説明

物品検査装置

【課題】 作業者が疲労し難く、作業効率を維持でき、視力を損なう虞がなく、健康上も問題なく、目視による検査が効率的にできる光透過性物品検査装置を提供する。
【解決手段】 半透明の搬送ベルト16上に物品を載置させて移動させる搬送装置2と、搬送装置2を支持する支持架台3と、搬送ベルト16の下方に、半導体発光素子59,63,64,65をプリント基板57,61上に載置、固定したLED装着体53,54を配設し、搬送ベルト16を下方から照射する照射装置4と、搬送ベルト16を作動、制御すると共に、半導体発光素子59,63,64,65の発光を制御する制御装置5とから物品検査装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、果物等の食料品、飲料品、医薬品、包装容器、電子部品等の物品を搬送しつつ、物品に毛髪、ごみ、小さな虫等の異物が混入していないか、表面に損傷、破損等の不良個所がないか検査し、物品を選別するために使用する物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品をベルトコンベア等の搬送装置によって搬送しつつ、物品に毛髪、ごみ、小さな虫等の異物が混入していないか、表面に損傷、破損等の不良個所がないか検査する装置として、可視光線、X線、磁界を利用するものが知られている。
しかし、X線、磁界を利用する検査装置は、検査作業者の人体への影響もあり、取り扱いにも注意が必要である上、カメラ等の撮像装置による自動検査を行うものが殆どであるため、非常に高価なものである。
【0003】
そのため、野菜、果物等の食料品にあっては、ベルトコンベア等の搬送装置に食料品を載置して搬送する過程で可視光線を照射し、作業者が食料品の内部を透かして見て、食料品に毛髪、ごみ、小さな虫等の異物が混入していないか検査していた。
そして、このような検査作業をより効率化するものとして、光透過性を有する半透明な薄肉の搬送ベルトを使用し、搬送ベルトの下方から蛍光灯によって白色光を照射し、食料品の内部を透かして見るようにした検査装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 意匠登録第1135732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された検査装置では、蛍光灯を使用しているため、光がちらつき、検査作業者が疲労し易く、短時間で作業効率が低下すると共に、長期的には視力を損なう虞もあり、健康上にも問題があった。
又、白色光を照射しているため、青色、赤色、黄色等の食料品の色彩によっては、食料品を透過した光、及び搬送ベルトを透過した光によって、食料品の内部を透かして見るのがし難かったりした。
さらに、蛍光灯を使用しているため、消費電力が大きく、電気料金が高額にならざるを得ず、又、照射装置が大きく、装置全体も大型にならざるを得なかった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、作業者が疲労し難く、作業効率を維持できると共に、視力を損なう虞がなく、健康上も問題なく、目視による検査が効率的にでき、消費電力も小さく、装置全体も小型にすることができる物品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の物品検査装置は、半透明な搬送ベルト上に物品を載置させて移動させる搬送装置と、前記搬送装置を支持する支持架台と、前記搬送ベルトの下方に、半導体発光素子をプリント基板上に載置、固定したLED装着体を配設し、搬送ベルトを下方から照射する照射装置と、前記搬送ベルトを作動、制御すると共に、前記半導体発光素子の発光を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする。
【0008】
前記LED装着体は、赤色を発光する半導体発光素子と、緑色を発光する半導体発光素子と、青色を発光する半導体発光素子とをプリント基板上に載置、固定したものであることを特徴とする。
【0009】
又、前記LED装着体は、白色を発光するものであってもよい。
【0010】
前記制御装置は、複数の半導体発光素子を各別に発光可能にすると共に、各別に半導体発光素子の発光量を設定できるものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光透過性物品検査装置によれば、半導体発光素子を使用しているため、光がちらつくことなく、安定的に照射されるから、検査作業者が疲労し難く、長時間に渡って作業効率を維持することができる。又、視力を損なう虞もなく、健康上にも問題はない。
又、白色光だけではなく、赤色光、緑色光又は青色光を選択し、さらに、それら色彩を加法混色した適宜色彩の光を選択、発光させることができるから、物品の色彩に対応した適宜色彩の光を照射でき、目視するのを容易にして、検査を効率的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の物品検査装置の平面図である。
【図2】 本発明の物品検査装置において、搬送ベルトを取り外した状態の平面図である。
【図3】 本発明の物品検査装置の正面図である。
【図4】 本発明の物品検査装置の側面図である。
【図5】 図2において、照射装置の設置部を拡大した平面図である。
【図6】 図3において、照射装置の設置部を拡大した正面図である。
【図7】 図4において、照射装置の設置部を拡大した側面図である。
【図8】 LED装着体の平面図である。
【図9】 LED装着体の平面図である。
【図10】 図9の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の物品検査装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の物品検査装置の平面図、図2は、物品検査装置において、搬送ベルトを取り外した状態の平面図、図3は、物品検査装置の正面図、図4は、物品検査装置の側面図である。
【0014】
本発明の物品検査装置1は、搬送装置2と、支持架台3と、照射装置4と、制御装置5とから構成される。
【0015】
搬送装置2は、側面フレーム11,12と、底面フレーム13と、駆動ローラ14と、従動ローラ15と、搬送ベルト16と、駆動装置17とから構成される。
側面フレーム11,12の下端部には底面フレーム13の両端部を固定してあり、側面フレーム11,12の両端部には駆動ローラ14と従動ローラ15とを配置してある。
【0016】
駆動ローラ14は、その軸部14aの一端部を軸受18を介して側面フレーム11に回転自在に支持してあり、他端部を軸受18を介して側面フレーム12に回転自在に支持してある。
従動ローラ15は、その軸部15aの一端部を軸受19を介して側面フレーム11に回転自在に支持してあり、他端部を軸受19を介して側面フレーム12に回転自在に支持してある。
【0017】
駆動装置17は、筐体20内にブラケット21を介して駆動モータ22を支持してあり、駆動モータ22の駆動軸22aと駆動ローラ14の軸部14aとは継手23を介して連結してある。
【0018】
駆動ローラ14の胴部14bと従動ローラ15の胴部15bに渡って搬送ベルト16を張設してあり、駆動モータ20を駆動させ、駆動ローラ14を回転させることによって、搬送ベルト16は作動し、移動するようになっている。
ここで、搬送ベルト16としては、透明又は半透明白色のウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM)等の合成ゴムを成形したものを使用する。
【0019】
支持架台3は、前側支柱31,31と、後側支柱32,32と、連結部材33,33と、連結部材34,34と、連結部材35と、連結部材36と、キャスター37,37,37,37とから構成される。
連結部材33,33は、前側支柱31,31と後側支柱32,32の上端部を連結し、連結部材34,34は、前側支柱31,31と後側支柱32,32の下端部を連結し、連結部材35は、連結部材33,33同士を連結し、連結部材36は、連結部材34,34同士を連結してある。
【0020】
前側支柱31,31及び後側支柱32,32の下端部に形成した雌ネジ部31a,31a,32a,32aと、支持軸38,38,38,38に形成した雄ネジ部38a,38a,38a,38aを螺合することによって、前側支柱31,31及び後側支柱32,32に支持軸38,38,38,38を介してキャスター37,37,37,37を装着してある。
よって、支持軸38,38,38,38を適宜回転させることによって、前側支柱31,31及び後側支柱32,32の高さを調整できるようになっている。
【0021】
連結部材33,33の前端部に支持部材39,39の下端部を固着すると共に、その上端部を支持軸40,40を介して側面フレーム11の中間部に固定すると共に、後側支柱32,32の上端部に支持部材41,41を介して側面フレーム12の中間部を固定することによって、搬送装置2を支持架台3上に載置してある。
【0022】
照射装置4は、支持部材51と、支持板52,52,52と、複数のLED装着体53,54と、被覆部材55とから構成される。
支持部材51の上面には支持板52,52,52をネジ56,56,・・・によって固定してあり、各支持板52の上面には複数のLED装着体53,54を所定間隔でネジ56,56,・・・によって固定してある。
【0023】
LED装着体53は、図8に示すように、プリント基板57に所定間隔で窓孔57a,57a,・・・を穿設すると共に、その窓孔57a,57a,・・・部分の裏面に金属薄板58,58,・・・を固着してある。又、プリント基板57には挿通孔57b,57bを穿設してある。
そして、金属薄板58,58,・・・上であって、窓孔57a,57a,・・・の中央部に青色(B)を発光する半導体発光素子(LED)59を載置、固定し、シリコン、エポキシ等の材料を黄色に塗布した被覆層60を形成してある。これによって、LED装着体53の場合には、白色を発光するようになっている。
【0024】
LED装着体54は、図9に示すように、プリント基板61に所定間隔で窓孔61a,61a,・・・を穿設すると共に、その窓孔61a,61a,・・・部分の裏面に金属薄板62,62,・・・を固着してある。又、プリント基板61には挿通孔61b,61bを穿設してある。
そして、図10に示すように、金属薄板62,62,・・・上であって、窓孔61a,61a,・・・の中央部に赤色(R)を発光する半導体発光素子(LED)63、緑色(G)を発光する半導体発光素子(LED)64、青色(B)を発光する半導体発光素子(LED)65を載置、固定し、シリコン、エポキシ等の材料によって被覆層66を形成してある。これによって、LED装着体54の場合には、赤色、緑色又は青色を個別に発光するようになっている。
【0025】
LED装着体53,54は、プリント基板57,61の挿通孔57b,57b,61b,61bにネジ62,62,・・・を挿通することによって、支持板52に固定できるようになっている。
被覆部材55は、ポリカーボネート、アクリル等の無色透明な合成樹脂によって成形されており、LED装着体53,54を被覆するよう配設してある。
【0026】
さらに、図7に示すように、搬送装置2の側面フレーム11の上端部と側面フレーム12の上端部に渡って、保護板材67が配置されており、保護板材67も、ポリカーボネート、アクリル等の無色透明な合成樹脂によって成形されている。
【0027】
制御装置5は、筐体71内に電源72、駆動制御回路基板73、発光制御回路基板74等を配設したものであって、筐体71の表面パネル71aには、モータ駆動ボタン75、モータ停止ボタン76、LED発光ボタン77、非常停止ボタン78を配設してある。
【0028】
駆動制御回路基板73には、回転速度調整ダイヤルが配設されており、回転速度調整ダイヤルを適宜操作することによって、駆動モータ22の回転速度を設定できるようになっている。
発光制御回路基板74には、半導体発光素子(LED)59,63,64,65の各発光量調整ダイヤルが配設されており、発光量調整ダイヤルを適宜操作することによって、半導体発光素子(LED)59,63,64,65を発光可能にすると共に、発光量を設定できるようになっている。
【0029】
予め駆動モータ22の回転速度を設定し、半導体発光素子(LED)59,63,64,65の各発光量を設定した後に、モータ駆動ボタン75を押下すれば、駆動モータ22が駆動し、搬送ベルト16が移動を開始する。モータ停止ボタン76を押下すれば、駆動モータ22が停止し、搬送ベルト16が停止する。
又、LED発光ボタン77を押下すれば、発光可能とされた半導体発光素子(LED)59,63,64,65が設定した発光量で発光を開始する。
【0030】
搬送ベルト16が異常な動作をしたり、半導体発光素子(LED)59,63,64,65が異常に発光したりした場合等、非常事態が発生した場合には、非常停止ボタン78を押下すれば、光透過性物品検査装置1の電源72が遮断され、直ちに停止するようになっている。
【0031】
本発明の光透過性物品検査装置1は、以上のような構成であるから、予め、装置管理者は、検査する物品に対応させて、駆動モータ22の回転速度を設定すると共に、半導体発光素子(LED)59,63,64,65の発光の可否、発光量を設定しておく。
【0032】
物品の検査時には、検査作業者は、先ず、LED発光ボタン77を押下することによって、適宜半導体発光素子(LED)59,63,64,65を所定の発光量で発光させることができる。
【0033】
この時、半導体発光素子(LED)59のみを発光可能に設定しておけば、LED装着体53の半導体発光素子(LED)59にのみ電圧が印加され、白色光のみが発光し、被覆部材55、保護板材67を透過し、半透明の搬送ベルト16に照射される。
【0034】
又、半導体発光素子(LED)63,64,65の何れかのみを発光可能に設定しておけば、LED装着体54の半導体発光素子(LED)63,64,65の何れかのみ電圧が印加され、赤色、緑色又は青色の何れかのみが発光し、被覆部材55、保護板材67を透過し、半透明の搬送ベルト16に照射される。
【0035】
又、半導体発光素子(LED)63,64,65の何れかを同時に発光可能に設定しておけば、LED装着体54の半導体発光素子(LED)63,64,65の何れかに同時に電圧が印加され、赤色、緑色又は青色の何れかが同時に発光し、加法混色によって所定の色彩の光となり、被覆部材55、保護板材67を透過し、半透明の搬送ベルト16に照射される。
【0036】
検査作業者は、次に、モータ駆動ボタン75を押下することによって、駆動モータ22を駆動させ、所定速度で搬送ベルト16を移動させることができる。
そして、搬送ベルト16上に野菜、果物等の食料品を載置すれば、食料品を搬送ベルト16によって搬送することができる。
【0037】
食料品が半導体発光素子(LED)59,63,64,65の照射領域に到達したら、検査作業者は、白色光又は所定の色彩の光が照射された食料品を目視し、食料品の内部に毛髪、ごみ、小さな虫等の異物が混入していないか検査する。
そして、毛髪、ごみ、小さな虫等の異物が混入している場合には、検査作業者は、その食料品を搬送ベルト16上から取り除き、又は、搬送ベルト16の側端部に移動させ、優良品と不良品とを選別する。
【0038】
通常は、白色光を照射して物品を検査する場合が多いが、白色の豆腐を透明の合成樹脂フィルムで包装した物品を検査する場合には、白色以外の赤色、緑色又は青色の光を照射した方が、合成樹脂フィルムに混入した異物、損傷又は破損個所をより容易に確認することができる。
【0039】
又、外葉、外皮に緑色、赤色等の色彩を有する野菜、果物にあっては、外葉、外皮の色彩と異なる色彩の光を照射した方が、野菜の内葉、果物の果肉に混入した異物をより容易に確認することができる。
【0040】
本発明の物品検査装置1は、半導体発光素子(LED)59,63,64,65を使用しており、光がちらつくことなく、安定的に照射されるから、検査作業者が疲労し難く、長時間に渡って検査作業の効率を維持することができる。又、視力を損なう虞もなく、健康上にも問題はない。
【0041】
又、白色光だけではなく、赤色光、緑色光又は青色光を選択して、さらには、それらの色彩を加法混合した適宜色彩の光を選択して、発光させることができるから、青色、赤色、黄色等の物品の色彩に対応した適宜色彩の光を照射することができて、物品の内部を目視するのをより容易にして、検査を効率的にすることができる。
【0042】
さらに、半導体発光素子(LED)59,63,64,65を使用しているから、消費電力も小さくなり、電気料金を削減することができると共に、照射装置を小さくすることができ、装置全体も小型にすることができる。
【0043】
尚、本発明の物品検査装置1は、上記実施形態で説明したものに限られず、キャスター37,37,・・・を採用せずに、固定用の支持架台に変更する等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々実施形態を変形することができること、勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 物品検査装置
2 搬送装置
3 支持架台
4 照射装置
5 制御装置
16 搬送ベルト
53 LED装着体
54 LED装着体
57 プリント基板
59 半導体発光素子
61 プリント基板
63,64,65 半導体発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透明な搬送ベルト上に物品を載置させて移動させる搬送装置と、前記搬送装置を支持する支持架台と、前記搬送ベルトの下方に、半導体発光素子をプリント基板上に載置、固定したLED装着体を配設し、搬送ベルトを下方から照射する照射装置と、前記搬送ベルトを作動、制御すると共に、前記半導体発光素子の発光を制御する制御装置とから構成されることを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記LED装着体は、赤色を発光する半導体発光素子と、緑色を発光する半導体発光素子と、青色を発光する半導体発光素子とをプリント基板上に載置、固定したものであることを特徴とする請求項1に記載の光透過性物品検査装置。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の半導体発光素子を各別に発光可能にすると共に、各別に半導体発光素子の発光量を設定できるものであることを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記LED装着体として、白色を発光するものをも配置したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の光透過性物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3129(P2013−3129A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143522(P2011−143522)
【出願日】平成23年6月12日(2011.6.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成23年6月7日〜10日 社団法人日本食品機械工業会主催の「FOOMA JAPAN2011 国際食品工業展」に出品
【出願人】(511158018)サムテック・イノベーションズ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】