説明

燃焼タービンエンジンの燃焼器に関する装置およびフィルタリングシステム

【課題】大きな有効流れ面積を有し、コスト効率が高く、多様な燃料で動作し、耐久性があるフィルタリングシステムを備える燃焼タービンエンジンの燃焼器を提供すること。
【解決手段】外壁で画定されたチャンバであり、前端付近で外壁を貫通して画定された窓156と後端付近に配置された少なくとも1つの燃料噴射器との間に流路を形成するチャンバと、窓156の少なくとも一部の上に少なくとも2層のスクリーン160および窓156の残りの部分の上に少なくとも1層のスクリーン160を備える多層スクリーンフィルタ160とを含む、燃焼タービンエンジンの燃焼器112。窓156は、前端および前部、ならびに後端および後部を含む。多層スクリーンフィルタ160は、窓156の後部が少なくとも2層のスクリーン160を含み、窓156の前部が、窓156の後部より1層少ないスクリーン160を含むように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、燃焼タービンエンジンの燃焼器の効率、性能および/または動作を改良するための装置およびシステムに関する。より具体的には、しかし限定するものではないが、本出願は、燃焼器内の改良された空気吸入口、空気フィルタおよび/または流れ調整器のための装置およびシステムに関する。(本発明は、以下、発電用燃焼タービンエンジンの燃焼システム内のその好ましい使用法のうちの1つに関して提示されるが、本明細書で説明される発明の使用法は他の種類の燃焼タービンエンジンに適用できるものであり、上記に限定されないことが当業者には理解されることに留意されたい。)
【背景技術】
【0002】
燃焼タービンエンジンが、微小流路燃料噴射器を含む燃焼器を運転できることは、当業者には理解されよう。微小流路燃料噴射器は、一連の小さな流路(channel)を通って燃料/空気の混合気を導入するので、そのように名付けられている。これらの種類の燃料噴射器は、予混合燃料の所望の流れを燃焼室に送出するのに効果的であり、一定の用途において性能上の利点をもたらし、同時に、そのエンジンで燃焼することが可能な燃料の種類に関して柔軟性を与える。しかし、本明細書で「微小流路燃料噴射器」と呼ばれるこの種類の燃料噴射器は、圧縮機が燃焼器に供給する圧縮空気流に含まれる可能性のある小粒子により閉塞しやすい。すなわち、微小流路は、大抵の従来の燃料噴射器では問題にならなかったはずの小粒子によって詰まる可能性がある。一般に、そのような目詰まりは、エンジン性能を不十分なものにし、燃料噴射器および燃焼システムに重大な損傷を引き起こす可能性がある。場合によっては、閉塞のために、実際に火炎が燃焼室から燃料噴射器内に移動し、それにより噴射器が損傷することがある。
【0003】
その結果、微小流路噴射器を含む燃焼器は、一般に、微小流路を塞ぐ可能性のある粒子を取り除くために、噴射器の上流にフィルタを提供する。このフィルタは、一般に、蓋組立体を貫通して形成される開口すなわち「窓」の上に配置されたスクリーンからなることが理解されよう。捕捉しなければならない粒子の寸法は小さいので、スクリーンは、微細メッシュを持たなければならない。当然ながら、このことは、スクリーンが大きな閉塞率を有すること、すなわち、スクリーンのメッシュが、燃焼器に入る空気が通って流れなければならない窓面積の大部分を塞ぐことを意味する。これらの種類のフィルタリングの用途で使用されるスクリーンでは、50%以上の閉塞率が一般的である。加えて、蓋組立体内の窓は、寸法が限定される。蓋組立体は、基本的に、エンドカバーと接続されるところから後方に、片持ち梁式で支えられるので、蓋組立体のこの前部分が、蓋組立体の後部分を構造的に支持することが理解されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3871844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの不可避な設計上の制約、すなわちスクリーンの微細メッシュと限定された窓面積、との組合せは、そこを通過しなければならない空気の供給を考えると、制約的な有効流れ面積をもたらす。すなわち、以下により詳細に説明するように、一般に、窓の上に直接置かれた微細メッシュのスクリーンを含む、従来のスクリーン/窓の構成は、比較的高い圧力降下を引き起こす有効流れ面積をもたらし、これは当然ながら、エンジン性能に悪影響を与える。その結果、燃焼のこの部分に対して、より効果的な構成が必要である。そのような改良は、ユニットに対して必要な構造的支持を依然として維持しながら、蓋組立体の前部分を通る、より大きい有効流れ面積を提供するべきである。加えて、成果を収める改良は、製作および組み付けのコスト効率が高く、稼働中の燃焼タービンにレトロフィットすることができるべきである。任意のそのような改良は、運転において柔軟であるべきである。すなわち、改良は、多様な条件の下で、異なる種類の燃料で機能すべきである。さらに、高められた空力性能特性を与えられながら、耐久性があり、実施においてコスト効率が高いフィルタリングエレメントは、当分野におけるかなりの必要を満たすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本出願は、外壁で画定されたチャンバであり、チャンバの前端付近で外壁を貫通して画定された窓とチャンバの後端付近に配置された少なくとも1つの燃料噴射器との間に流路を形成するチャンバと、窓の少なくとも一部の上に少なくとも2層のスクリーンおよび窓の残りの部分の上に少なくとも1層のスクリーンを備える多層スクリーンフィルタとを含む燃焼器エンジンを説明する。窓は、前端および前部、ならびに後端および後部を含む。多層スクリーンフィルタは、運転中に窓を通ってチャンバに入る圧縮空気の供給が少なくとも1層のスクリーンを通過するように、窓の上に配置される。多層スクリーンフィルタは、窓の後部が少なくとも2層のスクリーンを含み、窓の前部が、窓の後部より1層少ないスクリーンを含むように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、多層スクリーンフィルタは、窓の後部が2層のスクリーンを含み、窓の前部が1層のスクリーンを含み、窓の前部が窓の軸長のほぼ半分の長さを含み、窓の後部が残りの長さを含むように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、窓は、前部と後部との間に位置する中間部を含む。多層スクリーンフィルタは、窓の後部が少なくとも3層のスクリーンを含み、窓の中間部が窓の後部より1層少ないスクリーンを含むように構成される。窓の前部は、窓の中間部より1層少ないスクリーンを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、窓の前部が、窓の軸長のほぼ1/3の長さを含み、窓の中間部が窓の軸長のほぼ1/3の長さを含み、窓の後部が窓の軸長のほぼ1/3の長さを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、スクリーンの層のそれぞれが、ほぼ同じメッシュサイズを含む。いくつかの実施形態では、メッシュサイズは、0.015平方インチ(9.68mm2)以下のサイズを有する開口を備える。いくつかの実施形態では、メッシュサイズは、0.0009〜0.0025平方インチ(0.581〜1.61mm2)の範囲を有する開口を含む。いくつかの実施形態では、メッシュサイズは、微小流路燃料噴射器内の最小の流路の寸法に相当する。いくつかの実施形態では、メッシュサイズは、少なくとも50%の閉塞率に相当する。
【0011】
いくつかの実施形態では、チャンバおよび外壁が、円筒形の蓋組立体を備え、窓が、軸方向に並べられた一対の長辺と円周方向に並べられた一対の短辺とを有する矩形の形状を含み、窓が、円筒形の蓋組立体の外周周りに均等に間隔を空けて置かれ、ストラットが、それぞれ一対の隣接する窓の間に画定され、ストラットおよび窓が、それぞれ円周方向に延びる距離からなる幅と、それぞれ軸方向に延びる距離からなる長さとを有する。いくつかの実施形態では、蓋組立体がエンドカバーと共に構成された第1の接続部から流れスリーブと共に構成された第2の接続部まで後方に延び、燃料噴射器が微小流路燃料噴射器を備え、スクリーンが、微小流路燃料噴射器内の流路の寸法に相当する所定のメッシュサイズを含む。
【0012】
本出願の上記その他の特徴は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を、図面および添付の特許請求の範囲を併せて吟味すれば、明らかとなろう。
【0013】
本発明の上記その他の態様は、以下の本発明の例示的実施形態のより詳細な説明を、添付の図面と併せて入念に読めば、より完全に理解され、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本出願の実施形態を使用できる、例示的タービンエンジンを示す概略図である。
【図2】ガスタービンで使用できる例示的圧縮機の断面図である。
【図3】図1のガスタービンエンジンで使用できる例示的タービンの断面図である。
【図4】本発明が使用できる、図1のガスタービンエンジンで使用されうる例示的燃焼器の断面図である。
【図5】本発明が使用できる例示的燃焼器の透視切断図である。
【図6】従来設計によるスクリーン組立体を含む図5の燃焼器の蓋組立体の透視切断図である。
【図7】図6のスクリーン組立体の拡大図である。
【図8】本出願の例示的実施形態による、スタンドオフを有するスクリーン組立体の透視切断図である。
【図9】本出願の代替実施形態による、スタンドオフを有するスクリーン組立体の透視切断図である。
【図10】本出願の代替実施形態による、蓋組立体の外面に配置されうるスタンドオフの側面図である。
【図11】本出願の代替実施形態による、蓋組立体の外面に配置されうるスタンドオフの側面図である。
【図12】本出願の代替実施形態による、蓋組立体の外面に配置されうる離散的スタンドオフの側面図である。
【図13】本出願の例示的実施形態による離散的スタンドオフの断面図である。
【図14】本出願の代替実施形態による離散的スタンドオフの断面図である。
【図15】本出願の代替実施形態による、蓋組立体の外面に組み合わされうるスタンドオフストリップおよび離散的スタンドオフの側面図である。
【図16】本出願の代替実施形態による、スタンドオフを有する層状スクリーン組立体の透視切断図である。
【図17】本出願の代替実施形態による、スタンドオフを有する層状スクリーン組立体の透視切断図である。
【図18】本出願の代替実施形態による、スタンドオフを有する層状スクリーン組立体の透視切断図である。
【図19】本出願の代替実施形態による、スタンドオフを持たない一用途の層状スクリーン組立体の透視切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述され、以下で述べるように、本発明は、燃焼タービンエンジンの燃焼システムにおける好ましい使用法のうちの1つに関連して提示される。以後、本発明は、主として、この使用法に関して説明されるが、この説明は単なる例であって、具体的に限定されない限り、限定されるものではない。本発明の使用法が、数種類の燃焼タービンエンジンに適用されうることは、当業者には理解されよう。
【0016】
次に図を参照すると、図1は、本発明の実施形態が使用できるガスタービンエンジン100の概略図を示す。一般に、ガスタービンエンジンは、圧縮空気流の中で燃料が燃焼することによって生成される高温ガスの圧力流からエネルギーを抽出することによって動作する。図1に示すように、ガスタービンエンジン100は、共通のシャフトすなわちロータで下流のタービン部すなわちタービン110に機械的に連結された軸流圧縮機106と、図示のように、圧縮機106とタービン110との間に配置されたキャン燃焼器(can combustor)である燃焼システム112とを用いて構成されうる。
【0017】
図2は、ガスタービンエンジン100で使用されうる軸流圧縮機106の図を示す。図示のように、圧縮機106は、複数の段を含むことができる。各段は、一列に並んだ圧縮機のロータブレード120と、それに続く一列に並んだ圧縮機のステータブレード122とを含むことができる。その結果、第1の段は、中心シャフト周りに回転する一列に並んだ圧縮機のロータブレード120と、それに続く、運転中に静止したままの一列に並んだ圧縮機のステータブレード122とを含むことができる。一般に、圧縮機のステータブレード122は、円周方向に互いに間隔を空けて置かれ、回転軸周りに固定される。圧縮機のロータブレード120は、ロータ軸周りに円周方向に間隔を空けて置かれ、運転中にシャフト周りに回転する。当業者には理解されるように、圧縮機のロータブレード120は、シャフト周りに回転するときに、圧縮機106を通って流れる空気または作動流体に運動エネルギーを与えるように構成される。当業者には理解されるように、圧縮機106は、図2に示す段以降に、多くの他の段を有してよい。付加的な段のそれぞれが、複数の、円周方向に間隔を空けて置かれた圧縮機のロータブレード120と、それに続く複数の、円周方向に間隔を空けて置かれた圧縮機のステータブレード122とを含むことができる。
【0018】
図3は、ガスタービンエンジン100で使用されうる例示的タービン部すなわちタービン110の部分図を示す。タービン110は、複数の段を含むことができる。3つの例示的な段を示すが、より多いかまたはより少ない段が、タービン110に存在してよい。第1の段は、運転中にシャフト周りに回転する複数のタービンバケットすなわちタービンのロータブレード126と、運転中に静止したままの複数のノズルまたはタービンのステータブレード128とを含む。一般に、タービンのステータブレード128は、互いに円周方向に間隔を空けて置かれ、回転軸周りに固定される。タービンのロータブレード126は、シャフト(図示せず)周りに回転するために、タービンホイール(図示せず)に取り付けられうる。タービン110の第2の段が、同様に示される。第2の段は、同様に、円周方向に間隔を空けて置かれた複数のタービンのステータブレード128と、それに続く、回転用のタービンホイールに同様に取り付けられた、円周方向に間隔を空けて置かれた複数のタービンのロータブレード126とを含むことができる。第3の段が同様に示され、円周方向に間隔を空けて置かれた複数のタービンのステータブレード128とタービンのロータブレード126とを同様に含む。タービンのステータブレード128およびタービンのロータブレード126は、タービン110の高温ガスの通路の中に位置することが理解されよう。高温ガスの通路を通る高温ガスの流れの方向を、矢印で示す。当業者には理解されるように、タービン110は、図3に示す段以降に、多くの他の段を有してよい。付加的な段のそれぞれが、円周方向に間隔を空けて置かれた複数のタービンのステータブレード128と、それに続く、円周方向に間隔を空けて置かれた複数のタービンのロータブレード126とを含むことができる。
【0019】
上述の性質のガスタービンエンジンは、以下のように動作することができる。軸流圧縮機106内の圧縮機のロータブレード120の回転で、空気流が圧縮される。燃焼器112では、以下により詳細に説明するように、圧縮空気が燃料と混合され、点火されたときに、エネルギーが放出される。結果としてもたらされる燃焼器112からの高温ガス流は、次いでタービンのロータブレード126の上に誘導され、そのことが、シャフト周りのタービンのロータブレード126の回転を誘起し、その結果、高温のガス流のエネルギーが回転シャフトの機械的エネルギーに変換される。シャフトの機械的エネルギーは、次いで、圧縮機のロータブレード120の回転を駆動するために使用されてよく、それにより、必要な圧縮空気の供給が生成され、また同様に、例えば発電機が電気を生成する。
【0020】
さらに進む前に、本発明を明確に伝達するために、タービンエンジンおよび関連システム、とりわけ燃焼器システムの一定の部品もしくは機械要素に言及し、説明する専門用語を選択することが必要となろうことが理解されよう。可能であれば常に、産業界の専門用語が、その容認されている意味と同じ形で使用され採用されるであろう。しかし、任意のそのような専門用語は、広い意味が与えられ、本明細書が狙いとする意味および添付の特許請求の範囲が、不当に限定されるように狭く解釈されるものではないことが意図される。多くの場合、特定の要素がいくつかの異なる用語を使用して言及されてよいことが、当業者には理解されよう。加えて、本明細書で単一部品として説明されてよいものが、別の文脈において、いくつかの要素部品を含んでよく、またいくつかの要素部品からなるように言及されてよく、あるいは、本明細書で複数の要素部品を含むように説明されてよいものが、単一部品として作られてよく、また場合によっては単一部品として言及されてよい。そのため、本明細書で説明する本発明の範囲の理解においては、提供された専門用語および説明だけでなく、本明細書で提供されるような、要素の構造、構成、機能、および/または使用法にも、注意が払われるべきである。
【0021】
加えて、いくつかの記述的用語は、本明細書で規則通りに使用されてよく、そのことは、この時点でこれらの用語を定義するのに有用でありうる。本明細書で使用法を与えられたこれらの用語および定義は、以下の通りである。用語「ロータブレード」は、さらなる特殊性はなく、圧縮機かタービンのいずれかの回転ブレードに言及し、その回転ブレードは、圧縮機のロータブレードおよびタービンのロータブレードの両方を含む。用語「ステータブレード」は、さらなる特殊性はなく、圧縮機かタービンのいずれかの静止ブレードに言及し、その静止ブレードは、圧縮機のステータブレードおよびタービンのステータブレードの両方を含む。用語「ブレード」は、本明細書では、両方の種類のブレードに言及するために使用される。したがって、さらなる特殊性はなく、用語「ブレード」は、圧縮機のロータブレード、圧縮機のステータブレード、タービンのロータブレード、およびタービンのステータブレードを含めて、すべての種類のタービンエンジンブレードを包含する。
【0022】
さらに、本明細書で使用されるように、「前の」および「後ろの」は、タービンエンジン100の前端にあると表現される圧縮機106、およびタービンエンジン100の後端にあると表現されるタービン部110、の位置に対する方向を示す。したがって、「前の」は、圧縮機106に向かう方向を示し、一方「後ろの」は、タービン部110に向かう方向を示す。用語「上流の」および「下流の」は、タービンエンジン100を通る作動流体の流れに対する方向を示し、圧縮機106またはタービン110の内部で方向を説明するために使用される場合に、それぞれ、「前の」および「後ろの」と同じ意味で使用されることが多い。しかし、燃焼器112では、作動流体が前方および後方の両方向に流れることが理解されよう。すなわち、圧縮機106からの圧縮空気の供給は、一般に、燃焼器112に入り、狭い環帯(annulus)内を前方に(すなわち、圧縮機に向かって)流れる。次いで、この流れは、圧縮空気が蓋組立体の中に誘導されるときに反対方向に向けられ、燃焼器106の燃料噴射器に向かって移動する。そのため、用語「下流の」および「上流の」は、燃焼器の動作の説明と併せて使用されるので、流れの方向に言及し、作動流体がエンジンの圧縮機に向かうかタービン部に向かうかについては無関係である。
【0023】
また、用語「半径方向の」、「軸方向の」および「円周方向の」は、燃焼器が通常、円筒形の形状を有するため、本明細書で使用されうる。用語「半径方向の」は、軸に垂直な運動または位置に言及し、多くの場合「キャン(can)」燃焼器と呼ばれる円筒形の燃焼器に関して、円筒形の形状の中心軸に垂直な運動または位置に言及する。また多くの場合、その用語は、中心軸に関して半径方向の、異なる位置にある部品を説明するために必要とされる。この場合は、第1の要素が第2の要素よりも軸の近くにあるならば、本明細書では、第1の要素は第2の要素の「半径方向内側に」または「中心線寄りに」あると記述されてよい。一方、第1の要素が第2の要素よりも軸から遠くにあるならば、本明細書では、第1の要素は第2の要素の「半径方向外側に」または「中心線の外側寄りに」あると記述されてよい。用語「軸方向の」は、軸に平行な運動または位置に言及する。最後に、用語「円周方向の」は、軸周りの運動または位置に言及する。
【0024】
図4および図5は、本発明の実施形態が使用されうるガスタービンエンジンで使用されうる例示的燃焼器130を示す。当業者には理解されるように、燃焼器130は、必要な空気および燃料を燃焼器に供給する種々のマニホールドを一般的に含むヘッドエンド(headend)134と、エンドカバー136とを含むことができる。複数の燃料配管137は、エンドカバー136を貫通して、前ケース(forward case)すなわち蓋組立体140の後端に配置された燃料ノズルすなわち燃料噴射器138まで延びることができる。蓋組立体140は、一般に形状が円筒形であり、前端でエンドカバー136に固定されることが理解されよう。
【0025】
一般に、燃料噴射器138は、燃焼のために燃料と空気の混合気を集合させる。燃料は、例えば天然ガスであってよく、空気は、圧縮機から供給された圧縮空気(その流れが図4にいくつかの矢印で示される)であってよい。当業者には理解されるように、燃料噴射器138の下流は、燃焼が発生する燃焼チャンバ141である。燃焼チャンバ141は、一般に、流れスリーブ(flow sleeve)144内に囲まれるライナ146で画定される。流れスリーブ144とライナ146との間に、環帯が形成される。ライナ146から、流れがタービン部(図4に示さず)に向かって下流に移動するにつれて、遷移部片(transition piece)148は、ライナの円形断面から環状断面に流れを遷移させる。遷移部片の衝突スリーブ150(以後、「衝突スリーブ150」)は、遷移部片148を包含することができ、同様に、衝突スリーブ150と遷移部片148との間に環帯が生成される。遷移部片148の下流端において、遷移部片の後フレーム152は、作動流体の流れを、タービン110の第1の段の中に配置されたエーロフォイル(airfoil)に向けて誘導することができる。流れスリーブ144および衝突スリーブ150は、典型的には、そこを通して形成され、圧縮機106からの圧縮空気の衝突する流れが流れスリーブ144とライナ146との間および衝突スリーブ150と遷移部片148との間に形成される空洞に入ることを可能にする、衝突アパチャ(図4に示さず)を有することが理解されよう。衝突アパチャを通る圧縮空気の流れは、ライナ146の外側の表面および遷移部片148を、対流によって冷却する。
【0026】
図5に示すように、蓋組立体140は、圧縮空気の供給がそこを通して蓋組立体140の内部に入る、一連の開口すなわち窓156を含んでよい。窓156は、図示のように、軸方向に並べられた一対の長辺と円周方向に並べられた一対の短辺とを有する矩形の、ほぼ矩形の形状であってよい。窓156は、円筒形の蓋組立体の外周の周りに間隔を空けて、互いに平行に配列されてよい。この配置において、ストラット(strut)158が、窓156それぞれの間に画定され、運転中に蓋組立体の構造を支持することが理解されよう。局部的な応力集中を防止するために、窓156の矩形の形状は、図示のように、丸められた、またはフィレットを付けられた隅を有してよい。
【0027】
燃料噴射器138は、微小流路燃料噴射器を備えることができる。微小流路燃料噴射器は、複数の小さな流路すなわち微小流路を通して燃料/空気の混合気を導入するので、そのように名付けられる。本明細書で使用するように、「微小流路」は、0.05平方インチ(0.323cm2)以下の流路断面積(cross−sectional flow area)を有する流路を含む。この種類の流路構成は、予混合燃料および空気の所望の流れを燃焼チャンバ141に送出するのに効果的である。当業者には理解されるように、この種類の流路構成は、一定の用途において性能上の利点をもたらし、同時に、エンジンが燃焼可能な燃料の種類に関してより大きな柔軟性を与える。しかし、この種類の燃料噴射器は、一般に、圧縮機で供給される圧縮空気流に含まれる可能性のある小粒子が引き起こす閉塞を発生しやすい。微小流路は、大抵の従来の燃料噴射器(すなわち、微小流路を使用しない燃料噴射器)には問題にならなかったであろうほどの小さな粒子によって、詰まる可能性がある。一般に、そのような目詰まりは、エンジン性能を不十分なものにし、燃料噴射器および燃焼システムに重大な損傷を引き起こす可能性がある。その結果、微小流路噴射器を含む燃焼器は、通常、損傷を与える可能性のある粒子を取り除くために、噴射器の上流にフィルタを設ける。図6〜図7に示すように、広く使用されている1種類のフィルタは、窓156の上に配置されたスクリーンフィルタすなわちスクリーン160である。この種類のフィルタは、良好に機能し、製造および組み付けに対してコスト効率が高いので、使用される。
【0028】
当業者には容易に理解されるように、蓋組立体140の構造的要件を考慮すると、窓156の寸法は制限される。このことは、蓋組立体140の前部分が、蓋組立体140の後部分を支えなければならないためである。というのは、蓋組立体140は、基本的に、エンドカバー136と接続されるところから後方に、片持ち梁式で支えられるからである。そのため、一般に、図5〜図7に示すように、一連のストラット158が隣接する窓156の間に維持され、それにより、構造は適切に指示される。典型的には、ストラット158は、要求される支持を提供するために、十分な円周方向の幅を有して設計されなければならない。ストラット158の寸法は縮小されてよいが、その縮小は、蓋組立体140を、より高価な材料、より複雑な構造形状、またはより高価な製造方法のいずれかを用いて構築することが必要となり、一般に、高コストを来す。その結果、典型的には、図6に示すように、ストラット158の幅(すなわち、ストラット158が円周方向に延びる距離)は、窓156の幅(すなわち、窓156が円周方向に延びる距離)とほぼ同じである。加えて、同様に、窓156の長さ(すなわち、窓156が軸方向に延びる距離)が、構造的な配慮のために、さらに制限される。
【0029】
これらの不可避な設計上の制約、すなわちスクリーン160の微細メッシュと限定された窓156の面積との組合せは、窓を通過しなければならない空気の供給を考えると、過度に制約的な、窓を通る有効流れ面積をもたらす。加えて、従来のスクリーン160/窓156の構成は、蓋組立体の窓156の外面に対して実質的に同一平面上に、スクリーン160を配置する。蓋組立体140の外面が、スクリーン160を支持する(すなわち、スクリーン160は、全体的に、窓156にわたって広げられ、蓋組立体140の外面の上に直接置かれ、蓋組立体140の外面で支持される)。図7に最も明確に示す、従来のスクリーン配置は、過度に限定的な流れ面積の問題を緩和するために、何も実施しない。したがって、使用上、従来の組立体は、多くの場合、窓156を横切って比較的高い圧力降下で動作し、そのことは、当然ながら、寄生的な効率損失をもたらす。
【0030】
使用に当たって、図4〜図7の燃焼器130は、一般に、以下のように動作する。圧縮機106からの圧縮空気の供給は、流れスリーブ144/ライナ146および/または遷移部片148/衝突スリーブ150で画定される環状空洞内に誘導されうる。次いで、圧縮空気は、蓋組立体140を貫通して形成された窓156に到達するまで、全体的に前方に(すなわち、圧縮機に向かって)移動し、その途上でライナ146の外面および遷移部片148を冷却する。次いで、圧縮空気は、窓156を通って流れ、窓156の上に置かれたスクリーン160で濾過される。流れの向きを反転させて、圧縮空気は蓋組立体140に入り、蓋組立体140の後端に配置された燃料噴射器138に向かって流れる。次いで、圧縮空気は、燃料噴射器138の微小流路に流入する。燃料噴射器138において、一般に、圧縮空気の供給は、(燃料配管137を介して)エンドカバー136を通って燃料噴射器138に接続する燃料マニホールドで供給される燃料の供給と混合されうる。より具体的には、燃料および圧縮空気の流れが、燃料噴射器138の後ろ側から出現するときに混合され、燃焼チャンバ141内で燃焼される。燃焼は、ライナ146および遷移部片148を通ってタービン110まで、下流に向かって誘導される、急速に移動し極めて高温のガスの流れを生成し、高温のガスのエネルギーが、回転するタービンブレードの機械的エネルギーに変換される。
【0031】
図8は、本出願の例示的一実施形態による、蓋組立体140の外面および窓156に対して間隔を空けて、スタンドオフ163で支持されたスクリーン160を含む蓋組立体140を示す。スタンドオフ163は、蓋組立体140の外面のレベルから隆起し、それにより、蓋組立体140の外面のレベルに対して隆起した位置にスクリーン160を支持する、一構造または複数の構造を備える。(スタンドオフ163を示すいくつかの図は、縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。)一実施形態では、図8に示すように、スタンドオフ163は、蓋組立体140の外壁の外面の周りに円周方向に延びる矩形のストリップを備えてよい。スタンドオフ163は、蓋組立体140の外面から隆起した位置にスクリーン160を支持する。好ましい一実施形態では、スタンドオフ163は、図示のように、窓156の前端の直前に置かれた前スタンドオフ163aと、窓156の後端の直後に置かれた後スタンドオフ163bとを含んでよい。
【0032】
図9は、本出願の代替実施形態による、スタンドオフ163に沿って、代案として構成された窓156を含む蓋組立体140を示す。図示のように、各窓156は、その軸長に沿って中断され、それにより、それぞれの円周方向の位置で、前窓156aおよび後窓156bを形作るように形成される。このことは、ある用途に必要となりうる、蓋組立体140に対する構造的利点を提供するであろうことが理解されよう。このような方法で形成された窓156によって、中央スタンドオフ163cが、図示のように、前窓156aと後窓156bとの間に追加されうる。この追加の中央スタンドオフストリップ163cを有することで、このスクリーン160の剛性、窓156の軸長、または他の関連する規準にしたがって必要となりうる、スクリーン160に対する付加的な支持が提供されることが理解されよう。
【0033】
図10および図11は、本出願の代替実施形態による、蓋組立体140の外面に配置されうるようなスタンドオフ163の側面図を提供する。図10に示すように、代替の一実施形態では、スタンドオフ163は、ストラット158上に配置された軸方向に延びるスタンドオフストリップ163dを含むことができる。これらの軸方向のスタンドオフ163dは、前スタンドオフ163aから後スタンドオフ163bまで延びてよい。この構成が、用途、スクリーン160の種類、または他の関連する規準にしたがって再び必要となりうる、スクリーン160に対する付加的な支持を提供する。軸方向のスタンドオフ163dが、ストラット158のほぼ中央に配置されてよいことが、同様に理解されよう。この位置決めが、スタンドオフ163の縁部と窓156の縁部との間にバッファ165を提供または生成する。以下により詳細に説明するように、このバッファ165は、空気がスクリーン160と蓋組立体140との間の空間に入る面積(したがって、窓156に流入することができる空気の量)を増すことによって、スタンドオフ163の性能を高める。図11は、別の代替実施形態を示す。この例では、軸方向に延びるスタンドオフ163dは、前スタンドオフ163aから後スタンドオフ163bまで連続して延びない。代わりに、軸方向に延びるスタンドオフ163dは、間欠的に延びる。この種類の実施形態は、スクリーン160に対する付加的な支持を提供すると同時に、以下により詳細に説明するように、スクリーン160と蓋組立体140との間の空間への流れが発生するために、増加した面積が提供されることが理解されよう。図10および図11に示す例示的構成以外の他の構成が可能であることが理解されよう。
【0034】
図12および図13は、本出願によるスタンドオフの代替実施形態を提供する。図12は、この種類の実施形態において、蓋組立体140の外面に使用され、配置されうる、離散的スタンドオフ163eの側面図である。図13は、好ましい実施形態による離散的スタンドオフ163の断面図であり、一方、図14は、好ましい代替実施形態による離散的スタンドオフ163の断面図である。図示のように、上述の実施形態のストリップとは違って、離散的スタンドオフ163eは、寸法がより小さく、数がより多く、互いに離隔している。図示のように、離散的スタンドオフ163eは、横から見たときに(すなわち、図12に示すように)、円形の形状であってよい。他の形状もまた、可能である。図13および図14に示すように、離散的スタンドオフ163eは、異なる断面形状を取ることができる。図13は、形が丸く、そのほぼ中心付近に最も高い部分を有するとがった、またはくぼんだプロファイルを有する、くぼんだ離散的スタンドオフ163eを示す。図14は、理解されるように、矩形のプロファイルと一定の高さとを有する、円筒形の離散的スタンドオフ163eを示す。
【0035】
図13のくぼんだ離散的スタンドオフ163eは、低コスト構造および耐久性において一定の利点を有することができることが理解されよう。例えば、くぼんだスタンドオフ163eは、従来の蓋組立体140の内面を従来の方法で変形させることによって形成されうる。すなわち、蓋組立体140の内面に沿った所定の位置における点位置に、十分な外向きの力を印加することによって、くぼんだスタンドオフ163eが形成されうることは、当業者には理解されよう。この方法では、スタンドオフ163eは、蓋組立体140の一体的に形成された部品であってよく、そのことが、個別で、取り付け式の部片(piece)に伴う欠落(dislodgement)を実質的にゼロにするであろう。図示はしないが、いくつかの実施形態では、蓋組立体140の内面を変形させることによってくぼんだスタンドオフ163eを形成し、同時に、蓋組立体140に外壁を貫通するアパチャを形成することができる。アパチャは、この種類の構造を考慮して、くぼんだスタンドオフ163eのほぼ中央に配置されよう。この方法は、蓋組立体140の外面に(スタンドオフ163の機能として必要な)隆起したディンプル(raised dimple)を提供し、同時に、圧縮空気が蓋組立体140に入るための別の入口点を提供するために使用されうることが理解されよう。図15に示すように、いくつかの実施形態では、スタンドオフストリップ163と離散的スタンドオフ163eとの組合せが、一緒に使用されてよい。一実施形態では、図15に表すように、円周方向のスタンドオフストリップ163a/163bが、スクリーン160の内側に窓を包含するために使用されてよく、離散的スタンドオフ163eが、2つのスタンドオフストリップの間でスクリーン160への支持を提供するために使用されてよい。
【0036】
いくつかの図に示すように、スタンドオフ163は、窓156の縁部とスタンドオフ163の縁部との間にバッファが生成されるように構成される。すなわち、窓156とスタンドオフ163との間の、蓋組立体140の外面に沿って、空間が維持される。使用に当たって、このバッファは、窓156のそれぞれが、窓156の専有面積(footprint)より十分に大きな専有面積からスクリーン160をすでに通過した流れを集めることを可能にする。このことは、スクリーン160が蓋組立体140の外面に対して平坦に置かれる場合は不可能であることが理解されよう。より詳細には、スタンドオフ163は、スクリーン160を高くなった位置で支持し、それにより、圧縮空気の流入を受け入れることができるスクリーン160の面積が増加する。ひとたびスクリーン160の内部に入ると、圧縮空気は、次いで、窓156の妨げるもののない開口を通って流れることができる。この方法では、空気がスクリーンを通過することができる面積を増すことによって、スクリーン160の微細メッシュで引き起こされる重大な閉塞を緩和するために、スタンドオフ163が使用されうることが理解されよう。このことは、より低い寄生的な圧力降下をもたらす一方で、ストラット158が、依然として、構造を適切に指示する幅を有することを可能にする。
【0037】
一般に、スタンドオフ163の高さ(すなわち、スタンドオフ163が蓋組立体140の外面から延びる距離)は、一定の基準にしたがって変化してよい。いくつかの実施形態では、スタンドオフ163の高さは、タービンエンジンの要件、窓156の寸法、スクリーン160のメッシュサイズ、スタンドオフ163の配置、および/または窓156周辺で維持されるバッファ領域の寸法を考慮して、窓156内への必要な空気流が達成されるように設計される。原則として、(上述のように、スクリーン160が蓋組立体140の外面の上で維持される高さを実質的に決定する)スタンドオフ163の高さは、スクリーン160と蓋組立体140の外面との間に生成される流れ空間が、窓156に対するバッファ領域の上に存在するスクリーン160の面積を通過する流れを運ぶのに十分であるように設計される。いくつかの好ましい実施形態では、スタンドオフ163は、約0.032インチ(0.813mm)と0.188インチ(4.775mm)との間の高さを有する(comprise)。より好ましい実施形態では、スタンドオフ163は、約0.062インチ(1.575mm)と0.125インチ(3.175mm)との間の高さを有する。いくつかの実施形態では、スタンドオフ163は、均一のまたは一定の高さを有する。しかし、スタンドオフ163はまた、変化するまたは不均一な高さを有するように設計されてよいことが理解されよう。従来の設計を有する燃焼器をコスト的に効率よく改良するために、本発明が使用されうるという利点を、本発明が提供することが、さらに理解されよう。
【0038】
本出願の別の特徴は、蓋組立体140内への流れ特性を高める性能をもたらすために、複数のスクリーン160を積層することである。一般に、窓156に流入する空気の速度は、入口の軸方向の位置に応じて変わることが理解されよう。後の位置で、すなわち、窓156の後端に近い位置で、窓156に入る圧縮空気は、より速い速度を有する傾向があり、蓋組立体140に入る際に燃料噴射器138に向かって不可避の180°旋回を行うときに、幾分かの流れを蓋組立体140の内部領域に深く流入させる、大きな旋回半径の円弧を形成し、それにより、比較的大きな剥離バブルを生成する。一方で、より前の位置で、すなわち、窓156の前端に近い位置で、窓156に入る圧縮空気は、低減された速度を有する傾向があり、蓋組立体140に入る際に燃料噴射器138に向かって不可避の180°旋回を行うときに、大部分の流れが蓋組立体140の周辺に沿ったままであるような、より小さな旋回半径の円弧を形成する。この流れの反転および燃料噴射器に向かう空気の移動に際して、速度がより低く、旋回半径がより小さい空気が、速度がより速く、旋回半径がより大きい空気と衝突することが理解されよう。この普通にもたらされる流れパターンが、付加的な抵抗、乱流、および空力的損失を引き起こす。例えば、流れが衝突するこの2層領域では、窓の燃料ノズルに最も近い部分にある空気の速度が低減される。
【0039】
本発明の実施形態によれば、これらの空力的損失は、多層スクリーンフィルタ(すなわち、フィルタの少なくとも一部に少なくとも2層重ねられたスクリーンを含むスクリーンフィルタ)を提供することによって回避されうる。いくつかの実施形態では、多層スクリーンフィルタは、窓156の後端付近に少なくとも2層のスクリーン160を含み、一方で、窓156の前端は、1層だけのスクリーン160で覆われたままとする。以下により詳細に論じるように、他の構成が可能である。他の実施形態では、スクリーン160の追加層(すなわち、後2層/前1層のスクリーン160に追加する層)が提供されてよい。これらの場合では、窓156の後端に対して、窓156の前端は、少ない数のスクリーン層160で覆われることが理解されよう。運転中、スクリーン160の追加層は、窓156の軸長に沿って窓156に入る圧縮空気の速度の変化、ならびに流れの向きが反転するときに流れが作る、圧縮空気の旋回半径の変化を増大する。より具体的には、窓156の後端を覆うスクリーン160の追加層は、より大きな閉塞または抵抗をもたらし、それにより、窓156の後領域を通る圧縮空気の流れを遅くし、そのことが、流れが燃料噴射器138に向かって旋回するときに作る円弧を小さくする。このようにして、窓156の後区域への圧縮空気の流れおよび窓156の前区域への圧縮空気の流れが均質化され、それにより、上述の付随する空力的損失を受けることなく1つにまとめられうる。
【0040】
図16に示すように、2層のスクリーン160が、本発明の例示的一実施形態によれば使用されうる。第1のスクリーン160aが、スクリーン164が上述の実施形態にて配置されたのとほぼ同じ方法で、配置されうる。すなわち、第1のスクリーン160aは、前スタンドオフ163aから後スタンドオフ163bまで延びる。第2のスクリーン160bが、図示のように、第1のスクリーン160aの上に配置されうる。好ましい一実施形態では、第2のスクリーン160bは、後スタンドオフ163bから窓156のほぼ中央の軸方向位置まで延びる。代替実施形態(図示せず)では、第2のスクリーン160bが中心線寄りの位置を占め、一方、第1のスクリーン160aが中心線の外側寄りの位置を占めてよいことが理解されよう。
【0041】
図17は、3つのスクリーン層が使用される代替の一実施形態を示す。第1のスクリーン160aは、前スタンドオフ163aから後スタンドオフ163bまで延びてよい。第2のスクリーン160bは、図示のように、第1のスクリーン160aの上に置かれ、後スタンドオフ163bから、窓156の軸長のほぼ2/3を覆うように延びてよい。第3のスクリーン160cが、図示のように、第2のスクリーン160bの上に置かれ、後スタンドオフ163bから、窓156の軸長のほぼ1/3を覆うように延びてよい。
【0042】
図18は、2つのスクリーン層が、窓156が後窓156bおよび前窓156aを含む窓構成と共に使用される、代替の一実施形態を示す。図示のように、第1のスクリーン160aは、前スタンドオフ163aから後スタンドオフ163bまで延びてよい。第2のスクリーン160bは、図示のように、第1のスクリーン160aの上に置かれ、後スタンドオフ163bから、窓156の間に配置されたスタンドオフ163まで延びてよい。
【0043】
図19は、スタンドオフ163のない層状スクリーン160を含む一実施形態を示す。層状スクリーンを使用することで、スタンドオフ163の使用と関係なく、性能向上がもたらされることは、当業者には理解されよう。すなわち、空力的損失の低減に関する性能上の利点は、本出願によるスタンドオフ163が使用されてもされなくても、達成されうる。
【0044】
一般に、スクリーン160は、燃焼器内の環境を考慮して、適切な材料で構築される。例えば、スクリーンは、ステンレス鋼、ニッケルベースのワイヤ、穿孔されたシート材(sheet stock)、または任意の他の適切な材料で構築されてよい。一般に、捕捉されるべき粒子の寸法は小さいため、スクリーン160は、極めて微細なメッシュを持たなければならない。好ましい実施形態では、スクリーンのメッシュサイズは、0.015平方インチ(9.68mm2)以下の開口を有する。より好ましくは、本出願によるスクリーンのメッシュサイズは、約0.0006〜0.015平方インチ(0.387〜9.68mm2)の範囲内である。理想的には、スクリーンのメッシュサイズは、約0.0009〜0.0025平方インチ(0.581〜1.61mm2)の範囲内である。本出願による他の実施形態では、メッシュサイズは、微小流路燃料噴射器138内の最小開口の寸法に対して構成されてよい。これらの場合は、一般に、メッシュサイズは、燃料噴射器を通る小さな開口より小さくなるように構成されてよい。上述のように、メッシュサイズが微細であることにより、スクリーン160が窓156のかなりの部分を塞ぐ、すなわち、スクリーンの微細なメッシュが、燃焼器に入る空気が流れる必要のある窓面積の大部分を塞ぐことになる。これらの種類のフィルタリング用途で使用されるスクリーン160では、50%以上の閉塞率が、一般的である。いくつかの実施形態では、スタンドオフ163は、少なくとも40%の閉塞率を有するスクリーン160と共に使用されるときに実効を現す。好ましい実施形態では、スタンドオフ163は、少なくとも50%の閉塞率を有するスクリーン160と共に使用されるときに実効を現す。スクリーン160は、従来の方法にしたがって、蓋組立体140の外面、またはスタンドオフ163、またはスクリーン160の別の層、に取り付けられてよい。取り付け方法は、例えば、スポット溶接、ろう付け、機械的取り付け、または他の類似の技術を含んでよい。
【0045】
スタンドオフ163は、燃焼器内の厳しい条件に耐えうる材料で構築されてよい。ある好ましい実施形態では、スタンドオフ163は、以下の材料、すなわち、ステンレス鋼、炭素鋼、またはニッケル基合金で構築される。他の材料もまた、可能である。スタンドオフ163は、蓋組立体140の外面、または従来の方法によるスクリーン160に取り付けられてよい。取り付け方法は、例えば、ろう付け、溶接、機械的取り付け、または他の類似の技術を含んでよい。
【0046】
上述の、本発明の好ましい実施形態から、当業者は、改良形態、変更形態および改変形態を読み取るであろう。当業者の技術内のそのような改良形態、変更形態および改変形態は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。さらに、前述の内容は、説明された本出願の実施形態のみに関すること、および、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義される、本出願の趣旨および範囲を逸脱することなく、多くの変更形態および改変形態が本明細書で作成されうることは、明らかである。
【符号の説明】
【0047】
100 ガスタービンエンジン
106 圧縮機
110 タービン
112 燃焼器
120 圧縮機のロータブレード
122 圧縮機のステータブレード
126 タービンのロータブレード
128 タービンのステータブレード
130 燃焼器
134 ヘッドエンド
136 エンドカバー
137 燃料配管
138 燃料噴射器
140 蓋組立体
141 燃焼チャンバ
144 流れスリーブ
146 ライナ
148 遷移部片
150 衝突スリーブ
152 遷移部片の後フレーム
154 衝突アパチャ
156 窓
156a 前窓
156b 後窓
158 ストラット
160 スクリーン
163 スタンドオフ
163a 前スタンドオフ
163b 後スタンドオフ
163c 中央スタンドオフ
163d 軸方向のスタンドオフ
163e 離散的スタンドオフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼タービンエンジンの燃焼器(112)であって、
外壁で画定されたチャンバであり、チャンバの前端付近で前記外壁を貫通して画定された窓(156)とチャンバの後端付近に配置された少なくとも1つの燃料噴射器との間に流路を形成するチャンバと、
前記窓(156)の少なくとも一部の上に少なくとも2層のスクリーン(160)および前記窓(156)の残りの部分の上に少なくとも1層のスクリーン(160)を備える多層スクリーンフィルタ(160)と、を備え、
前記窓(156)が、前端および前記前端に隣接する前部と、後端および前記後端に隣接する後部とを含み、
多層スクリーンフィルタ(160)が、運転中に前記窓(156)を通って前記チャンバに入る圧縮空気の供給が少なくとも1層のスクリーン(160)を通過するように、前記窓(156)の上に配置され、
前記多層スクリーンフィルタ(160)が、前記窓(156)の前記後部が少なくとも2層のスクリーン(160)を含み、前記窓(156)の前記前部が、前記窓(156)の前記後部より少なくとも1層少ないスクリーン(160)を含むように構成される、燃焼器(112)。
【請求項2】
前記多層スクリーンフィルタ(160)が、前記窓(156)の前記後部が2層のスクリーン(160)を含み、前記窓(156)の前記前部が1層のスクリーン(160)を含むように構成され、
前記窓(156)の前記前部が前記窓(156)の軸長のほぼ半分の長さを含み、前記窓(156)の前記後部が残りの長さを含み、
前記チャンバが蓋組立体(140)を備える、請求項1記載の燃焼器(112)。
【請求項3】
前記窓(156)が前記前部と前記後部との間に位置する中間部を含み、
前記多層スクリーンフィルタ(160)が、前記窓(156)の前記後部が少なくとも3層のスクリーン(160)を含み、前記窓(156)の前記中間部が前記窓(156)の前記後部より1層少ないスクリーン(160)を含み、前記窓(156)の前記前部が前記窓(156)の前記中間部より1層少ないスクリーン(160)を含むように構成される、請求項1記載の燃焼器(112)。
【請求項4】
前記窓(156)の前記前部が、前記窓(156)の前記軸長のほぼ1/3の長さを含み、前記窓(156)の前記中間部が前記窓(156)の前記軸長のほぼ1/3の長さを含み、前記窓(156)の前記後部が前記窓(156)の前記軸長のほぼ1/3の長さを含む、請求項3記載の燃焼器(112)。
【請求項5】
前記スクリーン(160)の層のそれぞれが、ほぼ同じメッシュサイズを含む、請求項1記載の燃焼器(112)。
【請求項6】
前記メッシュサイズが、0.015平方インチ(9.68mm2)以下のサイズを有する開口を備える、請求項5記載の燃焼器(112)。
【請求項7】
前記メッシュサイズが、0.0009〜0.0025平方インチ(0.581〜1.61mm2)の間の範囲を有する開口を含む、請求項5記載の燃焼器(112)。
【請求項8】
前記メッシュサイズが、微小流路燃料噴射器内の最小の流路の寸法に相当する、請求項5記載の燃焼器(112)。
【請求項9】
前記メッシュサイズが、少なくとも50%の閉塞率に相当する、請求項5記載の燃焼器(112)。
【請求項10】
前記チャンバおよび前記外壁が円筒形の蓋組立体を備え、
前記窓(156)が、軸方向に並べられた一対の長辺と円周方向に並べられた一対の短辺とを有する矩形の形状を含み、
前記窓(156)が前記円筒形の蓋組立体の外周周りに均等に間隔を空けて置かれ、
ストラット(158)が、それぞれ一対の隣接する窓(156)の間に画定され、前記ストラット(158)および窓(156)が、それぞれ円周方向に延びる距離からなる幅と、それぞれ軸方向に延びる距離からなる長さとを有する、請求項1記載の燃焼器(112)。
【請求項11】
前記蓋組立体がエンドカバーと共に構成された第1の接続部から流れスリーブと共に構成された第2の接続部まで後方に延び、
前記燃料噴射器が微小流路燃料噴射器を備え、
前記スクリーン(160)が、前記微小流路燃料噴射器内の前記流路の前記寸法に相当する所定のメッシュサイズを含む、請求項10記載の燃焼器(112)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−32141(P2012−32141A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−121161(P2011−121161)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)