説明

物品収納ケース及び物品収納ケースの保持構造

【課題】目立たない場所に保持すると共に容易に取り外すことができる物品収納ケース及び物品収納ケースの保持構造を提供する。
【解決手段】物品収納ケース1は、収納部本体2と、手提げ部材3とを備え、当該手提げ部材3には保持部4が設けられている。収納部本体2をドアポケット7の内側に配置し、係回部14をドアポケット7の周壁8の上端に係回させ、保持部4を周壁8の外面に設けた保持部4に係合することにより、物品収納ケース1は、ドアポケット7に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納ケース及び物品収納ケースの保持構造に関し、特に周壁内などの目立たない場所に保持される収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品収納ケースとして、手提げバッグをバックポケット兼用としてシートバックの背裏に雄雌のスナップホックで着脱自在に装備した手提げバッグ付き自動車用シートが開示されている(例えば、特許文献1)。この構成により自動車用シートは、シートバックの背裏面積を有効活用すると共に、物品の収納設備として有効利用を図ることができる、という効果を奏する。
【0003】
また、ヒンジで結合したリッドを備えたケーシングが開示されている(例えば、特許文献2)。このケーシングは、内部にストリングを介して連結したウィンドガラス破壊工具が収納されており、ルーフサイドに取り付けられている。この状態でリッドを開成すると、ウィンドガラス破壊工具がケーシングから脱落してストリングで吊るされる。このケーシングは、ストリングを引きちぎってウィンドガラス破壊工具をケーシングから分離することにより、ウィンドガラス破壊工具を使用することができるものである。
【特許文献1】特開2002−301991号公報
【特許文献2】特開平11−28256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記いずれの文献でも、収納部本体としてのバッグ、又はケーシングを保管場所であるシートバックの背裏、又はルーフサイドに直接取り付けるものであるので、目立たない場所に取り付ける場合にはそのまま適用することが困難である。例えば、ドアの内面に設けられているドアポケット内に収納部本体を保持する場合には、取り外しが困難であるので、そのまま適用することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、目立たない場所に保持すると共に容易に取り外すことができる物品収納ケース及び物品収納ケースの保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、物品を収納する収納部本体と、前記収納部本体に設けた手提げ部材とを備える物品収納ケースにおいて、保管場所に対して着脱自在とする保持部を前記手提げ部材に設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、前記手提げ部材は、前記保持部近傍に折り返し部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、前記手提げ部材は、両端部が前記収納部本体に支持されると共に、前記両端部近傍に前記保持部が設けられ、前記保持部よりも前記両端部から離れた位置に折り返し部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、物品を収納する収納部本体と、前記収納部本体に設けた手提げ部材とを備える物品収納ケースを保管場所に取り付ける物品収納ケースの保持構造において、前記保管場所の周壁内側に前記収納部本体を配し、前記周壁をまたいで前記手提げ部材を前記周壁の外側とし、前記周壁外側に設けた係合部に前記手提げ部材を着脱自在に係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、手提げ部材に保持部を設けたことにより、手提げ部材を引いて、当該保持部と保管場所との係合を解除することができるので、より簡単な操作でドアポケットから取り外すことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ユーザによって加えられる手提げ部材を引く力が、保持部が保管場所から離れる方向に加わりやすくなるので、容易に保持部と保管場所との係合を解除することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ユーザによって加えられる手提げ部材を引く力が、保持部が保管場所から離れる方向に加わりやすくなるので、より容易に保持部と保管場所との係合を解除することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、物品収納ケースは、収納部本体を目立たない保管場所内に保持しながら、手提げ部材を保管場所の外側に配置したことでユーザが手提げ部材を掴みやすいので、必要時に保管場所から容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示す物品収納ケース1は、収納部本体2と、手提げ部材3とを備え、当該手提げ部材3には保持部4が設けられている。このように構成された物品収納ケース1は、車両5のドア6内面に設けられた保管場所としてのドアポケット7内に収納部本体2が配置される。本実施形態では、ドアポケット7は、周壁8を備え、上方が開口してなる。この状態で、手提げ部材3は、保持部4が周壁8に着脱自在に係合される。
【0016】
これにより、物品収納ケース1は、手提げ部材3を引いて前記保持部4と周壁8との係合を解除することにより、ドアポケット7から容易に取り外すことができる。また、物品収納ケース1は、収納部本体2に収納した物品(図示しない)、例えば、消火器、シートベルトカッターやハンマーなどの緊急避難具等を取り出し得るように構成されている。
【0017】
収納部本体2は、図2に示すように、有底筒状の部材からなり、クッション性を有するナイロン生地で形成され、一端に開口部11を有する。当該開口部11には、収納部本体2から物品が飛び出してしまうのを防ぐ閉塞ベルト12が設けられている。
【0018】
閉塞ベルト12は、ナイロン製の帯状部材からなり、一端側12aが収納部本体2の開口部11周辺の外縁部に縫着により固定されている。閉塞ベルト12の他端側12bは、当該一端側12aが固定された開口部11周辺の外縁部に対向する外縁部に面ファスナ(図示しない)により着脱自在に固定される。
【0019】
手提げ部材3は、閉塞ベルト12と同様、ナイロン製の帯状部材からなり、両端部3a,3aが収納部本体2の長手方向に所定間隔をあけてそれぞれ縫着され、ループ状に収納部本体2の側面に固定されている。
【0020】
この手提げ部材3は、帯状の把持部13と、当該把持部13の両端に接続された一対の係回部14,14とを備え、当該係回部14,14に保持部4がそれぞれ設けられている。把持部13と係回部14との間には折り返し部15がそれぞれ形成されている。
【0021】
折り返し部15は、物品収納ケース1をドアポケット7に設置した場合に、鉛直上方に対し谷折りとなるように折り返した状態で縫着して形成されている。
【0022】
係回部14は、一端が手提げ部材3の端部3aとして収納部本体2に縫着されており、他端側に前記保持部4が設けられている。これにより、手提げ部材3は、手提げ部材3の端部3aに連結された収納部本体2と把持部13とを連結すると共に、ドアポケット7の外面に設けられた係合部18に保持部4を係合させることにより、周壁8の上端8aを係回してドアポケット7の内側に収納部本体2を吊下げ得るように構成されている。
【0023】
上記のように構成された物品収納ケース1は、収納部本体2に物品を収納し、開口部11を横断するように閉塞ベルト12を係回して面ファスナで、閉塞ベルト12の他端側12bを収納部本体2の開口部11周辺の外縁部に固定することにより、収納部本体2に物品を保持することができる。
【0024】
次いで、当該収納部本体2をドアポケット7の内側に配置し、係回部14をドアポケット7の周壁8の上端に係回させ、保持部4を周壁8の外面に設けた保持部4に係合することにより、物品収納ケース1は、ドアポケット7に取り付けられる。
【0025】
これにより、収納部本体2は、ドアポケット7の内側に吊下げられた状態に保持されるので、物品収納ケース1は、収納部本体2が車室内に突出することなく、収納部本体2を取り付けることができる。
【0026】
また、物品収納ケース1は、手提げ部材3の係回部14に設けた保持部4を、周壁8の外面に設けた係合部18に係合させることとしたので、より確実に収納部本体2を保持することができる。
【0027】
一方、このようにドアポケット7に保持された物品収納ケース1は、把持部13を引いて、手提げ部材3の係回部14に設けた保持部4と周壁8の外面に設けた係合部18との係合を解除することにより、ドアポケット7から取り外すことができる。また、閉塞ベルト12の他端側12bを物品収納ケース1の外縁部からはがすことにより、収納部本体2から物品を取り出すことができる。
【0028】
従って、物品収納ケース1は、把持部13を引くという一回的動作により物品収納ケース1をドアポケット7から取り外すことができるので、必要時に簡単な操作で物品を取り出すことができる。すなわち、物品収納ケース1は、収納部本体2を目立たない場所に隠せるので邪魔にならず、かつ、容易に取り出すこともできる。
【0029】
また、把持部13を係回部14の他端に設けたことにより、把持部13をドアポケット7の外側に配置する構成とした。これにより、物品収納ケース1は、ユーザが把持部13を掴みやすいので、必要時に即座に把持部13を掴み、ドアポケット7から容易に取り外すことができる。
【0030】
また、手提げ部材3には、保持部4の近傍、すなわち、係回部14と把持部13との間に折り返し部15が形成されていることにより、把持部13に加えられる垂直方向の力によって、より容易に取り外すことができる。すなわち、ユーザによって加えられる把持部13を引く力が、保持部4が係合部18から離れる方向に加わりやすくなるので、より容易に保持部4と係合部18との係合を解除することができる。従って、物品収納ケース1は、必要時にユーザがより容易にドアポケット7から取り外すことができる。
【0031】
上記したように、物品収納ケース1は、手提げ部材3が、把持部13と前記把持部13の両端に接続された一対の係回部14とを備え、前記係回部14は、前記保持部4が設けられており、ドアポケット7の周壁8外面に設けられた係合部18に保持部4を係合させることにより、前記周壁8の端部を係回してドアポケット7の内側に前記収納部本体2を吊下げる構成とした。これにより、物品収納ケース1は、収納部本体2を目立たないドアポケット7内に保持しながら、把持部13をドアポケット7の外側に配置したことでユーザが把持部13を掴みやすい構成としたので、必要時にドアポケット7から容易に取り外すことができる。
【0032】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、収納部本体2は、クッション性のあるナイロン製の生地である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、クッション性を有しないナイロン製の生地や、ビニール製の生地などでもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、閉塞ベルト12を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、収納部本体2に収納した物品が不意に収納部本体2から突出するのを防ぐことができれば足り、例えば、開口部11をファスナで閉塞することとしてもよい。
【0034】
また、保管場所として上方に開口を有するドアポケット7に設置する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、側方又は下方に開口を有する保管場所において、当該側方又は下方の開口に設置することとしてもよい。
【0035】
また、収納部本体2は有底筒状の部材からなる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、物品を保持することができれば足り、例えば、ベルト状の部材で構成し、当該ベルトを物品に巻きつけて当該物品を保持することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る物品収納ケース1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る物品収納ケース1の構成を示す斜視図であり、(a)一方向から見た斜視図、(b)他方向から見た斜視図である。
【図3】本発明に係る物品収納ケース1の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 物品収納ケース
2 収納部本体
3 手提げ部材
4 保持部
7 ドアポケット(保管場所)
8 周壁
15 折り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する収納部本体と、前記収納部本体に設けた手提げ部材とを備える物品収納ケースにおいて、保管場所に対して着脱自在とする保持部を前記手提げ部材に設けたことを特徴とする物品収納ケース。
【請求項2】
前記手提げ部材は、前記保持部近傍に折り返し部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の物品収納ケース。
【請求項3】
前記手提げ部材は、両端部が前記収納部本体に支持されると共に、前記両端部近傍に前記保持部が設けられ、前記保持部よりも前記両端部から離れた位置に折り返し部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の物品収納ケース。
【請求項4】
物品を収納する収納部本体と、前記収納部本体に設けた手提げ部材とを備える物品収納ケースを保管場所に取り付ける物品収納ケースの保持構造において、
前記保管場所の周壁内側に前記収納部本体を配し、前記周壁をまたいで前記手提げ部材を前記周壁の外側とし、前記周壁外側に設けた係合部に前記手提げ部材を着脱自在に係合することを特徴とする物品収納ケースの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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