物品搬送用ローラ
【課題】ローラ本体の軸方向端部と支持部材との間に異物が入り込むことによってローラ本体の回転が阻害されることのない物品搬送用ローラを提供する。
【解決手段】各第1カバー部材13及び各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部と各ブラケット14の上端部14aとの間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各ブラケット14との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【解決手段】各第1カバー部材13及び各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部と各ブラケット14の上端部14aとの間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各ブラケット14との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場内でタイヤを搬送するローラコンベアやベルトコンベアに用いる物品搬送用ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の物品搬送用ローラは、ローラ本体と、ローラ本体の軸方向両端部から軸方向外側に延びるように形成された一対の支軸と、ローラ本体の軸方向両側に配置されて各支軸を支持する一対の支持部材とを備え、所定の物品の搬送方向に複数並設されて各ローラ本体の回転によって物品を搬送するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−37724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記搬送用ローラでは、ローラ本体の軸方向端部と各支持部材との間に異物が入り込むとローラ本体の回転が阻害され、各ローラ本体上の物品を円滑に搬送することができないという問題点があった。特に、加硫成型時に金型のエア抜き用のベントにゴムが入り込んで形成されたベントゴムをタイヤから除去する工程においては、タイヤから除去した細長いベントゴムが飛散して搬送用ローラ上に落下し、そのベントゴムがローラ本体と各支持部材との間に入り込むという問題点があった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ローラ本体の軸方向端部と支持部材との間に異物が入り込むことによってローラ本体の回転が阻害されることのない物品搬送用ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、ローラ本体と、ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成された支軸と、支軸を支持する支持部材とを備え、ローラ本体の上側に載置した物品をローラ本体の回転方向に搬送する物品搬送用ローラにおいて、前記ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成され、少なくとも支軸のローラ本体側を径方向外側から覆う第1カバー部と、ローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するように設けられ、ローラ本体側の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置された第2カバー部とを備えている。
【0006】
これにより、第1カバー部によってローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間にローラ本体の径方向外側から異物が入り込まず、また、第2カバー部によってローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間にローラ本体の軸方向外側から異物が入り込まないことから、ローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間に異物が入り込むことがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間に異物が入り込むことがないので、ローラ本体と第2カバー部との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、異物がローラ本体の軸方向端部と支持部材との間に入り込むことによってローラ本体の回転が阻害されることがなく、ローラ本体上の物品を常に円滑に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図8は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は搬送ローラの要部斜視図、図2は搬送ローラの一部断面正面図、図3は搬送ローラの一部断面要部正面図、図4は搬送ローラの構成部品の一部断面要部正面図、図5はツルーイング装置の平面図、図6及び図7はツルーイング装置の動作説明図、図8は搬送ローラの動作説明図である。
【0009】
本実施形態の物品搬送用の搬送ローラ10は、図5に示すように、加硫成型時に金型のエア抜き用のベントにゴムが入り込んで形成されたベントゴムをタイヤから除去するためのツルーイング装置TMに沿って設けられ、タイヤTAを搬送するために複数並設されている。また、搬送ローラ10は、図2に示すように、ローラ本体11と、ローラ本体11の軸方向両側から軸方向外側に延びるように形成された一対の支軸12と、ローラ本体11の軸方向両端部から軸方向外側に延びるように形成された第1カバー部としての一対の第1カバー部材13と、ローラ本体11の軸方向両端部とそれぞれ対向するように設けられた一対のブラケット14とを備えている。
【0010】
ローラ本体11は両端を閉鎖された円筒形状であり、図3に示すように、一部のローラ本体11は内部に周知のモータ11aを有する。
【0011】
各支軸12はローラ本体11を回転可能に支持している。また、モータ11aを有するローラ本体11の一方の支軸12はローラ本体11のモータ11aによって回転する。さらに、各支軸12の軸方向外側は断面矩形状である。
【0012】
各第1カバー部材13は円筒状部材から成り、ローラ本体11の軸方向両端部の外周面にそれぞれ取付けられている。
【0013】
各ブラケット14はローラ本体11の軸方向端部に一方の面14aが対向する板状部材からなり、上端部14bに取付部としての切欠部14cを有する。切欠部14cは上下方向に延びるように形成されている。切欠部14cは矩形状の支軸12の幅寸法よりもわずかに大きい幅寸法を有し、切欠部14cに支軸12が挿入されている。即ち、支軸12は切欠部14cに取付けられ、支軸12はブラケット14に対して回転しない。各ブラケット14の上端部14bはその一方の面14a側に屈曲し、各ブラケット14の上端部14bにおける一方の面14aは第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置されている。尚、ブラケット14の上端部14bはクレームに示した第2カバー部に相当する。
【0014】
ツルーイング装置TMは各搬送ローラ10によるタイヤTAの搬送経路に沿って設けられ、搬送方向上流側に配置されたゲート機構20と、搬送方向下流側に配置されたセンターリング機構30と、センターリング機構30によって位置決めされたタイヤTAを保持可能な保持装置40と、保持装置40によって保持されたタイヤTAの外周面のベントゴムRV及びゴムバリRBを除去するための第1カッター50と、保持装置40によって保持されたタイヤTAの側面のベントゴムRV及びゴムバリRBを除去するための第2カッター60と、保持装置40の近傍においてタイヤTAを搬送するための補助ローラ70とを備えている。
【0015】
ゲート機構20は各搬送ローラ10の上方に設けられた一対のアーム部材21を有し、各アーム部材21はタイヤTAの搬送方向に回動自在に支持されている。各アーム部材21は、タイヤTAの搬送方向に回動自在に支持された支点部材22と、支点部材22からタイヤTAの搬送方向下流側に延びる保持ロッド23と、支点部材22からタイヤTAの搬送方向上流側に延びる押出ロッド24と、保持ロッド23の先端に設けられたローラ25と、押出ロッド24の先端に設けられたローラ26とを有する。即ち、各アーム部材21がタイヤTAの搬送方向と反対側に回動すると、各搬送ローラ10上のタイヤTAが各保持ロッド23によって所定の位置に保持される。また、各アーム部材21がタイヤTAの搬送方向に回動すると、各押出ロッド24によって保持されていたタイヤTAが搬送方向に押し出される。これにより、ゲート機構20は各搬送ローラ10の下流側にタイヤTAを一つずつ搬送することができる。
【0016】
センタリング機構30は4本の回動ロッド31を有し、各回動ロッド31は先端側がそれぞれタイヤTAの搬送方向に回動する。また、各回動ロッドの先端にはそれぞれローラ31aが設けられている。各回動ロッド31を回動させてローラ31aを各搬送ローラ10上のタイヤTAに当接させることにより、タイヤTAが保持装置40と同軸上に位置決めされる。
【0017】
保持装置40は、各搬送ローラ10の下側に配置された下側保持部材41と、各搬送ローラ10の上側に配置された上側保持部材42とを有する。下側保持部材41はシリンダ41aによって上下方向に移動し、センタリング機構30によって位置決めされたタイヤTAのビード部を下方から保持する。下側保持部材41が所定の位置まで上昇することにより、下側保持部材41及び上側保持部材42によってタイヤTAが保持される。また、各保持部材41,42によってタイヤTAを保持した状態で各保持部材41,42は図示しないモータによって回転する。
【0018】
第1カッター50は周知のエアシリンダからなるシリンダ51によってタイヤTAの径方向に移動し、保持機構40によって回転するタイヤTAの外周面に近接する。
【0019】
第2カッター60は図示しない周知のエアシリンダによって上下方向に移動し、保持機構40によって回転するタイヤTAの側面に近接する。
【0020】
補助ローラ70は保持機構40の近傍に配置され、搬送ローラ10を配置することができない位置に搬送ローラ10の代わりに設けられている。
【0021】
以上のように構成されたツルーイング装置TMにおいて、保持機構40に保持されて回転するタイヤTAに各カッター50,60が近接することにより、タイヤTAの外周面及び側面のベントゴムRV及びゴムバリRBが除去される。この時、除去された細長いベントゴムRVやゴムバリRBが飛散して各搬送ローラ10上に落下するが、図8に示すように、各第1カバー部材13によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まず、各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の軸方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まない。
【0022】
このように、本実施形態によれば、各第1カバー部材13及び各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部と各ブラケット14の上端部14aとの間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各ブラケット14との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【0023】
また、円筒状部材から成る第1カバー部材13をローラ本体11の軸方向両端部の外周面に取付けることにより、ローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まないようにしたので、簡単な構造によって確実にベントゴムRVやゴムバリRBの侵入を防止することができる。また、既存のローラ本体11に簡単に取付けることができるので、既存設備の大幅な改造を要することがなく、改造コストの低減を図ることができる。
【0024】
さらに、各支軸12を支持する各ブラケット14の上端部14bをローラ本体11側に屈曲させ、上端部14bのローラ本体11側の面である一方の面14cを第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置し、各ブラケット14の上端部14bによって第2カバー部を形成したので、ローラ本体11の軸方向端部を軸方向に覆うための専用のカバー部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減らして製造コストの削減を図ることができる。
【0025】
尚、本実施形態では、ローラ本体11の軸方向両端部にそれぞれ支軸12を設けたものを示したが、ローラ本体11の軸方向一端部にのみ支軸12を設け、ローラ本体11を片持ち状に支持することも可能である。
【0026】
図9及び図10は本発明の第2の実施形態を示すもので、図9は搬送ローラの一部断面正面図、図10は搬送ローラの動作説明図である。尚、第1の実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0027】
本実施形態の物品搬送用の搬送ローラ80は、第1の実施形態と同様のローラ本体11、一対の支軸12及び一対の第1カバー部材13と、ローラ本体11の軸方向両端部とそれぞれ対向するように設けられた一対のカバー部材81と、各支軸12を各カバー部材81を介して支持する支持部材としての一対のブラケット82とを備えている。
【0028】
各カバー部材81は円板形状であり、軸方向一端面81aに断面矩形状の凹状部81bを有する。凹状部81bは支軸12の外形よりもわずかに大きい内形を有し、支軸12は凹状部81bに挿入されている。また、カバー部材81は第1カバー部材13の内径よりも小さい外径を有し、軸方向一端面81aは第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置されている。カバー部材81の軸方向他端面81cには軸方向に突出する軸部81dが設けられ、軸部81dは矩形状の断面を有する。
【0029】
各ブラケット82はローラ本体11の軸方向端部に一方の面が対向する板状部材からなり、上端部に上下方向に延びる切欠部82aを有する。切欠部82aは矩形状の軸部81dの幅寸法よりもわずかに大きい幅寸法を有し、切欠部82aに軸部81dが挿入されている。
【0030】
以上のように構成された搬送ローラ80上にタイヤTAから除去された細長いベントゴムRVやゴムバリRBが落下した場合でも、図10に示すように、各第1カバー部材13によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まず、各カバー部材81によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の軸方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まない。また、ローラ本体11は各支軸12と相対的に回転することにより回転するので、各カバー部材81と各ブラケット82との間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込んでも、ローラ本体11の回転は阻害されない。
【0031】
このように、本実施形態によれば、各第1カバー部材13及び各カバー部材81によってローラ本体11の軸方向端部と各カバー部部材81との間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各カバー部材81との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明における第1の実施形態を示す搬送ローラの要部斜視図
【図2】搬送ローラの一部断面正面図
【図3】搬送ローラの一部断面要部正面図
【図4】搬送ローラの構成部品の一部断面要部正面図
【図5】ツルーイング装置の平面図
【図6】ツルーイング装置の動作説明図
【図7】ツルーイング装置の動作説明図
【図8】搬送ローラの動作説明図
【図9】本発明における第2の実施形態を示す搬送ローラの一部断面正面図
【図10】搬送ローラの動作説明図
【符号の説明】
【0033】
10…搬送ローラ、11…ローラ本体、12…モータ、12…支軸、13…第1カバー部材、14…ブラケット、14a…一方の面、14b…上端部、14c…切欠部、20…ゲート機構、21…アーム部材、30…センタリング機構、40…保持装置、50…第1カッター、60…第2カッター、70…補助ローラ、80…搬送ローラ、81…カバー部材、81a…軸方向一端面、81b…凹状部、81d…軸部、82…ブラケット、RV…ベントゴム、RB…ゴムバリ、TA…タイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場内でタイヤを搬送するローラコンベアやベルトコンベアに用いる物品搬送用ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の物品搬送用ローラは、ローラ本体と、ローラ本体の軸方向両端部から軸方向外側に延びるように形成された一対の支軸と、ローラ本体の軸方向両側に配置されて各支軸を支持する一対の支持部材とを備え、所定の物品の搬送方向に複数並設されて各ローラ本体の回転によって物品を搬送するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−37724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記搬送用ローラでは、ローラ本体の軸方向端部と各支持部材との間に異物が入り込むとローラ本体の回転が阻害され、各ローラ本体上の物品を円滑に搬送することができないという問題点があった。特に、加硫成型時に金型のエア抜き用のベントにゴムが入り込んで形成されたベントゴムをタイヤから除去する工程においては、タイヤから除去した細長いベントゴムが飛散して搬送用ローラ上に落下し、そのベントゴムがローラ本体と各支持部材との間に入り込むという問題点があった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ローラ本体の軸方向端部と支持部材との間に異物が入り込むことによってローラ本体の回転が阻害されることのない物品搬送用ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、ローラ本体と、ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成された支軸と、支軸を支持する支持部材とを備え、ローラ本体の上側に載置した物品をローラ本体の回転方向に搬送する物品搬送用ローラにおいて、前記ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成され、少なくとも支軸のローラ本体側を径方向外側から覆う第1カバー部と、ローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するように設けられ、ローラ本体側の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置された第2カバー部とを備えている。
【0006】
これにより、第1カバー部によってローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間にローラ本体の径方向外側から異物が入り込まず、また、第2カバー部によってローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間にローラ本体の軸方向外側から異物が入り込まないことから、ローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間に異物が入り込むことがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ローラ本体の軸方向端部と第2カバー部との間に異物が入り込むことがないので、ローラ本体と第2カバー部との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、異物がローラ本体の軸方向端部と支持部材との間に入り込むことによってローラ本体の回転が阻害されることがなく、ローラ本体上の物品を常に円滑に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図8は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は搬送ローラの要部斜視図、図2は搬送ローラの一部断面正面図、図3は搬送ローラの一部断面要部正面図、図4は搬送ローラの構成部品の一部断面要部正面図、図5はツルーイング装置の平面図、図6及び図7はツルーイング装置の動作説明図、図8は搬送ローラの動作説明図である。
【0009】
本実施形態の物品搬送用の搬送ローラ10は、図5に示すように、加硫成型時に金型のエア抜き用のベントにゴムが入り込んで形成されたベントゴムをタイヤから除去するためのツルーイング装置TMに沿って設けられ、タイヤTAを搬送するために複数並設されている。また、搬送ローラ10は、図2に示すように、ローラ本体11と、ローラ本体11の軸方向両側から軸方向外側に延びるように形成された一対の支軸12と、ローラ本体11の軸方向両端部から軸方向外側に延びるように形成された第1カバー部としての一対の第1カバー部材13と、ローラ本体11の軸方向両端部とそれぞれ対向するように設けられた一対のブラケット14とを備えている。
【0010】
ローラ本体11は両端を閉鎖された円筒形状であり、図3に示すように、一部のローラ本体11は内部に周知のモータ11aを有する。
【0011】
各支軸12はローラ本体11を回転可能に支持している。また、モータ11aを有するローラ本体11の一方の支軸12はローラ本体11のモータ11aによって回転する。さらに、各支軸12の軸方向外側は断面矩形状である。
【0012】
各第1カバー部材13は円筒状部材から成り、ローラ本体11の軸方向両端部の外周面にそれぞれ取付けられている。
【0013】
各ブラケット14はローラ本体11の軸方向端部に一方の面14aが対向する板状部材からなり、上端部14bに取付部としての切欠部14cを有する。切欠部14cは上下方向に延びるように形成されている。切欠部14cは矩形状の支軸12の幅寸法よりもわずかに大きい幅寸法を有し、切欠部14cに支軸12が挿入されている。即ち、支軸12は切欠部14cに取付けられ、支軸12はブラケット14に対して回転しない。各ブラケット14の上端部14bはその一方の面14a側に屈曲し、各ブラケット14の上端部14bにおける一方の面14aは第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置されている。尚、ブラケット14の上端部14bはクレームに示した第2カバー部に相当する。
【0014】
ツルーイング装置TMは各搬送ローラ10によるタイヤTAの搬送経路に沿って設けられ、搬送方向上流側に配置されたゲート機構20と、搬送方向下流側に配置されたセンターリング機構30と、センターリング機構30によって位置決めされたタイヤTAを保持可能な保持装置40と、保持装置40によって保持されたタイヤTAの外周面のベントゴムRV及びゴムバリRBを除去するための第1カッター50と、保持装置40によって保持されたタイヤTAの側面のベントゴムRV及びゴムバリRBを除去するための第2カッター60と、保持装置40の近傍においてタイヤTAを搬送するための補助ローラ70とを備えている。
【0015】
ゲート機構20は各搬送ローラ10の上方に設けられた一対のアーム部材21を有し、各アーム部材21はタイヤTAの搬送方向に回動自在に支持されている。各アーム部材21は、タイヤTAの搬送方向に回動自在に支持された支点部材22と、支点部材22からタイヤTAの搬送方向下流側に延びる保持ロッド23と、支点部材22からタイヤTAの搬送方向上流側に延びる押出ロッド24と、保持ロッド23の先端に設けられたローラ25と、押出ロッド24の先端に設けられたローラ26とを有する。即ち、各アーム部材21がタイヤTAの搬送方向と反対側に回動すると、各搬送ローラ10上のタイヤTAが各保持ロッド23によって所定の位置に保持される。また、各アーム部材21がタイヤTAの搬送方向に回動すると、各押出ロッド24によって保持されていたタイヤTAが搬送方向に押し出される。これにより、ゲート機構20は各搬送ローラ10の下流側にタイヤTAを一つずつ搬送することができる。
【0016】
センタリング機構30は4本の回動ロッド31を有し、各回動ロッド31は先端側がそれぞれタイヤTAの搬送方向に回動する。また、各回動ロッドの先端にはそれぞれローラ31aが設けられている。各回動ロッド31を回動させてローラ31aを各搬送ローラ10上のタイヤTAに当接させることにより、タイヤTAが保持装置40と同軸上に位置決めされる。
【0017】
保持装置40は、各搬送ローラ10の下側に配置された下側保持部材41と、各搬送ローラ10の上側に配置された上側保持部材42とを有する。下側保持部材41はシリンダ41aによって上下方向に移動し、センタリング機構30によって位置決めされたタイヤTAのビード部を下方から保持する。下側保持部材41が所定の位置まで上昇することにより、下側保持部材41及び上側保持部材42によってタイヤTAが保持される。また、各保持部材41,42によってタイヤTAを保持した状態で各保持部材41,42は図示しないモータによって回転する。
【0018】
第1カッター50は周知のエアシリンダからなるシリンダ51によってタイヤTAの径方向に移動し、保持機構40によって回転するタイヤTAの外周面に近接する。
【0019】
第2カッター60は図示しない周知のエアシリンダによって上下方向に移動し、保持機構40によって回転するタイヤTAの側面に近接する。
【0020】
補助ローラ70は保持機構40の近傍に配置され、搬送ローラ10を配置することができない位置に搬送ローラ10の代わりに設けられている。
【0021】
以上のように構成されたツルーイング装置TMにおいて、保持機構40に保持されて回転するタイヤTAに各カッター50,60が近接することにより、タイヤTAの外周面及び側面のベントゴムRV及びゴムバリRBが除去される。この時、除去された細長いベントゴムRVやゴムバリRBが飛散して各搬送ローラ10上に落下するが、図8に示すように、各第1カバー部材13によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まず、各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の軸方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まない。
【0022】
このように、本実施形態によれば、各第1カバー部材13及び各ブラケット14の上端部14bによってローラ本体11の軸方向端部と各ブラケット14の上端部14aとの間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各ブラケット14との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【0023】
また、円筒状部材から成る第1カバー部材13をローラ本体11の軸方向両端部の外周面に取付けることにより、ローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まないようにしたので、簡単な構造によって確実にベントゴムRVやゴムバリRBの侵入を防止することができる。また、既存のローラ本体11に簡単に取付けることができるので、既存設備の大幅な改造を要することがなく、改造コストの低減を図ることができる。
【0024】
さらに、各支軸12を支持する各ブラケット14の上端部14bをローラ本体11側に屈曲させ、上端部14bのローラ本体11側の面である一方の面14cを第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置し、各ブラケット14の上端部14bによって第2カバー部を形成したので、ローラ本体11の軸方向端部を軸方向に覆うための専用のカバー部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減らして製造コストの削減を図ることができる。
【0025】
尚、本実施形態では、ローラ本体11の軸方向両端部にそれぞれ支軸12を設けたものを示したが、ローラ本体11の軸方向一端部にのみ支軸12を設け、ローラ本体11を片持ち状に支持することも可能である。
【0026】
図9及び図10は本発明の第2の実施形態を示すもので、図9は搬送ローラの一部断面正面図、図10は搬送ローラの動作説明図である。尚、第1の実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0027】
本実施形態の物品搬送用の搬送ローラ80は、第1の実施形態と同様のローラ本体11、一対の支軸12及び一対の第1カバー部材13と、ローラ本体11の軸方向両端部とそれぞれ対向するように設けられた一対のカバー部材81と、各支軸12を各カバー部材81を介して支持する支持部材としての一対のブラケット82とを備えている。
【0028】
各カバー部材81は円板形状であり、軸方向一端面81aに断面矩形状の凹状部81bを有する。凹状部81bは支軸12の外形よりもわずかに大きい内形を有し、支軸12は凹状部81bに挿入されている。また、カバー部材81は第1カバー部材13の内径よりも小さい外径を有し、軸方向一端面81aは第1カバー部材13の軸方向外側の端部13aよりもローラ本体11側に配置されている。カバー部材81の軸方向他端面81cには軸方向に突出する軸部81dが設けられ、軸部81dは矩形状の断面を有する。
【0029】
各ブラケット82はローラ本体11の軸方向端部に一方の面が対向する板状部材からなり、上端部に上下方向に延びる切欠部82aを有する。切欠部82aは矩形状の軸部81dの幅寸法よりもわずかに大きい幅寸法を有し、切欠部82aに軸部81dが挿入されている。
【0030】
以上のように構成された搬送ローラ80上にタイヤTAから除去された細長いベントゴムRVやゴムバリRBが落下した場合でも、図10に示すように、各第1カバー部材13によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の径方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まず、各カバー部材81によってローラ本体11の軸方向端部にローラ本体11の軸方向外側からベントゴムRVやゴムバリRBが入り込まない。また、ローラ本体11は各支軸12と相対的に回転することにより回転するので、各カバー部材81と各ブラケット82との間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込んでも、ローラ本体11の回転は阻害されない。
【0031】
このように、本実施形態によれば、各第1カバー部材13及び各カバー部材81によってローラ本体11の軸方向端部と各カバー部部材81との間にベントゴムRVやゴムバリRBが入り込むことがないので、ローラ本体11と各カバー部材81との相対的な回転が阻害されることがない。即ち、ベントゴムRVやゴムバリRBによってローラ本体11の回転が阻害されることがなく、ローラ本体11上のタイヤTAを常に円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明における第1の実施形態を示す搬送ローラの要部斜視図
【図2】搬送ローラの一部断面正面図
【図3】搬送ローラの一部断面要部正面図
【図4】搬送ローラの構成部品の一部断面要部正面図
【図5】ツルーイング装置の平面図
【図6】ツルーイング装置の動作説明図
【図7】ツルーイング装置の動作説明図
【図8】搬送ローラの動作説明図
【図9】本発明における第2の実施形態を示す搬送ローラの一部断面正面図
【図10】搬送ローラの動作説明図
【符号の説明】
【0033】
10…搬送ローラ、11…ローラ本体、12…モータ、12…支軸、13…第1カバー部材、14…ブラケット、14a…一方の面、14b…上端部、14c…切欠部、20…ゲート機構、21…アーム部材、30…センタリング機構、40…保持装置、50…第1カッター、60…第2カッター、70…補助ローラ、80…搬送ローラ、81…カバー部材、81a…軸方向一端面、81b…凹状部、81d…軸部、82…ブラケット、RV…ベントゴム、RB…ゴムバリ、TA…タイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ本体と、ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成された支軸と、支軸を支持する支持部材とを備え、ローラ本体の上側に載置した物品をローラ本体の回転方向に搬送する物品搬送用ローラにおいて、
前記ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成され、少なくとも支軸のローラ本体側を径方向外側から覆う第1カバー部と、
ローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するように設けられ、ローラ本体側の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置された第2カバー部とを備えた
ことを特徴とする物品搬送用ローラ。
【請求項2】
前記第1カバー部を、ローラ本体の軸方向端部に取付けられた円筒状部材から形成した
ことを特徴とする請求項1記載の物品搬送用ローラ。
【請求項3】
前記支持部材を、一方の面がローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するとともに、上端部に支軸を支持する支持部を有する板状部材から形成し、
第2カバー部を、支持部材の上端部をローラ本体側に屈曲させて上端部の一方の面を第1カバー部材の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置することにより形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の物品搬送用ローラ。
【請求項4】
前記第2カバー部を、一方の面がローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するとともに、一方の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置されたカバー部材によって形成し、
支軸をカバー部材を介して支持部材により支持するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の物品搬送用ローラ。
【請求項1】
ローラ本体と、ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成された支軸と、支軸を支持する支持部材とを備え、ローラ本体の上側に載置した物品をローラ本体の回転方向に搬送する物品搬送用ローラにおいて、
前記ローラ本体の軸方向端部から軸方向外側に延びるように形成され、少なくとも支軸のローラ本体側を径方向外側から覆う第1カバー部と、
ローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するように設けられ、ローラ本体側の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置された第2カバー部とを備えた
ことを特徴とする物品搬送用ローラ。
【請求項2】
前記第1カバー部を、ローラ本体の軸方向端部に取付けられた円筒状部材から形成した
ことを特徴とする請求項1記載の物品搬送用ローラ。
【請求項3】
前記支持部材を、一方の面がローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するとともに、上端部に支軸を支持する支持部を有する板状部材から形成し、
第2カバー部を、支持部材の上端部をローラ本体側に屈曲させて上端部の一方の面を第1カバー部材の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置することにより形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の物品搬送用ローラ。
【請求項4】
前記第2カバー部を、一方の面がローラ本体の軸方向端部に軸方向に対向するとともに、一方の面が第1カバー部の軸方向外側の端部よりもローラ本体側に配置されたカバー部材によって形成し、
支軸をカバー部材を介して支持部材により支持するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の物品搬送用ローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−8631(P2007−8631A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189457(P2005−189457)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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