説明

燃料電池制御装置および方法

【課題】負荷の数が増加しても簡便に燃料電池の出力電力を制御する
【解決手段】まず、燃料電池に接続されている負荷の電力需要を示す電力需要データ(図中の「移動平均値」を参照)を逐次取得する。また、電力需要データの値の変化に基づいて(図中の「Wn0」と「Wp」を参照)、電力需要データの値の単位時間当たりの変化量である需要データ変化率(図中の「Dw」を参照)を算出する。さらに、少なくとも、需要データ変化率と、予め設定された設定時間(図中の「Tf」を参照)とを乗算することにより、電力需要データの目標値である需要目標値(図中の「Cw」を参照)を算出する。そして、燃料電池の出力電力が、需要目標値に対応する値に到達するように、燃料電池の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の出力電力を制御する燃料電池制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池の出力電力を制御する燃料電池制御装置として、燃料電池が電力を供給する負荷の変化に応じた出力電力の目標値(以下、出力電力目標値ともいう)を設定するための指令信号に応答して、燃料電池への燃料ガス及び空気の供給量を制御するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−147893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の燃料電池制御装置では、負荷の変化を検知するために、負荷が稼働しているか否かの情報(以下、負荷稼働情報ともいう。例えば、負荷の電源スイッチのオン/オフを示す情報)を負荷毎に入力する必要がある。さらに、負荷の稼動中に必要な電力(以下、電力需要ともいう)の量を示す情報(以下、電力需要情報ともいう)を負荷毎に予め取得しておき、負荷の稼働状況に応じて、この電力需要情報に基づき出力電力目標値を設定する必要がある。したがって、負荷の数の増加に応じて、入力するべき負荷稼働情報と、取得すべき電力需要情報とが増加し、燃料電池の出力電力の制御が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、負荷の数が増加しても簡便に燃料電池の出力電力を制御することができる燃料電池制御装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明は、燃料電池に接続されている負荷の電力需要を示す電力需要データを逐次取得する電力需要データ取得手段と、電力需要データの値の変化に基づいて、電力需要データの値の単位時間当たりの変化量である需要データ変化率を算出する変化率算出手段と、少なくとも、需要データ変化率と、予め設定された第1設定時間とを乗算することにより、電力需要データの変化量である需要データ変化量を算出する変化量算出手段と、需要データ変化量に基づいて、電力需要データの目標値である需要目標値を算出する目標値算出手段と、燃料電池の出力電力が、需要目標値に対応する値に到達するように、燃料電池の運転を制御する運転制御手段とを備えることを特徴とする燃料電池制御装置である。
【0007】
このように構成された本発明の燃料電池制御装置は、過去から現時点までに取得された電力需要データの値の変化に基づいて、現時点から第1設定時間経過した後の電力需要データの値を予測する。
【0008】
このため、本発明の燃料電池制御装置は、複数の負荷が燃料電池に接続されている場合に、この複数の負荷それぞれの電力需要を加算した電力需要(以下、全負荷電力需要ともいう)を示す電力需要データ(以下、全負荷電力需要データともいう)を逐次取得して、この全負荷電力需要データの値の変化に基づいて、上記の需要目標値を算出し、この需要目標値により燃料電池の運転を制御することができる。
【0009】
すなわち、本発明の燃料電池制御装置は、複数の負荷が稼働しているか否かの情報(負荷稼働情報)を負荷毎に入力する必要がない。さらに本発明の燃料電池制御装置は、電力需要の量を示す情報(電力需要情報)を負荷毎に予め取得しておき、負荷の稼働状況に応じて、この電力需要情報に基づき出力電力の目標値を設定するということをする必要がない。
【0010】
つまり、本発明の燃料電池制御装置によれば、負荷の情報として全負荷電力需要データのみを用いて燃料電池の運転を制御することができる。このため、負荷の数が増加しても、簡便に燃料電池の出力電力を制御することができる。
【0011】
また、本発明の燃料電池制御装置において、予め設定された第1外部操作に基づいて、第1設定時間を設定する第1設定手段を備えるようにするとよい。
【0012】
このように構成された燃料電池制御装置では、燃料ガスと酸化剤ガスを燃料電池に供給する補機の応答特性に応じて、燃料電池の出力電力の制御を調整することができる。
【0013】
例えば、補機の応答特性が悪い場合には、補機の応答特性が良い場合と比較して、需要増加時における現時点の燃料電池の出力電力と需要目標値との差が大きくなる。その場合、補機の応答特性が良い場合よりも、第1設定時間が長くなるように設定する。これにより、燃料電池の出力電力の値を需要目標値へ到達させるときの変化率を大きくすることができ、燃料電池の出力の遅れを最低限に抑えることができる。
【0014】
一方、補機の応答特性が良い場合には、第1設定時間が短くなるように設定することで、燃料電池の出力電力の値を需要目標値へ早く到達させることができる。これにより、必要以上に需要目標値を大きく設定することにより燃料消費が大きくなってしまうことを抑制し、燃料電池の運転効率を向上させることができる。
【0015】
このため、燃料電池システムのメンテナンスの際に補機を交換した場合に、新たに取り付けられた補機の応答特性に応じて第1設定時間を設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池の出力電力の制御を、新しい補機の応答特性に対応させることができる。
【0016】
なお、多数の電力需要データに基づいて、需要データ変化率を算出するようにしてもよいが、本発明の燃料電池制御装置において、変化率算出手段は、最新の電力需要データの値と、最新の電力需要データが取得されたときから予め設定された第2設定時間前に取得された電力需要データの値との差を、第2設定時間で除算することにより、需要データ変化率を算出するようにしてもよい。
【0017】
このように構成された燃料電池制御装置によれば、現時点と第2設定時間前の2つの電力需要データを用いて、簡便に需要データ変化率を算出することができる。
【0018】
また、本発明の燃料電池制御装置において、予め設定された第2外部操作に基づいて、第2設定時間を設定する第2設定手段を備えるようにするとよい。
【0019】
このように構成された燃料電池制御装置では、電力需要データの変化に対する需要データ変化率の応答を調整することができる。例えば、第2設定時間が長くなるほど、需要データ変化率を算出する際に、長期の電力需要データ変化の影響を受けるため、短期の電力需要データの変化に対する応答を悪くすることができる。したがって、補機の応答特性が悪いほど、第2設定時間が長くなるように設定するとよい。
【0020】
このため、燃料電池システムのメンテナンスの際に補機を交換した場合に、新たに取り付けられた補機の応答特性に応じて第2設定時間を設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池の出力電力の制御を、新しい補機の応答特性に対応させることができる。
【0021】
また、本発明の燃料電池制御装置において、電気負荷の電力需要を示す生データである電力需要生データを逐次検出する需要生データ検出手段と、需要生データ検出手段により逐次検出された複数の電力需要生データの値を移動平均処理した移動平均値を算出する移動平均算出手段とを備え、電力需要データ取得手段は、移動平均値を電力需要データとするようにしてもよい。
【0022】
このように構成された燃料電池制御装置では、需要生データ検出手段により逐次検出された電力需要生データの移動平均値を用いて、需要データ変化率を算出する。このため、需要データ変化率を用いて算出される需要目標値は、ノイズなどの瞬間的な電力需要生データの変動に起因する誤制御を防ぐことができる。
【0023】
また、本発明の燃料電池制御装置において、移動平均処理は、指数平滑平均処理であるようにするとよい。式(1)に示すように、指数平滑平均処理による移動平均値A0は、前回の移動平均値A1と、現時点の生データの値D0の2値のみを用いて、簡便に算出できるからである。
【0024】
A0 = A1 +[{2×(D0−A1)}/(n+1)] ・・・(1)
なお、式(1)の「n」は、移動平均時間を「Ta」、移動平均処理のサンプリング時間を「Ts」として、式(2)で表される。
【0025】
n = Ta/Ts ・・・(2)
また、本発明の燃料電池制御装置において、予め設定された第3外部操作に基づいて、移動平均処理の移動平均時間を設定する第3設定手段を備えるようにするとよい。
【0026】
このように構成された燃料電池制御装置では、機器の電源印加時などに発生するノイズあるいは過渡電流などの瞬間的な電力需要生データの影響を減らすように移動平均時間を調整することができる。
【0027】
例えば、移動平均時間が長くなるように設定すると、電力需要生データの「長期的な変化」の傾向を移動平均値の算出に織り込む特性が強くなる。すなわち、電力需要生データの移動平均値の算出において、短時間での電力需要生データの増減の影響を受け難くなる。したがって、補機の応答特性が悪い場合には、移動平均時間が長くなるように設定するとよい。
【0028】
一方、移動平均時間が短くなるように設定すると、電力需要生データの「短期的な変化」の傾向を移動平均値の算出に織り込む特性が強くなる。すなわち、電力需要生データの移動平均値の算出において、短時間での電力需要生データの増減の影響を受け易くなる。したがって、補機の応答特性が良い場合には、移動平均時間が短くなるように設定するとよい。
【0029】
このため、燃料電池システムのメンテナンスの際に補機を交換した場合に、新たに取り付けられた補機の応答特性に応じて移動平均時間を設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池の出力電力の制御を、新しい補機の応答特性に対応させることができる。
【0030】
ところで、一般に家庭用の燃料電池にはエアコン、冷蔵庫、テレビなど多数の負荷が接続されることが多い。このため、本発明の燃料電池制御装置において、燃料電池は家庭用として利用されるものであるようにするとよい。上述したように、本発明の燃料電池制御装置は、負荷の数が増加しても簡便に燃料電池の出力電力を制御することができるからである。
【0031】
また、上記目的を達成するためになされた本発明は、燃料電池に接続されている負荷の電力需要を示す電力需要データを逐次取得する電力需要データ取得手順と、電力需要データの値の変化に基づいて、電力需要データの値の単位時間当たりの変化量である需要データ変化率を算出する変化率算出手順と、少なくとも、需要データ変化率と、予め設定された第1設定時間とを乗算することにより、電力需要データの変化量である需要データ変化量を算出する変化量算出手順と、需要データ変化量に基づいて、電力需要データの目標値である需要目標値を算出する目標値算出手順と、燃料電池の出力電力が、需要目標値に対応する値に到達するように、燃料電池の運転を制御する運転制御手順とを備えることを特徴とする燃料電池制御方法である。
【0032】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、本発明の燃料電池制御方法において、予め設定された第1外部操作に基づいて、第1設定時間を設定する第1設定手順を備えるようにするとよい。
【0034】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、本発明の燃料電池制御方法において、変化率算出手順は、最新の電力需要データの値と、最新の電力需要データが取得されたときから予め設定された第2設定時間前に取得された電力需要データの値との差を、第2設定時間で除算することにより、需要データ変化率を算出するようにしてもよい。
【0036】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、本発明の燃料電池制御方法において、予め設定された第2外部操作に基づいて、第2設定時間を設定する第2設定手順を備えるようにするとよい。
【0038】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、本発明の燃料電池制御方法において、電気負荷の電力需要を示す生データである電力需要生データを逐次検出する需要生データ検出手順と、需要生データ検出手順により逐次検出された複数の電力需要生データの値を移動平均処理した移動平均値を算出する移動平均算出手順とを備え、電力需要データ取得手順は、移動平均値を電力需要データとするようにしてもよい。
【0040】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、本発明の燃料電池制御方法において、移動平均処理は、指数平滑平均処理であるようにするとよい。
【0042】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、本発明の燃料電池制御方法において、予め設定された第3外部操作に基づいて、移動平均処理の移動平均時間を設定する第3設定手順を備えるようにするとよい。
【0044】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、本発明の燃料電池制御方法において、燃料電池は家庭用として利用されるものであるようにするとよい。
【0046】
この燃料電池制御方法は、本発明の燃料電池制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本発明の燃料電池制御装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】燃料電池システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】燃料電池制御装置14の構成を示すブロック図である。
【図3】設定情報入力処理を示すフローチャートである。
【図4】目標値設定処理を示すフローチャートである。
【図5】電池制御処理を示すフローチャートである。
【図6】制御目標値Cwの設定方法を説明するためのグラフである。
【図7】応答特性が悪い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。
【図8】応答特性が悪い補機用に制御目標値が設定された場合の電池電力値を示すグラフである。
【図9】応答特性が良い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。
【図10】応答特性が良い補機用に制御目標値が設定された場合の電池電力値を示すグラフである。
【図11】応答特性が非常に良い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。
【図12】応答特性が非常に良い補機用に制御目標値が設定された場合の電池電力値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
【0049】
図1は本発明が適用された燃料電池システム1の構成を示すブロック図、図2は燃料電池制御装置14の構成を示すブロック図である。
【0050】
燃料電池システム1は、図1に示すように、分電盤2を介して電気負荷3に電力を供給する。
【0051】
燃料電池システム1は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気(詳しくは空気中の酸素))との供給を受けて発電を行う燃料電池11と、燃料ガスと酸化剤ガスを燃料電池11に供給するためのポンプ(不図示)やブロワ(不図示)などで構成される補機12と、燃料電池11が発電した直流電流(以下、電池電流という)を、内蔵されたインバータ回路(不図示)により交流電流(以下、インバータ電流という)に変換するパワーコンディショナ13と、補機12及びパワーコンディショナ13を制御する燃料電池制御装置14とを備える。
【0052】
なお、パワーコンディショナ13は、給電線15を介して燃料電池11に接続されて、燃料電池11から電池電流を入力する。そして給電線15には、給電線15に流れる電流を測定する電流計16が接続されている。
【0053】
また分電盤2は、給電線21を介してパワーコンディショナ13に接続されて、パワーコンディショナ13からインバータ電流を入力するとともに、給電線22を介して電力会社の系統電源100に接続されて、系統電源100から系統電流を入力する。さらに分電盤2は、給電線23を介して電気負荷3に接続されて、燃料電池システム1及び系統電源100から入力した電力を電気負荷3に供給する。以下、給電線23に流れる電流を負荷電流という。
【0054】
なお分電盤2は、電気負荷3の電力需要に対して燃料電池システム1の出力電力が不足している場合に、この不足分の電力を、系統電源100から供給するように構成されている。
【0055】
また給電線21,22,23にはそれぞれ、給電線21,22,23に流れる電流を測定する電流計27,28,29が接続されている。
【0056】
また電気負荷3は、複数(本実施形態では5個)の負荷31,32,33,34,35で構成されている。
【0057】
次に燃料電池制御装置14は、図2に示すように、所定の処理プログラムに基づいて処理を実行するCPU41と、種々の処理プログラムが格納されたROM42と、種々のデータを格納するRAM43と、電力が供給されない状態でも記憶されたデータを保持可能なEEPROM44と、操作キー(不図示)および表示パネル(不図示)からなるユーザインターフェース(以降、ユーザI/Fと称す)45と、ユーザI/F45が接続され、CPU41、RAM43、及びEEPROM44との間で信号及びデータの入出力を行う入出力部46とから構成され、CPU41、ROM42、RAM43、EEPROM44及び入出力部46はバス47を介して接続されている。
【0058】
これらのうちROM42には、燃料電池11の運転を制御するための運転制御プログラムが記憶されている。
【0059】
またRAM43には、燃料電池11の運転を制御するための各種データが記憶される。
【0060】
またユーザI/F45は、表示パネルに表示される指示に従いながら操作者が操作キーを操作することにより、各種情報を入力可能に構成されている。
【0061】
また入出力部46は、電流計16,27,28,29と接続されており、電流計16,27,28,29からそれぞれ、電池電流、インバータ電流、系統電流、及び負荷電流の値を示す情報が入力されるように構成されている。以下、電池電流、インバータ電流、系統電流、及び負荷電流の値を示す情報をそれぞれ、電池電流情報、インバータ電流情報、系統電流情報、及び負荷電流情報という。
【0062】
さらに入出力部46は、補機12及びパワーコンディショナ13と接続されており、補機12及びパワーコンディショナ13へそれぞれ、補機用制御信号およびパワーコンディショナ用制御信号を出力するように構成されている。
【0063】
このように構成された燃料電池制御装置14において、CPU41は、ユーザI/F45を介して各種情報を入力するための設定情報入力処理と、燃料電池11を制御するための制御目標値Cw(後述)を設定する目標値設定処理と、目標値設定処理により設定された制御目標値Cwに基づいて燃料電池11を制御する電池制御処理とをそれぞれ独立に実行する。
【0064】
次に、燃料電池制御装置14のCPU41が実行する設定情報入力処理の手順を、図3を用いて説明する。図3は設定情報入力処理を示すフローチャートである。なお、この設定情報入力処理は、CPU41が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0065】
この設定情報入力処理が実行されると、CPU41は、まずS10にて、過去時間Tp(後述)を設定するための過去時間設定操作がユーザI/F45を介して行われたか否かを判断する。ここで、過去時間設定操作が行われていない場合には(S10:NO)、S40に移行する。一方、過去時間設定操作が行われた場合には(S10:YES)、S20にて、過去時間Tpを示す情報(以下、過去時間情報という)がユーザI/F45から入力したか否かを判断する。
【0066】
ここで、過去時間情報が入力していない場合には(S20:NO)、S20の処理を繰り返す。一方、過去時間情報が入力した場合には(S20:YES)、S30にて、入力した過去時間情報に基づいて、過去時間Tpを設定し、S40に移行する。具体的には、過去時間Tpを示す値を記憶するためにEEPROM44に設けられた過去時間記憶領域に、S20で入力した過去時間情報により示される値(以下、過去時間指示値という)を記憶させる。なお、過去時間記憶領域には、記憶された最新の過去時間指示値のみが記憶される。すなわち、過去時間記憶領域において、過去時間指示値は上書きされる。
【0067】
そしてS40に移行すると、未来時間Tf(後述)を設定するための未来時間設定操作がユーザI/F45を介して行われたか否かを判断する。ここで、未来時間設定操作が行われていない場合には(S40:NO)、S70に移行する。一方、未来時間設定操作が行われた場合には(S40:YES)、S50にて、未来時間Tfを示す情報(以下、未来時間情報という)がユーザI/F45から入力したか否かを判断する。
【0068】
ここで、未来時間情報が入力していない場合には(S50:NO)、S50の処理を繰り返す。一方、未来時間情報が入力した場合には(S50:YES)、S60にて、入力した未来時間情報に基づいて、未来時間Tfを設定し、S70に移行する。具体的には、未来時間Tfを示す値を記憶するためにEEPROM44に設けられた未来時間記憶領域に、S50で入力した未来時間情報により示される値(以下、未来時間指示値という)を記憶させる。なお、未来時間記憶領域には、記憶された最新の未来時間指示値のみが記憶される。
【0069】
そしてS70に移行すると、移動平均の計算周期Tc(後述)を設定するための計算周期設定操作がユーザI/F45を介して行われたか否かを判断する。ここで、計算周期設定操作が行われていない場合には(S70:NO)、S100に移行する。一方、計算周期設定操作が行われた場合には(S70:YES)、S80にて、計算周期Tcを示す情報(以下、計算周期情報という)がユーザI/F45から入力したか否かを判断する。
【0070】
ここで、計算周期情報が入力していない場合には(S80:NO)、S80の処理を繰り返す。一方、計算周期情報が入力した場合には(S80:YES)、S90にて、入力した計算周期情報に基づいて、計算周期Tcを設定し、S100に移行する。具体的には、計算周期Tcを示す値を記憶するためにEEPROM44に設けられた計算周期記憶領域に、S80で入力した計算周期情報により示される値(以下、計算周期指示値という)を記憶させる。なお、計算周期記憶領域には、記憶された最新の計算周期指示値のみが記憶される。
【0071】
そしてS100に移行すると、移動平均の移動平均時間Ta(後述)を設定するための移動平均時間設定操作がユーザI/F45を介して行われたか否かを判断する。ここで、移動平均時間設定操作が行われていない場合には(S100:NO)、S130に移行する。一方、移動平均時間設定操作が行われた場合には(S100:YES)、S110にて、移動平均時間Taを示す情報(以下、移動平均時間情報という)がユーザI/F45から入力したか否かを判断する。
【0072】
ここで、移動平均時間情報が入力していない場合には(S110:NO)、S110の処理を繰り返す。一方、移動平均時間情報が入力した場合には(S110:YES)、S120にて、入力した移動平均時間情報に基づいて、移動平均時間Taを設定し、S130に移行する。具体的には、移動平均時間Taを示す値を記憶するためにEEPROM44に設けられた移動平均時間記憶領域に、S110で入力した移動平均時間情報により示される値(以下、移動平均時間指示値という)を記憶させる。なお、移動平均時間記憶領域には、記憶された最新の移動平均時間指示値のみが記憶される。
【0073】
そしてS130に移行すると、移動平均のサンプリング時間Ts(後述)を設定するためのサンプリング時間設定操作がユーザI/F45を介して行われたか否かを判断する。ここで、サンプリング時間設定操作が行われていない場合には(S130:NO)、設定情報入力処理を終了する。一方、サンプリング時間設定操作が行われた場合には(S130:YES)、S140にて、サンプリング時間Tsを示す情報(以下、サンプリング時間情報という)がユーザI/F45から入力したか否かを判断する。
【0074】
ここで、サンプリング時間情報が入力していない場合には(S140:NO)、S140の処理を繰り返す。一方、サンプリング時間情報が入力した場合には(S140:YES)、S150にて、入力したサンプリング時間情報に基づいて、サンプリング時間Tsを設定し、設定情報入力処理を終了する。具体的には、サンプリング時間Tsを示す値を記憶するためにEEPROM44に設けられたサンプリング時間記憶領域に、S140で入力したサンプリング時間情報により示される値(以下、サンプリング時間指示値という)を記憶させる。なお、サンプリング時間記憶領域には、記憶された最新のサンプリング時間指示値のみが記憶される。
【0075】
次に、燃料電池制御装置14のCPU41が実行する目標値設定処理の手順を、図4を用いて説明する。図4は目標値設定処理を示すフローチャートである。なお、この目標値設定処理は、燃料電池11が発電可能な状態になると実行が開始される処理である。
【0076】
この目標値設定処理が実行されると、CPU41は、まずS210にて、EEPROM44に記憶されている過去時間指示値、未来時間指示値、計算周期指示値、移動平均時間指示値、及びサンプリング時間指示値をRAM43に記憶する。
【0077】
そしてS220にて、負荷電力値(後述)を前回算出してから、移動平均のサンプリング時間Ts(本実施形態では、例えば32ms)が経過したか否かを判断する。ここで、サンプリング時間Tsが経過していない場合には(S220:NO)、S220の処理を繰り返す。
【0078】
一方、サンプリング時間Tsが経過した場合には(S220:YES)、S230にて、現時点での電力需要を取得する。具体的には、現時点に入出力部46に入力した負荷電流情報が示す負荷電流値を負荷電力値に変換し、その後に、この負荷電力値を電力需要としてRAM43に記憶する。
【0079】
そしてS240にて、現時点における負荷電力値の移動平均値Wn0(以下、現在電力移動平均値Wn0という)を算出し、RAM43に記憶する。具体的には、式(3)を用いて電力移動平均値Wn0を算出する。
【0080】
Wn0 = Wn1 +[{2×(Pw−Wn1)}/{(Ta/Ts)+1}] ・・・(3)
ここで、式(3)におけるPwは、S230で算出した現時点における負荷電力値である(図6を参照)。また、式(3)におけるWn1は、前回(すなわち、現時点から計算周期Tc前)算出した負荷電力値の移動平均値である。また、式(3)におけるTaは、移動平均時間(本実施形態では、例えば256ms)である。また、式(3)におけるTsは、移動平均のサンプリング時間(本実施形態では、例えば32ms)である。なお式(3)は、指数平滑平均において一般的に用いられる式である。
【0081】
その後にS250にて、制御目標値Cw(後述)を前回算出してから、RAM43に記憶された計算周期指示値に対応した計算周期Tc(本実施形態では、例えば1s)が経過したか否かを判断する。ここで、計算周期Tcが経過していない場合には(S250:NO)、S220に移行して、上述の処理を繰り返す。
【0082】
一方、計算周期Tcが経過した場合には(S250:YES)、S260にて、RAM43に記憶されている電力移動平均値の中から、RAM43に記憶された過去時間指示値に対応した過去時間Tp前に算出された電力移動平均値Wp(以下、過去電力移動平均値Wpという。図6を参照)を取得する。
【0083】
そしてS270にて、式(4)を用いて電力移動平均値の傾きDw(図6を参照)を算出する。
【0084】
Dw = (Wn0−Wp)/Tp ・・・(4)
さらにS280にて、式(5)を用いて、現時点から未来時間Tf経過するまでの負荷電力値の変化量ΔW(以下、未来電力変化量ΔWという。図6を参照)を算出する。
【0085】
ΔW = Dw × Tf ・・・(5)
その後にS290にて、未来電力変化量ΔWが0より大きいか否かを判断する。ここで、未来電力変化量ΔWが0より大きい場合には(S290:YES)、S300にて、式(6)を用いて制御目標値Cw(図6を参照)を設定する。
【0086】
Cw = Wn0 + ΔW ・・・(6)
その後、S220に移行して、上述の処理を繰り返す。
【0087】
一方、未来電力変化量ΔWが0以下である場合には(S290:NO)、S310にて、式(7)を用いて制御目標値Cwを設定する。
【0088】
Cw = Wn0 ・・・(7)
その後、S220に移行して、上述の処理を繰り返す。
【0089】
次に、燃料電池制御装置14のCPU41が実行する電池制御処理の手順を、図5を用いて説明する。図5は電池制御処理を示すフローチャートである。なお、この電池制御処理は、燃料電池11が発電可能な状態であるときに繰り返し実行される処理である。
【0090】
この電池制御処理が実行されると、CPU41は、まずS410にて、S300またはS310で設定された制御目標値Cwに基づいて、燃料電池11に供給する燃料ガスと酸化剤ガスの流量を決定する。例えば、制御目標値Cwをパラメータとして燃料ガスおよび酸化剤ガスの流量を求めるマップや計算式を用いて、流量を決定する。
【0091】
そしてS420にて、S410で決定した燃料ガスおよび酸化剤ガスの流量を指示する補機用制御信号を補機12へ出力し、電池制御処理を終了する。これにより補機12は、補機用制御信号で指示された流量の燃料ガスおよび酸化剤ガスを燃料電池11に供給するように動作する。
【0092】
このように構成された燃料電池制御装置14では、まず、燃料電池11に接続されている電気負荷3の電力需要を示す電力移動平均値を逐次取得する(S230,S240)。また、電力移動平均値の変化に基づいて、電力移動平均値の傾きDwを算出する(S270)。さらに、電力移動平均値の傾きDwと未来時間Tfとを乗算することにより、負荷電力値の変化量ΔWを算出する(S280)。さらに、負荷電力値の変化量ΔWに基づいて、制御目標値Cwを算出する(S300,S310)。そして、燃料電池11の出力電力が、制御目標値Cwに到達するように、燃料電池11の運転を制御する(S410,S420)。
【0093】
すなわち、燃料電池制御装置14は、過去から現時点までに取得された電力移動平均値の変化に基づいて、現時点から未来時間Tf経過した後の電力移動平均値を予測する。
【0094】
このため、燃料電池制御装置14は、複数の負荷が燃料電池11に接続されている場合に、この複数の負荷それぞれの電力需要を加算した電力需要(以下、全負荷電力需要ともいう)を示す電力需要データ(以下、全負荷電力需要データともいう)を逐次取得して、この全負荷電力需要データの値の変化に基づいて、制御目標値Cwを算出し、この制御目標値Cwにより燃料電池11の運転を制御することができる。
【0095】
すなわち、燃料電池制御装置14は、複数の負荷が稼働しているか否かの情報(負荷稼働情報)を負荷毎に入力する必要がない。さらに燃料電池制御装置14は、電力需要の量を示す情報(電力需要情報)を負荷毎に予め取得しておき、負荷の稼働状況に応じて、この電力需要情報に基づき出力電力の目標値を設定するということをする必要がない。
【0096】
つまり、燃料電池制御装置14によれば、負荷の情報として全負荷電力需要データのみを用いて燃料電池の運転を制御することができる。このため、負荷の数が増加しても、簡便に燃料電池11の出力電力を制御することができる。
【0097】
また燃料電池制御装置14では、未来時間設定操作がユーザI/F45を介して行われることにより、未来時間Tfを設定することができる(S40〜S60)。これにより、補機12の応答特性に応じて、燃料電池11の出力電力の制御を調整することができる。
【0098】
例えば、補機12の応答特性が悪い場合には、補機12の応答特性が良い場合と比較して、需要増加時における現時点の燃料電池11の出力電力と制御目標値Cwとの差が大きくなる。その場合、補機12の応答特性が良い場合よりも、未来時間Tfが長くなるように設定する。これにより、燃料電池11の出力電力の値を制御目標値Cwへ到達させるときの変化率を大きくすることができ、燃料電池11の出力の遅れを最低限に抑えることができる。
【0099】
一方、補機12の応答特性が良い場合には、未来時間Tfが短くなるように設定することで、燃料電池11の出力電力の値を制御目標値Cwへ早く到達させることができる。これにより、必要以上に制御目標値Cwを大きく設定することにより燃料消費が大きくなってしまうことを抑制し、燃料電池11の運転効率を向上させることができる。
【0100】
このため、燃料電池システム1のメンテナンスの際に補機12を交換した場合に、新たに取り付けられた補機12の応答特性に応じて未来時間Tfを設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池11の出力電力の制御を、新しい補機12の応答特性に対応させることができる。
【0101】
図7は、応答特性が悪い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。図8は、応答特性が悪い補機用に制御目標値が設定された場合における燃料電池11の出力電力値(以下、電池電力値という)を示すグラフである。図9は、応答特性が良い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。図10は、応答特性が良い補機用に制御目標値が設定された場合の電池電力値を示すグラフである。図11は、応答特性が非常に良い補機用に設定された制御目標値を示すグラフである。図12は、応答特性が非常に良い補機用に制御目標値が設定された場合の電池電力値を示すグラフである。
【0102】
図7,8に示すように、応答特性が悪い補機用には未来時間Tfが10秒に設定されている。また図9,10に示すように、応答特性が良い補機用には未来時間Tfが7秒に設定されている。また図11,12に示すように、応答特性が非常に良い補機用には未来時間Tfが5秒に設定されている。
【0103】
図7〜12に示すように、未来時間Tfが長くなるほど、同一時刻における負荷電力値と制御目標値Cwとの差が大きくなる。
【0104】
なお、図8,10,12に示す「電池電力値(予測あり)」のグラフは、制御目標値Cwにより燃料電池11の運転を制御した場合の電池電力値を示す。また、図8,10,12に示す「電池電力値(予測なし)」のグラフは、負荷電力値により燃料電池11の運転を制御した場合の電池電力値を示す。
【0105】
図8,10,12に示すように、制御目標値Cwにより燃料電池11の運転を制御したほうが、負荷電力値により制御するよりも、電池電力値を負荷電力値に近付けることができる。
【0106】
また、現在電力移動平均値Wn0と過去電力移動平均値Wpとの差を過去時間Tpで除算することにより、簡便に傾きDwを算出することができる(S270)。
【0107】
また燃料電池制御装置14では、過去時間設定操作がユーザI/F45を介して行われることにより、過去時間Tpを設定することができる(S10〜S30)。これにより、負荷電力値の移動平均値の変化に対する傾きDwの応答を調整することができる。例えば、過去時間Tpが長くなるほど、傾きDwを算出する際に、長期の負荷電力値の移動平均値の変化の影響を受けるため、短期の負荷電力値の移動平均値の変化に対する応答を悪くすることができる。したがって、補機12の応答特性が悪いほど、過去時間Tpが長くなるように設定するとよい。
【0108】
このため、燃料電池システム1のメンテナンスの際に補機12を交換した場合に、新たに取り付けられた補機12の応答特性に応じて過去時間Tpを設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池11の出力電力の制御を、新しい補機12の応答特性に対応させることができる。
【0109】
また燃料電池制御装置14では、現時点での電力需要を示す生データ(負荷電力値)を逐次取得し(S230)、さらに、取得した複数の負荷電力値を移動平均処理した移動平均値Wn0(現在電力移動平均値Wn0)を算出する(S240)。そして、この現在電力移動平均値Wn0を用いて傾きDwを算出する(S270)。このため、傾きDwを用いて算出される制御目標値Cwは、ノイズなどの瞬間的な負荷電力値の変動に起因する誤制御を防ぐことができる。
【0110】
また、現在電力移動平均値Wn0は、上式(3)に示すように、指数平滑平均処理により算出される。このため、現在電力移動平均値Wn0は、前回の移動平均値と、現時点における負荷電力値の2値のみを用いて、簡便に算出できる。
【0111】
また燃料電池制御装置14では、移動平均時間設定操作がユーザI/F45を介して行われることにより、移動平均時間Taを設定することができる(S100〜S120)。これにより、機器の電源印加時などに発生するノイズあるいは過渡電流などの瞬間的な負荷電力値の影響を減らすように移動平均時間を調整することができる。
【0112】
例えば、移動平均時間Taが長くなるように設定すると、負荷電力値の「長期的な変化」の傾向を移動平均値の算出に織り込む特性が強くなる。すなわち、負荷電力値の移動平均値の算出において、短時間での負荷電力値の増減の影響を受け難くなる。したがって、補機12の応答特性が悪い場合には、移動平均時間Taが長くなるように設定するとよい。
【0113】
一方、移動平均時間Taが短くなるように設定すると、負荷電力値の「短期的な変化」の傾向を移動平均値の算出に織り込む特性が強くなる。すなわち、負荷電力値の移動平均値の算出において、短時間での負荷電力値の増減の影響を受け易くなる。したがって、補機12の応答特性が良い場合には、移動平均時間Taが短くなるように設定するとよい。
【0114】
このため、燃料電池システム1のメンテナンスの際に補機12を交換した場合に、新たに取り付けられた補機12の応答特性に応じて移動平均時間Taを設定するという簡便な作業を行うことにより、燃料電池11の出力電力の制御を、新しい補機12の応答特性に対応させることができる。
【0115】
以上説明した実施形態において、S230及びS240の処理は本発明における電力需要データ取得手段および電力需要データ取得手順、S270の処理は本発明における変化率算出手段および変化率算出手順、S280の処理は本発明における変化量算出手段および変化量算出手順、S300及びS310の処理は本発明における目標値算出手段および目標値算出手順、S410及びS420の処理は本発明における運転制御手段および運転制御手順、S40〜S60の処理は本発明における第1設定手段および第1設定手順、S10〜S30の処理は本発明における第2設定手段および第2設定手順、S230の処理は本発明における需要生データ検出手段および需要生データ検出手順、S240の処理は本発明における移動平均算出手段および移動平均算出手順、S100〜S120の処理は本発明における第3設定手段および第3設定手順である。
【0116】
また、電力移動平均値は本発明における電力需要データ、電力移動平均値の傾きDwは本発明における需要データ変化率、未来電力変化量ΔWは本発明における需要データ変化量、未来時間Tfは本発明における第1設定時間、制御目標値Cwは本発明における需要目標値、未来時間設定操作は本発明における第1外部操作、過去時間Tpは本発明における第2設定時間、過去時間設定操作は本発明における第2外部操作、負荷電力値は本発明における電力需要生データ、移動平均時間設定操作は本発明における第3外部操作である。
【0117】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
【0118】
例えば上記実施形態では、現在電力移動平均値Wn0と過去電力移動平均値Wpの2値を用いて傾きDwを算出するものを示したが、3以上の電力移動平均値を用いて傾きDwを算出するようにしてもよい。
【0119】
また上記実施形態では、傾きDwに未来時間Tfを乗ずることにより未来電力変化量ΔWを求めるものを示したが、これに限られるものではない。例えば、傾きDwに未来時間Tfを乗算した乗算値に、定数を乗算したり加算したりすることにより未来電力変化量ΔWを算出するようにしてもよい。
【0120】
また上記実施形態では、燃料電池システム1の用途を特に示していないが、家庭用として利用されるようにするとよい。一般に家庭用の燃料電池にはエアコン、冷蔵庫、テレビなど多数の負荷が接続されることが多いため、負荷の数が増加しても簡便に燃料電池11の出力電力を制御することができるからである。
【符号の説明】
【0121】
1…燃料電池システム、2…分電盤、3…電気負荷、11…燃料電池、12…補機、13…パワーコンディショナ、14…燃料電池制御装置、31〜35…負荷、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…EEPROM、45…ユーザI/F、46…入出力部、100…系統電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に接続されている負荷の電力需要を示す電力需要データを逐次取得する電力需要データ取得手段と、
前記電力需要データの値の変化に基づいて、前記電力需要データの値の単位時間当たりの変化量である需要データ変化率を算出する変化率算出手段と、
少なくとも、前記需要データ変化率と、予め設定された第1設定時間とを乗算することにより、前記電力需要データの変化量である需要データ変化量を算出する変化量算出手段と、
前記需要データ変化量に基づいて、前記電力需要データの目標値である需要目標値を算出する目標値算出手段と、
前記燃料電池の出力電力が、前記需要目標値に対応する値に到達するように、前記燃料電池の運転を制御する運転制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池制御装置。
【請求項2】
予め設定された第1外部操作に基づいて、前記第1設定時間を設定する第1設定手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池制御装置。
【請求項3】
前記変化率算出手段は、
最新の前記電力需要データの値と、前記最新の前記電力需要データが取得されたときから予め設定された第2設定時間前に取得された前記電力需要データの値との差を、前記第2設定時間で除算することにより、前記需要データ変化率を算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池制御装置。
【請求項4】
予め設定された第2外部操作に基づいて、前記第2設定時間を設定する第2設定手段を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池制御装置。
【請求項5】
前記電気負荷の電力需要を示す生データである電力需要生データを逐次検出する需要生データ検出手段と、
前記需要生データ検出手段により逐次検出された複数の前記電力需要生データの値を移動平均処理した移動平均値を算出する移動平均算出手段とを備え、
前記電力需要データ取得手段は、
前記移動平均値を前記電力需要データとする
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の燃料電池制御装置。
【請求項6】
前記移動平均処理は、指数平滑平均処理である
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池制御装置。
【請求項7】
予め設定された第3外部操作に基づいて、前記移動平均処理の移動平均時間を設定する第3設定手段を備える
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の燃料電池制御装置。
【請求項8】
前記燃料電池は家庭用として利用される
ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の燃料電池制御装置。
【請求項9】
燃料電池に接続されている負荷の電力需要を示す電力需要データを逐次取得する電力需要データ取得手順と、
前記電力需要データの値の変化に基づいて、前記電力需要データの値の単位時間当たりの変化量である需要データ変化率を算出する変化率算出手順と、
少なくとも、前記需要データ変化率と、予め設定された第1設定時間とを乗算することにより、前記電力需要データの変化量である需要データ変化量を算出する変化量算出手順と、
前記需要データ変化量に基づいて、前記電力需要データの目標値である需要目標値を算出する目標値算出手順と、
前記燃料電池の出力電力が、前記需要目標値に対応する値に到達するように、前記燃料電池の運転を制御する運転制御手順と
を備えることを特徴とする燃料電池制御方法。
【請求項10】
予め設定された第1外部操作に基づいて、前記第1設定時間を設定する第1設定手順を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池制御方法。
【請求項11】
前記変化率算出手順は、
最新の前記電力需要データの値と、前記最新の前記電力需要データが取得されたときから予め設定された第2設定時間前に取得された前記電力需要データの値との差を、前記第2設定時間で除算することにより、前記需要データ変化率を算出する
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の燃料電池制御方法。
【請求項12】
予め設定された第2外部操作に基づいて、前記第2設定時間を設定する第2設定手順を備える
ことを特徴とする請求項9〜請求項11の何れかに記載の燃料電池制御方法。
【請求項13】
前記電気負荷の電力需要を示す生データである電力需要生データを逐次検出する需要生データ検出手順と、
前記需要生データ検出手順により逐次検出された複数の前記電力需要生データの値を移動平均処理した移動平均値を算出する移動平均算出手順とを備え、
前記電力需要データ取得手順は、
前記移動平均値を前記電力需要データとする
ことを特徴とする請求項9〜請求項12の何れかに記載の燃料電池制御方法。
【請求項14】
前記移動平均処理は、指数平滑平均処理である
ことを特徴とする請求項13に記載の燃料電池制御方法。
【請求項15】
予め設定された第3外部操作に基づいて、前記移動平均処理の移動平均時間を設定する第3設定手順を備える
ことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の燃料電池制御方法。
【請求項16】
前記燃料電池は家庭用として利用される
ことを特徴とする請求項9〜請求項15の何れかに記載の燃料電池制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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