説明

燃料電池

【課題】燃料電池セルの厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させる。
【解決手段】燃料電池セルの第1および第2のセパレータは、膜電極接合体に対向する位置より外側に反応ガス流路を構成する開口を有し、第1のセパレータは、第1のセパレータ側用の反応ガス流路と第1のセパレータ側の多孔体流路層の端面に連通する第1の内部流路空間とを連通する第1の連通孔と、第2のセパレータ側用の反応ガス流路と第2のセパレータ側の多孔体流路層における反応ガス流れ方向上流側および下流側の少なくとも一方の外縁に沿って伸びる溝型内部流路空間に連通する第2の内部流路空間とを連通する第2の連通孔と、を有し、第1および第2のセパレータの少なくとも一方は、第1および第2のセパレータ間をシールするシール部と溝型内部流路空間との境界の位置に溝型内部流路空間に沿って伸びるリブを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、一般に、電解質膜の一方の面にアノードが設けられ他方の面にカソードが設けられた構成の膜電極接合体を含む発電モジュールとセパレータとが交互に積層されたスタック構造の形態で利用される。燃料電池は、膜電極接合体に供給された反応ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)を利用して電気化学反応を引き起こすことにより、物質の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。
【0003】
発電モジュールが膜電極接合体と多孔体により形成されたガス拡散プレートとを含むように構成された燃料電池において、ガス拡散プレートにおける反応ガスの流れ方向上流側および下流側の外縁に沿って伸びる空隙部を設けて、反応ガスの均一分配性を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の燃料電池では、反応ガスは、マニホールドからセパレータ内部に設けられた流路空間に流入し、セパレータのガス拡散プレートに対向する面に設けられた供給口を通ってガス拡散プレートの上流側空隙部に供給され、上流側空隙部から下流側空隙部に向けてガス拡散プレート内を流動し、セパレータのガス拡散プレートに対向する面に設けられた排出口を通ってセパレータ内部に設けられた流路空間に排出され、当該流路空間を通ってマニホールドへと排出される。そのため、従来の燃料電池は、燃料電池セルの厚さが比較的厚くなってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池において、燃料電池セルの厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]燃料電池であって、
積層された複数の燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの積層方向に略平行であり、各前記燃料電池セルにおいて使用される反応ガスを流通させる複数の反応ガス流路と、を備え、
各前記燃料電池セルは、
電解質膜と前記電解質膜の両面に配置された電極層とを含む膜電極接合体と、
多孔体により形成され、前記膜電極接合体を挟むように配置された一対の多孔体流路層と、
金属板を加工することにより形成され、前記一対の多孔体流路層を挟むように配置された第1および第2のセパレータと、を含み、
前記第1および第2のセパレータは、前記膜電極接合体および前記多孔体流路層に対向する位置より面方向外側の位置に、前記反応ガス流路を構成する開口を有し、
前記第1のセパレータは、前記第1のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路と前記第1のセパレータ側の前記多孔体流路層の端面に連通する第1の内部流路空間とを連通する第1の連通孔と、前記第2のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路と前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層における反応ガス流れ方向上流側および下流側の少なくとも一方の外縁に沿って伸びる溝型内部流路空間に連通する第2の内部流路空間とを連通する第2の連通孔と、を有し、
前記第1および第2のセパレータの少なくとも一方は、前記第1および第2のセパレータ間をシールするシール部と前記溝型内部流路空間との境界の位置に、前記溝型内部流路空間に沿って伸びるリブを有する、燃料電池。
【0009】
この燃料電池では、第1のセパレータ側については、第1のセパレータに形成された第1の連通孔を介して、反応ガス流路と多孔体流路層の端面に連通する第1の内部流路空間とが連通し、第2のセパレータ側については、第1のセパレータに形成された第2の連通孔を介して、反応ガス流路と多孔体流路層の端面に連通する溝型内部流路空間に連通する第2の内部流路空間とが連通するため、従来の燃料電池と比較して燃料電池セルの厚さを低減することができる。また、この燃料電池では、第1および第2のセパレータ間をシールするシール部と溝型内部流路空間との境界の位置に溝型内部流路空間に沿って伸びるリブが形成されているため、シール材の溝型内部流路空間内への流入が阻止され、溝型内部流路空間がコモンレールとして機能して反応ガスの均一分配性が向上する。従って、この燃料電池では、燃料電池セルの厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記第1のセパレータは、前記第1のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路を構成する前記開口が形成される位置の少なくとも一部の前記金属板が前記開口の前記膜電極接合体側の辺を折り曲げ線として前記膜電極接合体側に折り返されて形成された第1の折り返し部分と、前記第2のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路を構成する前記開口が形成される位置の少なくとも一部の前記金属板が前記開口の前記膜電極接合体側の辺を折り曲げ線として前記膜電極接合体側に折り返されて形成された第2の折り返し部分と、を有し、
前記第1の内部流路空間は、前記第1の折り返し部分と前記第1のセパレータとの間に形成され、
前記第2の内部流路空間は、前記第2の折り返し部分と前記第1のセパレータとの間に形成され、
前記第1の連通孔は、前記第1の折り返し部分に形成され、
前記第2の連通孔は、前記第2の折り返し部分に形成される、燃料電池。
【0011】
この燃料電池では、燃料電池セルの厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることができる上に、部品点数の低減、加工工程の簡易化、コストの低減を図りつつ反応ガス導出入部におけるガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を達成することができる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池であって、
各前記燃料電池セルは、さらに、
前記第1のセパレータ側および前記第2のセパレータ側のそれぞれにおいて、前記電極層と前記多孔体流路層との間に配置された拡散層を含み、
前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層の長さは、少なくとも前記多孔体流路層における反応ガス流れ方向上流側および下流側の前記外縁の位置において、前記第2のセパレータ側の前記拡散層の長さより短く、
前記溝型内部流路空間は、前記第2のセパレータと前記第2のセパレータ側の前記拡散層との間に形成された空間である、燃料電池。
【0013】
この燃料電池では、第2のセパレータと第2のセパレータ側の拡散層との間に形成された空間を溝型内部流路空間として利用することができるため、燃料電池セルのサイズの増大を抑制しつつ、反応ガスの均一分配性を向上させることができる。
【0014】
[適用例4]適用例3に記載の燃料電池であって、
前記第2のセパレータは、前記溝型内部流路空間に対向する部分に、前記膜電極接合体の方向に凸な複数の凸部を有する、燃料電池。
【0015】
この燃料電池では、複数の凸部により第2のセパレータ側の拡散層を支持することができ、第2のセパレータと第2のセパレータ側の拡散層との間に溝型内部流路空間を確実に確保することができる。
【0016】
[適用例5]適用例4に記載の燃料電池であって、
前記複数の凸部の少なくとも一つは、前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層の外縁近辺に配置されている、燃料電池。
【0017】
この燃料電池では、第2のセパレータ側の多孔体流路層の外縁近辺に配置された凸部が多孔体流路層を配置する際の位置決め基準として機能するため、燃料電池セルの製造工程の容易化、精度の向上を図ることができる。
【0018】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、燃料電池、燃料電池用セパレータ、燃料電池システム、これらの装置またはシステムの製造方法、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例における燃料電池システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】燃料電池100の単セル140の平面構成を示す説明図である。
【図3】単セル140の平面構成をより詳細に示す説明図である。
【図4】単セル140の断面構成を示す説明図である。
【図5】単セル140の断面構成を示す説明図である。
【図6】カソード側セパレータ320の開口323付近の構成を示す斜視図である。
【図7】第1実施例における単セル140の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】カソード側セパレータ320の成形工程を示すフローチャートである。
【図9】カソード側セパレータ320の成形工程における各段階でのカソード側セパレータ320の状態を示す説明図である。
【図10】カソード側セパレータ320の成形工程におけるプレス成形の様子を示す説明図である。
【図11】第2実施例における単セル140aの断面構成を示す説明図である。
【図12】第2実施例のアノード側セパレータ310aにおけるアノード側多孔体流路層短縮部分に対向する領域の形状を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
【0021】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例における燃料電池システム10の概略構成を示す説明図である。燃料電池システム10は、燃料電池100を備えている。燃料電池100は、エンドプレート110と、絶縁板120と、集電板130と、複数の単セル(燃料電池セル)140と、集電板130と、絶縁板120と、エンドプレート110と、が、この順に積層されたスタック構造を有している。
【0022】
燃料電池100には、高圧水素を貯蔵した水素タンク50から、シャットバルブ51、レギュレータ52、配管53を介して、燃料ガスとしての水素が供給される。燃料電池100において利用されなかった燃料ガス(アノードオフガス)は、排出配管63を介して燃料電池100の外部に排出される。なお、燃料電池システム10は、アノードオフガスを配管53側に再循環させる再循環機構を有するとしてもよい。燃料電池100には、また、エアポンプ60および配管61を介して、酸化剤ガスとしての空気が供給される。燃料電池100において利用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)は、排出配管54を介して燃料電池100の外部に排出される。なお、燃料ガスおよび酸化剤ガスは、反応ガスとも呼ばれる。
【0023】
さらに、燃料電池100には、燃料電池100を冷却するため、ウォーターポンプ71および配管72を介して、ラジエータ70により冷却された冷却媒体が供給される。燃料電池100から排出された冷却媒体は、配管73を介してラジエータ70に循環する。冷却媒体としては、例えば水、エチレングリコール等の不凍水、空気などが用いられる。
【0024】
図2は、燃料電池100の単セル140の平面構成を示す説明図である。図示するように、単セル140の平面形状は略長方形である。単セル140は、後述するように、電解質膜のそれぞれの面にアノード(アノード電極層)、カソード(カソード電極層)が配置された膜電極接合体(MEA)を含む発電モジュール200を、一対のセパレータによって挟持した構成となっている。
【0025】
燃料電池100の内部には、図2に示すように、燃料電池100に供給された燃料ガスとしての水素を各単セル140に分配する燃料ガス供給マニホールド162と、燃料電池100に供給された酸化剤ガスとしての空気を各単セル140に分配する酸化剤ガス供給マニホールド152と、各単セル140において利用されなかった燃料ガスを集めて燃料電池100の外部に排出する燃料ガス排出マニホールド164と、各単セル140において利用されなかった酸化剤ガスを集めて燃料電池100の外部に排出する酸化剤ガス排出マニホールド154と、が形成されている。上記各マニホールドは、燃料電池100の単セル140の積層方向に略平行な方向(すなわち膜電極接合体の面方向に略垂直な方向)に伸びる形状の反応ガス流路である。燃料電池100の内部には、さらに、冷却媒体を単セル140に分配する冷却媒体供給マニホールド172と、各単セル140から排出される冷却媒体を集めて燃料電池100の外部に排出する冷却媒体排出マニホールド174と、が形成されている。
【0026】
図2に示すように、単セル140の平面における各マニホールドの位置は、単セル140の周縁部となっている。具体的には、燃料ガス供給マニホールド162の位置は単セル140の平面における発電モジュール200の一方の短辺(図2における右側の短辺)の一方の端部(同、上側の端部)に隣接した位置であり、燃料ガス排出マニホールド164の位置は発電モジュール200の他方の短辺(同、左側の短辺)の他方の端部(同、下側の端部)に隣接した位置である。また、酸化剤ガス供給マニホールド152の位置は発電モジュール200の一方の長辺(同、上側の長辺)の全体に隣接した位置であり、酸化剤ガス排出マニホールド154の位置は発電モジュール200の他方の長辺(同、下側の長辺)の全体に隣接した位置である。また、冷却媒体供給マニホールド172の位置は発電モジュール200の一方の短辺(同、左側の短辺)に隣接した位置であり、冷却媒体排出マニホールド174の位置は発電モジュール200の他方の短辺(同、右側の短辺)に隣接した位置である。
【0027】
なお、以下の説明では、燃料電池100において単セル140を積層する方向を「積層方向」と呼ぶものとし、発電モジュール200を構成する各層の主表面に平行な方向(すなわち積層方向と略垂直な方向)を「面方向」と呼ぶものとする。また、面方向の内、発電モジュール200の短辺に平行な方向をY方向と呼び、発電モジュール200の長辺に平行な方向(Y方向に略垂直な方向)をX方向と呼ぶものとする。
【0028】
図3は、単セル140の平面構成をより詳細に示す説明図である。図3(a)には、単セル140における燃料ガス供給マニホールド162付近の部分(図2のX1部)の平面構成を拡大して示しており、図3(b)には、単セル140における酸化剤ガス供給マニホールド152付近の部分(図2のX2部)の平面構成を拡大して示している。また、図4および図5は、単セル140の断面構成を示す説明図である。図4(a)には図3(b)のC1−C1断面を示しており、図4(b)には図3(b)のD1−D1断面を示しており、図5(a)には図3(a)のA1−A1断面を示しており、図5(b)には図3(a)のB1−B1断面を示している。
【0029】
図4および図5に示すように、単セル140は、発電モジュール200と、発電モジュール200を挟持する一対のセパレータ(カソード側セパレータ320およびアノード側セパレータ310)と、を有している。発電モジュール200は、カソード側多孔体流路層230と、カソード側拡散層217と、膜電極接合体210と、アノード側拡散層216と、アノード側多孔体流路層220と、が、この順に積層された構成を有している。膜電極接合体210は、電解質膜212と、電解質膜212の一方の側に配置(塗布)されたカソード(カソード電極層)215と、電解質膜212の他方の側に配置(塗布)されたアノード(アノード電極層)214と、から構成されている。図2および図3には、単セル140の平面における発電モジュール200の概略位置をハッチングにより示している。
【0030】
電解質膜212は、フッ素系樹脂材料あるいは炭化水素系樹脂材料で形成された固体高分子膜であり、湿潤状態において良好なプロトン導電性を有する。カソード215およびアノード214は、例えば、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金を含んでいる。カソード側拡散層217およびアノード側拡散層216は、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス、あるいはカーボンペーパまたはカーボンフェルトによって形成されている。カソード側多孔体流路層230およびアノード側多孔体流路層220は、金属多孔体(例えばエキスパンドメタル)などのガス拡散性および導電性を有する多孔質の材料で形成されている。カソード側多孔体流路層230およびアノード側多孔体流路層220は、カソード側拡散層217およびアノード側拡散層216より空孔率が高いため、内部におけるガスの流動抵抗が低く、反応ガスが流動する流路として機能する。
【0031】
図4に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド152に対向する位置において、電解質膜212とアノード側の各層(アノード214、アノード側拡散層216、アノード側多孔体流路層220)の面方向(Y方向)に沿った長さは、発電モジュール200を構成する他の層(カソード215、カソード側拡散層217、カソード側多孔体流路層230)の長さより長い。すなわち、燃料電池100の積層方向から発電モジュール200を見ると、電解質膜212およびアノード側の各層は他の層より突出している。電解質膜212の突出部分のカソード側表面には、耐久性やハンドリング性の向上のために、PEN等による保護層が設けられているとしてもよい。
【0032】
カソード側セパレータ320およびアノード側セパレータ310は、金属板を加工して形成される。カソード側セパレータ320には、図4(a)および図4(b)に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド152を構成する開口323が形成されていると共に、図5(a)および図5(b)に示すように、燃料ガス供給マニホールド162を構成する開口321が形成されている。
【0033】
図6は、カソード側セパレータ320の開口323付近の構成を示す斜視図である。図4および図6に示すように、カソード側セパレータ320の酸化剤ガス供給マニホールド152を構成するための開口323に隣接した位置には、折り返し部分325が形成されている。折り返し部分325は、後に詳述するように、カソード側セパレータ320の材料としての金属板における開口323が形成される位置の部分の少なくとも一部が、開口323の膜電極接合体210側の辺を折り曲げ線として、単セル140の積層方向に沿った内側方向(アノード側セパレータ310に向かう方向)で、かつ、Y方向に沿った内側方向(膜電極接合体210に向かう方向)に折り返されることにより、形成される。
【0034】
図4(a)および図4(b)に示すように、折り返し部分325は、面方向に略垂直な(積層方向に略平行な)垂直部分と面方向に略平行な平行部分とにより構成されている。折り返し部分325の平行部分の積層方向に沿った位置は、電解質膜212の位置よりわずかにカソード側よりの位置である。折り返し部分325の平行部分と、積層方向に沿って折り返し部分325の平行部分に対向するカソード側セパレータ320の部分と、の間には、内部流路空間360が形成されている(図4(b)参照)。また、折り返し部分325の垂直部分には、酸化剤ガス供給マニホールド152と内部流路空間360とを連通するための複数の連通孔326が形成されている。複数の連通孔326は、X方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並んで配置されている(図6参照)。内部流路空間360は、本発明における第1の内部流路空間に相当する。また、酸化剤ガス側折り返し部分325は、本発明における第1の折り返し部分に相当し、酸化剤ガス側折り返し部分325に形成された連通孔326は、本発明における第1の連通孔に相当する。
【0035】
積層方向に沿って折り返し部分325の平行部分に対向するカソード側セパレータ320の位置には、アノード側セパレータ310に向かう方向に凸な形状(すなわち内部流路空間360に突出する形状)の凸部324が複数形成されている。複数の凸部324は、X方向に沿った位置が連通孔326と重ならないように、X方向に沿って互いに所定間隔を空けて並んで配置されている(図3(b)および図6参照)。各凸部324は、Y方向に伸びる略長方形形状の平面を有している。各凸部324の面方向に略平行な部分の積層方向に沿った位置は、折り返し部分325の平行部分に隣接するような位置である(図4(a)参照)。
【0036】
同様に、図5(a)および図5(b)に示すように、カソード側セパレータ320における燃料ガス供給マニホールド162を構成するための開口321に隣接した位置には、折り返し部分322が形成されている。折り返し部分322は、カソード側セパレータ320の材料としての金属板における開口321が形成される位置の部分の少なくとも一部が、開口321の膜電極接合体210側の辺を折り曲げ線として、単セル140の積層方向に沿った内側方向で、かつ、X方向に沿った内側方向に折り返されることにより、形成される。折り返し部分322は、面方向に略垂直な垂直部分と面方向に略平行な平行部分とにより構成されている。折り返し部分322の平行部分の積層方向に沿った位置は、折り返し部分325と同様に、電解質膜212の位置よりわずかにカソード側よりの位置である。折り返し部分322の平行部分と、積層方向に沿って折り返し部分322の平行部分に対向するカソード側セパレータ320の部分と、の間には、内部流路空間350が形成されている(図5(b)参照)。折り返し部分322の垂直部分には、燃料ガス供給マニホールド162と内部流路空間350とを連通するための複数の連通孔326が形成されている。複数の連通孔326は、Y方向に沿って互いに所定の間隔を空けて並んで配置されている。内部流路空間350は、本発明における第2の内部流路空間に相当する。また、燃料ガス側折り返し部分322は、本発明における第2の折り返し部分に相当し、燃料ガス側折り返し部分322に形成された連通孔326は、本発明における第2の連通孔に相当する。
【0037】
積層方向に沿って折り返し部分322の平行部分に対向するカソード側セパレータ320の位置には、アノード側セパレータ310に向かう方向に凸な形状(すなわち内部流路空間350に突出する形状)の凸部324が複数形成されている(図3(a)参照)。複数の凸部324は、Y方向に沿った位置が連通孔326と重ならないように、Y方向に沿って互いに所定間隔を空けて並んで配置されている。各凸部324は、X方向に伸びる略長方形形状の平面を有している。各凸部324の面方向に略平行な部分の積層方向に沿った位置は、折り返し部分322の平行部分に隣接するような位置である(図5(a)参照)。
【0038】
なお、以下の説明では、カソード側セパレータ320における燃料ガス供給マニホールド162を構成するための開口321に隣接する折り返し部分322を、燃料ガス側折り返し部分322とも呼び、カソード側セパレータ320における酸化剤ガス供給マニホールド152を構成するための開口323に隣接する折り返し部分325を、酸化剤ガス側折り返し部分325とも呼ぶ。
【0039】
図5(a)および図5(b)に示すように、燃料ガス側折り返し部分322の平行部分の面方向(X方向)に沿った長さは、積層方向に沿って電解質膜212とは重ならないような長さとなっている。これに対して、図4(a)および図4(b)に示すように、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分の面方向(Y方向)に沿った長さは、積層方向に沿って電解質膜212と重なるような長さとなっている。図3(a)および図3(b)には、単セル140の平面における燃料ガス側折り返し部分322の平行部分および酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分の位置を、ハッチングにより示している。
【0040】
カソード側セパレータ320には、その他に、酸化剤ガス供給マニホールド152の近辺に、アノード側セパレータ310に向かう方向に凸な凸部336が形成されている(図4(a)参照)。凸部336は、酸化剤ガス側折り返し部分325が形成されている部分の内の凸部324に対向する位置に形成されている。凸部336のアノード側セパレータ310側の表面は、酸化剤ガス側折り返し部分325のカソード側セパレータ320側の表面に接触している。また、カソード側セパレータ320には、燃料ガス供給マニホールド162の近辺に、アノード側セパレータ310に向かう方向に凸な凸部327が形成されている(図5(a)および図5(b)参照)。
【0041】
また、図3ないし図5に示すように、カソード側セパレータ320には、開口321の燃料ガス側折り返し部分322が形成されている側以外の三方を囲む位置、および、開口323の酸化剤ガス側折り返し部分325が形成されている側以外の三方を囲む位置に、アノード側セパレータ310に向かう方向に凸な凸部329が形成されている。凸部329の面方向に略平行な部分の積層方向に沿った位置は、折り返し部分322および325の平行部分とほぼ同じ位置である。
【0042】
また、図4(a)および図4(b)に示すように、カソード側セパレータ320のカソード側多孔体流路層230に対向する領域には、複数のディンプル319が形成されている。ディンプル319の積層方向に沿った最外側の位置は、カソード側セパレータ320の他の部分(凸部324や凸部336を除く部分)の位置と同一である。カソード側セパレータ320のカソード側多孔体流路層230に対向する領域の内、ディンプル319が形成されている部分以外の部分は、カソード側多孔体流路層230の表面に接している。
【0043】
図4および図5に示すように、アノード側セパレータ310には、カソード側セパレータ320と同様に、燃料ガス供給マニホールド162を構成する開口311が形成されていると共に、酸化剤ガス供給マニホールド152を構成する開口313が形成されている。また、図5に示すように、アノード側セパレータ310において、カソード側セパレータ320の燃料ガス側折り返し部分322の平行部分に対向する位置および凸部329に対向する位置には、カソード側セパレータ320に向かう方向に凸な凸部312が形成されている。凸部312の面方向に略平行な部分の積層方向に沿った位置は、燃料ガス側折り返し部分322および凸部329の面方向に略平行な部分との間にシールのためのわずかな空間が確保されるような位置である。また、図4に示すように、アノード側セパレータ310において、カソード側セパレータ320の酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分の酸化剤ガス供給マニホールド152に近い部分に対向する位置および凸部329に対向する位置には、カソード側セパレータ320に向かう方向に凸な凸部315が形成されている。凸部315の面方向に略平行な部分の積層方向に沿った位置は、酸化剤ガス側折り返し部分325および凸部329の面方向に略平行な部分との間にシールのためのわずかな空間が確保されるような位置である。なお、図4に示すように、アノード側セパレータ310の酸化剤ガス側折り返し部分325に対向する位置に形成された凸部315の面方向最内側部分の位置は、電解質膜212およびアノード側の各層(アノード214、アノード側拡散層216、アノード側多孔体流路層220)の外縁(端面)から所定の長さL1だけ外側の位置となっている。
【0044】
なお、アノード側セパレータ310には、カソード側セパレータ320のように、折り返し部分322および325は形成されていない。第1実施例におけるカソード側セパレータ320は、本発明における第1のセパレータに相当し、第1実施例におけるアノード側セパレータ310は、本発明における第2のセパレータに相当する。
【0045】
図5(a)および図5(b)に示すように、カソード側セパレータ320の燃料ガス側折り返し部分322の平行部分とアノード側セパレータ310の凸部312との間、および、カソード側セパレータ320の凸部329とアノード側セパレータ310の凸部312との間は、シール材420によりシールされている。また、図4(a)および図4(b)に示すように、カソード側セパレータ320の酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分とアノード側セパレータ310の凸部315との間、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と電解質膜212との間、および、カソード側セパレータ320の凸部329とアノード側セパレータ310の凸部315との間は、シール材420によりシールされている。各シール材は、シール箇所におけるシール機能と短絡防止機能とを発揮する。シール材としては、例えば、接着剤や熱可塑性樹脂が用いられる。各シール材420の積層方向に沿った位置は、略同一となっている。
【0046】
図4(a)および図4(b)に示すように、酸化剤ガス側折り返し部分325には、アノード側セパレータ310に向かう方向へ突出したリブ372が形成されている。リブ372は、電解質膜212およびアノード側の各層(アノード214、アノード側拡散層216、アノード側多孔体流路層220)の外縁(端面)に隣接する位置と、酸化剤ガス側折り返し部分325に対向する凸部315の面方向最内側部分に隣接する位置と、の2箇所に位置するように設けられており、各リブ372は発電モジュール200の平面の長辺に平行な方向(X方向)に沿って伸びている。電解質膜212およびアノード側の各層の外縁に隣接する位置のリブ372の形状は、例えば、電解質膜212等の外縁に近接し積層方向に略平行な垂直板状部分と垂直板状部分の先端から当該外縁から離れる斜め方向に伸びる斜め板状部分とから構成される形状である。また、凸部315に隣接する位置のリブ372の形状は、例えば、凸部315に近接し積層方向に略平行な垂直板状部分と垂直板状部分の先端から凸部315から離れる斜め方向に伸びる斜め板状部分とから構成される形状である。これらのリブ372の存在により、例えば単セル140の製造の際に、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と凸部315との間に配置されたシール材420が面方向内側に向かって移動することが阻止されると共に、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と電解質膜212との間に配置されたシール材420が面方向外側に向かって移動することが阻止される。従って、電解質膜212およびアノード側の各層の外縁と酸化剤ガス側折り返し部分325に対向する凸部315の面方向最内側部分との間には、幅略L1で、発電モジュール200の平面の長辺と平行な方向に伸びる溝型内部流路空間CRが確保される。溝型内部流路空間CRは、酸化剤ガス側折り返し部分325とアノード側セパレータ310とに挟まれた空間である(図5(b)参照)。図2および図3には、単セル140の平面における溝型内部流路空間CRの概略位置を破線で示している。
【0047】
図3ないし図5には、単セル140における燃料ガス供給マニホールド162および酸化剤ガス供給マニホールド152付近の構成を示したが、燃料ガス排出マニホールド164および酸化剤ガス排出マニホールド154付近の構成も同様である。すなわち、単セル140における燃料ガス排出マニホールド164付近には、図5に示した燃料ガス供給マニホールド162付近と同様に、カソード側セパレータ320に燃料ガス排出マニホールド164を構成する開口321が形成されており、当該開口321の隣には金属板の一部が膜電極接合体210の方向に折り返された折り返し部分322が形成されている。折り返し部分322には、折り返し部分322とカソード側セパレータ320との間に形成された内部流路空間350と燃料ガス排出マニホールド164とを連通する連通孔326が形成されている。また、単セル140における酸化剤ガス排出マニホールド154付近には、図4に示した酸化剤ガス供給マニホールド152付近と同様に、カソード側セパレータ320に酸化剤ガス排出マニホールド154を構成する開口323が形成されており、当該開口323の隣には金属板の一部が膜電極接合体210の方向に折り返された折り返し部分325が形成されている。折り返し部分325には、折り返し部分325とカソード側セパレータ320との間に形成された内部流路空間360と酸化剤ガス排出マニホールド154とを連通する連通孔326が形成されている。また、酸化剤ガス排出マニホールド154に隣接して形成された折り返し部分325にも、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と凸部315との間に配置されたシール材420が面方向内側に向かって移動することを阻止すると共に、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と電解質膜212との間に配置されたシール材420が面方向外側に向かって移動することを阻止するためのリブ372が形成されている。従って、酸化剤ガス排出マニホールド154に隣接して形成された折り返し部分325付近にも、電解質膜212およびアノード側の各層の外縁と酸化剤ガス側折り返し部分325に対向する凸部315の面方向最内側部分との間に、幅略L1で、発電モジュール200の平面の長辺と平行な方向に伸びる溝型内部流路空間CRが確保される(図2参照)。
【0048】
図4および図5に示すように、単セル140には、複数の単セル140を積層した際に、図2および図3に示す発電モジュール200および各マニホールド用の開口を面方向に囲むシールラインSLを形成するために、ガスケット500が配置されている。ガスケット500は、射出成形により形成される。ガスケット500は、凸部502を有している。ある単セル140に配置されたガスケット500の凸部502は、複数の単セル140を積層した際に、隣接する他の単セル140のアノード側セパレータ310の凸部312および凸部315の表面に密着してシールラインSLを形成する。単セル140の平面におけるガスケット500および凸部502の配置は、図2および図3に示すシールラインSLが形成されるような配置となっており、図4および図5に示す断面においては、凸部324および凸部329と重なる配置となっている。
【0049】
また、複数の単セル140を積層した際に、ディンプル319の積層方向最外側の表面は、積層方向に沿って隣接する他の単セル140のアノード側セパレータ310の表面に接触する。これにより、2つの単セル140間(すなわち、カソード側セパレータ320と当該カソード側セパレータ320に膜電極接合体210を挟まずに隣接するアノード側セパレータ310との間)には、面方向に沿って連続した空間が形成される。この空間は、図2に示した冷却媒体供給マニホールド172および冷却媒体排出マニホールド174に連通しており、冷却媒体の流路として利用される。
【0050】
図4(a)および図4(b)において矢印で示すように、酸化剤ガス供給マニホールド152に供給された酸化剤ガスとしての空気は、燃料ガス側折り返し部分322に形成された連通孔326を介して内部流路空間360に導かれる。内部流路空間360は、発電モジュール200のカソード側の各層(カソード215、カソード側拡散層217、カソード側多孔体流路層230)の端面に連通している。そのため、内部流路空間360に導かれた酸化剤ガスは、発電モジュール200のカソード側端面に達し、最も内部流路抵抗の小さいカソード側多孔体流路層230内に進入する。その後、酸化剤ガスは、カソード側多孔体流路層230内を排出側に向かって流動しつつカソード側拡散層217およびカソード215に供給される。発電モジュール200において利用されなかった酸化剤ガスは、カソード側多孔体流路層230から酸化剤ガス排出マニホールド154側に形成された内部流路空間360に排出され、酸化剤ガス排出マニホールド154側に形成された連通孔326を介して酸化剤ガス排出マニホールド154に排出される。
【0051】
また、図5(a)および図5(b)において矢印で示すように、燃料ガス供給マニホールド162に供給された燃料ガスとしての水素は、酸化剤ガス側折り返し部分325に形成された連通孔326を介して内部流路空間350に導かれる。ここで、内部流路空間350は、溝型内部流路空間CRに連通している(図3(a)および図5(b)参照)。また、溝型内部流路空間CRは、発電モジュール200のアノード側多孔体流路層220の端面に面している(図4参照)。そのため、内部流路空間350に導かれた燃料ガスは、溝型内部流路空間CR内に進入して溝型内部流路空間CR内を発電モジュール200の平面の長辺と平行な方向(X方向)に沿って拡散しつつアノード側多孔体流路層220内に進入する。その後、燃料ガスは、アノード側多孔体流路層220内を排出側に向かって流動しつつアノード側拡散層216およびアノード214に供給される。発電モジュール200において利用されなかった燃料ガスは、下流側の溝型内部流路空間CR内に排出され、溝型内部流路空間CRを通って燃料ガス排出マニホールド164側に形成された内部流路空間350に導かれ、さらに燃料ガス排出マニホールド164に形成された連通孔326を介して燃料ガス排出マニホールド164に排出される。
【0052】
図2には、単セル140の平面における上述した燃料ガスの流通経路を矢印で示している。図2からもわかるように、本実施例では、溝型内部流路空間CRは、アノード側多孔体流路層220における燃料ガス流れ方向の上流側および下流側の外縁に沿って伸びるように形成されている。そのため、溝型内部流路空間CRは、燃料ガスの均一分配性を向上させる、いわゆるコモンレールとして機能する。
【0053】
図7は、第1実施例における単セル140の製造工程を示すフローチャートである。単セル140の製造工程のステップS110では、カソード側セパレータ320の成形が実行される。図8は、カソード側セパレータ320の成形工程を示すフローチャートである。また、図9は、カソード側セパレータ320の成形工程における各段階でのカソード側セパレータ320の状態を示す説明図である。図9には、成形工程の各段階におけるカソード側セパレータ320の酸化剤ガス供給マニホールド152を構成する開口323付近の部分の状態を示している。
【0054】
カソード側セパレータ320の成形工程のステップS210では、カソード側セパレータ320の材料としての金属板にプレス成形加工が施される。このプレス成形加工では、凸部324が形成される。図10(a)には、カソード側セパレータ320の材料としての金属板がプレス機Pでプレスされ、凸部324が形成された様子を示している。なお、金属板における凸部324が形成されない部分は、内部流路空間360(または内部流路空間350)となる。凸部324は、図9(a)に示すように、金属板における開口323(または開口321)が形成される位置より面方向内側(膜電極接合体210側)の位置に形成される。プレス成形加工では、また、図9(a)に示すように、開口323が形成される位置(すなわち、酸化剤ガス側折り返し部分325となる位置)に、リブ372が形成される。図10(b)には、カソード側セパレータ320の材料としての金属板が別のプレス機Pでプレスされ、リブ372が形成された様子を示している。なお、このプレス成型加工では、凸部324およびリブ372の他に、凸部327や凸部329、凸部336、ディンプル319等も形成される。
【0055】
カソード側セパレータ320の成形工程のステップS220では、カソード側セパレータ320の材料としての金属板に孔空け加工が施され、連通孔326が形成される。連通孔326は、図9(b)に示すように、開口323(または開口321)の折り曲げ線付近に並ぶように、かつ、凸部324と対向しないような位置に、形成される。
【0056】
カソード側セパレータ320の成形工程のステップS230では、カソード側セパレータ320の材料としての金属板に折り曲げ加工が施され、酸化剤ガス側折り返し部分325および燃料ガス側折り返し部分322が形成される。折り曲げ加工では、図9(c)に示すように、金属板に開口323(または開口321)が形成されると共に、開口323が形成される位置の部分の一部が面方向内側に向かって折り曲げられる。これにより、カソード側セパレータ320には、酸化剤ガス供給マニホールド152および酸化剤ガス排出マニホールド154を構成する開口323と燃料ガス供給マニホールド162および燃料ガス排出マニホールド164を構成する開口321とが形成されると共に、酸化剤ガス側折り返し部分325および燃料ガス側折り返し部分322が形成される。
【0057】
単セル140の製造工程(図7)のステップS120では、アノード側セパレータ310の成形が実行される。アノード側セパレータ310の成形では、材料としての金属板にプレス成型加工が施され、開口311および開口313や、凸部312および凸部315が形成される。ステップS130では、カソード側セパレータ320にシール材420が配置される。シール材420は、上述した位置に配置される。ステップS140では、カソード側セパレータ320に発電モジュール200を構成する各層が積層され、さらに、アノード側セパレータ310が積層される。ステップS160では、積層状態で熱圧着による接合が行われ、単セル140の製造が完了する。
【0058】
以上説明したように、第1実施例の燃料電池100では、カソード側セパレータ320に、各マニホールド(燃料ガス供給マニホールド162、燃料ガス排出マニホールド164、酸化剤ガス供給マニホールド152、酸化剤ガス排出マニホールド154)を構成する開口321および開口323が形成されており、アノード側セパレータ310にも、各マニホールドを構成する開口311および開口313が形成されている。また、単セル140内には、カソード側多孔体流路層230の端面に連通する内部流路空間360と、溝型内部流路空間CRに連通する内部流路空間350と、が形成されており、カソード側セパレータ320には、酸化剤ガス供給マニホールド152および酸化剤ガス排出マニホールド154と内部流路空間360とを連通する連通孔326と、燃料ガス供給マニホールド162および燃料ガス排出マニホールド164と内部流路空間350とを連通する連通孔326と、が形成されている。そのため、第1実施例の燃料電池100では、アノード側およびカソード側共に、カソード側セパレータ320の側に形成された流路空間を介して、反応ガスマニホールドと発電モジュール200端面との間で反応ガスのやり取りが行われる。従って、第1実施例の燃料電池100では、セパレータにおける多孔体流路層に対向する面に設けられた供給口および排出口を介してセパレータ内部に設けられた反応ガス流路空間と多孔体流路層との間での反応ガスのやり取りを行う従来の燃料電池と比較して、単セル140の厚さを低減することができる。
【0059】
さらに、第1実施例の燃料電池100では、カソード側セパレータ320の酸化剤ガス側折り返し部分325が、カソード側セパレータ320とアノード側セパレータ310との間をシールするシール材420と溝型内部流路空間CRとの境界の位置に形成され溝型内部流路空間CRに沿って伸びるリブ372を有している。そのため、カソード側セパレータ320とアノード側セパレータ310との間(酸化剤ガス側折り返し部分325と凸部315との間)に配置されたシール材420が面方向内側に向かって移動することが阻止され、アノード側多孔体流路層220における燃料ガス流れ方向の上流側および下流側の外縁に溝型内部流路空間CRが確保される。そのため、第1実施例の燃料電池100では、単セル140の内部に燃料ガスの均一分配性を向上させる、いわゆるコモンレールを形成することができる上、例えば単セル140の外部に同様の溝型内部流路空間を設ける場合と比較して単セル140の厚さを増大させることもない。従って、第1実施例の燃料電池100では、単セル140の厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることができる。
【0060】
なお、第1実施例の燃料電池100では、酸化剤ガス側折り返し部分325に、酸化剤ガス側折り返し部分325と電解質膜212との間をシールするシール材420と溝型内部流路空間CRとの境界の位置にも溝型内部流路空間CRに沿って伸びるリブ372が形成されているため、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と電解質膜212との間に配置されたシール材420が面方向外側に向かって移動することが阻止され、より確実に溝型内部流路空間CRが確保される。また、第1実施例の燃料電池100では、リブ372によってシール材420の移動が阻止されるため、シール材420の使用量を低減することができる。
【0061】
また、第1実施例の燃料電池100では、単セル140の内部にいわゆるコモンレールを形成するために単セル140の表面に段差が設けられることもないため、単セル140製造の際の熱圧着工程用の治具としてワーク側表面に必要最小限の凹凸のみを有する平坦性の高い形状の治具を使用することができ、結果として、製造される単セル140の精度を向上させることができる。
【0062】
また、第1実施例の燃料電池100では、カソード側セパレータ320に、カソード側セパレータ320の材料としての金属板における開口321が形成される位置の部分の少なくとも一部が開口321の膜電極接合体210側の辺を折り曲げ線として膜電極接合体210側に折り返されて形成された折り返し部分322と、金属板における開口323が形成される位置の部分の少なくとも一部が開口323の膜電極接合体210側の辺を折り曲げ線として膜電極接合体210側に折り返されて形成された折り返し部分325と、を有する。そして、内部流路空間360は、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分とカソード側セパレータ320との間に形成され、酸化剤ガス供給マニホールド152および酸化剤ガス排出マニホールド154と内部流路空間360とを連通する連通孔326は、酸化剤ガス側折り返し部分325に形成される。また、内部流路空間350は、燃料ガス側折り返し部分322の平行部分とカソード側セパレータ320との間に形成され、燃料ガス供給マニホールド162および燃料ガス排出マニホールド164と内部流路空間350とを連通する連通孔326は、燃料ガス側折り返し部分322に形成される。そのため、第1実施例の燃料電池100では、カソード側セパレータ320およびアノード側セパレータ310の両方に折り返し部分を形成する場合と比較して加工工程の煩雑化を抑制できると共に、反応ガス導出入部におけるガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を達成することができる。また、第1実施例の燃料電池100では、ガス流路を施した樹脂フレームや樹脂フィルム等の別部品を用いて反応ガス導出入部におけるガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を実現する場合と比較して、部品点数の低減、加工工程の簡易化、コストの低減を図ることができる。
【0063】
また、第1実施例の燃料電池100では、反応ガス導出入部において反応ガスが発電モジュール200の端面を介して導出入されるため、反応ガスを発電モジュール200の積層面(面方向に平行な面)を介して導出入させることによりガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を実現する場合と比較して、電極利用率を向上させることができると共に、ガス溜まりによる排水性能の低下を抑制することができる。さらに、第1実施例の燃料電池100では、ガスケット500のバックアップ機能を電極ではなく金属製のセパレータにもたせることができるため、ガスケット500のバックアップ機能を電極にもたせる場合と比較して、電極の耐久性を向上させることができる。
【0064】
B.第2実施例:
図11は、第2実施例における単セル140aの断面構成を示す説明図である。図11(a)には図3(b)のC1−C1断面を示しており、図11(b)には図3(b)のD1−D1断面を示している。第2実施例の単セル140aの構成は、溝型内部流路空間CR周辺の構成の点で、図4に示した第1実施例の単セル140の構成とは異なっており、その他の点は第1実施例の単セル140の構成と同様である。
【0065】
図11に示すように、第2実施例の単セル140aでは、アノード側多孔体流路層220aの長さが、他のアノード側の各層(アノード214、アノード側拡散層216)の長さよりも略長さL2だけ短くなっている。より詳細には、アノード側多孔体流路層220aの長さは、カソード側の各層の長さと略同一となっている。以下、このアノード側多孔体流路層220aがアノード側拡散層216より短くなっている部分を、アノード側多孔体流路層短縮部分と呼ぶ。
【0066】
図12は、第2実施例のアノード側セパレータ310aにおけるアノード側多孔体流路層短縮部分に対向する領域の形状を概略的に示す説明図である。図11および図12に示すように、アノード側セパレータ310aのアノード側多孔体流路層短縮部分と対向する領域には、リブ386と複数の凸部382,384とが形成されている。リブ386は、発電モジュール200の平面の長辺に平行な方向(X方向)に沿って伸びる連続した凸形状(カソード側セパレータ320側に凸な凸形状)に形成されている。リブ386の位置は、アノード側拡散層216の外縁の位置と略同一である。凸部382,384は、アノード側セパレータ310aにおけるアノード側多孔体流路層短縮部分に離散的に配置され、カソード側セパレータ320側に凸な形状に形成されている。複数の凸部382は、アノード側多孔体流路層220aの外縁近辺に並んで配置されている。また、複数の凸部384は、リブ386のラインと複数の凸部382が配置されたラインとの略中間のラインに沿って並んで配置されている。リブ386および凸部382,384の積層方向に沿った最内側の表面は、アノード側拡散層216の表面に接触している。
【0067】
第2実施例の単セル140aでは、カソード側セパレータ320の酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分とアノード側セパレータ310aの凸部315との間、および、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と電解質膜212との間が、シール材420によりシールされている。
【0068】
第2実施例の単セル140aでは、リブ386の存在により、酸化剤ガス側折り返し部分325の平行部分と凸部315および電解質膜212との間に配置されたシール材420が面方向内側に向かって移動することが阻止される。そのため、従って、酸化剤ガス供給マニホールド152に隣接して形成された折り返し部分325付近には、アノード側多孔体流路層220aの外縁とリブ386との間に、幅略L2で、発電モジュール200の平面の長辺と平行な方向に伸びる溝型内部流路空間CRが確保される。なお、図11には示していないが、酸化剤ガス排出マニホールド154に隣接して形成された折り返し部分325付近にも、同様に、溝型内部流路空間CRが確保される。
【0069】
溝型内部流路空間CRは、カソード側セパレータ320の折り返し部分322の平行部分と、積層方向に沿って折り返し部分322の平行部分に対向するカソード側セパレータ320の部分と、の間に形成された内部流路空間350に連通している(図5参照)。従って、第2実施例の燃料電池100では、第1実施例と同様に、燃料ガス供給マニホールド162に供給された燃料ガスとしての水素は、酸化剤ガス側折り返し部分325に形成された連通孔326を介して内部流路空間350に導かれ、溝型内部流路空間CR内に進入して溝型内部流路空間CR内を発電モジュール200の平面の長辺と平行な方向(X方向)に沿って拡散しつつアノード側多孔体流路層220a内に進入する。なお、燃料ガスは、凸部382と凸部382との間の隙間を介して溝型内部流路空間CRからアノード側多孔体流路層220aへと移動する(図12参照)。その後、燃料ガスは、アノード側多孔体流路層220a内を排出側に向かって流動しつつアノード側拡散層216およびアノード214に供給される。発電モジュール200において利用されなかった燃料ガスは、下流側の溝型内部流路空間CR内に排出され、溝型内部流路空間CRを通って燃料ガス排出マニホールド164側に形成された内部流路空間350に導かれ、さらに燃料ガス排出マニホールド164に形成された連通孔326を介して燃料ガス排出マニホールド164に排出される。
【0070】
以上説明したように、第2実施例の燃料電池100では、アノード側多孔体流路層220aの長さがアノード側拡散層216の長さよりも略長さL2だけ短くなっており、アノード側多孔体流路層短縮部分に溝型内部流路空間CRが形成されている。また、アノード側セパレータ310aにリブ386が形成されているため、カソード側セパレータ320とアノード側セパレータ310aとの間に配置されたシール材420が面方向内側に向かって移動することが阻止される。そのため、アノード側多孔体流路層220aにおける燃料ガス流れ方向の上流側および下流側の外縁に溝型内部流路空間CRが確保される。そのため、第2実施例の燃料電池100では、単セル140aの内部に燃料ガスの均一分配性を向上させる、いわゆるコモンレールを形成することができる上、例えば単セル140aの外部に同様の溝型内部流路空間を設ける場合と比較して単セル140aの厚さを増大させることもない。従って、第2実施例の燃料電池100では、単セル140aの厚さを低減しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることができる。
【0071】
また、第2実施例の燃料電池100では、アノード側多孔体流路層220aの長さがアノード側拡散層216の長さよりも短くなった部分を溝型内部流路空間CRとして利用することができるため、単セル140aのサイズの増大を抑制しつつ反応ガスの均一分配性を向上させることができる。
【0072】
また、第2実施例の燃料電池100では、アノード側セパレータ310aに凸部382,384が形成されているため、アノード側拡散層216が凸部382,384にも支持され、アノード側セパレータ310aとアノード側拡散層216との間に溝型内部流路空間CRが確実に確保される。また、複数の凸部382は、アノード側多孔体流路層220aの外縁近辺に並んで配置されているため、アノード側セパレータ310aにアノード側多孔体流路層220aを配置する際の位置決め基準として使用することができ、単セル140aの製造工程の容易化、精度の向上を図ることができる。
【0073】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0074】
上記各実施例における燃料電池システム10の構成はあくまで一例であり、燃料電池システム10の構成は種々変更可能である。例えば、上記各実施例では、溝型内部流路空間CRがアノード側多孔体流路層220における反応ガス流れ方向の上流側および下流側の外縁に沿って形成されているが、溝型内部流路空間CRがアノード側多孔体流路層220における反応ガス流れ方向の上流側および下流側の一方のみの外縁に沿って形成されているとしてもよい。
【0075】
また、上記各実施例では、燃料電池100を構成する各部の材料を特定しているが、これらの材料に限定されるものではなく、適正な種々の材料を用いることができる。例えば、カソード側多孔体流路層230およびアノード側多孔体流路層220は、金属多孔体を用いて形成されるとしているが、カーボン多孔体といった他の材料を用いて形成されるとしてもよい。
【0076】
また、上記各実施例では、発電モジュール200がアノード側拡散層216およびカソード側拡散層217を含んでいるとしているが、発電モジュール200がアノード側拡散層216およびカソード側拡散層217の一方または両方を含まないものとしてもよい。
【0077】
また、上記各実施例では、カソード側セパレータ320の一部を折り返して燃料ガス側折り返し部分322および酸化剤ガス側折り返し部分325を形成することにより反応ガス導出入部におけるガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を達成しているが、燃料ガス側折り返し部分322および酸化剤ガス側折り返し部分325を形成せず、内部に反応ガス流路空間を施した樹脂フレームや樹脂フィルム等の別部品をセパレータの一部として用いて反応ガス導出入部におけるガス流路の確保とガスシール性の確保との両立を実現するものとしてもよい。この場合にも、樹脂フレームや樹脂フィルム等の別部品に各マニホールドと内部流路空間を連通する連通孔を設けると共に、セパレータ間のシール部と溝型内部流路空間CRとの境界にリブを設ければよい。
【0078】
また、上記各実施例の単セル140において、カソード側とアノード側とを逆にしてもよい。すなわち、上記各実施例の単セル140の構成では、アノード側多孔体流路層220の端面に連通する溝型内部流路空間CRが設けられているが、反対に、カソード側多孔体流路層230の端面に連通する溝型内部流路空間CRが設けられるとしてもよい。
【0079】
また、上記各実施例では、マニホールド(酸化剤ガス供給マニホールド152、燃料ガス供給マニホールド162、酸化剤ガス排出マニホールド154、燃料ガス排出マニホールド164)を構成する開口のすべてに隣接して折り返し部分が形成されているとしているが、一部の開口のみに隣接して折り返し部分が形成されているとしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…燃料電池システム
50…水素タンク
51…シャットバルブ
52…レギュレータ
53…配管
54…排出配管
60…エアポンプ
61…配管
63…排出配管
70…ラジエータ
71…ウォーターポンプ
72…配管
73…配管
100…燃料電池
110…エンドプレート
120…絶縁板
130…集電板
140…単セル
152…酸化剤ガス供給マニホールド
154…酸化剤ガス排出マニホールド
162…燃料ガス供給マニホールド
164…燃料ガス排出マニホールド
172…冷却媒体供給マニホールド
174…冷却媒体排出マニホールド
200…発電モジュール
210…膜電極接合体
212…電解質膜
214…アノード
215…カソード
216…アノード側拡散層
217…カソード側拡散層
220…アノード側多孔体流路層
230…カソード側多孔体流路層
310…アノード側セパレータ
311…開口
312…凸部
313…開口
315…凸部
319…ディンプル
320…カソード側セパレータ
321…開口
322…燃料ガス側折り返し部分
323…開口
324…凸部
325…酸化剤ガス側折り返し部分
326…連通孔
327…凸部
329…凸部
336…凸部
350…内部流路空間
360…内部流路空間
372…リブ
382…凸部
384…凸部
386…リブ
420…シール材
500…ガスケット
502…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
積層された複数の燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの積層方向に略平行であり、各前記燃料電池セルにおいて使用される反応ガスを流通させる複数の反応ガス流路と、を備え、
各前記燃料電池セルは、
電解質膜と前記電解質膜の両面に配置された電極層とを含む膜電極接合体と、
多孔体により形成され、前記膜電極接合体を挟むように配置された一対の多孔体流路層と、
金属板を加工することにより形成され、前記一対の多孔体流路層を挟むように配置された第1および第2のセパレータと、を含み、
前記第1および第2のセパレータは、前記膜電極接合体および前記多孔体流路層に対向する位置より面方向外側の位置に、前記反応ガス流路を構成する開口を有し、
前記第1のセパレータは、前記第1のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路と前記第1のセパレータ側の前記多孔体流路層の端面に連通する第1の内部流路空間とを連通する第1の連通孔と、前記第2のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路と前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層における反応ガス流れ方向上流側および下流側の少なくとも一方の外縁に沿って伸びる溝型内部流路空間に連通する第2の内部流路空間とを連通する第2の連通孔と、を有し、
前記第1および第2のセパレータの少なくとも一方は、前記第1および第2のセパレータ間をシールするシール部と前記溝型内部流路空間との境界の位置に、前記溝型内部流路空間に沿って伸びるリブを有する、燃料電池。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池であって、
前記第1のセパレータは、前記第1のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路を構成する前記開口が形成される位置の少なくとも一部の前記金属板が前記開口の前記膜電極接合体側の辺を折り曲げ線として前記膜電極接合体側に折り返されて形成された第1の折り返し部分と、前記第2のセパレータ側の前記電極層において使用される反応ガス用の前記反応ガス流路を構成する前記開口が形成される位置の少なくとも一部の前記金属板が前記開口の前記膜電極接合体側の辺を折り曲げ線として前記膜電極接合体側に折り返されて形成された第2の折り返し部分と、を有し、
前記第1の内部流路空間は、前記第1の折り返し部分と前記第1のセパレータとの間に形成され、
前記第2の内部流路空間は、前記第2の折り返し部分と前記第1のセパレータとの間に形成され、
前記第1の連通孔は、前記第1の折り返し部分に形成され、
前記第2の連通孔は、前記第2の折り返し部分に形成される、燃料電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池であって、
各前記燃料電池セルは、さらに、
前記第1のセパレータ側および前記第2のセパレータ側のそれぞれにおいて、前記電極層と前記多孔体流路層との間に配置された拡散層を含み、
前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層の長さは、少なくとも前記多孔体流路層における反応ガス流れ方向上流側および下流側の前記外縁の位置において、前記第2のセパレータ側の前記拡散層の長さより短く、
前記溝型内部流路空間は、前記第2のセパレータと前記第2のセパレータ側の前記拡散層との間に形成された空間である、燃料電池。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池であって、
前記第2のセパレータは、前記溝型内部流路空間に対向する部分に、前記膜電極接合体の方向に凸な複数の凸部を有する、燃料電池。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料電池であって、
前記複数の凸部の少なくとも一つは、前記第2のセパレータ側の前記多孔体流路層の外縁近辺に配置されている、燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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