説明

物品に印をつけるための方法および装置

【課題】一連の物品に独特の複合証印または印を付けるための方法および装置を提供する。
【解決手段】独特の複合証印のそれぞれは2つ以上の証印を備える。各証印の少なくとも一部は、物品のあらかじめ決められた同じ位置に、その置き方が各物品の複合証印ごとに独特または別個となるように置かれてもよい。証印は、1つ以上の像、ロゴ、またはカラースキームに重ね刷りされてもよい。データベースに格納された符号(例えば英数字の符号)は、1つ以上の数学的性質に基づいて複合証印から引き出されてもよい。符号は、物品を証印と識別あるいは検証するために、後にアクセスされてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年12月7日出願の英国仮特許出願第0129369.5号(物品に印を付けるための方法および装置)について優先権を主張する。
【0002】
本発明は、製品および/またはその包装、カートン、箱、運送箱、文書、銀行券、ラベル、テープ、うわ包装フィルム、切手、納税印紙、収入印、切符、宅配業者の封筒、引換券、フィルム、そしてさらに個々の物品、産品、またはアイテムに関する情報を、識別し、真正であることを検証し、追跡し、または管理するための、グラフィックマークまたは証印などの符号に関する。
【背景技術】
【0003】
パスポートやクレジットカードなどの物品の正当性を検証するためのシステムとして、米国特許第5,719,939号が開示され、知られている。この従来技術のシステムでは、独特の模様が物品に組み込まれる。この模様は繊維で作られ、繊維は2次元または3次元の基材に横たえられて、複製できない独特の模様を作り出す。この模様は、次に適切な大きさの部分に分けられて、物品の表面に付けられ、または模様が物品の両側から見えるように物品の中に組み込まれる。模様の一部は、次に、少なくとも1つの方向から光学的に走査されて、走査された模様から情報が引き出される。情報は、物品に関係する関連情報と共に、デジタルデータに変換され、必要ならば圧縮および暗号化され、そして格納される。物品の正当性を識別しまたは検証するため、模様は再び走査されて情報が変換され、あらかじめ記録されたデータと比較される。
【0004】
しかしながら、このシステムには関連するさまざまな問題がある。第1に、大量生産される物品の製造中に模様を付けようとすると、遅くて時間を浪費してしまう。なぜなら、まず模様を必要な大きさに切断し、次に物品の所望の場所に確実に付けなければならないからである。これには機械の追加が必要であり、またたいていの大規模製造工程で現在必要とされる速さでは、行うことができない。第2に、次に行う模様の走査で、記録されているものとわずかに異なる測定結果となる可能性がある。これは、測定が最初の測定時とはわずかに異なる角度で行われた時の視差誤差によって起こることがあり、模様が深くなるほどますます問題になる。異なる波長の光源が使われた場合も、模様が光を異なるように回折させるため、異なる測定結果が出てしまうことがある。また、模様は物品を使用する際に劣化して変化することがあり、その結果、模様が変わってしまう。第3に、模様の大きさが、製造工程や使用される繊維によって制限される。従って、一部の品物では重要な、非常に小さな模様を作ることが困難となってしまう可能性がある。
【0005】
上で論じたシステムに類似したシステムが、米国特許第5,621,219号に開示されている。透明な材料に繊維を埋め込んで模様を形成し、これを次に、識別する必要のある物に固定する。この発明の実施の形態では、少なくとも1つの光源を用いて模様の像のシルエットを投射することによって模様を識別する。複数の光源を用いると、模様を見る時に模様から得られる情報の量が増える。この発明では、得られる情報を増やすために、回折および視差の効果が利用されるのである。しかしながら、このためには、模様を識別したい時はいつでも、同一の精巧な装置を用いる必要がある。異なる方法で模様を測定するよう設計された装置を使うと、結果が異なってしまうからである。さらに、各模様から大量のデータが記録されるので、模様ごとに大量のデータ記憶空間が必要である。また、上に概説した製造時の問題は、このシステムについても当てはまる。
【0006】
この他にも、多くの2次元符号化記号体系がある。例えば、「データマトリックス」や
「PDF417」である。これらは製品の識別に用いられ、さまざまな自動読取技術が適宜採用されている。
【0007】
しかしながら、依然として、高速で行われたり、独特の印や証印を付けることを保証したり、損傷や破損に対して高い耐性を有する(すわなち、印のかなりの部分が無くなったり破損したりした場合でも読取装置で確実に復元できるような)印を作り出したりする符号化方法が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、添付の独立請求項に定義されており、これからそれについて言及する。さらに、本発明の好ましい特徴については、独立請求項に追加された従属請求項の中に見出されるであろう。
【0009】
本発明の態様によれば、独特の印または証印を作って一連の別個の物品一つ一つに付けるための方法および装置が提供される。独特の証印はそれぞれ少なくとも2つの別の証印の組み合わせを備えており、証印は可変であっても可変でなくてもよい。2つの証印は、証印を付ける物品ごとに位置がずれるように維持される。言い換えれば、第1の証印と第2の証印とは、どの2つの物品においても、同一の模様または様式で互いに重なるということがない。逆に、証印は物品ごとに互いにずれており、それによって独特の複合証印を作っている。従って、複合証印は別個の物品ごとに独特である。そして、一つ一つの別個のアイテムまたは物品に関連する一つ一つの独特の複合証印を、物品を説明するデータや情報等と共に何らかの方法で(例えば英数字の形態に変換して)目録に載せ、または記録してもよく、それによって各物品には安全性が高くしかもアクセスも可能な記録が提供され、物品全体には目録が提供される。各複合証印は完全に独特であり、それ自体は情報を内包または自己記録しておく必要がないため、この印付けの安全性は、本質的に完全な水準である。
【0010】
本発明の実施の形態では、独特の複合証印一つ一つは、基体または別個の物品に固定される第1の証印と、第1の証印に重なって、別個の物品ごとに異なる複合模様の形を定める第2の証印とを備える。第1および第2の証印は、例えば線、点、多角形、円、楕円などや、またはその組み合わせのような、2次元に描かれた幾何学形状で構成されてもよい。ある実施の形態では、第1の証印は、2次元の開いた模様または形状の集まりであり、第2の証印は、2次元の形状の集まりを包囲する閉じた境界である。別個で別で独特の複合証印一つ一つを作るために、第2の証印は、本明細書で特に「あらかじめ決められた位置」と呼ばれる別個で別の位置において、第1の証印に重ねられる。従って、各複合証印にとってのあらかじめ決められた位置とは、第1の証印上の第2の証印の別個で別の位置である。このようにして、どの2つの複合証印も、同一とはならないように作られる。
【0011】
このように、本発明の実施の形態は、2次元の証印を用いて実施すると特に有用である。証印は、2次元の形状、線、および形状と線の集まりだけでなく、2次元の可変のスペクトル要素または色要素を備えてもよい。本発明の2次元バージョンに関連する利益は、高い費用効果で、あるいは安く、このような印を作れることを含む。
【0012】
別の実施の形態では、第1の証印は、形または形状の模様でもよく、第2の証印は、第1の模様に重ねられる形または形状の模様でもよく、第3の証印は、この複合模様の一部または一区分に重なることによって、複合証印を読み取りまたは識別するための共通の開始基部またはあらかじめ決められた位置を定義する座標マーカーでもよい。
【0013】
別の実施の形態では、2つ以上の模様を付けられた証印を互いに重ねて、あらかじめ決
められた独特の位置を特定する印と共に、複合模様を与えてもよい。
【0014】
一つ一つの独特の複合証印を作る方法は、物品または基体に第1の証印を印刷し、次に第2の証印を重ね刷りすることを備えてもよい。この場合、第1および第2の証印は、あらかじめ決められた同じ位置に独特となるように置かれ、それによって一連の、別々かつ独特の複合証印を作り、またはその形を定める。
【0015】
あるいは、方法は、第1の2次元の証印を、模様を付けられた2次元の基体(例えば、合金の粒界の模様、または繊維もしくは紙材の繊維の模様)を有する物品に印刷しまたは与えることを含んでもよい。そして、第2の証印は、一定の可変でない証印ではなく、下に横たわる基体の特徴または模様を備えてもよい。また、この別の証印は、可変であってもよい。いずれの場合でも、複合証印はさらに、あらかじめ決められた位置を識別するもの、例えば境界マーカーなどを含む。
【0016】
別の例として、第1の証印は、開いているが一定である繰り返し模様から引き出されてもよく、第2の証印は、1組または一連の閉じた模様でもよい。閉じた模様は、境界または一定の参照ガイドを有する一定の模様(例えば、模様であって、その模様の端部の形を定める線のある模様。線は、好ましくは、模様の周線、または模様の境界線が少なくとも2本交差したもの)として定義される。参照ガイドは、例えば複合証印に基線を印刷するといった、さらなる印刷ステップによって与えてもよく、または第1および第2の証印の複合物の一部を覆うことによって与えてもよい。
【0017】
第1および第2の証印の変化(模様)は、周期的でもよい。2つの証印があり、それぞれの変化(模様)が周期的である場合は、組み合わさって複合証印を形成するこの2つの証印の変化の周期は、等しくなくてよい。すなわち、一方は他方の整数倍でなくてよい。1つの証印が周期的な変化(模様)を有し、1つの証印が一定であってそれを連続する物品へ付けることが周期的である場合は、可変の証印の変化の周期と、一定の証印を付ける周期とは、等しくなくてよく、前者は後者の整数倍でなくてよい。このように、一つ一つの複合証印の変化(模様)は、数学的原理を用いて無限となるよう管理されてもよい。
【0018】
少なくとも1つの証印は、印刷手段を用いて物品に付けられてもよい。印刷手段は、その証印または一つ一つの単純な証印の1つ以上の要素として、1つ以上の線、点、楕円、および/または多角形を印刷してもよい。
【0019】
方法は、少なくとも1つのさらなる印刷ステップを含んでもよい。その際、さらなる印刷ステップは、物品に1つ以上の像、ロゴ、またはカラースキームを重ね刷りすることと、あらかじめ決められた位置を印刷されないままにすることとを含む。さらなる印刷ステップには、一定の証印を印刷することが含まれてもよい。複合証印は、複合証印の向きを定める手段として境界を有してもよい。あるいは、複合証印の向きは、さらなる印刷ステップにより与えられ得る参照ガイドによって定められてもよい。参照ガイドにおいては、証印に線が印刷され、または証印の一部が重ね刷りされる。
【0020】
また、本発明は、独特の識別印を一連の物品に付ける装置を提供する。この装置は、可変の証印を物品のあらかじめ決められた位置に印刷するように構成された第1の印刷手段と、別または第2の証印を物品の同じ位置に印刷してそのあらかじめ決められた位置に複合証印を形成するように構成された第2の印刷手段とを備え、そして、第1の印刷手段は印刷模様を備え、印刷模様は1つ以上の特徴を含み、その特徴の場所、方向または向きが印刷面にわたって変化し、それによって、印刷された時に、証印の要素の、物品のあらかじめ決められた位置に関する場所、方向または向きが、連続する物品ごとに変化するようになっていて、物品ごとに異なる複合証印が印刷される。
【0021】
典型的には、各証印の要素は、線、点、長方形などの多角形、および/または楕円を備える。第1の印刷手段は、第1の印刷ローラまたはシリンダを備えてもよい。第2の印刷手段は、第2の証印を印刷するように構成されてもよい。第2の証印は、線、点、楕円、および/または多角形などで出来た一定の模様を備え、印刷された複合証印の限界を印す働きをする枠、境界、または周線を含んでもよい。また、複合証印の限界は、重ね刷りステップのような、さらなる印刷ステップで定められてもよい。第2の印刷手段は、第2の印刷ローラまたはシリンダを備えてもよく、第2の印刷ローラまたはシリンダは、使用時に、連続する物品に連続する同一の第2の単純な証印を印刷するように構成されてもよい。
【0022】
第1および第2の印刷ローラ/シリンダは、位相をずらして印刷するように構成されてもよい。第1および第2の印刷ローラ/シリンダは、異なる直径(周長)であってもよく、および/または異なる速さで回転してもよい。一方のローラ/シリンダまたはその両方の回転速度は、変化するように構成されてもよい。ここで説明した技術はすべて、安く、簡単に適用できる方法で各物品に独特の複合証印を作ることを目的としている。
【0023】
方法は、以下のステップをさらに備えてもよい。すなわち、複合証印を走査することによって複合証印から引き出された情報を格納するステップと、複合証印の1つ以上の要素に関する1つ以上の数学的性質を計算するステップと、複合証印を一意に識別し、よってそれに関連する物品を一意に識別する性質に、符号(例えば英数字の文字列)を割り当てるステップと、複合証印を付ける物品についての必要なまたは所望の他の情報と共に、この符号をデータベースに記録するステップとである。
【0024】
また、複合証印を走査して複合証印の1つ以上の要素に関して性質を引き出すことは、例えば知られている指紋認識技術を用いて行ってもよい。
【0025】
方法は、証印の数学的性質を計算し、アルゴリズムを用いて独特の符号を定め、その符号をデータベースと相互に関連させることによって、一つ一つの独特の複合証印に関連する情報を記録し、後に呼び出す、という手段を含んでもよい。計算される証印の数学的性質の少なくとも1つは、複合証印の少なくともいくつかの要素の、互いの空間的関係の関数でもよいし、および/または複合証印の周囲の境界などの他の境界条件に対する空間的関係の関数でもよい。
【0026】
証印は、包装または物品それ自体に印刷されてもよい。証印は、製品を識別するバーコードに組み込まれてもよい。証印は、物品製造中に包装または物品に直接印刷されてもよく、あるいは物品を後で包装する包装の一部(例えば開封テープまたはラベル)に印刷されてもよい。証印は、ガラス、フィルム、紙、プラスチック、金属、木、または印刷できる表面など、どんな表面に付けられてもよい。複合証印は、使用できる装置および/または印刷される表面の性質により、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、レーザー、インクジェット、ドットペン、熱転写、またはオフセットなど、どんな技術を用いても印刷され得る。
【0027】
本発明の別の態様によれば、複合証印は、証印が付けられている物品についての情報を表し、または符号化するために提供される。その際、複合証印は2つの証印を備えており、複合証印は一連となっているそのような複合証印の1つであり、各複合証印の少なくとも1つの証印は、連続する複合証印ごとに連続して変化する。
【0028】
本発明はまた、証印が付けられている物品についての情報を表し、または符号化するための、一連の複合証印を含む。その際、各複合証印は2つの証印を備え、その1つは連続
する複合証印ごとに連続して変化する。
【0029】
一方の証印は連続する複合証印ごとに連続して変化してもよく、他方は一定のままでもよい。あるいは、両方の証印が、連続する複合証印ごとに連続して変化してもよい。
【0030】
一つ一つの独特の複合証印は、機械読取可能な要素を備えることによって情報を表し、または符号化してもよい。その際、少なくともいくつかの機械読取可能な要素の、互いの空間的関係および/または証印の周囲の境界に対する空間的関係は、複合証印の属性とし得るような、例えば数値などの独特の文字列に変換することができるようになっている。文字列は、複合証印が付けられている物品に必要な情報と共に、コンピュータデータベースに格納されてもよい。
【0031】
いったん情報がデータベースに格納されたら、複合証印を機械で読み取って証印に関連する独特の識別情報数値を決定し、その識別情報または文字列に対応する情報をデータベースから得ることによって、情報を検索してもよい。
【0032】
従って、本発明は、別個で独特の証印、そのような証印の使用、そのような証印を作る方法、そのような証印を作る装置、およびそのような証印を組み込み、または用いて活動や事業を行う方法に関する。
【0033】
概説すると、各印は、2次元の例では、少なくとも第1の模様と第2の模様とを組み合わせる(同じ位置に置いて重ねる)ことによって構成され、または作られる。その際、各組み合わせは、他のどの組み合わせとも重ね合わせの位置がずれる(並置される)ようになっている。また、本発明は、3次元を有する、および/または時間に依存する開始証印の、そのような組み合わせとして表されてもよい。その場合も、組み合わせは、互いに重ね合わせの位置がずれているので独特である。2次元の一定の模様から得られる複合物に関しては、第1の模様も第2の模様も、境界がなくてもよい。そこでさらに、組み合わせに窓または境界を組み込んで、得られる複合物の重ね合わせの位置がずれる状態にしてもよい。あるいは、個々の複合物を表出する時に、重ねる方の開始証印を並置することによって、各複合物を別々に得てもよい。好ましい方法論は、前者の表出方法(境界条件または窓の使用)を採用し、そして前者の方法論を後者と組み合わせることによって独特の証印を作ることである。すなわち、少なくとも2つの開始証印を組み合わせ、その模様に境界条件を表出し、それを一連の並置された開始証印について行うのである。
【0034】
このように、個別または別々の物品のための独特の印を作る技術を提供することは、本発明の目的の1つである。
【0035】
本発明の別の目的は、そのような独特の印を作るための費用効果の高い方法を提供することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、簡単に着手、実行できる経済的な方法および方法の組み合わせを利用してそのような独特の印を作る方法を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、個別のアイテムのための別々かつ独特の印を作る技術を提供することであり、その際、印そのものは、情報を組み込む必要がないにもかかわらず、印を機械読取可能な言葉で表すアルゴリズム変換技術を含むさまざまな分析ツールを利用して、分析されまたは目録にされてもよいようになっている。
【0038】
本発明の別の目的は、個別の物品のための独特の印を作って使うための手順を作ることであり、その際、各物品に関連する各印は、物品に関連するさらなるデータまたは情報と
共に、(連続して、または他の何らかの順番で)目録にされまたは目録に記入されてもよいようになっている。
【0039】
本発明のさらなる目的は、一つ一つが独特な一連の印を作ることであり、それは、最低でも第1の証印を第2の証印と組み合わせて複合証印を形成することの結果であり、その際、組み合わせは各場合において独特の結果となるようになっている。
【0040】
本発明の別の目的は、2次元の模様として与えられる少なくとも2つの証印を利用して、一連の独特の複合証印を考案することである。
【0041】
本発明のこれらおよび他の目的、利点、特徴は、続く説明で明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の実施の形態を、例示の目的としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【0043】
図1は、物品(図示せず)に付けられるラベルという形態で独特の複合証印または印を形成するための多段階印刷装置10の全体を示している。装置10は、給送ローラ12および巻取ローラ14を備え、その間には一巻きの用紙16が伸び、その上には一つ一つが独特の複合証印を含むラベルが形成される。組になった印刷ローラ18、20、および22はそれぞれ段階A、B、およびCを形成し、ガイド/テンションローラ24は用紙が給送ローラ12から巻取ローラ14へと移動する際に用紙を導き、張力をかける。
【0044】
A、B、Cの各段階はインク28を収めるインクタンク26を有し、加圧ローラ18aまたは20aまたは22aと、グラビア印刷シリンダ18bまたは20bまたは22bとを備える。例えば用紙16が加圧ローラ18aと印刷シリンダ18bとの間を通過する際、用紙はシリンダ18bの模様に従って印刷される。これは他の段階についても同様である。
【0045】
図2は段階Aをさらに詳しく示しており、そこでは用紙16が加圧シリンダ18aとグラビア印刷シリンダ18bとの間を通過する。シリンダ18bの円筒状の印刷面は、図2にいくつかの短い斜線として示される模様を有する。これによって用紙16には、シリンダ18bの円周の関数である反復性を有する線の模様が印刷される。挿入部Xは、シリンダ18bの印刷模様の一部をより詳細に示している。
【0046】
通常、連続的な模様を印刷するために、シリンダ18bの印刷面は、シリンダ18bの円周のまわりに連続的で切れ目のない模様を含む。図3は、対応する模様をシリンダ18bの印刷面にわたって与えるために用いられ得る2次元の模様15を図示している。模様15を用いてシリンダ表面に連続的で切れ目のない模様を実現するため、模様15の個々の要素は、印刷面の大きさに相当する大きさを有する領域にわたって配置され、かつ模様15の横方向の端部17a、17bをまたがないように配置される。要素は、印刷面の模様の途切れを起こすことなく、模様15の縦方向の端部19をまたいでもよい。模様15は、シリンダ18bの表面の、互いに接する2つの横方向の端部17a、17bにわたって広がって、部分的に形成された模様要素が端部17aと17bとが接する領域にない円筒印刷面が提供される。ただし、模様は、シリンダ18bの端部21には、部分的に形成された模様要素を含んでもよい。
【0047】
図4は、段階Bをさらに詳細に示しており、そこでは用紙16が加圧ローラ20aとグラビア印刷シリンダ20bとの間を通過し、後者が第2の印刷模様を用紙に与える。シリンダ20bの印刷模様は、図4にいくつかの斜線を含む正方形の囲みという形態で示される、一連の別々かつ単純な証印を備える。単純な証印は、図4ではすべて同一であるが、
代わりに異なるようにできる。生成される印刷模様は、段階Aでシリンダ18bによって生成される印刷模様と類似したものとすることもできる。単純な証印の1つ以上の模様要素は残りの要素とは違うものとされ、ここでは囲みの隣接する2つの側線が太くされている様子が示されているが、それによって、証印の向きを定めるための参照が与えられる。あるいは、証印の内側の、1本の側線からずれたところに参照線が印刷されてもよい。また、シリンダ20bの表面の残りの部分は、第1の印刷段階からの余分な線を隠すために用紙の囲み状証印の間を覆う抹消用の背景を含んでもよい。抹消用の背景は証印の一部を覆うように構成することができ、それにより証印の一部が見えなくされることによって参照バーが与えられる。これに加えて、またはこれに代わって、どのような抹消用の背景が印刷段階Cによって与えられてもよい(以下参照)。挿入部X’は、単純な囲み状証印の1つをさらに詳細に示している。挿入部Yは、段階AおよびBの後の用紙の複合証印を示している。
【0048】
複合証印は、例えば多角形や円など、どのような形状とすることもできる。図4の複合証印は、複数の斜線を含む正方形である。段階Aからの線の模様が変化するため、また、段階Bからの囲みの模様(これも周期的だが)の位相が段階Aの模様の位相とずれているため、どの2つの複合証印も正確に同一とはならない。印刷される独特の複合証印の数を増やすために、段階Aの模様と段階Bの模様との位相のずれを、より多くのシリンダ回転数にわたって維持することが望ましい。
【0049】
複合証印の反復はシリンダ同士が同じ位相で回転することによって起こり得るが、これはさまざまな技術を用いて避けることができる。例えば、複数のシリンダが使用されている場合は、シリンダのうち少なくとも1つを、残りの1つ以上のシリンダの回転速度とは異なる速度で駆動してもよい。他の例としては、シリンダの直径/円周を異なるようにできる。シリンダが摩耗するまでシリンダ同士が同位相に戻って同じ証印を作り始めることがないような関係となるように、シリンダの円周および/または直径を選んでもよい。さらに詳細には、シリンダの1つが他のシリンダの円周の測定単位において素数となるような円周を有していれば、シリンダの模様同士が再び同位相になるまでに、たいていの用途には十分な数の独特の複合証印が与えられるであろう。円周を変える場合は、円周にわずかな違い(例えばシリンダAは600.7534mmでシリンダBは601.757mm)をつければ、多くの回転数にわたってシリンダ同士の位相をずれた状態に維持することができる。たいていの輪転グラビア印刷シリンダの(印刷面が使用不能になるまでの)寿命はおよそ100万回転であり、円周を注意深く選べば、シリンダの寿命までシリンダ同士が同位相に戻らないようにできるであろう。
【0050】
印刷シリンダを用いることの利点は、印刷シリンダが用紙16を横切る位置を、用紙のロールを交換するたびに調整できて、証印の組み合わせをより多く与えられるということである。
【0051】
第2の証印が線でできた一定の模様のときは、この模様は(例えば図4に示すような)境界と共に(20bのような)シリンダで付けてもよく、その場合、模様はシリンダの印刷面の周囲に繰り返されることになり、あるいはこの模様は、インクジェットプリンタなどのデジタル印刷手段を含む他の印刷手段で付けてもよい。いずれの場合でも、連続する物品において、証印の第2の部分の印刷が証印の第1の部分を印刷する印刷シリンダの周期に関して正確に同じ位置では行われないように注意すべきである。言い換えると、連続する第2の一定の証印を(第1の印刷シリンダからの)証印の変化の周期と同じにすべきではなく、また後者を前者の正確な倍数とすべきでもない。これにより、複合証印が繰り返されずに済む。
【0052】
図5は、図2および4に示す段階A(例えばシリンダ18b)および段階B(例えばシ
リンダ20b)によって印刷され得る複合証印100の例を示している。複合証印100は、斜線103および105のような複数の斜線を備える。この例では、参照バーまたは境界条件101は、抹消用の背景(この例では陰付きの灰色)に含まれていたものである。後に続く証印の読み取りにおける証印の向きは、参照バー101ならびに境界109および111を識別することによって与えられる(証印の読み取りと向きの決定については後にさらに詳しく論じる)。複合証印の特徴点は、斜線103および105のような異なる斜線の交点に関連づけられてもよい。本実施の形態においては、交点の位置(例えば交点の、境界109および111によって与えられ得る参照枠に関する座標)を、複合証印100に関連する独特の符号(例えば英数字の文字列)に関係づけてもよい。本実施の形態においては、複合証印100は、複合証印100の細長い一片で構成される参照線101に沿って走査されてもよい。複合証印100の特徴点の性質上、対応する情報(例えば、後に論じるような、複合証印100から引き出され得る符号)を決定するためには、複合証印の一部のみを処理すればよい。参照線101を処理する際は、各斜線に対応する標準化された、すなわち平均化され、正規化され、単純化された、または実質的に1次元の、線(例えば斜線103に関連する線107)であってさらに処理される線を引き出すために、各斜線の位置が突き止められる。本実施の形態においては、斜線の標準化された線を引き出すために、斜線の像が統計学的に処理されて斜線の中央が割り出される。
【0053】
図6は、付加的な第3の印刷段階Cを示しており、そこでは用紙16が加圧ローラ22aと印刷シリンダ22bとの間を通過する。この段階において、挿入部X’’にさらに詳しく示されているように、印刷シリンダ22bは用紙に商業グラフィックを与える。この図ではワシとして示されている。このワシの図柄は空白の正方形または窓を有し、用紙が段階Cにおいて印刷される時に、その正方形または窓が先の印刷段階からの複合証印の位置と合って、囲みZに示される像を生じる。証印は、例えば何らかのレタリングでグラフィックに組み込まれてもよい。境界が印刷されていなければ、このグラフィックを印刷することによって像に境界を与えてもよい。また、この印刷段階が証印に参照バーまたは境界条件を与えてもよい。それによって、証印が後に読み取られる際に、証印の向きを定めたり認識したりするのが容易になる。この参照バーは、証印に印刷された線でもよく、または証印の一部に重ね刷りされた抹消用の背景の一部でもよい。また、この参照バーは、証印が後に読み取られる際に、読取装置のカメラに合焦対象物を提供する。
【0054】
別の実施の形態について、図12から15を参照して論じる。本実施の形態の変形で、証印の不変である第2の部分(すなわち図1および4の段階B)の代わりに、第2の部分が変化してもよい。すなわち、第2の部分は、連続して印刷されるものが異なるように生成されてもよい。これは、証印の第1の部分の印刷(段階A)と類似した方法で行われてもよい。この場合、証印の第2の部分は、点、楕円、多角形、または線といった要素の模様を有する印刷シリンダを用いて形成されてもよい。このような手法を用いる場合は、(上に述べたような)境界または参照線を印刷する別のステップが必要となることがある。
【0055】
図12は、別の多段階印刷装置46の全体を示している。これは図1の装置と類似しており、同様の特徴には同様の参照番号を用いる。しかしながら、この実施の形態において、第2の段階(B)の印刷シリンダ20bは、第1の段階(A)のシリンダ18bの模様にやや類似した、短い斜線でできた別の模様を有する(図13および14参照)。そして用紙16には2つの模様が印刷され、これらの模様はそれぞれが互いに対しても変化し、結果として出来る複合証印に対しても変化する。これは、この場合、シリンダが回転して、2つの模様の組み合わせが複雑な線の重ね合わせとなるからである。図1の実施の形態に関連して上に述べたように、2つのシリンダ20bと18bとの円周は異なっており、これらの円周は、シリンダ同士が再び同位相となって同一の複合証印が形成される恐れが生じるまでに、非常に多数の回転が行われなければならなくなるように選ばれている。段階Cにおいては、ここでもまた商業グラフィックが印刷され、それによって複合証印に境
界が形成される。中間ステップとして、段階Cでの印刷に先立って、用紙に抹消用の印刷を施し、複合証印の必要な部分のみを残して模様の他の部分を抹消するようにしてもよい。また、抹消用の印刷ステップは、上述したように参照バーまたは境界条件を証印に与えてもよい。
【0056】
図15で、挿入部X’’’はシリンダ22bによって用紙に印刷されている商業グラフィックを示し、挿入部Z’は3つの印刷段階A、B、およびCの組み合わせの結果を示している。この実施の形態では、複合証印は2つの単純な証印から形成され、そのそれぞれは複合証印ごとに変化し、より多くの独特の複合証印が与えられる。証印の第2の部分を印刷するシリンダは、証印の第1の部分を印刷したシリンダと同一のものとすることができるが、その場合、印刷される物品は印刷シリンダ18bに2度接しなければならない。あるいは、図12に示すように、第2の印刷シリンダ20bを備え得る第2の印刷装置を用いることもできる。
【0057】
印刷された複合証印は次に、必要となる前にいつでも、記録され、またはログ記録されてよい。これは以下のように行うことができる。すなわち、証印を光学的に走査してその像をデジタル的に取り込み、そしてコンピュータを用いて証印の数学的性質を計算するか、または知られている指紋認識技術のようにいわゆる特徴点の特徴を用いるのである。ここで、証印の数学的特徴は、証印の少なくともいくつかの要素間の空間的関係の関数、および/または要素と境界との間の空間的関係の関数であってもよい。次にアルゴリズムがこのデータに適用され、それによって証印が符号(例えば番号)に変換される。この符号は、物品に関する情報と共にデータベースに格納することができる。本実施の形態では、インターネット、イントラネット、無線周波数識別(RFID)可能なインタフェース、またはショートメッセージサービス(SMS)のような無線サービスを用いて、データベースへ情報を送ったりデータベースから情報を検索したりしてもよい。
【0058】
図5を参照する。複合証印100の特徴点は、複合証印に関連する独特の英数字符号を決定するために利用される。2本の参照線(例えば斜線103と105)は、交点(例えば交点113)で交差し得る。各交点の座標が、独特の符号の構成要素を与える。本実施の形態を説明する例として、交点の(x,y)座標をひとつながりにすることによって独特の符号を決定してもよい。例えば、座標(x1,y1)および(x2,y2)を有する2つの交点の場合、これらをつなげたx1212によって符号を決定してもよい。交点はさらに多くなる可能性があり、それらと共に符号の並びを拡張してもよい。また、例えば(x1,y1)が(0.013単位,0.071単位)であり、(x2,y2)が(0.051単位,0.083単位)である場合、対応する符号は、整数を得るために各座標を1000倍したものをつないで、13517183として得てもよい。
【0059】
図16は、本発明の実施の形態に従って、複合証印(例えば証印100)から引き出された符号(例えば番号)201と、関連する物品についての情報と、を関係づけるデータベース項目200の例を示す図である。例えば、日用消費財(FMCG)の場合は、人が読める(HR)番号203、時刻記録205、日付211、製造場所209、銘柄/型式207、バッチ番号、および賞味期限(もしあれば)が記録されてもよい。また、このデータは、格納前に適当な手段によって暗号化され、間引かれ、または圧縮されてもよい。
【0060】
データは、例えばインターネットからアクセス可能な、中央記憶コンピュータのデータベースに格納される。後に物品の証印が読み取られる際、コンピュータが、同じアルゴリズムを用いて光学的なデータを符号へと変換する。コンピュータは次にデータベース内でその符号を検索し、その符号のもとに格納されている情報を呼び出す。従って、虚偽の証印を有する偽造品があれば、コンピュータ記録が見つからない(または明らかに間違った記録が見つかる)ので、発見される。同じ証印の複製を有する多数の品物がある場合も、
本物でないことが分かる。システムを構成して、同じ証印が異なる2つの場所で読み取られたり、または同じ証印が同じ場所で異なる時刻に読み取られたりした場合に(これら2つの状況は、偽造品の存在を示す)、警告を発するようにすることもできる。
【0061】
最初に複合証印から十分な詳細が得られれば、証印が劣化したり、またはおよそ70パーセントかおそらくそれ以上が欠落したりした場合でも、証印の冗長な特徴を利用することによって、情報を呼び出す処理が正確な状態に保たれる。特徴の冗長性は、およそ85パーセントであってもよい。
【0062】
本実施の形態の変形で、選ばれた符号(例えば英数字の番号)を処理して、生成される複合証印の特徴点がその選ばれた符号に対応するようにしてもよい(先に論じたところによれば、符号は複合証印から決定される。本実施の形態の本変形では、複合証印は選ばれた符号から決定される)。例えば、選ばれた符号は、x1、x2〜xn、y1、y2〜ynという番号で表されてもよい。この番号から、要素である交点(例えば線が交差する場所)の(x,y)座標を決定し、それによって対応する特徴点を有する複合証印を構成してもよい。構成された複合証印は(図5に関連して論じたように)後に分析されて、選ばれた符号が得られることになる。本明細書で論じてあるように、本実施の形態の本変形は、以下のようにして、連絡を取り合う二者間で情報を運ぶために利用してもよい。すなわち、選ばれた符号を決定し、対応する複合証印を構成し、複合証印を搬送する信号を伝達し、そして選ばれた符号を得るために複合証印を分析するのである。
【0063】
図19は、複合証印262を付けられた物品260の一部を示す図である。物品には適当なロゴまたは商業グラフィック264が重ね刷りされており、これはハッチングで示されている。このグラフィックは、グラフィックの一部270によって証印が小さな部分266と大きな部分268とに分かれるように印刷されており、グラフィックの一部270が参照特徴を与える。複合証印は、物品上でどの方向を向いていてもよい。上述したように、複合証印が物品に付けられる際には、物品に付けられた証印に対応して、その物品に関する情報がデータベースに格納されている。まず、複合証印が、コンピュータに接続されたカメラに読み取られる。カメラは、図19に示す部分のような、物品のあらかじめ決められた部分をとらえるように構成されてもよい。カメラは、複合証印のあらかじめ決められた部分を走査する。カメラは、参照バーに焦点を合わせるように構成されてもよい。カメラの焦点を複合証印に適切に合わせないと、計算および認識に大きな誤りが生じる。カメラが読み取った像において、コンピュータに格納されたソフトウェアが、証印および参照バーのエッジを見つける。これによって、図20に示したように、コンピュータが複合証印の向きを定め、物品に印刷された商業グラフィックを無視することが可能となる。また、証印に長方形の形状を与えると、証印の向きを定めるのが容易になる。またこの例では、図に示すように、コンピュータは証印の小さな部分266が左側となるように証印の向きを定める。また、ソフトウェアは証印を拡大してもよい。いったん証印262の向きが定まったら、ソフトウェアは、参照バー270および証印の小さな部分266を廃棄して、証印の大きな部分268のみが残るようにする。図19〜21に示す証印は、線272で出来ている。ソフトウェアは、証印の大きな部分に残る線の太さを十分に減らして、それらの線が事実上1次元となるようにしてもよい。これは正規化、平均化または他の適当な方法によって行ってもよい。このように線の太さを減らすと、線の太さに関連して生じ得る誤りが減少する。残った証印を図21に示す。次に、図22に示すように、この証印のさまざまな数学的性質が計算される。この例では、図21の証印からの2本の線が用いられている。線と線との間の角度、および線と縁との間の角度が計算される。次に適当なアルゴリズムがこのデータに適用されて、データが英数字の符号へと変換される。そして、この符号は、証印が付けられている物品についての他の適当な情報と共に、データベースに格納される。この、証印を読み取ってそれに関する情報をデータベースに格納する処理を、図23の流れ図に示す。
【0064】
これに続く証印の読み取りにおいては、読取カメラおよびソフトウェアが、上のように符号を見つけて処理する。そこで、上に論じた方法で、英数字の符号が証印から決定される。次に(例えば上に述べた媒体のいずれかを介して)データベースが調べられて、その英数字の符号に関する情報が検索される。そして、情報が読取側に送り返される。この処理を図24に示す。
【0065】
他の実施の形態では、例えば販売時に品物を識別するために広く用いられているバーコードに、本発明に従って証印を組み込むことができる。証印は、1本の「バー」の内側に印刷されてもよいし、あるいは、証印が紫外線または赤外線インクで印刷されるのであれば、バーコードの後ろまたは上に印刷してもよい。そうすることで、品物にバーコードおよび複合証印の両方を持たせることができ、広く用いられている装置との互換性が保たれる。図17にこの例をいくつか示す。物品またはアイテムに関する情報またはデータは、複合証印(独特の印)に含まれたり組み込まれたりする必要はないが、それでもなお、独特かつ抽象的な文字を保持しつつ、情報を組み入れるように印が作られてもよい。例えば、図17に示したようにバーコードと組み合わせたり、色付きなどの他の読取可能な証印を利用したりしてもよい。色や番号は、例えばSKUコードのように、品物の種類と関連づけられてもよい。
【0066】
短命の品物のようなアイテムに関する証印のデータは、適当な期間の後に消去することができる。そうすることで、格納すべきデータの量を減らすことができる。
【0067】
複合証印の変化可能な数は非常に多く、nが30より大きな数としておそらく10n
上なので、独特の証印そして独特の識別符号を非常に多数の物品に与えることが可能である。与え得る独特の識別符号の数は、線、点、楕円、または多角形のような要素の数に依存し、また上述の印刷技術を用いた場合は、印刷シリンダの直径にも依存する。また、ジグザグな線を用いれば、与え得る独特の識別符号の数は増える。さらに、独特の複合証印は簡単に物品に印刷することができるので、現存する印刷工程を用いて自動的かつ高速に証印が付けられてもよい。証印は、後に光学的な走査手段によって、1秒の何分の1かで読み取られてもよい。
【0068】
例えば紫外線、磁気、音波探知機、放射線、または赤外線により見ることのできるインクなどで複合証印を印刷すれば、目に見えない、または隠された符号化が可能である。これは、目に見える証印を物品に印刷することによって物品の外観が損なわれてしまう場合に、特に有用である。
【0069】
証印は、ホログラフィーで作られたり、金属化されたり、または浮き出しにされたりしてもよく、また、納税印紙および/または収入印として用いられてもよい。丸薬や錠剤のような医薬品一つ一つに証印を印刷することもできる。証印は、レーザー彫刻によって付けられてもよい。1色より多い数の色で証印を印刷することもできる。証印は、例えば服のラベルに縫い込まれてもよい。
【0070】
証印は、市場で認識したり読み取ったりすることが比較的容易なため、品質保証、顧客への償還(購入の証拠として)、在庫管理、製品の追跡と遡及、ブランド保護、およびリアルタイム製品監視を含む多種多様な活動に用いられてもよく、また、証印は、他のタグまたは符号化システムであって、例えば、無線周波数識別(RFID)タグのような、記憶装置に各物品のデータが便利よく一緒に格納されるようにするタグまたは符号化システムと共に用いられてもよい。そして、こうしたタグまたは符号化システムは、マルチパックの外側に置かれてもよく、またパック内の個々の物品の証印の、独特の符号を含んでもよい。
【実施例】
【0071】
以下の例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものでも他の方法で制限するためのものでもない。
【0072】
<例1>
図7は、本発明に従って形成され得る複合証印の例を示す図である。いずれの場合も、証印は図1の段階Aから段階Cを通じて発展する。証印は線のみから成る必要はなく、点、長方形、もしくは楕円、またはさらにこれらの要素の組み合わせのような、他の要素や形状を備えてもよい。
【0073】
<例2>
図8〜11は、本発明に従って複合証印を持つさまざまな物品を示す図である。図8では、証印は、包装30、開封テープ32、およびラベル34の上に直接見えている。
【0074】
図9は、段ボール箱36の外側の、比較的大きな複合証印37を示す図である。
【0075】
図10は、郵便切手38(あるいは納税印紙でもよい)、銀行券40、および封筒42を示す図であり、これらはそれぞれ、本発明に従って複合証印39、41、43を持つ。一方、図11は、郵便宅配業において急ぎの文書を送るのに用いられるような、一般に「ドキュメントメーラー」と呼ばれる封筒44を示す図であり、この封筒も、上述したように複合証印45を持つ。
【0076】
<例3>
ある複合証印は、開封テープの片側に印刷された。一般に、開封テープは、包装用の包みなどを開け始めるために使われる。この開封テープの幅は、およそ2.9mmであった。証印はグラビア印刷工程を用いて印刷され、黒の線で別々の模様が与えられた。印刷された複合証印一つ一つは、約1.9mm×約1.9mmの大きさであった。
【0077】
<例4>
図18は、本発明の実施の形態に従って開封テープ251の例を示す図である。開封テープ251の一部は、独特の複合証印253(これは図5に示す証印100に対応してもよい)を備える。開封テープ251の一部は、物品(例えばアルコール飲料のびん)に貼付されてもよいし、または物品を識別するために物品を保持している包装(例えばたばこの包装)に貼付されてもよい。各物品には複合証印が割り当てられ、各物品が物品についての情報に関連づけられてその情報がデータベースに格納されるようになっていてもよい。図16は、データベース項目200の例を図示している。この例では、アルコール飲料のびんが、独特の符号201(複合証印253から決定される)、人が読める(HR)番号203、時刻記録205、銘柄/型式207、工場識別209、および日付211によって識別される。この例では、アルコール飲料のびんが仕向け地に流通された時に、複合証印が走査されてもよく、またデータベース200がインターネットを介してアクセスされてもよい。その結果、在庫または品物の流通についての情報を、例えば更新することもできる。さらに、物品が本物であり偽造品ではないことが検証されてもよい。
【0078】
<例5>
図25は、本発明に従って形成され得る複合証印の例を示す図である。いずれの場合も、証印は図12の段階Aから段階Cを通じて発展する。証印は線のみから成る必要はなく、点、長方形、もしくは楕円、またはさらにこれらの要素の組み合わせのような、他の要素や形状を備えてもよい。図12で、変化する2つの証印がAおよびBにおいて印刷される。さらなる印刷ステップによってこの複合証印の上に境界が印刷され、図の一番下に印
刷された複合証印の1つが与えられる。
【0079】
従って、通常は、第1および第2の証印が互いに重ねられて、その結果として複合物が表出される。複合物は、この第1および第2の証印(模様)を他のどの複合物と並置した場合においても、まったく別となるであろう。並置された複合物一つ一つの、別の部分または区域を識別することによって、別個の複合物の領域をさらに広げることができる。例えば、複合物のさまざまな異なる区域に、境界条件が付けられてもよい。そして、一連の異なる複合物に境界条件が付けられれば、それぞれの場合において、結果として得られる組み合わせは、たとえ境界条件が同じだとしても独特となるであろう。もちろん、各複合物は、複数の別々な境界条件を持ってもよい。ここで述べた方法論の結果として、既存技術の組み合わせを用いる単純かつ安価な技術によって、多数の独特な証印が作られる。
【0080】
当技術分野の技術者であれば認めることができるように、コンピュータシステムであってそのコンピュータシステムを制御する命令を含むコンピュータ読取可能媒体に付随したコンピュータシステムを利用して、本明細書にて開示された例示的な実施の形態を実施することができる。コンピュータシステムは、マイクロプロセッサのようなコンピュータを少なくとも1つと、デジタル信号プロセッサと、これらに付随する周辺電子回路とを含んでもよい。
【0081】
上述した実施の形態は、本発明を単に説明するための原理であり、本発明の範囲から逸脱することなく当技術分野の技術者によって多くの変形が工夫されてよいものである、と理解されなければならない。従って、そのような変形は請求の範囲に含まれるものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に従って、段階A、B、およびCにおいて異なる証印が組み合わされてラベルシートに複数の独特の複合証印を形成する多段階印刷装置を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1の多段階装置の段階Aをさらに詳細に示す図である。
【図3】図3は、図2の段階Aの印刷装置で用いられ得る2次元模様を説明する図である。
【図4】図4は、図1の装置の段階Bをさらに詳しく示す図である。
【図5】図5は、図2および図3に示されるように段階Aおよび段階Bで印刷され得る複合証印の例を示す図である。
【図6】図6は、図1の装置の段階Cをさらに詳しく示す図である。
【図7】図7は、図1に図示された段階A〜Cにおける、証印の実施の形態の代替例を示す図である。
【図8】図8は、本発明に従って独特の複合証印を付けられた物品の抜粋を示す図である。
【図9】図9は、本発明に従って独特の複合証印を付けられた物品の抜粋を示す図である。
【図10】図10は、本発明に従って独特の複合証印を付けられた物品の抜粋を示す図である。
【図11】図11は、本発明に従って独特の複合証印を付けられた物品の抜粋を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施の形態に従って、段階A、B、およびCにおいて異なる証印が組み合わされてラベルシートに複数の独特の複合証印を形成する多段階印刷装置を模式的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の第2の実施の形態に従って、段階A、B、およびCにおいて異なる証印が組み合わされてラベルシートに複数の独特の複合証印を形成する多段階印刷装置を模式的に示す図である。
【図14】図14は、本発明の第2の実施の形態に従って、段階A、B、およびCにおいて異なる証印が組み合わされてラベルシートに複数の独特の複合証印を形成する多段階印刷装置を模式的に示す図である。
【図15】図15は、本発明の第2の実施の形態に従って、段階A、B、およびCにおいて異なる証印が組み合わされてラベルシートに複数の独特の複合証印を形成する多段階印刷装置を模式的に示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態に従って、複合証印から引き出された符号と、関連する物品についての情報と、を関係づけるデータベース項目の例を示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態に従って複合証印がどのように従来のバーコードと組み合わせられるかの例を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態に従って開封テープの例を示す図である。
【図19】図19は、包装に付けられた、向きが不規則な複合証印を示す図である。
【図20】図20は、図16の証印が読取装置に認識された状態を示す図である。
【図21】図21は、読取装置によって純化された図16の証印を示す図である。
【図22】図22は、証印の情報図を示す図である。
【図23】図23は、証印を認識し情報をデータベースに格納する処理を示す流れ図である。
【図24】図24は、データベースから情報を検索する処理を示す流れ図である。
【図25】図25は、図12に模式的に示した段階での証印の実施の形態の代替例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に印すための一連の複合証印を与える装置であって、
第1の証印構成要素を物品の基体のあらかじめ決められた位置に付けるための第1の生成段階と、
第2の証印構成要素を基体の前記あらかじめ決められた位置に付けて前記複合証印の1つを形成するための第2の生成段階と
を備え、
前記生成段階の少なくとも1つは、1つ以上の要素を含む証印構成要素を前記基体に付け、連続する複合証印ごとに前記要素の外観、場所、方向、または向きが変化して前記複合証印が異なるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1または第2の生成段階の1つは、前記複合証印の向きを定めるために、境界を印す手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複合証印の向きを定めるために、境界を印す手段を備える第3の生成段階が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記生成段階の少なくとも1つは、印刷手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記印刷手段は、印刷シリンダを備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記要素の少なくともいくつかは、線、点、楕円、および多角形を備える群から選ばれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
物品に印すための一連の複合証印を与える方法であって、
第1の証印構成要素を生成して前記第1の証印構成要素を物品の基体のあらかじめ決められた位置に付けることと、
第2の証印構成要素を生成して前記第2の証印構成要素を前記基体の前記あらかじめ決められた位置に付けることと
を備え、
前記第1または第2の証印構成要素の少なくとも1つは、1つ以上の要素を含み、連続する証印ごとに前記要素の外観、場所、方向、または向きが変化して前記複合証印が異なるようになっていることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記方法は、前記証印の向きを定めるために、前記証印に境界を印すことを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、少なくとも1つの前記証印構成要素を前記基体に印刷することを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記要素は、線、点、楕円、および多角形を備える群から選ばれることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
物品に機械読取可能な複合証印を与える方法であって、
第1の証印構成要素を前記物品の基体のあらかじめ決められた位置に付けることと、
第2の証印構成要素を基体のあらかじめ決められた位置に付けて前記複合証印を形成することと、
読取装置の読取参照として参照特徴を与えることと
を備える方法。
【請求項12】
前記方法は、前記第1または第2の証印構成要素の少なくとも1つが1つ以上の要素を含み、連続する証印ごとに前記要素の外観、場所、方向、または向きが変化して前記複合証印が異なるようにすること、を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、読取装置の読取参照として、前記複合証印の境界または枠を備える参照特徴を与えること、または前記複合証印を少なくとも部分的に覆うことを備えることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、少なくとも1つの前記複合証印を前記基体に印刷することを備えることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
物品に機械読取可能な複合証印を与える装置であって、
第1の証印構成要素を物品の基体のあらかじめ決められた位置に付けるための第1の生成段階と、
第2の証印構成要素を前記基体の前記あらかじめ決められた位置に付けて前記複合証印を形成するための第2の生成段階と
を備え、
前記装置は、読取装置の読取参照として参照特徴を前記複合証印にさらに与えることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記生成段階の少なくとも1つは、1つ以上の要素を含む証印構成要素を前記基体に付け、連続する複合証印ごとに前記要素の外観、場所、方向、または向きが変化して前記複合証印が異なるようになっていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、読取装置の読取参照として、前記複合証印の境界または枠を備える参照特徴を前記複合証印に与え、または前記複合証印を少なくとも部分的に覆うことを特徴とする請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記生成段階の少なくとも1つは、印刷手段を備えることを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
物品にデータを関連づける方法であって、
複合証印を生成して前記物品の基体に付けることと、
前記複合証印を走査することと、
アルゴリズムを適用して前記走査された複合証印を文字列に変換することと、
選ばれたデータを前記文字列の属性とすることと、
前記文字列および属性データを記憶装置に格納することと
を含む方法。
【請求項20】
前記複合証印を走査する前記ステップは、前記複合証印の画像を電気的な形態で取得することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記複合証印を前記基体に印刷することを含むことを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、独特の複合証印を前記基体に付けることを含むことを特徴とする請求項19ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、前記走査された複合証印を独特の文字列に変換することを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記文字列および属性データを電子的なデータベースを備える記憶装置に格納することを含むことを特徴とする請求項19ないし23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
物品に関連するデータを決定する方法であって、
前記物品の基体の複合証印を走査することと、
アルゴリズムを適用して前記走査された複合証印を文字列に変換することと、
記憶手段内で前記文字列を検索して前記文字列の属性とされたデータを得ることと
を備える方法。
【請求項26】
前記複合証印を走査する前記ステップは、前記複合証印の画像を電子的な形態で取得することを備えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記複合証印は独特であることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記文字列は独特であることを特徴とする請求項25ないし27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、電子的なデータベースを備える記憶装置内で前記文字列を検索することを備えることを特徴とする請求項25ないし28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
物品にデータを関連づける装置であって、
複合証印を生成し前記物品の基体へ付けるように構成された生成手段と、
前記複合証印を走査してその像を取得するように構成された走査手段と、
前記取得された像にアルゴリズムを適用して前記複合証印に関連する文字列を引き出し、選ばれたデータを前記文字列の属性とするように構成された処理手段と、
前記文字列および属性データを格納するように構成された記憶手段と
を含む装置。
【請求項31】
前記走査手段は、前記複合証印の画像を電子的な形態で取得するように構成されることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記生成手段は、前記複合証印を前記物品の基体に印刷するように構成された印刷手段を備えることを特徴とする請求項30または31に記載の装置。
【請求項33】
前記生成手段は、独特の複合証印を生成して前記基体に付けるように構成されることを特徴とする請求項30ないし32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記処理手段は、前記複合証印から独特の文字列を引き出すように構成されることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記記憶手段は、電子的なデータベースを備えることを特徴とする請求項30ないし34のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
物品に関連するデータを決定する装置であって、
前記物品の基体の複合証印を走査して前記証印の像を取得するように構成された走査手段と、
アルゴリズムを前記取得された像に適用して前記複合証印に関連する文字列を引き出し
、記憶手段内で前記文字列を検索して前記記憶手段内で前記文字列の属性とされたデータを得るように構成された処理手段と
を備える装置。
【請求項37】
前記走査手段は、前記複合証印の画像を電子的な形態で取得するように構成されることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記複合証印は、独特であることを特徴とする請求項36または37に記載の装置。
【請求項39】
前記文字列は、独特であることを特徴とする請求項36ないし38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
前記記憶手段は、電子的なデータベースを備えることを特徴とする請求項36ないし39のいずれかに記載の装置。
【請求項41】
物品に付ける機械読取可能な複合証印であって、前記物品にデータを関連づけ、
同じ位置に置かれた少なくとも2つの証印構成要素と、読取参照を読取装置に与えるための参照特徴とを備える複合証印。
【請求項42】
前記参照特徴は、前記複合証印の境界または枠あるいは覆われた部分を備えて読取装置の読取参照を与えることを特徴とする請求項41に記載の複合証印。
【請求項43】
前記証印構成要素の少なくとも1つは、線、点、楕円、および多角形を備える群から選ばれた要素を備えることを特徴とする請求項41または42に記載の複合証印。
【請求項44】
在庫品の配分を監視する方法であって、
配分された在庫品から物品を選ぶことと、選ばれた物品それぞれについて、
前記物品の複合証印を走査することと、
アルゴリズムを使用して前記複合証印に対応する文字列を引き出すことと、
記憶手段内で前記文字列を検索して前記物品に関連するデータを得ることと
を備える方法。
【請求項45】
前記複合証印および/または前記文字列は、独特であり、および/または前記証印と文字列とは、独特に関連していることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
有線または無線の通信によって前記記憶手段へ遠隔式にアクセスすることを含む請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
物品が真正であることを検証する方法であって、
物品の複合証印を走査するステップと、
アルゴリズムを使用して前記複合証印に対応する文字列を引き出すステップと、
記憶手段内で前記文字列を検索して前記物品に関連するデータを得るステップと
を備える方法。
【請求項48】
前記複合証印および/または前記文字列は、独特であり、および/または前記証印と文字列とは、独特に関連していることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
有線または無線の通信によって前記記憶手段へ遠隔式にアクセスすることを含む請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
物品に印すための一連の複合証印を与える方法であって、
第1の証印構成要素を有する物品の基体上で、第2の証印構成要素を生成し前記基体のあらかじめ決められた位置に付けて前記複合証印を形成するステップを備え、前記第1または第2の証印構成要素の少なくとも1つは、1つ以上の要素を含み、連続する証印ごとに前記要素の外観、場所、方向、または向きが変化して前記複合証印が異なるようになっていることを特徴とする方法。
【請求項51】
物品に印すための一連の別々な複合証印を与える方法であって、
少なくとも1つの複合証印を有する物品の基体上で、読取装置の読取参照として、前記複合証印の境界または枠を備える参照特徴を与えること、または前記複合証印を少なくとも部分的に覆うことを備える方法。
【請求項52】
請求項7ないし14、19ないし29、または44ないし51のいずれかに記載の方法ステップをコンピュータで処理できるようにするプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項53】
物品に印すための複合証印を与える装置であって、前記複合証印は第1の証印と第2の証印との組み合わせで構成され、前記装置は、
前記第1の証印を基体のあらかじめ決められた位置に印す第1の生成段階と、
前記第2の証印を前記基体の前記あらかじめ決められた位置に印して独特の模様を有する前記複合証印を前記位置に形成する第2の生成段階と
を組み合わせで備え、
前記複合証印は、個別の物品ごとに別個となっていることを特徴とする装置。
【請求項54】
前記装置は、前記複合証印を前記物品へ印すことを印刷によって行うことを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記物品は、ガラス、フィルム、紙、プラスチック、金属、および木から成る群から選ばれた材料で構成されることを特徴とする請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記装置は、前記複合証印の印刷を前記物品の包装に行うことを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項57】
前記装置は、前記複合証印を前記物品に関連するバーコードと共に印刷する機構を含むことを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項58】
前記生成段階の1つは、前記複合証印の向きを定めるために境界を印す手段を備えることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項59】
前記第1の生成段階は、前記第1の証印の第1の要素の第1の特徴を前記異なる物品ごとに変化させる手段を含むことを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項60】
前記第1の要素は、第1の周波数スペクトルであることを特徴とする請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記第2の生成段階は、前記第2の証印の第2の要素の第2の特徴を変化させる手段を含むことを特徴とする請求項59に記載の装置。
【請求項62】
前記第2の要素は、第2の周波数スペクトルであることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記個別の物品は、連続する物品であることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項64】
前記第1の特徴および前記第2の特徴は、場所、方向、および向きから成る群から選ばれることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項65】
前記第1の要素は、線、点、楕円、および多角形から成る群から選ばれることを特徴とする請求項59に記載の装置。
【請求項66】
前記第2の生成段階は、前記第2の証印の第3の要素の前記特徴を異なる物品ごとに変化させる手段を含むことを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項67】
前記第1の生成段階に関連する第1の模様および前記第2の生成段階に関連する第2の模様は、周期的であることを特徴とする請求項61に記載の装置。
【請求項68】
前記第1の模様の第1の周期と前記第2の模様の第2の周期とは、等しくないことを特徴とする請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記第1の周期および前記第2の周期は、ほぼ無限の値であることを特徴とする請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記第1の生成段階は、第1の印刷シリンダを備え、前記第2の生成段階は、第2の印刷シリンダを備えることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項71】
前記第1の印刷シリンダと前記第2の印刷シリンダとは、位相をずらして印刷するように構成されることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記第1の印刷シリンダと前記第2の印刷シリンダとは、異なる直径または円周を有することを特徴とする請求項71に記載の装置。
【請求項73】
少なくとも1つの直径は、素数で表されてもよいことを特徴とする請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記第1の印刷シリンダと前記第2の印刷シリンダとは、異なる速さで回転することを特徴とする請求項71に記載の装置。
【請求項75】
前記速さの少なくとも1つは、時間と共に変化することを特徴とする請求項74に記載の装置。
【請求項76】
前記物品に商業グラフィックを重ね刷りする第3の生成段階をさらに備え、
前記商業グラフィックは、前記複合証印にそろえられ、前記複合証印は、影響を受けないことを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項77】
前記商業グラフィックは、像、ロゴ、およびカラースキームから成る群から選ばれることを特徴とする請求項76に記載の装置。
【請求項78】
前記複合証印を走査する第1のスキャナと、
前記第1の要素に関連する少なくとも1つの数学的性質を前記走査された複合証印に基づいて計算し、前記少なくとも1つの数学的性質に従って符号を割り当てる第1の計算モジュールであって、前記少なくとも1つの数学的性質は前記模様に関連する計算モジュー
ルと、
前記計算モジュールから前記符号を得、前記物品についての対応する情報を得、前記符号および前記情報を後の検索のために格納する記憶装置と
をさらに備える請求項53に記載の装置。
【請求項79】
前記少なくとも1つの数学的性質は、前記複合証印の要素の少なくとも1つに関連することを特徴とする請求項78に記載の装置。
【請求項80】
前記複合証印を読み取る第2のスキャナと、
読み取った情報に基づいて前記複合証印の数学的特徴から前記符号を計算する第2の計算モジュールと、
前記物品についての前記対応する情報に、前記符号に従って前記記憶装置からアクセスする検索モジュールと
を備える読取モジュールをさらに備える請求項78に記載の装置。
【請求項81】
前記検索モジュールは、前記対応する情報をユーザに与えることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記検索モジュールは、インターネット、イントラネット、無線周波数識別(RFID)可能システム、およびショートメッセージサービス(SMS)をサポートする無線システムから成る群から選ばれた通信網を介して前記物品についての前記対応する情報にアクセスする手段を含むことを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項83】
前記符号は、独特の符号であることを特徴とする請求項78に記載の装置。
【請求項84】
複合証印を処理する読取装置であって、前記複合証印は物品に印を付け、前記読取装置は、
前記複合証印を読み取るスキャナであって、前記複合証印は複数の証印を備えて異なる物品ごとに変化する模様を形成するスキャナと、
読み取った情報に基づいて前記複合証印の数学的特徴から符号を計算する計算モジュールと、
前記物品についての対応する情報に、前記符号に従って記憶装置からアクセスする検索モジュールと
を組み合わせで備える読取装置。
【請求項85】
物品に複合証印を与える方法であって、
(a)第1の証印を前記物品の基体のあらかじめ決められた位置に印すことと、
(b)第2の証印を前記基体の前記あらかじめ決められた位置に印して模様を有する前記複合証印を形成することとを備え、前記複合証印は、前記物品に関連し、前記第1の証印および前記第2の証印の少なくとも1つは、異なる物品ごとに変化することを特徴とする方法。
【請求項86】
(c)前記複合証印を前記物品に関連するバーコードと合体させること
をさらに備える請求項85に記載の方法。
【請求項87】
ステップ(a)は、
(i)前記第1の証印の第1の要素の第1の特徴を前記異なる物品ごとに変化させること
を備える請求項85に記載の方法。
【請求項88】
ステップ(b)は、
(i)前記第2の証印の第2の要素の第2の特徴を前記異なる物品ごとに変化させること
を備える請求項87に記載の方法。
【請求項89】
ステップ(a)は、
(i)前記複合証印の向きを定めるために境界を印刷すること
を備える請求項85に記載の方法。
【請求項90】
ステップ(b)は、
(i)前記複合証印の向きを定めるために境界を印刷すること
を備える請求項85に記載の方法。
【請求項91】
(c)前記物品に商業グラフィックを重ね刷りして、前記商業グラフィックは、前記複合証印にそろえられ、前記複合証印は、影響を受けないようになっていること
をさらに備える請求項85に記載の方法。
【請求項92】
(c)前記複合証印を走査することと、
(d)(c)に応じて、前記第1の要素に関連する少なくとも1つの数学的性質を計算することと、
(e)(d)に応じて、前記少なくとも1つの数学的性質に従って符号を割り当てることと、
(f)前記物品についての対応する情報を得ることと、
(g)前記符号および前記対応する情報を後の検索のために格納することと
をさらに備える請求項85に記載の方法。
【請求項93】
(h)前記複合証印を走査することと、
(i)(h)に応じて、数学的特徴から前記符号を計算することと、
(j)(i)に応じて、前記物品についての前記対応する情報を検索することと
をさらに備える請求項92に記載の方法。
【請求項94】
情報を伝達する方法であって、
(a)番号で表される符号を選ぶことと、
(b)前記符号から特徴点の特徴を決定することと、
(c)前記特徴点の前記特徴から複合証印を構成することと、
(d)送信位置において、前記複合証印を搬送する信号を送信することと
を備える方法。
【請求項95】
(e)受信位置において、前記信号を受信することと、
(f)前記信号から前記複合証印を決定することと、
(g)前記複合証印から前記特徴点を決定することと、
(h)前記特徴点から前記選ばれた符号を得ることと
をさらに備える請求項94に記載の方法。
【請求項96】
請求項85に記載の前記方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項97】
請求項92に記載の前記方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項98】
請求項93に記載の前記方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項99】
請求項94に記載の前記方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項100】
請求項95に記載の前記方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項101】
物品に印を付ける複合証印を処理する方法であって、
(a)複数の証印を備えて異なる物品ごとに変化する模様を形成する前記複合証印を走査することと、
(b)(a)に応じて、前記複合証印に関連する数学的特徴から符号を計算することと、
(c)(b)に応じて、前記符号に従って前記物品についての対応する情報を検索することと
を備える方法。
【請求項102】
情報を受け取る方法であって、
(a)複合証印を搬送する信号を受信することと、
(b)前記信号から前記複合証印を決定することと、
(c)前記複合証印に関連する特徴点を決定することと、
(d)前記情報を与える符号を前記特徴点から得ることと
を備える方法。
【請求項103】
独特の複合証印を物品に関連づける装置であって、
第1の証印を前記物品のあらかじめ決められた位置に印刷する第1の印刷シリンダにおいて、前記第1の証印は、2次元の第1の模様を備え、変化の周期は、前記第1の印刷シリンダの第1の直径の関数である第1の印刷シリンダと、
第2の証印を前記物品の前記あらかじめ決められた位置に印刷する第2の印刷シリンダにおいて、前記第2の証印は、第2の模様を備え、前記第2の印刷シリンダは、前記第1の直径とは異なる直径を有して前記第1および第2の印刷シリンダが位相をずらして機能するようになっている第2の印刷シリンダと
を備え、前記複合証印は、前記第1の証印および前記第2の証印を備え、前記複合証印は、前記物品に関連し、前記複合証印の模様は、異なる物品ごとに変化することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−52428(P2010−52428A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191814(P2009−191814)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【分割の表示】特願2003−550166(P2003−550166)の分割
【原出願日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【出願人】(504218370)フラクチャー コード コーポレーション エーピーエス (5)
【Fターム(参考)】