説明

燃料電池システム

【課題】運転中の騒音を低減することを可能にする燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃焼部6から排出される排ガスEG1中の水分及び燃料電池5から排出される空気オフガスA3中の水分のうちの少なくとも一方を凝縮させて回収する凝縮水回収部7と、凝縮水回収部7を通過した空気オフガスA5及び排ガスEG2のうちの少なくとも一方を筐体1の外部に排出する排気口部10とを備える燃料電子システムであって、筐体1の一方側に排気口部10を配置し、筐体1の他方側に凝縮水回収部7を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素系燃料と水とを水素生成部で反応させて水素を生成し、生成した水素と空気中の酸素とを燃料電池で電気化学的に反応させて発電する燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用の燃料電池コージェネシステムに適した方式として高分子形(PEM)燃料電池システムの開発が盛んに行われている。高分子形燃料電池システムの燃料の1つである水素は、いまだインフラストラクチャーが十分ではない。このため、都市ガス、LPガス、灯油等の原料を水素生成部で改質して水素リッチな燃料ガスを生成し、生成した燃料ガス中の水素と空気中の酸素とを高分子形燃料電池を利用して電気化学的に反応させて発電を行う高分子形燃料電池システムが開発されている。
【0003】
図4は、従来の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。図4に示すように、従来の燃料電池システムは、直方体の筐体101を備えている。筐体101の内部には、脱硫器102と、水素生成部103と、加湿器104と、燃料電池105と、燃焼部106と、凝縮器107と、凝縮水タンク108と、純水器109と、排気口部110とが設けられている。
【0004】
脱硫器102は、筐体101の外部から供給された都市ガス、LPガス、灯油等の原料m1中の硫黄分を除去(脱硫)する。脱硫器102で脱硫された脱硫後の原料m2は、水素生成部103に供給される。
【0005】
水素生成部103は、脱硫器102から供給された脱硫後の原料m2を、純水器109から供給された純水w1を利用して改質反応させることにより水素リッチな燃料ガスfg1を生成する。水素生成部103で生成された燃料ガスfg1は、燃料電池105に供給される。
【0006】
加湿器104は、筐体101の外部から供給された空気a1を加湿して加湿空気a2を生成する。加湿器104にて生成された加湿空気a2は、空気ポンプ111により燃料電池105に供給される。
【0007】
燃料電池105は、水素生成部103で生成された燃料ガスfg1中の水素と加湿器104で生成された加湿空気a2中の酸素とを電気化学的に反応させて発電を行う。また、燃料電池105は、電気化学反応に使用されなかった水素を含む燃料オフガスfg2を燃焼部106に排出し、電気化学反応に使用されなかった酸素及び電気化学反応により発生した水を含む空気オフガスa3を凝縮器107に排出する。
【0008】
燃焼部106は、燃焼ファン112を通じて筐体101の外部から供給される空気a4を利用して、燃料電池105から排出される燃料オフガスfg2中の水素を燃焼させ、水素生成部103を加熱する。この加熱により、脱硫後の原料m2の改質反応に必要な改質熱が得られる。燃焼部106において水素を燃焼した後に発生するガスは、排ガスeg1として燃焼部106から凝縮器107へ排出される。
【0009】
凝縮器107は、燃料電池105から供給される空気オフガスa3中の水分と燃焼部106から供給される排ガスeg1の水分とを凝縮して凝縮水cwを回収する。凝縮器107で回収された凝縮水cwは、凝縮水回収配管113を通じて凝縮水タンク108に貯水される。
【0010】
凝縮水タンク108に貯水された凝縮水cwは、改質水ポンプ114により純水器109に送られ、純水器109により純水w1に変えられる。一方、凝縮器107を通過した空気オフガスa5及び排ガスeg2は、ガス排出配管115を通じて排気口部110に送られ、排気口部110から筐体101の外部に排出される。
【0011】
前記構成を有する従来の燃料電池システムとしては、例えば、特許文献1(特開2006−49224号公報)に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−49224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の構成では、運転中の騒音が大きいという課題が有る。
従って、本発明の目的は、前記従来の課題を解決することにあって、運転中の騒音を低減することを可能とした燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明によれば、原料と水とから水素リッチな燃料ガスを生成する水素生成部と、
前記水素生成部で生成された前記燃料ガスと、空気とを用いて発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料オフガス中の水素を燃焼させ、前記水素生成部を加熱する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される排ガス中の水分及び前記燃料電池から排出される空気オフガス中の水分のうちの少なくとも一方を凝縮させて回収する凝縮水回収部と、
前記凝縮水回収部で回収された凝縮水を貯水する凝縮水タンクと、
前記水素生成部、前記燃料電池、前記凝縮水回収部、及び、前記凝縮水タンクを収容する筐体と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記筐体の外部に排出する排気口部と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記排気口部へ導くガス排出配管と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記筐体の一方側に前記排気口部を配置し、
前記筐体の他方側に前記凝縮水回収部を配置した、燃料電池システムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の燃料電池システムによれば、前記構成により、ガス排出配管の長さを従来よりも長くすることができる。これにより、ガス排出配管を通じて排気口部に放出される騒音を従来よりも減衰させて、運転中の騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1の燃料電池システムを側方から見た概略構成を示す説明図である。
【図3】図1の燃料電池システムの排気口部とガス排出配管との接続関係を示す斜視図である。
【図4】従来の燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは従来の燃料電池システムにおいて、運転中の騒音が大きい原因を鋭意検討した。その結果、以下の知見を得た。
【0018】
燃料電池システムの運転中においては、燃焼部が燃料オフガス中の水素を燃焼させる。このとき、燃焼部から燃焼音が発生する。この燃焼音は、凝縮水回収部及びガス排出配管を通じて排気口部に放出される。また、燃料電池システムの運転中においては、燃料電池から空気オフガスが排出される。この空気オフガスが配管を流れる際、空気オフガス中に含まれる気体と水とが同時に配管内を流れることにより、異音(気泡破裂音)が発生する。この異音は、凝縮水回収部及びガス排出配管を通じて排気口部に放出される。
【0019】
前記燃焼音及び異音は、全てが排気口部に放出されるのではなく、一部は、ガス排出配管に伝播してガス排出配管の表面からも放出される。ガス排出配管の表面から放出された前記燃焼音及び異音は、筐体の壁面が遮音壁として機能することにより減衰された後、筐体の外部に放出される。一方、排気口部から筐体の外部に放出される前記燃焼音及び異音は、通常、筐体に設けられた貫通穴を通じて、減衰されることなく放出される。このため、装置全体としての騒音に与える影響が大きい。
【0020】
前記従来の構成では、図4に示すように、凝縮器107と排気口部110とが筐体101の一方側に偏って配置され、それらが接近している。このため、凝縮器110と排気口部110とを連通するガス排出配管115の長さが短く、燃焼部106で発生する燃焼音及び空気オフガスa5が流れる際に発生する異音を十分に減衰することができない。
【0021】
これらの点を踏まえて、本発明者らは以下の本発明に至った。
本発明の第1態様によれば、原料と水とから水素リッチな燃料ガスを生成する水素生成部と、
前記水素生成部で生成された前記燃料ガスと、空気とを用いて発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料オフガス中の水素を燃焼させ、前記水素生成部を加熱する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される排ガス中の水分及び前記燃料電池から排出される空気オフガス中の水分のうちの少なくとも一方を凝縮させて回収する凝縮水回収部と、
前記凝縮水回収部で回収された凝縮水を貯水する凝縮水タンクと、
前記水素生成部、前記燃料電池、前記凝縮水回収部、及び前記凝縮水タンクを収容する筐体と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記筐体の外部に排出する排気口部と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記排気口部へ導くガス排出配管と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記筐体の一方側に前記排気口部を配置し、
前記筐体の他方側に前記凝縮水回収部を配置した、燃料電池システムを提供する。
【0022】
この構成により、ガス排出配管の長さを従来よりも長くすることができる。これにより、ガス排出配管の表面から放出される前記燃焼音及び異音の量を多くして、運転中の騒音を低減することができる。
【0023】
本発明の第2態様によれば、前記排気口部は、前記筐体の重力方向の上半分に配置され、
前記凝縮水回収部は、前記筐体の前記重力方向の下半分に配置されている、第1態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0024】
この構成により、ガス排出配管の少なくとも一部は、重力方向に延在することになるので、ガス排出配管内で結露した結露水は、滞留することなく凝縮水タンクに回収される。したがって、前記構成によれば、結露水の滞留によるガス排出配管の閉塞を防止することができる。また、ガス排出配管内でも空気オフガス及び排ガスのうちの少なくとも一方の水分を回収することができるので、凝縮水回収部の凝縮能力を小さくすることができる。これにより、凝縮水回収部の小型化を図ることができ、筐体の小型化を図ることができる。
【0025】
本発明の第3態様によれば、前記排気口部は、前記燃料電池よりも前記重力方向の上方に配置され、
前記凝縮水回収部は、前記燃料電池よりも前記重力方向の下方に配置されている、第2態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0026】
この構成により、本発明の排気口部と凝縮水回収部との重力方向の距離は、従来の燃料電池システムの排気口部と凝縮水回収部との重力方向の距離よりも長くなる。
【0027】
本発明の第4態様によれば、前記排気口部は、前記筐体の第1の側面に配置され、
前記ガス排出配管の一部は、前記筐体の前記第1の側面と対向する第2の側面に配置されている、第1〜3態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0028】
この構成により、ガス排出配管の一部は、排気口部が配置された第1の側面と対向する第2の側面に配置されるため、ガス排出配管の長さをさらに長くすることができる。また、前記構成によれば、ガス排出配管の一部と排気口部との間に筐体内の他の部品を介在させることで、筐体内の他の部品が遮音壁として機能し、前記燃料音及び前記異音のうちの少なくとも一方をさらに減衰させることができる。したがって、運転中の騒音をさらに低減することができる。
【0029】
本発明の第5態様によれば、前記ガス排出配管は、前記排気口部によるガス排気方向と直交する方向から前記排気口部に接続されている、第1〜4態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0030】
この構成により、ガス排出配管から排気口部に放出される騒音は、排気口部によるガス排気方向と直交する方向から排気口部のガス排出経路に放出されることになる。これにより、前記騒音は、排気口部のガス排気経路を形成する壁に当たって減衰された後、ガス排気方向に放出されることになり、運転中の騒音をさらに低減することができる。
【0031】
本発明の第6態様によれば、前記筐体は、直方体で形成されている、第1〜5態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0032】
本発明の第7態様によれば、前記筐体は、直方体の長手方向が重力方向と略平行に配置されている、第6態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0033】
この構成により、ガス排出配管の少なくとも一部が重力方向に延在する長さを長くすることができる。これにより、ガス排出配管内で結露した結露水がガス排出配管を閉塞することをより確実に防止することができる。
【0034】
以下、本発明の様々な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。図2は、図1の燃料電池システムを側方から見た概略構成を示す説明図である。本実施形態にかかる燃料電池システムは、固体高分子型燃料電池を用いた定置用燃料電池システムである。
【0036】
図1に示すように、本実施形態にかかる燃料電池システムは、直方体の筐体1を備えている。筐体1は、長手方向が重力方向と略平行になるように配置されている。筐体1の内部には、脱硫器2と、水素生成部3と、加湿器4と、燃料電池5と、燃焼部6と、凝縮水回収部7と、凝縮水タンク8と、純水器9と、排気口部10とが設けられている。
【0037】
脱硫器2は、筐体1の外部から供給された都市ガス、LPガス、灯油等の原料M1中の硫黄分を除去(脱硫)する。脱硫器2で脱硫された脱硫後の原料M2は、水素生成部3に供給される。
【0038】
水素生成部3は、脱硫器2から供給された脱硫後の原料M2を、純水器9から供給された純水W1を利用して改質反応させることにより水素リッチな燃料ガスFG1を生成する。水素生成部3で生成された燃料ガスFG1は、燃料電池5に供給される。
【0039】
加湿器4は、筐体1の外部から供給された空気A1を加湿して加湿空気A2を生成する。加湿器4にて生成された加湿空気A2は、空気ポンプ11により燃料電池5に供給される。
【0040】
燃料電池5は、固体高分子型燃料電池である。燃料電池5は、水素生成部3で生成された燃料ガスFG1中の水素と加湿器4で生成された加湿空気A2中の酸素とを電気化学的に反応させて発電を行う。また、燃料電池5は、電気化学反応に使用されなかった水素を含む燃料オフガスFG2を燃焼部6に排出し、電気化学反応に使用されなかった酸素及び電気化学反応により発生した水を含む空気オフガスA3を凝縮水回収部7に排出する。
【0041】
燃焼部6は、燃焼ファン12を通じて筐体1の外部から供給される空気A4を利用して、燃料電池5から排出される燃料オフガスFG2中の水素を燃焼させ、水素生成部3を加熱する。この加熱により、脱硫後の原料M2の改質反応に必要な改質熱が得られる。燃焼部6において水素を燃料した後に発生するガスは、排ガスEG1として燃焼部6から凝縮水回収部7へ排出される。
【0042】
凝縮水回収部7は、筐体1の重力方向の下半分の領域(筐体の他方側の一例)に配置されている。凝縮水回収部7は、空気オフガス凝縮器7Aと排ガス凝縮器7Bとを備えている。
【0043】
空気オフガス凝縮器7Aは、燃料電池5から排出される空気オフガスA3の水分を凝縮して凝縮水CW1を回収する。空気オフガス凝縮器7Aで回収された凝縮水CW1は、空気オフガス凝縮水回収配管13Aを通じて凝縮水タンク8に貯水される。
【0044】
排ガス凝縮器7Bは、燃焼部6から排出される排ガスEG1の水分を凝縮して凝縮水CW2を回収する。排ガス凝縮器7Bで回収された凝縮水CW2は、排ガス凝縮水回収配管13Bを通じて凝縮水タンク8に貯水される。
【0045】
凝縮水タンク8に貯水された凝縮水CW1,CW2は、改質水ポンプ14により純水器9に送られ、純水器9により純水W1に変えられる。この純水W1は、水素生成部3に供給される。
【0046】
凝縮水回収部7を通過した空気オフガスA5及び排ガスEG2は、ガス排出配管15を通じて排気口部10に送られる。より具体的には、空気オフガス凝縮器7Aを通過した空気オフガスA5は、空気オフガス排出配管15Aを通じて排気口部10に送られる。また、排ガス凝縮器7Bを通過した排ガスEG2は、排ガス排出配管15Bを通じて排気口部10に送られる。
【0047】
排気口部10は、ガス排出配管15を通じて送られた空気オフガスA5及び排ガスEG2を、筐体1の第1の側面1Aに設けられた貫通穴(図示せず)を通じて筐体1の外部に排出する。排気口部10は、箱状の形状を有し、筐体1の重力方向の上半分の領域(筐体の一方側の一例)に配置されている。また、排気口部10は、図2に示すように、筐体1の第1の側面1Aに配置されている。
【0048】
ガス排出配管15は、空気オフガス排出配管15Aと排ガス排出配管15Bとを備えている。ガス排出配管15は、図2に示すように、その一部が、筐体1の第1の側面1Aと対向する第2の側面1Bに配置されている。より具体的には、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bの一部が、筐体1の第2の側面1Bに沿って配置されている。
【0049】
また、ガス排出配管15は、排気口部10によるガス排気方向Xと直交する方向から排気口部10に接続されている。より具体的には、空気オフガス排出配管15Aは、図3に示すように、排気口部10が空気オフガスA5及び排ガスEG2を排出する排気面10Aに対して直交する第1の側面10Bに接続されている。また、排ガス排出配管15Bは、図3に示すように、排気面10A及び第1の側面10Bと直交する第2の側面10Cに接続されている。排気口部10は、排気面10Aが筐体1の第1の側面1Aに設けられた貫通穴(図示せず)と対向するように配置されている。前記構成により、排気口部10内に送られた空気オフガスA5及び排ガスEG2は、排気口部10の第1の側面10B又は第2の側面10Cと対向する側面に一旦当たって減衰され、その後、排気面10Aから筐体1の外部に放出される。
【0050】
以上のように構成された本実施形態にかかる燃料電池システムの動作及び作用について、以下に説明する。
【0051】
使用者がスタートボタンを押すなどして燃料電池システムの駆動開始が指示されると、脱硫器2に原料M1が供給され、かつ、改質水ポンプ14が駆動される。脱硫器2に供給された原料M1は、脱硫器2により原料M1に含まれる硫黄分を除去され、脱硫後の原料M2として水素生成部3に供給される。一方、改質水ポンプ14の駆動により、凝縮水タンク8から純水器9に水が送られる。純水器9に送られた水は、純水器9により純水W1にされた後、水素生成部3に供給される。
【0052】
脱硫後の原料M2と純水W1とは、水素生成部3内で改質反応する。これにより、水素リッチな燃料ガスFG1が生成される。生成された燃料ガスFG1は、燃料電池5に供給される。
【0053】
また、前記駆動開始の指示により、加湿器4に空気A1が供給され、かつ、空気ポンプ11が駆動される。加湿器4に供給された空気A1は、加湿器4で加湿され、加湿空気A2として燃料電池5に供給される。
【0054】
燃料電池5に供給された燃料ガスFG1と加湿空気A2とは、燃料電池5内で電気化学的に反応する。これにより、発電が行われる。この発電により得られた電力は、インバーター(図示せず)を介して、系統電源に供給される。
【0055】
電気化学反応に使用されなかった酸素及び電気化学反応により発生した水を含む空気オフガスA3は、燃料電池5から空気オフガス凝縮器7Aに送られ、空気オフガス凝縮器7Aにより空気オフガスA3中の凝縮水CW1が回収される。回収され凝縮水CW1は、空気オフガス凝縮水回収配管13Aを通じて凝縮水タンク8に蓄えられる。凝縮水タンク8に蓄えられた凝縮水CW1は、上述したように、改質水ポンプ14の駆動により凝縮水タンク8から純水器9に送られる。
【0056】
電気化学反応に使用されなかった水素を含む燃料オフガスFG2は、燃料電池5から燃焼部6に供給され、燃焼部6により、燃焼ファン12から供給された空気A4とともに燃焼される。これにより、水素生成部3が加熱され、脱硫後の原料M2の改質反応に必要な改質熱が得られる。
【0057】
燃料オフガスFG2と空気A4とを燃焼した際に発生する排ガスEG1は、排ガス凝縮器7Bに送られ、排ガス凝縮器7Bにより排ガスEG1中の熱と凝縮水CW2とが回収される。回収された凝縮水CW2は、排ガス凝縮水回収配管13Bを通じて凝縮水タンク8に蓄えられる。凝縮水タンク8に蓄えられた凝縮水CW1は、上述したように、改質水ポンプ14の駆動により凝縮水タンク8から純水器9に送られる。
【0058】
一方、空気オフガス凝縮器7Aを通過した空気オフガスA5は、空気オフガス排出配管15Aを通じて排気口部10に送られ、筐体1の外部に放出される。また、排ガス凝縮器7Bを通過した排ガスEG2は、排ガス排出配管15Bを通じて排気口部10に送られ、筐体1の外部に放出される。
【0059】
本実施形態においては、排気口部10が直方体の筐体1の上半分の領域に配置され、空気オフガス凝縮器7A及び排ガス凝縮器7Bが筐体1の下半分の領域に配置されているので、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bの長さを長くすることができる。燃焼部6で発生する燃焼音及び空気オフガスA5が流れる際に発生する異音(気泡破裂音)は、排気口部10だけでなく、空気オフガス排出配管15A又は排ガス排出配管15Bに伝播してそれらの配管15A,15Bの表面からも放出される。このため、各配管15A,15Bの長さを従来よりも長くすることで、各配管15A,15Bの表面から放出される燃料音及び異音の量が多くなり、排気口部10から放出される燃料音及び異音の量が低減されることになる。排気口部10から放出される燃料音及び異音は、筐体1の第1の側面1Aに設けられた貫通穴を通じて筐体1の外部に放出されるため、騒音への影響が大きい。一方、各配管15A,15Bの表面から放出される燃料音及び異音は、筐体1の壁面が遮音壁として機能することにより減衰された後、筐体1の外部に放出される。したがって、各配管15A,15Bの長さを従来よりも長くすることにより、装置全体としての運転中の騒音を低減することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、排気口部10と空気オフガス凝縮器7Aとを筐体1の上下に分けて配置することにより、空気オフガス排出配管15Aの少なくとも一部が重力方向に延在する(重力方向の成分を持つ)ことになる。このため、空気オフガス排出配管15A内で、空気オフガスA5中に残留している水分が結露したとしても、当該結露により生じた結露水は、滞留することなく凝縮水タンク8に回収される。言い換えれば、空気オフガス排出配管15A内でも空気オフガスA5中の水分を回収することができる。これにより、結露水の滞留による空気オフガス排出配管15Aの閉塞を防止することができる。また、空気オフガス凝縮器7Aの凝縮能力を小さく設定することが可能になり、空気オフガス凝縮器7Aの小型化を図ることができる。その結果、筐体1の小型化が可能となる。なお、このような観点から、空気オフガス排出配管15Aの重力方向に延在する部分は、できる限り長く、直線状であることが好ましい。
【0061】
同様に、本実施形態においては、排気口部10と排ガス凝縮器7Bとを筐体1の上下に分けて配置することにより、排ガス排出配管15Bの少なくとも一部が重力方向に延在する(重力方向の成分を持つ)ことになる。このため、排ガス排出配管15B内で、排ガスEG2中に残留している水分が結露したとしても、当該結露により生じた結露水は、滞留することなく凝縮水タンク8に回収される。言い換えれば、排ガス排出配管15B内でも排ガスEG2中の水分を回収することができる。これにより、結露水の滞留による排ガス排出配管15Bの閉塞を防止することができる。また、排ガス凝縮器7Bの凝縮能力を小さく設定することが可能になり、排ガス凝縮器7Bの小型化を図ることができる。その結果、筐体1の小型化が可能となる。なお、このような観点から、排ガス排出配管15Bの重力方向に延在する部分は、できる限り長く、直線状であることが好ましい。
【0062】
また、本実施形態においては、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bの一部が、排気口部10が配置された第1の側面1Aと対向する第2の側面1Bに沿って配置されているので、各配管15A,15Bの長さをさらに長くすることができる。また、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bの一部と排気口部10との間に筐体1内の他の部品を介在させることで、筐体1内の他の部品が遮音壁として機能し、前記燃料音及び異音をさらに減衰させることができる。したがって、運転中の騒音をさらに低減することができる。また、筐体1の一方の側面から極端に大きな騒音が発生されることも防ぐことができる。
【0063】
また、本実施形態においては、空気オフガス排出配管15Aがガス排気方向Xと直交する排気口部10の第1の側面10Bに接続されているので、排気口部10内に放出された前記異音は、第1の側面10Bと対向する側面に一旦当たって減衰される。言い換えれば、前記異音は、排気口部10のガス排出経路を形成する壁に当たって減衰された後、ガス排気方向Xに放出されることになる。これにより、運転中の騒音をさらに低減することができる。
【0064】
同様に、本実施形態においては、排ガス排出配管15Bがガス排気方向Xと直交する排気口部10の第2の側面10Cに接続されているので、排気口部10内に放出された前記燃焼音は、第2の側面10Cと対向する側面に一旦当たって減衰される。言い換えれば、前記燃焼音は、排気口部10のガス排出経路を形成する壁に当たって減衰された後、ガス排気方向Xに放出されることになる。これにより、運転中の騒音をさらに低減することができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施形態では、筐体1の上半分の領域に排気口部10を配置し、筐体1の下半分の領域に凝縮水回収部7を配置したが、本発明はこれに限定されない。排気口部10が筐体1の一方側に配置され、凝縮水回収部7が筐体1の他方側に配置されていればよい。この場合でも、ガス排出配管15の長さを従来よりも長くすることができ、運転中の騒音を低減することができる。
【0066】
また、好ましくは、排気口部10は、燃料電池5よりも重力方向の上方に配置するものとする。これにより、ガス排出配管15の長さをより長くすることができる。また、より好ましくは、排気口部10は、筐体1の天板又は天板近傍の側面に配置するものとする。これにより、ガス排出配管15の長さをより一層長くすることができる
【0067】
また、前記実施形態では、凝縮水回収部7が空気オフガス凝縮器7A及び排ガス凝縮器7Bで構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、凝縮水回収部7は、空気オフガス凝縮器7A及び排ガス凝縮器7Bのいずれか一方のみ備えるように構成されてもよい。この場合、ガス排出配管15は、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bのいずれか一方を備えるように構成すればよい。このような構成によっても、空気オフガス排出配管15A及び排ガス排出配管15Bのいずれか一方を従来よりも長くして前記燃焼音及び異音のいずれか一方を低減することができるので、運転中の騒音を低減することができる。
【0068】
また、凝縮水回収部7は、空気オフガス凝縮器7Aの機能と排ガス凝縮器7Bの機能の両方を有する単一の混合凝縮器で構成されてもよい。この場合、ガス排出配管15は、空気オフガスA5と排ガスEG2とが混合した混合排気ガスを排気口部10に供給する混合排気ガス排出配管を備えるように構成すればよい。このような構成によっても、混合排気ガス排出配管の長さを長くして前記燃焼音及び異音を低減することができるので、運転中の騒音を低減することができる。なお、前記構成の場合、空気オフガスA3と排ガスEG1とは、混合凝縮器内で混合されてもよいし、混合凝縮器に供給される前に混合されてもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、空気オフガス排出配管15Aを空気オフガス凝縮器7Aに接続するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、空気オフガス排出配管15Aを凝縮水タンク8に接続して、空気オフガス凝縮器7Aと空気オフガス凝縮水回収配管13Aと凝縮水タンク8を通過した空気オフガスA5を、排気口部10に供給するようにしてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、固体高分子型燃料電池を用いた定置用燃料電池システムについて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、燐酸型燃料電池、アルカリ型燃料電池など種々の燃料電池を用いた定置用燃料電池システムであってもよい。これらの場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
なお、固体酸化物型燃料電池を用いる場合、本発明の水素生成部は、燃料電池と一体となる構成であってもよく、本発明の燃焼部は、燃料電池及び水素生成部を加熱する構成であってもよい。この場合であっても、運転中の騒音を低減するという効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかる燃料電池システムは、運転中の騒音を低減することができるので、固体高分子型燃料電池及び固体酸化物型燃料電池などを用いた定置用燃料電池システム等として有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 筐体
1A 第1の側面
1B 第2の側面
2 脱硫器
3 水素生成部
4 加湿器
5 燃料電池
6 燃焼部
7 凝縮水回収部
7A 空気オフガス凝縮器
7B 排ガス凝縮器
8 凝縮水タンク
9 純水器
10 排気口部
10A 排気面
10B 第1の側面
10C 第2の側面
11 空気ポンプ
12 燃焼ファン
13A 空気オフガス凝縮水回収配管
13B 排ガス凝縮水回収配管
14 改質水ポンプ
15 ガス排出配管
15A 空気オフガス排出配管
15B 排ガス排出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料と水とから水素リッチな燃料ガスを生成する水素生成部と、
前記水素生成部で生成された前記燃料ガスと、空気とを用いて発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料オフガス中の水素を燃焼させ、前記水素生成部を加熱する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される排ガス中の水分及び前記燃料電池から排出される空気オフガス中の水分のうちの少なくとも一方を凝縮させて回収する凝縮水回収部と、
前記凝縮水回収部で回収された凝縮水を貯水する凝縮水タンクと、
前記水素生成部、前記燃料電池、前記凝縮水回収部、及び、前記凝縮水タンクを収容する筐体と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記筐体の外部に排出する排気口部と、
前記凝縮水回収部を通過した前記空気オフガス及び前記排ガスのうちの少なくとも一方を前記排気口部へ導くガス排出配管と、
を備えた燃料電池システムであって、
前記筐体の一方側に前記排気口部を配置し、
前記筐体の他方側に前記凝縮水回収部を配置した、燃料電池システム。
【請求項2】
前記排気口部は、前記筐体の重力方向の上半分の領域に配置され、
前記凝縮水回収部は、前記筐体の前記重力方向の下半分の領域に配置されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記排気口部は、前記燃料電池よりも前記重力方向の上方に配置され、
前記凝縮水回収部は、前記燃料電池よりも前記重力方向の下方に配置されている、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記排気口部は、前記筐体の第1の側面に配置され、
前記ガス排出配管の一部は、前記筐体の前記第1の側面と対向する第2の側面に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記ガス排出配管は、前記排気口部によるガス排気方向と直交する方向から前記排気口部に接続されている、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記筐体は、直方体で形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記筐体は、直方体の長手方向が重力方向と略平行に配置されている、請求項6に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−59550(P2012−59550A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201718(P2010−201718)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】