説明

物体選別装置

【課題】安価でかつ装置の維持管理が容易で、物体選別の精度の高い物体選別装置を提供する。
【解決手段】各エアーノズル7の空気噴射時の流量を測定する流量測定手段26を備え、この流量測定手段26は圧縮空気源22とこの圧縮空気源22からの圧縮空気を各電磁弁8に分配供給する分配供給容器21との間を接続する開閉弁23に対して直列または並列に流量計24が接続されるとともに、電磁弁駆動手段15により各電磁弁8を順次段階的に開放または閉鎖していった場合の、流量計24で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出する流量算出手段25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、選別収集物と除去対象物とを選別するための物体選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、各種のプラスチック製容器には、焼却時に腐食性ガスを発生したり、難燃性を有するものがあるので、プラスチック製容器を焼却したり、再生利用する際には、各種のプラスチック製容器の内から、腐食性ガスを発生したり難燃性を有する化学組成のあるプラスチック製容器を選別して除去する必要がある。
【0003】
このため、従来、選別収集物と除去対象物とを選別するための物体選別装置が提供されている(例えば、下記の特許文献1参照)。すなわち、従来の物体選別装置は、プラスチック製容器などの物体を搬送するベルトコンベアなどの搬送手段と、物体に放射線を照射する手段と、物体を透過した放射線の透過率をそれぞれ検出する検出手段と、この検出手段で検出した放射線の透過率をデータ処理して選別収集物と除去対象物とを識別するデータ処理手段と、データ処理手段から送られる識別情報に基づいて特定元素を含有する除去対象物を排出する空気圧力式の複数のエアーノズルを有する排出機構とを備えている。
【0004】
そして、ベルトコンベアなどの搬送手段によって、選別収集物と除去対象物とが混在した状態で連続して搬送されてくるので、放射線の透過率を検出手段で検出し、検出した放射線の透過率をデータ処理手段でデータ処理して特定元素を含有する物体かどうかを判定することで選別収集物と除去対象物とを識別し、その識別情報を排出機構に送る。そして、排出機構は、データ処理手段から送られる識別情報に基づいて、例えば除去対象物であれば、この除去対象物に対して所定のエアーノズルから圧縮空気を間欠的に噴射して搬送軌道を変更させて除去対象物を除去する。
【0005】
また、この従来の物体選別装置では、各排出機構を構成する空気圧力式の各エアーノズルに対して個別に空気噴射時の空気圧を検出する空気圧検出手段を設け、それらの空気圧検出手段で検出される空気圧の検出値が予め設定した基準値以下であれば、エアーノズルの詰まりなどの異常もしくは故障であることを外部に報知して排出機構の維持管理を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3307968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1記載の従来の物体選別装置は、飲料水や食用油などを含む消耗品を収容するためのプラスチック容器やチューブ容器を選別対象物体としており、選別対象物体の大きさが数10ミリメートルから数100ミリメートルの大きさのものである。このため、選別対象物体が検出手段を通過する時間が比較的長いので、選別対象物体の内から選別収集物と除去対象物とを区別して検出するのに許容される検出時間幅も十分に確保することができる。
【0008】
これに対して、選別対象物体が数ミリメートルから10数ミリメートルの大きさに粉砕されたり、篩いにかけられたものである場合、選別対象物体の大きさが小さいので、選別対象物体が検出手段を通過する時間が短くなり、そのため、選別対象物体の内から選別収集物と除去対象物とを区別して検出するのに許容される検出時間幅も1桁以上短くなる。これに合わせて、選別対象物と除去対象物との誤選別を防ぐ上では、圧縮空気の噴出動作に費やすことのできる動作時間幅も1桁以上短くなる。そして、このような高速動作に対応できるようにするためには、各エアーノズルに対して個別に設けられた空気圧検出手段による空気圧の検出応答速度も1桁以上高速にする必要がある。
【0009】
ところで、通常、このような検出応答速度の早い空気圧検出手段は、検出応答速度の遅い検出手段に比べて高価である。しかも、従来技術の場合、空気圧力式の排出機構の各エアーノズルごとに独立した空気圧検出手段が必要になるので、空気圧検出手段の数が多くなり、装置全体の価格が一層高価になる。
【0010】
しかも、空気圧力式の排出機構の各エアーノズルごとに独立した空気圧検出手段が設けられているので、空気圧検出値の相対的な校正をそれぞれの排出機構ごとに行う必要があり、装置の維持管理が煩雑になり易いといった問題がある。
【0011】
さらに、選別対象物体の大きさが比較的小さくて数ミリメートルから10数ミリメートルの場合、圧縮空気を噴射するエアーノズルの口径は、選別対象物体の寸法に合わせて小さくする必要がある。そうすると、エアーノズルの噴射口の開口面積が小さな異物や汚染物の蓄積などによって次第に減少し、これに伴い、圧縮空気の噴射量も減少して所定量の圧縮空気を噴射できなくなる恐れが高くなる。
【0012】
ところが、従来技術のように、空気圧検出手段で検出される空気圧の検出値が予め設定した基準値以下であれば、エアーノズルに異常があると判断するような構成の場合には、エアーノズルの開口部が完全に塞がれている場合でもその異常を十分に検出できないことがある。すなわち、エアーノズルの正常時には、圧縮空気を噴射する際、空気圧検出手段で検出される空気圧が高くなるが、エアーノズルの噴射口が異物や汚染物の蓄積などによって完全に塞がれている場合でも、空気圧検出値が予め設定された基準値以下まで低下しなくなり、エアーノズルの異常もしくは故障であることを検出することが難しく、排出機構の維持管理を十分に行えないなどの不具合を生じる。
【0013】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、安価でかつ装置の維持管理が容易で、物体選別の検出精度の高い物体選別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、搬送手段により搬送される選別収集物と除去対象物とが混在した選別対象物体を識別手段で識別し、その識別結果に基づいて上記搬送手段の搬送経路に向けて配置された複数のエアーノズルに個別に接続された各電磁弁を電磁弁駆動手段により間欠的に開閉制御し、上記各エアーノズルから噴射される圧縮空気により移送軌道を変更して除去対象物を除去する物体選別装置において、上記各エアーノズルの空気噴射時の流量を測定する流量測定手段を備え、この流量測定手段は、圧縮空気源とこの圧縮空気源からの圧縮空気を上記各電磁弁に分配供給する分配供給容器との間を接続する開閉弁に対して、直列または並列に流量計が接続されるとともに、上記電磁弁駆動手段により上記各電磁弁を順次段階的に開放または閉鎖していった場合の、上記流量計で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて上記各エアーノズルの空気噴射時の各流量を個別に算出する流量算出手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、複数のエアーノズルが設けられる場合でも、各エアーノズルの流量を測定する流量計は1台で賄うことができる。このため、各エアーノズルごとに流量測定の過渡応答特性の校正や流量測定値の校正をする必要が無く、従来に比べてエアーノズルの維持管理の手間を軽減することができる。しかも、検出応答時間が早い高価な流量計を使用しても、各エアーノズルごとに個別に流量計を設置する必要が無く、各エアーノズルの流量を測定するために必要とする流量計の数が1台で済み、装置製作の価格上昇を抑制することができる。
【0016】
また、異物や汚染物質の蓄積によってエアーノズルの噴射口の開口面積が次第に減少し、これに伴い、圧縮空気の噴射量も減少して所定量の圧縮空気を噴射できなくなっても、その異常状態が圧縮空気の噴射量の減少量として確実に測定できるので、エアーノズルの異常や故障の検出精度の高い物体選別装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における物体選別装置の構成を示す斜視図である。
【図2】同物体選別装置の構成を示す側面図である。
【図3】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量の測定方法を示す説明図である。
【図4】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量の他の測定方法を示す説明図である。
【図5】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量の他の測定方法を示す説明図である。
【図6】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量のさらに他の測定方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2における物体選別装置の構成を示す斜視図である。
【図8】同物体選別装置の構成を示す側面図である。
【図9】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量の測定方法を示す説明図である。
【図10】同物体選別装置において、各エアーノズル回路に流れる圧縮空気の流量の他の測定方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における物体選別装置を示す構成図、図2は同物体選別装置の構成を示す側面図である。
【0019】
この実施の形態1の物体選別装置1は、選別収集物2と除去対象物3とが混在した選別対象物体4を搬送する搬送手段としてのベルトコンベア6を有するとともに、このベルトコンベア6の末端部に近接してベルトコンベア6の幅方向に沿って多数のエアーノズル7が配列されている。各エアーノズル7は、選別対象物体4が通過するエリアに対応した除去選別作業を担当するものであり、各エアーノズル7には個別に電磁弁8が接続されている。
【0020】
また、この実施の形態1の物体選別装置1は、ベルトコンベア6により搬送される選別対象物体4から選別収集物2と除去対象物3とを識別する識別手段10が設けられている。
【0021】
この識別手段10は、ベルトコンベア6の末端部とエアーノズル7との間の箇所に対して、薄いシート状に放射光L1を照射する光源11と、この光源11からの放射光L1が選別収集物2と除去対象物3のそれぞれの物性および表面状態に応じて反射される反射光L2を検出する反射光検出手段12と、この反射光検出手段12で検出される反射光L2の情報をデータ処理して選別収集物2と除去対象物3とを判別するマイクロコンピュータ等からなるデータ処理手段13とからなる。
【0022】
また、この実施の形態1の物体選別装置1は、このデータ処理手段13の判別結果に基づいて、各電磁弁8の内から除去対象物3に対応した箇所にある電磁弁8を選択して開閉駆動する電磁弁駆動手段15を有する。
【0023】
さらに、この実施の形態1の物体選別装置1は、上記のエアーノズル7、接続管17、電磁弁8、接続管18が順次接続されてエアーノズル回路19が構成されており、これらの各エアーノズル回路19が分配供給容器21に接続されている。また、圧縮空気源22と分配供給容器21との間には、その間の流路を開閉する開閉弁23が設けられるとともに、分配供給容器21と開閉弁23との間には、開閉弁23を通して流れる圧縮空気の流量を測定する流量計24が直列に接続されている。
【0024】
さらにまた、この実施の形態1の物体選別装置1は、流量算出手段25と報知手段27とを備える。
ここに、流量算出手段25は、上記の電磁弁駆動手段15により各電磁弁8を順次段階的に開放または閉鎖していった場合に、流量計24で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出するものである。そして、この流量算出手段25と流量計24とで各エアーノズル7の空気噴射時の流量を測定する特許請求の範囲における流量測定手段26が構成されている。
【0025】
また、報知手段27は、流量測定手段26で算出される各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を予め設定された基準値と比較して測定された流量が基準値以下の場合には、エアーノズル7の異常であると判定してその結果を外部に報知するもので、ディスプレイやランプ等およびその駆動回路で構成される。
【0026】
次に、上記構成を備えた物体選別装置1において、選別収集物2と除去対象物3とが混在した選別対象物体4から除去対象物3のみを選別排除する場合の処理動作について説明する。
【0027】
選別収集物2と除去対象物3とが混在された選別対象物体4は、ベルトコンベア6によって搬送され、ベルトコンベア6の末端部から空中に放出される。空中に放出された選別対象物体4に対して、光源11から薄いシート状に放射光L1が照射されるので、選別対象物体4は放射光L1を横切るように移動する。このとき、選別収集物2と除去対象物3とは放射光L1を受けて、それぞれの物性および表面状態に応じた特性を有する反射光L2を発生させる。この反射光L2は、反射光検出手段12で検出され、選別収集物2と除去対象物3に対応した検出信号に変換されてデータ処理手段13に入力される。
【0028】
データ処理手段13は、反射光L2の情報をデータ処理して選別収集物2と除去対象物3とを判別する。このとき、除去対象物3が存在すると判別された場合、データ処理部は、除去対象物3が通過するタイミングに合わせて電磁弁8が作動するように電磁弁駆動手段15に対して動作制御信号を送信する。これに応じて、電磁弁駆動手段15は、除去対象物3が通過する位置に対応した電磁弁8が開放するように選択して駆動する。
【0029】
これにより、圧縮空気源22から開閉弁23および流量計24を順次経由して分配供給容器21から供給される圧縮空気が、エアーノズル回路19の開放された電磁弁8を介してエアーノズル7から噴射されるので、その噴射された圧縮空気により、空中に放出された軌道中の除去対象物3に力が作用して、圧縮空気にさらされない選別収集物2の通過軌道S1から排除軌道S2に軌道が変更され、選別収集物2と除去対象物3とが選別される。
【0030】
次に、流量測定手段26により各エアーノズル7の空気噴射時の流量を測定し、その測定結果に基づいて各エアーノズル7の異常や故障の有無を判別する場合の動作について説明する。
【0031】
なお、ここでは各エアーノズル7の空気噴射時の流量測定は、物体選別装置1が起動される前の運転準備期間中に行うこととするが、これに限らず、装置稼動中の任意の時間に、ベルトコンベア6による選別対象物体4の搬送を一時的に中断して流量測定を行いエアーノズル7の異常の有無を判別するようにしても良い。
【0032】
図3に示すように、流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15に指令を与え、先ず全てのエアーノズル回路19の電磁弁8が開いた状態にする。この状態から流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15に指令を与え、各電磁弁8を順次段階的に閉じていくとともに、その都度、流量計24で圧縮空気の流量を測定する。
【0033】
例えば、電磁弁8の数が全部で8個あるとした場合に、各電磁弁8にNo1〜No8までの番号を付すと、最初はNo1〜No8まで全部の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1の電磁弁8を閉じ、残りのNo2〜No8の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1とNo2の電磁弁8を閉じ、残りのNo3〜No8の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様に各電磁弁8を順次閉じるたびに流量を測定して、最後にNo1〜No8まで全部の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。
【0034】
これにより、図3に示すように、各電磁弁8を順次閉じるのに対応して流量が段階的に減少する測定データが得られるので、各測定ごとに得られた前後の各圧縮空気の流量の差を個別に算出する。そして、この各流量差が各エアーノズル7の空気噴射時の各流量に個別に対応していることになる。
【0035】
報知手段27は、流量測定手段26で測定される上記各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を予め設定された基準値と比較し、測定された各エアーノズル7について、その流量が基準値以下の場合には、エアーノズル7の異常あるいは故障であると判定し、その結果を外部に報知する。これにより、異常と判定されたエアーノズル7の保守管理を実施することができる。
【0036】
なお、図3に示した例では、最初に全てのエアーノズル回路19の電磁弁8が開いた状態から、各電磁弁8を順次段階的に閉鎖していくとともに、その都度、流量計24で圧縮空気の流量を測定するようにしているが、これとは逆の手順で、図4に示すように、最初に全てのエアーノズル回路19の電磁弁8を閉じた状態から、各電磁弁8を順次段階的に開いていくとともに、その都度、流量計24で圧縮空気の流量を測定するようにしてもよい。
【0037】
例えば、電磁弁8の数が全部で8個(番号No1〜No8)あるとすれば、最初はNo1〜No8まで全部の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1の電磁弁8を開き、残りのNo2〜No8の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1とNo2の電磁弁8を開き、残りのNo3〜No8の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で測定される圧縮空気の流量を求める。以下、同様に各電磁弁8を順次開くたびに流量を測定し、最後にNo1〜No8の全部の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。
【0038】
これにより、図4に示すように、各電磁弁8を順次開くのに対応して流量が段階的に増加する測定データが得られるので、図3の場合と同様、各測定ごとに得られた前後の各圧縮空気の流量の差を個別に算出する。この各流量差が各エアーノズル7の空気噴射時の各流量に個別に対応していることになる。
【0039】
また、図3および図4に示した例では、最初に全てのエアーノズル回路19の電磁弁8を全て開放、あるいは全て閉鎖した状態から、各電磁弁8を一つずつ順次段階的に開放あるいは閉鎖していくとともに、その都度、流量計24で圧縮空気の流量を測定するようにしているが、これに限らず、例えば、図5や図6に示すように、特定の個数の電磁弁8を常時閉じた状態にしておき、その状態で残りの電磁弁8を順次開放あるいは閉鎖することで、各エアーノズル7の空気噴射時の流量を算出することもできる。
【0040】
すなわち、図5に示す場合は、例えば、電磁弁8の数が全部で8個(番号No1〜No8)あるとすれば、第1の処理ステップでは、No5〜No8までの電磁弁8を常時閉じた状態にしておき、残りのNo1〜No4の電磁弁8を全て開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。続いて、No1とNo2の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様にして順次電磁弁8を閉じるたびにその都度流量を測定する。
【0041】
次の第2の処理ステップでは、No1〜No4までの電磁弁8を常時閉じた状態にしておき、残のNo5〜No8の電磁弁8を全て開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No5の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。続いて、No5とNo6の電磁弁8を閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様にして順次電磁弁8を閉じるたびにその都度流量を測定する。
【0042】
この場合も、第1、第2の処理ステップにおいて、各電磁弁8を順次閉じるのに対応して流量が段階的に減少する測定データが得られるので、各測定ごとに得られた前後の各圧縮空気の流量の差を個別に算出することで、No1〜No8の各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に測定することができる。
【0043】
また、図6に示す場合は、例えば、電磁弁8の数が全部で8個(番号No1〜No8)あるとすれば、第1の処理ステップでは、No5〜No8までの電磁弁8を常時閉じた状態にしておき、残りのNo1〜No4の電磁弁8も閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No1の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。続いて、No1とNo2の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様にして順次電磁弁8を開くたびにその都度流量を測定する。
【0044】
次の第2の処理ステップでは、No1〜No4までの電磁弁8を常時閉じた状態にしておき、残りのNo5〜No8の電磁弁8も閉じた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No5の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。続いて、No5とNo6の電磁弁8を開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様にして順次電磁弁8を開くたびにその都度流量を測定する。
【0045】
この場合も、第1、第2の各処理ステップにおいて、各電磁弁8を順次開くのに対応して流量が段階的に増加する測定データが得られるので、各測定ごとに得られた前後の各圧縮空気の流量の差を個別に算出することで、No1〜No8の各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に測定することができる。
【0046】
以上のように、この実施の形態1では、複数のエアーノズル7が設けられる場合でも、各エアーノズル7の流量を測定する流量計24は1台で賄うことができる。このため、各エアーノズル7ごとに流量測定の過渡応答特性の校正や流量測定値の校正をする必要が無く、従来に比べてエアーノズル7の維持管理の手間を軽減することができる。しかも、検出応答時間が早い高価な流量計24を使用しても、各エアーノズル7ごとに個別に流量計24を設置する必要が無く、各エアーノズル7の流量を測定するために必要とする流量計24の数が1台で済むので、装置製作の価格上昇を抑制することができる。
【0047】
また、異物や汚染物質の蓄積によってエアーノズル7の噴射口の面積が次第に減少し、これに伴い、圧縮空気の噴射量も減少して所定量の圧縮空気を噴射できなくなっても、その異常状態が圧縮空気の噴射量の減少量として確実に測定できるので、エアーノズル7の異常や故障の検出精度の高い物体選別装置1を提供することが可能となる。
【0048】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2における物体選別装置1を示す構成図、図8は同物体選別装置1の構成を示す側面図であり、図1および図2に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
【0049】
この実施の形態2の特徴は、圧縮空気源22と分配供給容器21との間の流路を開閉する開閉弁23に並行に圧縮空気の流量を測定する流量計24が接続されている。
【0050】
また、流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15により個々の電磁弁8を一つずつ開放して、その都度、上記流量計24で測定される圧縮空気の流量に基づいて上記各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出するように構成されている。
【0051】
その他の構成は実施の形態1と同様である。また、選別収集物2と除去対象物3とが混在した選別対象物体4から除去対象物3のみを選別排除する場合の動作についても、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0052】
次に、流量測定手段26により各エアーノズル7の空気噴射時の流量を測定し、その測定結果に基づいて各エアーノズルの異常や故障の有無を判別する場合の動作について説明する。
【0053】
なお、この実施の形態2の場合も、各エアーノズル7の空気噴射時の流量測定は、物体選別装置1が起動される前の運転準備期間中に行うこととするが、これに限らず、装置稼動中の任意の時間に、ベルトコンベア6による選別対象物体4の搬送を一時的に中断して流量測定を行いエアーノズル7の異常の有無を判別するようにしても良い。
【0054】
流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15に指令を与え、先ず全てのエアーノズル回路19の電磁弁8が閉じた状態にする。この状態から流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15に指令を与え、個々の電磁弁8を一つずつ開放して、その都度、流量計24で測定される圧縮空気の流量に基づいて上記各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出する。
【0055】
例えば、電磁弁8の数が全部で8個あるとした場合に、各電磁弁8にNo1〜No8までの番号を付すと、No1〜No8の全ての電磁弁8を閉じた状態にし、次に、No1の電磁弁8のみを開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。次に、No2の電磁弁8のみを開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。続いて、No3の電磁弁8のみを開いた状態にして流量計24で圧縮空気の流量を測定する。以下、同様に各電磁弁8を開くたびに順次流量を測定して、No1〜No8まで全部の電磁弁8についての流量測定を完了させる。
【0056】
これにより、図9に示すように、個々の電磁弁8を一つずつ開くのに対応してエアーノズル7の空気噴射時の各流量が個別に得られることになる。
【0057】
そして、報知手段27は、流量測定手段26で測定される上記各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を予め設定された基準値と比較し、測定された流量が基準値以下の場合には、エアーノズル7の異常あるいは故障であると判定し、その結果を外部に報知する。これにより、異常と判定されたエアーノズル7の保守管理を実施することができる。
【0058】
なお、図9に示した例では、No1〜No8の各電磁弁8の番号順に個々の電磁弁8を一つずつ開いていって、その都度、流量計24で圧縮空気の流量を測定するようにしているが、このように各電磁弁8の番号順に流量を測定する場合に限らず、図10に示すように、予め設定した順番に従って、例えばNo1→No4→No7→…というように、全てのエアーノズル7についての流量測定が終了するまで測定を実施すことも可能である。
【0059】
以上のように、この実施の形態2においても、複数のエアーノズル7が設けられる場合でも、各エアーノズル7の流量を測定する流量計24は1台で賄うことができるので、実施の形態1と同様、従来に比べてエアーノズル7の維持管理の手間を軽減できるとともに、装置製作の価格上昇を抑制することができる。
【0060】
さらに、この実施の形態2では、圧縮空気源22と分配供給容器21との間の流路を開閉する開閉弁23に並行に流量計24を接続した構成であるため、開閉弁23を経由するために必要な大口径の流量計24に比べて、小口径で安価な流量計24の使用が可能になるとともに、各エアーノズル回路19に流れる圧縮空気の流量の測定の分解能を高めることができる。これにより、エアーノズル7の異常や故障の検出精度をさらに一層高めることが可能となる。
【0061】
なお、上記の実施の形態1において、流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15により各電磁弁8を順次段階的に開放または閉鎖していった場合の流量計24で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出しているが、この方法を実施の形態2に適用することも可能である。また、実施の形態2において、流量算出手段25は、電磁弁駆動手段15により個々の電磁弁8を一つずつ開放して、その都度、流量計24で測定される圧縮空気の流量に基づいて上記各エアーノズル7の空気噴射時の各流量を個別に算出しているが、この方法を実施の形態1に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 物体選別装置、2 選別収集物、3 除去対象物、 4 選別対象物体、
6 ベルトコンベア(搬送手段)、7 エアーノズル、8 電磁弁、10 識別手段、
15 電磁弁駆動手段、21 分配供給容器、22 圧縮空気源、23 開閉弁、
24 流量計、25 流量算出手段、26 流量測定手段、27 報知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される選別収集物と除去対象物とが混在した選別対象物体を識別手段で識別し、その識別結果に基づいて上記搬送手段の搬送経路に向けて配置された複数のエアーノズルに個別に接続された各電磁弁を電磁弁駆動手段により間欠的に開閉制御し、上記各エアーノズルから噴射される圧縮空気により移送軌道を変更して除去対象物を除去する物体選別装置において、
上記各エアーノズルの空気噴射時の流量を測定する流量測定手段を備え、この流量測定手段は、圧縮空気源とこの圧縮空気源からの圧縮空気を上記各電磁弁に分配供給する分配供給容器との間を接続する開閉弁に対して、直列または並列に流量計が接続されるとともに、上記電磁弁駆動手段により上記各電磁弁を順次段階的に開放または閉鎖していった場合の、上記流量計で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて上記各エアーノズルの空気噴射時の各流量を個別に算出する流量算出手段を備える、ことを特徴とする物体選別装置。
【請求項2】
上記流量算出手段は、上記電磁弁駆動手段により各電磁弁を順次段階的に開放または閉鎖していった場合の、上記流量計で測定される圧縮空気の流量変化の差に基づいて上記各エアーノズルの空気噴射時の各流量を個別に算出する代わりに、上記電磁弁駆動手段により個々の電磁弁を一つずつ開放して、その都度、上記流量計で測定される圧縮空気の流量に基づいて上記各エアーノズルの空気噴射時の各流量を個別に算出するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の物体選別装置。
【請求項3】
上記流量測定手段で測定される上記各エアーノズルの空気噴射時の各流量を予め設定された基準値と比較し、測定された流量が基準値以下の場合には、上記エアーノズルの異常であると判定してその結果を外部に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−236135(P2012−236135A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105881(P2011−105881)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】