説明

物品保管棚のパレット落下防止装置

【課題】物品保管棚に送り入れたパレットの落下を確実に防止できるようにする。
【解決手段】物品保管棚の横ビームBに付設した上側開口のブラケット2と、中央揺動棒7aに連続する一端L字形部分である揺動支持軸7bを横ビームBからブラケット2に貫挿し、他端L字形部分である揺動操作バー7cを横ビームB内側から上方に突出して物品保管棚Rの内方に延ばして成る揺動レバー7と、揺動支持軸7bに回転可能に支承し、ブラケット2の上側開口部で上下に揺動するガード板10と、ガード板10、揺動支持軸7b相互間に張架した張力バネ16とを備える。揺動操作バー7c、ガード板10に掛かるパレットP荷重によって張力バネ16の張力に抗してガード板10をブラケット2内に退避可能とし、ガード板10からの荷重の解除でガード板10をパレットP前側面で上方に突出可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば倉庫内に並置された物品保管棚の棚部それぞれに、物品を載せたパレットをフォークリフト等を使って載置保管した際に、当該パレットが例えば地震等、その他の振動によって物品と共に落下しないようにするための物品保管棚のパレット落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品保管棚は、所定間隔で立設された複数の縦フレームと、この縦フレーム相互間で架け渡し形成された棚部とから成る。そして、棚部は、縦フレーム相互間の前後それぞれで所定の高さ位置に設定されることで横架された前後の横ビームと、この前後の横ビーム相互間に所定間隔毎に架け渡されたデッキチャンネルとから成り、各種の物品を載せたパレットが、フォークリフト等を使用して搬入口・搬出口となる前記横ビーム上を経て搬入・搬出されて載置可能となるようになっている。
【0003】
ところが、このような物品保管棚に載せられたパレットは、例えば地震等によって物品と共に、搬入口・搬出口となる横ビーム側から下方に落下する虞があることから、従来では、例えば特許文献1に示すような自動倉庫における荷の落下防止装置を使用してパレット等の落下を防止するようにしている。この落下防止装置では、荷台と荷棚との間で往復動自在に設けられた移動板を備え、該移動板の往復動に連動して、移動板上に載置された荷に当接して横方向への移動を規制可能な規制位置と、該規制位置から退避する退避位置とに可動自在に設けられたストッパ部材を備えたものとしている。
【0004】
すなわち、移動板が荷台上に位置したときにストッパ部材が規制位置に位置することで移動板上に載置された荷は、ストッパ部材による当接規制により荷台上からの落下が防止され、移動板が荷棚に向けて移動した際にはストッパ部材が可動して退避位置に位置することで、荷の移載の邪魔になることがないと共に、ストッパ部材の規制位置と退避位置との切り替えが移動板の往復動に応じて行われるため、ストッパ部材を駆動させるための駆動機構等を省略でき、落下防止装置の部品点数を減らせるので製造コストを低減できるものとしている。
【0005】
また、特許文献2に示すような回転式収納棚のトレー装置を使用してパレット等の落下を防止するものもある。このトレー装置では、トレーの物品出し入れ側に、トレー上面から上方に突出する突出位置と、トレー上面の下方に退避する退避位置との間を移動可能な物品落下防止用の突出片を備えるストッパ装置を設けると共に、物品の入出庫位置に、前記突出片を退避位置に退避させるための付勢手段とカム手段とによる退避装置を設けたものとしている。
【0006】
すなわち、突出片は、常時はトレーの外側開放端部の長孔から上方に突出しているので、曲がり部を通過する時に作用する遠心力で物品が外方に飛び出すのを有効に阻止し、また、入出庫位置ではバーにより突出片が下方に引っ込んだ退避位置となるので、物品の出入庫は、その水平移動だけでスムーズに行い得るものとしている。
【特許文献1】特開2007−45544号公報
【特許文献2】特開平11−189316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、特許文献1に示すような従来装置においては、荷台上の荷が左右のいずれの方向にずれても、当該荷がストッパ部材の規制部に当接するので落下を防止できる構成となっているが、移動板が荷棚に向けて移動した際にはストッパ部材が退避位置に可動となることから、荷に対し例えば地震による横揺れ等の過度な振動が作用した際には当該ストッパ部材による移動板の支えが十分に機能し得ないものとなる。すなわち、特許文献1では、移動板自体の落下防止を考慮していないため、荷は当該移動板と共に落下するという危険性が常に伴っている。
【0008】
さらに、特許文献1に示すような従来装置においては、ストッパ部材が荷によって上方から押されて退避位置に可動したままであると、荷に対し例えば地震による横揺れ等の過度な振動が作用した際に荷台毎下方に落下する虞がある。
【0009】
また、特許文献2に示すような従来装置においては、ストッパ装置の突出片は、常時はトレーの外側開放端部の長孔から上方に突出していることから、曲がり部を通過する時に作用する遠心力で物品が外方に飛び出すのを阻止できる構成となっているが、トレーからの物品出し入れに際し、当該突出片を退避位置に移動させる付勢手段とカム手段とによる退避装置をトレーにおける物品の入出庫位置に設けられていることから、物品に対し例えば地震による横揺れ等の過度な振動が作用した際には、当該ストッパ装置の突出片による物品の支えが十分に機能し得ないものとなる。
【0010】
しかも、特許文献2に示すような従来装置では、付勢手段とカム手段とによる退避装置の如く多くの部材によって組立てる面倒な構成となっていることにより、物品保管棚自体の製造コストが嵩んでしまうという問題点を有していた。
【0011】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、物品を載せたパレットをフォークリフトで物品保管棚上方から載置位置に直接載せても、あるいは前方から載せて当該物品保管棚前面に配された落下防止用のガード板位置から奥側所定位置までパレットをスライドさせることでも、当該ガード板を棚部前面位置の横ビーム上方に突出させて当該パレットを確実に押さえることができ、また物品を載せたパレットの取り出し搬出に際し、物品保管棚からパレットを持ち上げることでガード板を下方に退避させてパレットの搬出が容易に行えるものとなり、しかも簡易な構成であることで製造コストも掛からない物品保管棚のパレット落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、物品保管棚Rの棚部前面を形成する横ビームBに付設された上側開口部を有するブラケット2と、中央揺動棒7aを介して両端が逆向L字形となって形成され、一端L字形部分である揺動支持軸7bが横ビームBからブラケット2に貫挿され、他端L字形部分である揺動操作バー7cが横ビームB内側から上方に突出されて物品保管棚Rの内方に延びて成る揺動レバー7と、該揺動支持軸7bに対して回転可能に支承され、ブラケット2の上側開口部で上下に揺動出没するガード板10と、該ガード板10、揺動支持軸7bそれぞれを連繋するよう相互間に張架された張力バネ16とを備え、該張力バネ16は、揺動操作バー7cに掛かるパレットP荷重によって当該張力バネ16の張力に任せてガード板10をブラケット2の上側開口部から上方に突出可能とすると共に、揺動操作バー7cと同時にガード板10に掛かるパレットP荷重によって当該張力バネ16の張力に抗して当該ガード板10をブラケット2内部に退避可能として成るものである。
張力バネ16は、揺動レバー7の揺動操作バー7cに掛かるパレットP荷重によって上方位置にガード板10をブラケット2の上側開口部から突出させると共に、揺動レバー7の揺動操作バー7cに掛かるパレットP荷重の解放によって、ガード板10をその自重に任せてブラケット2内部に退避させることで揺動レバー7を横ビームB内側から上方に突出させるよう張力が調整付与されて成るものとすることができる。
揺動レバー7は、物品保管棚Rの内方に延びている揺動操作バー7cが中央揺動棒7aから円弧状に湾曲して水平状態となって連なって成るものとすることができる。
張力バネ16は、無負荷時で、その一端が、揺動レバー7の揺動支持軸7bから直角上方向に突設された偏心バー16aの先端に固定され、その他端が、ガード板10の自由端側に固定されて成るものとすることができる。
【0013】
以上のように構成された本発明に係る物品保管棚のパレット落下防止装置にあって、物品Qを載せたパレットPをフォークリフト等で物品保管棚Rに載せる際に、揺動レバー7の揺動操作バー7cは中央揺動棒7aから円弧状に湾曲して水平状態となって連なって成ることから、パレットPを横ビームBの前方から物品保管棚Rの奥側所定位置までスライドさせることでも、あるいは上方から所定位置に直接載置させることでも、当該パレットPが揺動レバー7の揺動操作バー7cの湾曲部分に突き当たることで、当該揺動操作バー7cを下方に揺動させる。
このとき、パレットPが物品保管棚Rの奥側所定位置までスライドするまでは、ガード板10は当該パレットPによって押さえられていることから、揺動レバー7はこの張力に抗して下方に揺動され、張力バネ16には張力が蓄積される。
これにより、パレットPがさらに奥側に送り込まれてガード板10に対する押さえが解除されると張力バネ16の張力でガード板10が跳ね上がり、当該ガード板10は張力バネ16の張力に任せて横ビームBから斜め上方に突出される。
このように突出したガード板10によって物品保管棚RからのパレットPの脱落を阻止可能にさせる。
また、物品Qを載せたパレットPをフォークリフトで物品保管棚Rから持ち上げた際に、横ビームBの内側に退避されていた揺動レバー7の揺動操作バー7cは当該パレットP荷重から解放される。
このときガード板10は、これの自重により、ブラケット2の上側開口部から内方に退避揺動され、このようなガード板10の下方退避によって物品保管棚RからのパレットPの搬出を可能にさせる。また、同時に揺動レバー7は張力バネ16で牽引されて元の仰角位置に揺動させられ、再度のパレットPの搬入作業に対応するよう待機する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、物品Qを載せたパレットPをフォークリフトで物品保管棚R前方から載せて、当該物品保管棚R前面に配された落下防止用のガード板10位置からパレットPを奥側所定位置までスライドさせることで、あるいは上方から所定位置に直接に載置させることで、当該ガード板10を棚部前面位置の横ビームB上方に確実に突出させて当該パレットPを確実に押さえることができる。また物品Qを載せたパレットPの取り出し搬出に際し、物品保管棚RからパレットPを持ち上げることでガード板10を下方に退避できてパレットPの搬出が容易に行えるものとなり、しかも簡易な構成であることで製造コストも掛からない。
【0015】
すなわち、これは本発明が、ブラケット2内で揺動出没するガード板10と、該ガード板10を揺動操作する揺動レバー7とを張力バネ16にて連繋するとき、該張力バネ16は、揺動操作バー7cに掛かるパレットP荷重によって当該張力バネ16の張力に任せてガード板10をブラケット2の上側開口部から上方に突出可能とすると共に、揺動操作バー7cと同時にガード板10に掛かるパレットP荷重によって当該張力バネ16の張力に抗して当該ガード板10をブラケット2内部に退避可能として成るからである。これにより、物品Qを載せたパレットPをフォークリフト等で物品保管棚Rに載せる際には、ガード板10から揺動支持軸7bにわたって張力バネ16が張架されていることから、ガード板10がブラケット2内部に没入退避している状態のまま、張力バネ16の張力に抗して揺動レバー7のみを下方に揺動させることができる。またガード板10位置からパレットPを奥側所定位置までスライドさせることで当該ガード板10に働くパレットP荷重が解放されると、当該ガード板10を張力バネ16の張力に任せて横ビームBから斜め上方に突出させることができる。このようにガード板10はブラケット2の上側開口部から突出されてパレットP側面に対向配置することから、物品保管棚RからのパレットPの脱落を当該ガード板10によって確実に阻止することができ、例えば地震による横揺れ等の過度な振動が物品保管棚Rに作用した際に物品Qを載せたパレットPが物品保管棚Rから下方に落下するのを未然に防止することができる。
【0016】
一方、物品Qを載せたパレットPをフォークリフト等で物品保管棚Rから持ち上げた際には、横ビームBの内側で下方に退避されている揺動レバー7の揺動操作バー7cは当該パレットP荷重から解放され、これと同時にガード板10をその自重によってブラケット2の上側開口部から内方に退避揺動させることから、当該ガード板10に邪魔されずに物品保管棚RからのパレットPの搬出作業が容易に行える。
【0017】
また、張力バネ16は、揺動レバー7に掛かるパレットP荷重によってガード板10を突出させ、パレットP荷重の解放によってガード板10を退避させるよう張力が調整付与されて成るので、物品Qを載せたパレットPを物品保管棚Rに載せていない状態では、ガード板10をその自重によりブラケット2内部に常時退避させておくことができ、これによって、物品保管棚RからのパレットPの搬出作業がガード板10に邪魔されずに容易に行える。
【0018】
さらに、揺動レバー7は、物品保管棚Rの内方に延びている揺動操作バー7cが中央揺動棒7aから円弧状に湾曲して水平状態となって連なって成るので、パレットPを横ビームBの前方からスライドさせることによってスムーズに送り入れることができる。すなわち、パレットPが揺動レバー7の湾曲部分に突き当たると、当該揺動レバー7は揺動支持軸7bを回転軸として下方に退避揺動されることで、パレットPが揺動操作バー7cに突っ掛かることなく物品保管棚Rの奥側所定位置まで円滑に送り入れることができる。このとき、ガード板10はパレットPによって押さえられていることから、揺動レバー7は張力バネ16の張力に抗して下方に揺動されるものとなり、したがって張力バネ16自体にはその張力が蓄積される。これにより、パレットPがさらに物品保管棚Rの奥側に送り込まれてガード板10に対する押さえが解除されると張力バネ16に蓄積された張力でガード板10が跳ね上がってパレットPを押さえ、物品保管棚RからのパレットPの脱落を確実に阻止することができるのである。
【0019】
張力バネ16は、無負荷時で、その一端が、揺動レバー7の揺動支持軸7bから直角上方向に突設された偏心バー16aの先端に固定され、その他端が、ガード板10の自由端側に固定されて成るので、揺動レバー7の揺動支持軸7bの下方への退避揺動に伴い、張力バネ16による牽引力でガード板10を上方へ突出揺動させるに際し、張力バネ16が揺動支持軸7bに巻き込まれることなくガード板10を確実に牽引してスムーズに上方へ突出揺動させることができる。
【0020】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を詳細に説明する。図において示される符号Rは、物品Qを載せたパレットPを不図示のフォークリフトで搬送して、倉庫に保管しておくために、物品Qと共にパレットPが棚部に載せられるようになっている所謂パレットラックと称する物品保管棚である。この物品保管棚Rは、図1に示すように、例えば左右にある各2本の縦フレームF相互間に、棚部を形成する例えばチャンネル材、丸パイプ材等による前後一対の横ビームBが例えば上下2段となってそれぞれ横架されている。そして、これら前後の横ビームBの相互間には等間隔毎にデッキチャンネルDを架け渡すことにより、各種の物品Qを載せたパレットPを載置可能とする棚部が構成されている。尚、この物品保管棚Rの各部の構成は本発明を何等拘束するものではなく、本形態におけるほんの一例に過ぎないものであることは勿論である。
【0022】
そして、棚部の前面に位置する横ビームBの前側面には、パレットPの載置位置に対応する間隔毎に、本発明に係るパレット落下防止装置1が設けられている。また、対向する後側の横ビームBには、このパレット落下防止装置1の付設位置に略対応した箇所に、上下逆L字形状となった板片によるリアガード20が付設され、フォークリフトでパレットPを物品保管棚Rに載せる際に、このリアガード20の位置までパレットPを押し込むことで当該パレットPは棚部上で位置決めされるようにしてある。
【0023】
パレット落下防止装置1は、図2および図3に示すように、横長板状の中央壁面部2aと、後側縁部が隈取りされ、折曲されることで平面ほぼL字形の左右両側の側面部2bと、該両側面部2bを溶接等によって固着させた取付背面部2cとによって上下に開口部が向けられた矩形枠状のブラケット2を備え、取付背面部2c及び側面部2bの折曲部分には、横ビームBにおける前面壁等に挿通ネジ止めさせる取付ボルト4に掛架固定するための略U字状の掛架用溝2dを備えている。
【0024】
また、ブラケット2の中央壁面部2aにおける一端上側には軸孔5を設けると共に、該軸孔5に対応して横ビームBおよび取付背面部2cに共通した軸孔6を設けてある。そして、これらの軸孔5,6を中心として上下方向に揺動する揺動レバー7が軸孔5,6に直接的あるいは間接的に支承されており、この揺動レバー7自体は、揺動する中央揺動棒7aの両端が逆向L字形となっていることで形成されていて、揺動レバー7の一端L字形部分である揺動支持軸7bを軸孔6からブラケット2内へ貫挿させ、揺動レバー7の他端L字形部分である揺動操作バー7cが横ビームB内側から上方に突出されて物品保管棚Rの内方に延びている。
【0025】
すなわち、図2に示すように、この揺動レバー7の揺動操作レバー7c側は中央揺動棒7aから円弧状に湾曲し、横ビームBから奥側に向けて水平状態となって連なっている。こうすることで後述するガード板10がブラケット2内部に没入し、且つ揺動レバー7が斜上方位置にあるときに、上方からパレットPを下ろさなくても、横ビームBの前方からの水平スライドによって彎曲した円弧部分に当たると、この円弧部分で揺動レバー7自体を下方に揺動退避することから、パレットPを物品保管棚Rの奥側所定位置にスムーズに送り入れることができる。
【0026】
また、ブラケット2内側に位置する揺動支持軸7b部分には、後述するガード板10をブラケット2内で位置決めさせるように配されたスぺーサ12が嵌め込まれている。このスペーサ12には、一端側内に後述する連結ボルト14がネジ止めされ、他端側はブラケット2における取付背面部2cに回転自在に嵌め合わせることで支承されていると共に、この他端側内に揺動レバー7の揺動支持軸7bが挿入され、他端側の側面に形成されたネジ孔12aにネジ12bがねじ込まれて揺動支持軸7b面に圧止されることで、スペーサ12と揺動支持軸7bとが固定されるものとなっている(図3(b)、(c)参照)。
【0027】
また、ブラケット2における中央壁面部2aの内側には、例えば六角ナットにて形成されたナット部材13が配置されており、ブラケット2の中央壁面部2a外側から挿入された連結ボルト14とネジ結合されることで、ブラケット2に連結ボルト14と共に支承されている。尚、連結ボルト14は、ナット部材13にネジ込まれ、更にこのナット部材13から突出されて前記スペーサ12の一端側内にネジ込まれることで、揺動レバー7、スペーサ12、ナット部材13、連結ボルト14が一体状となり、揺動レバー7の揺動と共にスペーサ12、ナット部材13、連結ボルト14が連動してブラケット2に対して揺動する。尚、スペーサ12は、その内周の一端側では雌ネジが形成されており、他端側では無垢面となって揺動レバー7における揺動支持軸7bが挿入され、前記したネジ12bで揺動レバー7に固定連結されている。
【0028】
ブラケット2内には、先端に直角三角形の頂点を適宜アール形状に角落としされて成る係止尖端部9を有する例えば鋼板材等によるガード板10が前記連結ボルト14に揺動自在に支承されることで、ブラケット2開口部において上下方向に揺動出没されるように配装されている。すなわち、前記のようにブラケット2の中央壁面部2a外側から貫挿させた連結ボルト14が、中央壁面部2aの内側のナット部材13にネジ込まれ、更にこのナット部材13から突出されて前記スペーサ12の一端側にネジ止めされている。そして、この連結ボルト14に嵌め合わせた軸受リング11aを介して、ガード板10の若干上側に形成された遊嵌孔11によってガード板10自体を嵌め合わせてスペーサ12の一端側面に当接した状態にして、ガード板10を連結ボルト14に遊嵌状にして配置し、連結ボルト14更には揺動レバー7に対して自由回転できるように支承してある。こうすることで、連結ボルト14によって、ガード板10の若干上側に形成された遊嵌孔11位置がガード板10の揺動基端側となり、且つ係止尖端部9の位置が揺動の自由端側となるようにしてある。また、ブラケット2の中央壁面部2aの下端でガード板10の係止尖端部9側に対応する位置には板片状のストッパ3aが内側に向けて突設されており、ブラケット2内で下方に退避揺動するガード板10の係止尖端部9における下縁部分を下方から受け止めて保持するようにしてある。
【0029】
ガード板10は、前記ナット部材13と張力バネ16によって連繋されており、ナット部材13の揺動によって、張力バネ16の弾発力に牽引されて揺動したり、例えばパレットP荷重によってガード板10が押さえられているときには、揺動レバー7の揺動に伴い張力バネ16に弾発力を蓄積するようになっている。すなわち、前記ナット部材13の側面には、揺動レバー7に対して無負荷状態にあるときに、上方起立状にした位置で偏心バー16aが突設されていて、この偏心バー16aの先端に例えばコイル状に形成された張力バネ16の一端が固定されている。この張力バネ16の他端は、連結ボルト14が挿通されているガード板10の揺動自由端よりも若干揺動基端側寄りに設けられたネジ孔16cにネジ込み支持されているボルト16b先端に固定されている。そして、張力バネ16自体は、揺動操作レバー7cがパレットP荷重により下方に退避揺動した際に、落下防止の役割を担うガード板10が揺動支持軸7bにより当該張力バネ16を介して牽引されて横ビームB上方に任意の傾斜角度で突出されるようにその長さと共に張力が設定され、且つガード板10には重量軽減のための適数の開口部17が形成されている。
【0030】
ブラケット2の中央壁面部2aの軸孔5近傍にはロッド状のストッパ3bが内側に向けて突設されており、ブラケット2内部から上方に突出するガード板10が任意の傾斜角度となって斜め上方に向けられるよう当該ガード板10の基端側縁部をストッパ3bで係止させるようにしてある。而して、ガード板10は、揺動レバー7の揺動により、張力バネ16の張力を介して、ブラケット2の上側開口部で上下方向に揺動し、その内外で出没するものとなっている。
【0031】
また、図4(a)に示すように、揺動レバー7の揺動操作レバー7cにパレットP荷重が掛からない状態では、ガード板10はその自重によってブラケット2内に没入退避され、ストッパ3aによりガード板10の係止尖端部9における下縁部分を下方から受け止めて保持すると同時に、張力バネ16の張力により揺動レバー7が横ビームBの内側で斜め上方に突出された配置状態となるようにしてある。
【0032】
一方、図4(b)に示すように、揺動レバー7の揺動操作レバー7cにパレットP荷重が掛かっている状態では、ガード板10は、張力バネ16の張力によりブラケット2の上側開口部から斜め上方に突出揺動された状態となるようにしてある。このとき、例えば直角三角形状の係止尖端部9の上側傾斜部は横ビームBとほぼ平行となり、且つ下側傾斜部は横ビームBとほぼ直角となるようにガード板10が配置される。
【0033】
また、図5(a)に示すように、物品Qを載せたパレットPをフォークリフトで物品保管棚Rに載せる場合には、揺動レバー7の揺動操作レバー7c側は中央揺動棒7aから円弧状に湾曲し、横ビームBから奥側に向けて水平状態となって連なっていることから、パレットPを横ビームBの前方から送り入れる際に、パレットPが揺動操作レバー7cの湾曲部分に突き当たると、当該揺動操作レバー7cは下方に退避揺動される。このときのガード板10はブラケット2内部に没入退避している状態であるから、張力バネ16の張力に抗して揺動レバー7のみが下方に揺動する。すなわち、パレットPが揺動レバー7の湾曲部分に突き当たることで、当該揺動レバー7は揺動支持軸7bを回転軸として何等抵抗無く下方に揺動させられるのであり、これによって揺動レバー7の揺動支持軸7bに突っ掛かってパレットPの送り入れが阻止されないようにしている。
【0034】
そして、図5(b)に示すように、パレットPが物品保管棚Rの奥側所定位置にスライド移動してガード板10に対するパレットP荷重が解除されると、当該ガード板10は張力バネ16の張力に任せて横ビームB上方に自動的に突出させられ、ストッパ3bによりガード板10を斜め上方に向けた状態で末端縁部を係止させるものとなっている。すなわち、ガード板10はパレットPによって押さえられたままであり、揺動操作レバー7cは張力バネ16の張力に抗して下方に揺動退避されているため、張力バネ16自体には張力が蓄積されている。これにより、パレットPがさらに物品保管棚Rの奥側に送り込まれてガード板10に対する押さえが解除されると張力バネ16の蓄積された張力でガード板10が跳ね上がりパレットP側面に対向配置されるものとなっている。
【0035】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用の一例について説明する。先ず、物品Qを載せたパレットPを不図示のフォークリフト等を使って物品保管棚Rの上方から、あるいは横ビームB前方から例えばスライドさせて送り入れる。前方からスライドさせて送り入れるとき、図4(a)、図5(a)に示すように、ガード板10は下方に退避されたままでパレットPが揺動レバー7の揺動操作レバー7cの湾曲部分に突き当たり、ガード板10をブラケット2内部に没入退避させた状態のまま張力バネ16の張力に抗して揺動操作レバー7cが横ビームB内側で下方に退避揺動する。すなわち、パレットPが揺動操作レバー7cの湾曲部分に突き当たることで、当該揺動レバー7は揺動支持軸7bを回転軸として何等抵抗無く下方に揺動させられる。
【0036】
そして、図4(b)、図5(b)に示すように、パレットPを物品保管棚Rの奥側所定位置までスライド移動させて格納作業を終了すると、ガード板10に対するパレットP荷重が解除される。すると、当該ガード板10は張力バネ16の張力に任せて横ビームB上方に自動的に突出させられ、ストッパ3bによりガード板10を斜め上方に向けた状態で末端縁部が係止される。すなわち、パレットPがガード板10上を通過すると、当該ガード板10は張力バネ16の張力に任せて横ビームB上方に自動的に突出させられてパレットPを押さえ、パレットPの前方への逆移動を阻止する。そして、ガード板10はパレットP荷重によって押さえられたまま揺動レバー7は張力バネ16の張力に抗して下方に退避揺動されていたため、張力バネ16自体には張力が蓄積されているものとなる。このことから、図4(b)に示すように、パレットPによるガード板10に対する押さえが解除されると当該張力バネ16の蓄積された張力でガード板10を跳ね上げ、パレットP前側面に対向配置されるのであり、該ガード板10によって例えば地震やその他の外力等の振動による物品保管棚RからのパレットPの脱落が阻止されるのである(図1参照)。
【0037】
一方、物品Qを載せたパレットPを物品保管棚Rから搬出するために当該パレットPを不図示のフォークリフト等を使って持ち上げた際には、横ビームBの内側で下方に退避揺動されていた揺動レバー7の揺動操作レバー7cは当該パレットP荷重から解放される。すると、図3(a)に示すように、ガード板10はその自重によってブラケット2の上側開口部から内方に退避揺動、没入させられ、ガード板10のブラケット2内への退避によって物品保管棚RからのパレットPの搬出が可能となるのである。このとき、揺動レバー7は張力バネ16の張力によって牽引されて元の上方突出位置に揺動させられ、パレットPの次回の搬入に備える。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を実施するための最良の形態におけるパレット落下防止装置を備えた物品保管棚の使用状態を示す斜視図である。
【図2】同じくパレット落下防止装置の概略分解斜視図である。
【図3】同じくパレット落下防止装置の取付状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は(b)のY−Y断面図である。
【図4】同じくパレット落下防止装置の使用動作を示すもので、(a)は物品保管棚にパレットを載せる前の状態を示す一部切欠斜視図、(b)は物品保管棚にパレットを載せた状態を示す一部切欠斜視図である。
【図5】同じくパレット落下防止装置の使用動作を示すもので、(a)は物品保管棚に載せたパレット荷重によりガード板をブラケット内部に没入退避させたままで、揺動レバーを下方に揺動させている状態を示す正面図、(b)は物品保管棚に載せたパレットがガード板を通過して揺動レバーを下方に揺動させたままで、パレット荷重からガード板が解放され、パレット前面に突出した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
Q…物品 P…パレット
R…物品保管棚 F…縦フレーム
B…横ビーム D…デッキチャンネル
1…パレット落下防止装置 2…ブラケット
2a…中央壁面部 2b…側面部
2c…取付背面部 2d…掛架用溝
3a,3b…ストッパ 4…取付ボルト
5,6…軸孔 7…揺動レバー
7a…中央揺動棒 7b…揺動支持軸
7c…揺動操作バー 9…係止尖端部
10…ガード板 11…遊嵌孔
11a…軸受リング 12…スペーサ
13…ナット部材 14…連結ボルト
15…開口部 16…張力バネ
16a…偏心バー 16b…ボルト
16c…ネジ孔 20…リアガード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品保管棚の棚部前面を形成する横ビームに付設された上側開口部を有するブラケットと、中央揺動棒を介して両端が逆向L字形となって形成され、一端L字形部分である揺動支持軸が横ビームからブラケットに貫挿され、他端L字形部分である揺動操作バーが横ビーム内側から上方に突出されて物品保管棚の内方に延びて成る揺動レバーと、揺動支持軸に対して回転可能に支承され、ブラケットの上側開口部で上下に揺動出没するガード板と、該ガード板、揺動支持軸それぞれを連繋するよう相互間に張架された張力バネとを備え、該張力バネは、揺動操作バーに掛かるパレット荷重によって当該張力バネの張力に任せてガード板をブラケットの上側開口部から上方に突出可能とすると共に、揺動操作バーと同時にガード板に掛かるパレット荷重によって当該張力バネの張力に抗して当該ガード板をブラケット内部に退避可能として成ることを特徴とする物品保管棚のパレット落下防止装置。
【請求項2】
張力バネは、揺動レバーの揺動操作バーに掛かるパレット荷重によって上方位置にガード板をブラケットの上側開口部から突出させると共に、揺動レバーの揺動操作バーに掛かるパレット荷重の解放によって、ガード板をその自重に任せてブラケット内部に退避させることで、揺動レバーを横ビーム内側から上方に突出させるよう張力が調整付与されて成る請求項1記載の物品保管棚のパレット落下防止装置。
【請求項3】
揺動レバーは、物品保管棚の内方に延びている揺動操作バーが中央揺動棒から円弧状に湾曲して水平状態となって連なって成る請求項1また2記載の物品保管棚のパレット落下防止装置。
【請求項4】
張力バネは、無負荷時で、その一端が、揺動レバーの揺動支持軸から直角上方向に突設された偏心バーの先端に固定され、その他端が、ガード板の自由端側に固定されて成る請求項1乃至3のいずれか記載の物品保管棚のパレット落下防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−58872(P2010−58872A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224199(P2008−224199)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【特許番号】特許第4276290号(P4276290)
【特許公報発行日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(398019464)サンケイ鋼器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】