燃料電池単セル、単セル集合型燃料電池、及び単セル集合型燃料電池の製造方法
【課題】直列及び/又は並列の接続が容易に行える燃料電池単セルを提供する。また、その燃料電池単セル複数個を直列及び/又は並列に接続した単セル集合型燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池単セルは、管状の固体電解質材料11、固体電解質材料11の管内表面に形成された第1の電極21、管外表面に形成された第2の電極22を有し、固体電解質材料11の一方の開口端部には、第1の電極21と電気的に接続された第1のインターコネクタ31を有し、他方の開口端部には、第2の電極22と電気的に接続された第2のインターコネクタ32を有する。そして、第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側になることが好ましい。また、この燃料電池単セル複数個を直列及び/又は並列に接続して、単セル集合型燃料電池とすることもできる。
【解決手段】本発明の燃料電池単セルは、管状の固体電解質材料11、固体電解質材料11の管内表面に形成された第1の電極21、管外表面に形成された第2の電極22を有し、固体電解質材料11の一方の開口端部には、第1の電極21と電気的に接続された第1のインターコネクタ31を有し、他方の開口端部には、第2の電極22と電気的に接続された第2のインターコネクタ32を有する。そして、第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側になることが好ましい。また、この燃料電池単セル複数個を直列及び/又は並列に接続して、単セル集合型燃料電池とすることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固体酸化物形燃料電池である燃料電池単セル及び、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池に関する。
【0002】
なお、本明細書においては、燃料電池単セル及び単セル集合型燃料電池として説明するが、同じ構成のものを電気化学リアクターとして用いることができる。電気化学リアクターとは、ディーゼル排ガスの浄化などへの利用が研究されているもので、例えば、電気化学リアクターをNOxと固体炭素系化合物が含まれる排ガスの中に設置し、該電気化学リアクターの酸化電極と還元電極とに外部電源によって電圧を加えると、酸化電極と還元電極での反応によって、排ガスからNOxと固体炭素系化合物を除去することができる。また、この他の電気化学リアクターとしては、水蒸気電解が可能なリアクターや炭酸ガス電解が可能なリアクターなどが上げられる。
【背景技術】
【0003】
固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCともいう)は、電解質として固体酸化物を使用すること、動作環境が高温であることに特徴がある。SOFCは、平板型、円筒型の固体酸化物形燃料電池により実用化が図られている。
【0004】
なお、SOFCは起電力が小さいため、実用的に充分な電力を得るために、複数の燃料電池単セルを電気的に直列または並列に接続した構造の燃料電池が考案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数の円筒型単セルを2枚の集電板の間に接続部材を介して接続した固体電解質型燃料電池スタックが記載されている(図5等)。また、管状セルを直列に複数配した直列セルを2枚の終電板の間に接続部材を介して接続した固体電解質型燃料電池スタックが記載されている(図6等)。また、これらの固体電解質型燃料電池スタックを直列に複数接合した固体電解質型燃料電池スタック構造体が記載されている(図7等)。
なお、前記直列セルを得るために管状セルを接合する方法としては、ベル・スピゴット型固体電解質型燃料電池で用いる接合方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、電解質をアノードとカソードで挟んで形成した単素子を電気的に接続してなる電解セルが記載されており、図1等によれば、単素子同士はインターコネクタ(特許文献2には、「インターコネクター」と記載されている。)を介して接続されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−289249号公報(「特許請求の範囲」等)
【特許文献2】特開平11−149934号公報(「特許請求の範囲」等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された円筒型単セルは、円筒型単セル同士を並列に接続するためには、特許文献1の図5に示されるように2枚の集電板が必要であった。
また、円筒型単セル同士を直列に接続するためには、特許文献1の図7に示されるように円筒型単セルを集電板に接続した後に、集電板同士を接続しなければならず、非常に手間の掛かるものであった。
また、特許文献1に、特許文献1の図6のように管状セルを直列に接続する方法として記載されているスピゴットによる接続方法では、単セルの形状が複雑になる上に、円筒型単セルを直列にする際には、管状セル同士の隙間からの気体の流出を防ぐために、その隙間をシール材によってシールする必要があり、接続に非常に手間が掛かった。
【0009】
また、特許文献2に記載された電解セルは、単素子同士の接合方法は具体的には記載されていないが、特許文献2の図1又は図2に示される電解セルは、インターコネクタの内側及び外側にもアノード及びカソードが形成されており、単素子同士を単に重ね合わせるだけで接合できるものとはなってない。また、単素子を直列に重ね合わせた電解セルは、電解セルを重ね合わせたり、並べたりするだけでは直列又は並列に接続される形状ではなく、複数の電解セルを容易に直列又は並列に接続できる形状とはいえない。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、直列及び/又は並列の接続が容易に行える燃料電池単セルを提供する。また、その燃料電池単セル複数個を直列及び/又は並列に接続した単セル集合型燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の燃料電池単セルは、両端部が開口する管状の固体電解質材料、該固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極、及び、前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極を有する燃料電池であって、前記固体電解質材料の一方の開口端部には、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタが形成され、他方の開口端部には、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタが形成されていることを特徴とする
【0012】
請求項2に記載の燃料電池単セルは、請求項1に記載の燃料電池単セルにおいて、前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の管内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の管外表面の一部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の燃料電池単セルは、請求項1又は2に記載の燃料電池単セルにおいて、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタは、燃料電池単セルを前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面による断面において、その外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の単セル集合型燃料電池は、請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルが、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタが接触することによって、直列及び/又は並列に接続されたて形成された燃料電池である。
【0015】
請求項5に記載の単セル集合型燃料電池の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルを、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタを接触させることで直列及び/又は並列に接続した後、高温環境下において圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の燃料電池単セルは、複数個の燃料電池単セルを重ね合わせる単純な構造によって、複数個の燃料電池単セルを容易に直列接続することができる。
【0017】
請求項2に記載の燃料電池単セルは、請求項1の燃料電池単セルにおいて、電極とインターコネクタとを確実に接続できる。
【0018】
請求項3に記載の燃料電池単セルは、請求項1又は燃料電池単セルの効果に加え、複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合わせる単純な構造によって、容易に複数個の燃料電池単セルを並列に接続することができる。また、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合に、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間に気体(燃料ガス又は酸化剤ガスなど)が通過可能な隙間を設けることができる。
【0019】
請求項4に記載の単セル集合型燃料電池は、燃料電池単セルの組み合わせ(単セルの個数、直列及び/又は並列接続の選択)によって出力が異なる燃料電池を得ることができ、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に得ることができる。また、複数個の燃料電池単セルの結合が容易であるので、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に製造できる。
【0020】
請求項5に記載の単セル集合型燃料電池の製造方法によれば、複数個の燃料電池単セルを、インターコネクタを介して接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
SOFCとは、固体電解質を挟んで一方の側に燃料極を備え、他方の側に空気極を備え、燃料極側には燃料ガスを、空気極側には酸化剤ガスを供給し、電解質を介して燃料と酸化剤を電気化学的に反応させることにより発電する発電装置である。燃料極側には燃料ガスを、空気極側には酸化剤ガスを供給し、燃料極と空気極を電気回路で接続することで、該電気回路に電流が流れる。
【0022】
例えば、前記燃料ガスとして水素、前記酸化剤ガスとして酸素を用いて発電すると、燃料極と空気極では次のような反応が起こる。
燃料極 H2+O2−→ H2O+2e−
空気極 1/2O2+2e− → O2−
この反応において、燃料極で発生した電子(e−)は、電気回路を通って空気極に移動し、空気極での反応に使われる。また、空気極で発生した酸素イオン(O2−)は固体電解質を透過して燃料極に移動し、燃料極での反応に使われる。こうして電気回路に電子が流れる。空気極と燃料極は、前記の反応の触媒となる物質を含む層である。
【0023】
以下に本発明の燃料電池単セルの構成について説明する。
本発明の燃料電池単セルは、以下の(1)〜(5)の構成要素を有する。
(1)両端部が開口する管状の固体電解質材料。
(2)前記固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極。
(3)前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極。
(4)前記固体電解質材料の一方の開口端部に形成され、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタ。
(5)前記固体電解質材料の(4)と反対側の開口端部に形成され、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタ。
【0024】
上記構成要素をもつ燃料電池単セルは、燃料電池単セル同士を容易に接続できるため、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池を容易に得ることができる。また、この燃料電池単セルは単純な構造で、製造が容易である。
【0025】
なお、前記固体電解質材料、第1の電極、及び第2の電極の構成は、固体電解質材料を単セル構造の強度の主体とした構成でもよく、また、単セル構造の強度の主体を電極に置いた電極支持型(「アノード(燃料極)支持型」或いは「カソード(空気極)支持型」)であってもよい。
【0026】
また、固体電解質材料の管のサイズは、特に限定されるものではなく、燃料電池単セルが必要とする出力にあったものを設計すればよい。このとき、容積当りの出力密度を大きく設計するのであれば、前記管のサイズは小さい方が有利である。
【0027】
前記両端部が開口する管状の固体電解質材料、第1の電極、及び第2の電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、ハニカム型等のSOFCを形成する方法によって形成すればよい。
【0028】
また、前記第1のインターコネクタ、及び第2のインターコネクタを形成する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、前記管状の固体電解質材料の開口端部の端面を覆い、固体電解質材料の管に取り付け可能な形状に成形したインターコネクタ部材を、固体電解質材料に取り付けて、インターコネクタ部材と前記第1の電極又は第2の電極と接続する方法がある。また、固体電解質材料にインターコネクタ部材を取り付ける際には、SOFCの運転温度に耐えるだけの耐熱性を有する接着剤を用いてもよい。
インターコネクタを形成する方法としては、特開2009−4221号公報示されるような、固体電解質材料の開口端部の端面を銀ペーストに浸漬し、取り出すことにより銀ペーストを付着させ、これを乾燥、焼成する方法にもあげられるまた、この方向において、銀ペーストをインターコネクタの材料として使用可能な材料のペースト、或いは、インターコネクタの材料として使用可能な材料を含むスラリーと置き換えることで、その材料によるインターコネクタを形成することも可能である。
【0029】
前記固体電解質材料は、両端部が開口する管状に形成されている。形状は管状であれば、特に限定されないが、燃料電池単セル並列に接続する場合の空間の利用効率の観点から、開口の横断面による端面の形状が二等辺三角形、正三角形、長方形、正方形、正六角形など、平面を隙間無く充填できる形状が良い。また、燃料電池単セルを並列に接続した場合に、ガス流路となる、燃料電池単セル間の空間を広く設けたい場合には、円筒形などであってもよい。
なお、前記開口の横断面とは、開口端部における管の中心軸と垂直な面であって、開口端部の端面を含む面である。また、端面が中心軸と垂直な平面でない場合は、開口端部における管の中心軸と垂直な面であって、管の外表面及び内表面と交わり、且つ管の端面とは交わらない面の内で、開口端部に最も近い面を開口の横断面という。
【0030】
固体電解質材料としては、蛍石型の結晶構造を取るものとして、イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)又はイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)の他に、スカンジアで安定化した上、セリアもしくはアルミナがドープされたジルコニア(ScSZ)、あるいは、ガドリニウムもしくはサマリウムをドープしたセリア(GDC、SDC)などがあげられる。またペロブスカイト型結晶構造としてはストロンチウムやマグネシウムあるいはコバルトなどをドープしたランタンガレート(LSGM、LSGMC)などを使用することもできる。またその他の種類のものであっても酸素イオン導電性を有するセラミックスであれば使用することができる。
また、ある種のペロブスカイト系組成物などにみられるプロトン導電性のある電解質であっても、本発明の趣旨をそこなうものではない。
この電解質は、原則として緻密に焼上げたものが良いが、特殊なリアクターとして使用する場合に於いては通気性を有する多孔体となっていてもかまわない。
【0031】
前記第1の電極と前記第2の電極は前記管状の固体電解質材料を挟むように、固体電解質材料の管内表面と管外表面に形成されている。なお、第1の電極を空気極、第2の電極を燃料極として使用しても。若しくは、第1の電極を燃料極、第2の電極を空気極として使用してもよい。
【0032】
前記空気極の材料は、酸化剤ガスの反応の触媒となる物質であればよい。また、空気極の材料は酸化雰囲気でも導電性を有し、電解質との熱膨張係数が近似していることが望ましい。このような材料としては、例えば、Co、Fe、Cr、Mnなどの複合酸化物があげられる。前記複合酸化物としては、SSC;(Sm,Sr)CoO3、LSM;(La,Sr)MnO3、LSC;(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、LNF;(LaNi0.6Fe0.4O3)、(La,Ca)MnO3などがある。また、Pt、Ag、Pdなどの金属を用いることも可能である。
また、上記材料により形成される空気極は、酸化剤ガスや反応生成物の通過を妨げない粗構造であることが望ましい。
【0033】
前記燃料極の材料は、燃料ガスの反応の触媒となる物質であればよい。また、燃料極の材料は、還元した際に導電性がでるものであって、電解質との熱膨張係数が近似していることが望ましい。このような材料としては、例えば、Ni、Fe、Co、Pt、Pd、Ru、Agなどの酸化物、これらの酸化物の混合物などがあげられる。また、前記酸化物もしくは前記混合物を前記固体電解質材料(3YSZ、8YSZ、ScSZ、GDC、SDC、LSGM)などと混合したサーメットを用いることもできる。
また、上記材料により形成される燃料極は、燃料ガスや反応生成物の通過を妨げない粗構造を取ることが望ましい。
【0034】
前記第1のインターコネクタ及び第2のインターコネクタは、前記両端部が開口する管状の固体電解質材料の開口端部に形成され、第1のインターコネクタは前記第1の電極に電気的に接続され、第2のインターコネクタは前記第2の電極に電気的に接続されている。このことにより、燃料電池単セル同士を直列に接続することが容易となる。
【0035】
なお、前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の外表面の一部を覆うように形成されていることが好ましい。このようにインターコネクタを形成すれば、電極とインターコネクタとを確実に接続できる。
【0036】
また、燃料電池単セルの前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面における断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側になるように形成されていることが好ましい。ここで、前記中心軸線を含む面は無数に存在する場合は、その中のある面における断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されていればよい。なお、ここでは、管状の固体電解質材料の中心軸からの距離が遠い位置を外、近い位置を内としている。
このようにインターコネクタを形成すれば、第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が第2の電極の外周縁より外側に形成されている位置のインターコネクタ同士を付け合せることで、複数個の燃料電池単セを並列に接続することができる。また、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合に、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間に気体(燃料ガス又は酸化剤ガスなど)が通過可能な隙間を設けることができる。
なお、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合において、燃料電池単セルの配置の自由度を増す(インターコネクタの位置でも並列接続を可能にする)ために、中心軸線を含むどの面における断面においても、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されていることが好ましい。
【0037】
また、前記中心軸を含み第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が前記第2の電極の外周縁より外側に形成されている断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁と前記中心軸線との距離と前記第2の電極の外周縁と前記中心軸線との距離の差が0.025〜5mmあることが好ましく、0.05〜2mmあることがより好ましい。
この距離の差が小さすぎると、複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合せることで、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合において、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間の距離が小さすぎることで、気体(燃料ガス又は酸化剤ガス)の透過率が小さくなり、第2の電極に燃料電池の発電に必要な気体を十分に供給できず、単セル集合型燃料電池の発電効率が悪くなる場合がある。逆に、この距離の差が大きすぎると、燃料電池の発電に十分な気体を第2の電極に供給することはできるが、単セル集合型燃料電池の容積が大きくなってしまい、単セル集合型燃料電池の容積あたりの出力が小さくなってしまう。前記距離の差が上記の範囲であれば、発電効率に優れ、容積あたりの出力が高い単セル集合型燃料電池を得ることができる。
【0038】
上記のように、複数個の燃料電池単セルを並列に接続する場合においては、管状の燃料電池単セルの一方の開口端部の端面と他方の開口端部の端面とが略平行になるように形成されていることが好ましい。両開口端部の端面が略平行であれば、隣り合う燃料電池単セルの第1のインターコネクタ同士、及び第2のインターコネクタ同士を燃料電池単セルの向きに関係なく接続することができる。
【0039】
また、開口端部の両端面に形成された前記第1インターコネクタと第2のインターコネクタとは、一方の開口の横断面において、前記第1のインターコネクタの外周縁が描く図形と、他方の開口の横断面において、前記第2のインターコネクタの外周縁が描く図形とが、略同形且つ略同大であることが好ましい。2つのインターコネクタをこのように形成すれば、複数個の燃料電池単セルを平面上に並べることで、隣り合う燃料電池単セルの第1のインターコネクタ同士及び第2のインターコネクタ同士を接触させることができる。前記図形が略同形且つ略同大でない場合には、複数個の燃料電池単セルを平面上に並べて、第1のインターコネクタ同士が接触できても、第2のインターコネクタ同士が接触できない場合、またはその逆の場合などがある。複数個の燃料電池単セルを平面上に並べて並列に接続できることで、並列接続が容易に行え、それにより得られる単セル集合型燃料電池が納まりがよいものとなる。また、前記図形が略同形且つ略同大であれば、複数個の燃料電池単セルを直列に接合する場合には、第1インターコネクタと第2のインターコネクタとを確実に接合して、燃料電池単セル間のシール性を確保することができる。
【0040】
前記第1のインターコネクタ及び第2のインターコネクタの材料は、導電性を有し、前記固体電解質材料との密着性に優れた物質であればよく、銀、ニッケル、白金、パラジウムあるいは、鉄クロム合金もしくはその合金にジルコニア、ランタンをドープした材料等の導電性金属、又は該導電性金属を含む合金や混合物等を用いることができる。また、複数個の燃料電池単セルを直列又は並列に接続し、接着する場合は、高温展伸性又は高温可塑性を有する材料を用いることが好ましい。なお、ここでいう高温とは、燃料電池の動作環境温度であり、従来の燃料電池においては600〜1000℃である。このような材料としては、例えば、融点が約960℃である銀、また、導電性金属とガラス転移点が前記動作環境温度程度の無機材料との混合物等が挙げられる。
これらの材料の中でも、インターコネクタの材料としては、酸化にも還元にも強く、マイグレーションが起こりにくい点を考慮して、銀、銀を含む合金、又は銀を含む混合物を用いることが好ましい。
【0041】
インターコネクタに高温展伸性又は高温可塑性を有する材料を用いれば、高温環境下で複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合せて加圧することで、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接着させることができる。また、複数個の燃料電池単セルを直列に接続する場合には、高温環境下でインターコネクタ同士を付け合せて加圧することで、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接着されだけでなく、インターコネクタによって燃料電池単セル間のシール性を確保することもできる。このときの加圧は、インターコネクタの接着面に100g/cm2〜20kg/cm2の圧力がかかるように、重りもしくはバネ機構により行うのがよい。
【0042】
上記のように加圧ができない場合やインターコネクタが高温展伸性又は高温可塑性を有さないなど、十分な接着性やシール性が得られない可能性がある場合には、導電性を有し、乾燥若しくは焼成することでインターコネクタ同士を接着可能なシール剤(接着剤)を用いて、複数個の燃料電池単セルを接着することができる。例えば、前記インターコネクタに用いられる導電性を有する物質の粉末に、溶媒、水溶性高分子等の有機成分を混合したペースト状接着剤を作製して、インターコネクタ接合部に塗布乾燥して連結するか、蝋付の要領で接着することができる。
【0043】
前記した燃料電池単セルは、それ自体を単独で用いても燃料電池として使用できるが、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池として用いることが好ましい。複数個の燃料電池単セルを組み合わせることで、高出力(高電圧及び/又は高電流)の燃料電池を得ることができる。
複数個の燃料電池単セルの並列及び/又は直列の組み合わせ方は、必要とされる燃料電池の出力によって適宜設計される。本発明の燃料電池単セルを用いれば、同じ形状の燃料電池単セルの組み合わせによって、出力が異なる単セル集合型燃料電池を作製することができることによって、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に得ることができる。
【0044】
単セル集合型燃料電池を得るにあたって、燃料電池単セルを、インターコネクタを介して直列に接続して接合する方法としては、例えば、複数個の燃料電池単セルを管内(ガス流路)が連通するように積層し、高温環境下において積層方向に圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着する方法がある。また、燃料電池単セルを、インターコネクタを介して並列に接続して接合する方法としては、例えば、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接続されるように、燃料電池単セルを並べて、高温環境下においてに燃料電池単セル同士を押し付ける方向に圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着する方法がある。ここでいう高温とは、例えば、燃料電池の動作環境温度であり、従来の燃料電池においては600〜1000℃である。また、前記動作環境温度より高温であってもかまわない。
また、燃料電池単セルを並列に連結する際には、燃料電池単セルの第2の電極間の間隙を増やすために、お互いのインターコネクタ間に導電性金属や導電性セラミックスを挿入することもできる。また、複数個の単セルのインターコネクタ同士を導電性金属で配線することもできる。
【0045】
前記した燃料電池単セルは、燃料電池単セル同士を直列及び並列に接続して結合させることが容易であるので、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に製造できる。
【0046】
前記単セル集合型燃料電池は、前記燃料電池単セルはセルの壁の大部分を出力面積とすることができるので、出力面積で有利と言われているハニカム型燃料電池と比較しても、容積当りの出力密度を大きく設計することが可能である。
更には、前記第1のインターコネクタと第2のインターコネクタとの距離を小さく設計した燃料電池単セルを直列接合した場合には、容積当たりの電圧が大きい単セル集合型燃料電池を設計することが可能となる。
また、前記単セル集合型燃料電池は、小さな単セルがブロック単位となり、塑性変形しやすいインターコネクタで上下左右に接合されているので、熱的衝撃を吸収しやすく、スポーリング割れなどが発生しにくい構造となる。
また、前記単セル集合型燃料電池は、セルの外面側がオープン雰囲気になるため、多数のセルを直列・並列に集合させた場合であっても、運転中に発生する熱に対して、セルの外面側に供給するガス流速やセルの並列間隙などの調整することによって、容易に熱交換を行うことができる。
【0047】
以下に、本発明の具体的な実施形態を示す。
【0048】
(第1の実施形態)本発明の燃料電池単セルの一例として、開口の横断面による端面の形状が正方形の管状の固体電解質材料11を用いて形成した燃料電池単セル10の概略図を図1〜3に示す。なお、前記正方形の(外周縁の)一辺の長さは15mmであり、固体電解質材料の厚みは1mmである。
【0049】
燃料電池単セル10は、固体電解質材料11の管内表面に第1の電極21、管外表面に第2の電極22が形成されている。なお、第1の電極21は、燃料極であって、第2の電極22は空気極である。
【0050】
そして、上端部の端面には第1のインターコネクタ31が形成されている。該インターコネクタ31は、第1の電極21の管内表面の一部と固体電解質材料11の管外表面の一部とを覆うように形成されており、第1の電極21と電気的に接続されている。このとき、第1のインターコネクタ31と第2の電極22が接続されないように、第2の電極22は、固体電解質材料11の外表面の上部付近には形成されていない。
また、下端部の端面には第2のインターコネクタ32が形成されている。該インターコネクタ32は、第2の電極22の管外表面の一部と固体電解質材料11の管内表面の一部とを覆うように形成されており、第2の電極22と電気的に接続されている。このとき、第2のインターコネクタ31と第1の電極21が接続されないように、第1の電極21は、固体電解質材料11の内表面の下部付近には形成されていない。
【0051】
また、管状の固体電解質材料11の中心軸を含む面による断面である図3(a)図において、第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁は、第2の電極22の外周縁より外側に位置している。
このとき、この断面における、固体電解質材料11の中心軸と第1のインターコネクタ31の外周縁との距離Yと、前記中心軸と第2の電極22の外周縁との距離Xの差(Y−X)は、0.025〜5mmであることが好ましく、0.05〜2mmあることがより好ましい。なお、図3(a)図において、前記距離Yは、前記中心軸と第2のインターコネクタ32の外周縁との距離と等しい。
因みに、燃料電池単セル10は、図3(a)図に示すA−A断面に限らず、中心軸線を含むどの面による断面においても、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁は、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されている。
【0052】
また、この燃料電池単セル10は、上面と下面は平行であって、上部の開口の横断面において前記第1のインターコネクタの外周縁が描く図形と、下部の開口の横断面において前記第2のインターコネクタの外周縁が描く図形とは同形且つ同大である。
【0053】
(第2の実施形態)燃料電池単セルを並列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を3個使用し、それらを並列に接続した単セル集合型燃料電池100の概略図を図4,5に示す。
【0054】
この単セル集合型燃料電池100は、燃料電池単セル10aと燃料電池単セル10bの第1のインターコネクタ31同士及び第2のインターコネクタ32同士を接続し、さらに、燃料電池単セル10bと燃料電池単セル10cの第1のインターコネクタ31同士及び第2のインターコネクタ32同士を接続することで、3個の燃料電池単セル10を並列に接続している。
【0055】
また、燃料電池単セル10aの中心軸、燃料電池単セル10bの中心軸、及び燃料電池単セル10cの中心軸を含む断面である図5(a)や図5(b)をみると、各燃料電池単セル10の第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が第2の電極22の外周縁より外側に位置していることによって、燃料電池単セル10aの第2のインターコネクタ22と燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ22との間、及び、燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ22と燃料電池単セル10cの第2のインターコネクタ22との間には、気体が通過可能な隙間が形成されている。この隙間の幅は、0.05〜10mmあることが好ましく、0.1〜4mmあることがより好ましい。この隙間の幅が小さすぎると、気体の透過率が小さくなり、第2の電極に燃料電池の発電に必要な気体を十分に供給できず、単セル集合型燃料電池の発電効率が悪くなる場合がある。逆に、この隙間の幅が大きすぎると、燃料電池の発電に十分な気体を第2の電極に供給することはできるが、単セル集合型燃料電池の容積が大きくなってしまい、単セル集合型燃料電池の容積あたりの出力が小さくなってしまう。前記距離の差が上記の範囲であれば、発電効率に優れ、容積あたりの出力が高い単セル集合型燃料電池を得ることができる。
【0056】
また、このとき、燃料電池単セル10の上面と下面は平行であることで、3個の燃料電池単セル10を、燃料電池単セル10の向きに関係なく、容易に接続することができる。
【0057】
(第3の実施形態)燃料電池単セルを直列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を3個使用し、それらを直列に接続した単セル集合型燃料電池101の概略図を図6,7に示す。
【0058】
この単セル集合型燃料電池101は、3個の燃料電池単セル10を管内が連通するように積層して、燃料電池単セル10aの第2のインターコネクタ32と燃料電池単セル10bの第1のインターコネクタ31とを接続し、さらに、燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ32と燃料電池単セル10cの第1のインターコネクタ31を接続することで、3個の燃料電池単セル10を直列に接続している。
【0059】
また、燃料電池単セル10aの中心軸、燃料電池単セル10bの中心軸、及び燃料電池単セル10cの中心軸を含む断面である図7をみると、各燃料電池単セル10の上部の開口の横断面において第1のインターコネクタ31の外周縁が描く図形と、下部の開口の横断面において前記第2のインターコネクタ32の外周縁が描く図形とが同形且つ同大であることによって、第1インターコネクタ31と第2のインターコネクタ32とが確実に隙間なく接合されており、接合部分におけるシール性が確保されている。
【0060】
(第4の実施形態)燃料電池単セルを直列及び並列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を12個使用し、それらを直列及び並列に接続した単セル集合型燃料電池102の概略図を図8に示す。
【0061】
(第5の実施形態)本発明の燃料電池単セルの一例として、開口の横断面による端面の形状が正方形の管状の固体電解質材料11を用いて形成した燃料電池単セル20の概略図を図9〜11に示す。この燃料電池単セル20は、実施形態1に示した燃料電池単セル10の第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の形状を変えたものである。
【0062】
この燃料電池単セル20は、燃料電池単セル10のように、中心軸線を含むどの面による断面においても、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されているものではなく、中心軸線を含むある面による断面において、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されている。
例えば、図10に示すF−F断面図では、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されているが、図11に示すG−G断面図では、第1インターコネクタ31の外周縁は第2の電極22より内側となり、第2のインターコネクタ32の外周縁は第2の電極22の外周縁と中心軸からの距離が同じになるように形成されている。
【0063】
複数個の燃料電池単セル20を並列に接続する場合には、F−F断面図に示すような、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されている部分を利用して、隣り合う燃料電池単セル20のこの部分同士を付け合わせればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の燃料電池単セルの一例の概略を示す斜視図
【図2】(a)図1に示す燃料電池単セルを上方から見た平面図、(b)図1に示す燃料電池単セルの立面図
【図3】(a)図2に示す燃料電池単セルのA−A矢視断面図、(b)図2に示す燃料電池単セルのB−B矢視断面図
【図4】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを3個用いて、それらを並列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図5】(a)図4に示す単セル集合型燃料電池のC−C矢視断面図、(b)図4に示す単セル集合型燃料電池のD−D矢視断面図
【図6】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを3個用いて、それらを直列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図7】図6に示す単セル集合型燃料電池のE−E矢視断面図
【図8】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを12個用いて、それらを直列及び並列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図9】本発明の燃料電池単セルの一例を示す略式図である。(a)前記燃料電池単セルの平面図、(b)前記燃料電池単セルの立面図
【図10】図9に示す単セル集合型燃料電池のF−F矢視断面図
【図11】図9に示す単セル集合型燃料電池のG−G矢視断面図
【符号の説明】
【0065】
10,10a,10b,10c,20 燃料電池単セル
100,101,102 単セル集合型燃料電池
11 管状に形成された固体電解質材料
11A 管状の固体電解質材料の中心軸
21 第1の電極
22 第2の電極
22R 第2の電極の外周縁
31 第1のインターコネクタ
31R 第1のインターコネクタの外周縁
32 第1のインターコネクタ
32R 第2のインターコネクタの外周縁
X 固体電解質材料の中心軸と第2の電極の外周縁との距離
Y 固体電解質材料の中心軸と第1のインターコネクタの外周縁との距離
【技術分野】
【0001】
この発明は、固体酸化物形燃料電池である燃料電池単セル及び、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池に関する。
【0002】
なお、本明細書においては、燃料電池単セル及び単セル集合型燃料電池として説明するが、同じ構成のものを電気化学リアクターとして用いることができる。電気化学リアクターとは、ディーゼル排ガスの浄化などへの利用が研究されているもので、例えば、電気化学リアクターをNOxと固体炭素系化合物が含まれる排ガスの中に設置し、該電気化学リアクターの酸化電極と還元電極とに外部電源によって電圧を加えると、酸化電極と還元電極での反応によって、排ガスからNOxと固体炭素系化合物を除去することができる。また、この他の電気化学リアクターとしては、水蒸気電解が可能なリアクターや炭酸ガス電解が可能なリアクターなどが上げられる。
【背景技術】
【0003】
固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCともいう)は、電解質として固体酸化物を使用すること、動作環境が高温であることに特徴がある。SOFCは、平板型、円筒型の固体酸化物形燃料電池により実用化が図られている。
【0004】
なお、SOFCは起電力が小さいため、実用的に充分な電力を得るために、複数の燃料電池単セルを電気的に直列または並列に接続した構造の燃料電池が考案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数の円筒型単セルを2枚の集電板の間に接続部材を介して接続した固体電解質型燃料電池スタックが記載されている(図5等)。また、管状セルを直列に複数配した直列セルを2枚の終電板の間に接続部材を介して接続した固体電解質型燃料電池スタックが記載されている(図6等)。また、これらの固体電解質型燃料電池スタックを直列に複数接合した固体電解質型燃料電池スタック構造体が記載されている(図7等)。
なお、前記直列セルを得るために管状セルを接合する方法としては、ベル・スピゴット型固体電解質型燃料電池で用いる接合方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、電解質をアノードとカソードで挟んで形成した単素子を電気的に接続してなる電解セルが記載されており、図1等によれば、単素子同士はインターコネクタ(特許文献2には、「インターコネクター」と記載されている。)を介して接続されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−289249号公報(「特許請求の範囲」等)
【特許文献2】特開平11−149934号公報(「特許請求の範囲」等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された円筒型単セルは、円筒型単セル同士を並列に接続するためには、特許文献1の図5に示されるように2枚の集電板が必要であった。
また、円筒型単セル同士を直列に接続するためには、特許文献1の図7に示されるように円筒型単セルを集電板に接続した後に、集電板同士を接続しなければならず、非常に手間の掛かるものであった。
また、特許文献1に、特許文献1の図6のように管状セルを直列に接続する方法として記載されているスピゴットによる接続方法では、単セルの形状が複雑になる上に、円筒型単セルを直列にする際には、管状セル同士の隙間からの気体の流出を防ぐために、その隙間をシール材によってシールする必要があり、接続に非常に手間が掛かった。
【0009】
また、特許文献2に記載された電解セルは、単素子同士の接合方法は具体的には記載されていないが、特許文献2の図1又は図2に示される電解セルは、インターコネクタの内側及び外側にもアノード及びカソードが形成されており、単素子同士を単に重ね合わせるだけで接合できるものとはなってない。また、単素子を直列に重ね合わせた電解セルは、電解セルを重ね合わせたり、並べたりするだけでは直列又は並列に接続される形状ではなく、複数の電解セルを容易に直列又は並列に接続できる形状とはいえない。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、直列及び/又は並列の接続が容易に行える燃料電池単セルを提供する。また、その燃料電池単セル複数個を直列及び/又は並列に接続した単セル集合型燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の燃料電池単セルは、両端部が開口する管状の固体電解質材料、該固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極、及び、前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極を有する燃料電池であって、前記固体電解質材料の一方の開口端部には、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタが形成され、他方の開口端部には、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタが形成されていることを特徴とする
【0012】
請求項2に記載の燃料電池単セルは、請求項1に記載の燃料電池単セルにおいて、前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の管内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の管外表面の一部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の燃料電池単セルは、請求項1又は2に記載の燃料電池単セルにおいて、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタは、燃料電池単セルを前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面による断面において、その外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の単セル集合型燃料電池は、請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルが、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタが接触することによって、直列及び/又は並列に接続されたて形成された燃料電池である。
【0015】
請求項5に記載の単セル集合型燃料電池の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルを、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタを接触させることで直列及び/又は並列に接続した後、高温環境下において圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の燃料電池単セルは、複数個の燃料電池単セルを重ね合わせる単純な構造によって、複数個の燃料電池単セルを容易に直列接続することができる。
【0017】
請求項2に記載の燃料電池単セルは、請求項1の燃料電池単セルにおいて、電極とインターコネクタとを確実に接続できる。
【0018】
請求項3に記載の燃料電池単セルは、請求項1又は燃料電池単セルの効果に加え、複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合わせる単純な構造によって、容易に複数個の燃料電池単セルを並列に接続することができる。また、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合に、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間に気体(燃料ガス又は酸化剤ガスなど)が通過可能な隙間を設けることができる。
【0019】
請求項4に記載の単セル集合型燃料電池は、燃料電池単セルの組み合わせ(単セルの個数、直列及び/又は並列接続の選択)によって出力が異なる燃料電池を得ることができ、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に得ることができる。また、複数個の燃料電池単セルの結合が容易であるので、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に製造できる。
【0020】
請求項5に記載の単セル集合型燃料電池の製造方法によれば、複数個の燃料電池単セルを、インターコネクタを介して接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
SOFCとは、固体電解質を挟んで一方の側に燃料極を備え、他方の側に空気極を備え、燃料極側には燃料ガスを、空気極側には酸化剤ガスを供給し、電解質を介して燃料と酸化剤を電気化学的に反応させることにより発電する発電装置である。燃料極側には燃料ガスを、空気極側には酸化剤ガスを供給し、燃料極と空気極を電気回路で接続することで、該電気回路に電流が流れる。
【0022】
例えば、前記燃料ガスとして水素、前記酸化剤ガスとして酸素を用いて発電すると、燃料極と空気極では次のような反応が起こる。
燃料極 H2+O2−→ H2O+2e−
空気極 1/2O2+2e− → O2−
この反応において、燃料極で発生した電子(e−)は、電気回路を通って空気極に移動し、空気極での反応に使われる。また、空気極で発生した酸素イオン(O2−)は固体電解質を透過して燃料極に移動し、燃料極での反応に使われる。こうして電気回路に電子が流れる。空気極と燃料極は、前記の反応の触媒となる物質を含む層である。
【0023】
以下に本発明の燃料電池単セルの構成について説明する。
本発明の燃料電池単セルは、以下の(1)〜(5)の構成要素を有する。
(1)両端部が開口する管状の固体電解質材料。
(2)前記固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極。
(3)前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極。
(4)前記固体電解質材料の一方の開口端部に形成され、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタ。
(5)前記固体電解質材料の(4)と反対側の開口端部に形成され、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタ。
【0024】
上記構成要素をもつ燃料電池単セルは、燃料電池単セル同士を容易に接続できるため、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池を容易に得ることができる。また、この燃料電池単セルは単純な構造で、製造が容易である。
【0025】
なお、前記固体電解質材料、第1の電極、及び第2の電極の構成は、固体電解質材料を単セル構造の強度の主体とした構成でもよく、また、単セル構造の強度の主体を電極に置いた電極支持型(「アノード(燃料極)支持型」或いは「カソード(空気極)支持型」)であってもよい。
【0026】
また、固体電解質材料の管のサイズは、特に限定されるものではなく、燃料電池単セルが必要とする出力にあったものを設計すればよい。このとき、容積当りの出力密度を大きく設計するのであれば、前記管のサイズは小さい方が有利である。
【0027】
前記両端部が開口する管状の固体電解質材料、第1の電極、及び第2の電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、ハニカム型等のSOFCを形成する方法によって形成すればよい。
【0028】
また、前記第1のインターコネクタ、及び第2のインターコネクタを形成する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、前記管状の固体電解質材料の開口端部の端面を覆い、固体電解質材料の管に取り付け可能な形状に成形したインターコネクタ部材を、固体電解質材料に取り付けて、インターコネクタ部材と前記第1の電極又は第2の電極と接続する方法がある。また、固体電解質材料にインターコネクタ部材を取り付ける際には、SOFCの運転温度に耐えるだけの耐熱性を有する接着剤を用いてもよい。
インターコネクタを形成する方法としては、特開2009−4221号公報示されるような、固体電解質材料の開口端部の端面を銀ペーストに浸漬し、取り出すことにより銀ペーストを付着させ、これを乾燥、焼成する方法にもあげられるまた、この方向において、銀ペーストをインターコネクタの材料として使用可能な材料のペースト、或いは、インターコネクタの材料として使用可能な材料を含むスラリーと置き換えることで、その材料によるインターコネクタを形成することも可能である。
【0029】
前記固体電解質材料は、両端部が開口する管状に形成されている。形状は管状であれば、特に限定されないが、燃料電池単セル並列に接続する場合の空間の利用効率の観点から、開口の横断面による端面の形状が二等辺三角形、正三角形、長方形、正方形、正六角形など、平面を隙間無く充填できる形状が良い。また、燃料電池単セルを並列に接続した場合に、ガス流路となる、燃料電池単セル間の空間を広く設けたい場合には、円筒形などであってもよい。
なお、前記開口の横断面とは、開口端部における管の中心軸と垂直な面であって、開口端部の端面を含む面である。また、端面が中心軸と垂直な平面でない場合は、開口端部における管の中心軸と垂直な面であって、管の外表面及び内表面と交わり、且つ管の端面とは交わらない面の内で、開口端部に最も近い面を開口の横断面という。
【0030】
固体電解質材料としては、蛍石型の結晶構造を取るものとして、イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)又はイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)の他に、スカンジアで安定化した上、セリアもしくはアルミナがドープされたジルコニア(ScSZ)、あるいは、ガドリニウムもしくはサマリウムをドープしたセリア(GDC、SDC)などがあげられる。またペロブスカイト型結晶構造としてはストロンチウムやマグネシウムあるいはコバルトなどをドープしたランタンガレート(LSGM、LSGMC)などを使用することもできる。またその他の種類のものであっても酸素イオン導電性を有するセラミックスであれば使用することができる。
また、ある種のペロブスカイト系組成物などにみられるプロトン導電性のある電解質であっても、本発明の趣旨をそこなうものではない。
この電解質は、原則として緻密に焼上げたものが良いが、特殊なリアクターとして使用する場合に於いては通気性を有する多孔体となっていてもかまわない。
【0031】
前記第1の電極と前記第2の電極は前記管状の固体電解質材料を挟むように、固体電解質材料の管内表面と管外表面に形成されている。なお、第1の電極を空気極、第2の電極を燃料極として使用しても。若しくは、第1の電極を燃料極、第2の電極を空気極として使用してもよい。
【0032】
前記空気極の材料は、酸化剤ガスの反応の触媒となる物質であればよい。また、空気極の材料は酸化雰囲気でも導電性を有し、電解質との熱膨張係数が近似していることが望ましい。このような材料としては、例えば、Co、Fe、Cr、Mnなどの複合酸化物があげられる。前記複合酸化物としては、SSC;(Sm,Sr)CoO3、LSM;(La,Sr)MnO3、LSC;(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、LNF;(LaNi0.6Fe0.4O3)、(La,Ca)MnO3などがある。また、Pt、Ag、Pdなどの金属を用いることも可能である。
また、上記材料により形成される空気極は、酸化剤ガスや反応生成物の通過を妨げない粗構造であることが望ましい。
【0033】
前記燃料極の材料は、燃料ガスの反応の触媒となる物質であればよい。また、燃料極の材料は、還元した際に導電性がでるものであって、電解質との熱膨張係数が近似していることが望ましい。このような材料としては、例えば、Ni、Fe、Co、Pt、Pd、Ru、Agなどの酸化物、これらの酸化物の混合物などがあげられる。また、前記酸化物もしくは前記混合物を前記固体電解質材料(3YSZ、8YSZ、ScSZ、GDC、SDC、LSGM)などと混合したサーメットを用いることもできる。
また、上記材料により形成される燃料極は、燃料ガスや反応生成物の通過を妨げない粗構造を取ることが望ましい。
【0034】
前記第1のインターコネクタ及び第2のインターコネクタは、前記両端部が開口する管状の固体電解質材料の開口端部に形成され、第1のインターコネクタは前記第1の電極に電気的に接続され、第2のインターコネクタは前記第2の電極に電気的に接続されている。このことにより、燃料電池単セル同士を直列に接続することが容易となる。
【0035】
なお、前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の外表面の一部を覆うように形成されていることが好ましい。このようにインターコネクタを形成すれば、電極とインターコネクタとを確実に接続できる。
【0036】
また、燃料電池単セルの前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面における断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側になるように形成されていることが好ましい。ここで、前記中心軸線を含む面は無数に存在する場合は、その中のある面における断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されていればよい。なお、ここでは、管状の固体電解質材料の中心軸からの距離が遠い位置を外、近い位置を内としている。
このようにインターコネクタを形成すれば、第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が第2の電極の外周縁より外側に形成されている位置のインターコネクタ同士を付け合せることで、複数個の燃料電池単セを並列に接続することができる。また、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合に、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間に気体(燃料ガス又は酸化剤ガスなど)が通過可能な隙間を設けることができる。
なお、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合において、燃料電池単セルの配置の自由度を増す(インターコネクタの位置でも並列接続を可能にする)ために、中心軸線を含むどの面における断面においても、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されていることが好ましい。
【0037】
また、前記中心軸を含み第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁が前記第2の電極の外周縁より外側に形成されている断面において、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁と前記中心軸線との距離と前記第2の電極の外周縁と前記中心軸線との距離の差が0.025〜5mmあることが好ましく、0.05〜2mmあることがより好ましい。
この距離の差が小さすぎると、複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合せることで、複数個の燃料電池単セルを並列に接続した場合において、隣り合う燃料電池単セルの第2の電極の間の距離が小さすぎることで、気体(燃料ガス又は酸化剤ガス)の透過率が小さくなり、第2の電極に燃料電池の発電に必要な気体を十分に供給できず、単セル集合型燃料電池の発電効率が悪くなる場合がある。逆に、この距離の差が大きすぎると、燃料電池の発電に十分な気体を第2の電極に供給することはできるが、単セル集合型燃料電池の容積が大きくなってしまい、単セル集合型燃料電池の容積あたりの出力が小さくなってしまう。前記距離の差が上記の範囲であれば、発電効率に優れ、容積あたりの出力が高い単セル集合型燃料電池を得ることができる。
【0038】
上記のように、複数個の燃料電池単セルを並列に接続する場合においては、管状の燃料電池単セルの一方の開口端部の端面と他方の開口端部の端面とが略平行になるように形成されていることが好ましい。両開口端部の端面が略平行であれば、隣り合う燃料電池単セルの第1のインターコネクタ同士、及び第2のインターコネクタ同士を燃料電池単セルの向きに関係なく接続することができる。
【0039】
また、開口端部の両端面に形成された前記第1インターコネクタと第2のインターコネクタとは、一方の開口の横断面において、前記第1のインターコネクタの外周縁が描く図形と、他方の開口の横断面において、前記第2のインターコネクタの外周縁が描く図形とが、略同形且つ略同大であることが好ましい。2つのインターコネクタをこのように形成すれば、複数個の燃料電池単セルを平面上に並べることで、隣り合う燃料電池単セルの第1のインターコネクタ同士及び第2のインターコネクタ同士を接触させることができる。前記図形が略同形且つ略同大でない場合には、複数個の燃料電池単セルを平面上に並べて、第1のインターコネクタ同士が接触できても、第2のインターコネクタ同士が接触できない場合、またはその逆の場合などがある。複数個の燃料電池単セルを平面上に並べて並列に接続できることで、並列接続が容易に行え、それにより得られる単セル集合型燃料電池が納まりがよいものとなる。また、前記図形が略同形且つ略同大であれば、複数個の燃料電池単セルを直列に接合する場合には、第1インターコネクタと第2のインターコネクタとを確実に接合して、燃料電池単セル間のシール性を確保することができる。
【0040】
前記第1のインターコネクタ及び第2のインターコネクタの材料は、導電性を有し、前記固体電解質材料との密着性に優れた物質であればよく、銀、ニッケル、白金、パラジウムあるいは、鉄クロム合金もしくはその合金にジルコニア、ランタンをドープした材料等の導電性金属、又は該導電性金属を含む合金や混合物等を用いることができる。また、複数個の燃料電池単セルを直列又は並列に接続し、接着する場合は、高温展伸性又は高温可塑性を有する材料を用いることが好ましい。なお、ここでいう高温とは、燃料電池の動作環境温度であり、従来の燃料電池においては600〜1000℃である。このような材料としては、例えば、融点が約960℃である銀、また、導電性金属とガラス転移点が前記動作環境温度程度の無機材料との混合物等が挙げられる。
これらの材料の中でも、インターコネクタの材料としては、酸化にも還元にも強く、マイグレーションが起こりにくい点を考慮して、銀、銀を含む合金、又は銀を含む混合物を用いることが好ましい。
【0041】
インターコネクタに高温展伸性又は高温可塑性を有する材料を用いれば、高温環境下で複数個の燃料電池単セルのインターコネクタ同士を付け合せて加圧することで、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接着させることができる。また、複数個の燃料電池単セルを直列に接続する場合には、高温環境下でインターコネクタ同士を付け合せて加圧することで、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接着されだけでなく、インターコネクタによって燃料電池単セル間のシール性を確保することもできる。このときの加圧は、インターコネクタの接着面に100g/cm2〜20kg/cm2の圧力がかかるように、重りもしくはバネ機構により行うのがよい。
【0042】
上記のように加圧ができない場合やインターコネクタが高温展伸性又は高温可塑性を有さないなど、十分な接着性やシール性が得られない可能性がある場合には、導電性を有し、乾燥若しくは焼成することでインターコネクタ同士を接着可能なシール剤(接着剤)を用いて、複数個の燃料電池単セルを接着することができる。例えば、前記インターコネクタに用いられる導電性を有する物質の粉末に、溶媒、水溶性高分子等の有機成分を混合したペースト状接着剤を作製して、インターコネクタ接合部に塗布乾燥して連結するか、蝋付の要領で接着することができる。
【0043】
前記した燃料電池単セルは、それ自体を単独で用いても燃料電池として使用できるが、複数個の燃料電池単セルを並列及び/又は直列に接続した単セル集合型燃料電池として用いることが好ましい。複数個の燃料電池単セルを組み合わせることで、高出力(高電圧及び/又は高電流)の燃料電池を得ることができる。
複数個の燃料電池単セルの並列及び/又は直列の組み合わせ方は、必要とされる燃料電池の出力によって適宜設計される。本発明の燃料電池単セルを用いれば、同じ形状の燃料電池単セルの組み合わせによって、出力が異なる単セル集合型燃料電池を作製することができることによって、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に得ることができる。
【0044】
単セル集合型燃料電池を得るにあたって、燃料電池単セルを、インターコネクタを介して直列に接続して接合する方法としては、例えば、複数個の燃料電池単セルを管内(ガス流路)が連通するように積層し、高温環境下において積層方向に圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着する方法がある。また、燃料電池単セルを、インターコネクタを介して並列に接続して接合する方法としては、例えば、複数個の燃料電池単セルがインターコネクタを介して接続されるように、燃料電池単セルを並べて、高温環境下においてに燃料電池単セル同士を押し付ける方向に圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着する方法がある。ここでいう高温とは、例えば、燃料電池の動作環境温度であり、従来の燃料電池においては600〜1000℃である。また、前記動作環境温度より高温であってもかまわない。
また、燃料電池単セルを並列に連結する際には、燃料電池単セルの第2の電極間の間隙を増やすために、お互いのインターコネクタ間に導電性金属や導電性セラミックスを挿入することもできる。また、複数個の単セルのインターコネクタ同士を導電性金属で配線することもできる。
【0045】
前記した燃料電池単セルは、燃料電池単セル同士を直列及び並列に接続して結合させることが容易であるので、必要とされる出力をもつ燃料電池を容易に製造できる。
【0046】
前記単セル集合型燃料電池は、前記燃料電池単セルはセルの壁の大部分を出力面積とすることができるので、出力面積で有利と言われているハニカム型燃料電池と比較しても、容積当りの出力密度を大きく設計することが可能である。
更には、前記第1のインターコネクタと第2のインターコネクタとの距離を小さく設計した燃料電池単セルを直列接合した場合には、容積当たりの電圧が大きい単セル集合型燃料電池を設計することが可能となる。
また、前記単セル集合型燃料電池は、小さな単セルがブロック単位となり、塑性変形しやすいインターコネクタで上下左右に接合されているので、熱的衝撃を吸収しやすく、スポーリング割れなどが発生しにくい構造となる。
また、前記単セル集合型燃料電池は、セルの外面側がオープン雰囲気になるため、多数のセルを直列・並列に集合させた場合であっても、運転中に発生する熱に対して、セルの外面側に供給するガス流速やセルの並列間隙などの調整することによって、容易に熱交換を行うことができる。
【0047】
以下に、本発明の具体的な実施形態を示す。
【0048】
(第1の実施形態)本発明の燃料電池単セルの一例として、開口の横断面による端面の形状が正方形の管状の固体電解質材料11を用いて形成した燃料電池単セル10の概略図を図1〜3に示す。なお、前記正方形の(外周縁の)一辺の長さは15mmであり、固体電解質材料の厚みは1mmである。
【0049】
燃料電池単セル10は、固体電解質材料11の管内表面に第1の電極21、管外表面に第2の電極22が形成されている。なお、第1の電極21は、燃料極であって、第2の電極22は空気極である。
【0050】
そして、上端部の端面には第1のインターコネクタ31が形成されている。該インターコネクタ31は、第1の電極21の管内表面の一部と固体電解質材料11の管外表面の一部とを覆うように形成されており、第1の電極21と電気的に接続されている。このとき、第1のインターコネクタ31と第2の電極22が接続されないように、第2の電極22は、固体電解質材料11の外表面の上部付近には形成されていない。
また、下端部の端面には第2のインターコネクタ32が形成されている。該インターコネクタ32は、第2の電極22の管外表面の一部と固体電解質材料11の管内表面の一部とを覆うように形成されており、第2の電極22と電気的に接続されている。このとき、第2のインターコネクタ31と第1の電極21が接続されないように、第1の電極21は、固体電解質材料11の内表面の下部付近には形成されていない。
【0051】
また、管状の固体電解質材料11の中心軸を含む面による断面である図3(a)図において、第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁は、第2の電極22の外周縁より外側に位置している。
このとき、この断面における、固体電解質材料11の中心軸と第1のインターコネクタ31の外周縁との距離Yと、前記中心軸と第2の電極22の外周縁との距離Xの差(Y−X)は、0.025〜5mmであることが好ましく、0.05〜2mmあることがより好ましい。なお、図3(a)図において、前記距離Yは、前記中心軸と第2のインターコネクタ32の外周縁との距離と等しい。
因みに、燃料電池単セル10は、図3(a)図に示すA−A断面に限らず、中心軸線を含むどの面による断面においても、前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタの外周縁は、前記第2の電極の外周縁より外側に形成されている。
【0052】
また、この燃料電池単セル10は、上面と下面は平行であって、上部の開口の横断面において前記第1のインターコネクタの外周縁が描く図形と、下部の開口の横断面において前記第2のインターコネクタの外周縁が描く図形とは同形且つ同大である。
【0053】
(第2の実施形態)燃料電池単セルを並列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を3個使用し、それらを並列に接続した単セル集合型燃料電池100の概略図を図4,5に示す。
【0054】
この単セル集合型燃料電池100は、燃料電池単セル10aと燃料電池単セル10bの第1のインターコネクタ31同士及び第2のインターコネクタ32同士を接続し、さらに、燃料電池単セル10bと燃料電池単セル10cの第1のインターコネクタ31同士及び第2のインターコネクタ32同士を接続することで、3個の燃料電池単セル10を並列に接続している。
【0055】
また、燃料電池単セル10aの中心軸、燃料電池単セル10bの中心軸、及び燃料電池単セル10cの中心軸を含む断面である図5(a)や図5(b)をみると、各燃料電池単セル10の第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が第2の電極22の外周縁より外側に位置していることによって、燃料電池単セル10aの第2のインターコネクタ22と燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ22との間、及び、燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ22と燃料電池単セル10cの第2のインターコネクタ22との間には、気体が通過可能な隙間が形成されている。この隙間の幅は、0.05〜10mmあることが好ましく、0.1〜4mmあることがより好ましい。この隙間の幅が小さすぎると、気体の透過率が小さくなり、第2の電極に燃料電池の発電に必要な気体を十分に供給できず、単セル集合型燃料電池の発電効率が悪くなる場合がある。逆に、この隙間の幅が大きすぎると、燃料電池の発電に十分な気体を第2の電極に供給することはできるが、単セル集合型燃料電池の容積が大きくなってしまい、単セル集合型燃料電池の容積あたりの出力が小さくなってしまう。前記距離の差が上記の範囲であれば、発電効率に優れ、容積あたりの出力が高い単セル集合型燃料電池を得ることができる。
【0056】
また、このとき、燃料電池単セル10の上面と下面は平行であることで、3個の燃料電池単セル10を、燃料電池単セル10の向きに関係なく、容易に接続することができる。
【0057】
(第3の実施形態)燃料電池単セルを直列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を3個使用し、それらを直列に接続した単セル集合型燃料電池101の概略図を図6,7に示す。
【0058】
この単セル集合型燃料電池101は、3個の燃料電池単セル10を管内が連通するように積層して、燃料電池単セル10aの第2のインターコネクタ32と燃料電池単セル10bの第1のインターコネクタ31とを接続し、さらに、燃料電池単セル10bの第2のインターコネクタ32と燃料電池単セル10cの第1のインターコネクタ31を接続することで、3個の燃料電池単セル10を直列に接続している。
【0059】
また、燃料電池単セル10aの中心軸、燃料電池単セル10bの中心軸、及び燃料電池単セル10cの中心軸を含む断面である図7をみると、各燃料電池単セル10の上部の開口の横断面において第1のインターコネクタ31の外周縁が描く図形と、下部の開口の横断面において前記第2のインターコネクタ32の外周縁が描く図形とが同形且つ同大であることによって、第1インターコネクタ31と第2のインターコネクタ32とが確実に隙間なく接合されており、接合部分におけるシール性が確保されている。
【0060】
(第4の実施形態)燃料電池単セルを直列及び並列に接続した単セル集合型燃料電池の一例として、実施形態1に示した燃料電池単セル10を12個使用し、それらを直列及び並列に接続した単セル集合型燃料電池102の概略図を図8に示す。
【0061】
(第5の実施形態)本発明の燃料電池単セルの一例として、開口の横断面による端面の形状が正方形の管状の固体電解質材料11を用いて形成した燃料電池単セル20の概略図を図9〜11に示す。この燃料電池単セル20は、実施形態1に示した燃料電池単セル10の第1のインターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の形状を変えたものである。
【0062】
この燃料電池単セル20は、燃料電池単セル10のように、中心軸線を含むどの面による断面においても、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されているものではなく、中心軸線を含むある面による断面において、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されている。
例えば、図10に示すF−F断面図では、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されているが、図11に示すG−G断面図では、第1インターコネクタ31の外周縁は第2の電極22より内側となり、第2のインターコネクタ32の外周縁は第2の電極22の外周縁と中心軸からの距離が同じになるように形成されている。
【0063】
複数個の燃料電池単セル20を並列に接続する場合には、F−F断面図に示すような、第1インターコネクタ31及び第2のインターコネクタ32の外周縁が、第2の電極22の外周縁より外側に形成されている部分を利用して、隣り合う燃料電池単セル20のこの部分同士を付け合わせればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の燃料電池単セルの一例の概略を示す斜視図
【図2】(a)図1に示す燃料電池単セルを上方から見た平面図、(b)図1に示す燃料電池単セルの立面図
【図3】(a)図2に示す燃料電池単セルのA−A矢視断面図、(b)図2に示す燃料電池単セルのB−B矢視断面図
【図4】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを3個用いて、それらを並列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図5】(a)図4に示す単セル集合型燃料電池のC−C矢視断面図、(b)図4に示す単セル集合型燃料電池のD−D矢視断面図
【図6】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを3個用いて、それらを直列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図7】図6に示す単セル集合型燃料電池のE−E矢視断面図
【図8】本発明の単セル集合型燃料電池の一例であって、燃料電池単セルを12個用いて、それらを直列及び並列に接続して形成された単セル集合型燃料電池の概略図である。(a)前記単セル集合型燃料電池の平面図、(b)前記単セル集合型燃料電池の立面図
【図9】本発明の燃料電池単セルの一例を示す略式図である。(a)前記燃料電池単セルの平面図、(b)前記燃料電池単セルの立面図
【図10】図9に示す単セル集合型燃料電池のF−F矢視断面図
【図11】図9に示す単セル集合型燃料電池のG−G矢視断面図
【符号の説明】
【0065】
10,10a,10b,10c,20 燃料電池単セル
100,101,102 単セル集合型燃料電池
11 管状に形成された固体電解質材料
11A 管状の固体電解質材料の中心軸
21 第1の電極
22 第2の電極
22R 第2の電極の外周縁
31 第1のインターコネクタ
31R 第1のインターコネクタの外周縁
32 第1のインターコネクタ
32R 第2のインターコネクタの外周縁
X 固体電解質材料の中心軸と第2の電極の外周縁との距離
Y 固体電解質材料の中心軸と第1のインターコネクタの外周縁との距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が開口する管状の固体電解質材料、該固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極、及び、前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極を有する燃料電池であって、
前記固体電解質材料の一方の開口端部には、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタが形成され、他方の開口端部には、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタが形成されていることを特徴とする燃料電池単セル。
【請求項2】
前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の管内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の管外表面の一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池単セル。
【請求項3】
前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタは、燃料電池単セルを前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面による断面において、その外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池単セル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルが、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタが接触することによって、直列及び/又は並列に接続された単セル集合型燃料電池。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルを、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタを接触させることで直列及び/又は並列に接続した後、高温環境下において圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着することを特徴とする単セル集合型燃料電池の製造方法。
【請求項1】
両端部が開口する管状の固体電解質材料、該固体電解質材料の管内表面に形成された第1の電極、及び、前記固体電解質材料の管外表面に形成された第2の電極を有する燃料電池であって、
前記固体電解質材料の一方の開口端部には、前記第1の電極と電気的に接続され、前記第2の電極とは接続されない第1のインターコネクタが形成され、他方の開口端部には、前記第2の電極と電気的に接続され、前記第1の電極とは接続されない第2のインターコネクタが形成されていることを特徴とする燃料電池単セル。
【請求項2】
前記第1のインターコネクタは、その一部が前記第1の電極の管内表面の一部を覆うように形成されており、前記第2のインターコネクタは、その一部が前記第2の電極の管外表面の一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池単セル。
【請求項3】
前記第1インターコネクタ及び第2のインターコネクタは、燃料電池単セルを前記管状の固体電解質材料の中心軸線を含む面による断面において、その外周縁が、前記第2の電極の外周縁より外側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池単セル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルが、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタが接触することによって、直列及び/又は並列に接続された単セル集合型燃料電池。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数個の燃料電池単セルを、隣り合う燃料電池単セルのインターコネクタを接触させることで直列及び/又は並列に接続した後、高温環境下において圧力を加えてインターコネクタ同士を圧着することを特徴とする単セル集合型燃料電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−257853(P2010−257853A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108635(P2009−108635)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
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