説明

物体の像を取得する装置、物体の像を取得する方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する装置を提供する。
【解決手段】物体の像を取得する装置であって、物体の像を光学的に取得する光学系、物体の像を取得する条件に関するデータを取得するデバイス、前記物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータを取得するデバイス、及び、水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更するデバイスを含む、物体の像を取得する装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの態様は、物体の像を取得する装置、物体の像を取得する方法、プログラム、及び記録媒体の少なくとも一つに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の像を取得する装置、物体の像を取得する方法、プログラム、及び記録媒体の少なくとも一つに関する様々な技術が開示されている。
【0003】
例えば、特開2010−088093号公報(特許文献1)には、撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶手段と、前記本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像手段と、前記姿勢検出手段により検出された前記姿勢に基づいて前記記憶手段から対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記撮像手段により取得された画像データから前記撮像対象物の検出を行う対象物検出手段と、を備えることを特徴とする撮像装置、撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶ステップと、前記本体の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像ステップと、前記姿勢検出ステップにより検出された前記姿勢に基づいて前記記憶ステップにて記憶した対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記撮像ステップにより取得された画像データから撮像対象物の検出を行う対象物検出ステップと、を備えることを特徴とする撮像方法、前記の撮像方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び前記のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体が、開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能であるように、物体の像を取得することは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する装置を提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法を提供することである。
【0007】
本発明の第三の目的は、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを提供することである。
【0008】
本発明の第四の目的は、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、物体の像を取得する装置であって、物体の像を光学的に取得する光学系、物体の像を取得する条件に関するデータを取得するデバイス、前記物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータを取得するデバイス、及び、水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更するデバイスを含む、物体の像を取得する装置である。
【0010】
本発明の第二の態様は、物体の像を取得する方法であって、光学系を使用することで物体の像を光学的に取得すること、物体の像を取得する条件に関するデータを取得すること、前記物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータを取得すること、及び、水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更することを含む、物体の像を取得する方法である。
【0011】
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様である物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムである。
【0012】
本発明の第四の態様は、本発明の第三の態様であるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第一の態様によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する装置を提供することが可能になる。
【0014】
本発明の第二の態様によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法を提供することが可能になる。
【0015】
本発明の第三の態様によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを提供することが可能になる。
【0016】
本発明の第四の態様によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置の例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置において水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更することの例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法の例及び本発明の第三の実施形態に係るプログラムの例を示す図である。
【図4】図4は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光についての差分偏光度を取得する方法の例を示す図である。
【図5】図5は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光の像の処理の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第四の実施形態に係る記録媒体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例えば 次に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置の例を示す図である。
【0020】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置において水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更することの例を示す図である。
【0021】
図1に示す本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置の例は、物体の像を取得する装置(像取得装置)100であって、物体の像を光学的に取得する光学系101、物体の像を取得する条件に関するデータを取得するデバイス(条件データ取得デバイス)103、物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを取得するデバイス(角度データ取得デバイス)105、及び、水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系101の光軸の角度を変更するデバイス(角度変更デバイス)106を含む、物体の像を取得する装置である。
【0022】
図1に示す像取得装置100は、さらに、光学系101によって光学的に取得された物体の像(光学的な像)を電気信号に変換するデバイス(センサーデバイス)102、及び、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを記憶するデバイス(データ記憶デバイス)104を含む。
【0023】
像取得装置100としては、例えば、車の進行方向における風景を撮像する車載カメラのようなカメラ等が挙げられる。
【0024】
光学系101は、物体から入射する光を結像させるものである。光学系101としては、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含む光学系等が挙げられる。光学系101は、ズームレンズであることがある。光学系101は、光学系101の焦点が、センサーデバイス102の受光面に存在するように、配置されることがある。すなわち、像取得装置100又は光学系101に入射する平行光は、センサーデバイス102の受光面に結像させられることがある。
【0025】
センサーデバイス102としては、例えば、光学的な像を電気的なアナログ信号に変換する電荷結合素子(CCD)及びアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器の組み合わせ等が挙げられる。
【0026】
条件データ取得デバイス103としては、例えば、GPS(全地球測位システム)受信機等が挙げられる。条件データ取得デバイス103としてのGPS受信機は、三個以上のGPS衛星からの信号を受信することによって、時間及び像取得装置100の位置のデータを作成する。すなわち、像取得装置100が物体の像を取得するときの年月日及び時刻又は時間並びに像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の緯度及び経度並びに方向のデータのような像取得装置100の条件に関するデータを作成する。条件データ取得デバイス103は、像取得装置100が物体の像を取得するときに、像取得装置100の条件に関するデータを角度データ取得デバイス105に送信する。
【0027】
像取得装置100の条件に関するデータは、例えば、
像取得装置100が物体の像を取得するときの時間のデータとしての、像取得装置100が物体の像を取得するとき時刻が属する0時から23時までの24段階のデータ、
像取得装置100が物体の像を取得するときの月のデータとしての、3月、6月、9月、及び12月の4段階のデータ(像取得装置100が物体の像を取得するときの月が、3月から5月まで、6月から8月まで、9月から11月まで、及び12月から2月までであるとき、像取得装置100が物体の像を取得するときの月は、それぞれ、3月、6月、9月、及び12月のデータが提供される)、
像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の方向のデータとしての、像取得装置100が物体の像を取得する方向に最も近い、北、北東、東、南東、南、南西、西、及び北西の方向の8段階のデータ、
像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の緯度のデータとしての、像取得装置100が物体の像を取得する位置の緯度に最も近い、−60度、−30度、0度、30度、及び60度の緯度の5段階のデータ、並びに、
像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の経度のデータとしての、像取得装置100が物体の像を取得する位置の経度に最も近い、−90度、0度、90度、及び180度の緯度の4段階のデータ
等が挙げられる。
【0028】
データ記憶デバイス104としては、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)のようなメモリ(記憶装置)等が挙げられる。データ記憶デバイス104に記憶されるデータは、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータのテーブルを含む。データ記憶デバイス104に記憶されるデータは、角度データ取得デバイス105に送信される。
【0029】
例えば、水平面に対する光学系101の光軸の角度(水平面に対する像取得装置100の角度)は、像取得装置100が物体の像を取得するときの太陽光線の方向及び像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の方向に依存するため、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータのテーブルは、互いに対応付けられた、像取得装置100が物体の像を取得するときの時間のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの月のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の方向のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の緯度のデータ、及び像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の経度のデータ等の物体の像を取得する条件に関するデータ、並びに物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを含むことがある。
【0030】
像取得装置100が物体の像を取得するときの時間のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの月のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の方向のデータ、像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の緯度のデータ、及び像取得装置100が物体の像を取得するときの像取得装置100の位置の経度のデータ等の物体の像を取得する条件に関するデータ、並びに物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータは、好ましくは、離散的なデータである。この場合には、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータのテーブルに含まれるデータの量を低減することが可能になる。
【0031】
上記のテーブルの例としては、例えば、表1に示すようなテーブルが挙げられる。
【0032】
【表1】

角度データ取得デバイス105としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)及びメモリ(記憶装置)を含むユニット等が挙げられる。図1に示す像取得装置100においては、角度データ取得デバイス105は、センサーデバイス102、条件データ取得デバイス103、データ記憶デバイス104、及び角度変更デバイス106と接続されている。角度データ取得デバイス105に含まれるメモリには、条件データ取得デバイス103によって取得された物体の像を取得する条件に関するデータを読み出すこと、条件データ取得デバイス103によって取得された物体の像を取得する条件に関するデータに基づいてデータ記憶デバイス104に記憶されたテーブルから条件データ取得デバイス103によって取得された物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを取得すること、及び、角度変更デバイス106へ水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを送信することをを含む、プログラムが記憶されている。角度データ取得デバイス105に含まれるCPU又はFPGAは、角度データ取得デバイス105に含まれるメモリに記憶されたプログラムを読み込むと共に実行する。
【0033】
像取得装置100が物体の像を取得するとき、角度データ取得デバイス105は、条件データ取得デバイス103から像取得装置100の条件に関するデータを受信する。次に、角度データ取得デバイス105は、データ記憶デバイス104に記憶された物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータのテーブルを参照する。条件データ取得デバイス103から取得された物体の像を取得する条件に関するデータに基づいてデータ記憶デバイス104から物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを読み出すと共に受信する。次に、角度データ取得デバイス105は、水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを角度変更デバイス106へ送信する。
【0034】
角度変更デバイス106としては、例えば、水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系101の光軸の角度を変更するアクチュエーター等が挙げられる。角度変更デバイス106は、角度データ取得デバイス105から送信された水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータを受信すると共に水平面に対する光学系101の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系101の光軸の角度又は水平面に対する像取得装置100の角度を変更する。
【0035】
図1に示す像取得装置100と同一の又は類似の装置である、図2に示す像取得装置200は、光学系201及び角度変更デバイス202を含む。像取得装置200に含まれる角度変更デバイス202が、水平面に対する光学系201の光軸の角度のデータを受信すると、角度変更デバイス202は、水平面に対する光学系201の光軸の角度のデータに従って、図2において直線の矢印によって表された水平面に平行な方向に対して図2において一点鎖線で表された光学系201の光軸の角度を変更する。図2において曲線の矢印によって示すように像取得装置200を支持する支持体203に対して像取得装置200を回転させることによって、図2において直線の矢印によって表された水平面に平行な方向に対する像取得装置200の角度θを変更する。
【0036】
水平面に対する光学系101又は光学系201の光軸の角度又は水平面に対する像取得装置100又は像取得装置200の角度を変更した後で、像取得装置100又は像取得装置200を使用することで物体の像を取得する。図1に示す像取得装置100においては、物体から光学系101に入射する光を光学系101によってセンサーデバイス102に結像させる。これにより、物体の像がセンサーデバイス102の受光面に光学的に形成される。センサーデバイス102の受光面に形成された像は、電気的に処理されると共にディジタル画像のデータに変換される。センサーデバイス102によって得られたディジタル画像のデータは、角度データ取得デバイス105に送信される。角度データ取得デバイス105に含まれるメモリには、ディジタル画像のデータを処理するプログラムもまた記憶されている。角度データ取得デバイス105が、センサーデバイス102からディジタル画像のデータを受信すると、角度データ取得デバイス105に含まれるCPU又はFPGAは、角度データ取得デバイス105に含まれるメモリに記憶されたディジタル画像のデータを処理するプログラムを実行する。これにより、像取得デバイス100において、センサーデバイス102から送信されたディジタル画像が処理される。
【0037】
このように、図1に示す像取得装置100又は図2に示す像取得装置200によれば、像取得装置100が物体の像を取得するとき、物体の像を取得する像取得装置100の条件に応じて水平面に対する光学系101の光軸の角度又は水平面に対する像取得装置100の角度を変更することが可能である。このため、物体の像を取得する像取得装置100の条件に応じて、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能であるように水平面に対する光学系101の光軸の角度又は水平面に対する像取得装置100の角度を変更することが可能になる。
【0038】
本発明の第一の実施形態によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する装置(像取得装置)100又は200を提供することが可能になる。
【0039】
図1に示す本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置(像取得装置)100において、好ましくは、物体の像を取得する装置(像取得装置)100は、光学系に入射する光から偏光を取得するデバイス(偏光取得デバイス)107をさらに含む。
【0040】
像取得装置100が、偏光取得デバイス107をさらに含む場合には、像取得装置100は、物体の偏光の像を取得するカメラ(偏光カメラ)であることがある。
【0041】
偏光取得デバイス107としては、例えば、光学系101に入射する光から偏光を取得する偏光フィルター等が挙げられる。偏光は、互いに直交する電場の振動面を有する直線偏光であることがある。偏光フィルター107は、図1に示すように光学系101の後方に配置されること又は光学系101の前方に配置されることがある。
【0042】
偏光取得デバイス107は、光学系101の光軸のまわりに回転可能なものであるように、像取得装置100に配置される。すなわち、像取得装置100は、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸のまわりに回転させるデバイスを含むことがある。偏光取得デバイス107を光学系101の光軸のまわりに回転させるデバイスは、像取得装置100のユーザー又は角度データ取得デバイス105によって制御されるスイッチ及びスイッチからの信号に応答して偏光取得デバイス107を光学系101の光軸のまわりに回転させるアクチュエーターを含む。例えば、偏光取得デバイス107が、光学系101の光軸のまわりにある角度で配置されるとき、偏光取得デバイス107に入射する光から偏光取得デバイス107を通じてある方向に電場の振動面を有する第一の直線偏光が得られることがある。ここで、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸のまわりに90度だけ回転させると、偏光取得デバイス107に入射する光から偏光取得デバイス107を通じて第一の直線偏光の電場の振動面と直交する電場の振動面を有する第二の直線偏光が得られることがある。
【0043】
このように、像取得装置100が、偏光取得デバイス107をさらに含む場合には、物体からの偏光の像が得られる。図1に示す像取得装置100においては、物体の偏光の像が、光学系101及び偏光取得デバイス107によってセンサーデバイス102の受光面に形成される。偏光の像は、センサーデバイス102によってディジタル画像に変換される。偏光の像のディジタル画像は、角度データ取得デバイス105に送信される。角度データ取得デバイス105に含まれるメモリには、偏光の像のディジタル画像から偏光の像の情報を取得するプログラムが記憶されていることがある。この場合には、角度データ取得デバイス105に含まれるCPU又はFPGAは、センサーデバイス102から送信された偏光の像のディジタル画像を受信すると共に角度データ取得デバイス105に含まれるメモリに記憶された偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の情報を取得するプログラムを実行する。これにより、偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の情報を得ることが可能になる。物体からの偏光の情報としては、例えば、物体からの偏光の差分偏光度及び偏光比等が挙げられる。例えば、偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の差分偏光度又は偏光比を算出することが可能になる。
【0044】
なお、差分偏光度は、互いに直交する電場の振動面を有する第一の直線偏光及び第二の直線偏光について、
差分偏光度=|第一の直線偏光の強度−第二の直線偏光の強度|/|第一の直線偏光の強度+第二の直線偏光の強度|
の式によって定義されるものである。
【0045】
また、偏光比は、互いに直交する電場の振動面を有する第一の直線偏光及び第二の直線偏光について、
偏光比=|第一の直線偏光の強度/第二の直線偏光の強度|(又は|第二の直線偏光の強度/第一の直線偏光の強度|)
の式によって定義されるものである。
【0046】
像取得装置100が、偏光取得デバイス107をさらに含む場合には、物体からの偏光の像が得られるため、物体の偏光の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する装置(像取得装置)100を提供することが可能になる。
【0047】
偏光取得デバイス107は、光学系101の光路に挿入する又は光学系101の光路から取り除くことが可能なものであるように、像取得装置100に配置されることがある。例えば、像取得装置100は、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸に対して垂直な方向に移動させるデバイスを含むことがある。偏光取得デバイス107を光学系101の光軸に対して垂直な方向に移動させるデバイスは、像取得装置100のユーザー又は角度データ取得デバイス105によって制御されるスイッチ及びスイッチからの信号に応答して偏光取得デバイス107を光学系101の光路に挿入する又は光学系101の光路から取り除くように、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸に対して垂直な方向に移動させるアクチュエーターを含む。例えば、偏光取得デバイス107を光学系101の光路に挿入するように、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸に対して垂直な方向に移動させるとき、像取得装置100は、物体の偏光の像を取得することが可能になる。一方、偏光取得デバイス107を光学系101の光路から取り除くように、偏光取得デバイス107を光学系101の光軸に対して垂直な方向に移動させるとき、像取得装置100は、物体の無偏光の像を取得することが可能になる。
【0048】
図3は、本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法の例及び本発明の第三の実施形態に係るプログラムの例を示す図である。
【0049】
図3に示す本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法の例は、物体の像を取得する方法であって、光学系を使用することで物体の像を光学的に取得すること(ステップ301)、物体の像を取得する条件に関するデータを取得すること(ステップ303)、物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得すること(ステップ304)、及び、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系の光軸の角度を変更すること(ステップ305)を含む、物体の像を取得する方法である。図3に示す物体の像を取得する方法は、さらに、光学系を使用することで光学的に取得された物体の像(光学的な像)を電気信号に変換すること(ステップ302)を含む。
【0050】
図3に示す物体の像を取得する方法は、例えば、図1及び図2に示すような本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置(像取得装置)によって実行される。像取得装置としては、例えば、車の進行方向における風景を撮像する車載カメラのようなカメラ等が挙げられる。
【0051】
ステップ301において、光学系を使用することで物体の像を光学的に取得する。光学系は、物体から入射する光を結像させるものである。光学系としては、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含む光学系等が挙げられる。光学系は、ズームレンズであることがある。
【0052】
ステップ302において、光学系を使用することで光学的に取得された物体の像(光学的な像)を電気信号に変換する。光学的な像は、例えば、センサー等によって電気信号に変換される。センサーとしては、例えば、光学的な像を電気的なアナログ信号に変換する電荷結合素子(CCD)及びアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器の組み合わせ等が挙げられる。この場合には、光学的な像は、電荷結合素子(CCD)によって電気的なアナログ信号に変換されると共にアナログ信号は、A/D変換器によってディジタル信号に変換される。光学系は、光学系の焦点が、センサーデバイスの受光面に存在するように、配置されることがある。すなわち、光学系に入射する平行光は、センサーの受光面に結像させられることがある。
【0053】
ステップ303において、物体の像を取得する条件に関するデータを取得する。物体の像を取得する条件は、例えば、GPS(全地球測位システム)受信機等によって取得される。この場合には、GPS受信機は、三個以上のGPS衛星からの信号を受信することによって、物体の像を取得する時間及び物体の像を取得する位置のデータを作成する。すなわち、物体の像を取得するときの年月日及び時刻又は時間並びに物体の像を取得するときの位置の緯度及び経度並びに方向のデータのような物体の像を取得する条件に関するデータを作成する。物体の像を取得するときに、物体の像を取得する条件に関するデータは、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得するために用いられる。
【0054】
物体の像を取得する条件に関するデータは、例えば、
物体の像を取得するときの時間のデータとしての、物体の像を取得するとき時刻が属する0時から23時までの24段階のデータ、
物体の像を取得するときの月のデータとしての、3月、6月、9月、及び12月の4段階のデータ(物体の像を取得するときの月が、3月から5月まで、6月から8月まで、9月から11月まで、及び12月から2月までであるとき、物体の像を取得するときの月は、それぞれ、3月、6月、9月、及び12月のデータが提供される)、
物体の像を取得する方向のデータとしての、物体の像を取得する方向に最も近い、北、北東、東、南東、南、南西、西、及び北西の方向の8段階のデータ、
物体の像を取得するときの位置の緯度のデータとしての、物体の像を取得する位置の緯度に最も近い、−60度、−30度、0度、30度、及び60度の緯度の5段階のデータ、並びに、
物体の像を取得するときの位置の経度のデータとしての、物体の像を取得する位置の経度に最も近い、−90度、0度、90度、及び180度の緯度の4段階のデータ
等が挙げられる。
【0055】
ステップ304において、物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得する。
【0056】
図3に示す物体の像を取得する方法において、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)のようなメモリ(記憶装置)等に予め記憶されている。
【0057】
メモリ等に予め記憶されるデータは、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータのテーブルを含む。メモリ等に記憶されるデータは、物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得するために、用いられる。
【0058】
例えば、水平面に対する光学系の光軸の角度は、物体の像を取得するときの太陽光線の方向及び物体の像を取得する方向に依存するため、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータのテーブルは、互いに対応付けられた、物体の像を取得するときの時間のデータ、物体の像を取得するときの月のデータ、物体の像を取得する方向のデータ、物体の像を取得するときの位置の緯度のデータ、及び物体の像を取得するときの位置の経度のデータ等の物体の像を取得する条件に関するデータ、並びに物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを含むことがある。
【0059】
物体の像を取得するときの時間のデータ、物体の像を取得するときの月のデータ、物体の像を取得する方向のデータ、物体の像を取得するときの位置の緯度のデータ、及び物体の像を取得するときの位置の経度のデータ等の物体の像を取得する条件に関するデータ、並びに物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータは、好ましくは、離散的なデータである。この場合には、物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータのテーブルに含まれるデータの量を低減することが可能になる。
【0060】
上記のテーブルの例としては、例えば、表2に示すようなテーブルが挙げられる。
【0061】
【表2】

ステップ304において、物体の像を取得する条件に関するデータは、例えば、中央演算処理装置(CPU)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)及びメモリ(記憶装置)を含むユニット等によって取得される。上記ユニットに含まれるメモリには、物体の像を取得する条件に関するデータを読み出すこと、物体の像を取得する条件に関するデータに基づいてメモリ等に記憶されたテーブルから物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得すること、及び、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを出力することをを含む、プログラムが記憶されている。上記ユニットに含まれるCPU又はFPGAは、上記ユニットに含まれるメモリに記憶されたプログラムを読み込むと共に実行する。
【0062】
ステップ303において物体の像を取得する条件に関するデータが取得されると、ステップ304において、メモリ等に記憶された物体の像を取得する条件に関するデータ及び物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータのテーブルを参照する。物体の像を取得する条件に関するデータに基づいて、物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを読み出す。次に、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを出力する。
【0063】
ステップ305において、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系の光軸の角度を変更する。
【0064】
水平面に対する光学系の光軸の角度は、例えば、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系の光軸の角度を変更するアクチュエーター等によって変更させられる。ステップ304において、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータを取得すると、ステップ305において、水平面に対する光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する光学系の光軸の角度を変更する。
【0065】
ステップ305において、水平面に対する光学系の光軸の角度を変更した後で、光学系を使用することで物体の像を取得する。物体から光学系に入射する光は、例えば、光学系によってセンサーに結像させられる。これにより、物体の像がセンサーの受光面に光学的に形成される。センサーの受光面に形成された像は、電気的に処理されると共にディジタル画像のデータに変換される。センサーによって得られたディジタル画像のデータは、例えば、例えば、CPU又はFPGA及びメモリを含むユニット等に送信される。上記ユニットに含まれるメモリには、ディジタル画像のデータを処理するプログラムもまた記憶されている。上記ユニットが、センサーからディジタル画像のデータを受信すると、上記ユニットに含まれるCPU又はFPGAは、上記ユニットに含まれるメモリに記憶されたディジタル画像のデータを処理するプログラムを実行する。これにより、センサーから送信されたディジタル画像が処理される。
【0066】
このように、物体の像を取得する方法によれば、物体の像を取得するとき、物体の像を取得する条件に応じて水平面に対する光学系の光軸の角度を変更することが可能である。このため、物体の像を取得する条件に応じて、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能であるように水平面に対する光学系の光軸の角度を変更することが可能になる。
【0067】
本発明の第二の実施形態によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法を提供することが可能になる。
【0068】
図3に示す本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法において、好ましくは、物体の像を取得する方法は、光学系に入射する光の偏光を取得すること(ステップ306)をさらに含む。
【0069】
物体の像を取得する方法が、光学系に入射する光の偏光を取得することをさらに含む場合には、物体の像を取得する方法は、例えば、物体の偏光の像を取得するカメラ(偏光カメラ)によって実行される。
【0070】
光学系に入射する光の偏光は、例えば、光学系に入射する光から偏光を取得する偏光フィルター等によって取得される。偏光は、互いに直交する電場の振動面を有する直線偏光であることがある。偏光フィルター等は、光学系の後方に配置されること又は光学系の前方に配置されることがある。偏光フィルター等は、光学系の光軸のまわりに回転可能なものであるように、に配置される。偏光フィルター等は、偏光フィルター等を光学系の光軸のまわりに回転させるデバイスによって、回転させられる。偏光フィルター等を光学系の光軸のまわりに回転させるデバイスは、例えば、ユーザーによって、又は、CPU又はFPGA及びメモリを含むユニットによって制御されるスイッチ及びスイッチからの信号に応答して偏光フィルター等を光学系の光軸のまわりに回転させるアクチュエーターによって、制御される。例えば、偏光フィルター等が、光学系の光軸のまわりにある角度で配置されるとき、偏光フィルター等に入射する光から偏光フィルター等を通じてある方向に電場の振動面を有する第一の直線偏光が得られることがある。ここで、偏光フィルター等を光学系の光軸のまわりに90度だけ回転させると、偏光フィルター等に入射する光から偏光フィルター等を通じて第一の直線偏光の電場の振動面と直交する電場の振動面を有する第二の直線偏光が得られることがある。
【0071】
このように、物体の像を取得する方法が、偏光フィルター等をさらに含む場合には、物体からの偏光の像が得られる。図3に示す物体の像を取得する方法においては、物体の偏光の像が、光学系及び偏光フィルター等によってセンサーの受光面に形成される。偏光の像は、センサーによってディジタル画像に変換される。偏光の像のディジタル画像は、例えば、CPU又はFPGA及びメモリを含むユニットに送信される。上記ユニットに含まれるメモリには、偏光の像のディジタル画像から偏光の像の情報を取得するプログラムが記憶されていることがある。この場合には、上記ユニットに含まれるCPU又はFPGAは、センサーから送信された偏光の像のディジタル画像を受信すると共に上記ユニットに含まれるメモリに記憶された偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の情報を取得するプログラムを実行する。これにより、偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の情報を得ることが可能になる。物体からの偏光の情報としては、例えば、物体からの偏光の差分偏光度及び偏光比等が挙げられる。例えば、偏光の像のディジタル画像から物体からの偏光の差分偏光度又は偏光比を算出することが可能になる。
【0072】
なお、差分偏光度は、互いに直交する電場の振動面を有する第一の直線偏光及び第二の直線偏光について、
差分偏光度=|第一の直線偏光の強度−第二の直線偏光の強度|/|第一の直線偏光の強度+第二の直線偏光の強度|
の式によって定義されるものである。
【0073】
また、偏光比は、互いに直交する電場の振動面を有する第一の直線偏光及び第二の直線偏光について、
偏光比=|第一の直線偏光の強度/第二の直線偏光の強度|(又は|第二の直線偏光の強度/第一の直線偏光の強度|)
の式によって定義されるものである。
【0074】
物体の像を取得する方法が、偏光フィルター等をさらに含む場合には、物体からの偏光の像が得られるため、物体の偏光の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法を提供することが可能になる。
【0075】
偏光フィルター等は、偏光フィルター等を光学系の光路に挿入する又は光学系の光路から取り除くことが可能なものであるように、配置されることがある。例えば、偏光フィルター等は、偏光フィルター等を光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させるデバイスによって、移動させられることがある。偏光フィルター等を光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させるデバイスは、例えば、ユーザーによって、又は、CPU又はFPGA及びメモリを含むユニットによって制御されるスイッチ及びスイッチからの信号に応答して偏光フィルター等を光学系の光路に挿入する又は光学系の光路から取り除くように、偏光フィルター等を光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させるアクチュエーターによって、制御される。例えば、偏光フィルター等を光学系の光路に挿入するように、偏光フィルター等を光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させるとき、物体の像を取得する方法は、物体の偏光の像を取得することが可能になる。一方、偏光フィルター等を光学系の光路から取り除くように、偏光フィルター等を光学系の光軸に対して垂直な方向に移動させるとき、物体の像を取得する方法は、物体の無偏光の像を取得することが可能になる。
【0076】
図3に示す本発明の第三の実施形態に係るプログラムの例は、本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムである。
【0077】
本発明の第三の実施形態によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを提供することが可能になる。
【0078】
図4は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光についての差分偏光度を取得する方法の例を示す図である。
【0079】
図4(a)は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光の像を取得する方法の例を示す図である。図4(a)に示すような路面401から物体の像を取得する装置(像取得装置)402へ入射する光の偏光の像を取得する方法は、本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法の例である。物体の像を取得する装置(像取得装置)402としては、例えば、本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置が挙げられる。像取得装置402としては、例えば、路面401から入射する光の偏光の情報を取得するカメラ(偏光カメラ)等が挙げられる。
【0080】
図4(a)に示すような路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する方法は、例えば、像取得装置402に含まれる光学系を使用することで路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を光学的に取得すること、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータを取得すること、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度のデータを取得すること、及び、水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度を変更することを含む。
【0081】
図4(a)に示すような路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する方法においては、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の情報を像取得装置402によってより適切に取得することが可能であるように、水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度を変更する(水平面に対する像取得装置402の角度を変更する)。
【0082】
路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の情報としては、例えば、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についての差分偏光度が挙げられる。差分偏光度は、互いに直交する電場の振動面を有する第一の直線偏光及び第二の直線偏光について、
差分偏光度=|第一の直線偏光の強度−第二の直線偏光の強度|/|第一の直線偏光の強度+第二の直線偏光の強度|
の式によって定義されるものである。
【0083】
路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についての差分偏光度は、路面401の状態(光を反射又は散乱させる路面401の性質)、路面401に対する太陽のような光源403から路面401に入射する光の角度、及び、路面401に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度(路面401から像取得装置402へ入射する光の光線の角度)などに依存する。なお、路面401に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度(路面401から像取得装置402へ入射する光の光線の角度)は、路面401の状態(光を反射又は散乱させる路面401の性質)及び路面401に対する太陽のような光源403から路面401に入射する光の角度などに依存する。
【0084】
図4(b)は、路面に対する光源から路面に入射する光の角度並びに路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光についての差分偏光度の関係の例を示す図である。図4(b)の横軸は、図4(a)における点線の矢印で示された、路面に対する光源から路面に入射する光の角度(入射角度)(度)を示す。図4(b)の縦軸は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光についての差分偏光度を示す。図4(b)に示すグラフは、路面401に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度(路面401から像取得装置402へ入射する光の光線の角度)を10度に固定する一方で、実験室に設けたアスファルトの路面の模型に対する光源としてのランプのから路面の模型に入射する光の角度を変動させることによって得られたグラフである。
【0085】
図4(b)に示すように、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についての差分偏光度は、路面401の状態、路面401に対する光源403から路面401に入射する光の角度、及び、路面401に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度に依存すると共に、路面401の状態、路面401に対する光源403から路面401に入射する光の角度、及び、路面401に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度に応じて、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についてのより適切な差分偏光度が存在する。
【0086】
そこで、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータとしての、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を光学的に取得するときの年月日及び時間、路面401の位置(緯度及び経度)、及び路面401に対する像取得装置の402の方向のデータを用意する。次に、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータに応じて、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についての適切な差分偏光度を得ることが可能であるような、水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度のデータを用意する。このようにして、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータに対する水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度のデータのテーブルを用意する。
【0087】
この場合には、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する方法において、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータを取得すること、及び、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度のデータをテーブルから取得することによって、水平面に対する像取得装置402に含まれる光学系の光軸の角度をより適切な角度に変更することが可能になる。その結果、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像を取得する条件に応じて、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光についてのより適切な差分偏光度を得ることが可能になる。それに応じて、路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像のより効果的な処理をすることが可能になる。路面401から像取得装置402へ入射する光の偏光の像の処理としては、例えば、路面401の画像領域の検出のような物体の認識等が挙げられる。
【0088】
図5は、路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光の像の処理の例を示す図である。図5に示す路面から物体の像を取得する装置へ入射する光の偏光の像の処理の例は、路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出である。
【0089】
図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出は、図4に示すように路面から物体の像を取得する装置(像取得装置)へ入射する光の偏光についての差分偏光度を取得すること(ステップ501)、路面から物体の像を取得する装置(像取得装置)へ入射する光の偏光について取得された差分偏光度が画素値である路面からの偏光の画像を生成させること(ステップ502)、及び、路面からの偏光の画像を閾値によって二値化すること(ステップ503)、及び、二値化された路面からの偏光の画像に基づいて路面の画像領域を抽出すること(ステップ504)を含む。
【0090】
図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出は、例えば、図1に示すような本発明の第一の実施形態に係る物体の像を取得する装置(像取得装置)の例に含まれることがあるCPU又はFPGA及びメモリを含むユニットによって実行されることがある。すなわち、上記ユニットに含まれるメモリに図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出のためのプログラムが予め記憶されていると共に上記ユニットに含まれるCPU又はFPGAによって図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出のためのプログラムが実行されることがある。
【0091】
ステップ501において、例えば、本発明の第二の実施形態に係る物体の像を取得する方法を用いることで、路面から像取得装置へ入射する光の偏光についての差分偏光度を取得する。
【0092】
ステップ502において、路面から像取得装置へ入射する光の偏光について取得された差分偏光度が画素値である路面からの偏光の画像を生成させる。
【0093】
ステップ503において、路面からの偏光の画像を閾値によって二値化する。路面からの偏光の画像における路面の画像領域の差分偏光度は、一般に、路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域の差分偏光度と異なる。このため、路面からの偏光の画像における路面の画像領域の差分偏光度及び路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域の差分偏光度の間における閾値を設定することによって、路面からの偏光の画像における路面の画像領域及び路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域を区別することが可能になる。すなわち、路面からの偏光の画像における画素値(差分偏光度)を閾値と比較することによって、路面からの偏光の画像における路面の画像領域の画素値(差分偏光度)及び路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域の画素値(差分偏光度)は、互いに異なる値に二値化される。
【0094】
ステップ504において、二値化された路面からの偏光の画像に基づいて路面の画像領域を抽出する。互いに異なる値に二値化された路面からの偏光の画像における路面の画像領域の画素値(差分偏光度)及び路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域の画素値(差分偏光度)の一方を適切に選択することによって、路面からの偏光の画像における路面の画像領域を抽出する。
【0095】
例えば、路面からの偏光の画像に路面の画像領域及び空の画像領域が含まれる場合には、路面の画像領域の画素値(差分偏光度)は、空の画像領域の画素値(差分偏光度)と比べてより小さいことがある。この場合には、路面の画像領域の画素値(差分偏光度)及び空の画像領域の画素値(差分偏光度)の間における閾値を設定すると共に路面からの偏光の画像の画素値を閾値と比較することによって、閾値より小さい画素値を有する路面の画像領域を、閾値より大きい画素値を有する空の画像領域と区別すると共に抽出することが可能になる。
【0096】
ここで、図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出は、図4に示すように路面から物体の像を取得する装置(像取得装置)へ入射する光の偏光についての差分偏光度を取得すること(ステップ501)を含むため、路面から像取得装置へ入射する光の偏光の像を取得する条件に応じて、路面から像取得装置へ入射する光の偏光についてのより適切な差分偏光度を得ることが可能になる。例えば、二値化された路面からの偏光の画像における路面の画像領域の画素値(差分偏光度)及び路面からの偏光の画像における路面の画像領域を除く画像領域の画素値(差分偏光度)を閾値によって区別することが可能であるように、水平面に対する像取得装置に含まれる光学系の光軸の角度をより適切な角度に変更することが可能になる。すなわち、路面からの偏光の画像における路面の画像領域のより効果的な検出をすることが可能になるように、水平面に対する像取得装置に含まれる光学系の光軸の角度をより適切な角度に変更することが可能になる。
【0097】
図5に示す路面からの偏光の画像における路面の画像領域の検出は、好ましくは、ステップ504において抽出された路面の画像領域に対してラベリング処理をすること(ステップ505)、及び、ラベリング処理された画像領域における最も画素の数が多い領域を特定することによって路面の画像領域の判定をすること(ステップ506)をさらに含む。
【0098】
この場合には、路面からの偏光の画像における路面の画像領域をより高い精度で検出することが可能になる。
【0099】
図6は、本発明の第四の実施形態に係る記録媒体の例を示す図である。
【0100】
図6に示す本発明の第四の実施形態に係る記録媒体の例は、本発明の第三の実施形態に係るプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体601である。コンピューター読み取り可能な記録媒体601としては、例えば、光ディスクのような光記録媒体又は磁気ディスクのような磁気記録媒体などが挙げられる。
【0101】
本発明の第四の実施形態によれば、物体の像のより効果的な処理を行うことが可能な物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体601を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0102】
100 像取得装置
101 光学系
102 センサーデバイス
103 条件データ取得デバイス
104 データ記憶デバイス
105 角度データ取得デバイス
106 角度変更デバイス
107 偏光取得デバイス
200 像取得装置
201 光学系
202 角度変更デバイス
203 支持体
401 路面
402 像取得装置
403 光源
601 コンピューター読み取り可能な記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2010−088093号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の像を取得する装置であって、
物体の像を光学的に取得する光学系、
物体の像を取得する条件に関するデータを取得するデバイス、
前記物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータを取得するデバイス、及び、
水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更するデバイス
を含む、物体の像を取得する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物体の像を取得する装置において、
前記光学系に入射する光から偏光を取得するデバイスをさらに含む、物体の像を取得する装置。
【請求項3】
物体の像を取得する方法であって、
光学系を使用することで物体の像を光学的に取得すること、
物体の像を取得する条件に関するデータを取得すること、
前記物体の像を取得する条件に関するデータに対応する水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータを取得すること、及び、
水平面に対する前記光学系の光軸の角度のデータに基づいて水平面に対する前記光学系の光軸の角度を変更すること
を含む、物体の像を取得する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の物体の像を取得する方法において、
前記光学系に入射する光の偏光を取得することをさらに含む、物体の像を取得する方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の物体の像を取得する方法をコンピューターに実行させるプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189826(P2012−189826A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53548(P2011−53548)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】