説明

燃焼装置

【課題】燃焼用空気を供給するファンの吐出圧をシグナル圧として利用してバーナへの燃料供給圧を制御する燃焼装置において、燃料の種類が変更された場合であってもその燃料に適切に対応した空燃比を得ることが可能な燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼装置C1は、バーナ2に燃焼用空気を供給するファン3の吐出圧をシグナル圧として検出するためのシグナル圧検出部として、値が相違する2種類のシグナル圧Ps1,Ps2を検出することが可能な第1および第2のシグナル圧検出部31,32を有しており、制御手段8は、バーナ2に供給される燃料の種類を判別し、かつこの判別した燃料の種類に応じて、2種類のシグナル圧Ps1,Ps2の一方を選択し、この選択されたシグナル圧を圧力調整弁Vbに供給する動作制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガス給湯装置の構成要素などとして好適に用いることが可能な燃焼装置、さらに詳しくは、燃料の種類の変更に好適に対処し得るように構成された燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンを利用してバーナに燃焼用空気を供給する燃焼装置においては、空燃比を一定にして燃焼性を良好にすることが望まれる。そこで、従来においては、均圧弁と称されるタイプの圧力調整弁を利用し、バーナに対する燃料供給圧を制御する手段がある(たとえば、特許文献1,2を参照)。前記圧力調整弁は、ファンの吐出圧をシグナル圧として利用し、バーナに対する燃料供給圧を前記シグナル圧に対応した圧力に制御する。このような構成によれば、たとえばファンからバーナへの燃焼用空気の供給量が多く、ファンの吐出圧が高いときには、これに対応してバーナへの燃料供給量も多くなり、空燃比の一定化を図ることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、燃料の種類が変更された際に不具合を生じる場合があり、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、燃焼装置においては、たとえば燃料が12Aガスから13Aガスに変更されるなどして、燃料の発熱量が変わる場合がある。このような場合、変更後の燃料の発熱量に対応した空燃比に設定することが望まれるが、従来においては、そのようなことに好適に対処することは困難であり、燃焼性が悪化する虞があった。より具体的に説明すると、従来においては、燃料の種類の変更があった場合に、変更後の燃料の種類に対応させてファンの回転速度を変更し、バーナに供給される燃焼用空気の量を調整する手段がある。ところが、このような手段を、前記圧力調整弁を備えた燃焼装置にそのまま採用しても、種類変更後の燃料に適合した適切な空燃比は得られない。燃料の種類の変更に対応してファンの回転速度を変更すると、ファンの吐出圧(シグナル圧)が変化し、これに伴って燃料供給圧や燃料供給量も変更されるために、結局は、燃料変更前の空燃比が維持されるに過ぎず、変更後の燃料に適した空燃比は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−107865号公報
【特許文献2】特開昭60−26220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、燃焼用空気を供給するファンの吐出圧をシグナル圧として利用してバーナへの燃料供給圧を制御する燃焼装置において、燃料の種類が変更された場合であってもその燃料に適切に対応した空燃比を得ることが可能な燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される燃焼装置は、バーナに燃焼用空気を供給するファンと、このファンの吐出圧をシグナル圧として検出するためのシグナル圧検出部と、前記
シグナル圧を受け、かつ前記バーナに向けて燃料を供給する燃料供給路内の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な圧力調整弁と、を備えている、燃焼装置であって、前記シグナル圧検出部として、互いに異なる配置に設けられ、かつ前記シグナル圧として値が相違する2種類のシグナル圧を検出することが可能な第1および第2のシグナル圧検出部が設けられており、前記バーナに供給される燃料の種類を判別し、かつこの判別した燃料の種類に応じて、前記2種類のシグナル圧の一方を選択し、この選択されたシグナル圧を前記圧力調整弁に供給する動作制御を実行可能な制御手段を、さらに備えていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、発熱量が多い燃料が用いられている場合には、空燃比を大きめにし、発熱量が少ない燃料が用いられている場合には、空燃比を小さめにすることが望まれる。これに対し、前記した構成においては、第1および第2のシグナル圧検出部で検出される2種類のシグナル圧のうち、いずれを利用するかによって空燃比は異なったものとなる。制御手段は、燃料の種類を判別し、かつ2種類のシグナル圧のうち、燃料の種類に応じた一方のシグナル圧を選択するために、燃料を適切に燃焼させるのに好ましい空燃比に設定することが可能となる。このようなことから、燃料の種類が変更された場合であっても、変更後の燃料に適合する空燃比に設定し、燃焼性を良好にすることができる。
【0010】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、バーナに燃焼用空気を供給するファンと、このファンの吐出圧をシグナル圧として検出するためのシグナル圧検出部と、前記シグナル圧を受け、かつ前記バーナに向けて燃料を供給する燃料供給路内の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な圧力調整弁と、を備えている、燃焼装置であって、前記燃料供給路には、前記圧力調整弁による圧力制御対象領域として、燃料流通方向の上流側および下流側に相対的に位置する第1および第2の制御対象領域が設けられており、前記バーナに供給される燃料の種類を判別し、かつこの判別した燃料の種類に応じて、前記第1および第2の制御対象領域の一方を選択し、この選択された領域の圧力を前記圧力調整弁による制御対象とする動作制御を実行可能な制御手段を、さらに備えていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、前記した構成では、第1および第2の制御対象領域のいずれを制御対象領域とするかによって、バーナに対する燃料の供給圧や供給量は異なったものとなる。これは、燃料供給路内においては下流側に進むほど燃料供給圧が低くなり、燃焼供給路の下流側のバーナに近い領域を所定圧に設定した場合にはバーナへの供給圧が前記所定圧と殆ど変わらないのに対し、燃料供給路の上流側のバーナから遠い領域を所定圧に設定した場合には比較的大きめの圧力低下を生じた状態でバーナへの燃料供給がなされることから理解されるであろう。したがって、第1および第2の制御対象領域のうち、いずれを制御対象とするかによって空燃比は異なったものとなる。制御手段は、燃料の種類を判別し、かつ第1および第2の制御対象領域のうち、燃料の種類に応じた一方の領域を選択するために、実際の燃料を適切に燃焼させるのに好ましい空燃比に設定することが可能となる。その結果、本発明の第1の側面によって提供される燃焼装置と同様に、燃料の種類が変更された場合であっても、変更後の燃料に適合する空燃比に設定し、燃焼性を良好にすることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記圧力調整弁として、前記燃料供給路の途中に設けられて前記燃料供給路の1次側流路から2次側流路への燃料流量を変更可能な主圧力調整弁と、この主圧力調整弁とは別体で構成され、かつ前記1次側流路および前記2次側流路に接続された補助圧力調整弁とがあり、前記シグナル圧検出部からのシグナル圧が前記補助圧力調整弁によって受けられることにより、前記主圧力調整弁は、前記2次側流路の圧力
を前記シグナル圧に対応した値となるように動作する構成とされている。
【0013】
このような構成によれば、1つの圧力調整弁のみを用いて燃料ガス圧を調整する場合と比較すると、全体の部品点数は増加するものの、全体の大型化を抑制しつつ、本発明が意図する効果を適切に得ることが可能である。すなわち、補助圧力調整弁は、主圧力調整弁をコントロールする機器としての役割を果たすものであるが、この補助圧力調整弁については、相当に小さいサイズに形成することができる。これに対し、主圧力調整弁は、燃料供給路の途中に設けられて、バーナに供給される燃料の制御を行なうものであるため、それ相応のサイズに形成する必要があるが、この主圧力調整弁については、可動部分のストロークを小さくするなどして、その大型化を極力抑制することが可能であり、このことが全体の小サイズ化を図る上での利点となる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用された燃焼装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す燃焼装置に用いられている補助圧力調整弁を示す断面図である。
【図3】図1に示す燃焼装置に具備された制御部の動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明が適用された燃焼装置の他の例を模式的に示す断面図である。
【図5】図4に示す燃焼装置に具備された制御部の動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1に示す燃焼装置C1は、湯水加熱用の熱交換器19を備えたガス給湯装置として構成されており、缶体1内に配されたガスバーナ2、ファン3、ガス管40からガス噴出ノズルヘッド41まで一連に繋がって形成された燃料供給路4、開閉弁Vc、主圧力調整弁Va、補助圧力調整弁Vb、制御部8、および切替弁82を備えている。主圧力調整弁Vaおよび補助圧力調整弁Vbは、本発明でいう圧力調整弁の具体例に相当し、これらが協働することにより、後述するように燃料供給圧を所定圧に制御する機能を発揮する。
【0018】
ファン3は、たとえばシロッコファンであり、缶体1内に燃焼用空気を送り込む。このファン3の吐出口の内部またはその近傍には、ファン3の吐出圧を2種類のシグナル圧Ps1,Ps2として検出するための第1および第2のシグナル圧検出部31,32が設けられている。ただし、これらの構成の詳細については後述する。ガス噴出ノズルヘッド41は、燃料供給路4の末端に位置し、ノズル41aから燃料ガスを噴出する。噴出された燃料ガスは、燃焼用空気と混合された状態でガスバーナ2に供給されて燃焼する。この燃焼により発生した燃焼ガスからは、熱交換器19によって熱回収がなされ、熱交換器19内を流通する湯水が加熱される。熱回収後の燃焼ガスは、排ガスとして排気口11から排出される。
【0019】
燃料供給路4は、燃料ガスを供給してくるガス管40に、開閉弁Vcおよび主圧力調整弁Vaが接続された構成を有している。図面では、主圧力調整弁Vaとガス噴出ノズルヘッド41がガス管40aを介して接続されているが、これらは直結することもできる。開閉弁Vcは、燃料ガス供給のオン・オフを行なうためのものであり、従来既知のものと同様に、ソレノイド50を利用して弁本体部51を往復動させる機構を備えている。
【0020】
主圧力調整弁Vaは、開閉弁Vcの下流側に接続されている。この主圧力調整弁Vaの基本的な構成は従来の伝統的な圧力調整弁と同様であり、燃料ガスの1次側流路4aと2次側流路4bとの境界の調圧穴42を開閉する弁本体部60、この弁本体部60を支持するダイヤフラムD1、および戻し用のバネ62を有している。ダイヤフラムD1は、燃料ガスの2次圧P2と、受圧室63に供給される後述の制御圧Pdを受ける。
【0021】
補助圧力調整弁Vbは、燃料供給路4内の圧力を直接制御するものではなく、主圧力調整弁Vaをコントロールするものである。図1においては、説明の便宜上、主圧力調整弁Vaおよび補助圧力調整弁Vbのサイズに余り大きな差がないように示されている。ただし、本実施形態における補助圧力調整弁Vbは、実際には、主圧力調整弁Vaよりもかなり小さいサイズ(たとえば、縦横の幅および高さのそれぞれの寸法が、主圧力調整弁Vaの1/4〜1/7程度の寸法以下に抑えられた小サイズ)である。
【0022】
図2によく表われているように、補助圧力調整弁Vbは、ダイヤフラムD2によって内部が受圧室75aと2次圧室75bとに区画されたケーシング70、第1および第2のバネS1,S2、調圧穴71を有する筒状の調圧穴形成部72、ならびに弁本体部73を備えている。弁本体部73は、ダイヤフラムD2のうち、調圧穴71に対面する部分であり、ダイヤフラムD2が、図2の下向きに移動して調圧穴71に接近すると、調圧穴71を通過する燃料ガスの量は減少する。
【0023】
調圧穴形成部72には、第1の流路74aが接続されている。この第1の流路74aは、図1に示すように、オリフィス49を有し、燃料供給路4の1次圧P1を調圧穴形成部72に供給する。第1の流路74aには、第2の流路74bが繋がっており、主圧力調整弁Vaの受圧室63には、この第2の流路74b内の圧力である制御圧Pdが作用する。この制御圧Pdは、補助圧力調整弁Vbの弁開度に対応する。すなわち、弁本体部73と調圧穴71との距離が大きいと、第1の流路74aの燃料ガスが第2の流路74bに多く流れるために、制御圧Pdは低くなる。これとは反対に、前記の距離が小さくなると制御圧Pdは高くなる。2次圧室75bは、第3の流路74cを介して燃料供給路4の2次側流路4bと連通している。したがって、2次圧室75bの圧力は、2次側流路4bの2次圧P2と等しい。
【0024】
受圧室75aには、第1および第2のシグナル圧検出部31,32で検出された2種類のシグナル圧Ps1,Ps2のいずれか一方が、第4の流路74dを介して選択的に供給される。この選択動作は、切替弁82を利用した制御部8の制御により行なわれる。第1のシグナル圧検出部31は、第2のシグナル圧検出部32よりも空気吐出方向上流に位置している。このような配置の相違に基づき、シグナル圧Ps1,Ps2の値は相違したものとなる。本実施形態では、第1および第2のシグナル圧検出31,32よりも下流側に、抵抗板39が設けられている。この抵抗板39は、シグナル圧Ps1,Ps2を高めて、2次圧P2を高めるのに役立つ。抵抗板39の上流域においてはこの抵抗板39に接近する箇所ほど圧力は高い。したがって、本実施形態では、Ps2>Ps1の関係にある。ただし、本実施形態とは異なり、抵抗板39が設けられていない場合には、前記とは反対に、Ps1>Ps2の関係となる。
【0025】
主圧力調整弁Vaおよび補助圧力調整弁Vbにおいては、次のような動作により2次圧P2が制御される。すなわち、補助圧力調整弁Vbの受圧室75aに、たとえばシグナル圧Ps1が供給された場合、ダイヤフラムD2はこのシグナル圧Ps1によって押され、調圧穴71を塞ぐ方向に移動する。この場合、シグナル圧Ps1のダイヤフラムD2に対する押圧力と第1のバネS1の押圧力との和が、2次圧P2のダイヤフラムD2に対する押圧力と第2のバネS2の押圧力との和と釣り合う位置にダイヤフラムD2が移動する。制御圧Pdは、既述したように、ダイヤフラムD2の位置に左右される。主圧力調整弁V
aにおいては、制御圧Pdによって、ダイヤフラムD1が弁開度を大きくする方向に移動するが、この場合、2次圧P2が補助圧力調整弁Vbに供給されているシグナル圧Ps1と釣り合う位置に移動することとなる。このようなことにより、2次圧P2をシグナル圧Ps1に対応した圧力(たとえば、同一圧)に制御することができる。シグナル圧Ps1に代えて、シグナル圧Ps2が利用される場合には、2次圧P2がシグナル圧Ps2に対応した圧力となることは勿論である。
【0026】
制御部8は、本発明でいう制御手段の一例であり、マイクロコンピュータなどを用いて構成されている。この制御部8は、燃焼装置C1の各部の動作制御や各種のデータ処理を実行する。このような処理の1つとして、バーナ2に供給されてくる燃料ガスの種類を判断し、かつその判断結果に応じて、シグナル圧Ps1,Ps2の一方を選択し、この選択されたシグナル圧を受圧室75aに供給させる制御を実行する。この制御は、切替弁82を利用して実行される。燃料ガスの種類の判断手法自体は、従来より既知であり(たとえば、特開2003−194330号公報、特開昭58−214713号公報、特開昭56−162319号公報、特公平06−37971号公報などに記載)、本実施形態では、そのような既知の手法を用いることが可能である。一例を挙げると、たとえばバーナ2を実際に駆動させた際の出力号数と、その際の目標燃焼号数とを比較して、その差に基づき燃料ガスの種類を判断する手法を用いることができる。本実施形態の燃焼装置C1は、後述するように、燃料ガスが「12A」,「13A」のいずれの場合にも対応できるように構成されている。なお、燃料ガス「12A」,「13A」は、「13A」の方が「12A」よりも発熱量が高い関係にある。
【0027】
次に、前記した燃焼装置C1の作用について説明する。併せて、制御部8による動作処理手順の一例について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0028】
まず、制御部8は、初期設定として、たとえば燃料ガス「13A」に対応した設定を行なっている(S1)。この燃料ガス「13A」に対応した設定では、シグナル圧Ps1,Ps2のうち、低圧側のPs1が選択されて受圧室75aに供給される。ファン3の回転速度も、「13A」に対応して予め設定された速度とされる。
【0029】
バーナ2の駆動燃焼時において、制御部8は、燃料ガスの種類を常時または略常時判別している(S2)。その結果、燃料ガスが「13A」の場合には、前記した初期設定状態が継続される(S3:YES,S5(S1))。したがって、燃料供給路4の2次圧P2は、シグナル圧Ps1に対応した値となり、後述する燃料ガス「12A」の場合よりも低めの値とされる。その結果、空燃比がやや大きくなり、発熱量が大きめである燃料ガス「13A」の燃焼性を良好な状態にすることができる。
【0030】
次いで、燃料ガスが「13A」から「12A」に変更され、制御部8がその旨を判別した場合には、「12A」に対応した設定内容に切り替えられる(S3:NO,S4)。この切り替えは、切替弁82を動作させることによりなされ、このことによりシグナル圧Ps1に代えて、シグナル圧Ps2が受圧室75aに供給される。ファン3の回転速度制御についても「12A」用として予め設定された内容に切り替える。このような切り替えがなされると、2次圧P2は、シグナル圧Ps2に対応したものとなり、先の「13A」の場合よりも高い圧力となる。このため、空燃比がやや小さくなり、発熱量が小さめである燃料ガス「12A」の燃焼性を良好な状態にすることができる。このように、この燃焼装置C1においては、燃料ガスが「13A」,「12A」のいずれの場合であっても、その燃料ガスに適合した空燃比に設定することができる。
【0031】
図4は、本発明に係る燃焼装置の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一符号を付すこととし、重複説明は
省略する。
【0032】
図4に示す燃焼装置C2においては、シグナル圧検出部33が1箇所のみ設けられており、このシグナル圧検出部33で検出される1種類のシグナル圧Psが補助圧力調整弁Vbの受圧室75aに供給されるように構成されている。ただし、燃料供給路4の2次側流路4bには、圧力制御対象領域として、第1および第2の制御対象領域A1,A2が設けられている。
【0033】
より具体的には、第1の制御対象領域A1は、2次側流路4bの上流側領域であり、第2の制御対象領域A2は、それよりも下流側の領域である。補助圧力調整弁Vbの2次圧室75bは、第1および第2の制御対象領域A1,A2に開口するポート68a,68bに対し、第3の流路74c,74c’を介して接続されている。第3の流路74c,74c’には切替弁83が設けられており、この切替弁83の切り替え動作によって、第1および第2の制御対象領域A1,A2のうち、いずれか一方を選択的に2次圧室75bと連通させることが可能である。切替弁83の動作は、制御部8により制御される。制御部8は、前記実施形態と同様に、燃料ガスの種類を判別するが、この判別した燃料の種類に応じて、第1および第2の制御対象領域A1,A2の一方を選択し、この選択された領域を圧力制御対象とする制御を行なう。
【0034】
次に、燃焼装置C2の作用について説明する。併せて、制御部8の動作処理手順の一例について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0035】
まず、制御部8は、前記実施形態と同様に、初期設定として、たとえば燃料ガス「13A」に対応した設定を行なっている(S1’)。本実施形態における初期設定では、ファン3の回転速度が「13A」に対応した速度に設定されることに加え、第1および第2の制御対象領域A1,A2のうち、第1の制御対象領域A1が選択されて2次圧室75bと連通した状態に設定される。
【0036】
バーナ2の駆動燃焼時において、制御部8は、前記実施形態と同様に、燃料ガスの種類を常時または略常時判別しており(S2)、燃料ガスが「13A」の場合には、前記した初期設定状態が継続される(S3:YES,S6(S1’))。この場合、第1の制御対象領域A1の2次圧Pは、シグナル圧Psに対応した値(たとえば、シグナル圧Psと同一圧)に制御される。一方、この第1の制御対象領域A1は、2次側流路4bの上流側に位置しているが、2次側流路4b内は下流側に進むほど燃料圧が低下する。したがって、この第1の制御対象領域A1のかなり下流側に位置するガス噴出ノズルヘッド41内の圧力P2”は、正確には、2次圧P2よりも低い圧力となり、後述する燃料ガス「12A」の場合よりも低い値となる。その結果、空燃比がやや大きくなり、発熱量が大きめの燃料ガス「13A」の燃焼性は良い。
【0037】
次いで、燃料ガスが「13A」から「12A」に変更され、制御部8がその旨を判別した場合には、「12A」に対応した設定内容に切り替えられる(S3:NO,S4’)。この切り替えは、ファン3の回転速度制御の内容を変更することに加え、切替弁82を動作させることによりなされ、このことにより第1の制御対象領域A1に代えて、第2の制御対象領域A2が2次圧室75bに連通する。このような設定下においては、第2の制御対象領域A2における2次圧P2’が、シグナル圧Psに対応した圧力となる。第2の制御対象領域A2は、第1の制御対象領域A1よりも下流側に位置しているために、この第2の制御対象領域A2からガス噴出ノズルヘッド41に至るまでの圧力低下量は少ない。したがって、ガス噴出ノズルヘッド41内の圧力P2”は、「13A」の場合よりも高くなる。その結果、空燃比はやや小さくなり、発熱量が小さめの燃料ガス「12A」の燃焼性は良い。このように、この燃焼装置C2においても、燃料ガスが「13A」,「12A
」のいずれの場合にもその燃料ガスに適合した空燃比に設定し、良好な燃焼性能を確保することができる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る燃焼装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0039】
上述した実施形態では、圧力調整弁として、主圧力調整弁Vaおよび補助圧力調整弁Vbを用いているが、本発明でいう圧力調整弁は、そのような構成とされていなくてもよい。たとえば特許文献1,2と同様に、1つの圧力調整弁のみを用いた構成とすることもできる。
【0040】
本発明では、2種類の燃料に対応するように構成しているが、これをさらに発展させて、3種類あるいはそれ以上の種類の燃料に対応し得るように構成することもできる。たとえば、3種類の燃料に対応する場合、第1および第2のシグナル圧検出部に加えて、これらとは異なる位置でシグナル圧を検出する第3のシグナル圧検出部をさらに設け、3種類のシグナル圧のうちのいずれかに基づいて燃料供給圧を制御するように構成すればよい。あるいは、第1および第2の制御対象領域に加えて、第3の制御対象領域を設ければよい。ただし、このような構成の場合であっても、第1および第2のシグナル圧検出部を有し、または第1および第2の制御対象領域を有しているため、本発明の技術的範囲に包摂されることとなる。燃料の種類は、燃料ガス「12A」,「13A」に限定されない。
【0041】
本発明に係る燃焼装置は、熱交換器を備えた給湯装置などの温水装置に代えて、たとえばファンヒータ、コンロ、焼却用燃焼装置などの燃焼装置として構成することもできる。
【符号の説明】
【0042】
C1,C2 燃焼装置
A1,A2 第1および第2の制御対象領域
Va 主圧力調整弁(圧力調整弁)
Vb 補助圧力調整弁(圧力調整弁)
Ps,Ps1,Ps2 シグナル圧
P2,P2’ 2次圧
2 バーナ
3 ファン
4 燃料供給路
8 制御部(制御手段)
31,32 第1および第2のシグナル圧検出部
33 シグナル圧検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナに燃焼用空気を供給するファンと、
このファンの吐出圧をシグナル圧として検出するためのシグナル圧検出部と、
前記シグナル圧を受け、かつ前記バーナに向けて燃料を供給する燃料供給路内の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な圧力調整弁と、
を備えている、燃焼装置であって、
前記シグナル圧検出部として、互いに異なる配置に設けられ、かつ前記シグナル圧として値が相違する2種類のシグナル圧を検出することが可能な第1および第2のシグナル圧検出部が設けられており、
前記バーナに供給される燃料の種類を判別し、かつこの判別した燃料の種類に応じて、前記2種類のシグナル圧の一方を選択し、この選択されたシグナル圧を前記圧力調整弁に供給する動作制御を実行可能な制御手段を、さらに備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項2】
バーナに燃焼用空気を供給するファンと、
このファンの吐出圧をシグナル圧として検出するためのシグナル圧検出部と、
前記シグナル圧を受け、かつ前記バーナに向けて燃料を供給する燃料供給路内の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な圧力調整弁と、
を備えている、燃焼装置であって、
前記燃料供給路には、前記圧力調整弁による圧力制御対象領域として、燃料流通方向の上流側および下流側に相対的に位置する第1および第2の制御対象領域が設けられており、
前記バーナに供給される燃料の種類を判別し、かつこの判別した燃料の種類に応じて、前記第1および第2の制御対象領域の一方を選択し、この選択された領域の圧力を前記圧力調整弁による制御対象とする動作制御を実行可能な制御手段を、さらに備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項3】
前記圧力調整弁として、前記燃料供給路の途中に設けられて前記燃料供給路の1次側流路から2次側流路への燃料流量を変更可能な主圧力調整弁と、この主圧力調整弁とは別体で構成され、かつ前記1次側流路および前記2次側流路に接続された補助圧力調整弁とがあり、
前記シグナル圧検出部からのシグナル圧が前記補助圧力調整弁によって受けられることにより、前記主圧力調整弁は、前記2次側流路の圧力を前記シグナル圧に対応した値となるように動作する構成とされている、請求項1または2に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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