0031】
本態様によれば、電極近傍に生成された水を除去ことができるので、転極・過負荷状態の単セルの機能を回復させることができる。
【0032】
本発明の第10の態様は、
上記第1乃至第9の態様の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルの両端の電圧が所定値以下の場合に転極・過負荷状態であると判定することを特徴とする。
【0033】
転極とは、燃料電池を構成する単セルの出力電圧が反転することをいう。すなわち、負極を基準としたときに正極からマイナスの電圧が検出される状態をいう。また、過負荷とは、燃料電池の出力特性において、燃料電池出力電流の増加に伴い燃料電池出力電圧の低下率が増加する領域で発電を行っている状態をいう。具体的には、燃料電池単セルの電圧が単セルのオペレーション電圧に対して65%の電圧値以下となる発電領域を指す。
【0034】
本態様では、各単セルの両端の電圧を検出することで発電電圧の異常を検出することができる。
【0035】
本発明の第11の態様は、
上記第1乃至第9の態様の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルの電極の温度が所定値以上の場合に転極・過負荷状態であると判定することを特徴とする。
【0036】
単セル又は燃料の温度調節を行っていない燃料電池システムにおいては、燃料電池の加熱・冷却等を行っていないため、発電で生じた熱と燃料電池の出力とに相対的な関係が成立する。したがって、燃料のフロー、燃料の加湿や加温、セルの加熱等を行う必要がなく、燃料電池の発熱を検出することで燃料電池の出力を把握することができるパッシブ型の燃料電池システムで特に有効なものとなるが、単セルの温度を検出することで発電電圧の異常を検出することができる。
【0037】
本発明の第12の態様は、
上記第1乃至第11の態様の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルが転極・過負荷状態となった回数をカウントするカウント手段をさらに有するとともに、同一単セルの転極・過負荷が連続して規定回数以上検出された場合に前記燃料電池の出力を遮断するものであることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、転極・過負荷状態の連続検出回数を管理することで、燃料電池システムとしての動作効率を可及的に高効率に維持すると同時に、転極・過負荷状態の検出に伴う当該燃料電池の出力の遮断により、転極・過負荷状態となった単セルの適切な保護も図ることができる。
【0039】
本発明の第13の態様は、
上記第2又は第4において、
前記電流制限手段は、前記燃料電池の最大出力電流からその出力電流が漸減するように制御するものであることを特徴とする。
【0040】
本態様によれば、合理的な電流制限を行うとともに、回復時には燃料電池の最大出力電流を得ることができる。
【0041】
本発明の第14の態様は、
上記第13において、
前記電流制限手段は、前記燃料電池の最大出力電流からその出力電流が漸減するように制御するとともに、その途中で前記燃料電池の転極・過負荷状態ではない正常状態への復帰が検出された場合には前記出力電流の値を復帰時点の出力電流値に固定する一方、再度前記転極・過負荷信号を受けた場合には前記出力電流をさらに漸減するように同様の制御を繰り返すものであることを特徴とする。
【0042】
本態様によれば、燃料電池システムとしての機能を最大限度に維持しつつ、転極・過負荷状態が検出された単セルの劣化を防止する合理的な電流制限を実現することができる。
【0043】
本発明の第15の態様は、
上記第2、第4、第13又は第14において、
さらに外部負荷に供給する出力電流を検出する電流検出手段を備え、この電流検出手段で検出する前記出力電流がゼロとなった時点で前記電流制限手段の動作をリセットするように構成したことを特徴とする。
【0044】
本態様によれば、電流制限を行う必要性がないことを出力電流がゼロとなることにより検知して電流制限手段の動作をリセットしたので、次の外部負荷への電流供給を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、燃料電池の起電時や、外部負荷へ電力を供給する際の急激な負荷の増加や、燃料不足の状態等による、燃料電池の転極・過負荷状態での発電を、燃料電池システムとしての動作効率を可及的に高効率に維持した状態で防止することができるので、燃料電池の劣化モードでの発電の防止と、燃料電池単セルの初期の発電能力が維持され、その結果、動作効率を劣化させることなく、燃料電池システムの長寿命化が可能となる。
【0046】
また、適切な回復措置を組み合わせた場合や、転極・過負荷状態の連続発生回数を加味した出力遮断乃至電流制限動作とする場合には、さらに全体的な動作効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池電源システムのブロック線図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池電源システムのブロック線図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池電源システムのブロック線図である。
【図4】図3の昇圧制御回路の詳細な一例を示す回路図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る異常検出部のブロック線図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る燃料電池電源システムのブロック線図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る燃料電池電源システムのブロック線図である。
【図8】図7の昇圧制御回路の詳細な一例を示す回路図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態に係る異常検出部のブロック線図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態に係る異常検出部のブロック線図である。
【図11】図10の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る異常検出部のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0049】
一般に、燃料電池として、固体高分子型燃料電池(PEFC)を用いる場合、水素は、液体水素、水素ガス、又は水素原子のいずれかの状態で、高圧ボンベ、水素吸蔵合金、カーボンナノチューブやフラーレンなどの炭素材料等からなる群の少なくとも1種類以上の手段により貯蔵する。一方、アルコールや無機ケミカルハイドライドや有機ケミカルハイドライドなどの水素を含む化学物質を改質や加水分解などの化学変化によって水素を取り出すことも可能である。
【0050】
一方、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)に代表される燃料直接型の燃料電池を用いる場合は、燃料としてメタノールを使用する。また、メタノールの代わりに、燃料としてジメチルエーテル(DME)、2−プロパノール、エタノール等のアルコール類等を用いることも可能である。更に、燃料直接型の燃料電池の燃料として、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物の水溶液を使用することが出来る。
【0051】
本発明は、何れのタイプの燃料電池であっても適用し得る。
【0052】
<第1の実施の形態>
本形態は、特に燃料電池を構成する単セルの転極状態での運転を防止するもので、転極状態が検出された場合には燃料電池の出力を遮断するように構成してある。
【0053】
図1に示すように、当該燃料電池システムは、電源として燃料から化学反応により電力の取り出しが可能なPEFCの燃料電池1と、昇圧制御回路として燃料電池1の出力を昇圧する昇圧制御回路2と、蓄電要素として容量が400mAhの公称電圧8.4Vの2セルのリチウムイオン二次電池3(以下LIB3と略す。)とLIB3の電流の逆流防止の為のショットキダイオード4と、燃料電池1の単極・過負荷状態での運転を防止する保護回路5からなり、外部負荷6へ電力を供給する構成とした。
【0054】
燃料電池1は燃料電池の3個の単セル1a、1b、1cを直列に接続して構成される。また、燃料電池1の開回路電圧は2.93Vとした。昇圧制御回路2の出力電圧値は8.5Vに設定した。外部負荷6には直流の電子負荷装置を接続した。
【0055】
保護回路5は、それぞれが各単セル1a、1b、1cの両端の電圧を比較する3個のコンパレータ7a、7b、7cと3入力ANDゲート論理回路8と、燃料電池1の出力を切り換える為のN−chMOSFET9と、N−chMOSFET9をドライブするための遅延動作機能を持つドライブ回路10を有している。
【0056】
ここで、本形態における保護回路5は、特に転極状態での発電を検出するようにしたので、各コンパレータ7a、7b、7cの反転入力端子にはそれぞれの単セル1a、1b、1cの燃料極を直接接続するとともに、非反転入力端子にはそれぞれの単セル1a、1b、1cの酸素極を接続してある。各コンパレータ7a、7b、7cの出力は、n入力のANDゲート論理回路8に供給される。
【0057】
前記遅延動作は、転極・過負荷状態を表す転極・過負荷状態信号が発生(実際は状態信号の状態の変化)した場合、その値を5秒間保持した場合に結果を反映するようにした。かかる遅延動作を介在させることで、チャタリング現象の影響を除去して精度よく転極・過負荷状態の検出を行うことができる。
【0058】
また、昇圧制御回路2と、保護回路5に用いられる電子素子は蓄電要素であるLIB3から電力を供給するようにした。蓄電要素は、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等からなる群の少なくとも一つを任意に選択することが出来る。二次電池としては、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル鉄二次電池、ニッケル亜鉛二次電池、酸化銀亜鉛二次電池、亜鉛ハロゲン二次電池、鉛蓄電池、レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池等からなる群の少なくとも一つを任意に選択することが出来る。
【0059】
上記構成の本形態に係る燃料電池システムおいて、燃料電池1の全ての単セル1a、1b、1cが正常な発電を行っている場合は、コンパレータ7a、7b、7cのそれぞれの出力はHレベルの出力となる。コンパレータ7a、7b、7cのそれぞれのHレベル出力は、3入力ANDゲート論理回路8に入力されるため、3入力ANDゲート論理回路8の出力はHレベルとなる。この結果、ドライブ回路10は、N−chMOSFET9をターンオンさせ、燃料電池1の出力を昇圧制御回路2に入力させる。かくして、昇圧制御回路2を介して外部負荷6に電力の供給が可能となる。
【0060】
一方、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのうち少なくとも1個が転極状態となると、燃料電池1の単セル1a、1b、1cからマイナスの電圧が出力され、単セル1a、1b、1cのうち転極状態のセルに接続されたコンパレータ7a、7b、7cの中のいずれかの出力がLレベルとなる。この結果、3入力ANDゲート論理回路8に入力される信号レベルがすべてHレベルではない状態となり、3入力ANDゲート論理回路8の出力はLレベルとなる。3入力ANDゲート論理回路8の出力レベルが5秒以上継続されると、ドライブ回路10は、N−chMOSFET9をオフする。これによって、燃料電池1の出力を遮断する。かくして転極状態での発電を防止する。燃料電池1の出力の遮断後は、蓄電要素であるLIB3を介して必要な電力を外部負荷6に供給する。
【0061】
なお、燃料電池1は、一次電池や二次電池などに比べて負荷応答性が低く、同時に負荷電流の増加に伴い各種過電圧による電圧降下を生起して、負荷電流値が一定であっても、燃料電池からの出力電圧は一次電池や二次電池などに比べて変動の幅が広いという特性を有する。そこで、前記保護回路5に、燃料電池1の負荷応答性を考慮した遅延要素であるドライブ回路10を介在させることでその安定的な動作を保証することは、燃料電池1の出力を有効に利用するという観点から重要なことである。
【0062】
<第2の実施の形態>
本形態は、特に燃料電池を構成する単セルの過負荷状態での運転を防止するもので、過負荷状態が検出された場合に燃料電池の出力を遮断するように構成してある。すなわち、図1に示す第1の実施の形態とは、コンパレータ7a、7b、7cの反転入力端子への入力構造が異なるだけで他は同様の構成となっている。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0063】
図2に示すように、コンパレータ7a、7b、7cの反転入力端子は、基準電圧発生器23を介してGNDに接続してある。本形態では、燃料電池1が拡散過電圧による電圧降下の影響が顕著に表れはじめる単セル電圧が0.3Vであることを考慮して0.3V以下での発電を防止する為、基準電圧発生器23の基準電圧を0.3Vとした。なお、コンパレータ7aの非反転入力端子には単セル1b、1cの電圧が、コンパレータ7bの非反転入力端子には単セル1cの発電電圧が重畳されるが、これは各コンパレータ7a、7b内の処理により同一条件での検出ができるように構成して重畳される電圧の影響を除去している。
【0064】
かかる燃料電池システムにおいて、燃料電池1の全ての単セル1a、1b、1cが0.3V以上の電圧をもって発電を行っている場合は、各コンパレータ7a、7b、7cの出力はHレベルとなる。コンパレータ7a、7b、7cのそれぞれのHレベル出力は、3入力ANDゲート論理回路8に入力されるため、3入力ANDゲート論理回路8の出力はHレベルとなる。この結果、ドライブ回路10は、N−chMOSFET9をターンオンさせ、燃料電池1の出力を昇圧制御回路2に入力させる。かくして、昇圧制御回路2を介して外部負荷6に電力の供給が可能となる。
【0065】
一方、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのうち少なくとも1個が0.3V以下となると、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのうち過負荷状態のセルに接続されたコンパレータ7a、7b、7cの出力がLレベルとなる。この結果、3入力ANDゲート論理回路8に入力される信号レベルがすべてHレベルではない状態となり、3入力ANDゲート論理回路8の出力はLレベルとなる。3入力ANDゲート論理回路8の出力レベルが5秒以上継続されると、ドライブ回路10は、N−chMOSFET9をオフする。これによって、燃料電池1の出力を遮断する。かくして過負荷状態での発電を防止する。
【0066】
<第3の実施の形態>
本形態は、特に燃料電池を構成する単セルの転極状態での運転を防止するもので、転極状態が検出された場合に燃料電池の出力電流を制限するように構成してある。すなわち、図1に示す第1の実施の形態が、転極状態の検出により燃料電池1の出力を遮断するのに対し、本形態では同様の条件で燃料電池1の出力電流の制限を行うようにした。したがって、図1に示す第1の実施の形態とは多くの構成要素が同一である。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
図3に示すように、保護回路12は3個のコンパレータ7a、7b、7cと、3入力ANDゲート論理回路8と、遅延動作機能を持つドライブ回路10とで構成した。すなわち、転極状態が検出された場合でも燃料電池1の出力を遮断することはない。保護回路12の出力である転極状態を表す転極状態信号は、昇圧制御回路11のコントロール端子15に入力される。昇圧制御回路11は電流制限手段30を有しており、コントロール端子15に転極状態信号が供給された時点で前記電流制限手段30を介して出力電流の制限を行うようになっている。
【0068】
かかる本形態において、第1の実施の形態と同様に、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのすべてが正常な発電を行っている場合は、保護回路12の出力がHレベル出力となる。
【0069】
一方、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのうち、少なくとも1個が転極状態の場合には、3入力ANDゲート論理回路8の出力はLレベルとなる。そして、3入力ANDゲート論理回路8の出力レベルが5秒以上継続されると、保護回路12の出力はLレベルとなり、転極状態を表す転極状態信号として昇圧制御回路11に供給される。この結果、昇圧制御回路11はHレベルの入力が得られるまで、昇圧制御回路11から外部負荷6へ供給する出力電流を制限する。この電流制限により生じた外部負荷6への負荷電流の不足分は、LIB3を介して供給される。
【0070】
図4に昇圧制御回路11の詳細構成の一例を示す。本例では、昇圧手段としてスイッチングレギュレータ方式を用いた。燃料電池の出力はN−chMOSFET20がオン状態のときにインダクタ19にエネルギーが蓄積される。N−chMOSFET20がオン状態のとき、ダイオード21に電流は流れない。N−chMOSFET20がオフになると、インダクタ19に蓄積されたエネルギーが、ダイオード21を介して平滑コンデンサ22や外部負荷6へ供給される。
【0071】
ここで、出力電圧は、PWM制御回路23によってN−chMOSFET20のオン状態とオフ状態の比率で決定される。PWM制御回路23は、分圧抵抗器24による昇圧制御回路11の出力の電圧降下分と、基準電圧発生器25から印加される基準電圧が一致するように制御する。よって、分圧抵抗器24の抵抗比率を変えることによって、出力電圧を任意に設定することができる。
【0072】
コントロール端子15からの入力、すなわち転極状態信号は、燃料電池1からの入力電流を制御するコントローラ27に入力される。
【0073】
昇圧制御回路11のコントロール端子15に入力される信号がHレベルの場合、コントローラ27は、当該昇圧制御回路11の入力側に設けたスイッチ手段であるMOSFET28をオン状態に保ち、NPNトランジスタ29のベース端子にはバイアスを印加しない。よって、昇圧制御回路11の出力はすべてN−chMOSFET28を介して外部負荷6側に供給される。よって、N−chMOSFET28は低オン抵抗のMOSFETが望ましい。燃料電池1の出力が制限されることなく、昇圧回路へ入力される為、燃料電池1が正常な発電を行っている場合には最大の出力が得られる。
【0074】
一方、昇圧制御回路11のコントロール端子15に入力される信号がLレベルの場合、すなわち転極状態信号が供給された場合、昇圧制御回路11は、燃料電池1の出力電流を低下させるように制御する。すなわち、コントローラ27は、N−chMOSFET28のゲートの電位をグランドに引き下げ、N−chMOSFET28には燃料電池1の出力電流を流さない。
【0075】
次にコントローラ25は、燃料電池1の最大出力が得られる電流を昇圧制御回路11に流すようにNPNトランジスタ29のベース端子にバイアスを印加する。その後コントローラ27は徐々にNPNトランジスタ29のベース端子のバイアスを減少させ、燃料電池1の出力電流を低下させていく。
【0076】
その途中の段階で、燃料電池1の中の過負荷状態のセルが正常の出力状態に復帰し、コントロール端子15に入力される信号がHレベルとなると、コントローラ27はNPNトランジスタ29のベース端子に印加するバイアスを固定する。
【0077】
一方、NPNトランジスタ29のベース端子に印加するバイアスを固定した状態でコントロール端子15にLレベルの信号が供給されると、コントローラ27は、コントロール端子15にHレベルが入力されるまで印加するバイアスを更に減少させる。
【0078】
このNPNトランジスタ29を介して燃料電池1の出力が昇圧制御回路11に入力される状態は、外部負荷6が無くなるまで保たれる。これによって、燃料電池単セルの転極状態での運転を防止することが出来る。
【0079】
なお、図3の保護回路12は、図2と同様に、基準電圧発生回路を有するものとしても構わない。この場合は、過負荷状態を検出して電流制限を行うものとなる。
【0080】
<第4の実施の形態>
本形態は、転極・過負荷状態の単セルの検出を各単セル温度で検出する場合である。すなわち、図1乃至図3に示す第1乃至第3の実施の形態が、単セルの発電電圧を各単セル1a、1b、1cの両端の電圧を介して検出していたのに対し、本形態では各単セル1a、1b、1cの温度を介して検出している点が異なる。その他は同様の構成である。そこで、図1乃至図3と異なる部分のみを抽出して説明し、重複する部分の説明は省略する。
【0081】
図5に示すように、燃料電池1はこれを構成する部材や構造によって、転極・過負荷状態と判断する温度が変化するが、PEFCのパッシブ型で無加湿での燃料電池1ではカソード電極近傍が60℃を超えると膜が乾燥し始め、燃料電池1の内部抵抗が上昇し、燃料電池1の出力特性が低下する。また、燃料電池1が定電流出力を行っていても、各単セル1a、1b、1cの温度が上昇して出力特性が低下すると、燃料電池1は過負荷と同等の状態となる。
【0082】
そこで、過負荷を検出する為の温度は、燃料電池1の各単セル1a、1b、1cの電極近傍における温度を温度センサ31a、31b、31cによって検出するとともに、45〜110℃として検出される値を設定することが望ましい。例えば基準電圧発生器23の基準電圧の設定によって、各単セル1a、1b、1cが45〜110℃の間の設定温度以上になった場合を過負荷状態とする。なお、この場合の温度センサ31a乃至31cとしては熱電対又はサーミスタが好適である。
【0083】
本形態において、少なくとも1個の単セル1a、1b、1cが過負荷状態となった後のコンパレータ7a、7b,7c等の動作は、第1乃至第3の実施の形態の場合と全く同様である。
【0084】
本形態では、前記温度センサ31a、31b、31cの出力をオペアンプ32a、32b、32cで増幅して、コンパレータ7a、7b、7cに入力している。ただ、必ずしもこのように形成する必要はなく、温度センサ31a、31b、31cの出力を直接コンパレータ7a、7b、7cに入力しても良い。
【0085】
セル或いは燃料の温調を行っていない燃料電池システムにおいては、燃料電池1の加熱・冷却等の制御を行っていないため、発電に応じた発熱と燃料電池出力との間に相関関係がある。このため、各単セル1a、1b、1cの温度を検出することによって、燃料電池1の出力状態や過負荷状態の検出が可能となる。したがって、燃料のフロー、燃料の加湿や加温、セルの加熱等を行う必要がなく、燃料電池の発熱を検出することで燃料電池1の出力を把握することができるパッシブ型の燃料電池システムで本形態に係る燃料電池システムは特に有効なものとなるが、何れにしても単セル1a、1b、1cの温度を検出することで発電電圧の異常を検出することができ、異常状態が検出された場合には、出力の遮断、出力電流の制限等により第1乃至第3の実施の形態と同様に燃料電池1の劣化を未然に防止し得る。
【0086】
<第5の実施の形態>
本形態は、転極・過負荷状態の検出に伴う出力の遮断とともに、各単セル1a,1b、1cの積極的な回復措置も行うようにしたものである。そこで、図1乃至図5と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0087】
図6に示すように、各単セル1a、1b、1cのアノード室側にはヒータ41a、41b、41cが配設してある。ここで、各ヒータ41a、41b、41cは各単セル1a、1b、1cの電極周辺に生成される余剰な水を加熱により蒸発させて除去する機能を有する。主に、触媒層とガス拡散層上のガス拡散の阻害となる水を除去して各単セル1a、1b、1cの機能回復を図るためである。この場合の加熱の上限温度は60〜90℃の間で設定することが望ましい。
【0088】
また、各単セル1a、1b、1cには、圧力センサ42a,42b,42c、パージ弁43a,43b,43c、安全弁44a,44b,44cが設けてある。各パージ弁43a乃至43cは出力回復制御手段40からの信号により開閉される。さらに、本形態では、出力回復制御手段40からの信号により燃料電池1への燃料供給が遮断される。
【0089】
減圧の為の安全弁44a乃至44cは、バネ圧調整によってアノード室が大気圧よりも2.0気圧以上の圧力となると開放するように調整してある。ちなみに、好ましくは、1.0〜3.0気圧の間で設定する。ここで、バイメタルを用いた安全弁44a〜44cを用いることも可能である。この場合の開放するときの温度は80〜100℃に設定する。
【0090】
保護回路5は基本的に図1に示すものと同一であるが、ANDゲート論理回路8の出力信号である転極・過負荷状態信号はドライブ回路10とともに、前記出力回復制御手段40にも送出される。
【0091】
ここで、出力回復措置に関連する素子や機器は、昇圧制御回路2、保護回路5と同様にLIB3を電源とする。一方、これらの出力回復措置に関連する素子や機器、昇圧制御回路2及び保護回路5の電源として燃料電池1を利用することもできる。また、本形態における昇圧制御回路2と外部負荷6との間には、外部負荷6に供給する負荷電流を検出する電流検出手段45及びLIB3を充電する充電手段46を設けてある。
【0092】
かくして、本形態では、電流検出手段45が外部負荷6への負荷電流がゼロとなったことを検知した時点で充電手段46を動作させてLIB3を充電するとともに、LIB3が満充電状態であることを充電手段46が検知した時点で停止する。
【0093】
なお、かかる電流検出手段45及び充電手段46を図1乃至図3に示す燃料電池システムに設けることには何の制限もない。また、本形態に係る燃料電池1は、平面直列接続され、セルのアノード室が分離されたデッドエンド構造のものの他、例えばセルが平面接続されアノード室が分離された燃料フロー構造、セルが平面接続されアノード室が共通の燃料フロー構造、セルが平面接続されアノード室が共通のデッドエンドや構造スタック構造のPEFC及びDMFCであっても構わない。
【0094】
上記構成の本形態において、燃料電池1の全ての単セル1a、1b、1cが正常な発電を行っている場合は、コンパレータ7a、7b、7cのそれぞれの出力はHレベルの出力となる。コンパレータ7a、7b、7cのそれぞれのHレベル出力は、3入力ANDゲート論理回路8に入力されるため、3入力ANDゲート論理回路8の出力はHレベルとなる。このときドライブ回路10は、N−chMOSFET9をターンオンさせ、燃料電池1の出力が昇圧制御回路2に入力され、昇圧制御回路2から外部負荷6に電力の供給がされる。
【0095】
一方、燃料電池1の単セル1a、1b、1cのうち、少なくとも1個が転極状態となると、何れかの単セル1a、1b、1cからマイナスの電圧が出力され、この単セル1a、1b、1cに接続されたコンパレータ7a、7b、7cの中のいずれかの出力がLレベルになる。この結果、3入力ANDゲート論理回路8は、これに入力される信号レベルがすべてHレベルではないので、その出力がLレベルとなる。この3入力ANDゲート論理回路8の出力レベルが5秒以上継続されると、ドライブ回路10は、N−chMOSFET9をオフし、この状態を保つ。これによって、燃料電池1の出力を遮断することができるので、転極状態での発電を回避することが可能である。
【0096】
3入力ANDゲート論理回路8からのLレベル信号である転極状態信号を受信すると、同時に出力回復制御手段40が動作する。この出力回復制御手段40が動作すると、燃料供給を遮断し、アノード室を密閉空間とする。続いて、ヒータ41a乃至41cによりアノード室を75℃に保ちアノード室内部の液水を気化させる。アノード室の内圧が2.0気圧を上回ると安全弁44a乃至44cが動作する。この結果、随時ガスが放出される。
【0097】
圧力センサ42a乃至42cにより、所定の時間(本形態では10分間)圧力の変動がない場合はパージ弁43a乃至43cを開き、2秒以内に閉じる。その後燃料供給を開始することにより、全ての単セル1a、1b、1cにおいて通常の発電が可能となる。
【0098】
ここで、ヒータ41a乃至41cの動作にはタイマーをセットしておき、20分間動作するとヒータ41a乃至41cが切れるように設定しておく。
【0099】
燃料供給が開始されると、保護回路5はN−chMOSFET9をターンオンし、燃料電池1と昇圧制御回路2とを電気的に導通させる。
【0100】
なお、本形態は、燃料電池1の回復を、ヒータ加熱による単セル1a、1b、1cでの生成水の除去により行うようにしたが、これに限るものではない。電極近傍の水を除去することは回復措置として有用であるが、他にもブロアにより水を吹き飛ばすか、又はガスを吹き付けるように構成することでも水の除去は可能になる。さらに、水を除去する方法以外にも次のような回復手段が考えられる。1)各単セル1a、1b、1cのアノード室の燃料の強制循環を行う、2)単セル1a、1b、1cのアノード室のガスの置換を行う、3)電解質膜の湿潤のための加湿を行う等である。
【0101】
また、回復措置は、転極・過負荷状態が検出されている単セル1a、1b、1cのみを対象としてこれを行う場合と、転極・過負荷状態が検出された単セル1a、1b、1cを含め燃料電池1を構成する全ての単セル1a、1b、1cを対象としてこれを行う場合が考えられる。何れを選択するかは、例えば出力回復制御手段40で制御の対象を決めることで容易に決定し得る。
【0102】
ただ、全ての単セル1a、1b、1cに対して回復動作を行った場合には,次のようなメリットがある。1)各単セル1a、1b、1cの状態を揃えることが可能となる。2)転極が検出されなかった単セル1a、1b、1cの出力が向上する。
【0103】
<第6の実施の形態>
本形態は、転極・過負荷状態の検出に伴う出力電流の制限とともに、各単セル1a、1b、1cの積極的な回復措置も行うようにしたものである。すなわち、図6に示す第5の実施の形態ける転極・過負荷状態の検出に伴う出力電流の制限の代わりに電流制限を行う場合である。そこで、図1乃至図6と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0104】
図7に示すように、回復措置に関連する部分を除けば、図3に示す燃料電池システムとほぼ同様である。ただ、本形態では電流検出手段45が負荷電流ゼロを検出した場合に電流制御手段30をリセットするようになっている。このことにより次の外部負荷6への電流供給を円滑に行うことができる。
【0105】
図8は昇圧制御回路51の詳細構成の一例を示す。この昇圧制御回路51は、図4に示す昇圧制御回路11と基本的には同様の構成となっているが、前述の電流制御手段30をリセットする機能を有する他、昇圧制御回路51の出力側の電流を制御するようになっている点が異なる。すなわち、本例では、NPNトランジスタ29で当該昇圧制御回路51の出力電流を制御するようにNPNトランジスタ29がその出力側に配設してある。すなわちコントローラ27の機能自体は同様であるが、本例におけるコントローラ27は出力側のNPNトランジスタ29を介して出力電流を制御する。
【0106】
電流の制限は入力側乃至出力側の何れで行っても本質的な違いはないが、昇圧制御回路51では、より電圧が高い出力側で電流を制御するのが望ましい。容易且つ高精度の制御が可能になるからである。したがって、降圧制御回路では、入力側で電流を制御するのが望ましい。
【0107】
本例では、端子53を介して電流制御手段30のコントローラ27に電流検出手段45からのリセット信号が供給される。他の動作は、図4の場合と全く同様である。
【0108】
<第7の実施の形態>
本形態は、保護回路が、各単セルが転極・過負荷状態となった回数をカウントするカウンターをさらに有するとともに、同一単セルの転極・過負荷が連続して規定回数以上検出された場合に燃料電池の出力を遮断するものである。本形態は、出力回復手段を有するものであるが、勿論これを有している必要はない。転極・過負荷状態が検出されたとき、出力を遮断するものであれば、何れとも組み合わせることが可能である。なお、図1乃至図8と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0109】
図9に示すように、保護回路55は、3入力ANDゲート論理回路8に入力するコンパレータ7a、7b、7cの出力信号を分岐して入力するカウンター56を有している。カウンター56は、各単セル1a、1b、1cに関して転極・過負荷状態を連続して生起した回数を計数するとともに、その計数結果が所定回数(例えば20回)を超えたとき、スイッチ手段であるN−chMOSFET9をオフすることにより燃料電池1の出力を遮断する。同時に発光ダイオード(以下,LED)57を発光させてエラー表示とする。
【0110】
一方、本形態においては各コンパレータ7a,7b、7cに対応して基準電圧発生器23a、23b、23cが設けてあり、各反転端子に基準電圧(例えば0.3V)を印加するようになっている。このように個別に基準電圧発生器23a、23b、23cを設けることにより、数は増えるが、図2等に示す場合よりも正確な基準電圧を各コンパレータ7a,7b、7cに供給することができる。出力回復手段60は、出力回復措置に関連する部分を統合したもので、例えば図7の出力回復制御手段40、ヒータ41a乃至41c、圧力センサ42a乃至42c、パージ弁43a乃至43c及び安全弁44a乃至44cを含む概念である。
【0111】
また、3入力ANDゲート論理回路8が転極・過負荷状態を検出したときも、スイッチ手段であるN−chMOSFET9をオフすることにより燃料電池1の出力を別途遮断する。
【0112】
かかる本形態においては、転極・過負荷状態の連続検出回数を管理することで、燃料電池システムとしての動作効率を可及的に高効率に維持すると同時に、転極・過負荷状態の検出に伴う当該燃料電池の出力の遮断により、転極・過負荷状態となった単セルの適切な保護も図ることができる。ここで、出力回復手段60は、3入力ANDゲート論理回路8が転極・過負荷状態を検出する度に所定の出力回復措置を実施する。
【0113】
<第8の実施の形態>
本形態は、保護回路が、各単セルが転極・過負荷状態となった回数をカウントするカウント手段をさらに有するとともに、同一単セルの転極・過負荷が連続して規定回数以上検出された場合に燃料電池の出力電流を制限するものである。本形態は、出力回復手段を有するものであるが、勿論これを有している必要はない。転極・過負荷状態が検出されたとき、電流を制限するものであれば、何れとも組み合わせることが可能である。なお、図1乃至図9と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0114】
図10に示すように、保護回路55は、3入力ANDゲート論理回路8に入力するコンパレータ7a、7b、7cの出力信号を分岐して入力するカウンター56を有している。カウンター56は、各単セル1a、1b、1cに関して転極・過負荷状態を連続して生起した回数を計数するとともに、その計数結果が所定回数(例えば20回)を超えたとき、スイッチ手段であるN−chMOSFET9をオフすることにより燃料電池1の出力を遮断する。同時に発光ダイオード(以下,LED)57を発光させてエラー表示とする。
【0115】
一方、本形態においては各コンパレータ7a,7b、7cに対応して基準電圧発生器23a、23b、23cが設けてあり、各反転端子に基準電圧(例えば0.3V)を印加するようになっている。このように個別に基準電圧発生器23a、23b、23cを設けることにより、数は増えるが、図2等に示す場合よりも正確な基準電圧を各コンパレータ7a,7b、7cに供給することができる。
【0116】
出力回復手段60は、出力回復措置に関連する部分を統合したもので、例えば図7の出力回復制御手段40、ヒータ41a乃至41c、圧力センサ42a乃至42c、パージ弁43a乃至43c及び安全弁44a乃至44cを含む概念である。
【0117】
かかる本形態においては、転極・過負荷状態の連続検出回数を管理することで、燃料電池システムとしての動作効率を可及的に高効率に維持すると同時に、転極・過負荷状態の検出に伴う当該燃料電池の出力の遮断により、転極・過負荷状態となった単セルの適切な保護も図ることができる。
【0118】
ここで、出力回復手段60は、3入力ANDゲート論理回路8が転極・過負荷状態を表す転極・過負荷信号を発生する毎に所定の出力回復措置を実施する。同様に、転極・過負荷状態信号により電流制限手段30を動作させることによる電流制限も実施する。
【0119】
図11は、本形態に係る燃料電池システムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【0120】
当該燃料電池1は3個の単セル1a、1b、1cを有するPEFCであり、カソード側は大気開放タイプである。燃料電池1には、図示しない燃料供給系統を有するとともに、各単セル1a、1b、1cのアノード室側には圧力センサ42a、42b、42c及びパージ弁43a、43b、43cが設けてある。パージ弁43a、43b、43cは圧力センサ42a、42b、42cによってアノード室の内圧が1.5気圧以上となると、開状態となる。
【0121】
出力回復手段としてはヒータ41a、41b、41cを用い、それぞれの単セルのアノード室内部に配置した。ヒータ41a、41b、41cの電源は燃料電池1の出力から得ている。保護回路55において、異常検出手段は、過負荷状態を検出できる構成とし、電圧リファレンスの基準電圧は 0.3Vとした。
【0122】
カウンター56は、異常検出手段が同一単セル1a、1b、1cの過負荷状態を連続して検出した場合にカウントを加算する構成とした。カウント回数が20回を超えたとき、スイッチ9をオフする信号及びLED57に電圧を印加してLED57を発光させエラーサインとする。
【0123】
ここで、当該燃料電池システムの運転時の動作について図11に基づき説明する。
1) 外部負荷6を動作させる為に燃料電池システムが起動し(ステップS1)、ステップS2においてエラーサインが点灯している場合は、ステップS10に進み動作を終了する。
2) ステップS2においてエラーサインが点灯していなければ、ステップS3において燃料電池1へ燃料が供給され発電が開始される。
3) ステップS4では、異常検出手段において単セル1a、1b、1cの過負荷状態が検出されると、ステップS5へ進み、前回の過負荷の検出と同一の単セル1a、1b、1cか否かを判断をする。
4) 同一単セル1a、1b、1cであった場合、ステップS6へ進み加算のカウントを行う。
5) ステップS7においてカウント数が設定した回数、ここでは20回以上である場合は、ステップS8へ進む。ステップ8では燃料電池システムの出力の遮断の為、スイッチ9をオフし、LED57を点灯する。
6) 次にステップS9において燃料の供給を停止し発電を終了させる(ステップS10)。
7) 一方、ステップS7においてカウント数が設定した回数、ここでは20回以下の場合は、ステップS12へ進み、燃料電池システムの出力電流の制限を行う。
8) 次に、ステップS13では回復手段であるヒータ41a、41b、41cを駆動しタイマーを動作させる。ここで、タイマーの設定時間は15分とする。
9) 出力回復手段60が15分間動作した後(ステップS14)、出力回復手段60の動作が停止する(ステップS15)。
10) 次にステップS16において燃料電池出力電流の制限が解除され、ステップS4へ戻る。
11) ここでステップS5において、 過負荷の検出が前回の過負荷の検出と同一の単セル1a、1b、1cではなかった場合、ステップS11へ進み、カウンター56をリセットした後、ステップS12へ進む。
ステップS12からステップS16までは上述の通りの処理が行われる。
12) ステップS4において、過負荷の検出がない場合は、ステップS17へ進む。ここで負荷が停止しなければ再びステップS4の処理へ戻る。
13) ステップS17において負荷が停止し場合、出力回復手段60及びタイマーを動作させ(ステップS18)、タイマーにより設定された時間(ここでは15分)が経過すると(ステップS19)、出力回復手段60を停止する(ステップS20)。
14) その後ステップS9において、燃料の供給が停止され、終了する(ステップS10)。
【0124】
なお、転極・過負荷状態のとき出力を遮断する第7の実施の形態の場合には、ステップS12及びステップS16が「燃料電池出力の遮断」となる。
【0125】
<第9の実施の形態>
本形態は、出力回復手段とともに、各単セルの両端を短絡するスイッチ手段を有しており、転極・過負荷状態が検出された場合にはこの状態となっている単セルの両端を前記スイッチ手段で短絡するように構成したものである。図1乃至図10と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0126】
図12に示すように、本形態に係る燃料電池システムにおいては、過負荷状態を検出するため、各単セル1a、1b、1cにコンパレータ7a、7b、7cを対応させ、各単セル1a、1b、1cの正極に各コンパレータ7a、7b、7cの非反転入力端子を接続するとともに、各単セル1a、1b、1cの負極と各コンパレータ7a、7b、7cの反転入力端子との間に電圧リファレンス用の基準電圧発生器23a、23b、23cを介在させて接続してある。各コンパレータ7a、7b、7c及び基準電圧発生器23a、23b、23cのGND端子は対応する単セル1a、1b、1cの負極と接続する。
【0127】
かかる各コンパレータ7a、7b、7cの出力を3入力ANDゲート論理回路8に入力することで、単セル1a、1b、1cの各発電電圧が対応する基準電圧によって設定された電圧以下となると転極・過負荷状態信号が送出される。すなわち、各コンパレータ7a、7b、7cの出力が反転することに伴って3入力ANDゲート論理回路8の出力も反転する・この結果過負荷状態が検出される。
【0128】
一方、各単セル1a、1b、1cには、スイッチ素子であるNチャンネルEFT66a、66b、66cが各単セル1a、1b、1cのカソード側とNチャンネルEFT66a、66b、66cのドレイン端子を結線して並列に接続してある。
【0129】
ここで、NチャンネルEFT66a、66b、66cは常時OFF状態であるが、ある単セル1a、1b、1cから転極・過負荷状態が検出されると、転極・過負荷状態の単セル1a、1b、1cに対応したコンパレータ7a、7b、7cの出力端から、転極・過負荷状態の単セル1a、1b、1cに対応したバイパス用のNチャンネルEFT66a、66b、66cのドライバ67a,67b,67cへ信号が供給される。ドライバ67a,67b,67cが転極・過負荷状態信号を受けると、出力回復手段60の動作タイマーで設定された時間だけバイパス用NチャンネルEFTをON状態に保ち、燃料電池1の出力電流をその転極・過負荷状態の単セル1a、1b、1cからバイパスさせる。
【0130】
同時に、異常検出手段により燃料電池1の転極・過負荷状態が検出されると、3入力ANDゲート論理回路8の出力信号である転極・過負荷信号をもとに燃料電池1の出力回復手段60が動作する。出力回復手段60はタイマーにより動作が制御され、タイマーにより設定された時間が経過すると、動作が停止する。
【0131】
このようにして、本形態では、転極・過負荷状態を検出し、不良セルをバイパスさせて燃料電池1の発電電流を流すようにしている。
【0132】
なお、転極を良好に検出するためには、各単セル1a、1b、1cの正極にそれぞれのコンパレータ7a,7b,7cの非反転入力端子を、各々のセルの負極にコンパレータの反転入力端子およびGND端子を接続すれば良い。これにより、直列接続におけるどの位置の単セル1a、1b、1cにおいても積極的な転極的な検出・利用が可能となる。
【0133】
本態様によれば、転極・過負荷が検出された単セルはNチャンネルEFT66a、66b、66cでバイパスされ、直列に接続された残りの単セルで電流を供給しつつ転極・過負荷状態の回復を図ることができる。
【0134】
<他の実施の形態>
上述の如く、各実施の形態を通して、転極・過負荷状態を検出する異常検出回路、保護回路、電流制限手段、昇圧制御回路、蓄電手段、出力回復手段等をそれぞれ複数種類づつ開示したが、各要素は自由に組み合わせることができる。組み合わせの全部は開示していないが、派生する組み合わせの全ては本発明の技術思想に含まれる。
【0135】
さらに、LIB3等の充電要素は必須ではない。これを有する場合には、燃料電池1の転極・過負荷時に外部負荷6に対し継続して電力を供給することができるというメリットはあるが、必ずしも燃料電池システムと一体となっている必要はない。同様の意味で、昇圧制御回路も必須の構成要件ではない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の燃料電池システムは、燃料電池の過負荷状態での運転を防止する為、燃料電池の腐食、出力特性の低下を防ぐことが可能である。燃料電池の劣化モードでの発電の防止と、燃料電池単セルの初期の発電能力が維持され、安定した電力の供給が可能である。簡易な構成の形態が可能であるので、携帯機器用の燃料電池システムの小型化に適応できる。
【符号の説明】
【0137】
1 燃料電池
1a、1b、1c 単セル
2、11 昇圧制御回路
3 リチウムイオン二次電池
5、12、55、65 保護回路
6 外部負荷
7a、7b、7c コンパレータ
8 3入力ANDゲート論理回路
9 N−chMOSFET
10 ドライブ回路
30 電流制御手段
31a、31b、31c 温度センサ
41a、41b、41c ヒータ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が検出された場合、この状態を表す転極・過負荷状態信号に基づき前記燃料電池の出力を遮断する保護手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力の回復を行う出力回復手段とを備えるとともに、
前記保護手段は、各単セルの両端を短絡するスイッチ手段を有しており、転極・過負荷状態が検出された場合にはこの状態となっている単セルの両端を前記スイッチ手段で短絡するように構成したことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
少なくとも2個の単セルを直列に接続して構成した燃料電池と、
前記各単セルの転極・過負荷状態の発電を検出する異常検出手段により前記転極・過負荷状態が検出された場合、この状態を表す転極・過負荷状態信号を送出する保護手段と、
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力電流が漸減するように制御する電流制限手段と
前記転極・過負荷状態信号を受けて動作を開始し、前記燃料電池の出力の回復を行う出力回復手段とを備えるとともに、
前記保護手段は、各単セルの両端を短絡するスイッチ手段を有しており、転極・過負荷状態が検出された場合にはこの状態となっている単セルの両端を前記スイッチ手段で短絡するように構成したことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記転極・過負荷状態信号は、前記異常検出手段により転極・過負荷状態が一定時間以上継続して検出されたことを条件として形成されるようにしたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、転極・過負荷状態が検出された単セルのみに回復措置を行うものであることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、転極・過負荷状態が検出された単セルを含め前記燃料電池を構成する全ての単セルを対象として回復措置を行うものであることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一つにおいて、
前記出力回復手段は、前記単セルの電極近傍に生成された水を除去するものであることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルの両端の電圧が所定値以下の場合に転極・過負荷状態であると判定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルの電極の温度が所定値以上の場合に転極・過負荷状態であると判定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一つにおいて、
前記保護手段は、各単セルが転極・過負荷状態となった回数をカウントするカウント手段をさらに有するとともに、同一単セルの転極・過負荷が連続して規定回数以上検出された場合に前記燃料電池の出力を遮断するものであることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項10】
請求項2において、
前記電流制限手段は、前記燃料電池の最大出力電流からその出力電流が漸減するように制御するものであることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記電流制限手段は、前記燃料電池の最大出力電流からその出力電流が漸減するように制御するとともに、その途中で前記燃料電池の転極・過負荷状態ではない正常状態への復帰が検出された場合には前記出力電流の値を復帰時点の出力電流値に固定する一方、再度前記転極・過負荷信号を受けた場合には前記出力電流をさらに漸減するように同様の制御を繰り返すものであることを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−33500(P2012−33500A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223348(P2011−223348)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2005−193759(P2005−193759)の分割
【原出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】