説明

物品収納設備

【課題】昇降式足場が傾くことを防ぐことができる物品収納設備を提供する。
【解決手段】昇降式足場を、回転操作される巻取り回転体13から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤにて複数箇所が吊り下げ支持されて巻取り回転体13の正逆回転により昇降移動するように構成し、下降操作される昇降式足場を作業用高さで受け止め支持する支持部と、巻取り回転体13の昇降式足場の下降側への回転を昇降式足場が作業用高さに達すると阻止するストッパー手段31とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納用の収納部が棚上下幅方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚と、その物品収納棚の前方の移動空間を棚上下方向に昇降移動する昇降式足場とを備えて構成されている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品収納設備は、作業を行う高さまで昇降式足場を下降させて昇降式足場に搭乗し、この昇降式足場から物品収納棚に対してメンテナンス作業を行なうことにより、物品収納棚の高い箇所に対するメンテナンス作業が行い易いように構成されており、メンテナンス作業を行わない場合は、昇降式足場を作業用高さより上方に上昇させて退避させておくことにより、移動空間を利用して物品を移載することができるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、上記したような物品収納設備では、一般的に、昇降式足場は回転操作される巻取り回転体から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤにて複数箇所が吊り下げ支持されており、巻取り回転体の正逆回転により昇降式足場が昇降移動するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−249204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した物品収納設備では、昇降式足場を作業用高さまで下降させてメンテナンス作業を行う際、昇降式足場は、巻取り回転体から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤにて複数箇所が吊り下げ支持されているだけなので、昇降式足場で作業者がメンテナンス作業を行なうときに昇降式足場が揺れ易く昇降式足場の安定性が悪いため、メンテナンス作業が行い難いものである。
そこで、下降操作される昇降式足場を作業用高さで受け止め支持する支持部を設けて、作業用高さに位置する昇降式足場を支持部にて受け止め支持することにより、昇降式足場の安定性を良くして昇降式足場で作業者がメンテナンス作業を行うときに昇降式足場が揺れ難くし、メンテナンス作業を行い易くすることが考えられる。
しかしながら、上記したように昇降式足場を作業用高さで支持部にて受け止め支持するように構成した場合では、作用用高さに位置する昇降式足場が支持部にて受け止め支持されている状態で巻取り回転体を昇降式足場が下降する側に回転させてしまうと、昇降式足場を吊り下げ支持する複数の吊り下げ用ワイヤが巻取り回転体から必要以上に繰り出されて弛んでしまうことにより、巻取り回転体に巻き取られている複数の吊り下げ用ワイヤが乱巻き状態となるため、巻取り回転体から繰り出される複数の吊り下げ用ワイヤの夫々で繰り出し量が変わってしまうので、昇降式足場を作業用高さから上昇させたときに昇降式足場が傾いてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、昇降式足場が傾くことを防ぐことができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品収納設備は、物品収納用の収納部が棚上下幅方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚と、その物品収納棚の前方の移動空間を棚上下方向に昇降移動する昇降式足場とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記昇降式足場が、回転操作される巻取り回転体から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤにて複数箇所が吊り下げ支持されて前記巻取り回転体の正逆回転により昇降移動するように構成され、下降操作される前記昇降式足場を作業用高さで受け止め支持する支持部と、前記巻取り回転体の前記昇降式足場の下降側への回転を前記昇降式足場が前記作業用高さに達すると阻止するストッパー手段とが設けられている点にある。
【0007】
すなわち、昇降式足場が下降するように巻取り回転体を回転させることで、昇降式足場を作業用高さまで下降させることができるため、この昇降式足場から物品収納棚に対してメンテナンス作業を行なうことにより、物品収納棚の高い箇所に対するメンテナンス作業が行い易いものであり、また、昇降式足場が上昇するように巻取り回転体を回転させることで、昇降式足場を作業用高さより上方に上昇させて退避させることができるため、物品収納棚の前方の移動空間を利用して物品を搬送することができて、移動空間を有効利用することができる。
【0008】
そして、昇降式足場が下降するように巻取り回転体を回転させて昇降式足場を作業用高さまで下降させた際には、昇降式足場が作業用高さで支持部にて受け止め支持されるとともに巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転がストッパー手段にて阻止されることにより、昇降式足場が作業用高さに位置して支持部にて受け止め支持されている状態では巻取り回転体を昇降式足場の下降側への回転させることができないから、昇降式足場を吊り下げ支持する複数の吊り下げ用ワイヤが巻取り回転体から必要以上に繰り出されて弛んでしまうことがなく、巻取り回転体に巻き取られている複数の吊り下げ用ワイヤが乱巻き状態とならないため、昇降式足場が傾いてしまうことを防ぐことができ、もって、昇降式足場が傾くことを防ぐことができる物品収納設備を提供することができるに至った。
【0009】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、手動操作式のウィンチの回転体から繰り出される操作用ワイヤを巻取り且つ前記ウィンチの回転体に巻き取られる操作用ワイヤを繰り出す回転操作用回転体が設けられ、前記巻取り回転体が、前記回転操作用回転体と一体回転するように設けられている点にある。
【0010】
すなわち、手動操作式のウィンチを操作してウィンチの回転体を正逆回転させることにより、ウィンチの回転体から繰り出された操作用ワイヤを巻き取るように回転操作用回転体が回転、または、ウィンチの回転体に巻き取られる操作用ワイヤを繰り出すように回転操作用回転体が回転するものであり、このように回転操作用回転体が正逆回転することにより、これと一体回転する巻取り回転体も正逆回転して昇降式足場が昇降移動する。
そして、手動操作式のウィンチと回転操作用回転体との間は操作用ワイヤを配設するだけでよく、昇降式足場と巻取り回転体との間のように複数本の吊り下げ用ワイヤを配設する必要がないから、手動操作式のウィンチを配設した箇所まで複数本の吊り下げ用ワイヤを配設した場合に比べてワイヤの本数を減らすことができるため、昇降式足場を昇降操作するための装置を省スペースで配設することができ、もって、昇降式足場を昇降移動させる装置を省スペースで配設することができる物品収納設備を提供することができるに至った。
【0011】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記ストッパー手段が、前記巻取り回転体と一体回転する回転軸に螺合されて前記巻取り回転体の回転に伴って回転軸の軸心方向に移動する移動体と、その移動体の回転軸心方向の移動範囲を前記昇降式足場が前記作業用高さに達する範囲に規制する受け止め体とから構成されている点にある。
【0012】
すなわち、巻取り回転体が回転操作されて回転軸が回転すると、この回転軸に螺合された移動体が回転軸の軸心方向に沿って移動するものであり、巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転により、昇降式足場が下降側に移動するとともに移動体が回転軸の軸心方向に沿う一方側に移動し、昇降式足場が作業用高さに達すると、移動体が受け止め体に接当することにより移動体の回転軸の軸心方向に沿う一方側への移動が規制されて、それ以上の巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転が阻止される。
よって、昇降式足場が作業用高さまで下降移動すると、移動体が受け止め体に接当することにより、巻取り回転体と一体回転する回転軸の回転が規制され、巻取り回転体と一体回転する回転軸の回転を直接的に規制するように構成されているので、昇降式足場が作業用高さに達したときに巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転を適確に規制することができ、もって、巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転を適確に阻止することができる物品収納設備を提供することができるに至った。
【0013】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、第2特徴構成において、前記ストッパー手段が、前記操作用ワイヤに備えられた接当部材と、前記操作用ワイヤを相通し且つ前記昇降式足場が前記作業用高さに達する位置で前記接当部材を受け止めるワイヤ挿通体とを備えて構成されている点にある。
【0014】
すなわち、手動操作式のウィンチが回転操作されてウィンチの回転体から操作用ワイヤが繰り出し及び巻き取りされると、この操作用ワイヤに備えられた接当部材が操作用ワイヤの長手方向に沿って移動するものであり、手動操作式のウィンチを昇降式足場が下降移動するように操作すると、ワイヤ挿通体に近づくように接当部材が操作用ワイヤの長手方向に沿って移動し、昇降式足場が作業用高さまで下降移動すると、接当部材がワイヤ挿通体に受け止められて回転操作用回転体の回転が阻止され、これにより巻取り回転体の回転が阻止される。
つまり、ワイヤに備えられた接当部材の移動をワイヤ挿通体にて受け止め規制する構成であるので、接当部材を操作用ワイヤに設けることによって昇降式足場が作業用高さに達したときに接当部材がワイヤ挿通体にて受け止め規制されるように正確に設けやすいものであり、昇降式足場が作業用高さに達したときに巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転を正確に阻止することができ、もって、昇降式足場が作業用高さに達したときに巻取り回転体の昇降式足場の下降側への回転を正確に阻止することができる物品収納設備を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品収納設備は、物品収納用の収納部1が棚上下方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚2と、その物品収納棚2の前方の移動空間Sを棚上下方向に昇降移動する昇降式足場3と、収納部1と物品搬出入部4との間で物品を搬送する搬送装置5とを備えて構成されている。
【0016】
前記物品収納棚2は、対向する状態で一対の収納棚部分2aが設けられており、この一対の収納棚部分2aの間に移動空間Sが形成されている。
そして、一方の収納棚部分2aの下方に位置する収納部1を利用して複数の物品搬入出部4が棚横幅方向に並設されている。
【0017】
図1に示すように、前記物品収納棚2には、前記移動空間Sに出入りするための出入口6と、前記出入口6を開閉するメンテナンス用扉7とが備えられている。つまり、物品収納棚2には、移動空間Sにおける棚横幅方向の両側を覆う一対の外壁2bの一方に作業用高さに位置する昇降式足場3に対して乗降するための出入口6が形成され、縦軸心周りの揺動操作により開閉操作自在なメンテナンス用扉7が出入口6を塞ぐように備えられている。
そして、物品収納棚2の横側方には、梯子8aを利用して上ることができる架台8が出入口6に対応する高さに設置されており、架台8から出入口6を通って移動空間Sに入出することにより作業用高さに位置する昇降式足場3に対して乗降することができるように構成されている。
【0018】
図1に示すように、前記搬送装置5は、物品を各収納部1と自己との間で移載する物品移載装置9と、この物品移載装置9を棚横幅方向に移動自在に支持し且つ移動空間Sを棚上下幅方向に沿って昇降移動自在な昇降枠10とを備えて構成されている。ちなみに、物品移載装置9は、フォーク装置を縦軸心周りに回転自在に備えており、一対の収納棚部分2aのいずれに対しても各収納部1と自己との間で物品を移載することができるように構成されている。
【0019】
図3に示すように、前記昇降式足場3は、回転操作される巻取り回転体13から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤ14にて複数箇所が吊り下げ支持されており、前記巻取り回転体13の正逆回転により、移動空間Sにおける棚上下幅方向の上端箇所又はその上端箇所近くの退避高さと移動空間Sにおける棚上下幅方向の上下中間箇所の作業用高さとに亘って、物品収納棚2に沿って昇降移動するように構成されている。
そして、図4及び図5に示すように、昇降式足場3は、平面視形状が矩形状に形成された足場部分15と、この足場部分15における棚前後方向の両端部夫々に連結された被支持枠部分16とを備えて棚横幅方向に沿って長尺状に形成されており、足場部分15と一対の被支持枠部分16との夫々は、移動空間Sの棚横幅方向の幅と略同じ長さに形成されている。
ちなみに、退避高さは、搬送装置5が昇降移動する昇降移動範囲の上端の高さよりも高い高さ(図3において実線で示す)であり、作業用高さは、搬送装置5が昇降移動する昇降移動範囲の中間位置に位置する高さ(図3において仮想線で示す)であり、昇降式足場3を退避高さに退避させておくことにより、搬送装置5をその昇降移動範囲の全範囲に亘って昇降移動させることができ、また、搬送装置5を昇降移動範囲の前記中間位置より下方に下降させておくことにより、昇降式足場3を作業用高さと退避高さとに亘って昇降移動させることができるように構成されている。
【0020】
図3及び図5に示すように、前記昇降式足場3に設けられた被案内部としての案内ローラ17を水平方向への移動を規制した状態で上下方向に沿って案内する案内レール18が設けられている。
説明を加えると、案内ローラ17は、昇降式足場3における一対の被支持枠部分16の夫々にこの被支持枠部分16から棚前後幅方向の外方側に突出する状態で棚横幅方向の両端部に設けられ、案内レール18は、物品収納棚2における収納棚部分2aの夫々に案内ローラ17に対応するように上下方向に沿う姿勢で設けられている。そして、棚前後方向に並ぶ案内レール18の間に案内ローラ17が位置すること並びに案内ローラ17に棚横幅方向の外方側への移動を規制するリブが設けられていることにより、案内ローラ17が案内レール18にて水平方向への移動が規制された状態で上下方向に沿って案内され、昇降式足場3が物品収納棚2に沿って昇降移動するように構成されている。
【0021】
図6に示すように、物品収納棚2には、下降操作される前記昇降式足場3を作業用高さで受け止め支持する支持部19が設けられている。
そして、支持部19として、被支持枠部分16における棚横幅方向の中間部を載置支持する中間部用支持部19aと、被支持枠部分16における棚横幅方向の端部を載置支持する端部用支持部19bとが備えられている。
【0022】
図6及び図7に示すように、中間部用支持部19aは、棚横幅方向に沿う姿勢の横フレーム11に固着されたブロック状の部材であり、被支持枠部分16にこの被支持枠部分16から棚前後方向外方側に突出する状態で設けられた板状部材16aを載置支持するように構成されている。また、図6及び図8に示すように、端部用支持部19bは、棚前後幅方向に沿う姿勢の前後フレーム12に固着されたL字状に屈曲形成された板状の部材であり、足場部分15の棚横幅方向の端部を載置支持するように構成されており、この端部用支持部19bに備えられた上方に突出する突起部20が足場部分15における棚横幅方向の端部に接当することにより作業用高さに位置する昇降式足場3が棚横幅方向に移動することを規制するように構成されている。
ちなみに、各支持部19は、昇降移動する搬送装置5と干渉しないように搬送装置5の昇降移動経路の水平方向外方に設けられている。
【0023】
図9示すように、前記吊り下げ用ワイヤ14として、一対の下向き部分21bとそれら下向き部分21bの下端部同士を連結する水平姿勢部分21cとを備える吊り下げ支持部分21Aを備える状態に巻回される状態で且つ前記巻取り回転体13からその繰り出し量が変更されるように繰り出される状態で2本のループ状ワイヤ21が設けられ、水平方向に間隔を隔てて位置する一対のワイヤ案内回転体22が、それらが並ぶ方向と交差する水平方向に間隔を隔てる状態で前記昇降式足場3に2組設けられ、前記2本のループ状ワイヤ21の夫々における前記吊り下げ支持部分21Aが、前記一対のワイヤ案内回転体22の組の夫々に巻回されている。
ちなみに、ループ状ワイヤ21の夫々は、その一端部及び他端部が巻取り回転体13に巻回させることでループ状とされている。
【0024】
説明を加えると、一対のワイヤ案内回転体22が昇降式足場3における棚横幅方向の両端部に振り分けて設けられ、この一対のワイヤ案内回転体22の組が昇降式足場3における棚前後方向の一端側と他端側との両側に設けられている。つまり、ワイヤ案内回転体22は、昇降式足場3における棚前後方向の一端側部分と他端側部分となる一対の被支持枠部分16の棚横幅方向の両端部夫々に設けられている。
また、物品収納棚2の上端部には、ループ状ワイヤ21を案内する複数の案内回転体23が設けられており、この複数の案内回転体23として、棚横幅方向における巻取り回転体13と同じ側に設けられて巻取り回転体13から上方に繰り出されたループ状ワイヤ21を水平方向に案内する一対の水平案内用案内回転体23aと、棚横幅方向における巻取り回転体13とは反対側に設けられてループ状ワイヤ21を折り返し状に案内する折り返し用案内回転体23bと、水平案内用案内回転体23aと折り返し用案内回転体23bとの間に設けられてループ状ワイヤ21における一対の水平案内用案内回転体23aの一方と折り返し用案内回転体23bとの間に位置する部分を下方に案内する一対の下方案内用案内回転体23cとが設けられている。そして、一対の水平案内用案内回転体23a、折り返し用案内回転体23b及び一対の下方案内用案内回転体23cとの5つの案内回転体23の組が、物品収納棚2の上端部における棚横幅方向の一方側と他方側とに2組設けられている。
また、物品収納棚2の上端部における一方側と他方側との両側にループ状ワイヤ21にテンションを付与するテンション回転体24が設けられている。
【0025】
つまり、2本のループ状ワイヤ21の夫々は、上述の如く設けられた一対のワイヤ案内回転体22及び5つの案内用回転体23にて、一対の下向き部分とそれら下向き部分21bの下端部同士を連結する水平姿勢部分21cとを備える吊り下げ支持部分21Aを備える状態に巻回されており、ループ状ワイヤ21における一対の下方案内用案内回転体23cの間に位置する前記吊り下げ支持部分21Aが、一対のワイヤ案内回転体22の下方に巻き掛けられている。
ちなみに、ループ状ワイヤ21における下方案内用案内回転体23cからワイヤ案内回転体22に亘る上下方向に沿う部分が下向き部分21bに相当し、ループ状ワイヤ21における一対のワイヤ案内回転体22の間に位置する棚横幅方向に沿う部分が水平姿勢部分21cに相当する。
【0026】
図1に示すように、前記巻取り回転体13は、物品収納棚2における出入口6の上方箇所に設けられており、この巻取り回転体13として、一方のループ状ワイヤ21の一端側を巻回する巻取り回転体13、一方のループ状ワイヤ21の他端側を巻回する巻取り回転体13、他方のループ状ワイヤ21の一端側を巻回する巻取り回転体13、及び、他方のループ状ワイヤ21の他端側を巻回する巻取り回転体13の4つの巻取り回転体13が、物品収納棚2の外壁2bの外面側における出入口6の上方箇所に棚前後幅方向に沿って設けられている。
そして、詳細な説明は省略するが、図10に示すように、4つの巻取り回転体13は回転軸32にて一体回転するように連係されており、4つの巻取り回転体13の夫々は回転軸32との連係を解除することにより各別に回転操作することができるように構成されている。
【0027】
また、図1に示すように、物品収納棚2における出入口6の横側箇所に、巻取り回転体13に連係されて巻取り回転体13を回転操作する手動操作式の昇降操作具としてのウィンチ25が設けられている。つまり、図9に示すように、手動操作式のウィンチ25の回転体26から繰り出される操作用ワイヤ27を巻取り且つ前記ウィンチ25の回転体26に巻き取られる操作用ワイヤ27を繰り出す回転操作用回転体28が設けられ、前記巻取り回転体13が、前記回転操作用回転体28と一体回転するように設けられており、これにより、ウィンチ25が巻取り回転体13と連係されている。
回転操作用回転体28は、物品収納棚2の外壁2bの外面側における出入口6の横側上方箇所に設けられている。
【0028】
つまり、作業者が操作用ワイヤ27を回転体26にて巻き取るようにウィンチ25を操作すると、回転操作用回転体28が操作用ワイヤ27を繰り出すように回転するに伴って巻取り回転体13が吊り下げ用ワイヤ14を巻き取るように回転し、2本のループ状ワイヤ21の繰り出し量が小さくなって吊り下げ支持部分21Aが短くなると、昇降式足場3が吊り下げ用ワイヤ14にて引き上げられて上昇移動する。
また、作業者が操作用ワイヤ27を回転体26から繰り出すようにウィンチ25を操作すると、回転操作用回転体28が操作用ワイヤ27を繰り出すように回転するに伴って巻取り回転体13が吊り下げ用ワイヤ14を繰り出すように回転し、2本のループ状ワイヤ21の繰り出し量が大きくなって吊り下げ支持部分21Aが長くなると、長くなるに伴って昇降式足場3が自重により下降移動する。
【0029】
図11に示すように、前記巻取り回転体13の前記昇降式足場3の下降側への回転を前記昇降式足場3が前記作業用高さに達すると阻止するストッパー手段31が設けられており、前記ストッパー手段31は、前記巻取り回転体13と一体回転する回転軸32に螺合されて前記巻取り回転体13の回転に伴って回転軸32の軸心方向に移動する移動体33と、その移動体33の回転軸心方向の移動範囲を前記昇降式足場3が前記作業用高さに達する範囲に規制する受け止め体34とから構成されている。
【0030】
ストッパー手段31について説明を加えると、ストッパー手段31は、案内用回転体23における巻取り回転体13が位置する側の反対側に設けられており、受け止め体34における移動体33は、基端部が回転軸32と平行状態に設けられた案内軸35にその軸心方向にスライド移動自在で且つ回転自在に嵌合されており、先端部が回転軸32におけるネジ部32aに螺合されている。
そして、案内用回転体23及び巻取り回転体13が回転して回転軸32が回転するに伴って、移動体33が回転軸32に対して相対的に回転して案内軸35の軸心方向に沿ってスライド移動し、移動体33のスライド移動範囲における昇降式足場3の作業用高さに対応する箇所まで移動すると、移動体33における基端部と先端部との間に位置する中間部に受け止め体34が接当して受け止め規制されることにより、巻取り回転体13の昇降式足場3の下降側への回転を規制するように構成されている。
また、受け止め体34は、支持板36に螺合するネジ部分を備えて構成されており、回転操作することにより軸心方向に移動操作可能に構成されており、吊り下げ用ワイヤ14が伸びたとしても昇降式足場3が作業用高さまで下降すると移動体33を受け止め規制することができるように、移動体33に対して接当する位置を案内軸35の軸心方向に沿って位置調節可能に構成されている。
【0031】
図12に示すように、前記昇降式足場3が前記作業用高さ又はその近くの高さに位置するときには前記メンテナンス用扉7の開き操作を許容し且つ前記昇降式足場3が前記作業用高さ又はその近くの高さより上方に位置するときには前記メンテナンス用扉7の開き操作を阻止する扉開き阻止手段39が設けられている。
【0032】
前記扉開き阻止手段39は、前記メンテナンス用扉7の開き操作を許容する許容姿勢(図12(ロ)(ハ)参照)と開き操作を阻止する阻止姿勢(図12(イ)参照)とに切り換え自在な阻止体40を、前記阻止姿勢側に弾性復帰付勢した状態で、且つ、前記作業用高さ又はその近くの高さに位置するときにはその昇降式足場3の下降移動にて前記許容姿勢(図12(ロ)参照)側に押圧操作しかつ前記昇降式足場3が前記作業用高さ又はその近くの高さより上方に位置するときには前記昇降式足場3による押圧操作から開放されて前記阻止姿勢側に弾性復帰させるように、昇降式足場の昇降移動経路に位置する状態で備えて構成されている。
また、前記阻止体40を、前記許容姿勢(図12(ハ)参照)並びに前記阻止姿勢(図12(イ)参照)に姿勢変更操作する人為操作具としての操作キー41が、前記移動空間Sの外部に臨む装着部42に着脱自在に設けられている。つまり、阻止体40は、図12(ロ)に示すような昇降式足場3の下降移動にて切り換えられた通常用の解除姿勢の他に、図12(ハ)に示すような操作キー41の人為操作により非常用の解除姿勢に切り換え可能に構成されている。
【0033】
阻止体40について説明を加えると、阻止体40は、一対の外壁2bの一方に設けられた昇降操作用部材37と、この昇降操作用部材37に係合するようにメンテナンス用扉7の内面側、詳しくは、その内面側の横幅方向における遊端側端部の下端に設けられた揺動操作用部材38とを備えて構成されている。
そして、揺動操作用部材38は、図12(イ)(ロ)に示すように水平又は略水平で且つ装着部42に対して操作キー41が着脱自在な係合姿勢と、図12(ハ)に示すように先端部が基端部より上方に位置するように傾き且つ装着部42に装着した操作キー41が離脱不能な係合解除姿勢とに揺動操作可能であり、この揺動操作用部材38の揺動操作は、装着部42に装着した操作キー41にて揺動操作するように構成されている。
また、昇降操作用部材37は、図12(ロ)に示すように弾性付勢に抗して昇降式足場3の被支持枠部分16にて押圧操作されて下方側に移動した下方位置と、図12(イ)(ハ)に示すように昇降式足場3の被支持枠部分16による押圧操作から開放されて弾性付勢により上方側に移動した上方位置とに昇降移動可能であり、この昇降操作用部材37の昇降操作は昇降式足場3の昇降移動により操作されるように構成されている。
さらに、昇降操作用部材37には、昇降操作用部材37が下降位置に位置するときは係合姿勢の揺動操作用部材38の先端部より下方に位置し、昇降操作用部材37が上昇位置に位置するときには係合姿勢の揺動操作用部材38の先端部と同じ高さに位置するように、突出部37aが昇降操作用部分37の本体部分から上方側に突出するように設けられている。
【0034】
従って、図12(イ)に示すように、昇降式足場3が作業用高さ又はその近くの高さより高い位置に上昇移動し且つ装着部42から操作キー41が離脱されている状態では、昇降操作用部材37が上方位置に位置し且つ揺動操作用部材38が係合姿勢に姿勢変更されており、昇降操作用部材37が揺動操作用部材38に係合するため、阻止体40は阻止姿勢となり、メンテナンス用扉7は揺動操作用部材38の先端部が昇降操作用部材37の突出部37aに接当することにより開き操作することができない。
そして、図12(ロ)に示すように、昇降式足場3が作業用高さ又はその近くの高さに下降移動すると、昇降操作用部材37が下降位置に移動して昇降操作用部材37が揺動操作用部材38から離れるため、阻止体40は通常用の解除姿勢となり、メンテナンス用扉7は開き操作することができる。
また、図12(ハ)に示すように、装着部42に操作キー41が装着されてこの操作キー41にて揺動操作用部材38が係合解除姿勢に揺動操作されると、揺動操作用部材38が昇降操作用部材37から離れるため、阻止体40は非常用の解除姿勢となり、メンテナンス用扉7は開き操作することができる。
【0035】
図1に示すように、前記昇降式足場3の高さを確認するための確認窓43と、前記昇降式足場3が退避高さまで上昇されたことを表示し且つ前記確認窓43から視認可能な箇所に位置する表示部44とが設けられている。
そして、前記確認窓43は、前記移動空間Sにおける棚横幅方向の一端側に対応する位置に設けられた前記メンテナンス用扉7に備えられ、前記表示部44は、前記移動空間Sにおける棚横幅方向の他端側に対応する箇所に設けられている。
【0036】
図13〜図15に示すように、前記表示部44は、視認用の着色部分45aを備えた表示体45と、前記視認用の着色部分45aを覆う覆い体46とを備えて構成され、前記表示部44における前記表示体45が、上昇する前記昇降式足場3にて上昇側に係止操作されるに伴って前記着色部分45aが前記覆い体46から露出し、且つ、下降する前記昇降式足場3にて下降側に係止操作されるに伴って前記着色部分45aが前記覆い体46にて覆われるように構成されている。
前記視認用の着色部分45aが、前記表示体45の棚上下幅方向に沿って複数の異なる色となるように区分けされた状態で着色されている。
前記表示体45における横幅方向の中央部に、前記昇降式足場3が係止される被係止部45bが設けられている。
【0037】
説明を加えると、表示部44には、板状の本体部分の上部に着色部分45aが備えられており、板状の本体部分における上端部の横幅方向中央部に昇降式足場3が位置する側に向けて水平方向に突出する形態で被係止部45bが形成されている。
そして、着色部分45aは棚上下幅方向に2色に着色された帯状に区分けされており、着色部分45aにおける上部が緑色に着色され、下部が赤色に着色されている。ちなみに、着色部分45aの赤色に着色された下部に対して緑色に着色された下部の方が棚上下幅方向に幅広となるように着色されている。
【0038】
また、覆い体46は、横幅方向の中央部の内部に表示体45に形成された上下方向に沿うスリット状の案内用孔45cに挿通される上下一対の案内用部材46aが設けられており、この上下一対の案内用部材46aにて表示体45を棚上下方向に案内するとともに上側の案内用部材46aが案内用孔45cの上端に位置する状態で表示体45を支持するように構成されている。
そして、上述のように覆い体46にて表示体45を支持した状態では、この覆い体46にて表示体45における着色部分45aの全体が覆われており、表示体45が覆い体46に対して上方に移動することにより、着色部分45aの上部、着色部分45aの下部の順に着色部分45aが覆い体46の上方に露出させるように構成されている。ちなみに、覆い体46は壁部2bに固着されている。
【0039】
つまり、昇降式足場3が作業用高さ又はそれに近い高さに位置する状態では、昇降式足場3が表示体45の被係止部45bに係止しておらず表示体45が上昇操作されていないために、表示体45が覆い体46にて支持されており、この状態では覆い体46にて着色部分45aの全体が覆われている。
また、昇降式足場3が作業用高さ又はそれに近い高さから上昇操作されて、昇降式足場3が退避高さ又はそれに近い高さに近づくと、昇降式足場3が表示体45の被係止部45bに係止され、この状態から昇降式足場3が上昇操作されると、着色部分45aにおける緑色に着色された上部が覆い体46の上方からに露出し、さらに昇降式足場3が上昇操作されると、着色部分45aにおける赤色に着色された下部が覆い体46の上方から露出するように構成されている。
【0040】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、ストッパー手段31を、巻取り回転体13と一体回転する回転軸32に螺合されて巻取り回転体13の回転に伴って回転軸32の軸心方向に移動する移動体33と、その移動体33の回転軸心方向の移動範囲を昇降式足場3が作業用高さに達する範囲に規制する受け止め体34とから構成したが、ストッパー手段31の構成は適宜変更可能である。
つまり、図16に示すように、ストッパー手段31を、前記操作用ワイヤ27に備えられた接当部材51と、前記操作用ワイヤ27を相通し且つ前記昇降式足場3が前記作業用高さに達する位置で前記接当部材51を受け止めるワイヤ挿通体52とを備えて構成してもよい。
【0041】
(2) 上記実施の形態では、手動操作式のウィンチ25の回転体26から繰り出される操作用ワイヤ27を巻取り且つ回転体26に巻き取られる操作用ワイヤ27を繰り出す回転操作用回転体28を設け、巻取り回転体13を、回転操作用回転体28と一体回転するように設けたが、操作用ワイヤ27や回転操作用回転体28を設けずに、手動操作式のウィンチ25にて巻取り回転体13を直接的に回転操作するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】物品収納設備の斜視図
【図2】物品収納棚の平面図
【図3】物品収納棚の上部を示す平面図
【図4】昇降式足場の斜視図
【図5】案内レールと昇降式足場の案内ローラとを示す斜視図
【図6】中間部用支持部と端部用支持部とを示す斜視図
【図7】中間部用支持部を示す縦断正面図
【図8】端部用支持部を示す縦断側面図
【図9】吊り下げ用ワイヤを示す斜視図
【図10】物品収納棚の上部を示す正面図
【図11】ストッパー手段を示す図
【図12】扉開き阻止手段を示す図
【図13】表示部を示す正面図
【図14】表示部を示す斜視図
【図15】表示部を示す側面図
【図16】別実施の形態におけるストッパー手段を示す正面図
【符号の説明】
【0043】
1 収納部
2 物品収納棚
3 昇降式足場
13 巻取り回転体
14 吊り下げ用ワイヤ
19 支持部
25 ウィンチ
26 回転体
27 操作用ワイヤ
28 回転操作用回転体
31 ストッパー手段
32 回転軸
33 移動体
34 受け止め体
51 接当部材
52 ワイヤ挿通体
S 移動空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納用の収納部が棚上下幅方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚と、
その物品収納棚の前方の移動空間を棚上下方向に昇降移動する昇降式足場とを備えて構成されている物品収納設備であって、
前記昇降式足場が、回転操作される巻取り回転体から繰り出される複数本の吊り下げ用ワイヤにて複数箇所が吊り下げ支持されて前記巻取り回転体の正逆回転により昇降移動するように構成され、
下降操作される前記昇降式足場を作業用高さで受け止め支持する支持部と、
前記巻取り回転体の前記昇降式足場の下降側への回転を前記昇降式足場が前記作業用高さに達すると阻止するストッパー手段とが設けられている物品収納設備。
【請求項2】
手動操作式のウィンチの回転体から繰り出される操作用ワイヤを巻取り且つ前記ウィンチの回転体に巻き取られる操作用ワイヤを繰り出す回転操作用回転体が設けられ、
前記巻取り回転体が、前記回転操作用回転体と一体回転するように設けられている請求項1記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記ストッパー手段が、前記巻取り回転体と一体回転する回転軸に螺合されて前記巻取り回転体の回転に伴って回転軸の軸心方向に移動する移動体と、その移動体の回転軸心方向の移動範囲を前記昇降式足場が前記作業用高さに達する範囲に規制する受け止め体とから構成されている請求項1又は2記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記ストッパー手段が、前記操作用ワイヤに備えられた接当部材と、前記操作用ワイヤを相通し且つ前記昇降式足場が前記作業用高さに達する位置で前記接当部材を受け止めるワイヤ挿通体とを備えて構成されている請求項2記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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