説明

物流倉庫設備選定支援システム

【課題】物流倉庫内の物流機器の設計を支援するシステムを利用することは導入する物流機器やその配置等の案を提示することには有効であるが、コスト等の情報を提示することは想定していない。
【解決手段】本発明では、物流倉庫の三次元データと荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、必要な機器を配置し、データ化する配置手段と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、最適物流機器を抽出して、配置した物流機器のデータに基づいて三次元モデルを作成し、決定された、使用する物流機器、数量を入力条件として、契約形態毎の価格を算出して見積書と契約書から成る帳票を出力し、決定された物流機器を契約形態と共に記録する物流倉庫設備選定支援システムを提案している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流倉庫設備選定支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫会社が、現在の荷物の保管効率や作業効率の向上を図るために倉庫内の物流機器の配置を変更する場合や、取り扱う荷物の荷姿が変更となり、それに対応するために倉庫内の物流機器の配置を変更する場合等において、現状では、倉庫会社は、物流機器の各メーカーに個々に問い合わせて、打ち合わせを行い、新たに必要となる物流機器や、倉庫内の配置、コスト、納期等の条件を考慮して選定を行っている。
【0003】
一方、物流倉庫内の物流機器の配置等を含めた設計を支援するシステムとしては、従来、例えば特許文献1に示すようなシステムがある。
【0004】
このシステムは、物流倉庫内において取り扱う物品が入荷し、出荷するまでに行う工程や、それらの工程を行うために必要となる設備等を選定し、選定した設備等により物流倉庫内のレイアウトを決定するようにした物流倉庫設計作業の支援を行うシステムであり、既存の物流倉庫における設計諸元を予め格納したデータベースから、設計作業者が選択したデータを読み込んで出力表示し、その表示したデータに対する前記設計作業者の修正を入力し、これに応じて前記物流倉庫内各部のレイアウトの設計案を作成し、その設計案を三次元CAD等を用いて描画して表示すると共に、夫々の設計案に関する所定の評価パラメータを演算して、それらの演算結果を順次記憶しておき、それらを互いに比較可能に一覧表示するというものである。
【特許文献1】特開平11−39367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
倉庫会社自体が、物流機器の各メーカーに個々に問い合わせて、選定を行う現状の方法では、導入までに非常に手間と時間が掛かってしまうため、複数の物流機器メーカーの物流機器の情報を熟知している第三者が倉庫会社に代わって、物流機器の導入に際しての倉庫設備の選定に対して支援を行えるようにすること経済活動上、非常に有意義なことである。
【0006】
そこで、上述した特許文献1に示されるような物流倉庫内の物流機器の配置等を含めた設計を支援するシステムを利用することが有効であるが、このシステムでは、導入する物流機器やその配置等の案を提示することには有効であるが、倉庫会社にとって重要な事項の一つであるコスト等の情報を提示することは想定していない。
そこで本発明はこのような課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、物流倉庫の三次元データと、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、倉庫内に必要な物流機器を配置し、その三次元配置をデータ化する物流機器配置手段と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出する物流機器抽出手段と、物流機器配置手段によって配置した物流機器の三次元データに基づいて倉庫の三次元モデルを作成し、表示する三次元モデル作成表示手段とから成る物流倉庫設計手段と、物流倉庫設計手段により決定された、使用する物流機器、数量を入力条件とし、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルとを参照して、契約形態毎の価格を算出して見積書と契約書を出力するコスト処理手段と、決定された物流機器が、契約形態と共に記録する顧客マスターファイルとを備えた物流倉庫設備選定支援システムを提案するものである。
【0008】
また本発明では、物流倉庫の三次元データと、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、倉庫内に必要な物流機器を配置し、その三次元配置をデータ化する物流機器配置手段と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出する物流機器抽出手段と、物流機器配置手段によって配置した物流機器の三次元データに基づいて倉庫の三次元モデルを作成し、表示する三次元モデル作成表示手段とから成る物流倉庫設計手段と、物流倉庫設計手段により決定された、使用する物流機器、数量を入力条件とし、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルと、運搬費マスターファイルとを参照して、契約形態毎の価格を、運搬費を含めて算出して見積書と契約書から成る帳票を出力するコスト処理手段と、決定された物流機器を契約形態と共に記録する顧客マスターファイルとを備えた物流倉庫設備選定支援システムを提案するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明においては、対象とする倉庫の三次元データを物流機器配置手段に入力するステップと、荷物の形状、数量及び寸法を物流機器抽出手段に入力するステップとを実行することにより、入力された条件により物流機器抽出手段において、物流機器マスターファイルから最適物流機器の名前と、その数量を抽出する処理が実行される。
【0010】
次いで、抽出された物流機器と数量のデータが物流機器配置手段に入力され、入力された条件により物流機器配置手段において、倉庫内に必要な物流機器が配置され、その三次元配置がデータ化される処理が実行される。
【0011】
次いで、物流機器の三次元配置のデータから三次元モデル作成表示手段において倉庫の三次元モデルが作成され、表示される処理が実行される。
【0012】
この際、物流機器抽出手段又は物流機器配置手段に変更条件が入力されると、入力された変更条件により物流機器抽出手段又は物流機器配置手段において処理が再実行され、物流機器配置手段により配置された物流機器の配置のデータが得られる。
【0013】
次いで物流機器の名前と、その数量と、入力された使用期間を入力して設定条件としてコスト処理手段の処理が実行され、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルとが参照されて契約形態毎の価格が算出されると共に、夫々の契約形態毎の見積書と契約書が出力される。
【0014】
契約形態が決定された場合には、決定された物流機器が、契約形態と共に顧客マスターファイルに記録される。
【0015】
以上の発明によれば、物流倉庫設計手段2は、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出すると共に、倉庫内に必要な物流機器を配置し、そのデータに基づいて倉庫の三次元モデルを作成して表示が可能であるので、顧客は、通常の図面等の設計資料の他に、三次元モデルの表示により、非常に分かりやすく設計案を確認することができる。
【0016】
そして本発明では、確認されて決定された設計データをコスト処理手段によって処理して、コストに関するデータ、即ち、設計案を導入する際のコストを、各形約形態毎に見積書及び契約書という書式により出力が可能であるので、顧客は、設計案を導入する場合のコストを、契約形態毎に直接的に確認することができる。
【0017】
また他の発明においては、上述したコスト処理手段の処理において、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルと、運搬費マスターファイルが参照されて契約形態毎の価格が、運搬費を含めて算出され、運搬費を含めた、夫々の契約形態毎の見積書と契約書が出力されるので、顧客は、設計案を導入する場合のコストを、運搬費を含めて契約形態毎に直接的に確認することができる。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の物流倉庫設備選定支援システムの実施の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明における物流倉庫設備選定支援システムの全体構成を模式的に示すものである。
符号1は本発明における各手段を構成するコンピュータシステムを示すもので、2は物流倉庫設計手段であり、この物流倉庫設計手段2は、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、倉庫内に必要な物流機器を配置し、その三次元配置をデータ化する物流機器配置手段3と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出する物流機器抽出手段4と、物流機器配置手段3によって配置した物流機器の三次元データに基づいて倉庫の三次元モデルを作成し、表示する三次元モデル作成表示手段5とから構成している。
【0019】
符号6はコスト処理手段であり、このコスト処理手段6は、使用する物流機器、数量を入力条件とし、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルと、運搬費マスターファイルと、運搬費マスターファイルとを参照して、契約形態毎の価格を算出して見積書と契約書から成る帳票を出力する処理を行う。
【0020】
符号7は上述した物流倉庫設計手段2を構成する物流機器配置手段3、物流機器抽出手段4、三次元モデル作成表示手段5及びコスト処理手段6が参照するマスターファイル群であり、符号8は倉庫マスターファイル、9は物流機器マスターファイル、10は契約形態マスターファイル、11は単価マスターファイル、12は運搬費マスターファイル、13は顧客マスターファイルを示している。また、符号14は書庫ファイルであり、この書庫ファイル14は、ファイル化した図面を蓄積した図面ファイル15と、契約書や見積書等のファイル化した必要書類を蓄積した書式ファイル16とから構成される。尚、図中、符号17はキーボード、マウス等の入力手段、18はディスプレイ、プリンタ等の出力手段である。
【0021】
図2〜図7は、夫々倉庫マスターファイル8、物流機器マスターファイル9、契約形態マスターファイル10、単価マスターファイル11、運搬費マスターファイル12、顧客マスターファイル13のファイル構成を示すものである。
【0022】
まず、図2に示す倉庫マスターファイル8は、設計した各倉庫のデータを過去の分を含めて蓄積したマスターファイルであり、以下のデータ項目を有している。
<項目1>
案件番号:倉庫の案件毎に採番した番号の数値又は文字データである。
例:40-001,40-002,……
<項目2>
倉庫会社名:倉庫会社の名称を示す文字データである。
例:AA倉庫株式会社,BB倉庫有限会社,XX株式会社,…
<項目3>
倉庫名:倉庫自体の名前を示す文字データである。
例:aa倉庫,bb倉庫,…
<項目4>
案件名:倉庫の内容を説明した文字データである。
例:AB商品保管用,CC商品保管用,…
<項目5>
倉庫内幅:倉庫内のサイズを示す数値データ(単位:m)で、物流機器の配置、抽出に使用する。
例:100,80,…
<項目6>
倉庫内奥行:倉庫内のサイズを示す数値データ(単位:m)で、物流機器の配置、抽出に使用する。
例:80,50,…
<項目7>
倉庫内高さ:倉庫内のサイズを示す数値データ(単位:m)で、物流機器の配置、抽出に使用する。
例:10,…
<項目8>
都道府県名:都道府県名を示す文字データで、運搬費の算出に使用する。
例:東京都,埼玉県,…
(尚、都道府県をコード化した数値データに代えることができる。)
<項目9>
住所1:地域を示す文字データで、運搬費の算出に使用する。
例:千代田区,さいたま市,…
(尚、市、区等をコード化した数値データに代えることができる。)
<項目10>
住所2:細分化した地域を示す文字データで、運搬費の算出に使用する。
例:猿楽町、浦和区,
(尚、町、区等をコード化した数値データに代えることができる。)
<項目11>
躯体図面番号:躯体図面を示す文字又は数値データであり、上記書庫ファイル14への、ファイル化した躯体図面の記録及び呼出に使用する。
例:KUTAI-001,KUTAI-002,…
<項目12>
レイアウト図面番号:レイアウト図面を示す文字又は数値データであり、上記書庫ファイル14への、ファイル化したレイアウト図面の記録及び呼出に使用する。
例:LAYOUT-001,LAYOUT-002,…
<項目13>
フォーク使用:フォークリフトの使用が可能か否かを示す文字又は数値データであり、物流機器の選定に使用する。
【0023】
次に図3に示す物流機器マスターファイル8は、選定可能な全ての物流機器メーカーの全ての物流機器の諸元(仕様)を蓄積したマスターファイルであり、以下のデータ項目を有している。尚、データ例は図中に示しているので記載を省力する。
<項目1>
物流機器メーカー:製造会社名を示す文字データである。
<項目2>
品番:本システムの管理者の商品管理番号を示す文字データである。
<項目3>
品名:商品名を示す文字データである。
<項目4>
商品分類:商品の分類を示す文字データである。
<項目5>
(外寸)幅:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目6>
(外寸)奥行:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目7>
(外寸)高さ:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目8>
(内寸)幅:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目9>
(内寸)奥行:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目10>
(内寸)高さ:各商品のサイズを示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目11>
色:色を示す文字又は数値データであり、物流機器の選定における色指定に使用する。
<項目12>
積載荷重:積載荷重を示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目13>
積重・天地段数:積重の天地段数を示す数値データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
<項目14>
特徴:レイアウトを変更しての使用が可能か否か等の特徴を示す文字データであり、物流機器の配置、抽出に使用する。
【0024】
次に図4に示す契約形態マスターファイル8は、可能な契約形態を示すもので、以下のデータ項目を有している。尚、データ例は図中に示しているので記載を省力する。
<項目1>
契約・工事種別:各種契約の種類や工事の種類を示す文字データである。
<項目2>
書式ファイル番号:各種契約の種類や工事の種類毎の契約書や見積書の書式を書庫ファイル14の書式ファイル16中から取り出すための書式ファイル番号を示す数値データである。
【0025】
次に図5に示す単価マスターファイル11は、各商品、各契約形態・工事種別毎の単価を示すもので、この例では、各商品と単価を対応させた各契約形態毎の複数のサブファイル11a,11b,…11nとから構成されている。即ち、サブファイル11aは、契約形態が「レンタル」の場合の、各商品と単価を対応させたもの、サブファイル11bは契約形態が「販売」の場合の、各商品と単価を対応させたもの、サブファイル11nは工事種別が「解体工事」の場合の、各商品と単価を対応させたものであり、夫々のサブファイル11a,11b,…11nf以下のデータ項目を有している。
<項目1>
品番:本システムの管理者の商品管理番号を示す文字データである。
<項目2>
単価:各商品、各契約形態毎の単価を示す数値データである。
【0026】
次に図6に示す運搬費マスターファイル12は、商品、運搬距離、使用車体の組み合わせ毎に設定した運搬費を示すものであり、以下のデータ項目を有している。尚、データ例は図中に示しているので記載を省力する。
<項目1>
品番:本システムの管理者の商品管理番号を示す文字データである。
<項目2>
積載数量:車体に積載可能な数量を示す数値データである。
<項目3>
運搬距離:例えば10km毎に設定した運搬距離を示す数値データである。
<項目4>
運搬車積載量:運搬に使用する車体の種類を、それらの積載量により示す数値データである。
<項目5>
運搬費:商品、運搬距離、運搬車積載量の組み合わせ毎に設定した運搬費、この場合、運搬車1台使用毎の単価を示す数値データである。
【0027】
図6に示す運搬費マスターファイル12は、表計算可能なファイルとして構成され、上記項目3と項目4を入力項目として、予め設定されたセル間の演算式により、運搬費を算出して設定される構成としたものである。
【0028】
この他、運搬費マスターファイル12は、図5の単価マスターファイル11と同様にサブファイルの集合として構成することができる。即ち、運搬費マスターファイル12は、運搬距離と使用車体の二次元組み合わせ毎に、品番と運搬費を対応させた複数のサブファイルの集合として構成することができる。
【0029】
次に図7に示す顧客マスターファイルは、契約した顧客と倉庫のデータを蓄積したもので、以下のデータ項目を有している。尚、データ例は図中に示しているので記載を省力する。
<項目1>
倉庫会社名:倉庫会社の名称を示す文字データである。
<項目2>
フリガナ:倉庫会社の名称のフリガナを示す文字データである。
<項目3>
住所:倉庫会社の住所を示す文字データである。
<項目4>
フリガナ:倉庫会社の住所のフリガナを示す文字データである。
<項目5>
担当者:倉庫会社の担当者を示す文字データである。
<項目6>
倉庫案件名:倉庫マスターファイルの項目3の倉庫名と、項目4の案件名を組み合わせた文字データである。
<項目7>
フリガナ:倉庫案件名のフリガナを示す文字データである。
<項目8>
住所:倉庫自体の住所を示す文字データである。
<項目9>
担当者:倉庫の担当者を示す文字データである。
<項目10>
品番:契約した商品の、本システムの管理者の商品管理番号を示す文字データである。
<項目11>
品名:商品名を示す文字データである。
<項目12>
契約・工事種別:契約した契約の種類や工事の種類を示す文字データである。
<項目13>
単価:契約した商品の単価を示す数値データである。
<項目14>
数量:契約した商品の数量を示す数値データである。
<項目15>
期間:契約した期間を示す数値データである。
【0030】
以上の本発明において、例えば倉庫会社が、現在の倉庫における荷物の保管効率や作業効率を向上することを目的として、倉庫内における物流機器のレイアウトを変更する場合や、倉庫会社又は、その荷主の荷物の荷姿が変更となったことにより、その荷物を入荷、保管、出荷するのに新たな物流機器が必要となった場合、又は倉庫会社の荷主が変更となって、変更先の荷主の荷物を入荷、保管、出荷するのに物流機器が必要となった場合には、本システムの管理者は、上記倉庫会社又は荷主を顧客として、本システムを実行する。
【0031】
まず対象とする倉庫の三次元データを物流機器配置手段3に入力するステップと、荷物の形状、数量及び寸法を物流機器抽出手段4に入力するステップとを実行することにより、入力された条件により物流機器抽出手段4において、物流機器マスターファイル9から最適物流機器の名前と、その数量を抽出する処理が実行される。
【0032】
次いで、抽出された物流機器と数量のデータが物流機器配置手段3に入力され、入力された条件により物流機器配置手段3において、倉庫内に必要な物流機器が配置され、その三次元配置がデータ化される処理が実行される。
【0033】
次いで、物流機器の三次元配置のデータから三次元モデル作成表示手段5において倉庫の三次元モデルが作成され、表示される処理が実行される。
【0034】
この際、物流機器抽出手段4又は物流機器配置手段3に変更条件を入力すると、入力された変更条件により物流機器抽出手段4又は物流機器配置手段3において処理が再実行され、物流機器配置手段3により配置された物流機器の配置のデータが得られる。
【0035】
本発明の物流倉庫設備選定支援システムは、管理者のホストコンピュータにおいて実行してデータを出力し、その出力したデータを顧客に提示するためのデータファイル化することもできるが、例えばノートパソコンと称される可搬型のコンピュータによりシステムを構成することが可能であり、後者の場合には、条件を変更した場合の実行結果を知ることも可能である。こうして顧客は、通常の図面等の設計資料の他に三次元モデル等の表示により、非常に分かりやすく設計案を確認することができ、倉庫内の物流機器の配置を非常に明確に確認することができる。
【0036】
次いで、以上の処理において選定された物流機器の名前と、その数量と共に、使用期間を入力することにより、これらの条件を設定条件としてコスト処理手段6の処理が実行され、物流機器マスターファイル9と、契約形態マスターファイル10と、単価マスターファイル11とが参照されて、契約形態毎の価格が算出される。
【0037】
この際、コスト処理手段6の処理において、物流機器マスターファイル9と、契約形態マスターファイル10と、単価マスターファイル11に加えて、運搬費マスターファイル12とを参照することにより、契約形態毎の、運搬費を含めた価格が算出される。
【0038】
尚、以上の価格の算出は、次のステップから成る。まず選定された物流機器の数量に、選定された契約形態に対応して単価マスターファイル11により導出される物流機器の単価を乗じるステップにより、物流機器の総額が算出される。
【0039】
次いで次のステップにおいて、選定された物流機器と契約形態と、上記倉庫マスターファイル8の項目8、項目9及び項目10から導出される顧客の倉庫の場所と、管理者の運搬元の拠点の場所とから導出された運搬距離と、選定された運搬車積載量とから算出された運搬費単価に、選定された物流機器の数量を運搬費マスターファイル12の項目2の積載数量で除して、その値を繰り上げた数値を上記運搬費単価に乗じることにより、運搬費が算出される。
【0040】
そして次のステップにおいて、算出された物流機器の総額に運搬費を加算することにより、運搬費を含めた総額が算出される。
【0041】
これらの算出結果は、一般と同様に、ディスプレイ等に表示する他、印刷機により出力することができるが、本発明においては、上述した処理によって選定された物流機器の名前と、その数量並びに算出された価格のデータを、上述した書庫ファイル14の書式ファイル16から抽出された夫々の契約形態毎の見積書と契約書の所定個所に当てはめて出力することができる。図8は出力された見積書の例を示すものである。
【0042】
従って顧客は、設計案を導入する際のコストを、各形約形態毎に見積書及び契約書という書式により出力が可能であるので、顧客は、設計案を導入する場合のコストを、契約形態毎に直接的に確認することができる。
【0043】
こうして顧客により設計案が承認され、契約が成立した場合には、上述した顧客マスターファイル13に記録される。即ち、契約形態が決定された場合には、決定された物流機器が契約形態と共に顧客マスターファイル13に記録される。
【0044】
ここで、例えば倉庫会社A社と荷主B社の倉庫契約が解除、又は解約となって、倉庫会社A社が新たな荷主C社と倉庫契約を締結し、C社の荷物を入荷、保管、出荷するのに必要な物流機器を、A社又はC社が導入しようした際、A社の倉庫に、買戻特約付き販売契約に基づいて、本システムの管理者から購入した物流機器が存在する場合において、顧客が買取請求を行った場合には、管理者は、顧客マスターファイルの内容と照合を行うことにより、確認を行い、必要な買い取りを行う。
【0045】
こうして顧客は、買戻特約付き販売契約に基づくコスト低減の恩恵を受けることができる。
【0046】
尚、本発明のシステムでは、コスト処理手段6によるコストの算出において、上述した物流機器の単価や、運搬費の単価等の設定価格について、必要に応じて入力手段14による手動入力により変更可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は以上のとおりであるので、次のような特徴がある。
1.倉庫会社自体が、物流機器の各メーカーに個々に問い合わせて、選定を行う現状の方法では、導入までに非常に手間と時間が掛かってしまうが、本発明では、複数の物流機器メーカーの物流機器の情報を熟知している第三者、即ち上述した本システムの管理者が倉庫会社等に代わって、物流機器の導入に際しての倉庫設備の選定に対して支援を行うことができるので、経済活動上、非常に有意義であり、産業上の利用可能性が大である。
2.上述した特許文献1に示されるような物流倉庫内の物流機器の配置等を含めた設計を支援するシステムでは、導入する物流機器やその配置等の案を提示することには有効であるが、倉庫会社にとって重要な事項の一つであるコスト等の情報を提示することは想定していないのに対して、本発明では、コストに関するデータ、即ち、設計案を導入する際のコストを、複数の異なった形約形態毎に見積書及び契約書という書式により出力が可能であるので、顧客は、設計案を導入する場合のコストを、契約形態毎に直接的に確認することができ、この点でも産業上の利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明における物流倉庫設備選定支援システムの全体構成を模式的に示すものである。
【図2】倉庫マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図3】物流機器マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図4】契約形態マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図5】単価マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図6】運搬費マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図7】顧客マスターファイルのファイル構成を示すものである。
【図8】出力された見積書の一例を示すものである。
【符号の説明】
【0049】
1 コンピュータシステム
2 物流倉庫設計手段
3 物流機器配置手段
4 物流機器抽出手段
5 三次元モデル作成表示手段
6 コスト処理手段
7 マスターファイル群
8 倉庫マスターファイル
9 物流機器マスターファイル
10 契約形態マスターファイル
11 単価マスターファイル
11a,11b,…11n サブファイル
12 運搬費マスターファイル
13 顧客マスターファイル
14 書庫ファイル
15 図面ファイル
16 書式ファイル
17 入力手段
18 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流倉庫の三次元データと、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、倉庫内に必要な物流機器を配置し、その三次元配置をデータ化する物流機器配置手段と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出する物流機器抽出手段と、物流機器配置手段によって配置した物流機器の三次元データに基づいて倉庫の三次元モデルを作成し、表示する三次元モデル作成表示手段とから成る物流倉庫設計手段と、物流倉庫設計手段により決定された、使用する物流機器、数量を入力条件とし、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルとを参照して、契約形態毎の価格を算出して見積書と契約書から成る帳票を出力するコスト処理手段と、決定された物流機器を契約形態と共に記録する顧客マスターファイルとを備えたことを特徴とする物流倉庫設備選定支援システム。
【請求項2】
物流倉庫の三次元データと、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、倉庫内に必要な物流機器を配置し、その三次元配置をデータ化する物流機器配置手段と、各社の物流機器の諸元を記録した物流機器マスターファイルと倉庫マスターファイルを参照し、倉庫の面積と高さ、荷物の形状、数量及び寸法を入力条件として、物流機器マスターファイルから最適物流機器を抽出する物流機器抽出手段と、物流機器配置手段によって配置した物流機器の三次元データに基づいて倉庫の三次元モデルを作成し、表示する三次元モデル作成表示手段とから成る物流倉庫設計手段と、物流倉庫設計手段により決定された、使用する物流機器、数量を入力条件とし、物流機器マスターファイルと、契約形態マスターファイルと、単価マスターファイルと、運搬費マスターファイルとを参照して、契約形態毎の価格を、運搬費を含めて算出して見積書と契約書から成る帳票を出力するコスト処理手段と、決定された物流機器を契約形態と共に記録する顧客マスターファイルとを備えたことを特徴とする物流倉庫設備選定支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−75696(P2009−75696A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241863(P2007−241863)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(592192907)日建リース工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】