説明

燃焼加熱調理器

【課題】バーナへの鍋の載置状態を検出して燃焼状態を最適に制御し、調理の精度、安全性を向上させるとともに、煮零れが生じた場合などでも鍋検知不良や誤作動がなく、信頼性高い安全性確保と使い勝手を両立できる燃焼加熱調理器を提供する。
【解決手段】バーナ14に鍋13を載置したときに鍋底によって押し下げられるロッド22に直結して設けた鍋検知手段33により鍋13の有無を検知し、この検知に基づいてバーナ14の燃焼を制御するガス流量調節部28とタイマー35を有する制御部34を備えることで、鍋の有無を検知して調理の精度と安全性を向上させ、使い勝手を良くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスや液体燃料を燃焼させて加熱調理を行う燃焼加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼加熱調理器は、鍋底の全周に亘って当接する環状の五徳を備え、五徳の外側に炎が漏出しないように構成したコンロにおいて、鍋を五徳に載せたり、外したりすることで上下可動する棒状の鍋底温度検知手段を五徳の中央に備え、鍋底温度検知手段の上下位置に応じて前記鍋底温度検知手段の下端に係合して設けたマイクロスイッチを押すことにより、五徳に鍋が載置されたことを検知したり、鍋がない場合にバーナの炎を絞る構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3089389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、鍋を五徳から外して持ち上げるとバーナから炎や熱気が立ち上がり、使用者が実際の燃焼量よりも大きいと勘違いをして燃焼制御を誤る可能性があって、従って鍋を持ち上げた際に燃焼量を誤って絞ることがあった。そして、このように鍋を五徳上から外した後の炎や熱気の立ち上がりによる実際の燃焼量よりも大きいと勘違いをする問題は、五徳の外側に炎が漏出しないために顕著になる。
【0004】
また、炒め物調理を行うために頻繁にフライパンを振ったり卵焼きなどの調理で長時間鍋を持ち上げて調理物を返しながら加熱する場合、上記したように炎を絞ると調理がしづらく、あるいは鍋を持ち上げて火力を確認する場合もあるので炎を絞ると調理火力が分からずに、使い勝手が非常に悪くなるという問題があった。
【0005】
また、マイクロスイッチを使用した鍋検知手段では、このマイクロスイッチを構成するレバーやプランジャを上下動手段に係合し連動するように構成するので、煮零れが発生して煮汁による固着が生じる場合に、上下動手段は固着していなくてもレバーやプランジャが固着して鍋検知不良を起こし、鍋を外しているにもかかわらず鍋があると検出してしまうという問題があった。
【0006】
また、炒め物調理を行うために頻繁にフライパンを振ったりした場合には、上下動手段の上下動回数が多くなり、マイクロスイッチのような機械式のものでは、その可動部や接点の耐久回数から寿命が来て壊れやすくなるという問題があった。さらに接点があるスイッチ式のものでは導電性の煮汁がかかった場合にスイッチの接点は離れているにもかかわらず煮汁により短絡して誤検知を生じる恐れがあるという問題もあった。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、煮零れが生じた場合などでも鍋検知不良や誤作動がなく、信頼性が高く高寿命に安全性を確保でき、そして使い勝手を損なわない燃焼加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の燃焼加熱調理器は、調理のための燃焼加熱を行うバーナと、前記バーナによって加熱される加熱容器の有無を検知する加熱容器検知手段と、前記加熱容器検知手段の検知に基づいて前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、時間を計時するタイマーを有し、前記加熱容器検知手段と燃焼制御手段を制御する制御部とを備え、前記制御部は着火後に前記加熱容器検知手段から加熱容器のない出力が前記タイマーの第1の所定時間以上続いたときに燃焼制御手段を制御してバーナの燃焼を停止するようにしたものである。
【0009】
これによって、着火後に加熱容器がバーナ上から外され、第1の所定時間以上経ったときはバーナの燃焼を停止し、調理のための加熱容器振りや火力の確認などの短時間の加熱容器の外しでは反応しないので、使い勝手を損なわず、最適な燃焼状態の制御を可能とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の燃焼加熱調理器は、バーナへの加熱容器の載置、外し状態に応じて、燃焼状態を最適に制御できて、調理の精度、安全性を向上させることができ、かつ使用者の使い勝手を損なわないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、調理のための燃焼加熱を行うバーナと、前記バーナによって加熱される加熱容器の有無を検知する加熱容器検知手段と、前記加熱容器検知手段の検知に基づいて前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、時間を計時するタイマーを有し、前記加熱容器検知手段と燃焼制御手段を制御する制御部とを備え、前記制御部は着火後に前記加熱容器検知手段から加熱容器のない出力がタイマーの第1の所定時間以上続いたときに燃焼制御手段を制御してバーナの燃焼を停止するようにしたことにより、着火後に加熱容器がバーナ上から外されタイマーの第1の所定時間以上経ったときはバーナの燃焼を停止し、調理のための加熱容器振りや火力の確認などの短時間の加熱容器の上げでは反応しないので、使い勝手を損なわずに安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。特に視認性の悪い内向炎バーナを使用したものにあっても、バーナから加熱容器を外しても、最適な燃焼状態の制御を可能とし、安全で、調理性能もよくなる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明において、加熱容器なしによる燃焼停止の報知手段を備え、制御部は、着火後に第1の所定時間より短い第2の所定時間以上、加熱容器検知手段から加熱容器がない出力が続いたときに前記報知手段を作動させて使用者に報知し、その後第1の所定時間を経過するとバーナの燃焼を停止するようにしたことにより、使用者が着火したまま加熱容器を外したことを忘れていても、第1の所定時間が経過する少し前の第2の所定時間経過後に、報知手段を作動して知らせるので注意を促すことができ、また加熱容器なしによる燃焼停止なのか、立ち消えなどの別の理由による失火なのかの判別がしやすくなるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現し、無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止を図ることができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御部において、加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を解除させる加熱容器検知解除設定手段を有するようにしたことにより、使用者が加熱容器検知解除設定手段を設定することによって、炒め物調理を行うために頻繁にフライパンを振ったりした場合でも燃焼を停止する制御動作を停止できるので、フライパンを振っての炒め物や卵焼きなどの調理で第1の所定時間を超える長時間鍋を持ち上げていても、燃焼量をそのままに維持できて不便さがなく、無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止が可能となり、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器の実現の両立を図ることができ、また調理性能もよくなる。
【0014】
第4の発明は、特に、第3の発明の加熱容器検知解除設定手段および制御部を、電源を切ると記憶内容が失われて加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を再び実行する揮発性メモリ型としたことにより、使用者が加熱容器検知解除設定手段を設定したまま使用を終え時間が経って再び電源を入れ使用を再開したときに、前回の使用で加熱容器検知解除設定手段を設定したことを忘れていても、加熱容器検知解除設定手段および制御部は、電源を切ると記憶内容が失われて加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を再び実行するので、着火後に加熱容器がバーナの所定位置から外され第1の所定時間以上経ったときはバーナの燃焼を停止し、使い勝手を損なわず、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぎ、安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4の発明のいずれか1つの発明の加熱容器検知手段を、バーナの所定位置に加熱容器を載置したときに加熱容器底によって押し下げられるように上下動自在に設けられた上下動手段と上下動手段に設けた磁界可変手段と磁器感応スイッチによって構成され、前記磁気感応スイッチに加わる磁界の変化により加熱容器検知を行うようにしたことにより、加熱容器検知手段として上下動手段に直結する構成を用いることによって、マイクロスイッチを使用した鍋検知手段のようにレバーやプランジャといった上下動手段に係合し連動する機構を設けていないので、煮零れによる可動部の固着に対する信頼性が高く、確実な加熱容器検知を行って第1の所定時間以上、加熱容器がバーナの所定位置から外されたときはバーナの燃焼を停止し、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぐことができるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1〜4の発明のいずれか1つの発明の加熱容器検知手段を、バーナの所定位置に加熱容器を載置したときに加熱容器底によって押し下げられるように上下動自在に設けられた上下動手段と、前記上下動手段を略中心として配置されたコイルによって構成され、前記コイルの電気的変化により加熱容器の検知を行うようにしたことにより、加熱容器検知手段として上下動手段に直結する構成を用いることによって、マイクロスイッチを使用した鍋検知手段のようにレバーやプランジャといった上下動手段に係合し連動する機構を設けていないので、煮零れによる可動部の固着に対する信頼性が高く、確実な加熱容器検知を行って大1の所定時間以上、加熱容器がバーナ上から外されたときはバーナの燃焼を停止し、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぐことができるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0017】
第7の発明は、特に、第5または第6の発明のいずれか1つの発明において、上下動手段に係合するとともに制御部の加熱容器検知解除設定手段と連動する加熱容器検知解除レバーを設け、前記加熱容器検知解除レバーを操作することで、制御部は加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を解除するよう設定されるとともに、上下動手段はその上端がバーナに設けられた五徳の上端よりも下方位置まで移動するようにしたことにより、加熱容器検知解除設定手段と加熱容器検知解除レバーが連動しているので、使用者が加熱容器検知解除レバーを操作して加熱容器検知解除設定手段を設定することができ、このときに加熱容器検知解除レバーと上下動手段が連動して五徳より下方に上下動手段が移動するので、炒め物調理を行うために頻繁にフライパンを振ったりしても上下動手段が邪魔にならず、あるいは焼き網や卵焼器などの軽い鍋類でも安定して五徳に載置できる。
【0018】
そして、加熱容器検知解除レバーを操作することで上下動手段が下方に位置するので加熱容器検知解除を設定中であることが分かりやすく、さらに加熱容器なしを検知して燃焼停止する制御動作を解除できるので、フライパンを振っての炒め物や卵焼きなどの調理で第1の所定時間を超える長時間、加熱容器を持ち上げていても、燃焼量をそのままに維持できて不便さがなく、無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止と、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器の実現の両立を図ることができ、また調理性能もよくなる。
【0019】
第8の発明は、特に、第1〜7の発明のいずれか1つの発明のバーナを、内側に炎孔が列設された内向炎バーナに構成したことにより、内向炎バーナは火炎を視認しづらく、弱火のままにしていると消火したと勘違いをして鍋をバーナの所定位置から外して放置してしまう可能性が大きくなるが、加熱容器検知手段の出力に基づいて内向炎バーナの燃焼を制御することができるので、視認性の悪い内向炎バーナであっても、短時間の加熱容器のバーナからの上げでは反応せず第1の所定時間以上、加熱容器が外されていると燃焼停止するので、使い勝手を損なわず、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険防止を図ることができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における燃焼加熱調理器の断面構成図で、図2は同実施の形態1における燃焼加熱調理器の制御動作を示す流れ図である。図3は同実施の形態1における燃焼加熱調理器の鍋がバーナから上げられた状態を示す断面構成図である。
【0022】
図1において、燃焼加熱調理器の本体11の五徳12上には鍋13が載せられている。五徳12の下方にはバーナ14が配設され、このバーナ14は内側に向かって開口する多数の炎孔15を周設したリング状バーナで構成される内向炎形状になっている。バーナ14の中心部には汁受け16から伸びた通風筒17と遮熱筒18の二重筒が形成され、この通風筒17と遮熱筒18に送風するファン19が備わっている。支持板20との間でバネ21により付勢されたロッド22の先端には鍋底検知手段である温度センサー23が設けられ、ロッド22と温度センサー23は外筒である遮熱筒18と内筒である通風筒17内に覆われるように配置されて、ファン19から通風筒17を通った空気流により温度センサー23が冷却されながら、バネ21の作用で鍋13などの加熱容器の底に温度センサー23が押接されて温度を検知するようになっている。
【0023】
バーナ14で燃焼するガスは、ガス供給管24からノズル25を通って混合管26に吹き込まれる。ノズル25の周囲には一次空気孔27が設けられており、この一次空気孔27から空気が混合管26内に吸引されて、混合管26内でガスと空気が混合するようになっている。バーナ14にある炎孔15からは、この空気と混合したガスが燃焼して火炎が出ており、この火炎は、温度センサー23を冷却し遮熱筒18内壁の下方からでた空気を二次空気として燃焼しながら鍋13の底に当たっている。ガス供給管24には燃焼制御手段であるガス流量調節部28によってガス流量を調節することができるようになっており、使用者が操作部29のスイッチ操作をすることによってガス量が制御されバーナ14の火力を調節できるようになっている。
【0024】
そして、バーナ14の下方であってロッド22の下端に平板状の強磁性体である鉄製の磁界遮蔽板30が設けられ、この磁界可変手段である磁界遮蔽板30を挟んで相対向する位置に、磁石31と磁気感応スイッチであるリードスイッチ32が支持板20に固定され、これら上下動手段であるロッド22、磁界遮蔽板30、磁石31、リードスイッチ32で加熱容器検知手段としての鍋検知手段33が構成されている。
【0025】
温度センサー23は、鍋底形状が水平平面の鍋ばかりではなかったり、鍋の載置位置が中心からずれたりして、鍋13の温度検出面が水平でないこともあり、それでも対応して温度検出しなければならない。そのために温度センサー23の温度検出上面が水平から傾斜した面に対応できるように一般に温度センサー23は首振り自在に構成されているので、この構成であるとロッド22も鉛直方向から傾斜して上下することになる。
【0026】
そして、鍋検知手段33のロッド22の下端に、磁石31と制御部34に電気的に繋がったリードスイッチ32の間を出入りする磁界遮蔽板30が固定されているので、ロッド22が傾斜して上下してもリードスイッチ32に印加される磁界を変化させることができ、温度センサー23の首振りに容易に対応させることができるようになっている。
【0027】
リードスイッチ32はファン19の下流位置に設けられていて、温度センサー23を冷却する空気流によって冷却できるようになっている。マイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成された制御部34には、ガス流量調節部28や操作部29、鍋検知手段33などが電気的に接続されている。また制御部34には時間を計時するタイマー35が備わっており、操作部29には加熱容器検知解除設定手段である炒め物スイッチ36があり、さらにLEDランプ37、スピーカ38が設けられ、これらは制御部34に電気的に繋がっている。
【0028】
次に図3のように、着火状態の調理中に使用者によって鍋が持ち上げられた場合、温度センサー23およびロッド22はバネ21の付勢力により上方へ移動する。すると磁界遮蔽板30がロッド22とともに上方に移動するので、それまで磁石31から出て磁界遮蔽板30が短絡しリードスイッチ32への到達を遮られていた磁力線が、磁界遮蔽板30の上方移動にともないリードスイッチ32に届いて磁界が印加されるようになり、リードスイッチ32の接点がオンになる。
【0029】
このとき、制御部34は図2の流れ図に示すように、バーナ14が着火中(ステップ{以下Sと表示する}1)なのでタイマー35の積算時間tをt=0に初期化しており(S2)、炒め物スイッチ36が使用者にセットされていない場合は(S3)、このリードスイッチ32のオン変化を検出して鍋13が五徳12に載置されていないと判断し(S5)、タイマー35によって鍋なしの時間tを積算開始する(S6)。
【0030】
使用者が着火したまま鍋を持ち上げた後移動させて鍋なし状態がそのまま続き、鍋なしの積算時間tが第2の所定時間t2(例えば50秒)以上経過すると(S7)、LEDランプ37を点滅させるとともにスピーカ38から信号音を発して間もなく燃焼停止することを使用者に予告報知する(S8)。さらに着火したまま鍋なし状態が継続して積算時間tが第1の所定時間t1(例えば1分)に達すると(S9)、制御部34はガス流量調節部28に信号を出力してノズル25のガス噴出量を噴出停止まで絞り、バーナ14の燃焼を強制停止する(S10)。
【0031】
一方、火力確認などの短時間の鍋上げで第2の所定時間t2を経過せずに(S7)鍋13が五徳12に戻されて、磁界遮蔽板30の下方移動で磁力線が短絡されてリードスイッチ32の接点がオフすると、制御部34はバーナ14が着火(S4)したままで第2の所定時間t2経過前に五徳12に鍋が戻されたと判断できるので(S5)、積算時間tをt=0に初期化して(S2)そのまま燃焼を継続する。あるいは、使用者が鍋12を持ち上げた鍋なし状態で調理を続けて第2の所定時間t2を経過し(S7)、ランプ37の点滅と信号音(S8)とで第1の所定時間経過前(S9)に燃焼停止が近いことに気付いて鍋13を戻した場合も、リードスイッチ32の接点オフを制御部34で検出して(S5)、積算時間tをt=0に初期化して(S2)そのまま燃焼を継続できる。
【0032】
このように、使用者によって鍋13が持ち上げられたままであるにもかかわらず燃焼停止操作が行われない場合、制御部34は鍋検知手段33からの出力に基づき、着火後に鍋13がない出力が第1の所定時間以上、例えば1分以上続いたときにガス流量調節部28に信号を出力してノズル25のガス噴出量を最小燃焼量からさらに噴出停止まで絞り、バーナ14の燃焼を強制停止する。
【0033】
したがって、着火後に鍋がバーナ上から外され第1の所定時間以上経ったときはバーナの燃焼を停止し、調理のための鍋振りや火力の確認などの短時間の鍋上げでは反応しないので、使い勝手を損なわず、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防いで安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0034】
また、使用者が着火したまま鍋を外したことを忘れていても、第1の所定時間が経過する少し前の第2の所定時間経過後に、報知手段を作動して知らせるので注意を促すことができ、また鍋なしによる燃焼停止なのか立ち消えなどの別の理由による失火なのかの判別がしやすくなるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現し、無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止を図ることができる。
【0035】
一方、使用者がフライパンなどを使った炒め物料理をするような場合、調理のためにフライパンを振って、温度センサー23およびロッド22が上下したり、五徳12上に鍋など何も載せずに海苔を火炎で炙ったり軽い焼き網などを載せたりして温度センサー23とロッド22が下方に動かないような使われ方をすることもある。このような炒め物調理などの場合に鍋なしを検知して第1の所定時間後に燃焼を停止させてしまうと、調理継続中であるにもかかわらず火が消えてしまって使い勝手が悪くなる場合が生じる。
【0036】
しかしながら、操作部29に設けた鍋検知解除設定手段である炒め物スイッチ36を使用者が押すことによって、制御部34は電源投入後あらためて炒め物スイッチ36が押され鍋検知解除が設定されているかを判断し(S3)、鍋検知解除が設定されている場合は炒め物スイッチ36を再度押すことでこの設定が中止されるまで鍋検知手段33の鍋なし出力を検出せず、鍋なし状態で所定時間経過後であっても消火する動作を停止できるようになっている。
【0037】
これによって、使用者が鍋検知解除設定手段を設定することによって、炒め物調理を行う為にフライパンを振ったりした場合でも燃焼を停止する制御動作を停止できるので、フライパンを振っての炒め物や卵焼きなどの調理で第1の所定時間を超える長時間鍋を持ち上げていても、燃焼量をそのままに維持できて不便さがなくなる。したがって、鍋検知手段により無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止が可能となり、さらに使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器実現の両立を図ることができ、また調理性能もよくなる。
【0038】
この炒め物スイッチ36および制御部34は、電源を切ると設定状態の記憶内容が失われて鍋検知解除が設定されていないリセット状態に戻り、鍋なしによる燃焼停止の制御動作を再び実行する揮発性メモリ型のマイクロコンピュータで構成されている。したがって、使用者が炒め物スイッチ36を設定したまま使用を終え時間が経って再び電源を入れ使用を再開したときに、前回の使用で炒め物スイッチ36を設定したことを忘れていても、炒め物スイッチ36および制御部34は、電源を切ると記憶内容が失われているので鍋なしによる燃焼停止の制御動作を再び実行し、着火後に鍋がはずされ第1の所定時間以上経ったときはバーナの燃焼を停止し、使い勝手を損なわず、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぎ、安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0039】
そして、鍋検知手段33として上下動手段であるロッド22に直結する構成を用いることによって、マイクロスイッチを使用した従来の鍋検知手段のようにレバーやプランジャといった上下動手段に係合し連動する機構を設けていないので、煮零れによる可動部の固着に対する信頼性が高く、上下動手段の可動が確認できれば固着による鍋検知不良や、短絡による誤作動の心配がない。
【0040】
また、ロッド22に設けた磁界遮蔽板30による磁界変化をリードスイッチ32で捉えて鍋検知を行うので、マイクロスイッチのような機械式可動部がなく、かつリードスイッチ32の電気接点はガラス管内に不活性ガスで封入された高寿命なものなので、鍋の載せ下ろしが頻繁であっても高寿命である。
【0041】
これにより、確実な鍋検知を行って第1の所定時間以上、鍋がバーナ上から外されたときはバーナ14の燃焼を停止し、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぐことができるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。構成についても、対向する磁石31とリードスイッチ32の間を出入りするようにロッド22に磁界遮蔽板30を形成するだけの簡単構成であり、製造工程の簡略化や低コスト化が期待できる。
【0042】
そして特に、内向炎バーナは火炎を視認しづらく、弱火のまま使用していて時間が経ってしまうと消火したと勘違いして鍋を外して放置してしまう可能性が大きくなるが、鍋検知手段33の出力に基づいて内向炎バーナ14の燃焼を制御することができるので、視認性の悪い内向炎バーナであっても、バーナ上から短時間の鍋上げでは反応せず所定時間以上鍋が外されていると燃焼停止するので、使い勝手を損なわず、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険防止を図ることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では磁気感応スイッチとしてリードスイッチ32を用いたが、MRセンサ、ホールICなどの他の磁気感応手段を用いて磁気感応スイッチを構成しても良い。
【0044】
なお、上記実施の形態ではバーナ上の所定置から鍋を外し鍋のない状態にあって、先ず第2の所定時間でも鍋のない状態にある時にスピーカ38等で報知して警告するので、第2の所定時間が経過して次の所定時間になってもバーナ上の所定置に鍋のない状態が続いて制御部34によりガス流量制御部28を制御して燃焼停止させる前記の所定時間を、第2の所定時間との区別のため第1の所定時間としたものである。従って、第2の所定時間で警告の報知をする、または報知しない制御に拘わらず、第1の所定時間は本発明の課題を解決する所定の時間であれば良いものである。
【0045】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における燃焼加熱調理器の断面構成図である。なお、実施の形態1の燃焼加熱調理器と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。図4において、バーナ14の下方であってバネ41の内側にロッド42を中心としてコイル43が固定して設けられるとともに、ロッド42がステンレス材料で形成され、上下動手段であるステンレス製のロッド42とコイル43とで加熱容器検知手段としての鍋検知手段44が形成されている点にある。コイル43は制御部34に電気的に繋がっている。
【0046】
そして、バーナ14の着火状態の調理中に使用者によって鍋13が持ち上げられた場合、温度センサー23およびロッド42はバネ41の付勢力により上方へ移動する。するとコイル43中心の上端から下端までの上下高さ内において、その大部分に挿入されていたロッド42のステンレス部材が上端側へ移動して、コイル43中心の中空部分は殆どが空気だけとなるので自己インダクタンスが変化する(大きくなる)。
【0047】
鍋13が再び五徳12に載置された場合には、温度センサー23が押し下げられることによってロッド42が下方に移動し、コイル43内にロッド42が挿入されることでインダクタンス値が戻る(小さくなる)。このようにロッド42の上下動にともなうコイル43の自己インダクタンスの変化を、制御部34が検出してインダクタンス値が増大したときは鍋13が五徳12に載置されていないと判断し、積算時間tが第1の所定時間t1(例えば1分)以上経ったときはガス流量調節部28に信号を出力してノズル25のガス噴出を強制的に停止する。
【0048】
このように、鍋検知手段44として上下動手段であるロッド42に直結する構成を用いることによって、マイクロスイッチを使用した従来の鍋検知手段のようにレバーやプランジャといった上下動手段に係合し連動する機構を設けていないので、煮零れによる可動部の固着に対する信頼性が高く、上下動手段の可動が確認できれば固着による鍋検知不良や、短絡による誤作動の心配がない。また、コイル43の電気的変化を捉えて鍋検知を行うのでマイクロスイッチのような機械式可動部や電気接点がなく、鍋の載せ下ろしが頻繁であっても高寿命となり、確実な鍋検知を行って所定時間以上鍋が外されたときはバーナの燃焼を停止し、無駄な燃料消費を減らし、着衣着火や可燃物接触の危険を防ぐことができるので、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0049】
特に、内向炎バーナは火炎を視認しづらく、弱火のまま使用していて時間が経ってしまうと消火したと勘違いして鍋をバーナ上から外して放置してしまう可能性が大きくなるが、鍋検知手段44の出力に基づいて内向炎バーナ14の燃焼を制御することができるので、視認性の悪い内向炎バーナであっても、短時間の鍋上げでは反応せず所定時間以上鍋が外されていると燃焼停止するので、使い勝手を損なわずに安全で安心な燃焼加熱調理器を実現できる。
【0050】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における燃焼加熱調理器の断面構成図で、図6は同実施の形態3における燃焼加熱調理器の鍋検知解除レバーが上方にセットされた状態を示す断面構成図である。なお、実施の形態1および実施の形態2の燃焼加熱調理器と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0051】
図5および図6において、上下動手段であるロッド22には端部が係合する加熱容器検知解除レバーとしての鍋検知解除レバー51が設けられ、この鍋検知解除レバー51の支点52を挟む他端にはつまみ部53が形成されている。つまみ部53は本体11の前面パネル54から前方に臨んでおり、使用者がつまみ部53を上下させることで鍋検知解除レバー51が支点52を介したテコとなり、ロッド22および温度センサー23を上下できるようになっている。
【0052】
前面パネル54には鍋検知解除レバー51が通る部分に天地逆のJ字スリット(図示せず)があり、バネ21の反発力に抗して温度センサー23を五徳12上端より下方に移動させたまま、鍋検知解除レバー51をスリットに引っ掛けることでつまみ部53を図6に示すように上方に固定できるようになっている。そして、鍋検知解除レバー51は制御部34にある加熱容器検知解除設定手段としての鍋検知解除設定手段55と電気的にも繋がっており、つまみ部53をJ字状のスリット(図示せず)に沿って上方に移動させて固定した場合は制御部34でこれを検出し鍋なしによる燃焼停止の制御動作を停止するようになっている。
【0053】
上記のように構成された燃焼加熱調理器について、以下その動作・作用を説明する。使用者がフライパンなどを使った炒め物料理をするような場合や、五徳12上に鍋など何も載せずに海苔を火炎で炙ったり軽い焼き網などを載せたりする場合に、鍋検知解除レバー51をJ字状のスリットに沿って動かし、つまみ部53を上方に固定すると、制御部34は鍋検知解除レバー51によって鍋検知解除が設定されているかを判断し、鍋検知解除が設定されている場合は鍋検知手段33の鍋なし出力を検出せず、鍋なし状態で所定時間経過後であっても消火する動作を停止する。
【0054】
これによって、鍋検知解除設定手段55と鍋検知解除レバー51が連動して動作するので、使用者が鍋検知解除レバー51を操作して鍋検知解除設定手段55を設定することができ、このときに鍋検知解除レバー51と上下動手段であるロッド22が連動して五徳12より下方にロッド22が移動するので、炒め物調理を行うために頻繁にフライパンを振ったりしてもロッド22と温度センサー23が邪魔にならず、あるいは焼き網や卵焼器などの軽い鍋類でも安定して五徳12に載置できる。
【0055】
そして、鍋検知解除レバー51を操作することでロッド22が下方に位置するとともに、つまみ部53が上方に位置するので、鍋検知解除を設定中であることが分かりやすく、さらに鍋なしを検知して燃焼停止する制御動作を解除できるので、フライパンを振っての炒め物や卵焼きなどの調理で第1の所定時間を超える長時間、バーナ上から鍋を持ち上げていても、燃焼量をそのままに維持できて不便さがなく、無駄な燃料消費の削減と着衣着火や可燃物接触の危険防止と、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器の実現の両立を図ることができ、また調理性能もよくなる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる燃焼加熱調理器は、鍋がバーナへの載置状態に応じて、適切な加熱制御が行えて、調理の精度、安全性を向上させることができ、使い勝手を損なわず安全で安心な燃焼加熱調理器の実現の両立を図ることができるので、ガスバーナ以外の燃焼加熱調理を行う調理器具にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1における燃焼加熱調理器の断面構成図
【図2】本発明の実施の形態1における燃焼加熱調理器の制御動作を示す流れ図
【図3】本発明の実施の形態1における燃焼加熱調理器の鍋が上げられた状態を示す断面構成図
【図4】本発明の実施の形態2における燃焼加熱調理器の断面構成図
【図5】本発明の実施の形態3における燃焼加熱調理器の断面構成図
【図6】本発明の実施の形態3における燃焼加熱調理器の鍋検知解除レバーが上方にセットされた状態を示す断面構成図
【符号の説明】
【0058】
13 鍋(加熱容器)
14 内向炎バーナ(バーナ)
15 炎孔
22、42 ロッド(上下動手段)
28 ガス流量調節部(燃焼制御手段)
30 磁界遮蔽板(磁界可変手段)
32 リードスイッチ(磁気感応スイッチ)
33、44 鍋検知手段(加熱容器検知手段)
34 制御部
35 タイマー
36 炒め物スイッチ(加熱容器検知解除設定手段)
37 LEDランプ(報知手段)
38 スピーカ(報知手段)
43 コイル
51 鍋検知解除レバー(加熱容器検知解除レバー)
55 鍋検知解除設定手段(加熱容器検知解除設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理のための燃焼加熱を行うバーナと、前記バーナによって加熱される加熱容器の有無を検知する加熱容器検知手段と、前記加熱容器検知手段の検知に基づいて前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、時間を計時するタイマーを有し、前記加熱容器検知手段と燃焼制御手段を制御する制御部とを備え、前記制御部は着火後に前記加熱容器検知手段から加熱容器のない出力が前記タイマーの第1の所定時間以上続いたときに燃焼制御手段を制御してバーナの燃焼を停止するようにした燃焼加熱調理器。
【請求項2】
加熱容器なしによる燃焼停止の報知手段を備え、制御部は、着火後に第1の所定時間より短い第2の所定時間以上、加熱容器検知手段から加熱容器がない出力が続いたときに前記報知手段を作動させて使用者に報知し、その後第1の所定時間を経過するとバーナの燃焼を停止するようにした請求項1記載の燃焼加熱調理器。
【請求項3】
制御部は、加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を解除させる加熱容器検知解除設定手段を有する請求項1または請求項2に記載の燃焼加熱調理器。
【請求項4】
加熱容器検知解除設定手段および制御部は、電源を切ると記憶内容が失われて加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を再び実行する揮発性メモリ型である請求項3に記載の燃焼加熱調理器。
【請求項5】
加熱容器検知手段は、バーナの所定位置に加熱容器を載置したときに加熱容器底によって押し下げられるように上下動自在に設けられた上下動手段と前記上下動手段に設けた磁界可変手段と磁器感応スイッチによって構成され、前記磁器感応スイッチに加わる磁界の変化により前記加熱容器の検知を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼加熱調理器。
【請求項6】
加熱容器検知手段は、バーナの所定位置に加熱容器を載置したときに加熱容器底によって押し下げられるように上下動自在に設けられた上下動手段と前記上下動手段を略中心として配置されたコイルによって構成され、前記コイルの電気的変化により加熱容器の検知を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃焼加熱調理器。
【請求項7】
上下動手段に係合するとともに制御部の加熱容器検知解除設定手段と連動する加熱容器検知解除レバーを設け、前記加熱容器検知解除レバーを操作することで、前記制御部は加熱容器なしによる燃焼停止の制御動作を解除するよう設定されるとともに、前記上下動手段はその上端がバーナに設けられた五徳の上端よりも下方位置まで移動するようにした請求項5または請求項6に記載の燃焼加熱調理器。
【請求項8】
バーナは、内側に炎孔が列設された内向炎バーナに構成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃焼加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−300342(P2006−300342A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117885(P2005−117885)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】