説明

物品を強化する方法

本発明は、物品の少なくとも1の表面に熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム、又はヤーンを接着することを含む、物品を強化する方法に関する。本発明はさらに、固体の熱硬化性物質又は熱可塑性物質を含む物品に関する。熱可塑性物質は本質的に該テープ、フィルム、又はヤーンと同じ組成であり、該方法は任意的にさらに強化された物品をリサイクルすることを含んでいてもよい。テープ、フィルム、又はヤーンは熱処理の手段により及び/又は圧力をかけることにより物品に接着され、その上、フォームの層もまた、成形された物質の少なくとも一部の上に接着され、保護層をフォームの少なくとも一部に施与されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品を強化する方法、強化された物品、及び物品の機械的性質を改善するためのポリマー物質の使用に関する。
【0002】
コンポジット材料において、ヤーン及びクロスを樹脂に取り込み、次に樹脂を硬化させることにより強化するために、ヤーン及びクロスがしばしば使用される。最も一般的に使用されるのはガラス繊維物質である。しかし、ガラス繊維物質は高い密度を有し、従って物品の重さに著しく貢献する傾向を有するという欠点を有する。さらに、ガラス繊維は、それが取り込まれた物質をリサイクルすることを非常に困難にする。ガラス繊維をポリマー状の繊維あるいは他のポリマー状の強化成分により置き換えられることができ、そうすることによりコンポジット材料をリサイクルすることをより容易にすることができれば、非常に有益である。
【0003】
ポリオレフィンフィルム、テープ及びヤーンから製造された製品のリサイクルの観点から、材料のすべての成分が同じ物質、例えばポリプロピレン又はポリエチレン(プロピレン、エチレンそれぞれが単量体単位の大部分を形成するところのコポリマー及びその混合物を含む)として分類されることができれば、有利である。その利点は、得られるリサイクルされた物質が、種々の成分(汚染なし)の混合物の代わりに、まだ1つの物質であることである。
【0004】
物品がポリマー状テープ、フィルム、又はヤーンで強化され得ることが今見出された。
【0005】
従って、本発明は物品を強化する方法、又は延伸された熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム又はヤーンを上記物品の少なくとも1の表面に施与することを含む、強化された物品を製造する方法に関する。
【0006】
このように強化された物品は、興味深い性質、例えば改善された硬さ、改善された機械的強度、及び/又は改善された耐衝撃性を有することが見出された。従って、本発明は、物品の機械的強度、硬さ、及び/又は耐衝撃性を改善するために、本明細書において定義されたテープ、フィルム、又はヤーンを使用する方法にもまた関する。
【0007】
延伸されたポリマー状テープ、フィルム、又はヤーンそれ自体は長い間、種々の用途において使用されてきたことが留意される。
【背景技術】
【0008】
例えば、英国特許出願公開第1,117,256号は、物品を包装する方法を開示する。包装材料として、塩化ビニルポリマーのフィルム及びポリエチレンのフィルムの二軸延伸されたラミネートが使用されている。ここで使用されたラミネートは物品自身を強化するために物品に施与されたわけではない。それは包装として該物品の周りに存在し、それ自体が実際に物品に施与されているわけではない。
【0009】
米国特許出願公開第5,578,370号は、タフテッドカーペットのバッキングとして使用され得るコンポジット材料について記載する。ここで、コンポジット材料はカーペットのタフトを固定し、その結果カーペットを形成する手段として機能する。テープフィルム又はヤーンを物品の表面に施与し、そうすることにより物品を強化することは述べられていない。
【0010】
欧州特許出願公開第0,366,210号は、改善された固体状態の延伸性を有する高強度、高モジュラスコンポジット材料について記載する。該材料はラミネートを製造するために使用され得る。該物質を物品の表面に施与し、そうすることにより物品を強化することは述べられていない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、2次元的又は3次元的に物品を強化するために非常に適することが見出された。ここで、テープ、フィルム又はヤーンは、物品の平らな面、3次元的に形成された表面にそれぞれ非常に適切に施与され得る。
【0012】
さらに、強化する物質は、ガラスに比較して軽い物質である、本発明に従う方法において、耐衝撃性、硬さ、及び/又は機械的強度に関して、重量において、あるいは体積(層の厚さ)においてさえ、より少ない量のテープ、フィルム、又はヤーンで匹敵する効果を達成することが可能であることが見出された。
【0013】
処理された材料の驚くべき性質は、表面の良好な耐磨耗性である。
【0014】
強化物質、例えば、繊維性物質が使用され、該強化物質が材料に取り込まれ、該材料が次に成形された物品に形成されるところの強化技術に比較して、テープ、フィルム、又はヤーンは、使用することは相対的に容易である。前者の場合、強化物質は物品の製造工程の一部として含まれなければならないのに対して、本発明は、物品の表面における施与を許し、該物品は、強化物質を施与する前に既に成形されていてもよい。これは、リサイクルの観点からもまた有利である、なぜなら物品からの強化物質の分離をより容易にするからであり、それは、特にもし物品にテープ、フィルム又はヤーンが付与されており、該物品は異なるクラスの物質でできているならば望ましい。もちろんそのような分離は常に必要とされるわけではなく、例えば物品が強化物質と同じタイプの物質でできている場合、必要とされない。
【0015】
テープ、フィルム、又はヤーンを既に形成された物品に施与する可能性以外に、テープ、フィルム、又はヤーンを形成して成形された物質を造り、そして同時に又はその後、該成形された物質を1以上の他の成分に施与して、このようにして強化された物品を形成することにより、本発明に従って強化された物品を製造することもまた可能である。そのような成分は例えば保護層を形成するのに役立ちうる。
【0016】
そのような成分は、例えば熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン、及び金属、特にアルミニウムの群から選択され得る。
【0017】
他の成分はホイルの形態であることができ、該ホイルにテープフィルム又はヤーンから製造された成形された物質が施与される。さらに、成分は該成形された物質に任意の他の適切な方法、例えば塗装、スパッタリング、ラミネーティング、熱接着(hot bonding)(例えば熱圧縮(hot compacting))、インモールド加飾技術により施与され得る。これらの技術を使用することにより、成形された物質が、上述のように施与され、層を強化する成分の層に効果的に接着する。
【0018】
テープ、フィルム、又はヤーンを形成し、次に1以上の他の成分を施与するアプローチが、審美上の機能を有する物品に特に適切であることが見出された。ここで、テープ、フィルム、又はヤーンは、その表面が審美上の機能を発揮する物品の支持体及び強化の両方として機能する。そのような表面は表面仕上げとしてもまた公知である。そのような審美的機能の例は、視覚的な評価及び気持ちのよい感触を含む。審美的機能以外に、表面仕上げはより実用的な目的、例えば改善されたグリップ(表面をより滑らなくする)、又は反対に表面をより滑らかにすることに役立つ。
【0019】
特に、気持ちの良い柔らかな感触及び/又は改善されたグリップを有する物品を得るために、強化物質として作用する成形された物質へとテープ、フィルム又はヤーンを形成する工程、該成形された物質の少なくとも一部の上にフォームの層を施与する工程、及び該フォームの少なくとも一部の上に表面仕上げを施与する工程を含む方法で良好な結果が得られた。得られた強化された物品において、フォームの層は成形された物質と表面仕上げの間に置かれる。
【0020】
リサイクルの観点から、表面仕上げ及び/又はフォームは、成形された物質が製造されるところのテープ、フィルム又はヤーンと同じ種類であることが好ましい。
【0021】
非常に良好な結果が、表面仕上げ及び/又はフォームがポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン及びポリプロピレンのコポリマー(PE−PP)からなる群から選択される方法で達成された。非常に適するのは、当業者にTPO(熱可塑性ポリオレフィン)として公知である物質であり、TPOは実際にはPP及びPEに基づく特定のコポリマーである。TPOはかなりの程度の柔らかな感触及び/又は改善されたグリップを与える。本発明に従い、表面仕上げがTPOであり、フォームがポリプロピレンであり、該ポリプロピレンはPP及び/又はPEテープに基づく成形された物質の上に存在するところの方法で、非常に良好な結果が得られうる。
【0022】
テープ、フィルム、又はヤーンが形成され、その上に、その後1以上の他の成分が施与される方法は、特に審美上の機能を発揮する自動車部品、例えばドアの外部部品及び内部部品、ダッシュボード、クラッチハンドル及びクラッチをカバーするキャップ、ドアスタイル(door style)の被覆、安全ベルトのホルダー等に特に適する。
【0023】
本発明はさらに、強化された物品(延伸された熱可塑性ポリマーのテープフィルム又はヤーンを物品の少なくとも1の表面において付与されている)がリサイクルされる方法に関する。
【0024】
特に、本発明に従う方法において、テープ、フィルム、又はヤーンの施与は、テープ、フィルム、又はヤーン及び物品の間の物理的又は化学的結合により物品への接着をもたらす。
【0025】
テープ、フィルム、又はヤーンは、任意の方法、例えば糊付け、熱処理による接着、及び/又は圧力処理による接着により物品に接着され得る。加熱処理の例は、赤外処理、マイクロ波処理、ハロゲン処理、接触加熱、及び熱風処理である。テープ、フィルム、又はヤーンが容易に剥がされない良好な接着性を可能とする、他の適する接着方法は先行技術において公知である。
【0026】
テープ、フィルム、又はヤーンは、例えば巻きつけることにより又は敷くこと(laying)によりそのまま物品の表面に施与され得る。非常に良好な結果は、テープ、フィルム、又はヤーンは織布又は不織布の形で表面に施与される方法で達成された。布はテープ、フィルム、又はヤーンの1以上の層を含んでいてもよい。該布は任意の方法で製造され得る。特に適する方法は、織ること、編むこと、及び多軸スティッチボンディングを含む。そのような方法は先行技術において一般的に公知である。任意的に、布は圧縮されていてもよい。圧縮することにより、テープ、フィルム、又はヤーンは一緒に結合され、その結果、物質の方向においてだけでなく硬さが改善される。経済的な理由により、強化されるべき物品の上に物質が置かれた後、物質を圧縮することが好ましい。
【0027】
布の使用は、例えば物品が衝突又は爆発による高い衝撃に付されるときに、物品の破砕を抑止することにおいて特に有利な効果を有することが見出された。
【0028】
原則として本発明に従って強化された物品は任意の物質から製造され得、例えば木材、金属(例えばアルミニウム)、熱硬化性ポリマー及び/又は熱可塑性ポリマー(例えばポリエステル、PVC及び/又はポリオレフィン)を含み得る。
【0029】
当業者は、強化されるべき該物品、及び/又は使用される物質のタイプに依存してテープ、フィルム、又はヤーンから製造されたところの成形された物質を前処理する方法を知っている。適する技術は物品又及び/又は成形された物質の表面の極性(表面エネルギー)を増加させる技術を含む。表面の極性を改善する公知の技術は(O)プラズマ処理、イオン化処理、及びフレーム処理を含む。例えば相対的に極性である表面、例えば金属表面、特にアルミニウム表面を有する物品の場合、テープ、フィルム、又はヤーン、特にポリオレフィンのテープ、フィルム、又はヤーンを物品に施与する前に、その表面をイオン化技術により処理することが非常に有利であることが見出された。適するイオン化技術は先行技術において公知であり、コロナ処理、プラズマ処理、照射によるイオン化及びフレーム処理を含む。コロナ処理は特に適することが見出されている。
【0030】
あるいは、表面の極性は1以上の相溶化剤をそこに施与することにより増大され得る。例えば、無水マレイン酸(MA)が、(例えばポリプロピレンテープから製造された)成形された物質の表面及び(例えばアルミニウム又はナイロンから製造された)強化されるべき物品の表面の間の結合を改善するために施与され得る。
【0031】
相溶化剤が、延伸された熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム、又はヤーンに、一般的な方法、例えば、テープ、フィルム、又はヤーンの押出の前に純粋な形における該化合物(例えばMA)を混合し、続いて押出工程を行うことにより施与され得る。(一般的にポリオレフィンをグラフト化することにより)官能化されたポリオレフィン、つまり所望される相溶化する基で化学的に修飾(例えばグラフト化)されたポリオレフィンを使用することもまた可能である。
【0032】
さらに、上述された表面の前処理技術はいわゆる選択的波長の基を少なくとも1の表面の上に導入するために使用され得る。続いて特定の波長(例えばマイクロ波又はIR)の照射を施与することにより、このようにして熱が表面の所定の部分において非常に局所的に発生され得る。これは改善された結合を与える。この技術の追加的な利点は、施与される熱の量が注意深く制御され得、そして集中され得ることである、なぜなら処理されない物質は使用される照射に対して透明であるように選択され得るからである(例えば処理されていないPP及びPEはマイクロ波照射に対して透明である)。このようにして、最終的な物品の機械的性質及び他の性質はずっとよく維持され得る。特にポリプロピレンに基づく成形された物質の場合、これは有利である、なぜなら、外側が上述された技術の1つ、例えばイオン化工程を用いて処理される間に、これらの物品は内側(つまり強化されるべき物品が接着されている側又は表面仕上げから遠い面)から照射可能であるからである。その結果、最も外側の層のみが熱くなり、良好な結合を得るために十分である。
【0033】
任意的に、接着層がテープ、フィルム、又はヤーン及び/又は物品の表面の少なくとも一部に施与されて、中間の結合層として機能させてもよい。特に適するのはポリオレフィン接着剤、より特にPE,PP,及びPE−PPコポリマーを含む接着剤である。その上、これらの接着剤は、相溶化化合物、例えば官能化されたポリマーを含み得んでいてもよい。接着剤、例えば該ポリオレフィン接着剤を施与することは、金属表面、例えばアルミニウム表面、を有する物品を強化するときに特に好ましい。
【0034】
本発明に従う方法は、固体の熱硬化性又は熱可塑性物質を含む物品を強化するために特に適している。非常に良好な結果が、少なくとも熱可塑性物質、特にポリオレフィンからなる物品で達成された。好ましくは該物品は、該テープ、フィルム、又はヤーンと本質的に同じ組成の熱可塑性物質を含む。
【0035】
テープ、フィルム、又はヤーンは、任意の延伸された熱可塑性物質で形成されることができる。特に適する例は、国際特許出願国際公開第03/008190号に記載されたテープ、フィルム、又はヤーン及び高いテナシティーを有するポリプロピレンを含む。
【0036】
市販入手可能なテープ、フィルム、又はヤーンの特に適する例は、スーパープロフ(Superprof)(商標)(ランクホルスト−インダテク(Lankhorst-Indutech)B.V.、スニーク(Sneek)、オランダ)を含む。市販入手可能な織布の特に適する例はゲオロン(Geolon)(商標)(テンケート(Ten Cate)オランダ)である。
【0037】
非常に良好な結果が、単軸延伸された熱可塑性ポリマー、特に、12より高い合計延伸比(totalstretching ratio TSR)、好ましくは15より高い、特に20〜50のTSRを有する単軸延伸された熱可塑性ポリマーで達成された。TSRは等方性溶融物から最終的なテープ又はフィルムへ延伸する度合いとして定義される。これは少なくとも部分的に延伸ローラー間の速度の相違により定義される。TSRの実際の値は最終フィルム、テープ又はヤーンの(延伸方向における)複屈折及び/又はE−モジュラスから決定され得る。AB又はABAタイプのテープ、フィルム、又はヤーンが使用される場合(下記を参照のこと)、TSRは特に中央の層、該層は好ましくは高度に結晶性の物質である、に当てはまる。外側の層の物質は一般的に結晶性が低い。外側の層の機能は、特に、該物質の織布、不織布、又はとじ金で留めたもの/スタック(staple/stack)が熱処理及び/又は圧力処理されるとき、テープ、フィルム、又はヤーンを物品に適切に接着させ、及び/又はフィルム、テープ、ファイバー又はヤーンを一緒にまとめる可能性を与えることである。
【0038】
本発明に従う方法において高度に有利なのは、少なくとも5GPa、好ましくは少なくとも10GPa、より好ましくは少なくとも12.5GPa、例えば15〜17GPaの範囲のE−モジュラスを有するテープ、フィルム、又はヤーンである。本明細書において使用されたE−モジュラスはISO527により測定された値である。
【0039】
引張強度は特に重要というわけではない。良好な結果は、なかんずく、少なくとも0.25GPa(ISO527により測定された値)の引張強度を有するテープ、フィルム、又はヤーンで得られた。
【0040】
当業者は、本明細書において開示された情報及び自己の一般的な知識に基づいてテープ、フィルム、又はヤーンに適する物質を選択する方法を知っている。特に適する物質は、ポリエステル及びポリオレフィンを含む。好ましくはテープ、フィルム、又はヤーンはポリオレフィン、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー又はそれらの混合物を含む。
【0041】
強化の特徴、及び/又はテープ、フィルム、又はヤーンを接着させる容易さに関して高度に有利であるのは、テープ、フィルム、又はヤーン、好ましくは織布又は不織布の形におけるテープ、フィルム、又はヤーンが、実質的に第一の熱可塑性ポリマーの中央の層(B)及び第二の熱可塑性ポリマーの1又は2の他の層(A)からなるAB又はABAタイプの延伸された熱可塑性ポリマーであるところの本発明に従う方法であり、ただし該他の層(A)の物質のDSC融点は該中央層(B)の物質のDSC融点より低い。
【0042】
層A及び層Bは(一緒にリサイクルされるのに適しているという観点において)好ましくは同じ物質、例えばポリプロピレン又はポリエチレン(プロピレン、エチレンがそれぞれ単量体単位の大部分を形成するところの、コポリマー又はその混合物を含む)として分類される。その利点は、得られるリサイクルされる物質が種々の成分の混合物の代わりにまだ、1つの物質としてみなされることができることである。このようにしてリサイクルされた物質の汚染は最小限に保たれることができる。
【0043】
AB又はABAタイプの熱可塑性ポリマーは、好ましくは単軸延伸されたものである。
【0044】
テープ、フィルム、又はヤーンの物質の好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜90重量%が中央層(B)から形成される。物質の残りは外側の層(A)からなる。
【0045】
好ましくは、層B及び層Aの両方が同じ種類の物質からできており、より好ましくはそれらはそれぞれ本質的に、ポリオレフィンの群から選択されたポリマーからなり、さらにより好ましくはそれらはそれぞれ本質的にポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、及びそれらの混合物の群から選択されたポリマーからなる。
【0046】
フィルム、テープ、ヤーン、又はファイバーのための物質としてポリプロピレンを使用する場合、中央、あるいは核となる層Bのための物質は好ましくはホモポリプロピレンであり、好ましくは相対的に高い分子量、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されて少なくとも250,000g/モルの重量平均分子量、及び少なくとも160℃の融点を有する。
【0047】
中央層は好ましくは1の物質のみからなるが、製品スクラップのリサイクルの場合には、少量の他の層の物質もまた核となる層に存在し得ることが留意される。これは一般的に10重量%を超えない。
【0048】
核となる層(B)がポリプロピレンである実施態様において、この実施態様において外側の層の物質もまた、上に示されたように、ポリプロピレン、好ましくはプロピレンとエチレン又は別のαオレフィンとの共重合体である。その重要な特徴は、一般的にISO11357−3において定義されているDSC融点により示される該物質の軟化点が、中央層の軟化点より低く、その差は少なくとも10℃であることである。層B及び層A間の軟化点の最大の差は特に重要ではない。実際的な理由から、その差は通常約70℃より小さい。非常に良好な結果がなかんずく、軟化点の差が15〜40℃の範囲であるところのテープ、フィルム、又はヤーンで達成された。
【0049】
非常に良好な結果が、外側の層Aとしてランダムコポリマー、例えばプロピレン−エチレンランダムコポリマーで達成された。コポリマーの代わりに、又はそれと組み合わせて、ポリオレフィン、好ましくはメタロセン触媒を利用することにより製造されたポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンコポリマーが外側の層Aとして使用される。特に良好な結果がそのようなメタロセンに基づく統計的ポリマーで達成された。
【0050】
メタロセンの適する例は、rac−[Me2Si(2−Me−4−(l−ナフチル)Ind)2]ZrC12Hである(H.ブリンチンガー(Brintzinger),D.フィッシャー(Fischer),R.ミュエルホープト(Muelhaupt),B.リーガー(Rieger),R.ウェイマウス(Waymouth),Angew.Chem.第107巻(1995年)1255ページ及びW.カミンスキー(Kaminsky),Macromol.Chem.Phys.第197巻(1996年)3907ページに記載されている)。
【0051】
実際、AB又はABAタイプのテープ、フィルム、又はヤーンは好ましくはフィルム、テープ、又はヤーンが互いに角度を成しているところの形において使用される(織られた又は不織の物質)。そのようなテープ、フィルム、又はヤーンが織布、不織布、積み重ねられた物質又はとじ金で留められた物質へと形成される場合には、外側の層は個々のフィルム、ヤーン又はテープを一緒にまとめて非常に高い構造的な一体性のあるコンポジット材料を造るために使用され得る。中央層の軟化点から十分大きい距離における軟化点を選択することにより、物質自身の性質を損なわない熱処理を有することが可能である。
【0052】
本発明の好ましい方法において、外側の層Aは、75モル%〜99モル%のエチレン含有量、及び1〜25モル%のプロピレン含有量を有する少なくともエチレンプロピレンコポリマーからなる。中央層Bがポリエチレンである実施態様において、特に良好な結果がそのような外側の層で達成された。
【0053】
本発明の好ましい方法において、外側の層Aは、特に中央層がポリプロピレンであるならば少なくとも、1〜25モル%のエチレン含有量及び75〜99モル%のプロピレン含有量を有するプロピレンエチレンコポリマーからなる。(外側の層Aとしての)そのようなコポリマー、特にそのようなランダムコポリマーは、特に十分に中央層に接着することが見出された。さらにそのようなコポリマーを含むテープ、フィルム、又はヤーンのコンポジットは非常に良好な強度、耐衝撃性、及び耐磨耗性を有することが見出された。これらの物質の2つの混合物を使用することもまた可能である。
【0054】
ポリエチレンを使用する場合、基本的に同じ考察が当てはまる。中央層としてHDPE、すなわち少なくとも950kg/mの密度を有するポリエチレンが好ましく使用される。GPCにより測定された重量平均分子量(MW)は好ましくは少なくとも250,000g/モルであり融点は130℃以上である。中央層は好ましくは1の物質のみでできているが、製品スクラップのリサイクルの場合には、少量の他の層の物質もまた核となる層に存在し得る。これは一般的に10重量%を超えない。
【0055】
他の層の物質は、ポリエチレンであることを特徴とするが、今はより低い融点を有し、その差は少なくとも10℃である。適するポリエチレンはランダム又はブロックエチレンコポリマー、LLDPE、LDPE,VLDPEなどである。
【0056】
両方タイプの層の物質にとって、実際にはそれらは一般的に慣用の添加剤、例えば染料及び顔料、難燃剤、UV安定化剤、抗酸化剤、カーボンブラックなどを含むがそれらに限定されないことが留意されるべきである。
【0057】
各外側の層がそれ自身において2以上の別の層からなることは、本発明への一般的なアプローチの選択肢である。3層の形態(ABA)において、2つの外側の層が少し異なる組成を有することもまた可能である。
【0058】
実際、テープ、フィルム、又はヤーンの厚さは一般的に300μmまで、好ましくは25〜300μmの間である。これは元のフィルム厚及び延伸比、この場合延伸ローラーの速度の比に支配される。テープの幅は広い範囲、例えば25μmから50cm以上の範囲に渡って変化することができる。フィルムの幅もまた広い範囲、例えば1cmから150cm以上までの範囲に渡って変化することができる。
【0059】
本発明に従って使用されるテープ、フィルム、又はヤーンは任意の源からのものであることができる。良好な結果は、種々の層を共押出することにより製造されたAB又はABAタイプのテープ、フィルム、又はヤーンで得られた。一般的に、押出機がプロファイルなしの平らなダイプレートを有するキャスト押出法が使用される。フィルムが製造されるとき、物質を押し出し、そして冷却したのち、物質は延伸されてもよい。テープ又はヤーンが製造される場合は、(共押出及び冷却後)該物質は個々の糸の要求される幅に切断される。
【0060】
延伸は、一段階又は多段階延伸であることができる。各段階における延伸比は1.1〜50の間、好ましくは2〜10の範囲、より好ましくは3〜8の範囲であることができ、合計延伸比は、本明細書において定義されたTSRを決定するために重要である。延伸されたテープ、ヤーン、フィルム又はの機械的性質に関して非常に良好な結果が、テープ、フィルム、又はヤーンの最初の延伸段階における延伸比が4〜5であるところの多段階延伸法において達成された。
【0061】
物質を20〜250℃の温度において延伸することが好ましい。中央層Bに使用される物質のDSC融点より低い温度における延伸(以降「低温延伸」)が好ましい。非常に良好な結果が、延伸工程の少なくとも1が外側の層のDSC融点より低い温度において行われる低温延伸法で達成された。ポリプロピレン及び/又はポリエチレン(それらのコポリマーを含む)テープ、フィルム、又はヤーンの場合、非常に良好な結果が、25〜75℃、好ましくは30〜60℃範囲における温度において達成された。
【0062】
多段階延伸の場合、最初の延伸は好ましくは相対的に低い温度、より特に30〜60℃の範囲において行われ、続く延伸段階は好ましくは相対的に高い温度、例えば60℃及び外側の層のDSC融点との間の温度において行われる。このようにして、できるだけ高い延伸比が達成されることができる。良好な結果は、少なくとも100℃の温度における次の段階の延伸(subsequent stretching)で達成された。次の段階の延伸を、(延伸工程の間における)破壊までの延伸比(stretch ratio until breakage)が本質的に最大化されるところの温度において行うことが非常に好ましい。延伸比が最大化されるところの温度に相対的に近い温度において、非常に良好な機械的強度、例えば非常に高いE−モジュラスを有するフィルム、テープ、又はヤーンが製造されることが見出された。延伸比が最大化されるところの温度は当業者により慣例的に決められることができる。
【0063】
2つの延伸工程の間に、アニーリング工程が含まれてもよい。これは最後の延伸の後にもまた行われ得る。
【0064】
上に述べられたように、フィルム、テープ又はヤーンは任意の方法、例えば熱接着(heat bonding)(例えばテープ、フィルム、又はヤーンを物品に施与し、次に該物品を強制的な熱風により、又はオーブン中で加熱することによる)、糊付け、又は圧力接着することにより物品に接着され得る。当業者は、本明細書の教示及び一般的な常識に基づいて、物品の性質及びテープ、フィルム、又はヤーンの選択に依存して、適切な条件を選択する方法を知っている。
【0065】
熱接着、圧力接着又はそれらの組み合わせの使用が非常に好ましい。1つの利点は、このタイプの接着は、追加の物質(例えば追加の接着剤)の使用を必要としないという事実であり、これはリサイクルの観点から一般的に有利である。
【0066】
テープ、フィルム、又はヤーンがAB又はABAタイプであるならば、熱接着及び/又は圧力接着が特に好ましい。圧力接着は真空形成により又は加圧により適切に実行され得る。後者の場合、かけられる圧力は例えば20〜70barの範囲で適切に選択され得る。
【0067】
この熱処理及び/又は圧力処理により、強化物質が物品に効率的に接着されるばかりでなく、個々のフィルム、テープ又はヤーンもまた結合される。このようにして、強化物質の構造的な一体化が保障される。該熱処理及び/又は圧力処理は、ある温度及び圧力においてテープ、フィルム、又はヤーンの少なくとも表面の軟化を可能とする適当な時間の間行われる。こうして物品の表面の接着が達成される。さらに隣接するフィルム、テープ又はヤーンは互いに接着され、強化する効果に貢献する。
【0068】
AB又はABAタイプのテープ、フィルム、又はヤーンが使用される場合、温度及び圧力は外側の層(A)の物質及び中央層(B)の物質の軟化点(即ち該物質が流れ始めるところの特定の圧力における温度)の間で好ましくは選択される。
【0069】
熱処理がプレート状の物質又は成形された物品を中央層(B)の物質が(ポリマー鎖のよりランダムなコンフィグレーションへの無配向化のために)収縮する傾向を有する温度に付すことを含むならば特に、熱処理は圧力をかけることとの組合せにおいて行われることが好ましい。例えばポリプロピレンは100〜115℃より上の温度において収縮する傾向がある。好ましくはそのような圧力は少なくとも5barである。得られる物質の機械的強度に関して非常に良好な結果が、20〜70barの範囲の圧力において物質を圧縮することにより得られた。
【0070】
あるいは、圧力をかけることとの組合せにおいて、該物質は熱処理の間、収縮を回避するために固定されてもよい。
【0071】
本発明に従う方法はすべての種類の物品を強化するために使用され得る。
【0072】
例えば本発明に従う方法は、自動車産業/車体修理(bodywork)産業又は造船における使用のための部品を強化するために非常に適する。本発明は車のドア、泥除け、バンパー、エンジンカバー、車座席の背面、ダッシュボードを強化するのに特に適している。従って、本発明は(特に衝突後に物品、例えばダッシュボードの破砕に対する抵抗力を改善することにおいて)車をより安全にし、石(栗割石(rubble))(特に泥除けの場合)又は車に収容された荷物(特に車の座席の背面の場合)の衝撃に対する耐性をより高めることに貢献し得る。
【0073】
海洋ヨットの製造のための物品に関しては強化する効果の上に、軽量のテープ、フィルム、又はヤーンが金属の含有量の削減に貢献し、従って船体の重量を削減し、沈みにくくすることに貢献する。その上、金属含有量の削減は、船(又は他の輸送手段)をより探知しにくくする、なぜなら(例えば機雷における)認識システムは一般的に金属探知に基づくからである。
【0074】
本発明に従う方法は、飛行物体の理由(ballistic reason)から、例えば運搬手段又はその部品(例えば車のドア)において、例えば耐衝撃性を改善するために爆弾爆発シェルにおいて、保護障壁上において、又はカウンター保護(銀行、発券所において)のため又は壁/ファサード保護のための保護パネルにおいて非常に適切に使用され得る。本発明は、構造、例えば建物の壁、床、及び/又は天井を弾丸に対してより強くするためにもまた、直接使用され得る。
【0075】
建物及び建設の分野における用途の例は、ポリマー物質でできている梯子又は足場の強化を含む。そのような梯子及び足場は、アルミニウム及び木の梯子及び足場に対する有望な代替物を構成する、なぜならそれらは軽量であり、電気的に非導電性の物質で製造され得、及び/又は他の安全上の利点を提供することができるからである。この分野における他の用途は、壁パネル又は天井パネル及び(ポリマー状の)ラスの強化、及びケーブルトラフ、幅木、ビーム、ガーダー(例えばT接合部、I接合部、X接合部、L接合部)、チューブ、パイプなどの強化を含む。
【0076】
本発明に従う方法は、医療目的の物品、例えば矯正器具物品(例えばアーチサポート)、手術用ケーブル、手術台、人工器官、障害者介護用物品(例えば軽量の車椅子のための部品)を強化するためにもまた有利に使用され得る。
【0077】
本発明は、例えば水道事業、オフショア工業を含むガス及び/又は石油産業における液体の輸送のための物品においてもまた使用され得、特にパイプ又はチューブを強化するために有利に使用され得る。本発明は、電気ケーブル又は電気通信ケーブルを強化するためにもまた有利に使用され得る。
【0078】
用途の他の分野は、消費財、例えば家庭用品、例えば台所設備又は庭園設備である。
【0079】
本発明は少なくとも1つの表面に、本明細書において定義された延伸された熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム、又はヤーンが付与された物品、例えば本明細書に記載された方法により得られうる強化された物品にもまた関する。特に、本発明は、本明細書において定義された延伸された熱可塑性ポリマーの、圧縮されたテープ、フィルム、又はヤーンを付与された物品にもまた関する。
【0080】
本発明は今以下の実施例に基づいて説明されるが、本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0081】
実施例1
共押出ラインを使用して、152℃のDSC軟化点を有するポリプロピレンの核となる層B及び135℃のDSC軟化点を有するプロピレンランダムコポリマーの2つのトップ層Aからなるフィルムが製造された(ABA構造)。A:B:Aの重量比は5:90:5であった。
【0082】
フィルムは55℃において1:5の比で延伸され、続いて128℃において1:3.4の比で延伸され、1:17の延伸比及び70μmの厚さを有する延伸されたフィルムを製造した。
【0083】
実施例2
実施例1において定義された方法で製造されたフィルムから製造されたテープが布へと織られた。一層の布が真空形成法のための「陽」モールドの上に置かれた。
【0084】
ポリエチレンのプレート(厚さ:2mm)が、真空成形における使用のために十分可塑的になるまで赤外で加熱された。次に該プレートはモールドの上で延伸され、該布で覆われ、真空にすることにより物品を形成した。
【0085】
硬さ(E−モジュラス、曲げ)は、布で強化されていないポリエチレンプレート(厚さ:2mm)より、約20%高いことが見出された。機械的強度は約10%高いことが見出された。
【0086】
実施例3
型の内側の表面に、アルベオ(Alveo)(商標)フォーム(4mm、積水製、日本)の基材を有する熱可塑性オレフィン(TPO)の層が施与された。実施例2において記載された一層の布の14枚の層が該層の上に堆積された。該層は101トンの圧力(水平面上で20.4barに対応する)で圧縮されて、車のドア用のパネルを形成した。この部品の一体化は良好であった。別のパネルが同じようにして145トン(水平面上で29.2bar)の圧力で製造され、該圧力はずっと良好な一体化をもたらした。
【0087】
実施例4
99.5重量%のポリエチレン(スタミラン(Stamylan)(商標)(サビック(Sabic)製)及び0.5重量%のフォームマスターバッチを含む試験棒がピュア(PURE)(商標)(ランクホルスト−インダテク(Lankhorst-Indetech)B.V.)シート物質と共にあるいはなしで射出成形された。3,9、又は12のいずれかの枚数のピュア(商標)シート物質が試験棒の反対側に施与された。(該略図については図1を参照のこと:1=試験棒の核(スタミラン/フォーム);2=ピュア(商標)層)。
【0088】
ピュア(商標)シート物質を付与された試験棒は、シート物質を型の内側の壁に対して置き、その後試験棒の組成物(スタミラン/フォーム)が射出されて、物品を形成した。
【0089】
視覚評価:
ピュア(商標)シート物質の物品への接着がすべての場合において良好であった。
【0090】
曲げ試験
個々の試験棒の種類のうち、2つの試験棒が、ツビック(Zwick)試験台上で3点曲げ試験に付された。
【0091】
試験スパンは200mmであり、試験速度は15.6mm/分であった(3.5%伸び、試験時間1分において計算された)。
結果は以下の表中に示される:
【0092】
【表1】

【0093】
どの試験棒も壊れなかった。
【0094】
曲げ後の強化物の接着はすべての強化された試験棒に対して良好であることが見出された。ピュア(商標)シート物質の融解は、どの強化された試験棒に対しても見られなかった。
【0095】
この試験は本発明の驚異的な強化効果を示し、射出成形された物品の硬さにおいてかなりの改善を示す。
【0096】
上の例は、種々の方法の1つにより製造された物品を強化するために、本発明が適することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】試験棒の概略図
【符号の説明】
【0098】
1 試験棒の核(スタミラン/フォーム)
2 ピュア(商標)層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸された熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム又はヤーンを物品の少なくとも1の表面に接着することを含む、物品を強化する方法。
【請求項2】
上記物品が固体の熱硬化性物質又は熱可塑性物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記物品が上記テープ、フィルム、又はヤーンと本質的に同じ組成の熱可塑性物質を含み、該方法が場合によってさらに、強化された物品をリサイクルすることを含んでいてもよい、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
熱処理により、及び/又は圧力をかけることにより、上記テープ、フィルム、又はヤーンが上記物品に接着されるところの、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記テープ、フィルム、又はヤーンが織布又は不織布の形であるところの、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記テープ、フィルム、又はヤーンがポリエステル及び/又はポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの組合せを含むところの、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
テープ、フィルム、又はヤーンが、第一の熱可塑性ポリマーの中央の層(B)及び第二の熱可塑性ポリマーの1又は2の他の層(A)から実質的に構成されたAB又はABAタイプの延伸された熱可塑性ポリマーであり、上記他の層(A)の物質のDSC融点が上記中央層(B)の物質のDSC融点より低いところの、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記テープ、フィルム、又はヤーンが、12より高い延伸比を有し、かつ少なくとも5GPa、好ましくは少なくとも10GPaのE−モジュラスを有する、単軸延伸された熱可塑性ポリマーであるところの、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ポリエチレン及びポリプロピレンから選択されたポリオレフィンの中央層(B)、及び中央層Bの物質と同じ種類からのポリオレフィンの1又は2の他の層(A)から実質的に構成され、上記他の層(A)のDSC融点は上記中央層(B)の物質のDSC融点より低く、中央層(B)は物質の50〜99重量%であり、他の層(A)は1〜50重量%であるところの、請求項7又は8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
強化する物質として機能する成形された物質へとテープ、フィルム、又はヤーンを形成する工程、及び成形された物質の少なくとも一部に被覆層、好ましくは表面仕上げを施与する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
成形された物質の少なくとも一部の上にフォームの層が施与され、該フォームの少なくとも一部の上に被覆層を施与するところの、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
被覆層及び/又はフォームが熱可塑性オレフィンからなる群、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレン及びポリプロピレンのコポリマーの群から選択されるところの、請求項10又は11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法により得られ得る、強化された物品。
【請求項14】
少なくとも1の表面に、請求項1、5、又は6〜9のいずれか1項において定義された、延伸された熱可塑性ポリマーのテープ、フィルム、又はヤーンが施与されているところの物品。
【請求項15】
物品が、自動車産業/車体修理産業のための物品(車のドア、泥除け、バンパー、エンジンカバー、ダッシュボード、ドアスタイル、クラッチハンドル、クラッチカバー、安全ベルトのホルダー、及びその他の物品)、建築産業/建設産業のための物品(梯子、足場、壁パネル、天井パネル、ラス、ケーブルトラフ、幅木、ビーム、ガーダー、チューブ、パイプ、及びその他の物品)、液体輸送のための物品(水道事業、ガス産業、オフショア工業を含む石油産業のためのチューブ又はパイプ、及びその他の物品)、海洋ヨット製造のための物品、飛行物体目的のための物品(保護パネル、爆弾爆発シェル、保護障壁、運搬手段のための部品、及びその他の物品)、医療/補助医療の目的のための物品(矯正用品、ケーブル、人工器官、手術台、車椅子の部品、及びその他の物品)及び家庭用品からなる群から選択されるところの、請求項10又は11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
物品の機械的強度、硬さ、及び/又は耐衝撃性を改善するために、請求項1又は5〜9のいずれか1項において定義されたテープ、フィルム、又はヤーンを使用する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−500252(P2006−500252A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539656(P2004−539656)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000660
【国際公開番号】WO2004/028803
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(504022283)
【Fターム(参考)】