説明

物理的混合によるナノ複合体磁性粒子の作製およびそれにより得られる電磁波吸収体

【課題】 近年、通信機器の発達に伴い利用範囲の拡張傾向にあるGHz帯域の電磁波をカーボン等のマトリックス内に取り込まれた鉄などの磁性媒体により効率良く吸収するナノ複合体粉末の製造方法を与える。
【解決手段】 非良導体である無定形炭素と遷移金属またはその合金を基とする磁性材料とを物理的な手法により混合することで得られるナノ複合体磁性粒子とこれらのナノ複合体粒子に樹脂などのバインダーを加えることで得られる電波吸収体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、GHz帯域に電磁波吸収特性を有するナノメートルサイズの磁性体が無定形炭素等の非良導体と微細構造組織を形成した複合体粉末の製造方法であり、また、それを用いたおよびこれを用いた電磁波吸収体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GHz帯域の電磁波吸収体には、導体および誘電体以外にフェライト硬磁性体もしくは形状異方性を付与した金属系磁性体が用いられている。前者は磁化が低く吸収割合は小さいものの、5GHzから20GHzに対応する電磁波吸収体として利用されている(特許文献1、論文文献1)。他方、後者は鉄を中心として扁平化等の加工を施すことで形状による磁気異方性を付与し、GHz領域の電磁波吸収能を有する電磁波吸収体として製造販売されている(特許文献2参照)。
【0003】
一方で近年、杉本らは、溶融鋳造された希土類-鉄系金属間化合物を粉砕後、水素化および酸化による不均化処理によりナノ複合粒子、すなわちα−Fe/RO(X=1または1.5)とすることで、1〜3GHz帯域に良好な電磁波吸収能を有することを報告している(論文文献2および論文文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000-331816
【0005】
【特許文献2】特開平11-354973
【0006】
【非特許文献1】[論文文献1]S. Sugimoto, K. Okayama, S. Kondo, H. Ota, M. Kimura, Y. Yoshida, H. Nakamura, D. Book, T. Kagotani, and M. Homma, Mater. Trans., vol. 39, 1080 (1998).
【0007】
【非特許文献2】〔論文文献2〕T. Maeda, S. Sugimoto, T. Kagotani, D. Book, M. Homma, H. Ota, and Y. Houjou, Mater. Trans., vol. 41, 1172 (2000).
【0008】
【非特許文献3】〔論文文献3〕S. Sugimoto, T. Maeda, D. Book, T. Kagotani, K. Inomata, M. Homma, H. Ota, Y. Houjou, and R. Sato, J. Alloys Compd., vol. 330-332, 301 (2002).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および論文文献1記載のフェライト硬磁性体の場合は、自身の伝導性が低く渦電流による損失は小さい反面、本来の磁化が低く、薄型高性能電磁波吸収体の作製には不向きである。他方、特許文献2に記載されている形状異方化した鉄粉の場合は、高い電磁波吸収能を有するものの、本来導体であるため渦電流に基づく磁化損失に加え、扁平化処理等の加工プロセスが必要であり低コスト化の障害となっている。
【0010】
一方、希土類金属間化合物を水素化および酸化分解し、金属鉄と希土類酸化物との複合磁性体粉末とすることで、金属磁性体の利点をもつとともに、渦電流損失の欠点を補う電磁波吸収体が報告された(論文文献2および3参照)。しかしながら、遊離する鉄金属の小さい異方性磁界のため吸収できる電磁波周波数が低いこと、また、試料作製の原料として通常の溶融法により得られた金属間化合物のインゴットを使用するため、より微細且つ均一な組織を有する融合体の作製には不適である、さらには、金属磁性体の微細組織を得るためには水素吸蔵による不均一化反応が必要であり、水素吸蔵能を有さない化合物に対しては上記の方法を適用できない、等の欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
鉄等の磁性金属、侵入型化合物および金属間化合物磁性体を非良導体であるマトリックス中に高分散させた複合体とすることで金属磁性体粒子サイズの減少を図り、これにより金属磁性体の磁化低下の原因となる渦電流損を改善する。さらに上記複合体の金属および非良導体の組織を微細且つ均一にすることで、非良導体による絶縁効果の向上が得られる。また、将来的に利用の拡大が予測される数GHz〜数十GHzの帯域の電磁波に対応するため、上記の磁性体粒子の扁平化以外の方法で磁気異方性を付与し電磁波を高効率で吸収する磁性体粉末とする。さらに、本発明の複合体磁性粉末は炭素を含むため、金属磁性体粉末との混合前に予め炭素を表面改質しておくことで、これと磁性体粉末の物理的混合により得られる複合体粉末の樹脂に対する親和性を向上させることができる。その結果、複合体粉末の分散性、充填率の高い電波吸収体の作製が可能となる。
【0012】
具体的には、磁性体である金属粉末を非良導体であるカーボンと遊星型ボールミル等を用いて物理的に粉砕混合し、微細且つ均一な組織を有する複合磁性体粉末を得る。また、数GHz〜数十GHzに対応する電磁波吸収体として、結晶構造に由来する磁気異方性を有する硼化鉄などの侵入型化合物磁性体または金属間化合物磁性体を同様に非良導体と複合化することで、鉄等の立方晶の磁性体に比べ共鳴周波数を高周波域へ移行させることで対応することができる。加えて、磁性体粉末との混合前に、炭素を予め硝酸等の酸で処理することで表面改質を行うことで、これと磁性体粉末の混合により得られる複合体粉末のエポキシ等の樹脂への親和性が向上することにより、複合体粉末の分散性、充填率を高めた電波吸収体の作製が可能となる。また、上記の炭素表面改質以外にも、得られた複合体磁性粉末に対してシランカップリング剤により表面改質を行うことで樹脂に対する親和性(なじみ)の向上および耐久性をも付与させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、GHz帯域に対応できる電磁波吸収体を、簡単なプロセスでかつ安価に製造することができる。特に、Fe格子間への硼素および炭素の導入または鉄とコバルトを合金化することによる異方性磁界の付与から電磁波吸収領域の高周波域への移行により、従来の電磁波吸収体用磁性粉末に比べ高い周波数領域の電磁を効果的に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1にこの発明に関わる電磁波吸収体の断面図を示す。図1のように吸収体に電磁波が垂直に入射する場合、吸収体表面から金属板を見込む規格化入力インピーダンスZは下記(1)式により表され、このZを用いて反射損失Rは(2)および(3)式より求めた。このように、反射損失はZによって決まるが、(1)式から明らかなように、Zはε、μ、電磁波の波長λ、試験体厚さdの関数であり、20dBを満足する領域の算出法は複雑である。そこで、ε、μの周波数特性をネットワークアナライザーを用いてSパラメータ法により測定し、その測定結果から(1)〜(3)式を用いて試験体の厚さを変えた場合の反射損失を算出し、この値をもとに電磁波吸収体を設計、製造することができる。

すなわち、上述した電磁波吸収用磁性体粉末に対しエポキシ樹脂等の樹脂バインダを混錬し、金属板を基板として所定の厚さのシートあるいはボード状に成型し、これを電磁波吸収体として使用する。この場合は、電磁波が最も良好に吸収される共鳴周波数は電磁波吸収体の厚みに依存し、所望の電磁波の周波数に対応させて厚みは調整することができる。また、図1の形態のほかにも、さらに薄板状としたシートやテープ形態の電磁波吸収体に成形することも可能である。
【0015】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
【0016】
(実施例1)
金属鉄に対して加熱脱気により水分を除去した無定形炭素を10重量%添加し、遊星型ボールミルによりアルゴン雰囲気中、回転速度200rpmで30時間、混合することで鉄−無定形炭素複合体粉末を作製した。ここで、ボールミルによる混合時間を本発明では30時間としたが、回転数、使用するボールの種類およびサイズを変更することにより時間を短縮することが可能である。
【0017】
処理前後の粉末のXRDパターンを図2に示す。混合前では鉄に帰属される鋭いピークが観測されたのに対して、混合後では回折位置は変化しなかったもののブロードなピークが観測された。このことから、無定形炭素との物理的な複合化により鉄の一次粒子が微細化されていることが確認された。一方で、鉄との複合化に用いた炭素は無定形のためXRDパターンに回折ピークは見出されなかった。走査電子顕微鏡による直接観察では、粉砕前の鉄の粒子サイズは数十μmであり、粉砕後のそれは数十から数百nmであった。また、粉砕前後でXRDピークにシフトが見られないことから、今回の物理混合条件では炭素の鉄格子間への侵入はなく炭化鉄が生成しないことがわかる。
【0018】
上記で得られた鉄−無定形炭素複合体粉末に対して、25重量%のエポキシ樹脂を混合し成形体を作製し、130℃で30分、その後180℃で30分の条件で硬化処理を行うことで電磁波吸収体を作成した。この吸収体についてネットワークアナライザーにより電磁波吸収特性を評価した。結果を図3に示す。厚さ1.9〜3.4mmの試料において4.5〜9.0GHzの領域に、電波吸収材の性能として要求される−20dB以下の反射損失が見られた。ここで得られた良好な電波吸収特性は、非良導体である炭素との複合化により均一な微細組織を有するナノ複合体が得られ、かつ、磁性金属粒子の微細化により電磁界により誘起される渦電流損が抑制されたためと考えられる。尚、鉄−無定形炭素複合体粉末(樹脂混合なし、圧粉体)の電気抵抗値は200Ωmであった。さらに、上記の鉄−無定形炭素複合体粉末の作製過程において、予め無定形炭素を熱硝酸で1時間処理し表面改質を行い、これと鉄粉末との物理的混合により鉄−無定形炭素(表面改質)複合体粉末を得た。この粉末に対しFT-IR測定を行ったところ、カルボニル基の炭素と酸素の二重結合の伸縮振動に特有なピークが見られた。この複合体粉末に対して、エポキシ樹脂の使用量を低減し成形体を作製した。得られた電波吸収体の特性を評価した結果、改質処理を施さなかった吸収体に比べ、電波吸収域に関してはほぼ同様の傾向を示したが、複合体粉末の分散性、充填率が改善されたことにより反射損失の向上が見られた。
【0019】
(実施例2)
金属鉄と硼素を所定量秤量しアーク溶解することでFeBのインゴットを作製した。このインゴットから超急冷装置を用いてFeBの金属薄帯を作製し、これを粉砕することで粒径約3μm以下のFeB粉末を得た。これと上述の無定形炭素から実施例1と同様の物理的混合法によりFeB−無定形炭素複合体粉末を作製した。
【0020】
作製したFeB粉末とFeB−無定形炭素複合体粉末のX線回折の結果を図4に示す。超急冷により得られた試料の回折パターン(a)から、単相のFeBが得られていることを確認した。無定形炭素との複合化後の試料(b)では、回折パターンは出発物質であるFeBのピークと一致した。ここでも、混合後の試料のピーク半値幅は増加しており、物理混合により結晶子サイズが減少していることが確認された。ピーク半値幅より見積もった複合体中のFeBの結晶子サイズは約30nmであった。
【0021】
上記のFeB−無定形炭素複合体粉末の透過型電子顕微鏡観察の結果を図5に示す。複合体中において数nm〜数十nmの針状FeBが高分散していることが確認された。この結果はXRDで得られた結果とも一致する。
【0022】
実施例1で述べた手法で、同様にFeB−無定形炭素/エポキシ樹脂(25重量%)を作製し、ネットワークアナライザーを用いて電磁波吸収特性を評価した。結果を図6に示す。厚さ1.2〜2.2mmの吸収体において、6〜16GHzの領域で−20db以下の良好な反射損失が見られた。ここでも、FeBと比較的電気抵抗値の大きな無定形炭素とを複合化することで渦電流損失を抑え高周波域においても良好な電磁波吸収特性が得られることを確認した。さらに、鉄−無定形炭素複合体に比べFeB−無定形炭素複合体における吸収周波数は高周波側に移行した。これは、立方晶である鉄に対して、侵入型の化合物であるFeBは正方晶であり結晶構造に付随する磁気異方性を有することで共鳴周波数が高周波数側にシフトしたためであり、従来の球状粒子の扁平化による磁気異方性の付与以外にも結晶構造を変化させることで高周波数領域での電磁波を吸収できることを確認した。
【0023】
(実施例3)
金属イットリウムと金属鉄を所定量秤量しアーク溶解することでYFe17のインゴットを作製した。このインゴットから超急冷装置を用いてYFe17の金属薄帯を作製し、これを粉砕することで粒径約3μm以下のYFe17粉末を得た。この磁性体粉末から上記と同様の手法でYFe17−無定形炭素複合体粉末を作製した。
【0024】
作製したYFe17粉末とYFe17−無定形炭素複合体粉末のX線回折の結果を図7に示す。混合前後での試料のXRD測定から、YFe17の結晶構造を保持したまま均一かつ微細なYFe17−無定形炭素複合体が得られていることを確認した。また、シェラーの式から見積もった複合体中におけるYFe17の結晶子サイズは約20nmであった。
【0025】
Fe17−無定形炭素複合体粉末から上記と同様の手法で電磁波吸収体を作製し電磁波吸収特性を評価した。結果を図8に示す。厚さ1.3〜2.2mmの吸収体において、9〜18GHzの領域で−20db以下の良好な反射損失が見られた。本複合体においても、YFe17を比較的電気抵抗値の大きな無定形炭素と複合化することで電気抵抗値を低減させ、渦電流損が抑制されることが確認された。なお、エポキシ樹脂を添加せずに作製したYFe17−無定形炭素複合体粉末(圧粉体)の電気抵抗値は200Ωmであり、一般的な金属間化合物のそれ(〜10-6 Ωm)と比較しても大きな値を示した。さらに、上記の複合体粉末に対しジフェニルシランを用いて表面改質処理を行い、上述の電波吸収体に比べエポキシ樹脂使用量を低減した電波吸収体を作製した。得られた電波吸収体の特性を評価した結果、未処理の吸収体に比べ、分散性、充填率の向上から反射損失の増加が見られた。また、表面改質した粉末と未処理の粉末について、80℃、大気中での耐久試験を行った結果、未処理の粉末では酸化により酸素含有量の増加が見られたのに対して、改質処理した粉末では表面が疎水性を有する官能基により修飾されていることから大幅な酸素量の増加は見られなかった。
【0026】
(実施例4)
金属鉄と無定形炭素を3:1(原子比)に秤量し、これを遊星型ボールミルにより500rpmで100時間、混合することでFeC元粉末を調製した。この混合前後の試料についてXRD測定を行った結果(図9)、無定形炭素と混合前の鉄の回折パターン(a)は鋭いピークを示したが、混合後の試料(b)はアモルファス様のブロードなピークを示した。そこで、このアモルファス様試料を400℃で1時間、ヘリウム雰囲気下で加熱することで結晶化処理した。結晶化後の試料のXRDパターン(c)は、ブロードながらも斜方晶のFeCに帰属されるXRDパターンを示した。このことから混合処理条件を最適化することにより、出発物質にFeBなどの化合物を使用せずとも、複合体の混合過程において出発物質間(上記の例では鉄と無定形炭素)での反応により化合物を作製可能であることがわかる。
【0027】
上記で得られたFeC粉末と無定形炭素から実施例1と同様の手法によりFeC−無定形炭素複合体粉末を作製し、X線回折測定を行った。結果を図9(d)に示す。得られた回折パターンは出発物質であるFeCのピークと一致するものの回折ピークの半値幅は増加しており、物理混合によりFeCの結晶子サイズが減少していることが本複合体についても確認された。尚、回折ピーク半値幅より見積もった複合体中のFeCの結晶子サイズは約10nmであった。
【0028】
実施例1と同様にFeC−無定形炭素から電磁波吸収体を作製し、その特性を評価した。結果を図10に示す。厚さ1.0〜1.3mmの吸収体において、18〜26GHzの領域で−20db以下の良好な反射損失が見られた。本複合体粉末についても無定形炭素との複合化により良好な電磁波吸収特性が得られることが確認された。
【0029】
(実施例5)
金属鉄と金属コバルトおよび硼素を所定量秤量し遊星型ボールミルで混合後、得られたアモルファス様の粉末をアニール処理することでFe1.4Co0.6B粉末を得た。これと無定形炭素から実施例1の手法によりFe1.4Co0.6B−無定形炭素複合体粉末を作製した。
【0030】
作製したFe1.4Co0.6B粉末とFe1.4Co0.6B−無定形炭素複合体粉末のX線回折の結果を図11に示す。超急冷により得られた試料の回折パターン(a)から、単相のFe1.4Co0.6Bが得られていることを確認した。また、Fe1.4Co0.6B−無定形炭素複合体粉末の回折パターンでは、Fe1.4Co0.6Bに帰属されるブロードな回折ピークを示した。半値幅より見積もった複合体中のFe1.4Co0.6Bの結晶子サイズは約20〜30nmであった。
【0031】
実施例1と同様にFe1.4Co0.6B−無定形炭素/エポキシ樹脂(25重量%)を作製し、ネットワークアナライザーを用いて電磁波吸収特性を評価した。結果を図12に示す。0.6〜0.8mmの吸収体厚さにおいて、27〜40GHzの領域で−20db以下の良好な反射損失が見られた。ここで、実施例2で作製したFeBに比してFe1.4Co0.6Bでは高周波数帯域での電磁波吸収が得られた。前述したとおり、結晶構造の異方性化により磁気異方性を付与することで、電磁波吸収領域を高周波数域に移行することが可能であるが、ここでは、FeBのFeサイトの一部をCoで置換固溶することで磁気異方性を増加させ、電磁波吸収周波数の高周波化に成功した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に関わる電磁波吸収体に基本構造である。
【図2】鉄と無定形炭素との物理混合前後でのX線回折パターンである。(a)混合前、(b)混合後。
【図3】鉄−無定形炭素複合体粉末に樹脂を混合することで得られた電磁波吸収体の吸収特性である。
【図4】FeBの無定形炭素との物理混合前後でのX線回折パターンである。(a)混合前、(b)混合後。
【図5】FeB−無定形炭素複合体粉末のTEM観察像である。
【図6】FeB−無定形炭素複合体粉末に樹脂を混合することで得られた電磁波吸収体の吸収特性である。
【図7】YFe17の無定形炭素との物理混合前後でのX線回折パターンである。(a)混合前、(b)混合後。
【図8】YFe17−無定形炭素複合体粉末に樹脂を混合することで得られた電磁波吸収体の吸収特性である。
【図9】Feと無定形炭素との物理混合前後でのX線回折パターンである。(a)混合前、(b)混合後、(c)bの試料をヘリウム中400℃で1時間アニール処理後、(d)cの試料と無定形炭素との物理混合後。
【図10】FeC−無定形炭素複合体粉末に樹脂を混合することで得られた電磁波吸収体の吸収特性である。
【図11】Fe1.4Co0.6Bの無定形炭素との物理混合前後でのX線回折パターンである。(a)混合前、(b)混合後。
【図12】Fe1.4Co0.6B−無定形炭素複合体粉末に樹脂を混合することで得られた電磁波吸収体の吸収特性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄等の遷移金属磁性体と無定形炭素等の非良導体を物理的に混合することで得られる数十nmから数百nmの磁性金属相が分散したナノ複合組織からなる電磁波吸収用の複合体磁性粉末を作製する方法。
【請求項2】
侵入型化合物である金属ホウ化物、炭化物、窒化物、または金属間化合物などの磁性体粉末と無定形炭素とを物理的に混合することで得られる数nmから数百nmの磁性金属相が分散したナノ複合組織からなる電磁波吸収用の複合体磁性粉末を作製する方法。
【請求項3】
請求項1の磁性体粉末の出発物質において、単体の磁性金属と炭素、硼素等の典型元素とを物理的混合により化合させた後、さらに炭素と混合することで得られる電磁波吸収用複合体磁性粉末の作製法。
【請求項4】
請求項3の複合体磁性粉末における磁性体金属材料の出発物質として、少なくとも2種類以上の金属粉末を選択し、これらと炭素、硼素等の典型元素とを物理的に混合することで合金系侵入型化合物とし、これらと炭素とを混合することで得られる電磁波吸収用複合体磁性粉末の作製法。
【請求項5】
請求項1から4の複合体磁性粉末において、使用する無定形炭素を磁性体粉末との複合化前に予め硝酸と反応させることによりアルデヒド基またはカルボキシ基を炭素表面に導入し、これと磁性体粉末とを物理的に混合することで得られるエポキシ等の樹脂との親和性を向上させた電磁波吸収用磁性体粉末。
【請求項6】
請求項1から4の複合体磁性粉末において、粉末表面をシランカップリング処理により改質することでエポキシ等の樹脂への親和性を向上させ、且つ、耐久性も付与した電磁波吸収用磁性体粉末。
【請求項7】
請求項1から6において製造される複合粒子型磁性体粉末を有機樹脂等のバインダを用いて、ボード、シート、テープもしくはコード被覆体状に成型加工し、電磁波吸収特性を付与した電磁波吸収材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−156543(P2006−156543A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342006(P2004−342006)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(300011416)
【Fターム(参考)】