説明

燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器

【課題】一人で安全に操作することができる燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器を提供する。
【解決手段】片手で保持可能な大きさを有し可燃性のサンプルガスを貯留する一端が開口された筒状容器11と、孔41を有し該筒状容器11の一端の開口部を覆うように回動可能に取付けられた板状の蓋42と、該蓋42をワンタッチで開閉する開閉手段30と、ガスサンプリングノズル50を受け入れ可能で、該孔41を塞ぐように該蓋42に取付けられたサンプルガスの漏洩を防止するガス漏洩防止手段40と、該筒状容器11の他端に設けられたガス排出手段20と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性のガスを採取し燃焼試験を行うための燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所で発生するガスには、高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガス及びこれらを混合したミックスガスなどがある。いわゆる副生ガスと称されるガスである。この副生ガスは、製鉄所からガス配管によりガスの利用設備まで導かれるが、利用設備の運用状態に対応して配管内を副生ガスで充満させたり、副生ガスを不燃性ガスで置換し、さらにこの不燃性ガスを空気に置換する場合がある。
【0003】
ガス配管は、直径が4メートル以上のものもある上に長さも長く、配管の容積は非常に大きい。又、配管も単純な直管ではなく曲がり部、枝管、大型の弁の前後など複雑な形状を有するためにガスが置換されにくい部分もある。そのため配管内のガスが所定のガスに置換されたか否かを確認するため、数箇所の現場でガスを採取し採取したガスの性状を調べている。
【0004】
配管内のガスが副生ガスに置換されたか否かを確認する方法としては、採取したガスの成分(一酸化炭素、水素など)濃度を測定器で測定して確認する方法と、採取したガスに着火し、爆発しないで大気と混合しながら安定して燃焼する状態であることを確認する燃焼試験とがある。燃焼試験は、製鉄所で発生する副生ガスのどの燃料にも対応可能であり、濃度測定法のように測定器の点検、校正など管理が不要であり、手軽に実施することができることから多くの現場で利用されている。
【0005】
ガスの採取には、蓋付の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器が使用される。燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、一端が閉じられた筒状の容器本体と、容器本体と分離する蓋からなる。ガスの採取は以下のように行う。まず一人の操作員が容器本体を保持しつつ、蓋を開けガスサンプリングノズルを容器本体内に挿入する。他の操作員がガスサンプリングノズルの弁を開け容器本体にサンプルガスを導入する。容器本体内の空気がサンプルガスで置換された後、一人の操作員がガスサンプリングノズルの弁を閉めると同時に、もう一人の操作員が素早く蓋をする。
【0006】
その後、二人の操作員は安全な場所に移動し、一人の操作員が燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器の蓋をゆっくりと開けると同時にもう一人の操作員が、容器本体から放出されるガスに着火し、燃焼の状態を観測する。これら一連の操作は、素早くタイミングを失することなく行わなければならない。そうでないと採取したガスが大気中に漏れたり、燃焼試験の際、着火をうまく行うことができず正確な判定ができない。このためこの作業に関してはある程度の熟練が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、ガス採取の際、容器本体を保持し蓋の開閉操作を行う操作員と、ガスサンプリングノズルの弁の開閉操作を行う操作員との二人の操作員が必要であり、又、ガス採取後の燃焼試験においても容器本体を保持し蓋を開く操作員と、放出されたガスに点火する操作員の二人が必要である。蓋開閉と着火のタイミングとが合わず着火しなかった場合には、ガスに問題があるのか又は着火方法に問題があるのか判断することができない。またガスが大気中に放出されるので、安全上、環境上好ましくない。
【0008】
上記の問題を解決するために、両端に弁が配設された容器を使用することも考えられるが、採取したガスの圧力が数十ミリ水柱と低くかつ開口部が小さいため、弁を開けても十分な量のガスが放出されず着火並びに燃焼状態が不安定となりやすく試験結果の判定が難しい。
【0009】
本発明の目的は、一人で安全に操作することができる燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、片手で保持可能な大きさを有し可燃性のサンプルガスを貯留する一端が開口された筒状容器と、
孔を有し該筒状容器の一端の開口部を覆うように回動可能に取付けられた板状の蓋と、
該蓋をワンタッチで開閉する開閉手段と、
ガスサンプリングノズルを受け入れ可能で、該孔を塞ぐように該蓋に取付けられたサンプルガスの漏洩を防止するガス漏洩防止手段と、
該筒状容器の他端に設けられたガス排出手段と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、前記開閉手段が、前記筒状容器の長手方向の軸線と直交する軸受を中心に鉛直方向に回動可能で一端を前記蓋に連結するレバーと、
該レバーの他端を押し上げるように前記筒状容器に取付けられたバネと、
該軸受を回動可能に支持する前記筒状容器の上部外壁に取付けられた支持台と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、前記ガス漏洩防止手段が、前記孔を覆うように前記蓋の前面に取付けられた切込みを持つ可撓性を有するシール板と、
前記蓋の上部にヒンジを介し回動可能に取付けられ前記孔を前記筒状容器の内側から覆う内蓋と、
前記蓋の下部に取付けられ該内蓋を吸引する磁石と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、前記ガス排出手段が、逆流防止機構を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、前記筒状容器が、前記蓋が取付けられた端面が傾斜し、
前記支持台が、前記筒状容器の長手方向の長さが最も長い外壁に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明によれば、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器は、片手で保持可能な大きさを有し可燃性のサンプルガスを貯留する一端が開口された筒状容器と、孔を有し筒状容器の一端の開口部を覆うように回動可能に取付けられた板状の蓋と、蓋をワンタッチで開閉する開閉手段と、ガスサンプリングノズルを受け入れ可能で、孔を塞ぐように蓋に取付けられたサンプルガスの漏洩を防止するガス漏洩防止手段と、を含むので、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器を片手で保持しながら、もう一方の手でガスサンプリングノズルの弁あるいは着火操作を行うことが可能である。また、筒状容器の一端は開口し、この開口部を覆うように取付けられた蓋が回動するので、蓋を開けることで採取したガスを十分に放出することが可能となり、燃焼試験を確実に行うことができる。さらに筒状容器の他端にガス排出手段を有するので、より安全に燃料ガスの採取を行うことができる。またガス漏洩防止手段を備えているので安全に作業を行うことができる。以上のように燃料ガスの採取から燃焼試験までの一連の作業を一人で安全にかつ確実に行うことができる。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、開閉手段は、筒状容器の長手方向の軸線と直交する軸受を中心に鉛直方向に回動可能で一端を蓋に連結するレバーと、レバーの他端を押し上げるように筒状容器に取付けられたバネと、軸受を回動可能に支持する筒状容器の上部外壁に取付けられた支持台と、を含むので、蓋を片手で開閉することが可能であり、燃料ガスの採取から燃焼試験までの一連の作業を一人で行うことができる。またバネにより蓋が筒状容器に押し付けられるので燃料ガスの漏洩を防止することが可能であり安全に作業を行うことができる。
【0017】
請求項3記載の本発明によれば、ガス漏洩防止手段は、孔を覆うように蓋の前面に取付けられた切込みを持つ可撓性を有するシール板と、蓋の上部にヒンジを介し回動可能に取付けられ孔を筒状容器の内側から覆う内蓋と、蓋の下部に取付けられ内蓋を吸引する磁石と、を含むので、蓋を閉じたままで燃料ガスの採取を行うことができ、簡単な操作で燃料ガスを採取することができる。また内蓋が磁石により吸引されて蓋に密着するので、燃料ガスの漏洩を防止することが可能であり、安全に作業を行うことができる。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、ガス排出手段は、逆流防止機構を備えるので、燃料ガスを採取するためのガス排出弁の開閉操作が不要であり、簡単に燃料ガスの採取を行うことができる。また逆流防止機構を備えているので、外部の空気が燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器内に侵入し、燃料ガスと反応、発火することが無く燃料ガスを安全に採取することができる。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、筒状容器は、蓋が取付けられた端面が傾斜し、支持台は、筒状容器の長手方向の長さが最も長い外壁に取付けられているので、蓋を閉じると内蓋が重力により確実に蓋に押し付けられ密閉度が向上し、燃料ガスの漏洩をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第一実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10の概略構造を示す縦断面図である。図2は、図1に示すA−A矢視図である。図3は、図1に示した燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10にガスサンプリングノズル50を挿入した状態を示す縦断面図である。
【0021】
燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10は、ガスサンプリングノズル50を受入れ、可燃性のガスを採取し、これに点火し燃焼試験を行うことにより採取したガスの性状を判定するために使用するものであって、片手で保持できる大きさならびに重量を有する可搬型の装置である。燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10は、サンプルガスを貯留可能な筒状容器11を備え、筒状容器11の上部外壁には、筒状容器11を片手で保持するための取手12が取付けられている。筒状容器11の一端は、大きく開口し、この開口部を覆うように蓋42が回動可能に取付けられている。この蓋42は、開閉手段30と連結しており、ワンタッチで開閉することが可能であり、また蓋42には、ガス漏洩防止手段40が取付けられている。一方、筒状容器11の他端は、先細のテーパ部13となっており、その端部にはガス排出手段20が設けられている。
【0022】
蓋42は、ガスサンプリングノズル50を抜き差しするための孔41を有する板状体で、蓋42を開けたとき、筒状容器11の一端の開口部が全面的に開放され内部のガスを速やかに放出できるよう、筒状容器11の外径よりも少し大きくしてある。蓋42に穿設された孔41は、外径数十ミリメートル程度のガスサンプリングノズル50を容易に抜き差しできる大きさである。又、筒状容器11の端部には、蓋42を閉じたときシール性を確保するためのガスケット14が装着されており、これにより筒状容器11と蓋42のシール性が確保される。
【0023】
開閉手段30は、レバー31と支持台32と、バネ33を備え、ワンタッチで蓋42を開閉することができる。レバー31は、押さえ板34と、軸受35と、開閉板36とを含み構成される。押さえ板34は、一端が取手12の近傍に配置され、他端が軸受35の外周上部に取付けられ、押さえ板34の中間部は、バネ33で常時、押し上げられている。開閉板36は、一端が軸受35の外周下部に取付けられ、他端が蓋42の上部に取付けられている。軸受35は、支持ピン37を介して、蓋42と取手12の中間でかつ筒状容器11の上部に取付けられた支持台32に回動可能に支持される。これによりレバー31は、軸受35を中心に回動することができる。また押さえ板34の一端は、取手12の近傍に配置してあるので、取手12を握った手の指で押し下げることができる。バネ33は、取手12と支持台32との間に取付けられ、押さえ板34を押し上げる方向に作用するので、軸受35を中心に押さえ板34と逆方向に回動する開閉板36に取付けられた蓋42には、常時、閉じる方向に力が加えられている。
【0024】
ガス漏洩防止手段40は、ガスサンプリングノズル50を挿入中のみでなく抜き出した後もサンプルガスの漏洩を防止するためのものであって、蓋42に穿設された孔41を覆う可撓性のシール板43と、孔41を内側から覆う内蓋44と、内蓋44を吸引する磁石46を備えている。孔41を覆うシール板43は、中心から外周に向けて放射状に伸びた多数の切込み47を備え、押さえ板48で蓋42の前面に取付けられている。又、蓋42の内側上部には、高さ調整板49を介してヒンジ45が取付けられ、ヒンジ45は、孔41を塞ぐように取付けられた内蓋44を支持する。さらに蓋42の下部には磁石46が取付けられている。これにより通常、内蓋44は、磁石46で吸引されているので、筒状容器11が揺り動かされても操作員の意思に反して内蓋44が開くことはない。磁石46の吸引力は、ガスサンプリングノズル50のノズル先端部52を押し込んだ時、内蓋44が容易に開く程度の強さである。又、シール板43の可撓性もガスサンプリングノズル50を容易に押し込める程度の強さである。
【0025】
筒状容器11の端部に設けた先細のテーパ部13の先端に連結するガス排出手段20は、逆流防止機構21を備えている。逆流防止機構21は、小孔22を有する傾斜板24と、小孔22を覆う一端が傾斜板24に取付けられた可撓性の逆止板23とを備えている。燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10にサンプルガスを導入すると、逆止板23がサンプルガスの圧力に押されて持ち上がり、小孔22を通じて内部の空気が速やかに外部に押し出される。ガスサンプリングを終了すると、可撓性を有する逆止板23が自重で元の位置に戻るため小孔22を塞ぐ。これにより貯留したガスの漏洩、外部空気の侵入を防止することができる。
【0026】
以上のように構成される燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10の使用方法を説明する。ガス採取現場に燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を搬入し、図示を省略したホースの一端をガス排出手段20に連結し、ホースの他端をガスと空気の混合気が放出されても差支えがない安全な場所に接続する。
【0027】
プラントの固定設備としてガス採取現場に設置してあるガスサンプリングノズル50は、直径が数十ミリメートル程度の小型配管で弁51を備えている。その一端は、大気に開放されており、他端は、直径数百ミリメートルから数メートルにもなる大型のガス配管に溶接などで取付けられ、弁51を開閉することによりガスサンプリングノズル50を通じてガス配管からガスを取り出すことができる。弁51は、手動弁であり、ガスが漏洩しないように通常は閉じられている。
【0028】
ガスの採取は、取手12を握り、蓋42の孔41を覆うシール板43の部分をガスサンプリングノズル50のノズル先端部52に押し付ける。孔41を覆うシール板43は、可撓性を有し図2に示すように切込み47が設けられているため、ノズル先端部52が可撓性のシール板43を押しのけて内蓋44に当たる。内蓋44は、ヒンジ45で支持され、磁石46で引き付けられているのみであるので、少し強く押せば内蓋44が、ヒンジ45を中心に上方に回動し、図3に示すようにガスサンプリングノズル50を更に奥深く挿入できる。ガスサンプリングノズル50の周囲には、可撓性のシール板43が密着しているので、筒状容器内11内のガスは殆ど外部に漏出することがない。以上の操作は、取手12を保持した片手のみで実施可能である。
【0029】
図3に示した状態で、弁51を開けるとガスが押し出され、ガスサンプリングノズル50を通じて筒状容器11に入る。筒状容器11内にあった空気あるいは一部採取ガスを含む空気は、逆流防止機構21に備える可撓性の逆止板23を押し上げ小孔22を通じて、図示を省略したホースによりフレアスタックなどに送られ安全に処理される。弁51を開けて所定の時間が経過し、筒状容器11内の空気が、完全にサンプルガスで置換された後、ガスサンプリングノズル50の弁51を閉じ、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を引き抜くと、まず内蓋44が、自重と磁石46の吸引力により閉じられ、次に可撓性のシール板43が、もとの平坦な形状に戻り孔41を外側から塞ぐので、採取したガスが、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10から漏洩することはない。ガス排出手段20についても、逆流防止機構21に備えた可撓性の逆止板23が自動的に小孔22を塞ぐので操作は不要であり、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を持ち運ぶ際にもガスの漏洩、外部空気の侵入を防止できる。
【0030】
ガス採取操作時ならびに採取後も、常時、押さえ板34が、バネ33により押し上げられているので、押さえ板34と逆方向に回動する開閉板36に取付けられた蓋42は、ガスケット14を介して筒状容器11に強く押し付けられ、燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を持ち運ぶ際でも、蓋42と筒状容器11との隙間からガスが漏出することはない。更に内蓋44も、磁石46で吸引されているので燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10が揺り動かされても内蓋44が開くことはない。
【0031】
以上のようにしてガスを採取貯留した燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を、安全で作業性が良い場所に持ち運び、以下の手順で燃焼試験を行う。まず取っ手12を握った手で押さえ板34を押し下げると、押さえ板34とは逆方向に回動する開閉板36に取付けられた蓋42が、一気に上方に回動し、筒状容器11の前面が全て開放され内部のガスが放出される。同時に、ライターなどの着火装置で放出したガスに点火、燃焼させて燃焼状態を観察する。以上のように本発明による燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を使用することにより、ガスの採取、燃焼試験を一人で安全に行うことができる。
【0032】
図4は、本発明の第二実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100の概略構造を示す縦断面図である。図1から図3に示す部材と同一の部材には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この第二実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100は、蓋42を取付ける筒状容器101の端面が斜めに切断されている点に特徴がある。支持台32は、筒状容器101の長手方向の長さが最も長い外壁に取付けられているので、蓋42を閉じると内蓋44が重力により確実に蓋42に押し付けられる。これにより、ガスサンプリング時のガスの漏洩をより確実に防止することができる。
【0033】
第一実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10は、蓋42が上向きになるように筒状容器11を傾けてガスを採取すると、内蓋44が閉まらない場合がある。これに対して、第二実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100は、蓋42が閉じられた状態において、蓋42の内面が上を向くように筒状容器101の蓋42で覆われる端面を斜めに切断しているので、蓋42を上向きに筒状容器101を傾けて使用しても、内蓋44が自重で蓋42に押し付けられるのでガスの漏洩を確実に防止できる。但し、第二実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100は、筒状容器101を斜めに切断しているので、蓋42及びガスケット14が円形ではなく楕円形となるなど、第一実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10に比較し製作がやや難しい。なお、第一実施形態に示す燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を、蓋42が上向きになるように筒状容器11を傾けてガスを採取する場合であっても、可撓性のシール板43が、孔41を外側から塞ぎ、ガスサンプリングを行った後、筒状容器11を水平にすれば内蓋44が閉まるので、ガス漏洩は殆どない。
【0034】
上記の第一実施形態の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10及び第二実施形態の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100では、筒状容器11、101の断面が円形の場合を示したけれども、筒状容器11、101の断面は円でなく矩形であってもよいことはもちろんである。サンプリングガスの圧力が低いため、筒状容器11、101の耐圧性も特別考慮する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第一実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10の縦断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10を示した図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の第一実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器10にガスサンプリングノズル50を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態としての燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器100の縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器
11 筒状容器
20 ガス排出手段
21 逆流防止機構
30 開閉手段
31 レバー
32 支持台
33 バネ
35 軸受
40 ガス漏洩防止手段
41 孔
42 蓋
43 シール板
44 内蓋
45 ヒンジ
46 磁石
47 切込み
50 ガスサンプリングノズル
100 燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器
101 筒状容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で保持可能な大きさを有し可燃性のサンプルガスを貯留する一端が開口された筒状容器と、
孔を有し該筒状容器の一端の開口部を覆うように回動可能に取付けられた板状の蓋と、
該蓋をワンタッチで開閉する開閉手段と、
ガスサンプリングノズルを受け入れ可能で、該孔を塞ぐように該蓋に取付けられたサンプルガスの漏洩を防止するガス漏洩防止手段と、
該筒状容器の他端に設けられたガス排出手段と、
を含むことを特徴とする燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器。
【請求項2】
前記開閉手段は、前記筒状容器の長手方向の軸線と直交する軸受を中心に鉛直方向に回動可能で一端を前記蓋に連結するレバーと、
該レバーの他端を押し上げるように前記筒状容器に取付けられたバネと、
該軸受を回動可能に支持する前記筒状容器の上部外壁に取付けられた支持台と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器。
【請求項3】
前記ガス漏洩防止手段は、前記孔を覆うように前記蓋の前面に取付けられた切込みを持つ可撓性を有するシール板と、
前記蓋の上部にヒンジを介し回動可能に取付けられ前記孔を前記筒状容器の内側から覆う内蓋と、
前記蓋の下部に取付けられ該内蓋を吸引する磁石と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器。
【請求項4】
前記ガス排出手段は、逆流防止機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器。
【請求項5】
前記筒状容器は、前記蓋が取付けられた端面が傾斜し、
前記支持台は、前記筒状容器の長手方向の長さが最も長い外壁に取付けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1に記載の燃焼試験用燃料ガスサンプリング容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−107086(P2008−107086A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287144(P2006−287144)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】