説明

物品集積受渡し装置

【課題】供給コンベヤを介した上流側からの物品の供給を止めることなく、継続的な搬送を維持しながら、従来のように規制手段による物品の変形や損傷を受けずに物品を所定数の物品群に集積して次工程に対して間欠的に受渡すことが可能な物品集積受渡し装置を提供する。
【解決手段】物品15を1列で搬送する供給コンベヤ1と所定数の物品群に集積する集積コンベヤ3との間に中間コンベヤ2を配設し、集積コンベヤ3に物品15を集積する際には、中間コンベヤ2の搬送速度を供給コンベヤ1より速くすることにより物品相互間の間隔をあけるとともに、受渡し手段4により集積コンベヤ3に集積された物品群を次工程へ受渡す際には、中間コンベヤ2を停止して供給コンベヤ1から供給される物品を中間コンベヤ2上に貯留させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1列で供給される紙パックなどの適宜の物品を所定数に集積してケーサやパストライザなどの次工程へ受渡す物品集積受渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パストライザなどの容器処理装置では、1列で供給される容器を所定本数の容器群に集積した上、その容器群の列方向と直交した方向に押出すことにより、所定本数の容器を横一線の状態で同時に当該処理装置へ受渡すタイプの受渡し装置が従来から知られている(特許文献1)。そして、この種の従来技術の場合には、容器を所定本数に集積する際に後続の容器と切離すための手段としてロータリストッパなどの規制手段が採用され、その規制手段により後続の容器の進行を停止することによって、所定本数の容器群を後続の容器から切離して集積するのが一般的である。
【特許文献1】特開2001−10717号公報
【0003】
ところで、従来技術においては、上述のように物品を所定本数に集積する際に後続の物品と切離す手段としてロータリストッパなどの規制手段を用いていたため、対象物品が軟質の物品などの場合には、その規制手段によって物品が変形したりキズがつきやすいといった厄介な問題があった。すなわち、供給コンベヤ上を連続的あるいはランダムに供給される物品が規制手段により停止されると、物品相互間が密接した詰った状態で蓄積され、その先頭の物品には後続の各物品に作用する供給コンベヤからの搬送力などが積算されてかなりの押圧力として作用するため、規制手段との当接部などに変形やキズが生じやすいという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑みて開発したもので、供給コンベヤを介した上流側からの物品の供給を止めることなく、継続的な搬送を維持しながら、従来のように規制手段による物品の変形や損傷を受けずに物品を所定数の物品群に集積して次工程に対して間欠的に受渡すことが可能な物品集積受渡し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、前記課題を解決するため、物品を1列で搬送する供給コンベヤと、該供給コンベヤの下流側に配設され、所定数の物品を集積する集積コンベヤと、前記集積コンベヤに集積された物品群を次工程へ受渡す受渡し手段とを備えた物品集積受渡し装置において、前記供給コンベヤと集積コンベヤとの間に中間コンベヤを配設して、集積コンベヤに物品を集積する際には、前記中間コンベヤの搬送速度を供給コンベヤより速くすることにより物品相互間の間隔をあけるとともに、前記受渡し手段により物品群を次工程へ受渡す際には、前記中間コンベヤを停止して供給コンベヤから供給される物品を中間コンベヤ上に貯留させることにより、従来のように規制手段による物品の変形や損傷を受けることなく、物品を所定数の物品群に集積して次工程へ間欠的に受渡すという技術手段を採用した。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、上述のように、集積コンベヤに物品を集積する際に、中間コンベヤの搬送速度を供給コンベヤより速くすることにより物品相互間の間隔をあけておき、前記受渡し手段により物品群を次工程へ受渡す際に、その物品相互間の間隔を活用して、供給コンベヤから供給される物品を中間コンベヤ上に貯留させるようにしたので、受渡し動作中に供給コンベヤから継続的に供給される物品は、先頭部分から停止中の中間コンベヤ上に押込まれ、中間コンベヤ上を摺動して中間コンベヤ上に残存する物品相互間の間隔を順次詰めながら貯留され、従来のような大きな押圧力にはならないことから、変形や損傷を受けることなく円滑に所定数の物品群に集積して下流側の処理装置に受渡すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、紙パックやPETボトルなどの軟質の物品の集積受渡し装置として好適であるが、他の物品の集積受渡し装置としても広く適用することが可能であり、より円滑な動作を得るために有効である。本発明は、通常運転状態において供給コンベヤが連続運転されることを前提に適用されるが、その供給コンベヤを介して供給される物品の供給形態に関しては、物品相互間が接した状態で連続供給される場合でも物品相互間が不規則に離間したランダムな状態で供給される場合でも適用が可能なことはいうまでもない。前記中間コンベヤの全長や供給コンベヤに対する増速の割合などに関しては、対象物品のサイズや集積個数、次工程への受渡し動作時間などとの関係から、受渡し動作中に供給コンベヤから供給される物品を無理なく吸収して貯留するために必要とされる、物品相互間の間隔を勘案して自由な設定が可能である。また、前記供給コンベヤ、中間コンベヤ、及び集積コンベヤとして採用する具体的なコンベヤの種類に関しては、物品を1列で搬送する形式のものであれば、他に特段の制約はない。さらに、前記供給コンベヤの上流側の搬送形態や、前記集積コンベヤから次工程へ受渡した後の下流側の搬送形態に関しては、同時に搬送する搬送列数を含めて自由な設定が可能である。なお、集積コンベヤに所定数の物品が集積された集積完了状態を認識する手段としては、以下の実施例のように、集積コンベヤへ移送される物品の数をカウントして集積完了状態を認識するものであってもよいし、集積コンベヤへ所定数の物品が移送された場合の最後方の物品の位置に合わせてセンサを設け、そのセンサによる検出状態の所定時間以上の継続により停止状態の当該物品を検知して集積完了状態を認識するものであってもよい。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の一実施例の要部に関する配置状態を示した概略平面図である。図中1は供給コンベヤで、その上流側から搬送される例えば充填キャッピング処理が完了した容器などの対象物品を下流側の中間コンベヤ2に1列状態で供給する搬送手段である。中間コンベヤ2の下流側には集積コンベヤ3が接続され、中間コンベヤ2から供給される物品を所定数に集積した後、受渡し手段4により1列状態のままパストライザ等の次工程の搬送手段5上へ受渡すように構成されている。そして、本実施例では、次工程へ受渡された所定数の物品は、搬送手段5により横一線に並んだ状態のまま直交する方向に順次間欠的あるいは低速で連続搬送されながら所期の処理が行われ、その後下流側の受渡し手段6を介して1列ずつ排出コンベヤ7に受渡され、1列状態にて更に下流側へ排出されるように構成されている。
【0009】
図示のように、本実施例では、前記供給コンベヤ1、中間コンベヤ2、集積コンベヤ3は、それぞれ制御装置8により回転速度制御可能な駆動モータ9〜11によって独立して駆動されるように構成されている。因みに、本実施例では中間コンベヤ2と集積コンベヤ3とを別個に構成したが、一つの連続したコンベヤで構成することも可能である。集積コンベヤ3の入口部分にはそこを通過する物品を検出するセンサ12が配設され、その検出結果を制御装置8へ送信して集積コンベヤ3へ移送された物品の数をカウントするように構成されている。また、同集積コンベヤ3の入口部分には物品の集積コンベヤ3への移送を阻止するストッパ13が配設され、終端部には先頭の物品が当接する位置決め用のストッパ14が配設されている。
【0010】
図2は前記実施例の動作を示した動作説明図である。状態Aは、供給コンベヤ1から中間コンベヤ2へ物品15の供給が開始された状態を例示したもので、この動作段階では制御装置8により駆動モータ9,10を介して中間コンベヤ2及び集積コンベヤ3の搬送速度が供給コンベヤ1より速く設定される。その結果、中間コンベヤ2上の物品15相互間の間隔は増大される。この運転状態では、ストッパ13は後退状態にあるので、中間コンベヤ2を通過した物品15は集積コンベヤ3上へ順次移送される。因みに、本実施例では、集積コンベヤ3の搬送速度は中間コンベヤ2と同速に設定される。この集積コンベヤ3上への物品15の移送は前記センサ12により検出され、制御装置8において移送数がカウントされる。すなわち、本実施例では、センサ12と制御装置8の計数処理部により、集積コンベヤ3の入口部分を通過する物品15の移送数をカウントする計数手段が構成されている。
【0011】
そして、状態Bに例示したように、集積コンベヤ3上に所定数、本実施例では9個の物品15が移送されて集積が完了すると、同時にセンサ12と制御装置8とから構成される前記計数手段により通過数がカウントされて集積完了状態が認識されることになる。そして、この所定数の物品15の集積完了状態が認識された場合には、制御装置8を介して中間コンベヤ2を停止させるとともに、図示のようにストッパ13を前進させて中間コンベヤ2から集積コンベヤ3上への物品15の移送を阻止する状態に移行する。因みに、この場合、集積コンベヤ3は、中間コンベヤ2と同時に停止させるのが望ましいが、当該集積数に応じ先頭の物品に作用する押圧力が支障を来さない程度のものである場合には、駆動状態を継続させるように構成することも可能である。
【0012】
状態Cは集積コンベヤ3上に集積された所定数の物品15を1列状態のまま受渡し手段4により次工程の搬送手段5上へ受渡す動作段階を例示したものである。この受渡し手段4による集積コンベヤ3から搬送手段5への物品15の受渡しは、後述のような具体的手段を用いて行われるが、その受渡し動作には一定の動作時間がかかることはいうまでもない。そして、その受渡し動作中の間にも供給コンベヤ1からは物品15が継続的に供給されることから、従来は、それらの物品15が停止中の中間コンベヤ2との接続部を境に蓄積されて物品相互間が密接し、前述のように先頭の物品に後続の各物品15に作用する供給コンベヤ1からの搬送力などが積算されてかなりの押圧力として作用して支障を来すという厄介な問題があった。この問題を解決したのが正に本発明の特徴であり、本発明では、上述のように状態Aから状態Bの集積コンベヤ3に対する物品15の集積過程において、中間コンベヤ2の搬送速度を供給コンベヤ1の搬送速度より速く設定して物品相互間の間隔を増大するという解決手段を採用した。すなわち、本発明によれば、状態Aから状態Bの集積コンベヤ3に対する物品15の集積過程において、中間コンベヤ2上の物品相互間の間隔が十分あけられるので、状態Bから状態Cの搬送手段5上への物品15の受渡し動作時に、供給コンベヤ1から継続的に搬送される物品15が停止中の中間コンベヤ2との接続部を境に蓄積して、その先頭の物品に後続の物品からの押圧力が作用しても、その押圧力が一定値を超えれば、先頭部分から中間コンベヤ2上に順次乗移り、その中間コンベヤ2上に残存する各物品相互間の間隔を順次詰めながら摺動して押圧力が吸収されることから、押圧力が支障のある大きさに増大することは確実に回避される。
【0013】
状態Dは集積コンベヤ3に対する次回の物品15の集積段階を例示したものである。上述のように、状態Bから状態Cにおける受渡し手段4による集積コンベヤ3から搬送手段5への物品15の受渡しが完了した場合には、この状態Dに例示した次回の集積段階に移行する。この集積コンベヤ3に対する物品15の集積段階では、前記制御装置8により搬送手段5への物品15の受渡し動作の完了が認識され、それに基づいて駆動モータ10,11を介して中間コンベヤ2及び集積コンベヤ3の搬送が再開されるとともに、ストッパ13が後退位置に退避される。これにより、図示のように、状態Cにおける中間コンベヤ2上の物品15がそのまま集積コンベヤ3上に移送され、物品15の集積動作が実行されることになる。そして、状態Bで示したように集積コンベヤ3上に所定数の物品15が集積されると、以上の動作を繰返すことになる。
【0014】
なお、図3は前記受渡し手段4の具体例を示したもので、図示のように本実施例の受渡し手段4は、図示しない機枠側に設置された水平移動用シリンダ16と、その水平移動用シリンダ16の進退軸17に固着された支持部材18を介して設置された二つの昇降用シリンダ19,20と、それらの昇降用シリンダ19,20の昇降軸21,22に固着された当接部材23,24とにより構成される。因みに、受渡し手段4は、集積コンベヤ3に集積される物品15と同数の、上記各シリンダや当接部材23,24からなる受渡し部を備え、各物品15ごとに個別的に対応して受渡すように構成してもよいし、集積された1列分の物品15に対応し得る1対の長尺の当接部材23,24を備え、1列分を同時に受渡すように構成してもよい。しかして、集積コンベヤ3に所定数の物品15が集積されるまでの間は、その集積動作と干渉しないように、当接部材23,24は上方に退避させておく。状態Bに示したように集積コンベヤ3に所定数の物品15が集積された場合には、図3に示したように昇降用シリンダ19,20により当接部材23,24を下降させて物品15の両側に位置させ、その状態で水平移動用シリンダ16の進退軸17を前進させることにより、当接部材23,24に挟まれた集積コンベヤ3上に集積した所定数の物品15を1列状態のまま一斉に押出して次工程の搬送手段5上に受渡すことになる。因みに、搬送手段5の下流側に配設される受渡し手段6に関しても同様の機構が採用可能である。なお、図中25は渡り板を示したものである。また、図4に例示したように、供給コンベヤ1と中間コンベヤ2との間や、中間コンベヤ2と集積コンベヤ3との間にも、必要に応じて渡り板26を配設してもよい。さらに、図5に例示したように、コンベヤの端部を一部重合させてガイド27により物品を下流側のコンベヤへ誘導するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の要部に関する配置状態を示した概略平面図である。
【図2】同実施例の動作を示した動作説明図である。
【図3】受渡し手段に関する具体例を示した正面図である。
【図4】コンベヤ間の接続部を拡大して示した正面部分拡大図である。
【図5】コンベヤ間の他の接続例を拡大して示した平面部分拡大図である。
【符号の説明】
【0016】
1…供給コンベヤ、2…中間コンベヤ、3…集積コンベヤ、4…受渡し手段、5…搬送手段、6…受渡し手段、7…排出コンベヤ、8…制御装置、9〜11…駆動モータ、12…センサ、13,14…ストッパ、15…物品、16…水平移動用シリンダ、17…進退軸、18…支持部材、19,20…昇降用シリンダ、21,22…昇降軸、23,24…当接部材、25,26…渡り板、27…ガイド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を1列で搬送する供給コンベヤと、該供給コンベヤの下流側に配設され、所定数の物品を集積する集積コンベヤと、前記集積コンベヤに集積された物品群を次工程へ受渡す受渡し手段とを備え、前記供給コンベヤと集積コンベヤとの間に中間コンベヤを配設して、集積コンベヤに物品を集積する際には、前記中間コンベヤの搬送速度を供給コンベヤより速くすることにより物品相互間の間隔をあけるとともに、前記受渡し手段により物品群を次工程へ受渡す際には、前記中間コンベヤを停止して供給コンベヤから供給される物品を中間コンベヤ上で貯留するようにしたことを特徴とする物品集積受渡し装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−111406(P2006−111406A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300706(P2004−300706)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】