説明

燃焼設備の燃料遮断装置及び燃料遮断方法

【課題】燃焼設備の異常発生時に燃料遮断のための開閉弁の自動閉止がなされない状態においても速やかに燃料遮断を行わせることができ、燃焼設備の安全な運転を可能とする。
【解決手段】燃料供給管路10の中途の開閉弁1と、シリンダ室2a,2bへの作動圧の給排に応じて開閉弁1を開閉動作させる復動式の作動シリンダ2と、シリンダ室2aに作動圧を送給する開位置とシリンダ室2bに作動圧を送給する閉位置とを有する自動方向切換弁5とを備え、自動方向切換弁5を閉位置に切換動作させて燃料の供給を遮断する構成とした燃焼設備の燃料遮断装置において、作動シリンダ2に作動圧を送給する作動回路30の自動方向切換弁5の上流側に手動切換弁7を配し、自動切換弁5の自動切換えがなされない場合、手動切換弁7を操作して作動シリンダ2のシリンダ室2a,2bを圧力平衡させ、付勢ばね22のばね力により作動シリンダ2を動作させて開閉弁1を閉止し、燃料供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の燃焼設備に、例えば、異常発生時に燃料の供給を緊急遮断することを目的として設けてある燃料遮断装置、及びこの燃料遮断装置を用いて実施される燃料遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業分野において蒸気の発生源として用いられてるボイラは、油、微粉炭混合気等の燃料を燃焼させるための燃焼設備を備えている。この種の燃焼設備には、自身を含めたボイラ各部における異常の発生時に、安全確保のために燃焼を止めることを目的として燃料遮断装置が付設されている。
【0003】
図4、5は、従来の燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図であり、図4は、通常運転時の状態を示し、図5は、異常発生時の状態を示している。図中10は、燃焼設備に燃料を供給するための燃料供給管路であり、燃料遮断装置は、燃料供給管路10の中途に配した開閉弁1と、該開閉弁1を開閉動作させる作動シリンダ2と、該作動シリンダ2に作動圧を給排する圧力回路3とを備えている。
【0004】
開閉弁1は、燃料供給管路10の中途に設けた円形断面の弁室11と、該弁室11の内部に回転自在に支持された腕形の弁体12とを備えている。弁体12の支軸13は、弁室11の中心から外部に突出され、この突出端には開閉レバー14が取り付けてあり、該開閉レバー14の先端は、ストッパレバー15に臨ませてある。ストッパレバー15は、長手方向の中央部を揺動自在に支持された揺動レバーであり、一側端部は、作動シリンダ2の出力ロッド20に連結され、他側端部には重錘16が取り付けてある。
【0005】
作動シリンダ2は、ピストン21の両側の2つのシリンダ室2a,2bへの作動圧の給排に応じて、前記ピストン21から外部に延出された出力ロッド20を進退動作させる復動式のシリンダであり、図の上側(開側)のシリンダ室2aに作動圧が送給され、出力ロッド20が進出した場合、ストッパレバー15は、図4に示す状態となり、図の下側(閉側)のシリンダ室2bに作動圧が送給され、出力ロッド20が退入した場合、ストッパレバー15は、図5に示す状態となる。
【0006】
ストッパレバー15の中途部には、作動シリンダ2との連結側の中途部にストッパ17が設けてある。このストッパ17は、ストッパレバー15が図4に示す揺動位置にあるとき開閉レバー14の先端に当接し、図5に示す揺動位置に移行することにより開閉レバー14との当接を解除する。
【0007】
開閉弁1の弁体12は、重力、ばね力等の付勢力の作用により、図4、5における反時計回りに回転付勢されている。図4に示す位置にあるストッパ17は、前記付勢力による弁体12の回転を、これと一体回転する開閉レバー14との当接により拘束している。このとき弁体12は、弁室11内に開口する燃料供給管路10の入口及び出口を開放する位置(開位置)にあり、燃料供給管路10内を流れる燃料は、図示しない燃焼設備に供給される。
【0008】
弁体12は、ストッパ17が図6に示す位置に移行し、開閉レバー14の拘束が解除されることにより略90°回転し、弁室11内に開口する燃料供給管路10の出口を閉止する位置(閉位置)となり、燃焼装置への燃料供給が遮断される。
【0009】
作動シリンダ2に作動圧を給排する圧力回路3は、圧縮空気源40から延びる空気圧ライン4から分岐された作動回路30及び遮断回路31を備えている。作動回路30は、自動方向切換弁5を介して作動シリンダ2の開側及び閉側のシリンダ室2a,2bに接続されている。自動方向切換弁5は、外部から導入されるパイロット圧の有無に応じて切換え動作をなす2位置切換弁である。
【0010】
遮断回路31は、電磁切換弁6を介して自動方向切換弁5のパイロット圧導入口に接続されている。電磁切換弁6は、外部から与えられる遮断指令に応じて切換え動作をなす2位置切換弁である。遮断回路31には、電磁切換弁6の上流側に、リリーフ弁60及び手動切換弁61が介装されている。リリーフ弁60は、遮断回路31内に発生する過大圧力を解放し、遮断回路31の内圧を所定圧以下に維持する公知のリリーフ動作をなす。手動切換弁61は、電磁切換弁6、リリーフ弁60を含む遮断回路31の点検時に、空気圧ライン4との連絡を絶つために操作される。
【0011】
以上の如く構成された圧力回路3において、通常運転中に電磁切換弁6は、内蔵ばねのばね力により、図4に示す切換え位置を保っており、空気圧ライン4から遮断回路31に導入される空気圧は、電磁切換弁6を経て自動方向切換弁5にパイロット圧として作用し、自動方向切換弁5は、図4に示す切換え位置となる。これにより、空気圧ライン4から作動回路30に導入される空気圧は、作動シリンダ2の開側のシリンダ室2aに導入され、作動シリンダ2の出力ロッド20が進出し、前述の如く、ストッパ17が開閉レバー14と当接し、開閉弁1の弁体12が開位置に拘束されて、燃料供給管路10内を流れる燃料は燃焼設備に供給される。
【0012】
一方、燃焼設備に異常が発生した場合、電磁切換弁6に遮断指令が与えられ、該電磁切換弁6は、図5に示す切換え位置に切換えられる。このとき、空気圧ライン4から遮断回路31に導入される空気圧は電磁切換弁6により遮断され、自動方向切換弁5のパイロット圧が開放される結果、自動方向切換弁5は、内蔵ばねのばね力により図5に示す切換え位置となる。従って、空気圧ライン4から作動回路30に導入される空気圧は、作動シリンダ2の閉側のシリンダ室2bに導入され、同時に開側のシリンダ室2aが開放されて、作動シリンダ2の出力ロッド20が退入する。この退入により、前述の如く、ストッパ17による開閉レバー14の拘束が解除されて、開閉弁1の弁体12が回転して図5に示す閉位置となり、燃料供給管路10内を流れる燃料が遮断される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような燃料遮断装置を備える燃焼設備においては、各種の異常の発生時に燃料の供給を速やかに遮断し、異常状態下での燃焼の継続を未然に防止することができるから、前記異常の進行、及び新たな不具合の発生の虞れを回避して安全を確保することが可能となる。
【0014】
しかしながら、前述の如き燃料遮断装置の遮断動作は、圧力回路3の構成機器、特に、自動方向切換弁5及び電磁切換弁6が正常に動作すること、更には、開閉シリンダ2が正常に動作することが前提となっており、異常発生時という限られた機会でのこれらの動作を保障するための日々の点検に多くの手間を要するという問題がある上、この点検を実施し得たとしても確実な遮断がなされるとは限らない。
【0015】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、例えば、異常発生時に燃料を緊急遮断するための開閉弁の自動閉止がなされない状態においても、手動により速やかに開閉弁を閉止して燃料遮断を行わせることができ、安全運転の実現に寄与し得る燃焼設備の燃料遮断装置及び燃料遮断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置は、燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダとを備える燃焼設備の燃料遮断装置において、前記作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放する遮断切換え位置を有する手動切換弁を備えることを特徴とする。
【0017】
また本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置は、燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダと、前記開側のシリンダ室に作動圧を送給する開位置と前記閉側のシリンダ室に作動圧を送給する閉位置とを有する自動方向切換弁とを備え、該自動方向切換弁を前記閉位置に切換動作させて前記燃料の供給を遮断する構成としてある燃焼設備の燃料遮断装置において、前記作動シリンダに作動圧を送給する作動回路の中途に前記自動方向切換弁と並設してあり、前記作動回路への作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放する手動切換弁を備えることを特徴とする。
【0018】
更に本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置は、前記作動シリンダに付設され、前記閉側のシリンダ室から前記開側のシリンダ室への付勢力を加える付勢ばねを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る燃焼設備の燃料遮断方法は、燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダとを備える燃焼設備の燃料遮断方法において、前記作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放することを特徴とする。
【0020】
また本発明に係る燃焼設備の燃料遮断方法は、燃焼設備への燃料の供給管路の中途に、復動式の作動シリンダの開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて開閉動作する開閉弁を配し、前記閉側のシリンダ室に作動圧を自動供給し、前記開閉弁を閉動作させて前記燃料の供給を遮断する方法において、前記作動圧の自動供給による前記開閉弁の閉動作が生じない場合に、手動操作により前記作動圧の供給を遮断し、前記開側のシリンダ室を開放することを特徴とする。
【0021】
更に本発明に係る燃焼設備の燃料遮断方法は、前記閉側のシリンダ室から前記開側のシリンダ室への付勢力を加えることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、作動シリンダに作動圧を送給する作動回路の中途に手動切換弁を設け、例えば、燃焼設備の異常発生時に自動方向切換弁の切換動作が正常になされなかった場合に手動切換弁を操作し、作動回路への作動圧の供給を遮断する共に、作動圧が供給されている作動シリンダの開側のシリンダ室を開放して閉側のシリンダ室と圧力平衡させ、開閉弁を閉止させて燃料供給を遮断する。
【0023】
圧力平衡状態にある作動シリンダは、閉側のシリンダ室から開側のシリンダ室への付勢力を加えるべく設けた付勢ばね等の手段により閉側に動作させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置及び燃料遮断方法においては、作動シリンダを作動させるための圧力回路の構成機器、又は作動シリンダ自身の動作不良等の要因により作動シリンダが動作せず、開閉弁が自動閉止されない場合、手動操作により作動シリンダの開側及び閉側のシリンダ室を圧力平衡させることにより、該作動シリンダを閉側に動作させることができるから、燃焼設備への燃料の供給を確実に遮断して、安全な運転を保障することができ、またこの保障実現のための日々の点検の手間を軽減することができる。
【0025】
また作動シリンダを閉動作の方向に付勢したから、手動操作による圧力平衡後の作動シリンダの閉側への動作を簡素な構成により実現し、開閉弁の閉止による燃料遮断を確実に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1、2、3は、本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図であり、図1は、通常運転時の状態を示し、図2、図3は、異常発生時の状態を示している。
【0027】
本発明に係る燃料遮断装置は、図4、5に示す従来の燃料遮断装置と同様、燃料供給管路10の中途に配した開閉弁1と、該開閉弁1を開閉動作させる作動シリンダ2と、該作動シリンダ2に作動圧を給排する圧力回路3とを備えている。開閉弁1の構成は、開閉レバー14、ストッパレバー15、重錘16及びストッパ17を備える開閉機構を含めて従来の燃料遮断装置と同様であり、対応する構成部材に図4、5と同一の参照符号を付して構成の説明を省略する。
【0028】
作動シリンダ2は、図4、5に示す従来の燃料遮断装置におけると同様、ピストン21により隔絶された開側のシリンダ2aと閉側のシリンダ2bとを備え、両シリンダ室2a,2bへの作動圧の給排に応じて出力ロッド20を進退動作させる復動式のシリンダである。出力ロッド20の先端は、ストッパレバー15に連結されており、従来の燃料遮断装置におけると同様に、開側のシリンダ室2aに作動圧が送給された場合、開閉弁1が開位置に拘束されて燃料供給管路10内を流れる燃料が燃焼設備に供給され、逆に閉側のシリンダ室2bに作動圧が送給された場合、開閉弁1が閉となって燃料の供給が遮断される構成となっている。
【0029】
本発明に係る燃料遮断装置における作動シリンダ2には、更に、閉側のシリンダ室2bの内部に付勢ばね22が配してあり、この付勢ばね22のばね力により、ピストン21を開側のシリンダ室2aに向けて押圧付勢するように構成されている。
【0030】
作動シリンダ2に作動圧を給排する圧力回路3は、図4、5に示す従来の燃料遮断装置におけると同様、圧縮空気源40から延びる空気圧ライン4から分岐された作動回路30及び遮断回路31を備えている。作動回路30は、従来と同様の自動方向切換弁5を介して作動シリンダ2の開側及び閉側のシリンダ室2a,2bに接続されており、更に本発明においては、自動方向切換弁5の上流側の作動回路30の中途に手動切換弁7が介装されている。
【0031】
手動切換弁7は、外部に設けた操作レバー70の手動操作により内蔵されたバルブスプールを機械的に動かし、図示の3つの切換え位置を実現する構成となっている。図1中に上位置に示す第1の切換え位置にある場合、自動方向切換弁5は空気圧ライン4に接続される一方、図1中に下位置に示す第2の切換え位置にある場合、自動方向切換弁5は空気圧ライン4から遮断され、同時に大気側に開放される。
【0032】
遮断回路31は、電磁切換弁6、リリーフ弁60及び手動切換弁61を備え、図4、5に示す従来の燃料遮断装置と同様の構成を有している。電磁切換弁6は、遮断指令に応じて動作し、自動方向切換弁5の開放圧を解放する動作をなす。
【0033】
通常運転中の状態を示す図1において、作動回路30の手動切換弁7は、第1の切換え位置にあり、また遮断回路31の電磁切換弁6は、図1に示す切換え位置を保っている。このとき遮断回路31に空気圧ライン4から遮断回路31に導入される空気圧は、電磁切換弁6を経て自動方向切換弁5に開放圧として作用し、自動方向切換弁5は、図1に示す切換え位置となり、従来の燃料遮断装置におけると同様に、作動シリンダ2は進出状態を保ち、開閉弁1の弁体12が開位置に拘束されて、燃料供給管路10内を流れる燃料は燃焼設備に供給される。
【0034】
異常発生時の状態を示す図2において、電磁切換弁6は、外部から与えられる遮断指令に応じて図示の切換え位置となり、空気圧ライン4から遮断回路31に導入される空気圧は電磁切換弁6により遮断される。これにより、自動方向切換弁5の開放圧が解放され、自動方向切換弁5は、図示の切換え位置に切り換わり、従来の燃料遮断装置におけると同様に、作動シリンダ2が退入動作し、開閉弁1の弁体12が閉位置となり、燃料供給管路10内を流れる燃料が遮断される。
【0035】
電磁切換弁6の遮断指令は、燃焼設備の各部に設けたセンサによる異常検出に応じて自動的に与えられるようにしてもよく、また燃焼設備のオペレータによるスイッチ操作等の適宜の人為操作に応じて与えられるようにしてもよい。
【0036】
図3は、燃焼設備に異常が発生しているにも拘らず、空圧回路3における以上の切換え動作がなされない状態を示している。例えば、電磁切換弁6が故障しており、遮断指令に応じた切換え動作がなされず、電磁切換弁6が図示の切換え位置を保っている場合、自動方向切換弁5へのパイロット圧の作用が継続される結果、作動シリンダ2は進出状態を維持し、開閉弁1の閉止による燃料の遮断はなされなくなる。このような状態は、燃焼設備に設けた前記センサによる異常検出の不備により、異常が発生しているにも拘らず遮断指令が与えられない場合にも同様に発生する。
【0037】
本発明に係る燃料遮断装置においては、このような場合、作動回路30に設けた手動切換弁7の操作レバー70を操作し、該手動切換弁7を、図3に示すように第2の切換え位置に切換える。この切換えにより、作動回路30と空気圧ライン4との連通が遮断され、作動回路30は大気側に開放されることとなり、自動方向切換弁5を介して作動回路30に連通する作動シリンダ2の開側のシリンダ室2aの内圧も解放される。このとき、作動シリンダ2の閉側のシリンダ室2bは、自動方向切換弁5を介して大気側に開放された状態にあるから、開側及び閉側のシリンダ室2a,2b間の圧力差がなくなり、作動シリンダ2のピストン21は、付勢ばね22のばね力により開側のシリンダ室2aに向けて移動し、出力ロッド20が退入動作する結果、前述の如く、ストッパ17による開閉レバー14の拘束が解除されて、開閉弁1の弁体12が回転して図5に示す閉位置となり、燃料供給管路10内を流れる燃料が遮断される。
【0038】
以上のように本発明に係る燃料遮断装置においては、異常が発生しているにも拘らず、空圧回路3における切換え動作がなされない場合であっても、作動回路30に設けた手動切換弁7を切換え操作することにより燃料の遮断を実現することができ、燃焼設備の安全を確保することが可能となる。
【0039】
このような緊急遮断動作は、自動方向切換弁5を備える作動回路30の中途に手動切換弁7を設ける構成により、設備コストの増大させることなく簡易に実現することができる。手動切換弁7の操作は、操作レバー70に切換え力を加えるアクチュエータを設け、このアクチュエータを、スイッチ等の操作端の手動操作に応じて動作させて実現することもできる。手動切換弁7は、実施の形態に示す位置に限らず、作動回路30の中途であれば、空気圧ライン4から作動シリンダ2までの間の適宜位置に設けることができる。
【0040】
また以上の実施の形態においては、作動シリンダ2に付勢ばね22を付設して、手動切換弁7の操作により開側及び閉側のシリンダ室2a,2bの圧力が平衡した場合の作動シリンダ2の退入動作を、前記付勢ばね22のばね力によって行わせる構成としてあるから、手動切換弁7の操作による開閉弁1の閉止を、簡易な構成により確実に実現するができる。
【0041】
なお、付勢ばね22の設置は必須ではなく、例えば、重錘16に加わる重力によりストッパレバー15を揺動させて開閉レバー14の拘束を解除し、開閉弁1を閉止する構成としてもよく、また開閉レバー14とストッパ17の係合部をテーパ係合とし、ストッパ17への開閉レバー14の押し付け力によりストッパレバー15を押し上げて開閉レバー14の拘束を解除し、開閉弁1を閉止する構成としてもよい。
【0042】
更に以上の実施の形態においては、作動シリンダ2の作動圧として、空気圧ライン4の空気圧を利用しているが、油圧、水圧等の他の流体圧源が利用可能な場合には、これらの流体圧を作動シリンダ2の作動圧とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係る燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図である。
【図4】従来の燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図である。
【図5】従来の燃焼設備の燃料遮断装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 開閉弁
2 作動シリンダ
2a (開側の)シリンダ室
2b (閉側の)シリンダ室
3 圧力回路
5 自動方向切換弁
6 電磁切換弁
7 手動切換弁
10 燃料供給管路
12 弁体
14 開閉レバー
15 ストッパレバー
22 付勢ばね
30 作動回路
31 遮断回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダとを備える燃焼設備の燃料遮断装置において、
前記作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放する遮断切換え位置を有する手動切換弁を備えることを特徴とする燃焼設備の燃料遮断装置。
【請求項2】
燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダと、前記開側のシリンダ室に作動圧を送給する開位置と前記閉側のシリンダ室に作動圧を送給する閉位置とを有する自動方向切換弁とを備え、該自動方向切換弁を前記閉位置に切換動作させて前記燃料の供給を遮断する構成としてある燃焼設備の燃料遮断装置において、
前記作動シリンダに作動圧を送給する作動回路の中途に前記自動方向切換弁と並設してあり、前記作動回路への作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放する手動切換弁を備えることを特徴とする燃焼設備の燃料遮断装置。
【請求項3】
前記作動シリンダに付設され、前記閉側のシリンダ室から前記開側のシリンダ室への付勢力を加える付勢ばねを備える請求項1又は請求項2記載の燃焼設備の燃料遮断装置。
【請求項4】
燃焼設備への燃料の供給管路の中途に配された開閉弁と、開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて前記開閉弁を開閉動作させる復動式の作動シリンダとを備える燃焼設備の燃料遮断方法において、
前記作動圧の供給を遮断し、前記作動シリンダの開側のシリンダ室を開放することを特徴とする燃焼設備の燃料遮断方法。
【請求項5】
燃焼設備への燃料の供給管路の中途に、復動式の作動シリンダの開側及び閉側のシリンダ室への作動圧の給排に応じて開閉動作する開閉弁を配し、前記閉側のシリンダ室に作動圧を自動供給し、前記開閉弁を閉動作させて前記燃料の供給を遮断する方法において、
前記作動圧の自動供給による前記開閉弁の閉動作が生じない場合に、手動操作により前記作動圧の供給を遮断し、前記開側のシリンダ室を開放することを特徴とする燃焼設備の燃料遮断方法。
【請求項6】
前記閉側のシリンダ室から前記開側のシリンダ室への付勢力を加えることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の燃焼設備の燃料遮断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−261544(P2008−261544A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104061(P2007−104061)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】