説明

片面段ボールシートの積重ね装置

【課題】片面段ボールシートを規則正しく積み重ねることができるようにした片面段ボールシートの積重ね装置を提供することである。
【解決手段】一方向に搬送される片面段ボールSをロータリカッタ1により幅方向に切断して片面段ボールシートSを形成し、その片面段ボールシートSを下流側に設けられたシート積重ね装置70の排出コンベヤ72に送り込んで山積み状態に積み重ねるに際し、その排出コンベヤ72の直前に設けられた第2反り形成用コンベヤ装置60により片面段ボールシートSを幅方向に湾曲する上反り状態に変形させる。その上反り状態で片面段ボールシートSを排出コンベヤ72に送り込んで山積み状態に積み重ねるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の長さに切断された片面段ボールシートを積み重ねる片面段ボールシートの積重ね装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ライナと、その片面に接着された波状に段成形された中しんとからなる片面段ボールシートは、外装用箱体の形成用素材として、あるいは、商品の破損防止用の緩衝材等として非常に多く用いられている。
【0003】
上記の片面段ボールシートは、シングルフェーサによって形成された片面段ボールを、その搬送路に設けられたロータリカッタにより幅方向に切断することによって形成される。
【0004】
ここで、シングルフェーサにおいては、一対の段ロールを有し、その一対の段ロールによって中しん紙を波状に段成形し、その波状中しん紙の段山にライナを貼り合わせて片面段ボールを形成するようにしている。
【0005】
上記ロータリカッタの切断によって形成された片面段ボールシートは、普通、そのロータリカッタの下流側において外周縁が揃う山積み状態に積み重ねられて出荷される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ロータリカッタの切断によって形成された上記片面段ボールシートにおいては、剛性が低く、しかも、波状の中しんは各段山が前後方向に並ぶ状態でロータリカッタから送り出されるため、落下による積み重ねの際に移動方向の先端部が下方に垂れて折れ曲がったり、あるいは、その先端部が先に積み重ねられた片面段ボールシートの上方に向いている段山の凹凸部に引っ掛かって次の片面段ボールシートが湾曲することが多く、片面段ボールシートを規則正しく積重ねることができないという問題があった。
【0007】
この発明の課題は、片面段ボールシートを規則正しく積み重ねることができるようにした片面段ボールシートの積重ね装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明においては、波状に段成形された中しんの段山にライナが接着された片面段ボールを、その中しんを上側にし、段山が前後方向となるようにして一方向に搬送し、その片面段ボールをカッタにより幅方向に切断して所定長さの片面段ボールシートを形成し、その片面段ボールシートをカッタの下流側に設けられたシート積重ね部において積み重ねるようにした片面段ボールシートの積重ね装置において、前記シート積重ね部の直前に、送り込まれてくる片面段ボールシートを、その両側が幅方向の中央部より上位に位置する上反り状態に変形させて前記シート積重ね部に搬送する反り形成用コンベヤ装置を設けた構成を採用したのである。
【0009】
上記の構成からなる片面段ボールシートの積重ね装置において、片面段ボールシートは、シート積重ね部に送り込まれる前段において、反り形成用コンベヤ装置により幅方向に湾曲する上反り状態に形成され、その上反りによって腰が強められることになる。このため、片面段ボールシートは先端部が垂れ下がることなく真直ぐに延びる直線状態でシート積重ね部に送り込まれて、先に積み重ねられた片面段ボールシートの段山に引っ掛かることなく積み重ねられることになり、規則正しい積み重ね状態を得ることができる。
【0010】
ここで、反り形成用コンベヤ装置として、搬入端を同一の高さとして片面段ボールシートの搬送方向と交差する方向に並べられた複列のコンベヤを有し、その複列のコンベヤのうち、少なくとも片面段ボールシートの幅方向の中央より両側に片寄った部分を支持する両サイドのコンベヤを搬出端に向けて上り勾配をもつ傾斜状の配置とし、前記複列のコンベヤの上側に片面段ボールシートを各コンベヤのキャリヤ側の上面に向けて弾力的に押し下げる複数の押え部材をシート搬送方向と交差する方向に間隔をおいて設けた構成からなるものを採用することができる。
【0011】
上記のような反り形成用コンベヤ装置においては、複列のコンベヤは、搬入端が同一の高さであるため、片面段ボールシートを平板状態でスムーズに受け入れることができ、しかも、両サイドのコンベヤは搬出端に向けて上り勾配を持って傾斜して、その搬出端は幅方向中央に位置するコンベヤの搬出端より上位に位置し、また、複数の押え部材は片面段ボールシートを各コンベヤのキャリヤ側の上面に向けて弾力的に押し下げるため、片面段ボールシートの搬送時に、その片面段ボールシートを上反り状態に確実に変形させることができる。
【0012】
ここで、シート積重ね部は、前記反り形成用コンベヤ装置より低速度で片面段ボールシートを下流側に搬送し、反り形成用コンベヤ装置との速度差により片面段ボールシートをその先端が搬送方向の前後に位置ずれする屋根瓦状にラップさせるラップコンベヤ装置であってもよい。この場合、片面段ボールシートをラップコンベヤ装置上において搬送方向の先端が前後に位置ずれする屋根瓦状に規則正しく積み重ねることができる。
【0013】
また、シート積重ね部は、反り形成用コンベヤ装置の搬出端との間に片面段ボールシートの長さに相当する間隔をおいて設けられ、反り形成用コンベヤ装置から送り出される片面段ボールシートの先端縁を受け止めるフロント部材と、そのフロント部材で受け止められて落下する片面段ボールシートを先端縁が揃う山積みの積み重ね状態に支持し、設定枚数の片面段ボールシートが積重ねられた際に、その山積み片面段ボールシートを送り出す排出コンベヤとからなるものであってもよい。
【0014】
上記のようなシート積重ね部においては、排出コンベヤの搬送面上に片面段ボールシートを、その先端縁が揃う山積み状態に規則正しく積み重ねることができる。
【0015】
上記シート積重ね装置の採用において、前記フロント部材の上流側に、反り形成用コンベヤ装置から送り出される片面段ボールシートの先端部両側を案内するガイド部材を設けておくと、反り形成用コンベヤ装置の搬出端から送り出された片面段ボールシートは、そのガイド部材に先端部が案内される状態でフロント部材に当接する位置まで送り込まれるため、片面段ボールシートの先端部の垂れ下がりをより確実に防止し、片面段ボールシートをより規則正しく山積みすることができる。
【0016】
上記ガイド部材は、片面段ボールシートの搬送方向に長く延びる板状のものであってもよい。そのガイド部材として、螺旋状のブラシを有し、そのブラシの螺旋方向に回転駆動されるスパイラルブラシロールからなるものを採用することにより、そのスパイラルブラシロールの回転によって片面段ボールシートの先端部両側が上方に持ち上げられる状態でフロント部材の位置まで搬送されることになる。このため、片面段ボールシートが長さの長いものであっても、先端部が下方に垂れ下がるというようなことはなく、長さの長い片面段ボールシートでも、確実に規則正しく山積みすることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記のように、この発明においては、片面段ボールシートがシート積重ね部に送り込まれる前段において、反り形成用コンベヤ装置により片面段ボールシートを幅方向に湾曲する上反り状態に変形させるようにしたので、片面段ボールシートをシート積重ね部に直線状態で送り込むことができ、そのシート積重ね部に片面段ボールシートを確実に規則正しく積み重ねることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、片面段ボールSは、同図の矢印で示す方向に搬送される。ここで、片面段ボールSは、図5に示すように、波状に段成形された中しんaの段山にライナbを接着した構成とされ、その中しんaを上とし、段山が前後方向に並ぶ状態で図1の矢印で示す方向に搬送される。実施の形態では、図示省略したスリッタにより片面段ボールSを幅方向の2等分位置において長さ方向(搬送方向)に切断し、片面段ボールSを2列の状態で搬送させるようにしている。
【0019】
片面段ボールSの搬送路には、その片面段ボールSを幅方向に切断して設定長さの片面段ボールシートSを形成するカッタとしてのロータリカッタ1が設けられている。
【0020】
ロータリカッタ1の下流側における片面段ボールシートSの搬送路には、上流から下流側に向けて、受渡しコンベヤ装置10、第1反り形成用コンベヤ装置20、ラップコンベヤ装置30、バッチ分け装置40、セパレートコンベヤ装置50、第2反り形成用コンベヤ装置60、シート積重ね装置70が順に設けられている。
【0021】
受渡しコンベヤ装置10は、サクションコンベヤ11と、そのサクションコンベヤ11の上方に配置された複数の板ばね12とからなっている。サクションコンベヤ11はロータリカッタ1から送り出されてくる片面段ボールシートSを受け取って、その片面段ボールシートSを下側から吸着して下流側に搬送する。板ばね12は片面段ボールシートSの搬送方向に長く延び、その上流側の端部がシート搬送路上に設けられた支持バー13で支持され、下流側の自由端部で片面段ボールシートSを弾性的に押し下げて複列のサクションコンベヤ11の搬送面に密着させるようになっている。
【0022】
図2乃至図5は、第1反り形成用コンベヤ装置20を示す。第1反り形成用コンベヤ装置20は、片面段ボールシートSの搬送方向と交差する方向に並べられた複列のベルトコンベヤ21を有し、その複列のベルトコンベヤ21のうち、少なくとも片面段ボールシートSの両側部辺りを支持する両サイドのベルトコンベヤ21を搬出端に向けて上り勾配をもつ傾斜状の配置とし、上記複列のベルトコンベヤ21上に送り込まれた片面段ボールシートSをシート搬送方向と交差する方向に間隔をおいて設けた複数の押え部材としての板ばね22で弾性的に押し下げて、片面段ボールシートSをその両側が幅方向の中央部より上位に位置する上反り状態に変形させるようにしている。
【0023】
ここで、複列のベルトコンベヤ21のそれぞれは、テールプーリ21aのプーリ軸21bを中心にしてヘッドプーリ21cが上下動する方向に揺動自在に支持されている。
【0024】
また、各ベルトコンベヤ21を支持する各コンベヤフレーム23は、各ベルトコンベヤ21の下方に設けられた支持軸24を中心にしてその下流側端部を上下方向に揺動自在に支持され、その揺動側下流端部に接続されたシリンダ25を作動させることによって、それぞれの搬入端部の高さが同一の高さとなっているベルトコンベヤ21の搬送方向への傾斜角度を個別に調整し得るようになっている。
【0025】
実施の形態においては、図2および図4に示すように、片面段ボールシートSの幅方向の中央部を支持するベルトコンベヤ21を水平状態とし、他の残りのベルトコンベヤ21においては搬出端に向けて上り勾配を持つ傾斜状とし、その傾斜角度を両サイドのベルトコンベヤ21から幅方向の中央部に至るベルトコンベヤ21に向けて次第に小さくなるようにして、片面段ボールシートSをその両側が幅方向の中央部より上位に位置するような滑らかな円弧状の上反りにしている。
【0026】
図2に示すように、複数の板ばね22は、片面段ボールシートSの搬送方向に長く延びている。その複数の板ばね22は、ベルトコンベヤ21の搬入側端部上と、搬出側端部上のそれぞれに設けられ、搬入側端部上に設けられた複数の板ばね22は、その上流側端部が支持バー26で支持されて、下流側の自由端部で片面段ボールシートSを弾性的に押し下げるようになっている。
【0027】
一方、搬出側端部上に設けられた複数の板ばね22は、支持軸27を中心にして上下方向に揺動可能なアーム28の上流側端部に支持され、そのアーム28の下流側端部に接続したシリンダ29の作動によって弾性力を調整し得るようになっている。
【0028】
図2および図3に示すように、ラップコンベヤ装置30は、片面段ボールシートSの搬送方向と交差する方向に並べられて、片面段ボールシートSを下側から吸着して搬送する複列のサクションコンベヤ31からなっている。この複列のサクションコンベヤ31は、シート搬送面が第1反り形成用コンベヤ装置20のシート搬送面より下位に位置するよう段差をもって配置されている。
【0029】
また、複列のサクションコンベヤ31におけるシート搬送速度は、第1反り形成用コンベヤ装置20のシート搬送速度より低速とされている。このため、第1反り形成用コンベヤ装置20から複列のサクションコンベヤ31上に片面段ボールシートSが送り込まれると、第1反り形成用コンベヤ装置20との速度差により片面段ボールシートSは後で送り込まれた片面段ボールシートSの先端が先に送り込まれたものより搬送方向の後に位置ずれする屋根瓦状のラップ状の積み重ねとされ、そのラップ状態で下流側に搬送される。
【0030】
図1に示すように、セパレートコンベヤ装置50は、片面段ボールシートSを下側から吸着して下流側に向けて搬送するように下流側に向けた順に配設されている複列の第1サクションコンベヤ51および複列の第2サクションコンベヤ52と複列の第3ベルトコンベヤ53とからなっている。
【0031】
第1サクションコンベヤ51、第2サクションコンベヤ52および第3ベルトコンベヤ53は、通常、ラップコンベヤ装置30によるシート搬送速度と同速度でラップ状態に積み重ねられた片面段ボールシートSを下流側に向けて搬送し、バッチ分け装置40が屋根瓦状で移動する片面段ボールシートSを設定枚数毎に移動方向にバッチ分けすると、バッチ分けされて下流側に位置する片面段ボールシートSをラップコンベヤ装置30によるシート搬送速度よりも高速で下流側に搬送するようになっている。
【0032】
図1および図2に示すように、バッチ分け装置40は、ラップコンベヤ装置30の搬出端とセパレートコンベヤ装置50の搬入端間に設けられている。このバッチ分け装置40は、吸着パット41と、その吸着パット41をシート搬送面より下方へ没入する位置からシート搬送面より上方に突出する位置との間で昇降動させるシリンダ42とからなり、上記吸着パット41の上昇により屋根瓦状で移動する片面段ボールシートSの1枚をシート搬送面上に持ち上げて、吸着により停止状態に保持し、その停止状態の片面段ボールシートSより下流側の屋根瓦状で移動する片面段ボールシートSをセパレートコンベヤ装置50により高速で搬送させてバッチ分けする構成とされている。
【0033】
図6乃至図8は、第2反り形成用コンベヤ装置60を示す。この第2反り形成用コンベヤ装置60は、弾性を有する複数のローラ61を押え部材として用いるようにしている点で先に述べた第1反り形成用コンベヤ装置20と相違している。このため、先に述べた第1反り形成用コンベヤ装置20と同一のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
複数のローラ61は、片面段ボールシートSの幅方向の中央部を弾性的に押し下げるような位置に配置されている。各ローラ61は、図6に示すように、上流側に位置する軸62を中心にして上下方向へ揺動自在に支持されたL形ローラアーム63の下流側端部に回転自在に支持され、ローラアーム63の上流側端部に接続されたシリンダ64の作動によって押し下げ力を調整し得るようになっており、その押し下げによって片面段ボールシートSをその両側が幅方向の中央部より上位に位置するような円弧状の上反り状態に変形させるようになっている。
【0035】
図6、図7、図9および図10に示すように、シート積重ね装置70は、第2反り形成用コンベヤ装置60の搬出端との間に片面段ボールシートSの長さに相当する間隔をおいてフロント部材71を設け、第2反り形成用コンベヤ装置60から送り込まれてくる片面段ボールシートSの先端をそのフロント部材71で受け、上記フロント部材71に沿って落下する片面段ボールシートSを第2反り形成用コンベヤ装置60とフロント部材71間に設けられた排出コンベヤ72の搬送面上で順次積重ねるような構成とされている。
【0036】
ここで、排出コンベヤ72は、その搬送面上に積み重ねられた山積みの片面段ボールシートSを、その片面段ボールシートSの搬送方向と交差する方向に送り出すようになっている。
【0037】
上記排出コンベヤ72は、その下方に設けられた昇降台73の上側に設けられている。昇降台73は昇降自在に支持され、その上流側端部の両側と下流側端部の両側に一端が連結されたチェーン74のそれぞれは上方に引き上げられてスプロケット75に掛けられ、そのスプロケット75の回転によって昇降台73が昇降動されるようになっている。
【0038】
フロント部材71の上流側には、第2反り形成用コンベヤ装置60から送り出される片面段ボールシートSの先端部両側を案内するガイド部材としてのスパイラルブラシロール78が設けられている。
【0039】
スパイラルブラシロール78は螺旋状のブラシ78aを外周に有している。このスパイラルブラシロール78はモータ79によって一方向に回転駆動され、その回転により片面段ボールシートSの先端部の両外側を上方に持ち上げて、排出コンベヤ72上へ先に送り込まれている片面段ボールシートSの上方に向いている段山の凹凸部に引っ掛かることのないようにしてフロント部材71の位置まで搬送するようになっている。
【0040】
実施の形態で示す片面段ボールシートの積重ね装置は上記の構造からなり、図1の矢印で示す方向に移動する片面段ボールSは、ロータリカッタ1によって幅方向に切断され、その切断によって片面段ボールシートSが形成される。
【0041】
片面段ボールシートSは受渡しコンベヤ装置10により支持、搬送されて第1反り形成用コンベヤ装置20に送り込まれ、板ばね22によってシート搬送面に押し付けられて下流側に搬送される。
【0042】
このとき、第1反り形成用コンベヤ装置20は、複列のベルトコンベヤ21を有し、片面段ボールシートSの幅方向の中央部を支持するベルトコンベヤ21を水平状態とし、他の残りのベルトコンベヤ21においては搬出端に向けて上り勾配を持つ傾斜状とし、その傾斜角度を両側サイドのベルトコンベヤ21から幅方向の中央部に至るコンベヤ21に向けて次第に小さくなるようにしているため、片面段ボールシートSは下流側への搬送時に、上記板ばね22での弾性的な押し下げにより、図4に示すように、円弧状の上反り状態に変形する。片面段ボールシートSはその変形状態でラップコンベヤ装置30のサクションコンベヤ31上に送り出され、下流側に吸着搬送される。
【0043】
上記のように、片面段ボールシートSは第1反り形成用コンベヤ装置20によって上反り状態とされるため、腰が強くなり、その上反り状態で下流側に送り出されるため、先端部が垂れ下がるようなことがなく直線状態でサクションコンベヤ31上に次々と送り出される。
【0044】
このとき、シート積重ね部としての機能も有するラップコンベヤ装置30のシート搬送速度は、複列のベルトコンベヤ21のシート搬送速度より低速であるため、片面段ボールシートSは、サクションコンベヤ31上において、後で送り込まれた片面段ボールシートSの先端が先に送り込まれたものより搬送方向の後に位置ずれする屋根瓦状にラップする規則正しい積み重ね状態とされ、そのラップ状態でセパレートコンベヤ装置50に送り出されることになる。
【0045】
ラップ状態の片面段ボールシートSは第1サクションコンベヤ51から第2サクションコンベヤ52に送り出されると共に、その第2サクションコンベヤ52から第3ベルトコンベヤ53に送り出されて、第2反り形成用コンベヤ装置60上に送り込まれ、ローラ61によりシート搬送面に押し付けられて下流側に搬送される。
【0046】
このとき、第2反り形成用コンベヤ装置60は、前記第1反り形成用コンベヤ装置20と同様に、複列のベルトコンベヤ21を有し、片面段ボールシートSの幅方向の中央部を支持するベルトコンベヤ21を水平状態とし、他の残りのベルトコンベヤ21においては搬出端に向けて上り勾配を持つ傾斜状とし、その傾斜角度を両側サイドのベルトコンベヤ21から幅方向の中央部に至るコンベヤ21に向けて次第に小さくなるようにしているため、片面段ボールシートSは下流側への搬送時に、上記ローラ61の押し下げにより、図8に示すように、円弧状の上反り状態に変形する。その変形状態でシート積重ね装置70の排出コンベヤ72上に次々と送り込まれる。
【0047】
このように、片面段ボールシートSは第2反り形成用コンベヤ装置60によって上反り状態とされるため、腰が強くなり、その上反り状態で下流側に送り出されるため、先端部が垂れ下がるようなことがなく直線状態で排出コンベヤ72上に次々と送り出される。
【0048】
排出コンベヤ72上に送り込まれた片面段ボールシートSはスパイラルブラシロール78の回転により外側縁の先端部が持ち上げられる状態でフロント部材71に先端が受け止められて下方の排出コンベヤ72上に落下し、その排出コンベヤ72上において次々と山積み状態に規則正しく積み重ねられる。
【0049】
ここで、所定枚数の片面段ボールシートSがバッチ分け装置40の位置を通過すると、シリンダ42の作動により吸着パット41が上昇し、その吸着パット41により片面段ボールシートSの1枚がシート搬送面上に持ち上げられ、吸着により停止状態とされる。
【0050】
また、片面段ボールシートSの停止と同時にセパレートコンベヤ装置50は先のラップ状の片面段ボールシートSを高速で下流側に搬送する。このため、停止状態に保持された片面段ボールシートSとその下流側の片面段ボールシートSとの間に間隔があき、屋根瓦状で搬送される片面段ボールシートSは設定枚数にバッチ分けされることになる。
【0051】
バッチ分けされた先の片面段ボールシートSの最後尾が排出コンベヤ72上に送り込まれて山積みされると、吸着パット41は片面段ボールシートSの吸着を解除して下降する。その下降によって停止状態にあった次の片面段ボールシートSが下流側に搬送される。
【0052】
排出コンベヤ72上においてバッチ分けされた所定枚数の片面段ボールシートSが山積みされると、スプロケット75の回転により昇降台73が下降される。
【0053】
図10に示すように、昇降台73が下限位置まで下降されて停止すると、排出コンベヤ72が作動して、山積みの片面段ボールシートSをこれまでの搬送方向と直交する方向の下流側に送り出す。
【0054】
山積みの片面段ボールシートSが排出コンベヤ72の排出端から完全に送り出されると、スプロケット75の回転により昇降台73が上昇され、次の片面段ボールシートSを受け入れる状態とされる。
【0055】
以上のように、実施の形態で示す片面段ボールシートの積重ね装置においては、片面段ボールシートSがラップコンベヤ装置30のサクションコンベヤ31に送り込まれる前段において、第1反り形成用コンベヤ装置20により片面段ボールシートSを幅方向に湾曲する上反り状態に変形させるようにしているので、片面段ボールシートSをサクションコンベヤ31上に直線状態で送り込むことができ、そのサクションコンベヤ31上において、次に続く片面段ボールシートSの先端部が先に積み重ねられた片面段ボールシートSの上方に向いている段山の凹凸部に引っ掛かるようなことはなく、片面段ボールシートSを屋根瓦状のラップ状態に確実に規則正しく積み重ねることができる。
【0056】
また、片面段ボールシートSがシート積重ね装置70の排出コンベヤ72に送り込まれる前段において、第2反り形成用コンベヤ装置60により片面段ボールシートSを幅方向に湾曲する上反り状態に変形させるようにしているので、片面段ボールシートSを排出コンベヤ72上に直線状態で送り込むことができ、同様にその排出コンベヤ72上において片面段ボールシートSを山積みの状態に確実に規則正しく積み重ねることができる。
【0057】
実施の形態においては、ガイド部材としてスパイラルブラシロール78を示したが、片面段ボールシートSの搬送方向に長く延びるガイド板をガイド部材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明に係る片面段ボールシートの積重ね装置の実施の形態を示す概略正面図
【図2】図1の第1反り形成用コンベヤ装置とラップコンベヤ装置を示す概略正面図
【図3】図2の平面図
【図4】第1反り形成用コンベヤ装置の側面図
【図5】第1反り形成用コンベヤ装置のベルトコンベヤを示す斜視図
【図6】図1の第2反り形成用コンベヤ装置とシート積重ね装置を示す概略正面図
【図7】図6の平面図
【図8】第2反り形成用コンベヤ装置の側面図
【図9】排出コンベヤの側面図
【図10】排出コンベヤ上に積重ねられた片面段ボールシートを送り出す直前の状態を示す側面図
【符号の説明】
【0059】
片面段ボール
片面段ボールシート
a 中しん
b ライナ
1 ロータリカッタ(カッタ)
20 第1反り形成用コンベヤ装置
21 ベルトコンベヤ(コンベヤ)
22 板ばね(押え部材)
30 ラップコンベヤ装置
60 第2反り形成用コンベヤ装置
71 フロント部材
72 排出コンベヤ
78 スパイラルブラシロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波状に段成形された中しんの段山にライナが接着された片面段ボールを、その中しんを上側にし、段山が前後方向となるようにして一方向に搬送し、その片面段ボールをカッタにより幅方向に切断して所定長さの片面段ボールシートを形成し、その片面段ボールシートをカッタの下流側に設けられたシート積重ね部において積み重ねるようにした片面段ボールシートの積重ね装置において、
前記シート積重ね部の直前に、送り込まれてくる片面段ボールシートを、その両側が幅方向の中央部より上位に位置する上反り状態に変形させて前記シート積重ね部に搬送する反り形成用コンベヤ装置を設けたことを特徴とする片面段ボールシートの積重ね装置。
【請求項2】
前記反り形成用コンベヤ装置が、搬入端を同一の高さとして片面段ボールシートの搬送方向と交差する方向に並べられた複列のコンベヤを有し、その複列のコンベヤのうち、少なくとも片面段ボールシートの幅方向の中央より両側に片寄った部分を支持する両サイドのコンベヤを搬出端に向けて上り勾配をもつ傾斜状の配置とし、前記複列のコンベヤの上側に片面段ボールシートを各コンベヤのキャリヤ側の上面に向けて弾力的に押し下げる複数の押え部材をシート搬送方向と交差する方向に間隔をおいて設けた構成からなる請求項1に記載の片面段ボールシートの積重ね装置。
【請求項3】
前記シート積重ね部が、前記反り形成用コンベヤ装置より低速度で片面段ボールシートを下流側に搬送し、反り形成用コンベヤ装置との速度差により片面段ボールシートをその先端が搬送方向の前後に位置ずれする屋根瓦状にラップさせるラップコンベヤ装置からなる請求項1又は2に記載の片面段ボールシートの積重ね装置。
【請求項4】
前記シート積重ね部が、反り形成用コンベヤ装置の搬出端との間に片面段ボールシートの長さに相当する間隔をおいて設けられ、反り形成用コンベヤ装置から送り出される片面段ボールシートの先端縁を受け止めるフロント部材と、そのフロント部材で受け止められて落下する片面段ボールシートを先端縁が揃う山積みの積み重ね状態に支持し、設定枚数の片面段ボールシートが積重ねられた際に、その山積み片面段ボールシートを送り出す排出コンベヤとからなる請求項1又は2に記載の片面段ボールシートの積重ね装置。
【請求項5】
前記フロント部材の上流側に、反り形成用コンベヤ装置から送り出される片面段ボールシートの先端部両側を案内するガイド部材を設けた請求項4に記載の片面段ボールシートの積重ね装置。
【請求項6】
前記ガイド部材が、螺旋状のブラシを有し、そのブラシの螺旋方向に回転駆動されるスパイラルブラシロールからなる請求項5に記載の片面段ボールシートの積重ね装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−285930(P2009−285930A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139463(P2008−139463)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】