説明

物品搬送装置

【課題】台車ユニットの停止時において、蓄電装置からPLCに供給される電力を停止させるスイッチ回路の電力消費を無くすことができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送経路に沿って配設された走行レールと、走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を台車ユニットに積載して搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、台車ユニットは、台車ユニットを走行させるモータと、モータに電力を供給する蓄電装置と、蓄電装置からモータに供給される電力の制御を行うPLCと、PLCと蓄電装置との電気的な接続を遮断する遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品搬送装置は、例えば、特許文献1に示すように、無人車(台車ユニット)の停止時に、バッテリ(蓄電手段)から制御回路に供給される電力をスイッチ回路により停止させることで、バッテリの電力消費を抑えるとともに、誘導電線を流れる電流を検出器により検出して、スイッチ回路が自動的に無人車を再起動させるようにしている。また、特許文献2〜3も同様に、台車ユニットの停止時に、蓄電手段から制御回路に供給される電力を停止させることで、蓄電手段の電力消費を抑えるとともに、台車ユニットが再起動できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−113211号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】特許第3136882号公報(第4頁、第2図)
【特許文献3】特許第4082287号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたスイッチ回路では、無人車(台車ユニット)の停止時であっても、スイッチ回路とバッテリとは、電気的に接続された状態が維持されており、常に微量な電力がスイッチ回路に供給されて消費されてしまうため、長時間、無人車を停止させるとバッテリの電力が全て放電されてしまうという問題がある。また、特許文献2〜3にも同様の問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、台車ユニットの停止時において、蓄電手段から制御回路に供給される電力を停止させるスイッチ回路の電力消費を無くすことができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、
搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる駆動手段と、該駆動手段に電力を供給する蓄電手段と、該蓄電手段から前記駆動手段に供給される電力の制御を行う制御回路と、該制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を遮断する遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットの停止時において、蓄電手段から制御回路及び駆動手段に供給される電力をスイッチ回路により停止できるとともに、スイッチ回路が制御回路と蓄電手段との遮断状態を非電気的に維持するため、スイッチ回路自体が電力を消費することがなく、蓄電手段が一切の電力の消費をせずに済むようになり、長時間、台車ユニットを停止させても、蓄電手段の蓄電が維持されるようになる。
【0007】
本発明の物品搬送装置は、
前記スイッチ回路は、前記台車ユニットに接触する被検出体の被検出部を、前記蓄電手段の電力に拠らずに検出する非電気的スイッチを含むことを特徴としている。
この特徴によれば、非電気的スイッチを用いて、制御回路と蓄電手段との遮断状態を、蓄電手段からの電力に拠らずに非電気的に維持することができるとともに、被検出体が台車ユニットから離れることを非電気的スイッチにより検出できるため、被検出体の動作を利用して、制御回路と蓄電手段とを通電させて台車ユニットを自動的に起動させることができる。
尚、本発明における非電気的スイッチとは、磁力により作動する磁気スイッチや、物理的な接触により作動するリミットスイッチ等の機械的に作動するスイッチを含み、かつ電気的に作動するスイッチであっても、小型内蔵電池の電力で作動させるようにした光電スイッチや、太陽電池により作動させるようにしたスイッチ等の蓄電手段の電力に拠らずに独立した電源から電力を供給させるようにしたスイッチであれば、本発明における非電気的スイッチとして用いることができる。
【0008】
本発明の物品搬送装置は、
前記スイッチ回路は、前記蓄電手段の電力容量が所定の容量以下であるときに作動する双安定リレーを含むことを特徴としている。
この特徴によれば、蓄電手段の電力容量が所定の容量以下であるときに自動的に台車ユニットが停止されるようになり、駆動手段の駆動力が弱まって運用効率が低下する状態で台車ユニットが動作されつづけることを防止でき、かつ双安定リレーを用いることで、制御回路と蓄電手段との遮断状態を非電気的に維持することができる。
【0009】
本発明の物品搬送装置は、
前記スイッチ回路は、前記遮断状態にある前記制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を、外部操作により復帰させる復帰回路を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、制御回路と蓄電手段との遮断状態を、作業者が任意に行う手動による外部操作により復帰させることができる。
【0010】
本発明の物品搬送装置は、
前記スイッチ回路は、前記遮断状態になることを遅延させる遅延回路を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、スイッチ回路が作動しても即座に遮断状態にならずに、遅延回路によって所定の遅延時間は、電力が制御回路と駆動手段とに供給されるようになり、駆動手段が完全に停止するまで電力が供給されつづけて、制御回路が駆動手段を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における物品搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】台車ユニットを示す側面図である。
【図3】先行台車と前側の走行台車を示す側面図である。
【図4】先行台車と前側の走行台車を示す平面図である。
【図5】後側の走行台車と後続台車を示す側面図である。
【図6】後側の走行台車と後続台車を示す平面図である。
【図7】後側の走行台車を示す図6におけるA−A断面図である。
【図8】ストッパーと先行台車を示す正面図である。
【図9】ストッパーと先行台車を示すB−B断面図である。
【図10】接触部と充電装置を示す背面図である。
【図11】接触部と充電装置を示す図10におけるC−C断面図である。
【図12】台車用制御装置が有するスイッチ回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る物品搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る物品搬送装置につき、図1から図9を参照して説明する。以下、図2から図6、図8及び図11の紙面左側を台車ユニットの正面側(前方側)とし、図4及び図6の紙面下側を台車ユニットの左方側とし、図7及び図10の紙面左側を台車ユニットの左方側とし、図8の紙面右側を台車ユニットの左方側として説明する。
【0014】
図1の符号1は、例えば、自動車等を製造する工場内で、自動車の部品が収納された本発明における物品としてのコンテナ2(図2参照)を搬送するための本発明の適用された物品搬送装置である。
【0015】
図1及び図2に示すように、物品搬送装置1においては、搬送経路に沿って配置された2本の走行レール3と、走行レール3を平面視で反時計回りに走行可能な複数の台車ユニット4と、から主に構成されている。走行レール3は工場内の天井近傍の所定の高さ位置に掛け渡されている。また、台車ユニット4は、自動車の部品が収納されているコンテナ2を搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0016】
2本の走行レール3は、その上面3aが水平面として形成された、アルミやスチール等の金属材によって構成された管材となっており、工場内の搬送経路に沿って工場内の天井から吊り下げされた状態で設けられている。また、走行レール3は、断面視でL字状をなしており、後述する台車ユニット4の走行台車8,9が走行レール3から外れないようになっている(図7参照)。
【0017】
図1に示すように、走行レール3は、複数の直線路3bと曲線路3cとが組み合わされて無端状に形成されており、外周の搬送経路を形成する走行レール3である本線レール3dから分岐及び合流する走行レール3e,3f,3gが設けられている。
【0018】
ここで、図1における紙面上側において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3eとし、紙面中央において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3fとし、紙面下側においてにおいて本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3gとする。
【0019】
分岐レール3eには、台車ユニット4にコンテナ2を積み込むための積込ステーションC1(移載箇所)が設けられ、分岐レール3gには、台車ユニット4からコンテナ2を降ろすための荷降ろしステーションC2(移載箇所)が設けられ、分岐レール3fには、台車ユニット4を待機させる待機ステーションC3(待機箇所)が設けられている。
【0020】
また、これらステーションC1〜C3以外に本線レール3dから分岐レール3e,3f,3gに分岐する箇所には分岐ステーションC4(分岐箇所)が設けられ、分岐レール3e,3f,3gから本線レール3dに合流する箇所には、合流ステーションC5(合流箇所)が設けられている。各ステーションC1〜C5は、いずれも同様の構成からなり台車ユニット4に設けられた蓄電装置5(蓄電手段)への充電を行うための充電ステーションCとなっている。
【0021】
尚、物品搬送装置1には、台車ユニット4や充電ステーションCを統括管理する主制御装置(図示略)が設けられている。この主制御装置は、台車ユニット4や充電ステーションCからの情報を受信して、充電ステーションCにおける後述する充電装置6(充電手段)やストッパー7等の制御を行うようになっている。
【0022】
図2に示すように、台車ユニット4には、走行レール3を走行する前後2台の走行台車8,9と、前側の走行台車8の前方を走行する先行台車10(補助台車)と、後側の走行台車9の後方を走行する後続台車11(補助台車)と、コンテナ2を保持するキャリア12と、が設けられている。
【0023】
尚、先行台車10と前側の走行台車8とが連結杆材13によって連結され、後側の走行台車9と後続台車11とが連結杆材14によって連結されている。これらの台車8,9,10,11は、直列に配置されて走行レール3の上面3aを走行するようになっている。また、前後の走行台車8,9にそれぞれ取り付けられた吊下棒15によって、キャリア12(搬送物支持部材)が吊り下げられている。
【0024】
図3及び図4に示すように、前側の走行台車8は、正面視で略U字状をなす本体部16と、台車ユニット4を走行させるためのモータ17(駆動手段)と、このモータ17の駆動によって走行レール3の上面3aに当接して回転する2輪の車輪18と、から主に構成されている。
【0025】
本体部16の前部には、先行台車10と連結される連結杆材13の後端部が枢支されており、前側の走行台車8は、枢支軸19を軸として水平方向に揺動されるようになっている。モータ17は、シャフト17aが前方側を向くように本体部16の後方側に配置されており、シャフト17aの先端には、ベベルギア17bが取り付けられている。
【0026】
図4に示すように、本体部16の左右側端部には、車輪18が連結シャフト20によって回転可能に枢支されている。連結シャフト20には、ベベルギア17bと係合するベベルギア20aが取り付けられており、左右の車輪18は、モータ17が駆動することで回転駆動されるようになっている。
【0027】
尚、モータ17は、後述する蓄電装置5に接続されることで電力の供給を受けており、走行レール3における所定箇所(搬送経路の一部)に設けられた複数の充電ステーションCにおいて蓄電装置5に充電が行われるようになっている(図1参照)。
【0028】
また、本体部16の下端部の略中央部には、下方に延設された吊下棒15が取り付けられている。この吊下棒15の前後には、ガイドローラ21が設けられており、これらのガイドローラ21は、独立して水平方向に回転可能に枢支されている。
【0029】
走行台車8が走行レール3上に載置されることで、ガイドローラ21が両走行レール3間の間隙22内に配置されるようになっている。そのため、各ガイドローラ21は、走行台車8の走行中に両走行レール3の側端部に当接し、走行台車8が走行レール3上から離脱しないようにしている。
【0030】
次に、後側の走行台車9について、図5から図7を参照して説明する。後側の走行台車9は、正面視で略U字状をなす本体部23と、走行レール3の上面3aに当接して回転する2輪の車輪18と、後述する充電装置6と接触(連結)する接触部24(被給電部)と、から主に構成されている。
【0031】
尚、接触部24は、キャリア12に設けられた蓄電装置5と配線(図示略)で接続されている。また、本体部23の後部には、先行台車10と連結される連結杆材13の前端部が枢支されており、後側の走行台車9は、枢支軸26を軸として水平方向に揺動されるようになっている。
【0032】
本体部23の左右側端部には、車輪18がシャフト18aによって回転可能に枢支されており、左右の車輪18は、それぞれ独立して回転されるようになっている。また、本体部23には、前側の走行台車8の本体部16と同様に、吊下棒15及びガイドローラ21が取り付けられており、その構成は前側の走行台車8と同様である。
【0033】
図2に示すように、前後の吊下棒15の下部には、中間部材27が取り付けられており、中間部材27間には、前後方向を向く連結杆材28が取り付けられている。この連結杆材28と各中間部材27、及び吊下棒15を介して前後の走行台車8,9が互いに連結されている。更に、中間部材27の下端部には、キャリア12の上端部が取り付けられている。
【0034】
キャリア12は、前後方向を向く上部杆材12aと、この上部杆材12aの前端部と後端部とから下方に向けて延設される縦杆材12bと、前後の縦杆材12bの下端部に取り付けられた載置板12cと、から構成されている。尚、上部杆材12aが両中間部材27に取り付けられることで、前後の走行台車8,9からキャリア12が吊り下げられている。
【0035】
また、連結杆材28の上部には、前側の走行台車8のモータ17を駆動させるための蓄電装置5と、モータ17の回転速度の制御やブレーキ制御を行う台車用制御装置29(制御手段)と、が設置されている。尚、モータ17は、蓄電装置5及び台車用制御装置29に配線(図示略)で接続されている。
【0036】
図5及び図6に示すように、本体部23の内側に立設された前後2枚のプレート30の上端部には、側面視で略L字状をなすプレート31がそれぞれ取り付けられており、これらプレート31の上面にはブラケット32を介して接触部24が取り付けられている。
【0037】
図7に示すように、プレート31の上面には、前後方向に延びる4条の接触部24a,24b,24c,24dが設けられている。各接触部24には、上方に開口して前後方向に延びる溝部が形成され、その底部には、導電体33が設けられている。外側2つの接触部24a,24d(被給電部)の導電体33は、配線(図示略)によって蓄電装置5に接続されている。
【0038】
内側2つの接触部24b,24cの導電体33は、配線(図示略)によって互いに接続(短絡)されている。接触部24b,24cは、後述する充電装置6の充電プラグ52と接触部24a,24dとの接続状態の確認のために設けられている。
【0039】
次に、先行台車10と後続台車11について、図3から図6を参照して説明する。図3及び図4に示すように、先行台車10は、正面視で略U字状をなす本体部34と、走行レール3の上面3aに当接して回転する4輪の車輪35と、を有している。
【0040】
尚、本体部34の後部には、連結杆材13の前端部が枢支され、枢支軸36を軸として水平方向に揺動されるようになっている。また、本体部34の前端部には、前方側に突出する突出部37が設けられている。
【0041】
更に尚、本体部34の下端部には、ガイドローラ21よりも径が小さいガイドローラ38が、前部と後部とで左右方向に2輪並設されている。これらのガイドローラ38は、独立して水平方向に回転可能に枢支されており、ガイドローラ21と同様に先行台車10の走行中に両走行レール3の側端部に当接し、先行台車10が走行レール3上から離脱しないようにしている。
【0042】
図3に示すように、本体部34の内側には、Z字状をなすセンサ支持部材39が取り付けられている。このセンサ支持部材39の立設部39aの背面側には、曲線路3cを検出するカーブ検出センサ40(揺動検出手段)が取り付けられている。
【0043】
このカーブ検出センサ40はフォトセンサで構成されており、上部の発光素子(図示略)と下部の受光素子(図示略)とが対向配置され、発光素子から発される光を受光素子が受光できるようになっている。
【0044】
連結杆材13の前端部には、カーブ検出センサ40により検出されるドグ41が設けられており、このドグ41の前端部は、左右角部が四角く切り欠かれて左右幅が小さく形成されている(図4参照)。台車ユニット4が直線路3bを走行しているときには、ドグ41が発光素子からの光が受光素子に到達しないように遮光されている。
【0045】
台車ユニット4が曲線路3cに差し掛かると、先行台車10が左方向に揺動してカーブ検出センサ40からドグ41が外れてカーブ検出センサ40の受光素子が発光素子からの光を受光することで、台車ユニット4が曲線路3cに進入したことを検出できるようになっている。
【0046】
図5及び図6に示すように、後続台車11は、正面視で略U字状をなす本体部42と、走行レール3の上面3aに当接して回転する4輪の車輪35と、を有している。後続台車11の前部には、連結杆材14の後端部が枢支され、連結杆材14が枢支軸43を軸として水平方向に揺動されるようになっている。
【0047】
尚、本体部42の下端部には、先行台車10における本体部34と同様に、ガイドローラ38が前部と後部とで左右方向に2輪並設されており、本体部42の後端部には、鉄材からなり側面視で略L字状をなすドグ44が取り付けられている。
【0048】
更に尚、後続台車11の略中央部に取り付けられた略L字状をなすセンサ支持部材45の立設部39aの正面側には、曲線路3cを検出するカーブ検出センサ46(揺動検出手段)が取り付けられている。
【0049】
カーブ検出センサ46は、連結杆材14の後端部に取り付けられたドグ47を検出可能になっており、連結杆材14、ドグ47及びカーブ検出センサ46は、先行台車10の構成を前後対称にした同様の構成をなしている。尚、カーブ検出センサ40,46は、配線(図示略)で台車用制御装置29に接続されている。
【0050】
後続台車11が曲線路3cを走行しているときは、カーブ検出センサ46からドグ47が外れて受光状態になっており、後続台車11が曲線路3cを抜けると、カーブ検出センサ46がドグ47を検出することで、台車ユニット4が曲線路3cを脱出したことを検出できるようになっている。
【0051】
カーブ検出センサ40によって台車ユニット4が曲線路3cに進入したことを検出したカーブ検出情報(揺動検出情報)に基づいて、台車用制御装置29が台車ユニット4の走行速度を減速するようにモータ17を制御している。
【0052】
同様に、カーブ検出センサ46によって台車ユニット4が曲線路3cを脱出したことを検出したカーブ検出情報(揺動検出情報)に基づいて、台車用制御装置29が台車ユニット4の走行速度を加速するようにモータ17を制御している。尚、本実施例において台車ユニット4が直線路3bを走行する速度は約30m/分であり、曲線路3cでは約20m/分に減速して走行するように制御されている。
【0053】
また、図3及び図4に示すように、先行台車10のセンサ支持部材39の上端部には、内側に前方の障害物等を検出する検出センサである前方検出センサ48(近接検出手段)が取り付けられている。この前方検出センサ48は、発光素子(図示略)と受光素子(図示略)が設けられた反射型光電センサとなっており、発光素子から前方に発された光が前方の物体(被検出体)に反射されて受光素子が受光することで前方の物体を検出できるようになっている。
【0054】
また、センサ支持部材39の立設部39aの正面側には、前方側を向く略L字状のセンサ支持部材49が取り付けられており、このセンサ支持部材49の前端部の下面には、本体部34における前部の被検出空間50に配置された物体を検出する停止検出センサ51(接触検出手段)が取り付けられている。この停止検出センサ51は、内蔵されているマグネットが磁力により鉄材等の磁性材料の近接及び接触を検出するマグネットスイッチとなっている。
【0055】
前方検出センサ48及び停止検出センサ51は、配線(図示略)で台車用制御装置29に接続されている。前方検出センサ48が前方の物体を検出した場合には、台車用制御装置29によって台車ユニット4の走行速度が減速(本実施例においては5m/分)されるように制御されており、停止検出センサ51が被検出空間50に配置された鉄材を検出した場合には、台車用制御装置29によって台車ユニット4が停止されるように制御されている。
【0056】
図1に示すように、物品搬送装置1においては、複数の台車ユニット4が走行レール3を走行しており、例えば、前後2台の台車ユニット4が走行している際に、後方側の台車ユニット4が前方側の台車ユニット4に接近した場合には、後方側の先行台車10の前方検出センサ48が前方側の後続台車11(被検出体)を検出し、走行速度が5m/分に減速される。
【0057】
そして、更に両ユニット4,4が近接すると、後方側の先行台車10の突出部37が前方側の後続台車11(被検出体)に接触するとともに、ドグ44(被検出部)が後方側の先行台車10の被検出空間50に入り込み、停止検出センサ51がドグ44を検出した接触検出情報に基づいて台車用制御装置29によって後方側の台車ユニット4が停止される。
【0058】
次に、充電ステーションCにおけるストッパー7について、図8及び図9を参照して説明する。充電ステーションCには、台車ユニット4を停止させるためのストッパー7が設けられている。図8及び図9は、ストッパー7が下方位置にある状態を示している。尚、図9は理解を助けるためにストッパー7等の部材は断面にせずに示してある。
【0059】
このストッパー7は、側面視で逆L字状をなす左右の側面部7aと正面視で矩形状をなす後面部7bとを有しており、後方に凹んだ形状をなしている。更に、ストッパー7には、支持フレーム55に取り付けられた左右2つのストッパー保持部69が設けられ、このストッパー保持部69によってストッパー7が枢支されており、枢支軸70を中心に上下に回動されるようになっている(図9参照)。また、ストッパー7の後面部7bの背面側には鉄材からなるドグ71が取り付けられている。
【0060】
また、ストッパー7の後方側には、ストッパー7を回動させるためのモータ72が設けられている。モータ72は、支持フレーム55に取り付けられたモータ保持部73に保持され、シャフト(図示略)が左側方(紙面右側)を向くように設置されており、シャフトの先端には、モータ72の駆動とともに回転される回転部材74が取り付けられている。尚、モータ72は、主制御装置(図示略)と接続され、駆動の制御が行われる。
【0061】
回転部材74の先端部には、ストッパー7を回動させるためのストッパー作動部材75の後端部が枢支されており、ストッパー作動部材75の前端部とストッパー7の左側の側面部7aの前端部とが枢支されており、ストッパー7は、左右の側面部7aを連結する連結バー76を中心に回動されるようになっている。
【0062】
図8に示すように、ストッパー7における枢支軸70の外周及びストッパー作動部材75における連結バー76の外周には、ベアリング77が設けられており、枢支軸70及び連結バー76が滑らかに回動されるようになっている。
【0063】
また、ストッパー7が上方位置または下方位置にあることを検出するストッパー検出センサ78,79が設けられており、ストッパー検出センサ78,79はフォトセンサとなっている。
【0064】
上方位置を検出するストッパー検出センサ78は、支持フレーム55の右側部(紙面左側)に螺着されたセンサ支持部材80に取り付けられており、発光素子(図示略)と受光素子(図示略)が前後方向に対向するように設置されている。同様に、下方位置を検出するストッパー検出センサ79は、センサ支持部材80に取り付けられ、発光素子と受光素子が上下方向に対向するように設置されている。
【0065】
ストッパー7の側面部7aには、ストッパー検出センサ78,79によって検出されるドグ81が取り付けられており、ストッパー7が図8に示す下方位置にある場合にはストッパー検出センサ79によって検出され、ストッパー7が上方位置にある場合にはストッパー検出センサ78によって検出されるようになっている。
【0066】
また、モータ72の後方側には、先行台車10を検出する台車検出センサ82が取り付けられており、この台車検出センサ82は、前述した前方検出センサ48と同様に反射型光電センサとなっている。発光素子(図示略)から斜前方に光が発されるように設置されており、充電ステーションCで停止された台車ユニット4を検出でき、台車検出センサ82の情報は主制御装置(図示略)に送信されるようになっている。
【0067】
次に、充電ステーションCに設けられた充電装置6について、図10及び図11を参照して説明する。充電装置6には、外側2本の充電プラグ52(給電部)と内側2本の接続確認プラグ53とが設けられている。これらのプラグ52,53は左右方向に延設され、その先端部が同一の高さになるように側面視で略L字状をなすプラグ保持部54に保持されている。
【0068】
図10及び図11に示すように、充電ステーションCにおける走行レール3の上方には、走行レール3と平行に支持フレーム55が延設されており、支持フレーム55は、2本の走行レール3を並設した幅と同等の左右幅を有し、正面視で逆向きU字状をなしている。この支持フレーム55と走行レール3とは、外周を囲むように設けられた連結部材56によって連結されている。
【0069】
図11に示すように、支持フレーム55の下面には、ブラケット57を介してモータ58が設置されている。モータ58は、シャフト58aが後方側を向くように取り付けられており、シャフト58aの先端には、モータ58の駆動とともに回動される回動部材59が取り付けられている。尚、モータ58は、主制御装置(図示略)と接続され、駆動の制御が行われるようになっている。
【0070】
図11に示すように、回動部材59とプラグ保持部54との間には、回動部材59の下端部及びプラグ保持部54の上端部に枢支される枢支部材60が設けられている。モータ58が駆動して回動部材59とともに枢支部材60が回動することで、プラグ保持部54が上下動されるようになっている。尚、図10及び図11では、充電プラグ52が降下された状態が示されている。
【0071】
更に、枢支部材60と回動部材59の枢支軸61の外周と枢支部材60プラグ保持部54の枢支軸62の外周にはベアリング63が設けられており、枢支部材60は滑らかに回動されるようになっている。
【0072】
また、充電装置6の上方における支持フレーム55には、下方を向く左右2つのリニアブッシュ64が取り付けられており、リニアブッシュ64における上部の固定部64aに内嵌されて昇降可能な昇降部64bがプラグ保持部54に取り付けられている。プラグ保持部54が上下方向に移動される際には、リニアブッシュ64によって垂直方向に案内されるため、プラグ保持部54が水平方向にぐらつかないようになっている。
【0073】
充電プラグ52は、後続台車11の接触部24に接続して充電できる充電位置と、後続台車11の接触部24から離間されて待機する待機位置と、の間で昇降可能(移動可能)となっている。充電装置6の右側部には、充電装置6が待機位置または充電位置に位置していることを検出するプラグ検出センサ65,66が上下に並設されている(図10参照)。
【0074】
プラグ検出センサ65,66は、支持フレーム55の右側部に螺着されたセンサ支持部材67に取り付けられており、充電装置6が待機位置にある場合には、プラグ保持部54の右側部に取り付けられた突出部68が上側のプラグ検出センサ65に検出され、充電装置6が充電位置にある場合には、突出部68が下側のプラグ検出センサ66に検出されるようになっている。
【0075】
尚、プラグ検出センサ65,66は、前述したカーブ検出センサ40,46と同様のフォトセンサとなっており、発光素子(図示略)と受光素子(図示略)が上下方向に対向するように設置されている。
【0076】
次に、充電ステーションCにおいて台車ユニット4における蓄電装置5に充電される際の動作について図10から図9を参照して説明する。主制御装置(図示略)は各台車ユニット4の位置情報を受信しており、台車用制御装置29から受信した蓄電装置5の電圧が所定の電圧以下である場合には、その台車ユニット4が次に通過する充電ステーションCのストッパー7を降下させて台車ユニット4を停止させるように制御している。
【0077】
尚、主制御装置が台車用制御装置29から受信した蓄電装置5の電圧が所定の電圧よりも大きい場合には、ストッパー7を作動させることなく、充電ステーションCを通過するようになっている。
【0078】
主制御装置の制御によってストッパー7が降下される際には、図9に示すように、モータ72が駆動して回転部材74が回転軸83を中心に側面視で時計回り方向に回転されるとともに、ストッパー作動部材75が円弧状の軌跡を描きながら前方側に移動されることで、連結バー76によってストッパー7の上端部が前方側に移動され、ストッパー7が枢支軸70を中心に回動してストッパー7の下端部が下方に移動される。
【0079】
そして、ストッパー検出センサ79によってドグ81が検出されると、モータ72の駆動が停止してストッパー7が下方位置で停止される。そこへ台車ユニット4が接近すると、先行台車10の前方検出センサ48がストッパー7を検出すると、台車用制御装置29によって減速される。
【0080】
先行台車10の突出部37がストッパー7(被検出体)に接触するとともに、ドグ71(被検出部)が先行台車10の被検出空間50に入り込み、停止検出センサ51がドグ71を検出した接触検出情報に基づいて台車用制御装置29によって台車ユニット4が停止される。
【0081】
台車検出センサ82が先行台車10を検出すると、充電ステーションCに台車ユニット4が停止されたことが主制御装置に送信される。尚、台車ユニット4がストッパー7によって停止されると、充電のための接触部24を有する後側の走行台車9の真上に充電装置6が位置されるようにストッパー7及び充電装置6が配置されている。
【0082】
図10に示すように、台車ユニット4の充電作業が行われる際には、主制御装置によってモータ58が駆動されて回動部材59が回転されると、枢支部材60の降下とともにプラグ保持部54が降下する。
【0083】
そして、プラグ保持部54が充電位置まで降下してプラグ検出センサ65がプラグ保持部54の突出部68を検出すると主制御装置(図示略)によってモータ58が停止され、4つの各プラグ52,53が4条の接触部24の導電体33に接触する(図10及び図11参照)。このとき、充電プラグ52は外側の接触部24a,24dに接触し、接続確認プラグ53は内側の接触部24b,24cに接触する。
【0084】
内側の接触部24b,24cの導電体33に接続確認プラグ53が接触すると内側の接触部24b,24c間が短絡され、外側2つの接触部24の導電体33に充電プラグ52が接触されていることを確認できるようになっている。この短絡情報が主制御装置(図示略)に伝達されると、充電プラグ52が接触部24a,24dに接触しているとみなされ、充電装置6から接触部24a,24dを介して蓄電装置5へ充電が開始される。
【0085】
充電が完了すると、主制御装置によって、モータ58が駆動して回動部材59が回転されると、枢支部材60の上昇とともにプラグ保持部54が上昇する。プラグ保持部54が待機位置まで上昇してプラグ検出センサ66がプラグ保持部54の突出部68を検出すると主制御装置によってモータ58が停止される。
【0086】
そして、主制御装置の制御によってストッパー7が上昇される。その際には、モータ72が駆動して回転部材74が回転軸83を中心に側面視で時計回り方向に回転されるとともに、回転部材74の先端部に枢支されたストッパー作動部材75が円弧状の軌跡を描きながら後方側に移動されることで、連結バー76によってストッパー7の上端部が後方側に移動され、ストッパー7が枢支軸70を中心に回動してストッパー7の下端部が上方に移動される。
【0087】
そして、ストッパー検出センサ79によってドグ81が検出されると、モータ72の駆動が停止してストッパー7が上方位置で停止される。台車ユニット4の停止検出センサ51からドグ71が外れるとともに、前方検出センサ48にストッパー7が検出されなくなるため、台車ユニット4の走行が開始される。
【0088】
このようにして、充電ステーションCにおける充電作業は、蓄電装置5の電圧が所定の電圧以下である場合に充電されるように制御されているため、常に充電作業を行う必要がなく、台車ユニット4の運用効率を低下させずに、台車ユニット4の蓄電装置5を充電することができるようになっている。
【0089】
尚、充電ステーションCのストッパー7によって台車ユニット4が停止中に、後続の台車ユニット4の先行台車10が停止中の台車ユニット4の後続台車11に近づくと、前述した前方検出センサ48が停止中の台車ユニット4の後続台車11を検出して後続の台車ユニット4が減速される。更に、後続の台車ユニット4の先行台車10が停止中の台車ユニット4の後続台車11に接触すると、前述した停止検出センサ51が停止中の台車ユニット4の後続台車11を検出して後続の台車ユニット4が停止される。
【0090】
次に、台車ユニット4における台車用制御装置29について図12を参照して説明する。図12に示すように、台車用制御装置29は、前述した走行台車8のモータ17(駆動手段)に接続されて、このモータ17のシーケンス制御を行う本発明における制御回路としてのPLC(Programmable Logic Controller)を有している。
【0091】
そして、このPLCは、蓄電装置5(蓄電手段)に接続されて電力が供給されるようになっている。尚、モータ17はPLCを介して蓄電装置5から電力が供給されるようになっている。
【0092】
尚、蓄電装置5の陰極側の配線であるN1ラインがPLCに接続されるとともに、蓄電装置5の陽極側の配線がPLCに接続される。この陽極側の配線には、メインスイッチが設けられている。蓄電装置5の陽極側の配線のうち、メインスイッチよりも上流側の配線をP1ラインとし、下流側をP2ラインとして説明する。
【0093】
走行台車8のモータ17には、PLCからN1ラインとP2ラインが接続されており、PLCによってモータ17に電力が供給されるとともに、モータ17の回転速度の制御やブレーキ制御が行われる。
【0094】
また、メインスイッチがON状態(接続状態)になると、蓄電装置5とPLCとが電気的に接続され、PLC及びモータ17に電力が供給される。更に、メインスイッチがOFF状態(遮断状態)になると、蓄電装置5とPLCとの電気的な接続が遮断され、PLC及びモータ17への電力供給が停止される。
【0095】
このメインスイッチのON/OFF制御は、台車用制御装置29が有するスイッチ回路により行われる。メインスイッチは、スイッチ回路により制御されるリレースイッチとして構成されている。スイッチ回路において、メインスイッチのソレノイド部がN1ラインとP1ラインとに接続されている。
【0096】
尚、メインスイッチのソレノイド部が設けられているN1及びP1ライン間が通電されると、メインスイッチがON状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されると、メインスイッチがOFF状態となる。
【0097】
また、スイッチ回路において、メインスイッチのソレノイド部とN1ラインとの間には、PLCにより制御されるPLCスイッチと、メンテナンスの際に作業者が手動により操作するメンテナンススイッチと、前述した先行台車10の停止検出センサ51のマグネットスイッチ(磁気スイッチ)によりON/OFF制御されるR1リレーと、が並列に設けられている。尚、この停止検出センサ51のマグネットスイッチが、蓄電装置5の電力に拠らずに作動する本発明における非電気的スイッチを構成している。更に、メインスイッチのソレノイド部とP1ラインとの間には、後述する電圧検出部により制御されるR3リレーが設けられている。
【0098】
尚、マグネットスイッチは、N1ラインとP1ラインとに接続されている。そして、マグネットスイッチとP1ラインとの間には、R1リレーのソレノイド部と、PLCに接続されたR2リレーのソレノイド部と、が並列に設けられている。更に尚、マグネットスイッチとP1ラインとの間には、後述するR3リレーが設けられている。
【0099】
また、R1リレーのON/OFF制御は、マグネットスイッチのON/OFF状態により切り換わるR1リレーのソレノイド部が設けられているN1及びP1ライン間の通電状態により制御されている。
【0100】
マグネットスイッチによりN1及びP1ライン間が通電されると、R1リレーがON状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されると、R1リレーがOFF状態となる。尚、PLCは、R1リレーのON/OFF状態を、R1リレーのソレノイド部と並列に配置されたR2リレーのソレノイド部を介して検出するようになっている。
【0101】
前述したように、他の台車ユニット4の後続台車11(被検出体)のドグ44(被検出部)、またはストッパー7(被検出体)のドグ71(被検出部)が先行台車10の被検出空間50に入り込み、停止検出センサ51がドグ44,71を検出し、台車用制御装置29は、モータ17を停止させて台車ユニット4を停止させる制御を行うようになっている。
【0102】
スイッチ回路内の動作について詳述すると、停止検出センサ51がドグ44,71を検出すると、スイッチ回路のマグネットスイッチ(停止検出センサ51)がOFF状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されてR1リレーがOFF状態となる。
【0103】
PLCは、R1リレーのOFF状態を、R2リレーのソレノイド部を介して検出し、モータ17のブレーキ制御を行い、台車ユニット4を停止させるようにしている。そして、台車ユニット4の動作が完全に停止した後に、PLCリレーをOFF状態にしてメインスイッチをOFF状態にする。
【0104】
つまり、PLCは、マグネットスイッチがOFF状態になっても、直ぐにメインスイッチがOFF状態にならないように制御している。PLCは、マグネットスイッチがOFF状態になってから所定の遅延時間経過後に、PLCリレーをOFF状態にして、メインスイッチをOFF状態にする制御を行っている。
【0105】
そのため、台車ユニット4の動作が完全に停止する前に、モータ17のブレーキ制御ができなくなる虞がないようになっている。尚、PLC及びPLCリレーにより本発明における遅延回路を構成している。
【0106】
尚、マグネットスイッチは、そのOFF状態を非電気的に維持するようになっている。つまり、停止検出センサ51がドグ44,71を検出してマグネットスイッチがOFF状態となり、メインスイッチがOFF状態になっているときには、PLC、モータ17、スイッチ回路のいずれも蓄電装置5との電気的な接続が遮断された状態となっており、蓄電装置5が一切の電力を消費しないようになっている。
【0107】
また、ドグ44,71が先行台車10の被検出空間50から外れると、スイッチ回路のマグネットスイッチ(停止検出センサ51)がON状態となり、N1及びP1ライン間が通電されてR1リレーがON状態となる。そして、メインスイッチのソレノイド部が設けられたN1及びP1ライン間の通電によってメインスイッチがON状態となり、PLC及びモータ17が起動される。このとき起動したPLCは、PLCスイッチをON状態に復帰させる。
【0108】
尚、マグネットスイッチがOFF状態のときに、メンテナンススイッチを作業者が手動により操作することでも、メインスイッチのソレノイド部が設けられたN1及びP1ライン間を通電させて、メインスイッチをON状態にすることができる。このメンテナンススイッチは、台車ユニット4のメンテナンス時に作業者が操作するようになっている。
【0109】
更に、スイッチ回路は、蓄電装置5の電圧(電力容量)を検出する電圧検出部を有している。この電圧検出部はN1ラインとP1ラインとの間に設けられている。この電圧検出部によりR3リレーのソレノイド部を介してR3リレーのON/OFF制御が行われる。
【0110】
また、電圧検出部はPLCと接続されており、蓄電装置5の電力が消費されて、電圧検出部で検出した蓄電装置5の電圧が所定の電圧以下になったときに、PLCはモータ17のブレーキ制御を行って台車ユニット4を停止させるようになっている。
【0111】
R3リレーのソレノイド部は、電圧検出部を介してN1ラインとP1ラインとの間に設けられており、電圧検出部で検出した蓄電装置5の電圧が所定の電圧以下になったときに、電圧検出部は、R3リレーのソレノイド部とN1ラインとの間を遮断して、R3リレーをOFF状態にする。
【0112】
尚、R3リレーは双安定リレー(ラッチリレー)となっており、そのOFF状態を非電気的に維持するようになっている。つまり、R3リレーがOFF状態となり、メインスイッチがOFF状態になっているときには、PLC、モータ17、スイッチ回路のいずれも蓄電装置5との電気的な接続が遮断された状態となっており、蓄電装置5が一切の電力を消費しないようになっている。
【0113】
また、R3リレーのソレノイド部は、作業者が手動により操作するリセットスイッチを介してN1ラインと接続されている。リセットスイッチを作業者が手動により操作することで、R3リレーのソレノイド部を通電させてR3リレーをON状態にすることができる。
【0114】
作業員は、台車ユニット4を手動により充電ステーションCで移動させ、蓄電装置5に充電をするとともに、リセットスイッチを操作することにより、に台車ユニット4を起動させることができる。尚、メンテナンススイッチ及びリセットスイッチが、本発明における復帰回路を構成している。
【0115】
以上、本実施例における物品搬送装置1では、台車ユニット4は、台車ユニット4を走行させるモータ17と、モータ17に電力を供給する蓄電装置5と、蓄電装置5からモータに供給される電力の制御を行うPLCと、PLCと蓄電装置5との電気的な接続を遮断する遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路と、を有することで、台車ユニット4の停止時において、蓄電装置5からPLC及びモータ17に供給される電力をスイッチ回路により停止できるとともに、スイッチ回路がPLCと蓄電装置5との遮断状態を非電気的に維持するため、スイッチ回路自体が電力を消費することがなく、蓄電装置5が一切の電力の消費をせずに済むようになり、長時間、台車ユニット4を停止させても、蓄電装置5の蓄電が維持されるようになる。
【0116】
また、スイッチ回路は、ドグ44,71(被検出部)を、蓄電装置5の電力に拠らずに検出する本発明における非電気的スイッチとしてのマグネットスイッチを含むことで、マグネットスイッチを用いて、PLCと蓄電装置5との遮断状態を、蓄電装置5からの電力に拠らずに非電気的に維持することができるとともに、ドグ44,71が台車ユニット4から離れることをマグネットスイッチにより検出できるため、ドグ44,71の動作を利用して、PLCと蓄電装置5とを通電させて台車ユニット4を自動的に起動させることができる。
【0117】
尚、本発明における非電気的スイッチとは、磁力により作動するマグネットスイッチ以外であってもよく、例えば、物理的及び機械的な接触により作動するリミットスイッチ等の機械的に作動するスイッチであってもよい。また、電気的に作動するスイッチであっても、小型内蔵電池の電力で作動させるようにした光電スイッチや、太陽電池により作動させるようにしたスイッチ等の蓄電装置5の電力に拠らずに独立した電源から電力を供給させるようにしたスイッチであれば、本発明における非電気的スイッチとして用いることができる。
【0118】
また、モータ17等に電力を供給する蓄電装置5(蓄電手段)とは別に補助蓄電装置(補助蓄電手段)を設け、この補助蓄電装置によりスイッチ回路自体を作動させるようにすれば、このスイッチ回路に含まれるスイッチが全て電気的に作動するスイッチであっても、これらのスイッチを、蓄電装置5の電力に拠らずに作動する非電気的スイッチとして構成することができる。
【0119】
また、スイッチ回路は、蓄電装置5の電圧(電力容量)が所定の電圧以下であるときに作動するR3リレー(双安定リレー)を含むことで、蓄電装置5の電力容量が所定の容量以下であるときに自動的に台車ユニット4が停止されるようになり、モータ17の駆動力が弱まって運用効率が低下する状態で台車ユニット4が動作されつづけることを防止でき、かつR3リレーに双安定リレーを用いることで、PLCと蓄電装置5との遮断状態を非電気的に維持することができる。
【0120】
また、スイッチ回路は、遮断状態にあるPLCと蓄電装置5との電気的な接続を、外部操作により復帰させるメンテナンススイッチ及びリセットスイッチ(復帰回路)を含むことで、PLCと蓄電装置5との遮断状態を、作業者が任意に行う手動による外部操作により復帰させることができる。
【0121】
また、スイッチ回路は、前記遮断状態になることを遅延させるPLC及びPLCリレー(遅延回路)を含むことで、スイッチ回路が作動しても即座に遮断状態にならずに、PLC及びPLCリレーによって所定の遅延時間は、電力がPLCとモータ17とに供給されるようになり、モータ17が完全に停止するまで電力が供給されつづけて、PLCがモータ17を制御することができる。
【0122】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0123】
例えば、前記実施例では、本発明がキャリア12を吊り下げた状態で走行レール3に沿って走行可能な台車ユニット4を備える物品搬送装置1に適用されているが、本発明は他の形式による搬送台車などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 物品搬送装置
2 コンテナ(物品)
3 走行レール
3a 上面
3b 直線路
3c 曲線路
4 台車ユニット
5 蓄電装置(蓄電手段)
6 充電装置(充電手段)
7 ストッパー(被検出体)
8 前側の走行台車
9 後側の走行台車(被検出体)
10 先行台車(補助台車)
11 後続台車(補助台車,被検出体)
12 キャリア(搬送物支持部材)
13,14 連結杆材
17 モータ(駆動手段)
18 車輪
24 接触部(被給電部)
24a,24d 外側の接触部
24b,24c 内側の接触部
29 台車用制御装置(制御手段)
33 導電体
35 車輪
37 突出部
40 カーブ検出センサ(揺動検出手段)
41 ドグ
44 ドグ(被検出部)
46 カーブ検出センサ(揺動検出手段)
47 ドグ
48 前方検出センサ(近接検出手段)
50 被検出空間
51 停止検出センサ(接触検出手段)
52 充電プラグ(給電部)
53 接続確認プラグ
71 ドグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる駆動手段と、該駆動手段に電力を供給する蓄電手段と、該蓄電手段から前記駆動手段に供給される電力の制御を行う制御回路と、該制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を遮断する遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路と、を有することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、前記台車ユニットに接触する被検出体の被検出部を、前記蓄電手段の電力に拠らずに検出する非電気的スイッチを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記スイッチ回路は、前記蓄電手段の電力容量が所定の容量以下であるときに作動する双安定リレーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、前記遮断状態にある前記制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を、外部操作により復帰させる復帰回路を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、前記遮断状態になることを遅延させる遅延回路を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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