説明

燃焼バーナ

【課題】加熱対象物である粉体及び/又は液滴を散逸させることなく、火炎領域に十分な時間滞留させて、効率よく着熱させることを可能とする燃焼バーナを提供することである。
【解決手段】本発明の燃焼バーナは、粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給路3と、燃料を供給する燃料供給路2,4とを同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置するように備える燃焼バーナであって、各供給路の先端には噴出口2a、3a、4aがそれぞれ設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼バーナ、主に粉体及び/又は液滴を加熱する燃焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼バーナは、鉄などの金属溶融、ガラス製造、ごみ焼却など多様な用途がある。その燃焼バーナを用いた、金属、ガラス、ごみなどの対象物を加熱する方法として、火炎の輻射や対流で加熱する方法と、火炎を対象物に当てて直接的に加熱する方法がある。
【0003】
直接的に対象物を加熱する方法はエネルギー利用効率もよいため、製鋼用電気炉の冷鉄の加熱などに利用されている(特許文献1)。
【0004】
さらに、加熱したい対象物が粉体あるいは液滴であれば、体積あたりの表面積が大きいため、火炎あるいは火炎付近の高温領域(以下、「火炎領域」という。)を通過させることにより、より効率よく対象物を加熱できることが期待される。実際、粉体あるいは液滴の噴出口を燃焼バーナやその付近に設置し、噴出と同時に火炎領域に直接投入し、加熱する燃焼バーナや燃焼方法が知られている(特許文献2〜5)。
【0005】
また、溶融対象の粉体の噴出口を、支燃性の気体と燃料との混合噴出口で挟み込むことにより、粉体の溶融性を向上させる技術が知られている(特許文献6,7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−39362号公報
【特許文献2】特開2010−37134号公報
【特許文献3】特開2010−196117号公報
【特許文献4】特開2009−92254号公報
【特許文献5】特許第3688944号公報
【特許文献6】特許第2955808号公報
【特許文献7】特開2009−198083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、火炎領域に対象物を投入する従来の燃焼バーナや燃焼方法では、対象物である粉体あるいは液滴が噴出後に散逸するものや火炎領域で十分加熱されないものの割合が高く、エネルギー利用効率がよくなかった。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みて為されたものであり、加熱対象物である粉体及び/又は液滴を散逸させることなく、火炎領域に十分な時間滞留させて、効率よく着熱させることを可能とする多重管の燃焼バーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を行なった結果、バーナ中心軸方向に対して、対象物の噴出口の内側及び外側に挟むように燃料噴出口が配置される構成とすることにより、対象物が噴出するとともに隣接して形成された火炎に包まれ、散逸することなく火炎領域を通過し、効率よく加熱されることを見いだして本発明を完成させた。
また、特許文献6、7のように予混合火炎を用いていないため、対象物と燃料とが一体化した火炎が形成され、火炎領域での対象物の滞留時間が飛躍的に向上することも見いだした。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給路と、燃料を供給する燃料供給路とを同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置するように備える燃焼バーナであって、各供給路の先端には噴出口がそれぞれ設けられていることを特徴とする燃焼バーナである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃焼バーナにおいて、前記最も内側の燃料供給路の内側に配置され、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路を同心状にさらに備えることを特徴とする燃焼バーナである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれかに記載の燃焼バーナにおいて、前記最も外側の燃料供給路の外側に配置され、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路を同心状にさらに備えることを特徴とする燃焼バーナである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃焼バーナにおいて、前記の各供給路の噴出口はバーナ中心軸に対して平行に、又は、バーナ中心軸に対して対象物供給路側に±10°以内に傾斜して形成されていると共に、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられていることを特徴とする燃焼バーナである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃焼バーナにおいて、前記対象物供給路が複数あることを特徴とする燃焼バーナである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の燃焼バーナにおいて、前記対象物供給路が対象物供給源と気体を供給する気体供給源とに接続されていることを特徴とする燃焼バーナである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の燃焼バーナにおいて、前記対象物供給路が対象物供給源と第3の支燃性気体を供給する第3支燃性気体供給源とに接続されていることを特徴とする燃焼バーナである。
【0017】
本発明の対象物である粉体及び/又は液滴とは、加熱を必要とする、粒径が10mm以下の固体、液体、あるいはそれらが組み合わさったものである。粉じん、ミスト、ヒュームと呼ばれるものも含む。例えば、金属やその化合物、セラミック、ゴミ、ガラス、微粉炭、固体燃料、小麦粉などの食料粉、それらが溶融したもの、水、水溶液、有機溶媒、液体燃料、それらが固化したもの、それらの原料粉あるいは原料液滴、それらの生成物、あるいはそれらを複数組み合わせたものを含む。また、加熱により、燃焼、酸化、還元、化学反応、溶融、蒸発、昇華などにより様態が変化するものも含まれる。
【0018】
また、本発明に係る燃焼バーナとは、それらの粉体及び/又は液滴を加熱することを目的とし、燃料を燃焼させて火炎を形成する装置のことである。さらに本発明に係る多重管の燃焼バーナは、バーナ内部に、燃料、支燃性気体、加熱対象物などの供給路を持ち、それらがバーナ中心軸方向から、全体として同心円状に配置されており、バーナ先端にはそれぞれの供給路の先端として噴出口が備わった燃焼バーナである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の燃焼バーナによれば、粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給路と、燃料を供給する燃料供給路とを同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置するように備える構成を採用したので、対象物の噴流と火炎の一体化が促進され、対象物の火炎領域での滞留時間が大幅に向上すると共に、噴出される対象物が散逸することなく火炎領域を通過し、効率よく加熱することができる。また、対象物が噴出とともに隣接して形成された火炎に包まれ、散逸することなく火炎領域を通過し、対象物を効率よく加熱することができる。
【0020】
本発明の燃焼バーナによれば、最も内側の燃料供給路の内側に配置され、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路を同心状にさらに備える構成を採用することにより、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。なお、燃焼バーナの最も内側に燃料噴出口を配置すると、中心付近の火炎温度が上がらず、火炎領域が縮退し、その結果、対象物の火炎領域での滞留時間が低下してしまう。
【0021】
本発明の燃焼バーナによれば、最も外側の燃料供給路の外側に配置され、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路を同心状にさらに備える構成を採用することにより、火炎形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。なお、最も外側に燃料噴出口を配置すると、火炎が上方向に遊離しやすく、火炎形状が安定せず、対象物の火炎領域への投下も困難になる。
【0022】
本発明の燃焼バーナによれば、各供給路の噴出口はバーナ中心軸に対して平行に、又は、バーナ中心軸に対して対象物供給路側に±10°以内に傾斜して形成されていると共に、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられている構成を採用することにより、同一平面上に噴出することにより、バーナ先端部分から太い火炎が形成され、かつ、火炎と対象物の噴流が一体化して対象物の軌跡に沿って火炎長が大きく延伸するので、対象物を効率よく加熱することができる。さらに、噴流を同一方向に向かせることにより、旋廻流の発生を抑えることにより、対象物の散乱も抑えられ、歩留まりが向上する。
【0023】
本発明の燃焼バーナによれば、対象物供給路が複数ある構成を採用することにより、対象物の噴流と火炎とが接する領域が増大するため、多量の対象物をより効果的に火炎領域へ投入でき、その結果、対象物の時間あたりの投入量を増加させることが可能となり、エネルギーの効率がさらに向上する。
【0024】
本発明の燃焼バーナによれば、対象物供給路が対象物供給源と気体を供給する気体供給源とに接続された構成を採用することにより、対象物をより効果的に火炎領域への投入でき、滞留時間も向上し、対象物を効率よく加熱することができる。なお、噴出に気体を伴うことにより、対象物が散逸してしまい、火炎領域への通過が阻害される可能性もあるが、本発明では、対象物は噴出直後から火炎で包み込まれるため、適度に分散する方がかえって火炎領域での滞留時間が向上し、火炎から対象物への着熱も促進する。
【0025】
本発明の燃焼バーナによれば、対象物供給路が対象物供給源と第3の支燃性気体を供給する第3支燃性気体供給源とに接続された構成を採用することにより、対象物をさらに効果的に火炎領域へ投入でき、火炎領域での滞留時間も向上し、効率よく加熱することができる。これは、支燃性気体を伴うことにより、その支燃性の気体と隣接する燃料噴出口から噴出される燃料とが反応し、対象物がより確実に火炎に包まれるためである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)本発明の第1の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。(b)図1(a)に示す燃焼バーナをその先端側から眺めた側面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。
【図3】(a)本発明の第3の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。(b)図1(a)に示す燃焼バーナをその先端側から眺めた側面図である。
【図4】燃料噴出口及び支燃性気体噴出口のバーナ中心軸方向に対する傾斜角度に対するエネルギー効率を測定した結果を示すグラフである。
【図5】燃料流量及び酸素流量に対するエネルギー効率を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について、図を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0028】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す燃焼バーナをその先端側から眺めた側面図である。
燃焼バーナ10は、バーナ中心軸から順に、第1支燃性気体供給路1と、第1燃料供給路2と、対象物供給路3と、第2燃料供給路4と、第2支燃性気体供給路5と、冷却水供給路6とを備える。
燃焼バーナ10は、第1燃料供給路2、対象物供給路3、第2燃料供給路4の順に同心状に配置することにより、対象物供給路と燃料供給路とが同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置する構成とされている。なお、最も内側に配置する燃料供給路は第1燃料供給路2であり、最も外側に配置する燃料供給路は第2燃料供給路4である。
【0029】
また、燃焼バーナ10は、最も内側の燃料供給路である第1燃料供給路2の内側に、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路1を同心状に備えており、最も外側の燃料供給路である第2燃料供給路4の外側に、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路5を同心状に備えている。
【0030】
第1支燃性気体供給路1の先端には、第1支燃性気体噴出口1aを有する。第1燃料供給路2の先端には、第1燃料噴出口2aを有する。対象物供給路3の先端には、対象物噴出口3aを有する。第2燃料供給路4の先端には、第2燃料噴出口4aを有する。第2支燃性気体供給路5の先端には、第2支燃性気体噴出口5aを有する。
第1支燃性気体噴出口1a、第1燃料噴出口2a、対象物噴出口3a、第2燃料噴出口4a及び第2支燃性気体噴出口5aは、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられている。
また、各噴出口の断面の径はそれぞれの供給路の断面の径と同じであり、各噴出口は燃焼バーナ10の延在方向(バーナ中心軸方向)に平行に配置されている。
【0031】
各噴出口の形状は図1で示したものに限定されず、幅を持ったスリット、円形、楕円形、多角形、あるいはそれらが一列や、同心円状に並んだもの等でもよい。
【0032】
燃焼バーナ10の先端11は、円柱状とされており、火炎が形成される先端面11aを有する。
燃焼バーナ10の先端面11aは、燃焼バーナ10の延在方向に対して直交する平坦な面とされている。従って、各噴出口の先端は燃焼バーナ10の延在方向に対して直交する同一平面上に並んで配置する。
燃焼バーナ10の先端面11aは、円形面とされている。
【0033】
第1支燃性気体供給路1は、燃焼バーナ10の中心軸D上に1本、その周囲に中心軸Dに対して対称に配置する6本の計7本の円筒形状の支燃性気体供給路から構成され、燃焼バーナ10の延在方向に延在している。第1支燃性気体供給路1は、支燃性気体供給源(図示せず)から供給された支燃性気体を輸送する流路として機能する。
第1支燃性気体供給路1の先端に配置する第1支燃性気体噴出口1aは、燃焼バーナ10の先端面11aから露出している。
【0034】
第1燃料供給路2は、第1支燃性気体供給路1の外側の円周上に等間隔で配置する複数の燃料供給路から構成されている。各燃料供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ10の延在方向に延在するように設けられている。第1燃料供給路2は、燃料供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第1燃料供給路2の先端に配置する第1燃料噴出口2aは、燃焼バーナ10の先端面11aから露出している。
【0035】
対象物供給路3は、第1燃料供給路2の外側に燃焼バーナ10の先端側から見てリング状に設けれ、燃焼バーナ10の延在方向に延在する構成とされている。対象物供給路3は、対象物である粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
対象物供給路3の先端に配置する対象物噴出口3aは、燃焼バーナ10の先端面11aから露出している。
【0036】
対象物供給路3は、対象物の物性等に起因して投入前の酸化などを嫌う場合は、気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該気体(例えば、窒素、アルゴン等の不活性の気体やプロパン、都市ガス、メタン等の可燃性の気体又はそれらの混合気体)を供給することができる。
【0037】
また、対象物供給路3は、特に対象物の物性などの制限がない場合、第3の支燃性気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該第3の支燃性気体(例えば、酸素)を供給することができる。
【0038】
対象物供給路3の対象物噴出口3aは、対象物の最大粒径の2倍未満であれば、噴出口や供給路が閉塞する割合が増大するため、噴出口の幅が対象物の最大粒径の2倍以上になるように形成されているのが好ましく、噴出口の幅が対象物の最大粒径の5倍以上になるように形成されているのがより好ましい。
【0039】
第2燃料供給路4は、対象物供給路3の外側の円周上に等間隔で配置する複数の燃料供給路から構成されている。各燃料供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ10の延在方向に延在するように設けられている。第2燃料供給路4は、燃料供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第2燃料供給路4の先端に配置する第2燃料噴出口4aは、燃焼バーナ10の先端面11aから露出している。
【0040】
第2燃料供給路4の先端に配置する第2燃料噴出口4aは、第1燃料供給路2の先端に配置する第1燃料噴出口2aと併せて、対象物供給路3の先端に配置する対象物噴出口3aを挟み込むように配置する構成を採用することにより、対象物噴出口3aから対象物が噴出するとともに、隣接して配置する第1燃料噴出口2a及び第2燃料噴出口4aから形成された火炎に対象物が包まれ、散逸することなく対象物が火炎領域を通過する。
【0041】
各燃料供給路の各面積はそれぞれの燃料噴出口に供給される燃料流量の比率に等しくなるように設計されていることが好ましい。ただし、比率に0.8〜1.2を掛けた範囲に収まるよう設計されていても構わない。燃料流量の調整が容易になり、より効率的な燃料流量で加熱が可能となるからである。
【0042】
各燃料噴出口からの燃料の噴出速度は等速、あるいはほぼ等速であれば、火炎形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上するので、流量の比率に掛ける値が、0.8〜1.2に収まる範囲であることが好ましく、0.9〜1.1に収まる範囲であることはより好ましい。
【0043】
第1燃料供給路2に流す燃料の流量は、第2燃料供給路4に流す燃料とあわせた流量の20〜80%となるように調整することが好ましく、30〜70%となるように調整することがより好ましい。火炎長が長くなり、対象物の火炎領域での滞留時間が向上して対象物を効率よく加熱できるからであり、また、回収率、エネルギー効率が向上するからである。
【0044】
第2支燃性気体供給路5は、第2燃料供給路4の外側の円周上に等間隔で配置する複数の支燃性気体供給路から構成されている。各支燃性気体供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ10の延在方向に延在するように設けられている。第2支燃性気体供給路5は、支燃性気体供給源(図示せず)から供給された支燃性気体を輸送する流路として機能する。
第2支燃性気体供給路5の先端に配置する第2支燃性気体噴出口5aは、燃焼バーナ10の先端面11aから露出している。
【0045】
各支燃性気体供給路の各面積はそれぞれの支燃性気体噴出口に供給される燃料流量の比率に等しくなるように設計されていることが好ましい。ただし、比率に0.8〜1.2を掛けた範囲に収まるよう設計されていても構わない。ただし、粉体及び/又は液滴の噴出口はこの条件で設計する必要はない。
【0046】
第1支燃性気体供給路1及び第2支燃性気体供給路5に流す支燃性気体の流量比率は、燃料の流量比率と同じく、20〜80%になるように調整することが好ましく、30〜70%になるように調整することがより好ましい。
これにより、対象物噴出口の内側、外側により確実に火炎領域が形成され、対象物がより確実に火炎領域へ投入され、また対象物の火炎領域での滞留時間が向上するからである。
【0047】
各支燃性気体噴出口からの支燃性気体の噴出速度は等速、あるいはほぼ等速であれば、火炎形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上するので、流量の比率に掛ける値が0.8〜1.2に収まる範囲であることが好ましく、0.9〜1.1に収まる範囲であることがより好ましい。
なお、対象物の噴出口から噴出する気体はこの条件を満たさなくともよい。
【0048】
各燃料噴出口からの燃料の噴出速度と各支燃性気体噴出口からの支燃性気体の噴出速度は等速、あるいはほぼ等速であれば、より火炎形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上するので、噴出速度が平均の0.8〜1.2に収まる範囲であることが好ましく、0.9〜1.1に収まる範囲であることがより好ましい。
なお、対象物の噴出口から噴出する気体はこの条件を満たさなくともよい。
【0049】
燃料噴出口及び支燃性気体噴出口の面積は、噴出する燃料および支燃性気体の噴出速度が等しくなるように設計されているのが好ましい。
【0050】
本発明に係る燃焼バーナは鉛直下向きに設置するのが好ましい。対象物の噴出方向と落下方向と燃料の噴出方向が一致するため、前記対象物と一体化した火炎の火炎長がさらに延伸し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上して対象物を効率よく加熱できるからである。
【0051】
本実施形態に係る燃焼バーナによれば、対象物供給路3が第1燃料供給路2と第2燃料供給路4とに挟まれるように配置し、その結果、対象物噴出口3aが第1燃料噴出口2aと第2燃料噴出口4aに挟まれるため、対象物が対象物噴出口3aから噴出するとともに隣接して形成された火炎に包まれ、散逸することなく火炎領域を通過し、効率よく加熱する。
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、対象物噴出口3aと燃料噴出口2a、4aとが交互に配置するため、対象物の噴流と火炎の一体化が促進され、対象物の火炎領域での滞留時間が大幅に向上し、効率よく加熱する。
【0052】
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1燃料供給路2の内側に第1支燃性気体供給路1を同心状に備えるため、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第2燃料供給路4の外側に第2支燃性気体供給路5を同心状に備えるため、火炎の形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1支燃性気体噴出口1a、第1燃料噴出口2a、対象物噴出口3a、第2燃料噴出口4a及び第2支燃性気体噴出口5aがバーナ中心軸に対して平行に形成され、かつ、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられているため、燃料と対象物の噴出口とが同一平面上に噴出することにより、バーナ先端部分から太い火炎が形成される。また、それぞれの噴出口から噴流がバーナ中心軸に対して平行に噴出され、このように噴出方向をバーナ中心軸方向に揃えることにより、火炎と対象物の噴流が一体化し、対象物の軌跡に沿って火炎長が大きく延伸する。その結果、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。また、噴流を同一方向に向かせることにより、旋廻流の発生を抑えることにより、対象物の散乱も抑えられ、歩留まりが向上する。
【0055】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。
燃焼バーナ20は、バーナ中心軸から順に、第1支燃性気体供給路21と、第1燃料供給路22と、対象物供給路23と、第2燃料供給路24と、第2支燃性気体供給路25と、冷却水供給路26とを備える。
燃焼バーナ20は、第1燃料供給路22、対象物供給路23、第2燃料供給路24の順に同心状に配置することにより、対象物供給路と燃料供給路とが同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置する構成とされている。なお、最も内側に配置する燃料供給路は第1燃料供給路22であり、最も外側に配置する燃料供給路は第2燃料供給路24である。
【0056】
また、燃焼バーナ20は、最も内側の燃料供給路である第1燃料供給路22の内側に、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路21を同心状に備えており、最も外側の燃料供給路である第2燃料供給路24の外側に、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路25を同心状に備えている。
【0057】
第1支燃性気体供給路21の先端には、第1支燃性気体噴出口21aを有する。第1燃料供給路22の先端には、第1燃料噴出口22aを有する。対象物供給路23の先端には、対象物噴出口23aを有する。第2燃料供給路24の先端には、第2燃料噴出口24aを有する。第2支燃性気体供給路25の先端には、第2支燃性気体噴出口25aを有する。
第1支燃性気体噴出口21a、第1燃料噴出口22a、対象物噴出口23a、第2燃料噴出口24a及び第2支燃性気体噴出口25aは、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられている。
【0058】
図2で示す第2の実施形態では、各噴出口(第1支燃性気体供給路21を構成する供給路のうち、燃焼バーナ20の中心軸D上に配置する供給路の噴出口を除く)は燃焼バーナ20の延在方向(バーナ中心軸方向)に対して傾斜して配置されている点が第1の実施形態と相違する。
なお、中心軸D上に配置する供給路の噴出口を除く各噴出口はバーナ中心軸方向に対して傾斜して設けられ、中心軸D上に配置する供給路の噴出口はバーナ中心軸方向に平行に設けられており、第2の実施形態は、各供給路の噴出口はバーナ中心軸に対して平行に、又は、バーナ中心軸に対して対象物供給路側に傾斜して形成されている構成となっている。
【0059】
燃焼バーナ20の先端21は、円柱状とされており、火炎が形成される先端面21aを有する。
燃焼バーナ20の先端面21aは、燃焼バーナ20の延在方向に対して直交する平坦な面とされている。燃焼バーナ20の先端面11aは、円形面とされている。
【0060】
対象物供給路以外の各供給路の噴出口のバーナ中心軸に対する傾斜の角度は、対象物供給路側に±10°以内であることが好ましい。
ここで、傾斜の角度が“+”とは、噴出口の先端口が対象物供給路に近づく方に傾斜していることを意味し、傾斜の角度が“−”とは、噴出口の先端口が対象物供給路から遠ざかる方に傾斜していることを意味する。
図2で示す第2の実施形態では、傾斜の角度は+10°である。
なお、第1支燃性気体供給路21を構成する燃焼バーナ20の中心軸D上に配置する供給路の噴出口についても例えば、噴出口を2つ設けて、それらの噴出口を互いに反対の方向に傾斜して設ける構成とすることによって、2つの噴出口の先端口を対象物供給路に近づけること、又は、対象物供給路から遠ざけることが可能となる。
【0061】
本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1支燃性気体噴出口21a、第1燃料噴出口22a、第2燃料噴出口24a及び第2支燃性気体噴出口25aがバーナ中心軸に対して10°傾斜して対象物噴出口23aに近づくように形成され、かつ、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられているため、燃料と対象物の噴出口とが同一平面上に噴出することにより、バーナ先端部分から太い火炎が形成される。また、それぞれの噴出口から噴流がバーナ中心軸に対して略平行に噴出され、このように噴出方向をバーナ中心軸方向に揃えることにより、火炎と対象物の噴流が一体化し、対象物の軌跡に沿って火炎長が大きく延伸する。その結果、対象物の火炎領域での滞留時間が向上し、対象物を効率よく加熱することができる。また、噴流を略同一方向に向かせることにより、旋廻流の発生を抑えることにより、対象物の散乱も抑えられ、歩留まりが向上する。
本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1の実施形態に係る燃焼バーナで得られる他の効果も同様に得られる。
【0062】
(第3の実施形態)
図3(a)は、本発明の第3の実施形態に係る燃焼バーナの概略構成を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)に示す燃焼バーナをその先端側から眺めた側面図である。
燃焼バーナ30は、バーナ中心軸から順に、第1支燃性気体供給路31と、第1燃料供給路32と、第1対象物供給路33と、第2燃料供給路34と、第2対象物供給路35と、第3燃料供給路36と、第2支燃性気体供給路37と、冷却水供給路38とを備える。
燃焼バーナ30は、第1燃料供給路32、第1対象物供給路33、第2燃料供給路34、第2対象物供給路35、第3燃料供給路36、の順に同心状に配置することにより、対象物供給路と燃料供給路とが同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置する構成とされている。なお、最も内側に配置する燃料供給路は第1燃料供給路32であり、最も外側に配置する燃料供給路は第3燃料供給路36である。
【0063】
対象物の時間あたりの投入量を増やしたい場合は、第1の実施形態に係る燃焼バーナより、第3の実施形態に係る燃焼バーナを用いるのが好ましい。
【0064】
また、燃焼バーナ30は、最も内側の燃料供給路である第1燃料供給路32の内側に、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路31を同心状に備えており、最も外側の燃料供給路である第3燃料供給路36の外側に、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路37を同心状に備えている。
【0065】
第1支燃性気体供給路31の先端には、第1支燃性気体噴出口31aを有する。第1燃料供給路32の先端には、第1燃料噴出口32aを有する。第1対象物供給路33の先端には、第1対象物噴出口33aを有する。第2燃料供給路34の先端には、第2燃料噴出口34aを有する。第2対象物供給路35の先端には、第1対象物噴出口35aを有する。第3燃料供給路36の先端には、第3燃料噴出口36aを有する。第2支燃性気体供給路37の先端には、第2支燃性気体噴出口37aを有する。
図3で示す第3の実施形態では、各噴出口の断面の径はそれぞれの供給路の断面の径と同じであり、各噴出口は燃焼バーナ30の延在方向(バーナ中心軸方向)に平行に配置されている。
【0066】
燃焼バーナ30の先端41は、円柱状とされており、火炎が形成される先端面41aを有する。
燃焼バーナ30の先端面41aは、燃焼バーナ30の延在方向に対して直交する平坦な面とされている。燃焼バーナ30の先端面41aは、円形面とされている。
【0067】
第1支燃性気体供給路31は、燃焼バーナ30の中心軸D上に1本、その周囲に中心軸DDに対して対称に配置する6本の計7本の円筒形状の支燃性気体供給路から構成され、燃焼バーナ30の延在方向に延在している。第1支燃性気体供給路31は、支燃性気体供給源(図示せず)から供給された支燃性気体を輸送する流路として機能する。
第1支燃性気体供給路31の先端に配置する第1支燃性気体噴出口31aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0068】
第1燃料供給路32は、第1支燃性気体供給路31の外側の円周上に等間隔で配置する複数の燃料供給路から構成されている。各燃料供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ30の延在方向に延在するように設けられている。第1燃料供給路32は、燃料供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第1燃料供給路32の先端に配置する第1燃料噴出口32aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0069】
第1対象物供給路33は、第1燃料供給路32の外側に燃焼バーナ30の先端側から見てリング状に設けれ、燃焼バーナ30の延在方向に延在する構成とされている。対象物供給路33は、対象物である粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第1対象物供給路33の先端に配置する第1対象物噴出口33aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0070】
対象物供給路33は、対象物の物性等に起因して投入前の酸化などを嫌う場合は、気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該気体(例えば、不活性の気体や可燃性の気体)を供給することができる。
【0071】
また、対象物供給路33は、特に対象物の物性などの制限がない場合、第3の支燃性気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該第3の支燃性気体(例えば、酸素)を供給することができる。
【0072】
対象物供給路33の対象物噴出口33aは、対象物の最大粒径の2倍未満であれば、噴出口や供給路が閉塞する割合が増大するため、噴出口の幅が対象物の最大粒径の2倍以上になるように形成されているのが好ましく、噴出口の幅が対象物の最大粒径の5倍以上になるように形成されているのがより好ましい。
【0073】
第2燃料供給路34は、第1対象物供給路33の外側の円周上に等間隔で配置する複数の燃料供給路から構成されている。各燃料供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ30の延在方向に延在するように設けられている。第2燃料供給路34は、燃料供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第2燃料供給路34の先端に配置する第2燃料噴出口34aは、第1燃料供給路32の先端に配置する第1燃料噴出口32aと併せて、第1対象物供給路33の先端に配置する第1対象物噴出口33aを挟み込むように配置する構成を採用することにより、第1対象物噴出口33aから対象物が噴出するとともに、隣接して配置する第1燃料噴出口32a及び第2燃料噴出口34aから形成された火炎に対象物が包まれ、散逸することなく対象物が火炎領域を通過する。
【0074】
第2対象物供給路35は、第2燃料供給路34の外側に燃焼バーナ30の先端側から見てリング状に設けれ、燃焼バーナ30の延在方向に延在する構成とされている。第2対象物供給路35は、対象物である粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第2対象物供給路35の先端に配置する第2対象物噴出口35aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0075】
対象物供給路35は、対象物の物性等に起因して投入前の酸化などを嫌う場合は、気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該気体(例えば、不活性の気体や可燃性の気体)を供給することができる。
【0076】
また、対象物供給路35は、特に対象物の物性などの制限がない場合、第3の支燃性気体供給源(図示せず)に接続して、対象物と併せて当該第3の支燃性気体(例えば、酸素)を供給することができる。
【0077】
対象物供給路35の対象物噴出口35aは、対象物の最大粒径の2倍未満であれば、噴出口や供給路が閉塞する割合が増大するため、噴出口の幅が対象物の最大粒径の2倍以上になるように形成されているのが好ましく、噴出口の幅が対象物の最大粒径の5倍以上になるように形成されているのがより好ましい。
【0078】
第3燃料供給路36は、第2対象物供給路35の外側の円周上に等間隔で配置する複数の燃料供給路から構成されている。各燃料供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ30の延在方向に延在するように設けられている。第3燃料供給路36は、燃料供給源(図示せず)から供給された燃料を輸送する流路として機能する。
第3燃料供給路36の先端に配置する第3燃料噴出口36aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0079】
第3燃料供給路36の先端に配置する第3燃料噴出口36aは、第2燃料供給路34の先端に配置する第2燃料噴出口34aと併せて、第2対象物供給路35の先端に配置する第2対象物噴出口35aを挟み込むように配置する構成を採用することにより、第2対象物噴出口35aから対象物が噴出するとともに、隣接して配置する第2燃料噴出口34a及び第3燃料噴出口36aから形成された火炎に対象物が包まれ、散逸することなく対象物が火炎領域を通過する。
【0080】
各燃料供給路の各面積はそれぞれの燃料噴出口に供給される燃料流量の比率に等しくなるように設計されていることが好ましい。ただし、比率に0.8〜1.2を掛けた範囲に収まるよう設計されていても構わない。燃料流量の調整が容易になり、より効率的な燃料流量で加熱が可能となるからである。また、火炎形状が安定し、対象物の火炎領域での滞留時間が向上するからである。
【0081】
各燃料供給路を流す燃料のそれぞれの流量は等量に0.4〜1.6を掛けた範囲になるように調整することが好ましく、等量に0.6〜1.4を掛けた範囲になるように調整することがより好ましい。火炎長が長くなり、対象物の火炎領域での滞留時間が向上して対象物を効率よく加熱できるからであり、また、回収率、エネルギー効率が向上するからである。
【0082】
第2支燃性気体供給路37は、第3燃料供給路36の外側の円周上に等間隔で配置する複数の支燃性気体供給路から構成されている。各支燃性気体供給路は、円筒形状とされており、燃焼バーナ30の延在方向に延在するように設けられている。第2支燃性気体供給路37は、支燃性気体供給源(図示せず)から供給された支燃性気体を輸送する流路として機能する。
第2支燃性気体供給路37の先端に配置する第2支燃性気体噴出口37aは、燃焼バーナ30の先端面41aから露出している。
【0083】
各支燃性気体供給路の各面積はそれぞれの支燃性気体噴出口に供給される燃料流量の比率に等しくなるように設計されていることが好ましい。ただし、比率に0.8〜1.2を掛けた範囲に収まるよう設計されていても構わない。ただし、粉体及び/又は液滴の噴出口はこの条件で設計する必要はない。
【0084】
燃料噴出口及び支燃性気体噴出口の面積は、噴出する燃料および支燃性気体の噴出速度が等しくなるように設計されているのが好ましい。ただし、各面積は前記条件で算出された値に0.8〜1.2を掛けた範囲に収まるように設計されていても構わない。
【0085】
本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1対象物供給路33が第1燃料供給路32と第2燃料供給路34とに挟まれるように配置し、その結果、第1対象物噴出口33aが第1燃料噴出口32aと第2燃料噴出口34aに挟まれるように配置するため、対象物が第1対象物噴出口33aから噴出するとともに隣接して形成された火炎に包まれ、散逸することなく火炎領域を通過し、効率よく加熱する。
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第2対象物供給路35が第2燃料供給路34と第3燃料供給路36とに挟まれるように配置し、その結果、第2対象物噴出口35aが第2燃料噴出口34aと第3燃料噴出口36aに挟まれるように配置するため、対象物が第2対象物噴出口35aから噴出するとともに隣接して形成された火炎に包まれ、散逸することなく火炎領域を通過し、効率よく加熱する。
また、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、対象物噴出口と燃料噴出口とが交互に配置するため、対象物の噴流と火炎の一体化が促進され、対象物の火炎領域での滞留時間が大幅に向上し、効率よく加熱する。
【0086】
さらに、本実施形態に係る燃焼バーナによれば、対象物噴出口が2個、燃料噴出口が3個あるため、対象物の噴流と火炎と接する領域が増大するため、多量の対象物をより効果的に火炎領域へ投入できることを、見出した。これにより、対象物の時間あたりの投入量を増加させることが可能であり、エネルギーの効率がさらに向上する。
【0087】
本実施形態に係る燃焼バーナによれば、第1の実施形態に係る燃焼バーナで得られる他の効果も同様に得られる。
【0088】
第1の実施形態に係る燃焼バーナでは対象物供給路と燃料供給路はそれぞれ1本、2本であり、第3の実施形態に係る燃焼バーナでは対象物供給路と燃料供給路はそれぞれ2本、3本であるが、各本数をさらに増加した構成とすることもできる。さらに増加した構成は、対象物の時間辺りの投入量を増加したい場合に有効である。
【0089】
本発明に係る燃焼バーナは、加熱炉体に設置する場合、鉛直下向きに設置することが好ましい。
【実施例】
【0090】
以下、具体的な実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
バーナAは本発明の第1実施形態の構成を有する燃焼バーナである。バーナCはバーナ中心軸から順に、対象物供給路、燃料供給路、支燃性気体供給路、対象物供給路、支燃性気体供給路を備えたバーナである(特許文献2の図1参照)。バーナDはバーナ中心軸から順に、燃料供給路、支燃性気体供給路、対象物供給路、支燃性気体供給路を備えたバーナである(特許文献5の図1参照)。
バーナA、バーナC及びバーナDを用い、粒径0.5mm未満のガラス粉体を加熱炉内に噴出させ、散逸せずに再回収できたガラス粉体の割合(回収率)と、火炎中で着熱し、溶融したガラス粉体の割合(溶解率)とを計測した。支燃性気体及び対象物に伴う気体として酸素を用いた。その結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

表1に示す通り、本発明のバーナAは従来のバーナC及びバーナDと比較して高い回収率を示した。これは、本発明のバーナAは従来のバーナC及びバーナDと比較して、散逸が少ないことを示すものである。
また、本発明のバーナAは従来のバーナC及びバーナDと比較して高い溶解率を示した。これは、本発明のバーナAは従来のバーナC及びバーナDと比較して、火炎領域に十分な時間滞留させることができたことを示すものである。
【0093】
(実施例2)
バーナEはバーナAにおいて、第2燃料供給路4及び第2燃料噴出口4aと、第2支燃性気体供給路5及び第2支燃性気体噴出口5aとを閉止したバーナである。バーナFはバーナEにおいて、第1燃料供給路2及び第1燃料噴出口2aと、第2支燃性気体供給路5及び第2支燃性気体噴出口5aとを入れ替えたバーナである。
バーナA、バーナE及びバーナFを用い、粒径0.5mm未満のガラス粉体を加熱炉内に噴出させ、投入した燃料の熱量に対して、実際にガラスの加熱に利用された熱量の割合(以下「エネルギー効率」)を測定した。支燃性気体及び対象物に伴う気体として酸素を用いた。その結果を表2に示す。
【0094】
【表2】

表2に示す通り、本発明のバーナAはバーナE及びバーナFと比較して高いエネルギー効率を示した。これは、対象物噴出口を燃料噴出口で挟むように配置する構成にすると高いエネルギー効率が得られること示すものである。
【0095】
(実施例3)
バーナBは本発明の第2実施形態の構成を有する燃焼バーナである。
バーナBの構成において、燃料噴出口及び支燃性気体噴出口のバーナ中心軸方向に対する傾斜角度を、それぞれ±5°、±10°、±20°、±30°として、エネルギー効率を測定した。その結果を図3に示す。
【0096】
図4に示す通り、±10°以下の範囲でエネルギー効率が高いことがわかった。さらに、±5°以下の範囲ではよりエネルギー効率が高いことがわかった。
【0097】
(実施例4)
バーナAを用い、第1燃料供給路に流す燃料流量(「一次燃料流量」/「一次燃料流量+二次燃料流量」)及び第1支燃性気体供給路に流す酸素流量(「一次酸素流量」/「一次酸素流量+二次酸素流量」)をそれぞれ0%、30%、50%、70%と調整し、実施例1と同様に、粒径0.5mm未満のガラス粉体を加熱炉内に噴出させて、エネルギー効率を測定した。また、バーナEはこの値が100%と同等であるので、図4に結果を併記した。
【0098】
図5に示す通り、20%から80%で高いエネルギー効率であることがわかった。さらに、30%から70%ではより高いエネルギー効率であることがわかった。
【0099】
(実施例5)
バーナAを鉛直下向きに設置して、粒径0.5mm未満のガラス粉体を加熱炉内に噴出させて、火炎長、回収率、エネルギー効率を測定した。その結果を表3に示す。
比較のために、バーナG及びバーナHでも同様の測定をした。
バーナGはバーナAにおいて、第2支燃性気体供給路5及び第2支燃性気体噴出口5aを閉止したバーナである。バーナHはバーナAにおいて、第1支燃性気体供給路1及び第1支燃性気体噴出口1aを閉止したバーナである。
【0100】
【表3】

表3に示す通り、本発明のバーナAはバーナG及びバーナHと比較して、最も長い火炎長、最も高い回収率、最も高いエネルギー効率を示した。
【0101】
また、バーナA、バーナG及びバーナHとも、火炎と対象物が一体化する様子が目視にて確認でき、表3の結果の通り、ガラス粉体の投入後の方が投入前より大幅に火炎長が延伸していた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、燃焼バーナ、主に粉体及び/又は液滴を加熱する燃焼バーナに適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 第1支燃性気体供給路
1a 第1支燃性気体噴出口
2 第1燃料供給路
2a 第1燃料噴出口
3 対象物供給路
3a 対象物噴出口
4 第2燃料供給路
4a 第2燃料噴出口
5 第2支燃性気体供給路
5a 第2支燃性気体噴出口
6 冷却水供給路
10 燃焼バーナ
11 先端
11a 先端面
20 燃焼バーナ
21 第1支燃性気体供給路
21a 第1支燃性気体噴出口
22 第1燃料供給路
22a 第1燃料噴出口
23 対象物供給路
23a 対象物噴出口
24 第2燃料供給路
24a 第2燃料噴出口
25 第2支燃性気体供給路
25a 第2支燃性気体噴出口
26 冷却水供給路
30 燃焼バーナ
31 第1支燃性気体供給路
31a 第1支燃性気体噴出口
32 第1燃料供給路
32a 第1燃料噴出口
33 第1対象物供給路
33a 第1対象物噴出口
34 第2燃料供給路
34a 第2燃料噴出口
35 第2対象物供給路
35a 第2対象物噴出口
36 第3燃料供給路
36a 第3燃料噴出口
37 第2支燃性気体供給路
37a 第2支燃性気体噴出口
38 冷却水供給路
41 先端
41a 先端面
D 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体及び/又は液滴を供給する対象物供給路と、燃料を供給する燃料供給路とを同心状に交互に、かつ、これらの供給路のうち、最も内側と最も外側には燃料供給路が配置するように備える燃焼バーナであって、各供給路の先端には噴出口がそれぞれ設けられていることを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項2】
前記最も内側の燃料供給路の内側に配置され、第1の支燃性気体を供給する第1支燃性気体供給路を同心状にさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の燃焼バーナ。
【請求項3】
前記最も外側の燃料供給路の外側に配置され、第2の支燃性気体を供給する第2支燃性気体供給路を同心状にさらに備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の燃焼バーナ。
【請求項4】
前記の各供給路の噴出口はバーナ中心軸に対して平行に、又は、バーナ中心軸に対して対象物供給路側に±10°以内に傾斜して形成されていると共に、バーナ中心軸に直交する同一平面上に開口するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項5】
前記対象物供給路が複数あることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項6】
前記対象物供給路が対象物供給源と気体を供給する気体供給源とに接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。
【請求項7】
前記対象物供給路が対象物供給源と第3の支燃性気体を供給する第3支燃性気体供給源とに接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の燃焼バーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−207817(P2012−207817A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72058(P2011−72058)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】