説明

燃料電池モジュール、燃料電池モジュールの製造方法、及び燃料電池

【課題】製造にあたり改質器の検査を簡便に行うことが可能な燃料電池モジュールを提供する。
【解決手段】燃料電池モジュールFCは、複数の燃料電池セル4を有する燃料電池セルスタック400と、燃料ガスを改質する改質器5と、燃料電池セルスタック400と改質器5とを接続し、改質器5によって改質された燃料ガスを燃料電池セルスタック400へと導入する接続管61とを備える。接続管61は、配管61Aと配管61Bとを有している。配管61Aと配管61Bとは接合部61Cを介して機械的に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、燃料電池モジュール、燃料電池モジュールの製造方法、及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような燃料電池モジュールにおいては、複数の燃料電池セルによって構成される燃料電池セルスタックを収納容器内に収容し、複数の燃料電池セルそれぞれに空気と燃料ガスとを供給して作動させている(例えば、下記特許文献1(特開2005−093081号公報)及び下記特許文献2(特開2007−103194号公報)参照)。
【0003】
ここで、下記特許文献1(特開2005−093081号公報)の燃料電池モジュールでは、原燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する改質器と、燃料電池セルスタックが設けられたガスタンクとが、燃料ガス供給管によって接続されている。
【特許文献1】特開2005−093081号公報
【特許文献2】特開2007−103194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、改質器は、その内部に例えば球状の改質触媒が封入されて構成されている。そして、燃料電池モジュールを製造するにあたり、改質器の検査が必要になる。具体的には、改質器の内部に予めガスを通過させ、改質器の密封性(流通ガスが改質器から流出しないこと)を確認している。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1(特開2005−093081号公報)に記載されているような従来の燃料電池モジュールでは、改質器とガスタンクとが燃料ガス供給管によって一体的に接続されていた。そのため、改質器の検査が困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、製造にあたり改質器の検査を簡便に行うことが可能な燃料電池モジュール及びその製造方法並びに燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスとが一端側から他端側へと流れることにより作動する複数の燃料電池セルと、前記複数の燃料電池セルの他端側に対向配置され、被改質ガスを改質して燃料ガスとする改質器と、前記改質器に被改質ガスを供給する流入配管部と、前記改質器から燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの一端へ送り出す流出配管部とを有するガス配管と、を備える燃料電池モジュールであって、少なくとも前記流出配管部は、それぞれが管状を成す第1部分と第2部分とが機械的に接合されて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造にあたり改質器の検査を簡便に行うことが可能な燃料電池モジュール及びその製造方法並びに燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用効果について説明する。
【0010】
本発明に係る燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスとが一端側から他端側へと流れることにより作動する複数の燃料電池セルと、前記複数の燃料電池セルの他端側に対向配置され、被改質ガスを改質して燃料ガスとする改質器と、前記改質器に被改質ガスを供給する流入配管部と、前記改質器から燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの一端へ送り出す流出配管部とを有するガス配管と、を備える燃料電池モジュールであって、少なくとも前記流出配管部は、それぞれが管状を成す第1部分と第2部分とが機械的に接合されて形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る燃料電池モジュールでは、少なくとも流出配管部が第1部分と第2部分とを機械的に接合して形成している。そのため、例えば第1部分を改質器に接合した後に、第1部分と第2部分とを機械的に接合して燃料電池モジュールを製造することができる。従って、改質器の検査を行う場合には、第1部分と第2部分とを機械的に接合する前、すなわち流出配管部が第1部分と第2部分とに分割されている状態で改質器の検査を行うことができるようになっている。その結果、製造にあたり改質器の検査を簡便に行うことが可能となる。
【0012】
更に、流出配管部の第1部分と第2部分とを機械的に接合しているので、第1部分と第2部分との接合の際に、例えば溶接等によって第1部分と第2部分とを接合する場合のように熱が生じない。そのため、熱によって燃料電池セルの外表面に影響を与える虞がなくなっている。従って、本発明は、燃料電池モジュールの施工性の向上にも大きく寄与することとなる。
【0013】
また、本発明に係る燃料電池モジュールでは、前記第1部分と前記第2部分とは、着脱自在に接合されることも好ましい。このようにすると、改質器の取り付け後でも燃料電池モジュールから改質器を取り外すことが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る燃料電池モジュールでは、前記第1部分と前記第2部分とがジョイント部分を介して接合されていることも好ましい。この好ましい態様では、第1部分と第2部分との間にジョイント部分を介在させるので、第1部分と第2部分とを接合する役割をジョイント部分に担わせることができ、それぞれが管状の第1部分と第2部分とに特別な加工等をせずに接合することができる。
【0015】
また、本発明に係る燃料電池モジュールでは、前記第1部分と前記第2部分とが直接機械的に接合されていることも好ましい。この好ましい態様では、第1部分と第2部分とを直接接合するので、接合のための部材を別途設けることなく簡単な機構で接合することができる。
【0016】
また、本発明に係る燃料電池モジュールでは、前記燃料電池セルの他端と前記改質器との間に、前記改質器によって改質された燃料ガスと酸化剤ガスとが混合して燃焼する燃焼部が形成され、前記第1部分と前記第2部分が機械的に接合されている部分は、前記燃焼部よりも前記燃料電池セルの一端側に配置されていることを特徴とする。このようにすると、前記第1部分と前記第2部分とが機械的に接合されている部分が、熱源から遠方に位置することとなるので、複数の燃料電池セルの各先端部分において行われる燃焼による熱の影響を受けにくくなる。そのため、燃料電池モジュールの使用後であっても、燃料電池モジュールから改質器を取り外しやすくなっている。
【0017】
また、本発明に係る燃料電池モジュールを備える燃料電池では、上述したような作用効果を奏する燃料電池を提供することができる。
【0018】
本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法は、燃料ガスと酸化剤ガスとが一端側から他端側へと流れることにより作動する複数の燃料電池セルと、前記複数の燃料電池セルの他端側に対向配置され、被改質ガスを改質して燃料ガスとする改質器と、前記改質器に被改質ガスを供給する流入配管部と、前記改質器から燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの一端へ送り出す流出配管部とを有するガス配管と、を備える燃料電池モジュールの製造方法であって、前記流出配管部を形成する第1部分及び第2部分の内、第1部分を前記改質器に接合し、その後、分割形成された第1部分と第2部分とを機械的に接合して前記流出配管部と成すことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法では、第1部分と第2部分とを機械的に接合することで燃料電池セルスタックと改質器とを接続している。そのため、燃料電池モジュールを製造するにあたり改質器の検査を行う場合には、流出配管部の第1部分と第2部分とを機械的に接合する前、すなわち流出配管部が第1部分と第2部分とに分割されている状態で改質器の検査を行うことができるようになっている。その結果、製造にあたり改質器の検査を簡便に行うことが可能となる。
【0020】
ここで、本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法では、流出配管部の第1部分と第2部分とを機械的に接合しているので、第1部分と第2部分との接合の際に、例えば溶接等によって第1部分と第2部分とを接合する場合のように熱が生じない。そのため、熱によって燃料電池セルの外表面に影響を与える虞がなくなっている。従って、本発明は、燃料電池モジュールの施工性の向上にも大きく寄与することとなる。
【0021】
続いて、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明に係る燃料電池モジュールの一実施形態を示す正面図である。また、図2は、カバー部材を外して示す燃料電池モジュールの斜視図である。
【0023】
同図に示すように、燃料電池モジュールFCは、カバー部材1(容器)とベース部材2(容器)とによって密閉される空間内に10個の燃料電池セルスタック400を並べて配置している。従って、この燃料電池モジュールFCでは、カバー部材1とベース部材2とによって、燃料電池セル4等が内包される容器が形成されている。各燃料電池セルスタック400には、16個の燃料電池セル4が2列になって配置されている。これらの燃料電池セル4は、電気的に直列に配置されている。
【0024】
各燃料電池セル4は、管状であり、燃料電池セル4の管内を燃料電池セル4の下端から上端へと流れるガスと、その管外を下端から上端へと流れるガスの作用により作動する。本実施形態では、燃料電池セル4の管内を流れるガスは、水素又は炭化水素燃料等を改質した改質ガス等の燃料ガスであり、燃料電池セル4の管外を流れるガスは、酸素を含む空気等の酸化剤ガスである。
【0025】
燃料電池セル4を含む燃料電池セルユニット30について、図3を参照しながら説明する。図3に示すように、燃料電池セルユニット30は、燃料電池セル4によって形成され且つ上下方向に延びる管状構造体であり、円筒形の燃料電池セル4と、燃料電池セル4の一方の端部4aに取付けられた内側電極端子40と、他方の端部4bに取付けられた外側電極端子42と、を有している。
【0026】
燃料電池セル4は、円筒形の内側の電極層44と、円筒形の外側の電極層48と、これらの電極層44、48の間に配置された円筒形の電解質層46と、内側の電極層44の内側に構成される貫通流路50とを有している。また、燃料電池セル4の一方の端部4aに、内側の電極層44が電解質層46及び外側の電極層48に対して露出した内側電極露出周面44aと、電解質層46が外側の電極層48に対して露出した電解質露出周面46aとが設けられている。燃料電池セル4の他方の端部4bは、外側の電極層48が露出した外側電極露出周面48aによって構成されている。
【0027】
内側の電極層44は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートとの混合体、の少なくとも一種から形成される。電解質層46は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。外側の電極層48は、例えば、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたサマリウムコバルト、銀、などの少なくとも一種から形成される。この場合、内側の電極層44が燃料極になり、外側の電極層48が空気極になる。内側の電極層44の厚さは、例えば、1mmであり、電解質層46の厚さは、例えば、30μmであり、外側の電極層48の厚さは、例えば、30μmであり、その外径は、例えば、1〜10mmである。
【0028】
内側電極端子40は、内側電極外周面44aを全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続された本体部分40aと、本体部分40aから燃料電池セル4の長手方向に延びる管状部分40bとを有している。本体部分40a及び管状部分40bは、円筒形であり且つ同心に配置され、管状部分40bの管径は、本体部分40aの管径よりも細くなっている。管状部分40bは、貫通流路50と連通し且つ外部と通じる接続流路40cを有している。本体部分40aと管状部分40bとの間の段部40dは、内側の電極層44の端面44bと当接している。
【0029】
外側電極端子42は、外側電極外周面48を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続された本体部分42aと、本体部分42aから燃料電池セル4の長手方向に延びる管状部分42bとを有している。本体部分42a及び管状部分42bは、円筒形であり且つ同心であり、管状部分42bの管径は、本体部分42aの管径よりも細くなっている。管状部分42bは、貫通流路50と連通し且つ外部と通じる接続流路42cを有している。本体部分42aと管状部分42bとの間の段部42dは、環状の絶縁部材52を介して外側の電極層48、電解質層46及び内側の電極層44の端面44cと当接している。
【0030】
内側電極端子40の全体形状と外側電極端子42の全体形状とは同一である。また、内側電極端子40と燃料電池セル4、及び、外側電極端子42と燃料電池セル4とは、その全周にわたって導電性のシール材54によってシールされ且つ固定されている。シール材54は、例えば、銀、銀とガラスの混合物、金、ニッケル、銅、チタンなどを含む各種ロウ材である。
【0031】
内側電極端子40の接続流路40c、燃料電池セル4の貫通流路50、及び外側電極端子42の接続流路42cは、燃料電池セルユニット30の管内流路30cを構成する。
【0032】
続いて、燃料電池セルスタック400について、図4を参照しながら説明する。燃料電池セルスタック400は、16本の燃料電池セルユニット30と、上支持板400aと、下支持板400bと、接続部材400cと、外部端子400dとを備えている。
【0033】
上支持板400a及び下支持板400bは矩形であり、それぞれ、燃料電池セルユニット30を2列×8列で支持するように燃料電池セルユニット30の管状部分40b、42bに嵌合する貫通孔(図に明示しない)を有している。上支持板400a及び下支持板400bは、電気絶縁性材料で形成されており、例えば、耐熱性のセラミックスで形成されている。具体的には、アルミナ、ジルコニア、スピネル、フォルステライト、マグネシア、チタニアなどを用いることが好ましい。
【0034】
16本の燃料電池セルユニット30は、それらが電気的に直列に接続されるように配列されている。詳細には、燃料電池セルユニット30は、隣接した燃料電池セルユニット30の内側電極端子40が交互に上側及び下側に配置されるように配列されている。更に、16本の燃料電池セルユニット30を電気的に直列に接続するための接続部材400cが設けられている。接続部材400cは、隣接した1つの内側電極端子40と1つの外側電極端子42とを電気的に接続する。直列に接続された16本の燃料電池セルユニット30の両端部の内側電極端子40及び外側電極端子42にはそれぞれ、外部と電気的な接続を行うための外部端子400dが設けられている。接続部材400c、外部端子400dは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金などの耐熱金属や、ランタンクロマイトなどのセラミック材料で形成される。各燃料電池セルスタック400の外部端子400dは電気的に直列に接続されていて、その両端には電極棒13,14に接続されている。
【0035】
図1に戻り、燃料電池モジュールFCについて説明する。カバー部材1は、正面側の側壁(不図示)と、燃料電池スタック30の配列方向の側壁101,102と、背面側の側壁103と、天井104とによって直方体状に形成されている。側壁101の下端部には、フランジ部1aが形成されている。カバー部材1のフランジ部1aをベース部材2に当接させることで、カバー部材1とベース部材2とによって密閉される空間が形成されている。
【0036】
カバー部材1とベース部材2とによって形成される内部空間は、仕切り板15によって二つの空間に分離されている。仕切り板15によって分離されている空間の内、燃料電池セルスタック400が配置されている空間が発電室16である。仕切り板15によって分離されている空間の内、他方の空間が排気ガス室17である。
【0037】
仕切り板15にはガスタンク3が載置されている。ガスタンク3には、燃料電池セルスタック400が10個並べて配置されており、ガスタンク3から燃料ガスが、それぞれの燃料電池セルスタック400を構成する燃料電池セル4に供給される。
【0038】
より具体的には、ガスタンク3の上面には、燃料電池セルスタック400の下支持板400bとほぼ同じ形状の開口部(図に明示しない)が設けられており、その開口部に下支持板400bを密接させてガスタンク3と各燃料電池セルスタック400とが接続されている。従って、燃料電池セルスタック400を構成する燃料電池セル4は、その先端部分を上部側に向けてガスタンク3に立設されている。
【0039】
一方、各燃料電池セルスタック400の上方は、空気と燃料ガスとが混合して燃焼する燃焼部18となっている。燃料ガスは、ガスタンク3から、燃料電池セルユニット30の管内流路30cを通り、燃焼部18に向けて上昇する。また、燃料電池セル4の外側を流れる空気も、燃焼部18に向けて上昇する。背面側の側壁102において燃焼部18に対応する部分には、燃焼ガスと空気との燃焼を開始させるための点火装置19が設けられている。点火装置19により燃料ガスと空気とが混合して燃焼する。燃料電池セルスタック400を構成する燃料電池セル4は、燃焼部18によって上方から加熱される。
【0040】
燃料ガスは、燃料ガス供給管8を通って燃料電池モジュールFC内に導入される。燃料ガス供給管8は、仕切り板15に対して立設された配管60B(流入配管部、第2部分)及び配管60Bに対して機械的に接続されている配管60A(流入配管部、第1部分)を介して改質器5に繋がっている。配管60A及び配管60Bは接合部60C(ジョイント部分)によって機械的に接合され、一体化された流入配管部60とされている。接合部60Cは、ナット60Ca、ジョイント60Cb、及びナット60Ccによって構成されている。ジョイント60Cbは、筒状であってその両端に雄ねじが切られており、筒状の内部に反対方向から配管60A及び配管60Bがそれぞれ挿入されるように形成されている。ナット60Caは配管60Aに通されていて、ジョイント60Cbに配管60Aを挿入した後に、ナット60Caをジョイント60Cbに対して締め付けることで、ジョイント60Cbの両端に挿入されている円錐状のフェルール(図に明示しない)が押し込まれ、ジョイント60Cbがフェルールを介して配管60Aに圧接されて接合される。同様に、ナット60Ccは配管60Bに通されていて、ジョイント60Cbに配管60Bを挿入した後に、ナット60Ccをジョイント60Cbに対して締め付けることで、ジョイント60Cbの両端に挿入されている円錐状のフェルール(図に明示しない)が押し込まれ、ジョイント60Cbがフェルールを介して配管60Bに圧接されて接合される。このように、配管60A及び配管60Bは、接合部60Cを介して機械的に接合されており、着脱可能に構成されている。
【0041】
改質器5に導入された燃料ガスは、改質器5内に収められている改質触媒によって改質される。改質された燃料ガスは、配管61A(流出配管部、第1部分)及び配管61B(流出配管部、第2部分)を通ってガスタンク3へと供給される。改質器5に封入されている改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したもの、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したもの、が適宜用いられる。
【0042】
配管61Aは改質器5に接合されており、配管61Bはガスタンク3に立設されている。配管61A及び配管61Bは接合部61C(ジョイント部分)によって機械的に接合され、一体化された流出配管部61とされている。接合部61Cは、ナット61Ca、ジョイント61Cb、及びナット61Ccによって構成されている。ジョイント61Cbは、筒状であってその両端に雄ねじが切られており、筒状の内部に反対方向から配管61A及び配管61Bがそれぞれ挿入されるように形成されている。ナット61Caは配管61Aに通されていて、ジョイント61Cbに配管61Aを挿入した後に、ナット61Caをジョイント61Cbに対して締め付けることで、ジョイント61Cbの両端に挿入されている円錐状のフェルール(図に明示しない)が押し込まれ、ジョイント61Cbがフェルールを介して配管61Aに圧接されて接合される。同様に、ナット61Ccは配管61Bに通されていて、ジョイント61Cbに配管61Bを挿入した後に、ナット61Ccをジョイント61Cbに対して締め付けることで、ジョイント61Cbの両端に挿入されている円錐状のフェルール(図に明示しない)が押し込まれ、ジョイント61Cbがフェルールを介して配管61Bに圧接されて接合される。このように、配管61A及び配管61Bは、接合部61Cを介して機械的に接合されており、着脱可能に構成されている。
【0043】
改質器5に対して配管60Aが繋がっている部分と、改質器5に対して配管61Aが繋がっている部分とは、長手方向において一端近傍と他端近傍とに引き離されている。これによって、改質器5に供給された燃料ガスは改質触媒に十分に触れることが可能となる。また、流入配管部60の接合部60C及び流出配管部61の接合部61Cは、燃焼部18よりも下方に、燃料電池セル4の下端側に配置されている。
【0044】
カバー部材1の側壁101,102,103、及び天井104は、二重壁構造になっており、その二重壁の間の空間を気体が通過可能なように構成されている。側壁102の内部空間と、天井104の内部空間と、側壁103の内部空間とはそれぞれ繋がっている。側壁102の下部には空気供給管10が連通されていて、空気が供給されるように構成されている。
【0045】
側壁102に供給された空気は、天井104から側壁103へと流れ、その流れる過程において発電室16内から伝わる熱によって加熱されるように構成されている。側壁103へ流れ込んだ空気は、空気流路103aに流れ込むように構成されている。空気流路103aは、側壁101から側壁102へ向けて延びるように形成され、側壁103の内側において仕切り板15の上面近傍に沿って配置されている。空気流路103aには所定間隔をおいて、空気流入孔103bが設けられている。
【0046】
側壁103から空気流路103aに流れ込んだ空気は、空気流入孔103bを通って発電室16内へと流れ込むように構成されている。空気流入孔103bを通って発電室16内へと流れ込んだ空気は、燃料電池セル4の外側の通路を通って各燃料電池セル4の下方から上方へと流れる。各燃料電池セル4の上方に至った空気は、各燃料電池セル4の管内流路を通った燃料ガスと合わせて燃焼される。
【0047】
側壁103の内側上端には、排気ガス流出スリット103cが設けられている。各燃料電池セル4の上方において燃料ガスと空気とが燃焼して発生した排気ガスは、排気ガス流出スリット103cを通って側壁103の内部空間に入る。側壁103へと入り込んだ排気ガスは、側壁103の内部空間を下方へと流れ、排気ガス室17へと至って一時的に貯留される。排気ガス室17へと至った排気ガスは、排気ガス管11を通って燃料電池モジュールFCの外部へと排出される。
【0048】
続いて、以上のような構成を有する燃料電池モジュールFCの製造方法について説明する。
【0049】
まず、ベース部材2上に仕切り板15を設け、この仕切り板15上にさらにガスタンク3及び燃料電池セルスタック400を設ける。ここで、仕切り板15の下面には、予め、燃料ガス供給管8が取り付けられている。仕切り板15には、予め、配管60Bが上方に向かうように突設されている。ガスタンク3には、予め、配管61Bが上方に向かうように突設されている。
【0050】
次に、改質器5を用意する。改質器5の長手方向に対して一端近傍には、配管60Aが突設されている。改質器5の長手方向に対して他端近傍には、配管61Aが突設されている。
【0051】
次に、仕切り板15から突出している配管60Bと、改質器5に設けられている配管60Aとを、接合部60Cによって締着する。また、このとき、ガスタンク3に設けられている配管61Bと、改質器5に設けられている配管61Aとについても、接合部61Cによって締着する。これにより、配管60Aと配管60Bとが接合部60Cを介して機械的に接合され、配管61Aと配管61Bとが接合部61Cを介して機械的に接合される。
【0052】
次に、ベース部材2とカバー部材1のフランジ部1aとを接続することで、ベース部材2にカバー部材1を取り付ける。こうして、燃料電池モジュールFCが完成する。
【0053】
以上のような本実施形態では、流入配管部60が配管60Aと配管60Bとを有しており、配管60Aと配管60Bとが接合部60Cを介して機械的に接合されている。また、流出配管部61が配管61Aと配管61Bとを有しており、配管61Aと配管61Bとが接合部61Cを介して機械的に接合されている。そのため、燃料電池モジュールFCを製造するにあたり改質器5の検査を行う場合には、流入配管部60の配管60Aと配管60Bとを機械的に接合する前で且つ流出配管部61の配管60Aと配管60Bとを機械的に接合する前、すなわち流入配管部60が配管60Aと配管60Bとに分割されており、流出配管部61が配管61Aと配管61Bとに分割されている状態で改質器5の検査を行うことができるようになっている。その結果、製造にあたり改質器5の検査を簡便に行うことが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、流入配管部60の配管60Aと配管60Bとを機械的に接合しており、流出配管部61の配管61Aと配管61Bとを機械的に接合している。そのため、配管60Aと配管60Bとの接合の際及び配管61Aと配管61Bとの接合の際に、例えば溶接等によって接合する場合のように熱が生じない。そのため、熱によって燃料電池セル4の外表面に影響(外表面の劣化等)を与える虞がなくなっている。従って、本実施形態は、燃料電池モジュールFCの施工性の向上にも大きく寄与することとなる。
【0055】
また、本実施形態では、流入配管部60の配管60Aと配管60Bとが着脱自在とされており、流出配管部61の配管61Aと配管61Bとが着脱自在とされている。そのため、改質器5の取り付け後でも燃料電池モジュールFCから改質器5を取り外すことができるようになっている。
【0056】
また、本実施形態では、配管60Aと配管60Bとが機械的に接合されている部分が、燃料電池セル4の先端部分よりも下方に位置している。また、配管61Aと配管61Bとが機械的に接合されている部分が、燃料電池セル4の先端部分よりも下方に位置している。そのため、配管60Aと配管60Bとが機械的に接合されている部分及び配管61Aと配管61Bとが機械的に接合されている部分が、熱源から遠方に位置することとなるので、燃料電池セル4の先端部分において行われる燃焼による熱の影響を受けにくくなる。そのため、燃料電池モジュールFCの使用後であっても、燃料電池モジュールFCから改質器5を取り外しやすくなっている。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態
に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、接合部60Cを介して配管60Aと配管60Bとを機械的に接合し、接合部61Cを介して配管61Aと配管61Bとを機械的に接合していたが、機械的な接合方法としてはこれに限られない。具体的には、図5に示されるように、配管60A(61A)の先端にフランジ部60D(61D)を設けると共に配管60C(61C)の先端にフランジ部60E(61E)を設け、フランジ部60Dとフランジ部60Eとをボルト及びナット(共に図示せず)によって接合し、フランジ部61Dとフランジ部61Eとをボルト及びナット(共に図示せず)によって接合するようにしてもよい。つまり、図5においては、フランジ部60D及びフランジ部60Eを挟むようにボルト及びナットを締着することで、配管60Aと配管60Bとが機械的に接合される。また、フランジ部61D及びフランジ部61Eを挟むようにボルト及びナットを締着することで、配管61Aと配管61Bとが機械的に接合される。なお、このときに用いるボルト及びナットの材質としては、耐熱性金属であると好ましい。
【0058】
また、図6に示されるように、先端部が配管60G(配管60Bに相当する)の先端部の径よりも拡径された配管60F(配管60Aに相当する)を用意して、配管60Gの先端部を配管60Fの先端部に挿入し、配管60Fの先端部をかしめるようにして、配管60Gと配管60Fと接合して流入配管部60としてもよい。流出配管部61についても同様に、先端部が配管61G(配管61Bに相当する)の先端部の径よりも拡径された配管61F(配管61Aに相当する)を用意して、配管61Gの先端部を配管61Fの先端部に挿入し、配管61Fの先端部をかしめるようにして、配管61Gと配管61Fと接合して流出配管部61としてもよい。
【0059】
続いて、図7を参照しながら、燃料電池モジュールFCを用いた燃料電池FCSの構成について説明する。図7は、燃料電池FCSの構成を示すブロック図である。図7に示すように、燃料電池FCSは、燃料電池モジュールFCと、燃料供給部FPと、空気供給部APと、水供給部WPと、電力取出部EPと、制御部CSとを備えている。燃料供給部FP、空気供給部AP、水供給部WP、及び電力取出部EPは、燃料電池FCSの補器ADを構成している。
【0060】
燃料供給部FPは、燃料供給源としての都市ガス配管から燃料ガスを燃料電池モジュールFCに供給する部分であって、燃料ポンプ、電磁弁を有している。燃料供給部FPから供給される燃料ガスは燃料ガス供給管8へと送り出される。
【0061】
空気供給部APは、空気供給源としての大気中から空気を燃料電池モジュールFCに供給する部分であって、空気ブロア、電磁弁を有している。空気供給部APから供給される空気は空気供給管10へと送り出される。
【0062】
水供給部WPは、水供給源としての水道管から水を燃料電池モジュールFCに供給する部分であって、水ポンプ、電磁弁を有している。水供給部WPから供給される水は、燃料モジュールFC内部で水蒸気となって水蒸気供給管へと送り出される。
【0063】
電力取出部EPは、燃料電池モジュールFCから電力を取り出す部分であって、インバータ等の電力変換装置を有している。電力取出部EPは、電極棒13,14と繋がっていて、変換した電力は電力供給先へと送り出すように構成されている。
【0064】
制御部CSは、燃料供給部FP、空気供給部AP、駆動補器AD、及び電力取出部EPのそれぞれを制御するための部分であって、CPUやROMを有している。上述したような燃料電池モジュールFCの動作は、制御部CSからの指示信号に基づいて実行される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る燃料電池モジュールを示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る燃料電池モジュールを、カバー部材を外した状態で示す斜視図である。
【図3】燃料電池セルユニットを説明するための図である。
【図4】燃料電池セルスタックを説明するための図である。
【図5】配管同士が機械的に接合されている部分の他の例を示す斜視図である。
【図6】配管同士が機械的に接合されている部分の他の例を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
FC…燃料電池モジュール、1…カバー部材、2…ベース部材、3…ガスタンク、4…燃料電池セル、30…燃料電池セルユニット、400…燃料電池セルスタック、5…改質器、6…連結管、7…燃焼触媒設置部、8…燃料ガス供給管、10…空気供給管、11…排気ガス管、13,14…電極棒、15…仕切り板、16…発電室、17…排気ガス室、60…流入配管部、61…流出配管部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとが一端側から他端側へと流れることにより作動する複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルの他端側に対向配置され、被改質ガスを改質して燃料ガスとする改質器と、
前記改質器に被改質ガスを供給する流入配管部と、前記改質器から燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの一端へ送り出す流出配管部とを有するガス配管と、を備える燃料電池モジュールであって、
少なくとも前記流出配管部は、それぞれが管状を成す第1部分と第2部分とが機械的に接合されて形成されていることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分とは、着脱自在に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分とはジョイント部分を介して接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記第1部分と前記第2部分とが直接機械的に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記燃料電池セルの他端と前記改質器との間に、前記改質器によって改質された燃料ガスと酸化剤ガスとが混合して燃焼する燃焼部が形成され、
前記第1部分と前記第2部分が機械的に接合されている部分は、前記燃焼部よりも前記燃料電池セルの一端側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載されている燃料電池モジュールを備える燃料電池。
【請求項7】
燃料ガスと酸化剤ガスとが一端側から他端側へと流れることにより作動する複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルの他端側に対向配置され、被改質ガスを改質して燃料ガスとする改質器と、
前記改質器に被改質ガスを供給する流入配管部と、前記改質器から燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの一端へ送り出す流出配管部とを有するガス配管と、を備える燃料電池モジュールの製造方法であって、
前記流出配管部を形成する第1部分及び第2部分の内、第1部分を前記改質器に接合し、その後、前記第1部分と前記第2部分とを機械的に接合して前記流出配管部と成すことを特徴とする燃料電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−199784(P2009−199784A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38074(P2008−38074)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【特許番号】特許第4297191号(P4297191)
【特許公報発行日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度地域新生コンソーシアム研究開発事業、九州経済産業局、「新型酸化物電解質薄膜を用いる車載用補助電源SOFCの開発」に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】