説明

燃料電池

【課題】出力特性に優れた燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、一対の燃料電池本体5と、放熱部材とを備えている。燃料電池本体5は、起電部と、燃料分配機構とを具備している。一対の燃料電池本体5は、アノード同士が対向するように配置されている。放熱部材は、一対の燃料電池本体5間に配置され、少なくとも一対の燃料電池本体5のアノード側から伝わる副射熱を外部に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯用電子機器の電源に、燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は、携帯用電子機器を、充電なしで長時間使用可能とするものである。燃料電池は、燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料のみを補充・交換すれば連続して発電できるという利点を有している。このため、小型化ができれば携帯電子機器の長時間の作動に極めて有利なシステムといえる。
【0003】
特に、直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、小型化が可能であり、また燃料の取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから小型機器用電源として有望である。
【0004】
DMFCの燃料の供給方法としては、液体燃料を気化してからブロア等で燃料電池内に送り込む気体供給型DMFCと、液体燃料をそのままポンプ等で燃料電池内に送り込む液体供給型DMFC、液体燃料をセル内で気化させる内部気化型DMFC等が知られている。
【0005】
また、所望の高出力を得るため、一対の起電部(発電体)を備えた燃料電池が知られている。各起電部は、アノード、カソード、並びにアノード及びカソード間に挟持された電解質膜を含んだ膜電極接合体を有している。一対の起電部は、アノード同士を対向させて配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−86207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記燃料電池において、起電部での発電反応に伴い、起電部にて熱を発生する。上記一対の起電部は、アノード同士が対向しているため、アノード側に熱がこもる傾向にある。アノード側と、カソード側とで温度にばらつきが生じた場合、発電効率は低下する。
【0008】
このため、アノード同士が対向した一対の起電部を備えた燃料電池においても、アノード及びカソード間の温度分布に伴う出力の低下等、電池特性の劣化を抑制できる燃料電池が求められている。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、出力特性に優れた燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る燃料電池は、
それぞれ、アノード、カソード、並びに前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、前記アノードと対向した側の表面に位置した燃料排出面、及び前記燃料排出面の一部を開口して設けられ燃料を排出する燃料排出口を有する燃料分配機構と、を具備し、前記アノード同士が対向するように配置された一対の燃料電池本体と、
前記一対の燃料電池本体間に配置され、少なくとも前記一対の燃料電池本体のアノード側から伝わる副射熱を外部に放出する放熱部材と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、出力特性に優れた燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料電池を示す斜視図であり、特に、実施例1の燃料電池を示す図である。
【図2】図1の線A−Aに沿った燃料電池を示す断面図である。
【図3】図1の線B−Bに沿った燃料電池を示す断面図である。
【図4】上記燃料電池の燃料電池モジュールを示す断面図である。
【図5】上記燃料電池モジュールを示す他の断面図である。
【図6】上記燃料電池モジュールの膜電極接合体の一部の断面を概略的に示す斜視図である。
【図7】上記膜電極接合体を示す平面図である。
【図8】上記燃料電池モジュールを示す斜視図であり、容器の外面に取付けられたポンプ、バルブ及び制御部を示す図である。
【図9】上記燃料電池の一部を示す拡大断面図である。
【図10】上記実施の形態に係る実施例5の燃料電池の一部を示す断面図である。
【図11】図10に示した燃料電池の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る燃料電池について詳細に説明する。この実施の形態において、直接メタノール型の燃料電池について説明する。
図1、図2及び図3に示すように、燃料電池は、一対の燃料電池モジュール1と、燃料を収容するとともに燃料を燃料電池モジュール1に与える燃料供給源2と、ケース3と、放熱部材としての2枚の放熱板70と、2つのセットカバー80と、トップフレーム91と、ボトムフレーム92と、外装カバー4とを備えている。
【0013】
図2、図3、図4及び図5に示すように、各燃料電池モジュール1は、燃料電池本体5と、ポンプ7と、バルブ8と、制御部9とを備えている。ここで、各燃料電池モジュール1の構成は同一であり、以下、1個の燃料電池モジュール1について説明する。
【0014】
燃料電池本体5は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)10を有する起電部6と、集電体11と、アノード支持板12と、燃料供給部13と、保湿板18と、カバープレート19とを備えている。
【0015】
図4、図5、図6及び図7に示すように、膜電極接合体10は、燃料極としてのアノード21と、アノード21に所定の隙間を置いて対向配置された空気極としてのカソード24と、アノード21及びカソード24間に挟持された電解質膜27とを有している。後述するが、燃料供給源2は、燃料62を収容するとともに筒状の管64(図9参照)により燃料供給部13の燃料分配機構15に燃料を供給する燃料収容部としてのタンク61と、タンク61(燃料収容部)を収容した筐体としてのスリーブ63と、を備えている。
【0016】
この実施の形態の燃料電池では、燃料分配機構15から膜電極接合体10に供給された燃料62は発電反応に消費されてしまい、その後に循環して燃料分配機構15あるいはタンク61に戻されることはない。このタイプの燃料電池は燃料を循環させないことから、従来のアクティブ方式とは異なる方式であり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ7を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なるため、この方式の燃料電池はいわばセミパッシブ型と呼ぶことができる。
【0017】
この実施の形態において、膜電極接合体10は矩形状の発電領域R1を有している。発電領域R1は、発電に有効な有効領域R2と、有効領域R2を囲んだ非有効領域R3とを有している。有効領域R2は、矩形状であり、長軸を有している。また、膜電極接合体10は1つの発電素子20を有している。発電素子20は、矩形状であり、長軸を有し、有効領域R2に重なっている。
【0018】
アノード21は、アノード触媒層22と、アノード触媒層22に積層されたアノードガス拡散層23とを有している。カソード24は、カソード触媒層25と、カソード触媒層25に積層されたカソードガス拡散層26とを有している。
【0019】
アノード触媒層22は、アノードガス拡散層23を介して供給される燃料を酸化させ燃料から電子とプロトンとを取り出すものである。カソード触媒層25は、酸素を還元して、電子とアノード触媒層22において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものである。
【0020】
アノード触媒層22やカソード触媒層25に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層22には、メタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層25には、PtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
【0021】
電解質膜27はプロトン導電膜である。電解質膜27は、アノード触媒層22において発生したプロトンをカソード触媒層25に輸送するためのものである。電解質膜27は、電子伝導性を持たず、プロトンを輸送することが可能なプロトン伝導性の材料で形成されている。
【0022】
電解質膜27を形成する材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の材料はこれらに限られるものではない。
【0023】
アノードガス拡散層23は、アノード触媒層22に燃料を均一に供給する役割を果たし、アノード触媒層22の集電機能を有している。カソードガス拡散層26は、カソード触媒層25に酸化剤を均一に供給する役割を果たし、カソード触媒層25の集電機能を有している。アノードガス拡散層23及びカソードガス拡散層26は多孔質基材で構成されている。
【0024】
図4及び図5に示すように、集電体11は、アノード集電体31及びカソード集電体34を有している。アノード集電体31及びカソード集電体34は、例えば、金、ニッケル等の金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)又は箔体、薄膜あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材等をそれぞれ使用することができる。
【0025】
燃料電池本体5内の膜電極接合体10は、絶縁性のOリング(シール材)38、39によって液密にシールされている。これらのOリング38、39によって燃料電池本体5の内部に種々のスペースや間隙が形成されている。
【0026】
アノード集電体31は、発電素子20に対応し長軸を有する矩形状に形成され、複数の燃料通過孔を有している。カソード集電体34は、発電素子20に対応し長軸を有する矩形状に形成され、複数の通気孔を有している。これらアノード集電体31およびカソード集電体34により、膜電極接合体10を構成する発電素子20が接続される。
【0027】
Oリング38、39は、絶縁材料として、例えばゴムで形成されている。Oリング38は、アノード集電体31の外周を囲むよう枠状に形成されている。Oリング39は、カソード集電体34の外周を囲むよう枠状に形成されている。
【0028】
上記したように、膜電極接合体10及びアノード集電体31が組合さることで、燃料の気化成分は、アノード集電体31の燃料通過孔(図示せず)を通ってアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給される。このため、燃料電池本体5は、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給するように形成されている。
【0029】
例えば、アノード集電体31と、燃料供給部13との間に、任意に図示しない気液分離膜を設けることにより、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給することができる。ここで、Oリング(シール材)38は、膜電極接合体10からの燃料の漏れを防止する機能を有している。
【0030】
酸化剤としての空気は、カバープレート19の通気孔19aを通り、カソード集電体34の通気孔(図示せず)を通ってカソードガス拡散層26及びカソード触媒層25に供給される。ここで、Oリング(シール材)39は、膜電極接合体10からの酸化剤の漏れを防止する機能を有している。
【0031】
なお、この実施の形態において、膜電極接合体10は、電解質膜27上に1個のアノード21及び1個のカソード24をそれぞれ対向して形成したMEA構造のものを示しているが、膜電極接合体10の構造は、この例に限らず、他の構造であっても良い。例えば、膜電極接合体10の構造は、同一の電解質膜27上に複数個(例えば4個)のアノード21及びアノードと同数(例えば4個)のカソード24をそれぞれ対向して形成し、それらが電気的に直列に接続される構造であっても良い。
【0032】
アノード支持板12は、矩形板状に形成されている。アノード支持板12は、アノード21及び燃料供給部13間に挟持されている。なお、アノード支持板12は、必要に応じて設けられていれば良い。
【0033】
アノード支持板12は、膜電極接合体10、より詳しくはアノード21に燃料を通過させる複数の燃料通過孔(図示せず)を有している。燃料通過孔は、マトリクス状に設けられている。上述したアノード支持板12には、燃料として液体燃料62の気化成分が供給される。
【0034】
ここで、液体燃料62としては、液体のメタノール等のメタノール燃料、又はメタノール水溶液に限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料が挙げられる。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が使用される。液体燃料62の気化成分とは、液体燃料62として液体のメタノールを使用した場合、気化したメタノールを意味し、液体燃料62としてメタノール水溶液を使用した場合にはメタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合ガスを意味する。
【0035】
燃料供給部13は、燃料分配機構15と、燃料拡散部16とを備えている。燃料分配機構15は、アノード21に対して電解質膜27の反対側に配置されている。燃料拡散部16は、アノード21及び燃料分配機構15間に配置されている。
【0036】
燃料分配機構15は、容器50と、容器50に形成された細管57a、57b、57cとを有している。容器50は、底壁51と、底壁51の外縁に設けられた周壁52とを有している。底壁51及び周壁52は一体に形成されている。底壁51は、アノード21と対向した燃料排出面51Sを持っている。容器50は、燃料排出面51Sと対向した側が開口している。容器50は、内面側に起電部6等を収容している。
【0037】
細管57aは、容器50の外面の一部を開口して設けられた燃料注入口53及び燃料吐出口55aを連通するように容器50に形成されている。ここでは、燃料注入口53は周壁52に設けられ、燃料吐出口55aは底壁51に設けられている。
【0038】
細管57bは、容器50の外面の一部を開口して設けられた燃料取入口55b及び燃料吐出口56aを連通するように容器50に形成されている。ここでは、燃料取入口55b及び燃料吐出口56aは底壁51に設けられている。
【0039】
細管57cは、燃料排出面51Sの一部を開口して設けられた燃料排出口54及び容器50の外面の一部を開口して設けられた燃料取入口56bを連通するように容器50に形成されている。ここでは、燃料取入口56bは底壁51に設けられている。燃料排出口54は、複数個所に設けられているが、数、位置、サイズ等は種々変形可能である。燃料排出口54は、1個所にのみ設けられていてもよい。
【0040】
液体燃料62は、燃料注入口53から注入される。燃料注入口53に注入された液体燃料62は、細管57a、細管57b及び細管57c等を経由して燃料排出口54に導かれる。燃料排出口54からは、液体燃料62又はその気化成分が排出される。この実施の形態においては、燃料排出口54からは液体燃料62が排出される。
【0041】
燃料拡散部16は、アノード21及び燃料分配機構15間に配置されている。燃料拡散部16は、燃料分配機構15から供給される液体燃料62をより拡散してアノード21に排出するものである。なお、燃料拡散部16は必要に応じて設けられている。
【0042】
燃料拡散部16は、シート状に形成されている。燃料拡散部16は、燃料排出面51S上に配置されている。上記したように、燃料拡散部16によって燃料が一層拡散された後、燃料拡散部16からアノード21に燃料(気化燃料)が供給される。
【0043】
燃料排出口54から排出される液体燃料62は、面方向に拡散された後、アノード21に供給される。このため、液体燃料62の供給量を平均化することができ、液体燃料62を方向や位置に拘わりなく、アノード21に均等に拡散させることができる。このため、膜電極接合体10における発電反応の均一性を高めることができる。
【0044】
すなわち、アノード21の面内における燃料の分布が平準化され、膜電極接合体10での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池の大型化や複雑化等を招くことなく、膜電極接合体10で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させないパッシブ型燃料電池の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
【0045】
保湿板18は、膜電極接合体10の外側に位置し、カソードガス拡散層26に対向配置されている。この保湿板18は、カソード触媒層25で生成された水の一部を含浸して、水の蒸散を抑制すると共に、カソードガス拡散層26に酸化剤を均一に導入することで、カソード触媒層25への酸化剤(空気)の均一拡散を促進する機能を有している。この保湿板18は、たとえば多孔質構造の部材で構成され、具体的な構成材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質体などが挙げられる。この実施の形態において、保湿板18は発泡ポリエチレンシートである。
【0046】
カバープレート19は、保湿板18に対してカソード集電体34の反対側に位置している。カバープレート19は、外観が略箱状のものであり、放熱性を示すものである。カバープレート19は、例えばステンレス鋼(SUS)によって形成されている。また、カバープレート19は、酸化剤である空気を取入れるための複数の通気孔19aを有している。通気孔は、例えばマトリクス状に設けられている。
【0047】
上述した燃料拡散部16、アノード支持板12、膜電極接合体10、アノード集電体31、カソード集電体34及び保湿板18は、それぞれの側面が周壁52によって覆われている。カバープレート19は、例えば周縁から外側に延出した複数の延出部を有しており、これら延出部が容器50の外面にかしめ加工あるいはねじ止めされている。
【0048】
一対の燃料電池本体5は、アノード21同士が対向するように配置されている。なお、この実施の形態において、一対の燃料電池モジュール1が、アノード21同士が対向するように配置されている。
上記のように燃料電池本体5が形成されている。
【0049】
図2乃至5及び図8に示すように、ポンプ7は、容器50の外面に取付けられている。この実施の形態において、ポンプ7は、圧電型のポンプである。ポンプ7は、底壁51の燃料排出面51Sとは反対側の面に取付けられている。ポンプ7は、ねじ7aにてねじ止めされることにより底壁51に固定されている。ポンプ7は、燃料吐出口56a及び燃料取入口56bにそれぞれ連結されている。
【0050】
ポンプ7は、燃料吐出口56aから導入される液体燃料62を燃料取入口56bに送液するものである。ポンプ7は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料取入口56bに液体燃料62を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ7で必要時に液体燃料62を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。
【0051】
ポンプ7の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料62を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、上記圧電型のポンプを使用することが好ましが、その他、ロータリーポンプ(ロータリーベーンポンプ)、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することもできる。
【0052】
ロータリーポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
【0053】
ポンプ7は、必要時動作させて燃料供給部13に液体燃料62を供給する。このように、ポンプ7で燃料供給部13に液体燃料62を送液する場合においても、燃料供給部13は有効に機能するため、膜電極接合体10に対する燃料供給量を均一化することが可能となる。
【0054】
図5、図8及び図9に示すように、バルブ8は、容器50の外面に取付けられている。この実施の形態において、バルブ8は、遮断バルブである。バルブ8は、底壁51の燃料排出面51Sとは反対側の面に取付けられている。バルブ8は、バルブ8を底壁51に押さえつける押さえ枠8aをねじ8bにてねじ止めされることにより底壁51に固定されている。バルブ8は、燃料吐出口55a及び燃料取入口55bにそれぞれ連結されている。
【0055】
バルブ8は、細管57bを介してポンプ7に連結されている。バルブ8は、燃料吐出口55aから導入される液体燃料62を燃料取入口55bに送液するかどうか開閉を切替えるものである。バルブ8は、ポンプ7に与える液体燃料62の量を制御するものである。
【0056】
バルブ8は、燃料電池の安定性や信頼性を高めるものである。バルブ8は、燃料電池の未使用時にも不可避的に発生する微量な燃料の消費や上述したポンプ再運転時の吸い込み不良等を回避することも可能である。
【0057】
図2乃至図5及び図8に示すように、制御部9は、容器50の外面に取付けられている。この実施の形態において、制御部9は、電力変換回路である。制御部9は、底壁51の燃料排出面51Sとは反対側の面に取付けられている。制御部9は、底壁51に固定されている。制御部9は、配線9aによりポンプ7に電気的に接続されている。制御部9は、配線9bによりバルブ8に電気的に接続されている。制御部9は、ポンプ7の稼動、バルブ8の開閉を制御することにより、起電部6での発電量を調整するものである。
上記のように燃料電池モジュール1が形成されている。
【0058】
図2及び図9に示すように、燃料供給源2は、燃料収容部としてのタンク61と、タンク61を収容した筐体としてのスリーブ63とを備えている。タンク61には液体燃料62が収容されている。タンク61及び燃料注入口53は、筒状の管64で接続されている。このため、燃料排出面51Sには、タンク61から、管64、細管57a、バルブ8、細管57b、ポンプ7、細管57cを介して液体燃料62が導入される。上記のように燃料供給源2が形成されている。
全てを図示しないが、スリーブ63には2つの開口63hが形成されている。開口63hは、それぞれ燃料電池モジュール1の燃料注入口53に対応した位置に形成されている。
【0059】
図2、図3及び図9に示すように、放熱部材としての2枚の放熱板70は、一対の燃料電池本体5間に配置され、少なくとも一対の燃料電池本体5のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出する。放熱板70は、熱伝導性に優れている。この実施の形態において、2枚の放熱板70は、一対の燃料電池モジュール1間に配置され、少なくとも一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出する。燃料電池モジュール1及び放熱板70間は、それぞれ隙間を置いて対向配置されている。
【0060】
各放熱板70には開口70hが形成されている。開口70hは、バルブ8及び押さえ枠8aを通し、バルブ8及び押さえ枠8a用のスペースを確保するためのものである。
【0061】
ケース3は、仕切り板3a及び周壁3bを有している。仕切り板3a及び周壁3bは、一体に形成されている。仕切り板3aは、一対の燃料電池モジュール1(一対の燃料電池本体5)間に位置している。周壁3bは、一対の燃料電池モジュール1(一対の燃料電池本体5)を囲むように仕切り板3aの外縁に設けられている。
【0062】
ケース3は、一対の燃料電池モジュール1(一対の燃料電池本体5)及び2枚の放熱板70を収容する。ケース3は、燃料供給源2と隣合っている。ケース3は、樹脂で形成されている。
【0063】
ケース3は、仕切り板3aに形成された開口3h1及び周壁3bに形成された2つの開口3h2(全てを図示せず)を有している。ここでは、開口3h1は開口70hと対向している。開口3h1は、バルブ8及び押さえ枠8aを通し、バルブ8及び押さえ枠8a用のスペースを確保するためのものである。開口3h2は、それぞれ開口63hと対向している。開口3h2は、それぞれ燃料電池モジュール1の燃料注入口53に対応した位置に形成されている。
【0064】
図2及び図3に示すように、セットカバー80は、燃料電池モジュール1を覆い、ケース3の開口を塞ぐように形成されている。カバープレート19と対向した領域において、セットカバー80は、通気性に優れ、酸化剤である空気を取入れるように形成されている。
【0065】
図3に示すように、トップフレーム91及びボトムフレーム92は、ケース3(周壁3b)の外面に対向配置されている。トップフレーム91及びボトムフレーム92は、図示しない留具を用い、ケース3に燃料供給源2等を固定するものである。
【0066】
この実施の形態において、放熱板70は、ケース3(周壁3b)に形成された開口3h3を通ってトップフレーム91及びボトムフレーム92に接触している。トップフレーム91及びボトムフレーム92は、他の放熱部材として機能している。トップフレーム91及びボトムフレーム92は、放熱板70から伝わる熱を外部に放出する。すなわち、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から放熱板70に伝わる副射熱は、放熱板70からだけでなくトップフレーム91及びボトムフレーム92からも外部に放出することができる。
【0067】
図9に示すように、各管64は、スリーブ63に形成された開口63h及びケース3の周壁3bに形成された開口3h2に形成され、タンク61と、各燃料電池モジュール1の燃料注入口53とを連結している。
【0068】
図1乃至図3に示しように、外装カバー4は、フロントカバー4a、リアカバー4b、サイドカバー4c、4d、トップカバー4e、及びボトムカバー4fを有している。
サイドカバー4c、4dは、セットカバー80の外面及び燃料供給源2の外面に対向している。なお、サイドカバー4c、4dには、通気孔が形成されている。フロントカバー4aは、周壁3bに対向し、サイドカバー4c、4dに接触している。リアカバー4bは、燃料供給源2に対向し、サイドカバー4c、4dに接触している。
【0069】
トップカバー4eは、トップフレーム91に対向配置され、フロントカバー4a、リアカバー4b、及びサイドカバー4c、4dに接触し、これらを束ねている。ボトムカバー4fは、ボトムフレーム92に対向配置され、フロントカバー4a、リアカバー4b、及びサイドカバー4c、4dに接触し、これらを束ねている。
【0070】
以上のように、一対の燃料電池モジュール1と、燃料供給源2と、ケース3と、2枚の放熱板70と、2つのセットカバー80と、トップフレーム91と、ボトムフレーム92と、管64と、外装カバー4とを備えた燃料電池が形成されている。
【0071】
次に、上記燃料電池による発電の仕組みについて説明する。なお、上記燃料電池においては、液体燃料62が、燃料供給源2から一対の燃料電池モジュール1にそれぞれ供給され、一対の燃料電池モジュール1にて同時に発電が行われる。
【0072】
まず、制御部9の制御のもと、バルブ8を開状態に切替え、ポンプ7を稼動させ、燃料供給源2から管64、細管57a、バルブ8、細管57b、ポンプ7、細管57cを介して燃料排出面51Sに液体燃料62を導入させる。液体燃料62は燃料排出面51S及び燃料拡散部16によって拡散される。
【0073】
なお、図示しないが、燃料供給部13は、例えば、アノード集電体31及び燃料拡散部16間に設けられる気液分離膜を有していてもよい。これにより、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給することができる。
【0074】
膜電極接合体10内において、燃料はアノードガス拡散層23にて拡散してアノード触媒層22に供給される。液体燃料62としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層22で式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層25で生成した水や電解質膜27中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)はアノード集電体31に接続された端子(図示せず)から外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード集電体34に接続された端子(図示せず)からカソード24に導かれる。また、式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜27を経てカソード24に導かれる。カソード24には酸化剤として空気が供給される。カソード24に到達した電子(e)とプロトン(H)は、カソード触媒層25で空気中の酸素と式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
上記したように、燃料電池による発電が行われる。
【0075】
次に、一対の燃料電池モジュール1間(アノード21間)に生じる熱を外部に放出することにより、アノード21及びカソード24間の温度分布に伴う出力の低下を抑制することができる燃料電池の例として実施例1乃至実施例5の燃料電池について説明する。上記実施例1乃至5の燃料電池の出力を評価するため、比較例1及び比較例2の燃料電池についても併せて説明する。
【0076】
(比較例1)
まず、比較例1の燃料電池について説明する。燃料電池は、仕切り板3a及び放熱板70を備えていない。一対の燃料電池モジュール1は互いに接触している。その他の構成は、上述した実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
【0077】
上記のように構成された比較例1の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較的高い温度であった。これは、一対の燃料電池モジュール1間に生じる熱を外部に放出することができず、一対の燃料電池モジュール1間に熱がこもってしまうためである。
【0078】
また、比較例1の燃料電池の出力を測定したところ、十分な出力を得ることができなかった。これは、カソード側に比べてアノード側の温度が高く、アノード及びカソード間の温度にばらつきが生じたためである。
上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
【0079】
(実施例1)
次に、実施例1の燃料電池について説明する。
図1乃至図9に示すように、放熱板70は、銅合金板で形成されている。銅合金板で形成した放熱板70の熱伝導率は、403W/m・kである。その他の構成は、上述した実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
【0080】
上記のように構成された実施例1の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1に比べ低い値であった。これは、放熱板70が、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出できるためである。特に、他の放熱部材としてのトップフレーム91及びボトムフレーム92の分、放熱面積が増加し、放熱効果が向上するためである。
【0081】
また、実施例1の燃料電池の出力を測定したところ、比較例1に比べ十分に高い出力を得ることができた。これは、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制したことにより、起電部6で効率的な発電反応を生起することができたためである。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができた。
【0082】
(実施例2)
次に、実施例2の燃料電池について説明する。
放熱板70は、ステンレス鋼板で形成されている。ステンレス鋼(SUS)で形成した放熱板70の熱伝導率は、15W/m・kである。その他の構成は、上述した実施例1の燃料電池と同様に形成されている。
【0083】
上記のように構成された実施例2の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1に比べ低い値であった。これは、実施例1に比べ、放熱板70の熱伝導率が低く、温度低下が小さいが、放熱板70、トップフレーム91及びボトムフレーム92による放熱の効果を得ることができたためである。
【0084】
また、実施例2の燃料電池の出力を測定したところ、比較例1に比べ十分に高い出力を得ることができた。これは、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制したことにより、起電部6で効率的な発電反応を生起することができたためである。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
【0085】
さらに、ステンレス鋼(SUS)で形成した放熱板70は剛性に優れているため、燃料電池の剛性も十分に確保することができる。
上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができた。
【0086】
(実施例3)
次に、実施例3の燃料電池について説明する。
放熱板70は、アルミニウム合金板で形成されている。アルミニウム合金で形成した放熱板70の熱伝導率は、236W/m・kである。その他の構成は、上述した実施例1の燃料電池と同様に形成されている。
【0087】
上記のように構成された実施例3の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1に比べ低い値であった。これは、実施例1と同等の放熱板70による熱伝導の効果を得ることができたためである。
【0088】
また、実施例3の燃料電池の出力を測定したところ、比較例1に比べ十分に高く、実施例1と同等の出力を得ることができた。これは、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制したことにより、起電部6で効率的な発電反応を生起することができたためである。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
【0089】
さらに、アルミニウム合金で形成した放熱板70は、銅合金で形成した放熱板(実施例1)より強度が高いため、実施例1に比べ、燃料電池の剛性も十分に確保することができる。
上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができた。
【0090】
(実施例4)
次に、実施例4の燃料電池について説明する。
燃料電池は、放熱部材としての放熱板70を備えていない。燃料電池は、放熱部材としての図示しない2つのヒートパイプを備えている。ヒートパイプは筒状に形成されている。各ヒートパイプは、アノード21と対向した側の燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)の外面に取付けられている。各ヒートパイプは、ケース3(周壁3b)に形成された開口3h3を通ってトップフレーム91及びボトムフレーム92に接触している。その他の構成は、上述した実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
【0091】
上記のように構成された実施例4の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1より低い値であった。これは、ヒートパイプ方式にて、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる熱を外部に放出できるためである。
【0092】
また、実施例4の燃料電池の出力を測定したところ、比較例1に比べ十分に高い出力を得ることができた。これは、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制したことにより、起電部6で効率的な発電反応を生起することができたためである。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
ヒートパイプを板状に形成することは困難であるため、燃料電池の大型化を招くものの、上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができた。
【0093】
(実施例5)
次に、実施例5の燃料電池について説明する。
図10及び図11に示すように、燃料電池は、熱伝導テープ100をさらに備えている。熱伝導テープ100は、熱伝導性を示す材料として、例えばアルミ二ウムで形成されている。熱伝導テープ100は、容器50の外面に貼り付けられているとともにカバープレート19に貼り付けられている。ここでは、熱伝導テープ100は、ポンプ7の外面を覆い、容器50及び制御部9間を通っている。
【0094】
熱伝導テープ100は、アノード21と対向した側の燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)からカバープレート19に熱を伝える。なお、上述したように、カバープレート19は、放熱性を示すステンレス鋼(SUS)で形成されている。その他の構成は、上述した実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
【0095】
上記のように構成された実施例5の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1より低い値であった。これは、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側に生じる熱が、(1)放熱板70に副射され、トップフレーム91及びボトムフレーム92が放熱板70から伝わる熱を外部に放出し、(2)熱伝導テープ100を介してカバープレート19(カソード24側)に伝えられるためである。
【0096】
また、実施例5の燃料電池の出力を測定したところ、比較例1に比べ十分に高い出力を得ることができた。これは、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制したことにより、起電部6で効率的な発電反応を生起することができたためである。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができた。
【0097】
(比較例2)
次に、比較例2の燃料電池について説明する。燃料電池は、放熱板70の換わりに図示しないファンを備えている。ファンにより、アノード21と対向した側の燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)は、空冷式にて冷却される。その他の構成は、上述した実施の形態の燃料電池と同様に形成されている。
【0098】
上記のように構成された比較例1の燃料電池の底壁51の外面の温度を測定したところ、比較例1より低い値であった。しかしながら、ファンを駆動する分、電力に損失が発生し、十分な出力を得ることができなかった。
ファンを設ける構成であるため、燃料電池の大型化を招いてしまい、また、上記したことから、出力の高い燃料電池を実現することができなかった。
【0099】
以上のように構成された燃料電池によれば、燃料電池は、アノード21同士が対向するように配置された一対の燃料電池本体5と、放熱部材と、を備えている。各燃料電池本体5は、起電部6と、燃料分配機構15とを具備している。
【0100】
起電部6は、アノード21、カソード24及び電解質膜27を含んだ膜電極接合体10を有する。燃料分配機構15は、燃料の細管57a、57b、57c、アノード21と対向した側の表面に位置した燃料排出面51S、及び燃料排出面51Sの一部を開口して設けられているとともに細管57cに繋げられ燃料を排出する燃料排出口54を有する。
【0101】
放熱部材は、一対の燃料電池本体5間に配置され、少なくとも一対の燃料電池本体5のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出する。放熱部材は、実施例1乃至実施例6及び実施例8では放熱板70であり、実施例7ではヒートパイプである。
【0102】
放熱部材(放熱板70、ヒートパイプ)により、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出でき、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを抑制できる。このため、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出することができる。
【0103】
他の放熱部材としてのトップフレーム91及びボトムフレーム92により、放熱板70から伝わる熱を外部に放出することができる。放熱板70をトップフレーム91及びボトムフレーム92に接触させない場合に比べ、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを一層抑制できる。このため、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に一層放出することができる。
このため、一対の燃料電池モジュール1のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出することができる。これによって、燃料電池の出力やその安定性を高めることができる。
【0104】
実施例5において、熱伝導テープ100により、アノード21と対向した側の燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)からカバープレート19に熱を伝えることができる。熱伝導テープ100を設けない場合に比べ、アノード21及びカソード24間の温度のばらつきを一層抑制できる。
上記したことから、出力特性に優れた燃料電池を得ることができる。
【0105】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0106】
例えば、燃料電池は、アノード21同士が対向するように配置された一対の燃料電池本体5を備えていればよい。このため、ポンプ7、バルブ8、及び制御部9は、燃料電池本体5間に位置していなくともよい。
【0107】
アノード21と対向した側の燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)と、放熱板70とが接触し、燃料電池モジュール1(燃料電池本体5)から放熱板70に熱が直に伝導される構成であってもよい。また、放熱板70には、熱伝導テープ100が接触するように構成されていてもよい。
【0108】
放熱部材(放熱板70、ヒートパイプ)は、少なくとも、トップフレーム91及びボトムフレーム92の何れかに接続されていても良い。
他の放熱部材は、トップフレーム91及びボトムフレーム92に限定されるものではなく、ケース3の外面に対向配置された放熱体であればよい。
【0109】
放熱部材としては、放熱板70、ヒートパイプに限定されるものではなく、一対の燃料電池本体5間に配置され、少なくとも一対の燃料電池本体5のアノード21側から伝わる副射熱を外部に放出するように形成されていればよい。
【0110】
この発明は、直接メタノール型の燃料電池に限定されるものではなく、他の燃料電池に適用可能である。そして、液体燃料62も、必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料62は、各種の液体燃料を使用した場合に効果を発揮し、液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。
【0111】
また、膜電極接合体10へ供給される液体燃料においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1…燃料電池モジュール、2…燃料供給源、3…ケース、3a…仕切り板、3b…周壁、4…外装カバー、5…燃料電池本体、6…起電部、7…ポンプ、8…バルブ、9…制御部、10…膜電極接合体、13…燃料供給部、15…燃料分配機構、19…カバープレート、20…発電素子、21…アノード、24…カソード、27…電解質膜、50…容器、
51…底壁、51S…燃料排出面、52…周壁、53…燃料注入口、54…燃料排出口、57a,57b,57c…細管、61…タンク、62…液体燃料、70…放熱板、91…トップフレーム、92…ボトムフレーム、100…熱伝導テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、アノード、カソード、並びに前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、前記アノードと対向した側の表面に位置した燃料排出面、及び前記燃料排出面の一部を開口して設けられ燃料を排出する燃料排出口を有する燃料分配機構と、を具備し、前記アノード同士が対向するように配置された一対の燃料電池本体と、
前記一対の燃料電池本体間に配置され、少なくとも前記一対の燃料電池本体のアノード側から伝わる副射熱を外部に放出する放熱部材と、を備えていることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記放熱部材は、放熱板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記放熱部材は、アルミ二ウム合金で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記一対の燃料電池本体及び放熱部材を収容したケースと、
前記ケースの外面に対向配置され、前記放熱部材に接触し、前記放熱部材から伝わる熱を外部に放出する他の放熱部材と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記一対の燃料電池本体間に位置した仕切り板、及び前記一対の燃料電池本体を囲むように前記仕切り板の外縁に設けられた周壁を有し、前記一対の燃料電池本体及び放熱部材を収容したケースをさらに備え、
前記放熱部材は、それぞれ前記仕切り板及び燃料電池本体間に設けられた一対の放熱板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記一対の燃料電池本体は、それぞれ前記カソードに対向して位置した放熱性のカバープレート、及び前記燃料分配機構の外面に貼り付けられているとともに前記カバープレートに貼り付けられ、前記アノードと対向した側の前記燃料電池本体から前記カバープレートに熱を伝える熱伝導テープをさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記熱伝導テープは、アルミ二ウムで形成されている請求項6に記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−49060(P2011−49060A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197119(P2009−197119)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221339)東芝電子エンジニアリング株式会社 (238)
【Fターム(参考)】