説明

燃焼装置

【課題】簡単な構成にもかかわらず、燃焼性能をさらに向上させることができる燃焼装置を提供すること。
【解決手段】燃焼物の投入口11や空気供給口12を備える一次燃焼室10と排気口21を備える二次燃焼室20とに、天板部2aの内面から垂下された状態に固定されて下端縁32が底板部2bの内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔31を備える燃焼促進板30によって、区切られた燃焼装置であって、排気口21が二次燃焼室20の天板部2aに設けられ、排気口21を横切るように、燃焼促進板30と同等の少なくとももう一枚の燃焼促進板30が同様に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼物の投入口や空気供給口を備える一次燃焼室と排気口を備える二次燃焼室とに、天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔を備える燃焼促進板によって、区切られた燃焼空間を有する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、先に、薪などの固形状のあらゆる燃焼物を燃焼させるものであって、煙が発生しにくく高温燃焼が可能な燃焼性能の高い燃焼装置について特許を取得している。その燃焼装置によれば、燃焼室の天井面の一半を開閉自在な蓋体で構成することにより、燃焼物の投入口を兼ねた空気供給口を設け、該空気供給口と反対側の天井面若しくは側面には、煙突が接続する排気口を有しており、該排気口と、前記空気供給口との間の天井面からの燃焼促進板を垂設すると共に、該燃焼促進板の下端縁と前記燃焼室の床面との間に燃焼室の高さの1/3〜1/4の範囲の空隙を設けることにより、前記空気供給口が開口する一次燃焼室と前記排気口が開口する二次燃焼室とに燃焼室内を分画し、前記燃焼促進板には、一次燃焼室と二次燃焼室とを連通する多数の通孔が該促進板の全体に分散配設されていることを特徴とする(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、本願発明者は、先に、煙の発生をより抑制する燃焼性能の高い無煙燃焼装置について特許を取得している。その無煙燃焼装置によれば、燃焼室を構成する上部側の壁の一端部付近に、燃焼物投入口と空気供給口を兼ねる燃焼物・空気取入口を設け、その燃焼物・空気取入口に開閉自在な取入蓋を設置し、更にその燃焼室構成上部側壁の反対側にある他端部付近に、煙突設置用の排気口を設け、その燃焼室を燃焼物・空気取入口と排気口との間の排気口付近の天井側の壁から突出し垂下する燃焼促進板で仕切って、一次燃焼室と二次燃焼室に区画し、その燃焼促進板の下端縁と床側の壁との間に一次燃焼室と二次燃焼室を連通する下部空隙を設け、その燃焼促進板のほぼ全体に一次燃焼室と二次燃焼室を連通する多数の貫通孔を分散配設してなる燃焼装置であって、上記二次燃焼室を構成する壁の排気口より下方側の壁に乾燥木投入口を設け、その乾燥木投入口に乾燥木投入用のガイド筒を設置し、燃焼物を燃焼させる場合、先に燃焼物・空気取入口から乾燥木を一次燃焼室内に投入し、予備燃焼を行って、燃焼室内を高温の定常状態にすると共に、多量のおき火を作り、そのおき火を燃焼室の底全体に広げることを特徴とする(特許文献2参照)。
【0004】
以上の燃焼装置や無煙燃焼装置によれば、燃焼促進板が効果的に加熱されることで着火より短時間で燃焼が定常化でき、煙の発生を抑制できると共に、高温燃焼ができるため、固形状のあらゆる燃焼物を効果的に燃焼させることができる。
しかしながら、さらに性能を向上させるためには、例えば送風機によって強制的に空気を送り込むことが考えられるが、電源を確保する必要が生じると共に装置が複雑化及び高コスト化するという課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3066066号公報(請求項1、第1図)
【特許文献2】特許第4465013号公報(請求項1、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃焼装置に関して解決しようとする問題点は、前記の燃焼装置や無煙燃焼装置の燃焼性能を、装置の複雑化や高コスト化を伴わないで、さらに向上させることが難しい点にある。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成にもかかわらず、燃焼性能をさらに向上させることができる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる燃焼装置の一形態によれば、燃焼物の投入口や空気供給口を備える一次燃焼室と排気口を備える二次燃焼室とに、天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔を備える燃焼促進板によって、区切られた燃焼空間を有する燃焼装置であって、前記排気口が前記二次燃焼室の天板部に設けられ、該排気口を横切るように、前記燃焼促進板と同等の少なくとももう一枚の燃焼促進板が同様に固定されている。
【0008】
また、本発明にかかる燃焼装置の一形態によれば、複数の前記燃焼促進板の下端縁と底板部の内面との間隔が、燃焼室の高さの1/3〜1/4の範囲に設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる燃焼装置の一形態によれば、前記一次燃焼室と前記二次燃焼室とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部と筒体状の周壁板部とによって形成され、複数の前記燃焼促進板と前記二次燃焼室側の前記端板部の内面とが所要の間隔で且つ平行に配されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる燃焼装置の一形態によれば、前記一次燃焼室と前記二次燃焼室とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部と筒体状の周壁板部とによって形成され、前記一次燃焼室側の前記端板部に燃焼物の投入口が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる燃焼装置の一形態によれば、前記二次燃焼室を構成する周壁板部の前記排気口より下方側の部分に乾燥木投入口が設けられ、該乾燥木投入口に乾燥木投入用のガイド筒が設置されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の燃焼装置によれば、簡単な構成の追加にもかかわらず、燃焼性能をさらに向上できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る燃焼装置の形態例を示す断面図である。
【図2】図1の形態例の扉を開いた状態の正面図である。
【図3】図1の形態例の扉を閉じた状態の平面図である。
【図4】本発明に係る燃焼装置の他の形態例を示す側面図である。
【図5】図4の形態例の扉を開いた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の燃焼装置に係る形態例を、添付図面(図1〜3)に基づいて詳細に説明する。
この燃焼装置は、燃焼物の投入口11や空気供給口12を備える一次燃焼室10と排気口21を備える二次燃焼室20とに、天板部2aの内面から垂下された状態に固定されて下端縁32が底板部2bの内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔31を備える燃焼促進板30によって、区切られた燃焼空間を有するものである。一次燃焼室10と二次燃焼室20とが、水平方向に並ぶことになり、横置き型の燃焼装置になっている。
【0014】
そして、排気口21が二次燃焼室20の天板部2aに設けられ、その排気口21を横切るように、一次燃焼室10と二次燃焼室20とを区切る燃焼促進板30と同等の少なくとももう一枚の燃焼促進板30が同様に固定されている。排気口21の開口が、少なくとも一枚の燃焼促進板30によって分割されるように、その燃焼促進板30が配されている。
本形態例では、二枚の燃焼促進板30が排気口21を横切るように配され、合計で三枚の燃焼促進板30が設けられている。燃焼促進板30の枚数は、本形態例に限定されるものではなく、排気口21の大きさによって適宜選択的に決定すればよい。また、本形態例の燃焼促進板30は、基本形状が平板状の仕切板であって、赤熱可能な金属板である。
【0015】
本形態例の排気口21は、二次燃焼室20の左右方向の中央にあり、この排気口21に、煙突5が天面から実質的に鉛直に上方へ延びるように接続される。
また、本形態例の二次燃焼室20は、前後方向の巾が煙突5の径よりも若干大きい程度に設けられ、偏平な形状で、一次燃焼室10の容積に比べて小さくなっている。
【0016】
以上のように複数の燃焼促進板30を備える燃焼装置によれば、燃焼空気の好適な対流効果によって二次燃焼室20をより効果的に加熱できると共に、燃焼空気の排気をスムースにする整流効果があり、燃焼性能を向上させることができる。
本発明に係る複数の燃焼促進板30を備える燃焼装置は、燃焼促進板30が一枚のみの燃焼装置に比べ、煙突5から排出される単位時間当たりのダスト流量を減少させ、煙突5の表面温度を低く抑え、且つ、天板部2aの表面温度を高くすることができ、極めて燃焼性能の高い理想的な燃焼装置になっている。
【0017】
また、複数の燃焼促進板30の下端縁32と底板部2bの内面との間隔は、燃焼空気が適切に流通できる空隙が設けられるように設定すればよい。本形態例では、複数の燃焼促進板30の下端縁32と底板部2bの内面との間隔が、燃焼室の高さの1/3〜1/4の範囲に設けられている。
また、燃焼促進板30に設けられた多数の貫通孔31の開口率が15%〜25%であるとよい。この多数の貫通孔31によれば、一次燃焼室10から二次燃焼室20へ通気する燃焼空気の流れのバランスが崩れようとする際に、自動的に修正する機能があり、安定的な燃焼を実現できる。
【0018】
また、本形態例では、一次燃焼室10と二次燃焼室20とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部3a、3bと筒体状の周壁板部2とによって形成され、複数の燃焼促進板30と二次燃焼室側の端板部3bの内面とが所要の間隔で且つ平行に配されている。複数の燃焼促進板30の加熱をバランスよく効果的に行うことができ、排気をバランスよく流して整流効果を向上させることができるため、燃焼性能をより向上できる。
【0019】
また、本形態例では、一次燃焼室10と二次燃焼室20とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部3a、3bと筒体状の周壁板部2とによって形成され、一次燃焼室側の端板部3aに燃焼物の投入口11が設けられている。これによれば、燃焼空気の洩れが少なく、燃焼物を燃焼室の適切な位置へ投入し易い適切な形態とすることができる。
なお、周壁板部2は、図2に示す角筒状や、図5に示す円筒状などの筒体状に形成することができ、天板部2a、左右の側板部、及び底板部2bによって構成される。また、本形態例において、13は扉であり、燃焼物の投入口11を開閉できるように形成され、スモークのかかった半透明の窓を備えている。14は蓋体であり、空気供給口12を開閉できるように設けられている。
【0020】
次に、本発明の燃焼装置に係る他の形態例を、添付図面(図4、5)に基づいて詳細に説明する。
この形態例によれば、二次燃焼室20を構成する周壁板部2の排気口21より下方側の部分に乾燥木投入口40が設けられ、その乾燥木投入口40に乾燥木投入用のガイド筒41が設置されている。
これによれば、予備燃焼により燃焼促進板30が発熱状態となって、二次燃焼室20内が高温に保持されているので、乾燥木の下部先端から急激に燃焼が始まる。その際、煙突の吸引力も大きく保持される。そして、二次燃焼室20内では乾燥木が先端から燃えても、ガイド筒に沿って乾燥木が自然落下し、同一位置に順次供給されるので、二次燃焼室20内を一段と高温の状態にして保持できる。このため、二次燃焼室20内で高温燃焼がなされ、無煙状態になって、燃え残りもでず、発生する灰の量を極めて少なくできる。
【0021】
また、二次燃焼室20を構成する下部側の壁(本形態例では、二次燃焼室側の端板部2bの下部)にエアーダンパー44を設置することで、無煙状態となるようにエアーダンパー44を操作して二次燃焼室内に必要な空気量を簡単に供給できる。
【0022】
また、二次燃焼室20を構成する壁の最頂部付近((本形態例では、周壁板部2の後部の天板部)に排気口21を設けて、煙突5をほぼ垂直に設置し、その煙突5の中心線と乾燥木投入用のガイド筒41の中心線が二次燃焼室20の床中央付近で交差し或いは交差する程接近するように、煙突5の中心線に対し乾燥木投入用のガイド筒41の中心線を傾斜させることで、乾燥木の下部先端が燃えても、煙突の中心線が達する床中央付近にガイド筒41に沿う乾燥木の自然落下によって、その下部先端を絶えず供給できる。それ故、乾燥木の継続的な燃焼によって、二次燃焼室20内を一段と高温状態にして、その温度を簡単に保持できる。
【0023】
また、二次燃焼室20を構成する下部側の壁に灰取出口42を設け、その灰取出口42にエアーダンパー44付きの開閉自在な取出蓋43を設置することで、取出蓋43を開けて、二次燃焼室20又は一次燃焼室10内に溜まった余分の灰を取り出し、或いは各燃焼室内に溜まった灰を平らにならし、一定の厚みにする等して次回の燃焼に備えた準備を簡単に行える。
【0024】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0025】
2 周壁板部
2a 天板部
2b 底板部
3a 一次燃焼側の端板部
3b 二次燃焼側の端板部
5 煙突
10 一次燃焼室
11 燃焼物の投入口
12 空気供給口
20 二次燃焼室
21 排気口
30 燃焼促進板
31 貫通孔
32 下端縁
40 乾燥木投入口
41 ガイド筒
42 灰取出口
43 取出蓋
44 エアーダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼物の投入口や空気供給口を備える一次燃焼室と排気口を備える二次燃焼室とに、天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔を備える燃焼促進板によって、区切られた燃焼空間を有する燃焼装置であって、
前記排気口が前記二次燃焼室の天板部に設けられ、該排気口を横切るように、前記燃焼促進板と同等の少なくとももう一枚の燃焼促進板が同様に固定されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
複数の前記燃焼促進板の下端縁と底板部の内面との間隔が、燃焼室の高さの1/3〜1/4の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記一次燃焼室と前記二次燃焼室とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部と筒体状の周壁板部とによって形成され、複数の前記燃焼促進板と前記二次燃焼室側の前記端板部の内面とが所要の間隔で且つ平行に配されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記一次燃焼室と前記二次燃焼室とを備える燃焼空間が、前後一対の端板部と筒体状の周壁板部とによって形成され、前記一次燃焼室側の前記端板部に燃焼物の投入口が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記二次燃焼室を構成する周壁板部の前記排気口より下方側の部分に乾燥木投入口が設けられ、該乾燥木投入口に乾燥木投入用のガイド筒が設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−37174(P2012−37174A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179211(P2010−179211)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【特許番号】特許第4785980号(P4785980)
【特許公報発行日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(593190928)株式会社モキ製作所 (11)
【Fターム(参考)】