説明

燃料電池用改質システムおよび硫黄検出器

【課題】原料ガスに含まれる付臭ガスの硫黄成分が脱硫部の下流側に流出することを抑制し、脱硫装置の下流側に位置する改質部および/または燃料電池の機能に影響を与えることを抑制させる燃料電池用改質システムを提供することを課題とする。
【解決手段】燃料電池用改質システムは、硫黄系付臭剤を含む原料ガスを改質部3に流す原料ガス通路6と、原料ガス通路6に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第1脱硫部201と、原料ガス通路6のうち第1脱硫部201よりも下流に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第2脱硫部202とを有する。原料ガス通路6において第1脱硫部201、硫黄検出器205のセンシング部206、第2脱硫部202の順に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池用改質システムおよび硫黄検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、脱硫器の出口に硫黄濃度を検出する硫黄検出器を設け、硫黄濃度が設定濃度に到達した時点で制御部が発報し、運転を停止する燃料電池システムを開示する。これにより脱硫器の脱硫機能が低下するときにおいても、下流側の改質部等の劣化または故障を抑止する。また、特許文献2は、高圧燃料ボンベを燃料供給源とした燃料電池システムを開示する。このものによれば、ボンベ切り替え装置と、硫黄成分を検出する硫黄検出器と、燃料ガス成分を検出する成分センサとが設けられている。そして、硫黄検出器の検出値と基準値とを比較して検出値が異常値である場合には、燃料配管を閉鎖させて原料ガスの供給を停止させる。これにより、硫黄成分等を除去した高品質な原料ガスを燃料電池システムに供給でき、改質部等の劣化が抑止される。上記した特許文献1によれば、硫黄検出器として、紫外蛍光法,酢酸鉛紙試験法、電量滴定法が挙げられている。特許文献2によれば、硫黄検出器として、赤外線分析機等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−202564号公報
【特許文献2】特開2005−353497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムの使用期間が過剰に長期にわたると、脱硫部の脱硫機能が低下する。この場合、原料ガスに含まれる硫黄成分は脱硫部によって充分に除去されないため、硫黄成分を含む原料ガスが脱硫部の下流、すなわち、改質部や燃料電池に向けて流出するおそれがある。この場合、改質部または燃料電池の機能に影響を与えるおれがある。
【0005】
また、ガス配管工事や震災等の影響でガス配管に水分が進入し、原料ガスに含まれる水蒸気濃度が増加する場合には、原料ガスの露点は高くなる。高露点の原料ガスが脱硫剤に供給されると、脱硫剤に既に吸着していた硫黄成分が水蒸気によって脱離され、高濃度の硫黄成分が脱硫器の下流に流出するおそれがある。この場合、硫黄成分が改質部や燃料電池等に流入し、改質部または燃料電池の機能に影響を与えるおそれがある。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、原料ガスに含まれる付臭ガスの硫黄成分が脱硫部の下流側に流出することを抑制し、脱硫器の下流側に位置する改質部および/または燃料電池の機能に影響を与えることを抑制させる燃料電池用改質システムを提供することを課題とする。更に、硫黄系付臭剤を含む原料ガスの存在を簡便に検出できる硫黄検出器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の様相1に係る燃料電池用改質システムは、原料ガスを改質させて改質ガスを生成させる改質部と、硫黄系付臭剤を含む原料ガスを改質部に流す原料ガス通路と、原料ガス通路に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第1脱硫部と、原料ガス通路のうち第1脱硫部よりも下流に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第2脱硫部と、原料ガス通路に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を検出するセンシング部をもつ硫黄検出器とを具備しており、原料ガス通路において第1脱硫部、硫黄検出器、第2脱硫部がこの順に設けられている。
【0008】
硫黄系付臭剤を含む原料ガスは、原料ガス通路において、第1脱硫部、硫黄検出器のセンシング部、第2脱硫部をこの順に流れる。通常的には、第1脱硫部は脱硫機能をもつため、原料ガスに含まれる硫黄成分は第1脱硫部によって原料ガスから除去され、原料ガスは第1脱硫部によって清浄化される。この場合、清浄化された原料ガスが硫黄検出器のセンシング部に接触するため、硫黄検出器では異常は検出されない。
【0009】
しかしシステムの使用期間が過剰に長期にわたる等すると、第1脱硫部の脱硫機能が低下することがある。この場合、原料ガスに含まれる硫黄成分は第1脱硫部によって原料ガスから充分に除去されないため、硫黄成分を含む原料ガスが第1脱硫部の下流、すなわち、第2脱硫部ひいては改質部および燃料電池に向かうおそれがある。またガス配管工事や震災等の影響で、ガス配管に水分が進入し、高露点の原料ガスが原料ガス通路に流れるおそれがある。この場合、第1脱硫部に既に吸着していた硫黄成分が水蒸気によって第1脱硫部から脱離され、高濃度の硫黄成分が第1脱硫部の下流に流出するおそれがある。この場合、第1脱硫部よりも下流側の改質部や燃料電池等に硫黄成分が流入し、改質部または燃料電池の機能に影響を与えるおそれがある。
【0010】
上記した場合であっても、本様相によれば、原料ガスに含まれる硫黄成分は、第1脱硫部よりも下流の第2脱硫部によって原料ガスから除去されるため、第2脱硫部の下流に位置する改質部および/または燃料電池に影響を与えることが抑制される。
【0011】
このとき原料ガス通路において第1脱硫部、硫黄検出器のセンシング部、第2脱硫部がこの順に設けられている。このように硫黄検出器のセンシング部は、第1脱硫部と第2脱硫部との間に位置しているため、第1脱硫部を通過した原料ガスの硫黄成分の濃度を検出し、その信号を制御部に出力する。このため硫黄検出器のセンシング部が検出する硫黄濃度が異常に高い場合には、制御部は、第1脱硫部の脱硫能力が低下していることを報知する警報を出力する。警報は、ユーザやメンテナンス者側のアラームに報知させる形態、改質システムおよび/または燃料電池システム自体を停止させる形態等を含むことができる。
【0012】
ところで、原料ガスに含まれる硫黄成分が改質部および/または燃料電池の機能に与える影響を軽減させるためには、脱硫剤搭載量の安全率を高め、脱硫剤の容積をできるだけ増加させることが好ましい。しかしこの場合には脱硫剤の搭載量が過剰に増加し、脱硫部の体格(サイズ)が過剰に増加し、コストおよび体格の面において不利である。そこで本発明のように、原料ガス通路において第1脱硫部、硫黄検出器および第2脱硫部をこの順に配置すれば、第1脱硫部の脱硫機能が低下したり破過したりし、第1脱硫部の出口から高濃度の硫黄成分が下流に流出する不具合が発生するときであっても、その硫黄成分を第2脱流部で除去できる。そればかりか、本様相によれば、第1脱硫部の出口から流出した硫黄成分の濃度を硫黄検出器で検出し、ユーザまたはメンテナンス者に、第1脱硫部の異常状態または高露点の原料ガスの存在する旨の警報を出力して対処することができる。これにより不具合を抑制できるため、脱硫剤搭載量の安全率を下げ、脱硫剤の使用量を低減させることが可能となり、改質システム全体のコスト,体格の低減が図られる。
【0013】
硫黄検出器として、硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線するセンシング部とセンシング部の腐食または断線を検出する検出部とを有するものが挙げられる。更に硫黄検出器として、紫外蛍光法,酢酸鉛紙試験法、電量滴定法、赤外線分析法等に基づいて硫黄濃度を測定する測定器が挙げられる。
【0014】
(2)本発明の様相2に係る燃料電池用改質システムによれば、様相1において、第2脱硫部は、高露点の原料ガスに対して第1脱硫部よりも脱硫能力を有する。原料ガスがガス工事や震災等の影響で高露点になり、原料ガスに水分が進入し、原料ガスに含まれる水蒸気濃度が増加する場合がある。この場合、第1脱硫部に既に吸着していた硫黄成分が水蒸気によって追い出され、高濃度の硫黄成分が第1脱硫部の下流に流出するおそれがある。この点本様相によれば、第2脱硫部は、高露点の原料ガスに対して第1脱硫部よりも高い脱硫能力を有するため、第2脱硫部が高露点の原料ガスの硫黄成分を効果的に脱硫させる。この結果、原料ガスが高露点であるときであっても、硫黄成分が改質部や燃料電池等に流入することが抑制される。ひいては改質部または燃料電池の機能に影響を与えることが抑制される。
【0015】
(3)本発明の様相3に係る硫黄検出器は、硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線するセンシング部と、センシング部の腐食または断線を検出する検出部とを有する。センシング部は、硫黄系付臭剤を含む原料ガスと接触する。センシング部は、原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線する。検出部は、センシング部の腐食または断線により物理量(例えば電気抵抗、導電率、誘電率、磁気抵抗、静電容量等のうちの少なくとも一つ)の変化を検出する。これにより硫黄系付臭剤を含む原料ガスの存在を簡便に検出できる。センシング部は線状でも面状でも良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る燃料電池用改質システムによれば、原料ガスに含まれる付臭ガスの硫黄成分が脱硫部の下流側に流出することを抑制し、脱硫器の下流側に位置する改質部および/または燃料電池の機能に影響を与えることを抑制させる。
【0017】
本発明に係る硫黄検出器によれば、硫黄系付臭剤を含む原料ガスの存在を簡便に検出できるため、燃料電池システムおよび改質システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】燃料電池システムを模式的に示すブロック図である。
【図2】第1脱硫部の劣化イメージを示すグラフである。
【図3】高露点の原料ガスが第1脱硫部に供給される場合におけるイメージを示すグラフである。
【図4】実施形態3に係り、燃料電池システムを模式的に示すブロック図である。
【図5】実施形態4に係り、燃料電池システムを模式的に示すブロック図である。
【図6】実施形態5に係り、燃料電池システムを模式的に示すブロック図である。
【図7】適用形態に係り、燃料電池システムを示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図1〜図3を参照して説明する。図1に示すように、燃料電池システムは、発電モジュール18と、発電モジュール18の上流に設けられた脱硫装置200とを有する。発電モジュール18は、炭化水素系の原料ガスを改質させてアノードガス(水素含有ガスまたは水素ガス)を生成させる改質部3と、アノードガスが供給されるアノードおよびカソードガス通路70からカソードガス(空気などの酸素含有ガス)が供給されるカソードを有する固体酸化物形(SOFC)の燃料電池1と、改質部3および燃料電池1を包囲してこれらを高温状態(例えば300〜900℃の範囲内)に維持する断熱材料で形成された断熱壁19とを有する。
【0020】
脱硫装置200は、硫黄系付臭剤を含む原料ガスをガス源63から改質部3に流すための原料ガス通路6と、原料ガス通路6に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去するための第1脱硫部201と、原料ガス通路6のうち第1脱硫部201よりも下流に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去するための第2脱硫部202と、原料ガス通路6において第1脱硫部201と第2脱硫部202との間の通路部分6wに設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を検出するための硫黄検出器205とを有する。硫黄検出器205は原料ガスに接触するセンシング部206と、センシング部206の信号を検知する検知部209とをもつ。このように第1脱硫部201、硫黄検出器205のセンシング部206、第2脱硫部202がこの順に直列に配置されている。なお、第1脱硫部201は入口201iと出口201pとをもつ。第2脱硫部202は入口202iと出口202pとをもつ。
【0021】
第1脱硫部201の第1脱硫剤の搭載量は、システムとして予め設定された設定期間において原料ガスを脱硫させるのに相当する量とされていることが好ましい。第2脱硫部202の第2脱硫剤の搭載量は、第1脱硫部201の破過等により第1脱硫部201から硫黄成分が流出するとき、硫黄検出器205が異常信号を制御部100Xに出力するまでの間において原料ガスを脱硫する相当量とされていることが好ましい。従って、第2脱硫部202の第2脱硫剤の搭載量は、硫黄検出器205の応答速度に依存する。硫黄検出器205の応答速度が速いと、第2脱硫剤の搭載量は少な目で済む。硫黄検出器205の応答速度が遅いと、第2脱硫剤の搭載量は多めとなる。
【0022】
ガス源63から原料ガスを改質部3に向けて搬送させるガス搬送源としてポンプ60が、原料ガス通路6に設けられている。ポンプ60は原料ガス通路6において何処の位置に設けられていても良いが、本実施形態では、第2脱硫部202の下流となるように発電モジュール18と第2脱硫部202との間に設けられている。原料ガス通路6のうち第1脱硫部201よりも上流には、開閉可能な遮断弁69が設けられている。
【0023】
発電運転のときには、遮断弁69が開放されるため、硫黄系付臭剤を含む原料ガスはガス源63から、原料ガス通路6に供給され、第1脱硫部201、硫黄検出器205、第2脱硫部202をこの順に流れ、発電モジュール18の改質部3に供給され、改質部3において改質反応により改質されてアノードガス(改質ガス,水素含有ガス)となる。通常の使用条件であれば、第1脱硫部201は充分な脱硫機能をもつように設定されているため、原料ガスに含まれる硫黄成分は第1脱硫部201によって原料ガスから除去され、原料ガスの硫黄成分は清浄化される。この場合、硫黄検出器205のセンシング部206は、第1脱硫部201の下流に位置するため、基本的には硫黄成分を検出しない。
【0024】
しかし燃料電池システムの使用期間が過剰に長期にわたると、第1脱硫部201の第1脱硫剤の脱硫機能が低下するおそれがある。この場合、原料ガスに含まれる硫黄成分は第1脱硫部201の第1脱硫剤によって原料ガスから充分に除去されないため、原料ガスに含まれる硫黄成分が第1脱硫部201の下流、すなわち、第2脱硫部202ひいては改質部3に向かうおそれがある。またガス配管工事や震災等の影響で、ガス配管に水分が進入し、高露点の原料ガスが原料ガス通路6に流れ、第1脱硫部201に供給されるおそれがある。この場合、第1脱硫部201の第1脱硫剤に既に吸着していた硫黄成分が水蒸気によって第1脱硫剤から脱離され、高濃度の硫黄成分が第1脱硫部201の下流に流出するおそれがある。水蒸気が硫黄成分よりも優先的に脱硫剤に吸着されるためである。この場合、第1脱硫部201よりも下流側の改質部3および燃料電池1等に硫黄成分が流入し、改質部3および燃料電池1の機能に影響を与えるおそれがある。
【0025】
しかし本実施形態によれば、第1脱硫部201を通過した原料ガスが硫黄成分を含むときであっても、原料ガスに含まれる硫黄成分は、第1脱硫部201よりも下流に位置する第2脱硫部202の第2脱硫剤によって原料ガスから除去される。このため、原料ガスに含まれる硫黄成分は除去される。よつて、第2脱硫部202の下流に位置する改質部3の触媒および/または燃料電池1の触媒に影響を与えることが抑制される。
【0026】
このとき、原料ガス通路6において第1脱硫部201と第2脱硫部202との間に位置する硫黄検出器205は、第1脱硫部201を通過した原料ガスに含まれる硫黄成分を検出し、検出信号Sを制御部100Xに出力する。このため制御部100Xは、第1脱硫部201が破過して異常となった警報を出力する。警報は、アラーム102に報知させてユーザまたはメンテナンス者等に報知させる形態でもよいし、あるいは、燃料電池システムを停止させる形態でも良い。
【0027】
ところで、原料ガスに含まれる硫黄成分が改質部3および/または燃料電池1に与える影響を軽減させるためには、第1脱硫部201の第1脱硫剤の搭載量の安全率を高め、第1脱硫部201の第1脱硫剤の搭載量をできるだけ増加させることが好ましい。しかし第1脱硫部201の体格が過剰に増加し、第1脱硫部201に使用する第1脱硫剤の使用量が過剰に増加し、コストおよび体格の面において不利である。そこで本実施形態のように第1脱硫部201から流出する硫黄濃度を硫黄検出器205で検出し、第1脱硫部201が破過状態を検出すれば、上記した警報によってユーザまたはメンテナンス者は第1脱硫部201の異常状態(破過)を認識して対処でき、その間、硫黄検出器205よりも下流に位置する第2脱硫部202が脱硫作用を果たすため、改質部3および燃料電池1の機能に影響を与えることが抑えられる。このような本実施形態によれば、第1脱硫部201の異常状態に対処できるため、第1脱硫部201の第1脱硫剤の搭載量の安全率を低下させることが可能となり、第1脱硫剤の搭載量を低減でき、脱硫装置200体格(サイズ)およびコストの低減が図られる。
【0028】
図2は第1脱硫部201の第1脱硫剤の劣化イメージを示す。図2において、横軸は第1脱硫部201の入口201iから下流に向かう距離を示し、縦軸は硫黄濃度を示す。硫黄検出器205が検出できる硫黄濃度はP1であり、原料ガスに含まれる硫黄濃度がP1よりも高濃度になると、硫黄検出器205の信号に基づいて制御部100Xは警報信号を出力する。ここで、燃料電池システムの運転とともに原料ガスが原料ガス通路6を流れると、原料ガスに含まれる硫黄成分が第1脱硫部201の第1脱硫剤に吸着して原料ガスから除去される。これにより特性線(1)→特性線(2)→特性線(3)→特性線(4)のように、第1脱硫部201において硫黄濃度は下流に向かうにつれて低下する。第1脱硫部201の第1脱硫剤が破過するまで、第1脱硫部201よりも下流では硫黄濃度はほとんど0(0ppb)であり、警報は出力されない。しかし第1脱硫部201がこれの寿命に近づき、第1脱硫部201が破過しだすと、ハッチング領域X1で示す硫黄相当分は、第1脱硫部201よりも下流側の硫黄検出器205および第2脱硫部202に流出する。この場合、硫黄検出器205は硫黄成分を検出するため、硫黄濃度が高濃度であれば、硫黄検出器205の信号に基づいて制御部100Xは異常判定と判定し、警報をアラーム102に出力するか、あるいは、燃料電池システムを停止させる。これにより改質部3および燃料電池1は保護される。この際、第2脱硫部202は、ハッチング領域X1分の硫黄成分を吸着除去し、ひいては発電モジュール18への硫黄成分の流入を抑止することができる。これに対して従来技術の場合には、特性線(4)として示すように、発電モジュール18の入口18i付近(脱硫剤の下流)において原料ガスの硫黄濃度を検出するため、ハッチング領域X2で示す硫黄相当分は発電モジュール18に流入されてしまう問題がある。上記のように本実施形態によれば、発電モジュール18への硫黄分の流入を抑止可能となるため、発電モジュール18の改質部3および燃料電池1を保護でき、システムの長寿命化に貢献できる。
【0029】
図3は、システムの運転途中に高露点の原料ガスが流入した場合のイメージ図を示す。図3の横軸は第1脱硫部201の入口201iから下流に向かう距離を示し、縦軸は硫黄濃度を示す。システムの運転途中において高露点の原料ガスが原料ガス通路6に流入した場合には、ハッチング領域X3で示される硫黄相当分(既に第1脱硫部201の第1脱硫剤に吸着されている硫黄分)が下流に押し出されるおそれがある。その理由としては、第1脱硫部201の第1脱硫剤に吸着されている硫黄成分より水蒸気の方が吸着特性が強く、第1脱硫剤に既に吸着されていた硫黄分を第1脱硫剤から脱離させて下流に押し出し、第1脱硫剤の吸着サイトにHOが吸着するためである。この場合、従来では、図3の特性線(6)として示すように、発電モジュール18へ高濃度の硫黄分が流入してしまう。この場合、発電モジュール18の改質部3および燃料電池1の機能に影響を与える。
【0030】
これに対して本実施形態によれば、第1脱硫部201から流出した硫黄濃度を、第1脱硫部201よりも下流の硫黄検出器205のセンシング部206で検出するとともに、硫黄検出器205のセンシング部206よりも下流には第2脱硫部202が設けられている。このため図3の特性線(5)として示すように、第2脱硫部202の第2脱硫剤は、第1脱硫部201から流出された硫黄分を吸着除去できる。これにより発電モジュール18へ高濃度の硫黄分が急激に流入することが抑止される。上記したように本実施形態によれば、高露点の原料ガスが原料ガス通路6の第1脱硫部201で充分に脱硫されずにこれを通過した場合であっても、発電モジュール18における改質部3および/または燃料電池1の劣化を抑制できる。
【0031】
従来のシステムでは、入口201iから第1脱硫部201に供給される原料ガスの露点を検出するための露点計が設けられているのが一般的である。露点計により原料ガスの露点を検出し、高露点である場合に、制御部は原料ガスの流路を切り替える等する。この点について本実施形態によれば、高露点の原料ガスが原料ガス通路6に供給される場合であっても前述したように改質部3および/または燃料電池1に影響を与えないように対処できるため、入口201iから第1脱硫部201に供給される原料ガスの露点を検出するための露点計を廃止することも期待できる。
【0032】
加えて本実施形態によれば、硫黄検出器205のセンシング部206の上流には第1脱硫部201が配置されているため、原料ガスに含まれる異物が第1脱硫部201に吸着されるため、センシング部206に付着することが抑制される。この場合、センシング部206の長寿命化に貢献できる。
【0033】
なお、第1脱硫部201の第1脱硫剤および第2脱硫部202の第2脱硫剤の基材としては、同一の材質または同系の材質を採用しても良いし、異なる材質のものを採用しても良い。この場合、物理的吸着の他に化学的吸着も併有する形態でも良い。基材としては、ゼオライト、遷移金属等の金属を担持したゼオライト、活性炭等の多孔性物質が例示される。原料ガスに含まれる硫黄成分としては例えばメチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、ジメチルジサルフィドが挙げられる。
【0034】
上記した硫黄検出器205のセンシング部206は、硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線するものを採用できる。検知部209はセンシング部206の腐食または断線を検出するものを採用できる。更に硫黄検出器205として、紫外蛍光法,酢酸鉛紙試験法、電量滴定法、赤外線分析法等に基づいて硫黄濃度を測定する測定器でも良い。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用する。第2脱硫部202の第2脱硫剤は、高露点の原料ガスに対して第1脱硫部201の第1脱硫剤よりも高い脱硫能力を有する。高露点の原料ガスに対して高い脱硫能力をもつ第2脱硫剤は、ゼオライト、活性炭等の多孔性物質に遷移金属等の金属を含むことができる。上記した金属としては、銀、銅、金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデンのうちの少なくとも1種が例示され、更に、これらを2種以上含む合金が例示される。
【0036】
前述したように、ガス配管工事や震災等の影響でガス配管に水分が進入する等の事情により、原料ガス通路6に供給される原料ガスが高露点になり、原料ガスに含まれる水蒸気濃度が増加する場合がある。
【0037】
この点本実施形態によれば、第2脱硫部202の第2脱硫剤は、高露点の原料ガスに対して第1脱硫部201の第1脱硫剤よりも高い脱硫能力を有するため、第2脱硫部202は、高露点の原料ガスの硫黄成分を効果的に脱硫させる。この結果、原料ガスが高露点であるときであっても、硫黄成分が改質部3や燃料電池1等に流入することが抑制される。ひいては改質部3の触媒および/または燃料電池1の触媒の機能に影響を与えることが抑制される。
【0038】
(実施形態3)
図4は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。第1脱硫部201B、硫黄検出器205、第2脱硫部202Bはこの順で単数のハウジング204に収容され、単数の脱硫装置200を構成している。ハウジング204は、第1脱硫部201B、硫黄検出器205、第2脱硫部202Bを一体的に収容する共通ハウジングとして機能する。第2脱硫部202の第2脱硫剤は、第1脱硫部201の第1脱硫剤と同一または同系でも良い。あるいは、第2脱硫部202の第2脱硫剤は、高露点の原料ガスに対して第1脱硫部201の第1脱硫剤よりも高い脱硫能力を有するものでも良い。更に、硫黄検出器205のセンシング部206は第1脱硫部201と第2脱硫部202とでは挟まれているため、寒冷地や冬期等のように外気が低温であっても、過剰低温化が抑制され、センシング部206と硫黄成分と腐食反応の進行を促進でき、硫黄成分を検出する応答速度を速めることができる。
【0039】
(実施形態4)
図5は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図4を準用できる。硫黄検出器205Bは、原料ガス通路6において第1脱硫部201と第2脱硫部202との間に介在している。硫黄検出器205Bは、硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線するセンシング部206と、センシング部206の断線を検出する検出部209とを有する。検出部209は公知の断線検出回路で形成できる。センシング部206は線材で形成されており、硫黄系付臭剤を含む原料ガスと接触する。
【0040】
センシング部206は、外径が大きな太線部206aと、断線し易いように太線部206aよりも外径が小さな細線部206cとを有する。細線部206cは、太線部206aにスポット溶接部等の溶接部206x(結合部)で結合できる。センシング部206の細線部206cは、硫黄成分により腐食劣化により断線し易い金属(例えば鋼系)で形成されており、硫黄成分により腐食し易いようにメッキ等の被膜を施されてはおらず、原料ガスとの接触に基づいて腐食劣化し、腐食劣化の進行により断線する。検出部209はセンシング部206の細線部206cの断線を検出する。これにより硫黄系付臭剤を含む原料ガスの存在を簡便に検出できる。
【0041】
本実施形態に係る硫黄検出器205Bは、図1、図4に示すシステム、更には、それ以外のシステムに適用することができる。図4によれば、ハウジング204は、第1脱硫部201B、硫黄検出器205、第2脱硫部202Bを互いに接近させつつ一体的に収容する。このため、硫黄検出器205は第1脱硫部201Bと第2脱硫部202Bとに接近されつつ挟装されるため、外気温度が低いときであっても、温度が維持される。硫黄検出器205Bにおける硫黄成分による腐食劣化反応は低温状態よりも高温状態熱の方が進行し易いため、細線部206cを早期に腐食劣化させて断線させ得る効果が期待される。更に、硫黄検出器205Bも発電モジュール18の断熱壁19に接触または伝熱可能に接近していれば、加熱状態に維持されるため、硫黄成分による細線部206cの腐食劣化速度(断線速度)を促進でき、原料ガスに含まれる硫黄成分を検出する応答速度を速めることができる。
【0042】
(実施形態5)
図6は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1〜4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図4を準用できる。硫黄検出器205Cは、原料ガス通路において第1脱硫部201と第2脱硫部202との間に介在している。硫黄検出器205Cは、硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食劣化または断線するセンシング部206と、センシング部206の断線を検出する検出部209とを有する。センシング部206は、金属で形成された線材で形成されており、硫黄系付臭剤を含む原料ガスと接触する。センシング部206は、断線し易いように外径が小さな細線部206cと、細線部206cの断線を促進させるように細線部206cに引張力Fを与える付勢力を発揮させる引張バネで形成された付勢部206eとを有する。引張バネは細線部206cよりも太線か、硫黄成分に対して腐食抑制しにくい材料(例えばステンレス鋼等の合金鋼)で形成されているか、腐食抑制しにくいメッキ等の被膜が被覆されていることが好ましい。センシング部206の細線部206cは、硫黄成分により腐食し易いようにメッキ等の被膜を施されてはおらず、原料ガスとの接触に基づいて腐食劣化し、腐食劣化の進行により断線することが好ましい。細線部206cは付勢部206eにスポット溶接部等の溶接部206x(結合部)で結合できる。検出部209はセンシング部206の細線部206cの断線を検出する。これにより硫黄系付臭剤を含む原料ガスの存在を簡便に検出できる。
【0043】
本実施形態に係る硫黄検出器205Cは、図4に示すシステム、それ以外のシステム適用することができる。図4によれば、ハウジング204は、第1脱硫部201B、硫黄検出器205、第2脱硫部202Bを互いに接近させつつ一体的に収容するため、硫黄検出器205は第1脱硫部201Bと第2脱硫部202Bとに接近されつつ挟装されるため、冷却されにくくなる。このため、硫黄検出器205Cにおける硫黄成分による腐食劣化反応を促進でき、細線部206cを早期に断線させ得、応答速度を速める効果が期待される。
【0044】
(適用形態)
図7は適用形態の概念を示す。図5に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1と、液相状の水を蒸発させて水蒸気を生成させる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気を用いて燃料を改質させてアノードガスを形成する改質部3と、蒸発部2に供給される液相状の水を溜めるタンク4と、これらを収容する筐体5とを有する。燃料電池1は、イオン伝導体を挟むアノード10とカソード11とをもち、例えば、SOFCとも呼ばれる固体酸化物形燃料電池(運転温度:例えば400℃以上)とされている。改質部3は、セラミックス等の担体に改質触媒を担持させて形成されており、蒸発部2に隣設されている。改質部3および蒸発部2は改質部2Aを構成しており、燃料電池1と共に断熱壁19で包囲され、発電モジュール18を形成している。発電モジュール18内には、改質部3,蒸発部2を加熱する燃焼部105が設けられている。アノード10側から排出されたアノード排ガスは、流路103を介して燃焼部105に供給される。カソード11側から排出されたカソード排ガスは、流路104を介して燃焼部105に供給される。起動時には、燃焼部105は、アノード10から供給された改質前の原料ガスを、カソード11から供給されたカソードガスで燃焼させ、蒸発部2および改質部3を加熱させる。
【0045】
発電運転時には、燃焼部105はアノード10から排出されたアノード排ガスを、カソード11から排出されたカソード排ガスで燃焼させ、蒸発部2および改質部3を加熱させる。燃焼部105には燃焼排ガス路75が設けられ、燃焼部105における燃焼後のガス、未燃焼のガスを含む燃焼排ガスが燃焼排ガス路75を介して大気中に放出される。改質部3の温度を検出する温度センサ33が設けられている。着火させるヒータである着火部35が燃焼部105に設けられている。着火部35は着火できるものであれば何でも良い。外気の温度を検出する外気温度センサ57が設けられている。温度センサ33,57の信号は制御部100Xに入力される。制御部100Xは警報器102に警報を出力する。
【0046】
システムの発電運転時には、改質部2Aは改質反応に適するように断熱壁19内において加熱される。発電運転時には、蒸発部2は水を加熱させて水蒸気とさせ得るように加熱される。燃料電池1がSOFCタイプの場合には、アノード10側から排出されたアノード排ガスとカソード11側から排出されたカソード排ガスが燃焼部105で燃焼するため、改質部3および蒸発部2は、発電モジュール18の内部において同時に加熱される。図5に示すように、原料ガス通路6は、ガス源63から原料ガスを改質器2Aに供給させるものであり、ポンプ60、脱硫装置200、流量計300、チャッキ弁500をもつ。図7に示すように、脱硫装置200は、第1脱硫部201,硫黄検出器205のセンシング部206,第2脱硫部202をこの順で直列に有する。燃料電池1のカソード11には、カソードガス(空気)をカソード11に供給させるためのカソードガス通路70が繋がれている。カソードガス通路70には、カソードガス搬送用の搬送源として機能するカソードポンプ71が設けられている。
【0047】
図7に示すように、筐体5は外気に連通する吸気口50と排気口51とをもち、更に、第1室である上室空間52と、第2室である下室空間53とをもつ。燃料電池1は、改質部3および蒸発部2と共に発電モジュール18を形成し、筐体5の上側つまり上室空間52に収容されている。筐体5の下室空間53には、改質部3で改質される液相状の水を溜めるタンク4が収容されている。タンク4には、電気ヒータ等の加熱機能をもつ加熱部40が設けられている。加熱部40は、タンク4に貯留されている水を加熱させるものであり、電気ヒータ等で形成できる。外気温度等の環境温度が低いとき等には、制御部100Xからの指令に基づいて、タンク4の水は加熱部40により所定温度以上に加熱され、凍結が抑制される。図7に示すように、下室空間53側のタンク4の出口ポート4pと上室空間52側の蒸発部2の入口ポート2iとを連通させる給水通路8が、配管として筐体5内に設けられている。給水通路8は、タンク4内に溜められている水をタンク4から蒸発部2に供給させる通路である。給水通路8には、タンク4内の水を蒸発部2まで搬送させる水搬送源として機能するポンプ80が設けられている。更に、制御部100Xはポンプ80,71,79,60を制御する。
【0048】
さてシステムの起動時において、ポンプ60が駆動すると、原料ガス通路6から原料ガスが蒸発部2,改質部3,アノードガス通路73,燃料電池1のアノード10,流路103を介して燃焼部105に流れる。カソードポンプ71によりカソードガス(空気)がカソードガス通路70、カソード11,流路104を介して燃焼部105に流れる。この状態で着火部35が着火すると、燃焼部105において燃焼が発生し、改質部3および蒸発部2が加熱される。このように改質部3および蒸発部2が加熱された状態で、ポンプ80が駆動すると、タンク4内の水はタンク4の出口ポート4pから蒸発部2の入口ポート2iに向けて給水通路8内を搬送され、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は、原料ガス通路6から供給される原料ガスと共に改質部3に移動する。原料ガスは改質部3において水蒸気で改質されてアノードガス(水素含有ガス)となる。アノードガスはアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソードガス(酸素含有ガス、ケース5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。アノード10から排出されたアノードオフガス、カソード11から排出されたカソードオフガスは、流路103,104を通過し、燃焼部105に至り、燃焼部105で燃焼される。高温の排ガスは、排ガス通路75を介してケース5の外方に排出される。
【0049】
上記したシステムの発電運転時において、ポンプ80が駆動すると、タンク4内の水は、タンク4の出口ポート4pから蒸発部2の入口ポート2iに向けて給水通路8内を搬送され、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は原料ガス通路6から供給される原料ガスと共に改質部3に移動する。改質部3において燃料は、水蒸気で改質されてアノードガス(水素含有ガス)となる。なお燃料がメタン系である場合には、水蒸気改質によるアノードガスの生成は、次の(1)式に基づくと考えられている。但し燃料はメタン系に限定されるものではない。
(1)…CH+2HO→4H+CO
CH+HO→3H+CO
生成されたアノードガスはアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソードガス(酸素含有ガス、筐体5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。燃料電池1で排出された高温の排ガスは、排ガス通路75を介して筐体5の外方に排出される。
【0050】
排ガス通路75には、凝縮機能をもつ熱交換器76が設けられている。貯湯槽77に繋がる貯湯通路78および貯湯ポンプ79が設けられている。貯湯通路78は往路78aおよび復路78cをもつ。貯湯槽77の低温の水は、貯湯ポンプ79の駆動により、貯湯槽77の吐出ポート77pから吐出されて往路78aを通過し、熱交換器76に至り、熱交換器76により加熱される。熱交換器76で加熱された温水は、復路78cを介して帰還ポート77iから貯湯槽77に帰還する。このようにして貯湯槽77の水は温水となる。前記した排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器76で凝縮されて凝縮水となる。凝縮水は、熱交換器76から延設された凝縮水通路42を介して重力等により水精製器43に供給される。水精製器43はイオン交換樹脂等の水精製剤43aを有するため、凝縮水の不純物は除去される。不純物が除去された水は水タンク4に移動し、水タンク4に溜められる。ポンプ80が駆動すると、水タンク4内の水は給水通路8を介して高温の蒸発部2に供給され、蒸発部2で水蒸気とされて改質部3に供給され、改質部3において燃料を改質させる改質反応として消費される。
【0051】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。ポンプ60は脱硫装置200の下流に限らず、上流に配置されていても良い。燃料電池は、固体酸化物形燃料電池に限定されず、場合によっては、固体高分子電解質形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良い。要するに、原料ガスを脱硫させる第1脱硫部および第2脱硫部を直列に有する燃料電池システムであれば良い。原料ガスも特に制限されず、硫黄化合物を含むガスであれば良く、都市ガス、プロパンガス、バイオガス、LPGガス、CNGガス等を例示できる。センシング部206は断線可能な細線部206cを有するが、断線せず、硫黄成分との腐食劣化に基づいて物理量(電気抵抗、導電率、誘電率、磁気抵抗、静電容量等のうちの少なく一つ)が変化し、これを検知部209により検知するものでも良い。
【符号の説明】
【0052】
1は燃料電池、10はアノード、11はカソード、2は蒸発部、3は改質部、18は発電モジュール、19は断熱壁、60はポンプ(ガス搬送源)、70はカソードガス通路、73はアノードガス通路、100Xは制御部、201は第1脱硫部、202は第2脱硫部、205は硫黄検出器、206はセンシング部、206cは細線部、209は検出部、6は原料ガス通路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを改質させて改質ガスを生成させる改質部と、
硫黄系付臭剤を含む原料ガスを前記改質部に流す原料ガス通路と、
前記原料ガス通路に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第1脱硫部と、
前記原料ガス通路のうち前記第1脱硫部よりも下流に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する第2脱硫部と、
前記原料ガス通路に設けられ原料ガスに含まれる硫黄成分を検出するセンシング部をもつ硫黄検出器とを具備しており、
前記原料ガス通路において前記第1脱硫部、前記硫黄検出器のセンシング部、前記第2脱硫部がこの順に設けられている燃料電池用改質システム。
【請求項2】
請求項1において、前記第2脱硫部は、高露点の原料ガスに対して前記第1脱硫部よりも高い脱硫能力を有する燃料電池用改質システム。
【請求項3】
硫黄系付臭剤を含む原料ガスとの接触に基づいて腐食または断線するセンシング部と、前記センシング部の腐食または断線を検出する検出部とを有する硫黄検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−32235(P2013−32235A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168270(P2011−168270)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】