説明

物理量検出デバイス、物理量検出器、および電子機器

【課題】物理量検出素子に応力が伝達することを抑制できる物理量検出デバイスを提供する。
【解決手段】本発明に係る物理量検出デバイス100は、基部10と、基部10に継ぎ手部12を介して支持されており、物理量の変化に応じて変位する可動部14と、基部10と可動部14とに掛け渡されている物理量検出素子40と、基部10から延出しており、第1固定部24を備えている第1支持部20と、基部10から延出しており、第2固定部34を備えている第2支持部30と、を含み、第1固定部24と第2固定部34との間の距離L1は、第1支持部20の基部10との根元の部分23と第2支持部30の基部10との根元の部分33との間の距離L2よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出デバイス、物理量検出器、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動子などの物理量検出素子を用いた物理量検出デバイス(例えば、加速度センサー)が知られている。このような物理量検出デバイスは、検出軸方向へ力が作用することによって物理量検出素子の共振周波数が変化したときに、当該共振周波数の変化から物理量検出デバイスに印加される力(加速度)を検出するように構成されている。
【0003】
特許文献1には、ベース・アッセンブリ、たわみ、および保証質量を有する支持構造体に、両頭クリスタル音叉変換器(物理量検出素子)の両端を固定させたセンサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平4−505509号公報
【特許文献2】米国特許第5331854号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、支持構造体をパッケージに複数の箇所で固定した場合、支持構造体とパッケージとの線膨張係数の差によって支持構造体の固定部間に応力が生じ、該応力が支持構造体を介して物理量検出素子に伝達することがある。これにより、物理量検出素子の共振周波数が変動してしまい、物理量検出デバイスの検出感度が低下することがある。
【0006】
このような応力の伝達を抑制する方法として、特許文献2に開示されているように、物理量検出素子を支持する支持構造体に、保証質量を挟む梁状の屈曲部を設け、該屈曲部によって応力を緩和することが考えられる。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、屈曲部が保証質量を挟むように配置されているので、屈曲部の間隔すなわち支持構造体におけるパッケージに固定される複数の固定部との間を保証質量または支持構造体の幅以下(2つの屈曲部における支持構造体側の根元同士間の距離以下)にすることができない。そのため、例えば屈曲部をパッケージに固定した場合、支持構造体とパッケージとの線膨張係数の差により支持構造体に生じる応力が複数の屈曲部(固定部)間の距離に応じて大きなものとなることがある。そして、このような応力が、物理量検出素子に伝達することがある。
【0008】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、物理量検出素子に応力が伝達することを抑制できる物理量検出デバイスを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記物理量検出デバイスを有する物理量検出器および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[適用例1]
本発明に係る物理量検出デバイスは、
基部と、
前記基部に継ぎ手部を介して支持されており、物理量の変化に応じて変位する可動部と、
前記基部と前記可動部とに掛け渡されている物理量検出素子と、
前記基部から延出しており、第1固定部を備えている第1支持部と、
前記基部から延出しており、第2固定部を備えている第2支持部と、
を含み、
前記第1固定部と前記第2固定部との間の距離は、前記第1支持部の前記基部との根元の部分と前記第2支持部の前記基部との根元の部分との間の距離よりも小さい。
【0010】
このような物理量検出デバイスによれば、第1固定部および第2固定部をパッケージや回路基板などの外部部材に固定して実装する際に、構造体(基部、継ぎ手部、可動部、および支持部を含んで構成される構造体)の線膨張係数と、パッケージや回路基板などの外部部材の線膨張係数と、の差によって構造体に生じる応力が、物理量検出素子に伝達されることを抑制できる。すなわち、第1固定部と第2固定部との間の距離が大きくなると、線膨張係数の差によって構造体に生じる応力も大きくなるが、このような物理量検出デバイスでは、第1固定部と第2固定部との間の距離は、第1支持部の基部との根元の部分と第2支持部の基部との根元の部分との間の距離よりも小さいので、線膨張係数の差によって構造体(例えば基部)に生じる応力を小さくすることができる。その結果、このような物理量検出デバイスでは、当該応力が物理量検出素子に伝達することを抑制でき、高い検出感度を有することができる。
【0011】
[適用例2]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記第1支持部は、前記基部から前記第1固定部まで延出する間が曲がっており、
前記第2支持部は、前記基部から前記第2固定部まで延出する間が曲がっていてもよい。
【0012】
このような物理量検出デバイスによれば、第1固定部および第2固定部がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して第1固定部および第2固定部に発生する応力を、物理量検出素子に伝達される前に緩和することができる。
【0013】
[適用例3]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記第1支持部は、
前記基部から前記第1固定部まで延出する間が、往復したように曲がっており、
前記第2支持部は、
前記基部から前記第2固定部まで延出する間が、往復したように曲がっていてもよい。
【0014】
このような物理量検出デバイスによれば、第1固定部および第2固定部がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して第1固定部および第2固定部に発生する応力を、物理量検出素子に伝達される前に、より緩和することができる。
【0015】
[適用例4]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記第1支持部は、
第1延出部と、
前記第1延出部から前記第1固定部まで延出する間に在って、前記第1延出部の第1延出方向とは異なる第1方向に沿って前記第1延出部から延出している第2延出部と、
を含み、
前記第2支持部は、
第3延出部と、
前記第3延出部から前記第2固定部まで延出する間に在って、前記第3延出部の第2延出方向とは異なる第2方向に沿って前記第3延出部から延出している第4延出部と、
を含み、
前記第1延出部の前記第1方向に沿った幅は、前記第2延出部の前記第1延出方向の幅よりも大きく、
前記第3延出部の前記第2方向に沿った幅は、前記第4延出部の前記第2延出方向の幅よりも大きくてもよい。
【0016】
このような物理量検出デバイスによれば、加速度が印加された場合、該加速度に伴って第2延出部および第4延出部が優先的に撓みやすく、第1延出部および第3延出部に捻じれが生じることを抑制できる。その結果、第1支持部の基部との根元の部分および第2支持部の基部との根元の部分に捻じれが生じることを抑制でき、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を防ぐことができる。
【0017】
[適用例5]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体を、さらに含み、
前記連結体は、該連結体を固定するための第3固定部を備えており、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、および前記第3固定部に囲まれた範囲内に、重心が在ってもよい。
【0018】
このような物理量検出デバイスによれば、いずれかの方向に傾くことなく(捻じれることなく)安定した姿勢で、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。その結果、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を抑制できる。
【0019】
[適用例6]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体と、
前記連結体から延出しており、第4固定部を有している第3支持部と、
をさらに含み、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、および前記第4固定部に囲まれた範囲内に、重心が在ってもよい。
【0020】
このような物理量検出デバイスによれば、いずれかの方向に傾くことなく(捻じれることなく)安定した姿勢で、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。その結果、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を抑制できる。
【0021】
[適用例7]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体と、
前記連結体から延出しており、第4固定部を有している第3支持部と、
前記連結体から延出しており、第5固定部を有している第4支持部と、
をさらに含み、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、前記第4固定部、および前記第5固定部に囲まれた範囲内に、重心が在ってもよい。
【0022】
このような物理量検出デバイスによれば、いずれかの方向に傾くことなく(捻じれることなく)安定した姿勢で、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。その結果、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を抑制できる。
【0023】
[適用例8]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
前記連結体は、
前記第3支持部から前記第4支持部まで延出する間が曲がっていてもよい。
【0024】
このような物理量検出デバイスによれば、第1固定部および第2固定部がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して第1固定部および第2固定部に発生する応力を、物理量検出素子に伝達される前に、緩和することができる。
【0025】
[適用例9]
本発明に係る物理量検出デバイスにおいて、
平面視において、前記基部、前記第1固定部、および前記第2固定部は、直線上に並んでいてもよい。
【0026】
このような物理量検出デバイスによれば、前記直線に沿う第1軸(Y軸)と直交する第2軸(X軸)に沿って、パッケージなどの外部部材が熱膨張したとしても、外部部材の熱膨張に起因する応力が物理量検出素子に伝達されることを抑制できる。
【0027】
[適用例10]
本発明に係る物理量検出器は、
本発明に係る物理量検出デバイスと、
前記物理量検出デバイスを収容するパッケージと、
を含む。
【0028】
このような物理量検出機器は、本発明に係る物理量検出デバイスを含むので、高い検出感度を有することができる。
【0029】
[適用例11]
本発明に係る電子機器は、
本発明に係る物理量検出デバイスを含む。
【0030】
このような電子機器は、本発明に係る物理量検出デバイスを含むので、高い検出感度を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施形態に係る物理量検出デバイスを模式的に示す斜視図。
【図2】第1の実施形態に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図3】第1の実施形態に係る物理量検出デバイスを模式的に示す断面図。
【図4】第1の実施形態に係る物理量検出デバイスの動作を説明するための断面図。
【図5】第1の実施形態に係る物理量検出デバイスの動作を説明するための断面図。
【図6】第1の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図7】第1の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図8】第1の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図9】第1の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図10】第2の実施形態に係る物理量検出デバイスを模式的に示す斜視図。
【図11】第2の実施形態に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図12】第2の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図13】第2の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図14】第2の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図15】第2の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイスを模式的に示す平面図。
【図16】第3の実施形態に係る物理量検出器を模式的に示す平面図。
【図17】第3の実施形態に係る物理量検出器を模式的に示す断面図。
【図18】第4の実施形態に係る電子機器を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
1. 第1の実施形態
1.1. 物理量検出デバイス
まず、第1の実施形態に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る物理量検出デバイス100を模式的に示す斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る物理量検出デバイス100を模式的に示す平面図である。図3は、第1の実施形態に係る物理量検出デバイス100を模式的に示す図2のIII−III線断面図である。なお、便宜上、図1〜図3および後述する図4〜図15では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。
【0034】
物理量検出デバイス100は、図1〜図3に示すように、基部10と、継ぎ手部12と、可動部14と、支持体として第1支持部20ならびに第2支持部30と、物理量検出素子40と、を含む。さらに、物理量検出デバイス100は、質量部50,52,54,56を有することができる。
【0035】
基部10は、継ぎ手部12を介して、可動部14を支持している。継ぎ手部12は、基部10と可動部14との間に設けられ、基部10および可動部14に接続されている。継ぎ手部12の厚みは、基部10の厚み、および可動部14の厚みよりも小さい。例えば、水晶基板の両主面側からハーフエッチングによって溝部12a,12b(図3参照)を形成して、継ぎ手部12を形成することができる。図示の例では、溝部12a,12bは、X軸に沿って形成されている。継ぎ手部12は、可動部14が基部10に対して変位(回動)する際に、支点(中間ヒンジ)としてX軸に沿った回転軸となることができる。
【0036】
可動部14は、基部10に継ぎ手部12を介して接続されている。可動部14は、基部10に継ぎ手部12を介して支持されている。図示の例では、可動部14は、基部10から継ぎ手部12を介して、Y軸(第1軸)に沿って(+Y方向に)延出されている。可動部14は、板状であり、互いに反対を向く(対向する)主面14a,14bを有している。可動部14は、主面14a(14b)と交差する方向(Z軸方向)に加わる物理量(加速度)の変化に応じて、継ぎ手部12を支点(回転軸)として主面14aと交差する方向(Z軸方向)に変位(回動)可能である。
【0037】
支持体は、基部10から延出され、基部10を支持している。そして、第1支持部20とは支持体において後述する第1接続部23から第1固定部24まで延出している間を指し、第2支持部30とは支持体において後述する第2接続部33から第2固定部34まで延出している間を指している。本実施形態の説明では、支持体は第1支持部20における第1固定部24と、第2支持部30における第2固定部34との間が離間した構成を例に挙げて説明する。
【0038】
すなわち、第1支持部20は、基部10から延出され、基部10を支持している。図2に示す例では、第1支持部20は、基部10の側面10cから延出している。第1支持部20は、基部10に接続された第1接続部23を有している。第1接続部23は、第1支持部20の基部10との根元の部分であるともいえる。
【0039】
第1支持部20は、第1固定部24を有している。第1固定部24は、第1支持部20の先端近傍に設けられている。第1支持部20は、第1固定部24において、パッケージや回路基板などの外部部材に固定されることができる。すなわち、第1固定部24は、第1支持部20をパッケージや回路基板などの外部部材に固定するための部分である。図2に示す例では、第1固定部24と可動部14との間に、基部10が配置されている。
【0040】
図示の例では、第1支持部20は、基部10から(第1接続部23から)−X方向に延出された延出部21aと、延出部21aから−Y方向に延出された延出部21bと、延出部21bから+X方向に延出された延出部21cと、を有した曲がった構造になっている。延出部21cは、第1固定部24を有している。すなわち、第1支持部20は、基部10から第1固定部24まで延出する間が曲がっている。なお、曲がった構造とは、折れ曲がった形、曲線的な形など、真っ直ぐではない形を意味する。
【0041】
第1支持部20は、基部10から第1固定部24まで延出する間に、曲がった構造として屈曲した屈曲部22a,22b(第1屈曲部22a,22b)を有することができる。図示の例では、屈曲部22aは、延出部21aと延出部21bとが接続することにより形成されている。屈曲部22bは、延出部21bと延出部21cとが接続することにより形成されている。
【0042】
第2支持部30は、基部10から延出され、基部10を支持している。図示の例では、第2支持部30は、基板10の側面10dから延出している。側面10dは、基板10の側面10cと反対を向く(対向する)面である。第2支持部30は、基部10に接続された第2接続部33を有している。第2接続部33は、第2支持部30の基部10との根元の部分であるともいえる。
【0043】
第2支持部30は、第2固定部34を有している。第2固定部34は、第2支持部30の先端近傍に設けられている。第2支持部30は、第2固定部34において、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。すなわち、第2固定部34は、第2支持部30をパッケージなどの外部部材に固定するための部分である。図2に示す例では、第2固定部34と可動部14との間に、基部10が配置されている。
【0044】
図示の例では、第2支持部30は、基部10から(第2接続部33から)+X方向に延出された延出部31aと、延出部31aから−Y方向に延出された延出部31bと、延出部31bから−X方向に延出された延出部31cと、を有した曲がった構造になっている。延出部31cは、第2固定部34を有している。すなわち、第2支持部30は、基部10から第2固定部34まで延出する間が曲がっている。
【0045】
第2支持部30は、基板10から第2固定部34まで延出する間に、曲がった構造として屈曲した第2屈曲部32a,32b(第2屈曲部32a,32b)を有することができる。図示の例では、屈曲部32aは、延出部31aと延出部31bとが接続することにより形成されている。屈曲部32bは、延出部31bと延出部31cとが接続することにより形成されている。
【0046】
第1固定部24と第2固定部34との間の距離L1は、第1接続部23と第2接続部33との間の距離L2よりも小さい。支持部20,30は、物理量検出デバイス100の重心Gを通るY軸と平行な軸である中心軸(図示せず)に関して、対称に設けられていてもよい。図示の例では、支持部20,30は、X軸に沿って並んで配置されている。
【0047】
なお、図示はしないが、距離L1が距離L2より小さければ、本実施形態、後述する実施形態においても、第1支持部20の先端と第2支持部30の先端とは、互いに接続されていてもよい。すなわち、支持体としては、第1支持部20、第2支持部30が、図1に示した分離した先端を接続したように、一体的に形成されていてもよい。このような構成であれば、第1固定部24と第2固定部34とを外部部材に固定する際に、第1固定部24と第2固定部34との間の位置関係にズレが生じ難いので、物理量検出デバイス100に組み立て精度に起因した応力が発生し難いという効果が得られやすい。
【0048】
ただし、図1に示すように、第1支持部20における第1固定部24と、第2支持部30における第2固定部34との間に間隙がある構成であれば、この間に基部10の一部分を挟むように構成することができる。そしてこれにより基部10と可動部14との並び方向に支持体が並ぶことがないので、この方向における物理量検出デバイス100の大きさを小さくすることができる。
【0049】
また距離L1が距離L2よりも小さければ第1固定部24、第2固定34の少なくとも一方は複数個あってもよい。このような構成は、例えば質量部50,52,54,56を備えたことで可動部14側を積極的に重く構成することが要求される物理量検出デバイス100に対して外部部材との固定強度を高めることができるので例えば、耐衝撃性などの信頼性において有効である。
【0050】
基部10、継ぎ手部12、可動部14、第1支持部20、および第2支持部30は、例えば、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることにより、構造体101として一体的に形成されている。なお、基部10、継ぎ手部12、可動部14、および支持部20,30の材質は、水晶に限定されるものではなく、ガラスやシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【0051】
物理量検出素子40は、基部10と可動部14とに掛け渡されて設けられている。物理量検出素子40は、検出部である振動梁部41a,41bと、ベース部42a,42bと、を少なくとも有することができる。
【0052】
検出部はベース部42aとベース部42bとの間にありベース部42aとベース部42bとの間に発生した力が伝達されることで検出部が発生する物理量検出情報が変化する構成であれば良く、本実施形態では、例えば振動梁部41a,41bは、可動部14の延出方向に沿って(Y軸に沿って)、ベース部42aからベース部42bまで延出している。振動梁部41a,41bの形状は、例えば、角柱状である。振動梁部41a,41bは、振動梁部41a,41bに設けられた励振電極(図示せず)に駆動信号(交流の電圧)が印加されると、X軸に沿って、互いに離間または近接するように屈曲振動することができる。
【0053】
ベース部42a,42bは、振動梁部41a,41bの両端に接続されている。図示の例では、ベース部42aは、基部10の主面10aに接合部材60を介して固定され、ベース部42bは、可動部14の主面14a(基部10の主面10aと同じ側の主面)に接合部材60を介して固定されている。接合部材60としては、例えば、低融点ガラス、共晶接合可能なAu/Sn合金被膜を用いる。
【0054】
なお、振動梁部41a,41bと、基部10および可動部14と、の間には、可動部14の変位時に、振動梁部41a,41bと、基部10および可動部14と、が接触しないように、所定の間隙が設けられている。この間隙は、例えば、接合部材60の厚みで管理されていてもよい。
【0055】
また、図示はしないが、可動部14の主面14aであって、平面視おいて接合部材60と振動梁部41a,41bとの間の位置に、可動部14をハーフエッチングすることにより形成された凹部が形成されていてもよい。例えば、接合部材60が所定の位置からはみ出した場合に、該凹部によって接合部材60を受け止めることができ、接合部材60が振動梁部41a,41bに付着することを抑制できる。
【0056】
物理量検出素子40は、上記のように、2本の振動梁部41a,41bと、一対のベース部42a,42bと、を有している。そのため、物理量検出素子40を双音叉素子(双音叉型振動素子)と呼ぶことができる。
【0057】
物理量検出素子40は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることにより形成される。これにより、振動梁部41a,41bおよびベース部42a,42bを、一体的に形成することができる。
【0058】
なお、物理量検出素子40の材質は、水晶に限定されるものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO)、四ホウ酸リチウム(Li)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を皮膜として備えたシリコンなどの半導体材料であってもよい。ただし、物理量検出素子40は、基部10、可動部14との線膨張係数との差を小さくすることを考慮すれば、基部10、可動部14の材質と同質にすることが望ましい。
【0059】
物理量検出素子40のベース部42a上には、例えば、引き出し電極44a,44bが設けられている。引き出し電極44a,44bは、振動梁部41a,41bに設けられた励振電極(図示せず)と電気的に接続されている。
【0060】
引き出し電極44a,44bは、例えばAu、Alなどの金属ワイヤー48によって、基部10の主面10aに設けられた接続端子46a,46bと電気的に接続されている。より具体的には、引き出し電極44aは、接続端子46aと電気的に接続され、引き出し電極44bは、接続端子46bと電気的に接続されている。接続端子46a,46bは、図示しない配線によって、外部接続端子49a,49bと電気的に接続されている。より具体的には、接続端子46aは、外部接続端子49aと電気的に接続され、接続端子46bは、接続端子49bと電気的に接続されている。外部接続端子49a,49bは、例えば、支持部20,30のパッケージなどに実装される側の面(基部10の主面10b側の面)であって、平面視において固定部24,34と重なる位置に設けられている。
【0061】
励振電極、引き出し電極44a,44b、接続端子部46a,46b、および外部接続端子49a,49bとしては、例えば、Cr層を下地として、その上にAu層を積層した積層体を用いる。励振電極、引き出し電極44a,44b、接続端子部46a,46b、および外部接続端子49a,49bは、例えば、スパッタ法などによって導電層(図示せず)を成膜し、該導電層をパターニングすることによって形成される。
【0062】
質量部50,52,54,56は、例えば、接合部材62を介して、可動部14の主面14a,14bに設けられている。より具体的には、質量部50,52は、主面14aに設けられ、質量部54,56は、主面14bに設けられている。質量部50,52,54,56の材質としては、例えば、Cu、Auなどの金属が挙げられる。質量部50,52,54,56によって、物理量検出デバイス100に加わる加速度の検出感度を向上させることができる。
【0063】
接合部材62としては、例えば、シリコーン樹脂系の熱硬化型接着剤を用いる。接合部材62は、熱応力抑制の観点から、可動部14および質量部50,52,54,56の一部の範囲を接着するように塗布されることが好ましい。
【0064】
なお、図示はしないが、質量部50,52は一体的に形成されることにより、1つの質量部を構成していてもよい。同様に、質量部54,56は一体的に形成されることにより、1つの質量部を構成していてもよい。また、主面14a,14bのうち、いずれか一方の主面にのみ、質量部が設けられていてもよい。
【0065】
次に、物理量検出デバイス100の動作について説明する。図4および図5は、物理量検出デバイス100の動作を説明するための断面図である。
【0066】
図4に示すように、物理量検出デバイス100に、矢印α1方向の(+Z方向の)加速度が印加されると、可動部14には−Z方向に力が作用し、可動部14は継ぎ手部12を支点として−Z方向に変位する。これにより、物理量検出素子40には、Y軸に沿って基部42aと基部42bとが互いに離れる方向の力が加わり、振動梁部41a,41bには引っ張り応力が生じる。そのため、振動梁部41a,41bの振動周波数(共振周波数)は、高くなる。
【0067】
一方、図5に示すように、物理量検出デバイス100に、矢印α2方向の(−Z方向の)加速度が印加されると、可動部14には+Z方向に力が作用し、可動部14は、継ぎ手部12を支点として+Z方向に変位する。これにより、物理量検出素子40には、Y軸に沿って基部42aと基部42bとが互いに近づく方向の力が加わり、振動梁部41a,41bには圧縮応力が生じる。そのため、振動梁部41a,41bの共振周波数は、低くなる。
【0068】
物理量検出デバイス100では、上記のような物理量検出素子40の共振周波数の変化を検出している。より具体的には、物理量検出デバイス100に加わる加速度は、上記の検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
【0069】
なお、物理量検出デバイス100を傾斜計に用いた場合には、傾斜の姿勢の変化に応じて、傾斜計に対する重力加速度が加わる方向が変化し、振動梁部41a,41bに引っ張り応力や圧縮応力が生じる。そして、振動梁部41a,41bの共振周波数が変化する。
【0070】
また、上記の例では、物理量検出素子40として、いわゆる双音叉素子を用いた例について説明したが、可動部14の変位に応じて共振周波数が変化すれば、物理量検出素子40の形態は、特に限定されない。
【0071】
第1の実施形態に係る物理量検出デバイス100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0072】
物理量検出デバイス100によれば、第1固定部24と第2固定部34との間の距離L1は、第1接続部23(すなわち、第1支持部20の基部10との根元の部分23)と第2接続部33(すなわち、第2支持部30の基部10との根元の部分33)との間の距離L2よりも小さい。そのため、第1固定部24および第2固定部34をパッケージや回路基板などの外部部材に固定して、物理量検出デバイス100を実装する際に、構造体101(基部10、継ぎ手部12、可動部14、および支持部20,30を含んで構成される構造体)の線膨張係数と、パッケージや回路基板などの外部部材の線膨張係数と、の差によって構造体101に生じる応力が、物理量検出素子40に伝達されることを抑制できる。すなわち、第1固定部と第2固定部との間の距離L1が大きくなると、線膨張係数の差によって構造体に生じる応力も大きくなるが、物理量検出デバイス100では、距離L1は、距離L2よりも小さいので、線膨張係数の差によって構造体101(例えば基部10)に生じる応力を小さくすることができる。その結果、物理量検出デバイス100では、このような応力が物理量検出素子40に伝達することを抑制でき、高い検出感度を有することができる。
【0073】
物理量検出デバイス100によれば、第1支持部20は、基部10から第1固定部24まで延出する間に、屈曲部22a,22bを有して曲がっており、第2支持部30は、基部10から第2固定部34まで延出する間に、屈曲部32a,32bを有して曲がっていることができる。そのため、物理量検出デバイス100では、固定部24,34がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して固定部24,34に発生する応力(固定部24,34とパッケージとの線膨張係数の差による応力や、固定部24,34とパッケージとを接着させる接着剤に生じる応力)を、物理量検出素子40に伝達される前に緩和することができる。
【0074】
1.2. 変形例
1.2.1. 第1変形例
次に、第1の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図6は、第1の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイス110を模式的に示す平面図である。なお、図6および後述する図7〜図9では、便宜上、質量部50,52,54,56および接合部材62の図示を省略している。
【0075】
以下、物理量検出デバイス110において、上述した物理量検出デバイス100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0076】
物理量検出デバイス100の例では、図2に示すように、可動部14は、基部10から継ぎ手部12を介して+Y方向に延出されていた。さらに、固定部24,34と可動部14との間に、基部10が配置されていた。
【0077】
これに対し、物理量検出デバイス110では、図6に示すように、可動部14は、基部10から継ぎ手部12を介して−Y方向に延出されている。さらに、固定部24,34と可動部14との間に、基部10が配置されている。
【0078】
物理量検出デバイス110では、第1支持部20の延出部21bおよび第2支持部30の延出部31bは、間隙を介して可動部14に沿って設けられている。可動部14は、延出部21bと延出部31bとの間に配置されている。図示の例では、延出部21bのY軸方向の長さ、および延出部31bのY軸方向の長さは、可動部14のY軸方向の長さよりも大きい。
【0079】
物理量検出デバイス110によれば、物理量検出デバイス100と同様に、応力が物理量検出素子40に伝達することを抑制できる。
【0080】
1.2.2. 第2変形例
次に、第1の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図7は、第1の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイス120を模式的に示す平面図である。
【0081】
以下、物理量検出デバイス120において、上述した物理量検出デバイス100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0082】
物理量検出デバイス100の例では、図2に示すように、第1支持部20は、2つの屈曲部22a,22bを有し、第2支持部30は、2つの屈曲部32a,32bを有していた。
【0083】
これに対し、物理量検出デバイス120では、図7に示すように、第1支持部20は、基部10から第1固定部24まで延出する間に、4つの屈曲した屈曲部22a,22b,22c,22d(第1屈曲部22a,22b,22c,22d)を有している。第2支持部30は、基部10から第2固定部34まで延出する間に、4つの屈曲部32a,32b,32c,32d(第2屈曲部32a,32b,32c,32d)を有している。
【0084】
図7に示す例では、第1支持部20は、基部10から−X方向に延出された延出部21aと、延出部21aから+Y方向に延出された延出部21bと、延出部21bから−X方向に延出された延出部21cと、延出部21cから−Y方向に延出された延出部21dと、延出部21dから+X方向に延出された延出部21eを有している。延出部21eは、第1固定部24を有している。
【0085】
屈曲部22aは、延出部21aと延出部21bとが接続することにより形成されている。屈曲部22bは、延出部21bと延出部21cとが接続することにより形成されている。屈曲部22cは、延出部21cと延出部21dとが接続することにより形成されている。屈曲部22dは、延出部21dと延出部21eとが接続することにより形成されている。
【0086】
第1支持部20は、延出部21a,21b,21c,21d、および屈曲部22a,22b,22cによって、X軸に交差する方向として例えばY軸(第1軸)に沿って往復しながら、Y軸に交差する方向として例えばX軸(第2軸)に沿って延出された第1往復構造部25を有することができる。すなわち、第1支持部20は、基部10から第1固定部24まで延出する間が、往復したように曲がっている。
【0087】
図7に示す例では、第2支持部30は、基部10から+X方向に延出された延出部31aと、延出部31aから+Y方向に延出された延出部31bと、延出部31bから+X方向に延出された延出部31cと、延出部31cから−Y方向に延出された延出部31dと、延出部31dから−X方向に延出された延出部31eを有している。延出部31eは、第2固定部34を有している。
【0088】
屈曲部32aは、延出部31aと延出部31bとが接続することにより形成されている。屈曲部32bは、延出部31bと延出部31cとが接続することにより形成されている。屈曲部32cは、延出部31cと延出部31dとが接続することにより形成されている。屈曲部32dは、延出部31dと延出部31eとが接続することにより形成されている。
【0089】
第2支持部30は、延出部31a,31b,31c,31d、および屈曲部32a,32b,32cによって、Y軸に沿って往復しながら、X軸に沿って延出された第2往復構造部35を有することができる。すなわち、第2支持部30は、基部10から第2固定部34まで延出する間が、往復したように曲がっている。
【0090】
往復構造部25,35を構成する延出部および屈曲部の数は、特に限定されず、適宜変更することが可能である。
【0091】
物理量検出デバイス120によれば、往復構造部25,35により、固定部24,34がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して固定部24,34に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に、より緩和することができる。例えば往復構造部25,35は、弾性を有することができ、これにより、いっそう固定部24,34に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に緩和することができる。
【0092】
1.2.3. 第3変形例
次に、第1の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図8は、第1の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイス130を模式的に示す平面図である。
【0093】
以下、物理量検出デバイス130において、上述した物理量検出デバイス120の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0094】
物理量検出デバイス130では、図8に示すように、物理量検出デバイス120と同様に往復構造部25,35を有し、さらに、連結体として枠部70を有している。この点において、物理量検出デバイス130は、図2に示す物理量検出デバイス100と異なる。
【0095】
枠部70は、可動部14と間隙を介して可動部14に沿って設けられ、支持部20,30に接続されている。可動部14は、例えば、枠部70、支持部20,30、および基部10によって囲まれている。図示の例では、枠部70は、第1支持部20の屈曲部22bから+Y方向に延出された延出部71aと、延出部71aから+X方向に延出された延出部71bと、延出部71bから−Y方向に延出され第2支持部30の屈曲部32bに接続された延出部71cと、を有している。
【0096】
枠部70は、屈曲した屈曲部72a,72bを有することができる。屈曲部72aは、延出部71aと延出部71bとが接続することにより形成されている。屈曲部72bは、延出部71bと延出部71cとが接続することにより形成されている。
【0097】
枠部70は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることにより、構造体101として一体的に形成されている。なお、枠部70の材質は、水晶に限定されるものではなく、ガラスやシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【0098】
物理量検出デバイス130によれば、物理量検出デバイス100と同様に、応力が物理量検出素子40に伝達することを抑制できる。
【0099】
1.2.4. 第4変形例
次に、第1の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図9は、第1の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイス140を模式的に示す平面図である。
【0100】
以下、物理量検出デバイス140において、上述した物理量検出デバイス130の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
物理量検出デバイス140では、図9に示すように、例えば物理量検出デバイス130と同様に往復構造部25,35および連結体として枠部70を有し、さらに、枠部70は第3固定部74を有している。この点において、物理量検出デバイス140は、図2に示す物理量検出デバイス100と異なる。
【0102】
第3固定部74は、枠部70の延出部71bに設けられている。枠部70は、第3固定部74において、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。すなわち、第3固定部74は、枠部70を固定するための部分である。
【0103】
物理量検出デバイス140の重心Gは、図9に示すように平面視において、固定部24,34,74に囲まれた範囲A内に位置している。より具体的には、重心Gは、平面視において、第1固定部24の中心と第2固定部34の中心を結ぶ直線、第2固定部34の中心と第3固定部74の中心を結ぶ直線、および第3固定部74の中心と第1固定部24の中心を結ぶ直線に囲まれた範囲A(領域A)内に位置している。
【0104】
物理量検出デバイス140によれば、上述のとおり、重心Gは、固定部24,34,74に囲まれた範囲A内に位置している。これにより、物理量検出デバイス140は、いずれかの方向に傾くことなく(捻じれることなく)安定した姿勢で、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。例えば、加速度が印加されて可動部が変位した際に、支持部の接続部(根元の部分)などに捻じれが生じると、加速度の検出感度が低下してしまうという問題がある。また、捻じれによって支持部に破損が生じ、信頼性が低下してしまうという問題がある。物理量検出デバイス140では、上述のように捻じれを抑制できるので、このような問題を解消することができる。
【0105】
物理量検出デバイス140によれば、枠部70は、第3固定部74から第1支持部20まで延出する間に屈曲部72aを有し、第3固定部74から第2支持部30まで延出する間に屈曲部72bを有することができる。そのため、物理量検出デバイス140では、第3固定部74がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して第3固定部74に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に緩和することができる。
【0106】
2. 第2の実施形態
2.1. 物理量検出デバイス
次に、第2の実施形態に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図10は、第2の実施形態に係る物理量検出デバイス200を模式的に示す斜視図である。図11は、第2の実施形態に係る物理量検出デバイス200を模式的に示す平面図である。なお、図11および後述する図12〜図15では、便宜上、質量部50,52,54,56および接合部材62の図示を省略している。
【0107】
以下、物理量検出デバイス200において、上述した物理量検出デバイス100〜140の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0108】
物理量検出デバイス200は、図10および図11に示すように、物理量検出デバイス130と同様に往復構造部25,35および連結体として枠部70を有し、さらに、第3支持部80および第4支持部90を有している。この点において、物理量検出デバイス200は、図2に示す物理量検出デバイス100と異なる。
【0109】
第3支持部80は、枠部70から延出され、枠部70を介して基部10を支持している。第3支持部80は、枠部70に接続された第3接続部83を有している。図示の例では、第3接続部83は、枠部70の屈曲部72aに接続されている。第3接続部83は、第3支持部80の枠部70との根元の部分であるともいえる。
【0110】
第3支持部80は、第4固定部84を有している。第4固定部84は、第3支持部80の先端近傍に設けられている。第3支持部80は、第3固定部84において、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。すなわち、第4固定部84は、第3支持部80を固定するための部分である。
【0111】
図示の例では、第3支持部80は、枠部70から(第3接続部83から)−X方向に延出された延出部81aと、延出部81aから−Y方向に延出された延出部81bと、を有している。延出部81bは、第4固定部84を有し、第4固定部84は、枠部70の−X方向に配置されている。
【0112】
第3支持部80は、枠部70から第4固定部84まで延出する間に、屈曲した屈曲部82aを有することができる。図示の例では、屈曲部82aは、延出部81aと延出部81bとが接続することにより形成されている。
【0113】
第4支持部90は、枠部70から延出され、枠部70を介して基部10を支持している。第4支持部90は、枠部70に接続された第4接続部93を有している。図示の例では、第4接続部93は、枠部70の屈曲部72bに接続されている。第4接続部93は、第4支持部90の枠部70との根元の部分であるともいえる。
【0114】
第4支持部90は、第5固定部94を有している。第5固定部94は、第4支持部90の先端近傍に設けられている。第4支持部90は、第5固定部94において、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。すなわち、第5固定部94は、第4支持部90を固定するための部分である。
【0115】
図示の例では、第4支持部90は、枠部70から(第4接続部93から)+X方向に延出された延出部91aと、延出部91aから−Y方向に延出された延出部91bと、を有している。延出部91bは、第5固定部94を有し、第5固定部94は、枠部70の+X方向に配置されている。
【0116】
第4支持部90は、枠部70から第5固定部94まで延出する間に、屈曲した屈曲部92aを有することができる。図示の例では、屈曲部92aは、延出部91aと延出部91bとが接続することにより形成されている。
【0117】
物理量検出デバイス200の重心Gは、図11に示すように平面視において、固定部24,34,84,94に囲まれた範囲A内に位置している。より具体的には、重心Gは、平面視において、第1固定部24の中心と第2固定部34の中心を結ぶ直線、第2固定部34の中心と第5固定部94の中心を結ぶ直線、第5固定部94の中心と第4固定部84の中心を結ぶ直線、および第4固定部84の中心と第1固定部24の中心を結ぶ直線に囲まれた範囲A(領域A)内に位置している。
【0118】
図示の例では、第1支持部20の延出部21c(第1延出部21c)の幅W1(Y軸方向の長さ、すなわちY軸方向に沿った幅)は、延出部21cに接続された延出部21d(第2延出部21d)の幅W2(X軸方向の長さ、すなわちX軸方向に沿った幅)よりも大きい。延出部21cは、基部10から第1固定部24まで延出された第1支持部20の経路において、延出部21dよりも基部10側に配置されている。さらに、延出部21bの幅(X軸方向の長さ)も、延出部21dの幅より大きい。延出部21dは、延出部21cから第1固定部24まで延出する間に在って、延出部21cの第1延出方向(X軸方向)とは異なる第1方向(Y軸方向)に沿って延出部21cから延出している。
【0119】
また、図示の例では、第2支持部30の延出部31c(第3延出部31c)の幅W3(Y軸方向の長さ、すなわちY軸方向に沿った幅)は、延出部31cに接続された延出部31d(第4延出部31d)の幅W4(X軸方向の長さ、すなわちX軸方向に沿った幅)よりも大きい。延出部31cは、基部10から第2固定部34まで延出された第2支持部30の経路において、延出部31dよりも基部10側に配置されている。さらに、延出部31bの幅(X軸方向の長さ)も、延出部31dの幅より大きい。延出部31dは、延出部31cから第2固定部34まで延出する間に在って、延出部31cの第2延出方向(X軸方向)とは異なる第2方向(Y軸方向)に沿って延出部31cから延出している。
【0120】
すなわち、第1支持部20、第2支持部30は、回転軸に沿って延出している延出部(延出部21c、延出部31c)と、この延出部から固定部(第1固定部、第2固定部)までの延出する間に在って、この延出部から突出して回転軸に対して交差する方向に向かって延出している延出部(延出部21d、延出部31d)とがある。
【0121】
そして、延出部21c,31cの幅W1またはW3は、延出部21d,31dの幅W2またはW4よりも大きく、さらには延出部21c,31cの延出部21d,31dとの接続部分においても、延出部21c,31cの幅W1またはW3は、延出部21d,31dの幅W2またはW4よりも大きいことが望ましい。
【0122】
支持部80,90は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出された水晶基板を、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることにより、構造体101として一体的に形成されている。なお、支持部80,90の材質は、水晶に限定されるものではなく、ガラスやシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【0123】
第2の実施形態に係る物理量検出デバイス200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0124】
物理量検出デバイス200によれば、物理量検出デバイス200の重心Gは、固定部24,34,84,94に囲まれた範囲A内に位置している。これにより、物理量検出デバイス200は、いずれかの方向に傾くことなく(捻じれることなく)安定した姿勢で、パッケージなどの外部部材に固定されることができる。物理量検出デバイス200では、支持部20,30に加えて支持部80,90が設けられているので、固定部の数を増やすことができ、よりいっそう安定した姿勢で固定され、より確実に捻じれ発生を抑制することができる。その結果、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を防ぐことができる。
【0125】
物理量検出デバイス200によれば、第3支持部80は、枠部70から第3固定部84まで延出する間に、屈曲部82aを有し、第4支持部90は、枠部70から第4固定部94まで延出する間に、屈曲部92aを有することができる。そのため、物理量検出デバイス200では、固定部84,94がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して固定部84,94に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に、緩和することができる。
【0126】
物理量検出デバイス200によれば、第1支持部20は、延出部21dの幅W2よりも大きい幅W1を有する延出部21cを備えることができる。さらに、第2支持部30は、延出部31dの幅W4よりも大きい幅W3を有する延出部31cを備えることができる。これにより、延出部21c,31cは、延出部21d,31dの剛性よりも高い剛性を有することができる。そのため、物理量検出デバイス200に、加速度が印加された場合、該加速度に伴って延出部21d,31dが優先的に撓みやすく、延出部21c,31cに捻じれが生じることを抑制できる。その結果、支持部20,30の接続部23,33に捻じれが生じることを抑制でき、加速度の検出感度の低下や信頼性の低下を防ぐことができる。
【0127】
なお、図示はしないが、延出部81aの幅(Y軸方向の長さ)は、延出部81bの幅(X軸方向の長さ)よりも大きく、延出部91aの幅(Y軸方向の長さ)は、延出部91bの幅(X軸方向の長さ)よりも大きくてもよい。これにより、物理量検出デバイス200に、Z軸に沿った加速度が加えられた場合、延出部81a,91aに捻じれが生じることを抑制できる。
【0128】
なお、第4支持部90を備えず、第1支持部20、第2支持部30および第3支持部80の3つにて物理量検出デバイス200を支持してもよく、この場合、平面視において、第1固定部、第2固定部、および第4固定部に囲まれた範囲内に、重心が在る。ただし、3つ以上の支持部を備える方が、物理量検出デバイス200を外部部材に搭載した際の搭載姿勢が安定すると共に、各支持部の太さも補足できるので応力を緩和する上でも有利である。
【0129】
2.2. 変形例
2.2.1. 第1変形例
次に、第2の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図12は、第2の実施形態の第1変形例に係る物理量検出デバイス210を模式的に示す平面図である。
【0130】
以下、物理量検出デバイス210において、上述した物理量検出デバイス200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0131】
物理量検出デバイス210は、物理量検出デバイス200と比して、第3支持部80および第4支持部90の形状が異なる。
【0132】
第3支持部80は、図12に示すように、枠部70の延出部71aから−X方向に延出された延出部81aと、延出部81aから+Y方向に延出された延出部81bと、延出部81bから+X方向に延出された延出部81cと、を有している。延出部81cは、第4固定部84を有し、第4固定部84は、枠部70の+Y方向に配置されている。
【0133】
さらに、第3支持部80は、延出部81aと延出部81bとが接続することにより形成される屈曲部82aと、延出部81bと延出部81cとが接続されることにより形成される屈曲部82bと、を有している。
【0134】
第4支持部90は、枠部70の延出部71cから+X方向に延出された延出部91aと、延出部91aから+Y方向に延出された延出部91bと、延出部91bから−X方向に延出された延出部91cと、を有している。延出部91cは、第5固定部94を有し、第5固定部94は、枠部70の+Y方向に配置されている。
【0135】
さらに、第4支持部90は、延出部91aと延出部91bとが接続することにより形成される屈曲部92aと、延出部91bと延出部91cとが接続することにより形成される屈曲部92bと、を有している。
【0136】
物理量検出デバイス210によれば、物理量検出デバイス200に比べて、多くの屈曲部を有する支持部80,90を有することができる。そのため、固定部84,94がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して固定部84,94に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に、より緩和することができる。
【0137】
なお、支持部80,90の屈曲部の数は、特に限定されず、例えば支持部80,90は、Y軸に沿って往復しながら、X軸に沿って延出される往復構造を有していてもよい。
【0138】
2.2.2. 第2変形例
次に、第2の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図13は、第2の実施形態の第2変形例に係る物理量検出デバイス220を模式的に示す平面図である。
【0139】
以下、物理量検出デバイス220において、上述した物理量検出デバイス200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0140】
物理量検出デバイス220では、図13に示すように、枠部70の延出部71bは、第3往復構造部75を有している。この点において、物理量検出デバイス220は、図11に示す物理量検出デバイス200と異なる。第3往復構造部75は、枠部70の、第3接続部83から第4接続部93まで延出する間に設けられている。第3往復構造部75は、例えば、Y軸に沿って往復しながら、X軸に沿って延出されている。すなわち、枠部70は、第3支持部80から第4支持部90まで延出する間が曲がっているといえる。
【0141】
図示の例では、第3往復構造部75は、X軸に沿って延出された延出部76aと、Y軸に沿って延出された延出部76bと、延出部76aと延出部76bとが接続することによって形成される屈曲部77と、を有している。延出部76a,76bは、複数設けられ、そのため屈曲部77も複数設けられている。図示の例では、延出部76aは4つ設けられ、延出部76bは3つ設けられ、屈曲部77は6つ設けられている。
【0142】
物理量検出デバイス220によれば、第3往復構造部75によって、固定部84,94がパッケージなどの外部部材に固定されることに起因して固定部84,94に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に、緩和することができる。例えば第3往復構造部75は、弾性を有することができ、これにより、いっそう固定部84,94に発生する応力を、物理量検出素子40に伝達される前に緩和することができる。
【0143】
2.2.3. 第3変形例
次に、第2の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図14は、第2の実施形態の第3変形例に係る物理量検出デバイス230を模式的に示す平面図である。
【0144】
以下、物理量検出デバイス230において、上述した物理量検出デバイス200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0145】
物理量検出デバイス200の例では、図11に示すように、固定部24,34は、X軸に沿って、並んで配置されていた。これに対し、物理量検出デバイス230では、図14に示すように、固定部24,34は、Y軸に沿って、並んで配置されている。すなわち、固定部24,34は、Y軸に沿った直線上に並んでいるといえる。
【0146】
図示の例では、固定部24,34は、物理量検出デバイス230の重心Gを通るY軸に平行な軸(図示せず)上に配置されている。図14に示すように、第2支持部30の延出31dの長さ(Y軸方向の長さ)は、第1支持部20の延出21dの長さ(Y軸方向の長さ)よりも大きくてもよい。
【0147】
物理量検出デバイス230によれば、物理量検出デバイス200に比べて、パッケージなどの外部部材がX軸に沿って熱膨張したとしても、外部部材の熱膨張に起因する応力が物理量検出素子40に伝達されることを抑制できる。
【0148】
2.2.4. 第4変形例
次に、第2の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図15は、第2の実施形態の第4変形例に係る物理量検出デバイス240を模式的に示す平面図である。
【0149】
以下、物理量検出デバイス240において、上述した物理量検出デバイス200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0150】
物理量検出デバイス200の例では、図11に示すように、支持部20,30,80,90の屈曲部22a〜22d,32a〜32d,82a,92aは、直角をなす角部を有していた。これに対し、物理量検出デバイス240では、図15に示すように、支持部20,30,80,90の屈曲部22a〜22d,32a〜32d,82a,92aは、直角をなす角部を有さず、曲面241を有している。図示の例では、枠部70の屈曲部72a,72bも、同様に曲面241を有している。
【0151】
なお、図示はしないが、屈曲部22a〜22d,32a〜32d,72a,72b,82a,92aは、直角をなす角部を有さずに、延出部の延出方向(X方向またはY方向)に対して傾斜した傾斜面を有していてもよい。
【0152】
物理量検出デバイス240によれば、屈曲部22a〜22d,32a〜32d,72a,72b,82a,92aは、曲面241を有することにより、物理量検出デバイス200に比べて、応力の集中を抑制できる。
【0153】
3. 第3の実施形態
次に、第3の実施形態に係る物理量検出器について、図面を参照しながら説明する。図16は、第3の実施形態に係る物理量検出器300を模式的に示す平面図である。図17は、第3の実施形態に係る物理量検出器300を模式的に示す図16のXVII−XVII線断面図である。
【0154】
物理量検出器300は、図16および図17に示すように、本発明に係る物理量検出デバイスと、パッケージ310と、を含む。以下では、本発明に係る物理量検出デバイスとして、物理量検出デバイス100を用いた例について説明する。
【0155】
パッケージ310は、物理量検出デバイス100を収容している。パッケージ310は、パッケージベース320と、リッド330と、を有することができる。なお、図16では、便宜上、リッド330の図示を省略している。
【0156】
パッケージベース320には、凹部321が形成され、凹部321内に物理量検出デバイス100が配置されている。パッケージベース320の平面形状は、凹部321内に物理量検出デバイス100を配置することができれば、特に限定されない。パッケージベース320としては、例えば、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコンなどの材料を用いる。
【0157】
なお、パッケージベース320の材質は、物理量検出デバイス100の構造体101の材質と同じであってもよいし、異なってもよいが、本発明は、パッケージベース320の材質と構造体101の材質とが異なることにより、パッケージベース320の線膨張係数と構造体101の線膨張係数とが異なる場合に、特に有効であり、パッケージベース320の線膨張係数と構造体101との線膨張係数との差によって構造体101に生じる応力が、物理量検出素子40に伝達されることを抑制できる。
【0158】
パッケージベース320は、パッケージベース320の内底面(凹部の内側の底面)322から、リッド330側に突出した段差部323を有することができる。段差部323は、例えば、凹部321の内壁に沿って設けられている。段差部323には、内部端子340,342が設けられている。
【0159】
内部端子340,342は、物理量検出デバイス100の固定部24,34に設けられた外部接続端子49a,49bと対向する位置(平面視において重なる位置)に設けられている。例えば、外部接続端子49aは、内部端子340と電気的に接続され、外部接続端子49bは、内部端子342と電気的に接続されている。
【0160】
パッケージベース320の外底面(内底面322と反対側の面)324には、電子機器などの外部部材に実装される際に用いられる外部端子344,346が設けられている。外部端子344,346は、図示しない内部配線を介して内部端子340,342と電気的に接続されている。例えば、外部端子344は、内部端子340と電気的に接続され、外部端子346は、内部端子342と電気的に接続されている。
【0161】
内部端子340,342および外部端子344,346は、Wなどのメタライス層に、Ni、Auなどの皮膜をめっきなどの方法により積層した金属膜からなる。
【0162】
パッケージベース320には、凹部321の底部にパッケージ310の内部(キャビティー)を封止する封止部350が設けられている。封止部350は、パッケージベース320に形成された貫通孔325内に配置されている。貫通孔325は、外底面324から内底面322まで貫通している。図示の例では、貫通孔325は、外底面324側の孔径が内底面322側の孔径より大きい段付きの形状を有している。封止部350は、貫通孔325に、例えば、Au/Ge合金、はんだなどからなる封止材を配置し、加熱溶融後、固化させることで形成される。封止部350は、パッケージ310の内部を気密に封止する構成である。
【0163】
支持部20,30の固定部24,34は、接合部材64を介して、パッケージベース320の段差部323に固定されている。これにより、物理量検出デバイス100は、パッケージベース320に実装され、パッケージ310内に収容される。
【0164】
固定部24,34が段差部323に固定されることにより、固定部24,34に設けられた外部接続端子49a,49bと、段差部323に設けられた内部端子340,342とは、接合部材64を介して、電気的に接続される。接合部材64としては、例えば、金属フィラーなどの導電性物質が混合されたシリコーン樹脂系の導電性接着剤を用いる。
【0165】
リッド330は、パッケージベース320の凹部321を覆って設けられている。リッド330の形状は、例えば、板状である。リッド330としては、例えば、パッケージベース320と同じ材料や、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属を用いる。リッド330は、例えば、シームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材332を介して、パッケージベース310に接合されている。
【0166】
リッド330をパッケージベース310接合した後、パッケージ310の内部が減圧された状態(真空度の高い状態)で、貫通孔325内に封止材を配置し、加熱溶融後、固化させて封止部350を形成することにより、パッケージ310内を気密に封止することができる。パッケージ310の内部は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填されていてもよい。
【0167】
物理量検出器300において、外部端子344,346、内部端子340,342、外部接続端子49a,49b、接続端子46a,46bなどを経由して、物理量検出デバイス100の励振電極に駆動信号がされると、物理量検出素子100の振動梁部41a,41bは、所定の周波数で振動(共振)する。そして、物理量検出器300は、印加される加速度に応じて変化する物理量検出素子100の共振周波数を出力信号として、出力することができる。
【0168】
物理量検出器300によれば、上記のように応力が物理量検出素子40に伝達することを抑制できる物理量検出デバイス100を含む。そのため、物理量検出器300は、高い検出感度を有することができる。
【0169】
なお、図示はしないが、物理量検出デバイス100が配置される凹部は、パッケージベース320およびリッド330の両方に形成されていてもよいし、リッド330にのみ形成されていてもよい。
【0170】
4. 第4の実施形態
次に、第4の実施形態に係る電子機器について説明する。以下では、第4の実施形態に係る電子機器として、本発明に係る物理検出デバイス(以下の例では物理検出デバイス100)を含む傾斜計について、図面を参照しながら説明する。図18は、第4の実施形態に係る傾斜計400を模式的に示す斜視図である。
【0171】
傾斜計400は、図18に示すように、物理量検出デバイス100を、傾斜センサーとして含んでいる。
【0172】
傾斜計400は、例えば、山の斜面、道路の法面、盛土の擁壁面などの被計測場所に設置される。傾斜計400は、外部からケーブル410を介して電源が供給され、または電源を内蔵し、図示しない駆動回路によって物理量検出デバイス100に駆動信号が送られている。
【0173】
そして、傾斜計400は、図示しない検出回路によって、物理量検出デバイス100に加わる重力加速度に応じて変化する共振周波数から、傾斜計400の姿勢の変化(傾斜計400に対する重力加速度が加わる方向の変化)を検出し、それを角度に換算して、例えば、無線などで基地局にデータ転送する。これにより、傾斜計400は、異常の早期発見に貢献することができる。
【0174】
傾斜計400によれば、上記のように応力が物理量検出素子40に伝達することを抑制できる物理量検出デバイス100を含む。そのため、傾斜計400は、高い検出感度を有することができる。
【0175】
本発明に係る物理量検出デバイスは、上記の傾斜計に限らず、地震計、ナビゲーション装置、姿勢制御装置、ゲームコントローラー、携帯電話などの加速度センサー、傾斜センサーなどとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0176】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0177】
また連結体として、第1支持部と第2支持部とを連結するように第1支持部と第2支持部とから延出したものを用いて説明したが、少なくとも連結体の一端が基部10から直接に延出するようにしたものであってもよい。ただし、第3固定部を固定したことに起因する応力が基部10へ伝達されることを緩和する効果を考慮すれば、連結体を第1支持部、第2支持部に連結することが望ましい。
【0178】
また連結体として第4固定部84と第5固定部94との間が連結した枠部70を使って本願発明を説明したが、図13以外の実施形態においては、第4固定部84と第5固定部94との間が連結体によって連結されていない構成であっても良い。すなわち第3支持部と連結している連結部と、第4支持部と連結している連結部とが分離している構成であってもよい。
【0179】
ただし、枠部70のように第3支持部80と、第4支持部90との間が連結体により連結された構成であれば、第4固定部84と第5固定部94とを外部部材に固定する際に、第4固定部84と第5固定部94との間の位置関係にズレが生じ難いので、物理量検出デバイス100に組み立て精度に起因した応力が発生し難いという効果が得られやすい。
【0180】
また、第3固定部74、第4固定部84、および第5固定部94は、それぞれ複数あっても良い。
【0181】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0182】
10 基部、10a,10b 主面、10c,10d 側面、12 継ぎ手部、
12a,12b 溝部、20 第1支持部、21a〜21e 延出部、
22a〜22d 屈曲部、23 第1接続部、24 第1固定部、
25 第1往復構造部、30 第2支持部、31a〜31e 延出部、
32a〜32d 屈曲部、33 第2接続部、34 第2固定部、
35 第2往復構造部、40 物理量検出素子、41a,41b 振動梁部、
42a,42b ベース部、44a,44b 引き出し電極、
46a,46b 接続端子、48 ワイヤー、49a,49b 外部接続端子、
50〜56 質量部、60 〜64 接合部材、70 枠部、71a〜71c 延出部、
71a,71b 屈曲部、74 第3固定部、75 第3往復構造部、
76a,76b 延出部、77 屈曲部、80 第3支持部、81a〜81c 延出部、
81a,81b 屈曲部、84 第4固定部、90 第4支持部、
91a〜91c 延出部、91a,91b 屈曲部、94 第5固定部、
100 物理量検出デバイス、101 構造体、110〜140 物理量検出デバイス、
200〜240 物理量検出デバイス、241 曲面、300 物理量検出器、
310 パッケージ、320 パッケージベース、321 凹部、322 内底面、
323 段差部、324 外底面、325 貫通孔、330 リッド、
332 接合部材、340,342 内部端子、344,346 外部端子、
350 封止部、400 傾斜計、410 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に継ぎ手部を介して支持されており、物理量の変化に応じて変位する可動部と、
前記基部と前記可動部とに掛け渡されている物理量検出素子と、
前記基部から延出しており、第1固定部を備えている第1支持部と、
前記基部から延出しており、第2固定部を備えている第2支持部と、
を含み、
前記第1固定部と前記第2固定部との間の距離は、前記第1支持部の前記基部との根元の部分と前記第2支持部の前記基部との根元の部分との間の距離よりも小さい、物理量検出デバイス。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1支持部は、前記基部から前記第1固定部まで延出する間が曲がっており、
前記第2支持部は、前記基部から前記第2固定部まで延出する間が曲がっている、物理量検出デバイス。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1支持部は、
前記基部から前記第1固定部まで延出する間が、往復したように曲がっており、
前記第2支持部は、
前記基部から前記第2固定部まで延出する間が、往復したように曲がっている、物量検出デバイス。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記第1支持部は、
第1延出部と、
前記第1延出部から前記第1固定部まで延出する間に在って、前記第1延出部の第1延出方向とは異なる第1方向に沿って前記第1延出部から延出している第2延出部と、
を含み、
前記第2支持部は、
第3延出部と、
前記第3延出部から前記第2固定部まで延出する間に在って、前記第3延出部の第2延出方向とは異なる第2方向に沿って前記第3延出部から延出している第4延出部と、
を含み、
前記第1延出部の前記第1方向に沿った幅は、前記第2延出部の前記第1延出方向の幅よりも大きく、
前記第3延出部の前記第2方向に沿った幅は、前記第4延出部の前記第2延出方向の幅よりも大きい、物理量検出デバイス。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体を、さらに含み、
前記連結体は、該連結体を固定するための第3固定部を備えており、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、および前記第3固定部に囲まれた範囲内に、重心が在る、物理量検出デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体と、
前記連結体から延出しており、第4固定部を有している第3支持部と、
をさらに含み、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、および前記第4固定部に囲まれた範囲内に、重心が在る、物理量検出デバイス。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記可動部と間隙を介して設けられ、前記第1支持部と前記第2支持部のうち少なくとも一方、または前記基部から延出している連結体と、
前記連結体から延出しており、第4固定部を有している第3支持部と、
前記連結体から延出しており、第5固定部を有している第4支持部と、
をさらに含み、
平面視において、前記第1固定部、前記第2固定部、前記第4固定部、および前記第5固定部に囲まれた範囲内に、重心が在る、物理量検出デバイス。
【請求項8】
請求項7において、
前記連結体は、
前記第3支持部から前記第4支持部まで延出する間が曲がっている、物理量検出デバイス。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、
平面視において、前記基部、前記第1固定部、および前記第2固定部は、直線上に並んでいる、物理量検出デバイス。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の物理量検出デバイスと、
前記物理量検出デバイスを収容するパッケージと、
を含む、物理量検出器。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の物理量検出デバイスを含む、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−96806(P2013−96806A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239119(P2011−239119)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)