説明

物理量検出装置および物理量検出システム

【課題】より確実に異常を通知できるようにする。
【解決手段】センシング素子11により検出された検出信号が非反転入力端子に入力され、反転入力端子および出力端子が外部信号出力端子SOに接続された演算増幅回路100と、この演算増幅回路100の出力端子と、反転入力端子と外部信号出力端子SOとの接続点との間に配置され、異常検出回路13〜15により異常が検出されたときに、演算増幅回路100の出力端子と外部信号出力端子SOとの間を開放するアナログスイッチ40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置内で抵抗を介してプルアップ接続またはプルダウン接続された信号入力端子と接続される外部信号出力端子を介してセンシング素子により検出された物理量に応じた信号を外部装置へ出力する物理量検出装置および物理量検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、予め定められた規格範囲内の電圧でセンシング素子により検出された検出信号を出力し、規格範囲外の電圧で異常を示す異常信号を出力することにより、1本の信号ラインを介して検出信号と異常信号を外部制御装置へ通知するように構成された物理量検出装置がある。
【0003】
また、このように信号ラインを介して検出信号と異常信号を外部制御装置へ通知する物理量検出装置として、物理量検出装置側に、センサ出力を増幅するとともに電源電圧が基準値未満に下がったときにオープンコレクタ出力端子がハイインピーダンス状態となるように構成されたオペアンプを備え、このオペアンプの出力端子が信号ラインを介して外部制御装置内に設けられたプルアップ抵抗を介して外部制御装置内の安定化電源にプルアップ接続されるようにし、電源電圧が基準値未満に下がったときに、プルアップ抵抗と、オペアンプの帰還抵抗、オペアンプの入力抵抗とで分圧した電圧レベルの信号が出力されるように構成された物理量センサ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−294069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載されたような物理量検出装置は、電源電圧が基準値未満に下がったときに、プルアップ抵抗と、オペアンプの帰還抵抗、オペアンプの入力抵抗とで分圧した電圧レベルの信号が出力される構成となっているので、例えば、外部制御装置に接続される電源ラインや接地ラインの接触不良により、物理量検出装置内で電源電圧の異常が検出されたような場合、プルアップ抵抗、オペアンプの帰還抵抗、オペアンプの入力抵抗の各抵抗値によっては、規格範囲外の電圧とならない場合があるといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、より確実に異常を通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、物理量を検出するセンシング素子(11)と、外部装置(50)内で抵抗(51)を介してプルアップ接続またはプルダウン接続された信号入力端子(SI)と接続される外部信号出力端子(SO)とを有し、当該外部信号出力端子(SO)を介してセンシング素子(11)により検出された検出信号を外部装置(50)へ出力する物理量検出装置であって、異常を検出する異常検出回路(13〜15)と、センシング素子(11)により検出された検出信号が非反転入力端子に入力され、反転入力端子および出力端子が外部信号出力端子(SO)に接続された演算増幅回路(100)と、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにするインピーダンス変更手段(40、114〜116、164〜166)と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスがハイインピーダンスになるので、より確実に異常を通知することができる。
【0008】
インピーダンス変更手段としては、請求項2に記載の発明のように、演算増幅回路(100)の出力端子と、反転入力端子と外部信号出力端子(SO)との接続点との間に配置され、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、演算増幅回路(100)の出力端子と外部信号出力端子(SO)との間を短絡し、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、演算増幅回路(100)の出力端子と外部信号出力端子(SO)との間を開放するスイッチ手段(40)により構成することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明のように、演算増幅回路(100)は、外部信号出力端子(SO)に接続された演算増幅回路(100)の出力端子と電源端子との間に配置され、当該電源端子から出力端子へ電流を供給する第1のトランジスタ(111〜113、161〜163)と、演算増幅回路(100)の出力端子とグランド端子との間に配置され、出力端子の電圧を決定する第2のトランジスタ(110、160)と、を有し、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、第1、第2のトランジスタ(110〜113)をオンさせ、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、第1、第2のトランジスタ(110〜113、160〜163)をオフさせる切替回路(114〜116)によりインピーダンス変更手段を構成することもできる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明のように、演算増幅回路(100)の反転入力端子と演算増幅回路(100)の出力端子の接続点と外部信号出力端子(SO)との間に配置され、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、演算増幅回路(100)の出力端子と外部信号出力端子(SO)との間を短絡し、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、演算増幅回路(100)の出力端子と外部信号出力端子(SO)との間を開放するスイッチ手段(40)によりインピーダンス変更手段を構成することもできる。
【0011】
また、演算増幅回路(100)を構成する各トランジスタとしては、請求項4に記載の発明のように、MOSトランジスタにより構成することができ、また、請求項5に記載の発明のように、バイポーラトランジスタにより構成することもできる。
【0012】
また、演算増幅回路(100)の反転入力端子と出力端子との間は、請求項7に記載の発明のように直接接続してもよく、請求項8に記載の発明のように抵抗(16)を介して接続してもよい。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、センシング素子(11)により検出された検出信号を増幅する信号増幅回路(12)を備え、演算増幅回路(100)の非反転入力端子には、信号増幅回路(12)により増幅された検出信号が入力されていることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、演算増幅回路(100)の非反転入力端子には、信号増幅回路(12)により増幅された検出信号が入力されるので、センシング素子(11)により出力される検出信号が微少電圧であっても外部装置(50)に規格電圧範囲内の検出信号を通知することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、請求項10に記載の発明は、物理量を検出するセンシング素子(11)と、当該センシング素子(11)により検出された検出信号を出力する外部信号出力端子(SO)を有する物理量検出装置と、外部信号出力端子(SO)に接続されるとともに、抵抗(51)を介してプルアップ接続またはプルダウン接続される信号入力端子(SI)を有する外部装置とを備えた物理量検出システムであって、物理量検出装置は、異常を検出する異常検出回路(13〜15)と、センシング素子(11)により検出された検出信号が非反転入力端子に入力され、反転入力端子および出力端子が外部信号出力端子(SO)に接続された演算増幅回路(100)と、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにするインピーダンス変更手段(40、114〜116、164〜166)と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
上記した構成によれば、異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスがハイインピーダンスとなるので、より確実に異常を通知することができる。
【0017】
なお、請求項10に記載の発明においても、請求項2〜9に記載の特徴を有して構成することができる。
【0018】
また、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を図1に示す。本物理量検出システムは、物理量検出装置10と外部装置としてのECU50により構成されている。物理量検出装置10は、センシング素子11、演算増幅器12、電源電圧検出部13、故障検出部14、故障通知制御部15、演算増幅器100およびアナログスイッチ40を備えている。また、本物理量検出装置10は、電源端子V、外部信号出力端子SOおよび接地端子Gを有しており、これらの各端子は、ワイヤーハーネス(図中、L1〜L3に示す)を介して外部装置としてのECU50に設けられた各端子と接続されるようになっている。
【0020】
センシング素子11は、物理量を検出するセンサとして構成されており、物理量に応じた検出信号を出力する。本実施形態におけるセンシング素子11は、気圧、油圧等の圧力を検出する圧力センサとして構成されている。
【0021】
演算増幅器12は、センシング素子11により検出された検出信号を予め定められたゲインで増幅し、この増幅した信号を演算増幅器100へ出力する。
【0022】
電源電圧検出部13は、ECU50より供給される電源の電圧が正常範囲内であるか否かを検出し、異常検出時に異常を示す信号を出力する。また、故障検出部14は、センシング素子11の故障および演算増幅器12の故障を検出し、故障検出時に故障を示す信号を出力する。
【0023】
故障通知制御部15は、電源電圧検出部13より異常を示す信号が入力された場合、あるいは故障検出部14より故障を示す信号が入力された場合に、故障信号を出力する。本実施形態における故障通知制御部15は、通常時にローレベルの信号を出力し、電源電圧検出部13より異常を示す信号が入力された場合、あるいは故障検出部14より故障を示す信号が入力された場合、ハイレベルの故障信号を出力する。
【0024】
なお、上記した電源電圧検出部13、故障検出部14および故障通知制御部15は、いずれも周知のものである。
【0025】
本実施形態において、演算増幅器100の反転入力端子と外部信号出力端子SOとの間は短絡されている。演算増幅器100は、ボルテージフォロアとして用いられ、非反転入力端子に入力される信号と同電圧の信号が出力端子から出力される。なお、演算増幅器100の反転入力端子と非反転入力端子の各入力インピーダンスはハイインピーダンスとなっている。
【0026】
アナログスイッチ40は、演算増幅器100の出力端子と、反転入力端子と外部信号出力端子SOの接続点との間に配置されている。アナログスイッチ40は、故障通知制御部15より入力される故障信号に応じてオンオフするようになっており、オン時に信号出力端子SOと演算増幅器100の出力端子との間は短絡状態となり、センシング素子11により検出された物理量に応じた信号が信号出力端子SOより出力され、オフ時に信号出力端子SOと演算増幅器100の出力端子との間は開放状態となる。
【0027】
ECU50は、物理量検出装置10に電源を供給するための電源端子P、物理量検出装置10からの検出信号を入力するための信号入力端子SI、物理量検出装置10の接地端子に接続される接地端子Eを有している。電源端子Pは、電源ラインL1を介して物理量検出装置10の電源端子Vに接続され、信号入力端子SIは、信号ラインL2を介して物理量検出装置10の外部信号出力端子SOに接続され、接地端子Eは、接地ラインを介して物理量検出装置10の接地端子Gに接続されている。
【0028】
また、本実施形態における信号入力端子SIは、抵抗51を介して電源Vccにプルアップ接続されている。
【0029】
また、ECU50は、信号入力端子SIより入力される検出信号をデジタル信号に変換するAD変換回路52と、各種演算を行うCPU53を備えている。
【0030】
CPU53は、AD変換回路52によりAD変換された信号に基づいて、信号入力端子SIの電圧値が予め定められた規格電圧範囲内にある場合には、検出信号が通知されたものと判定し、信号入力端子SIの電圧値が規格電圧範囲外にある場合には異常信号が通知されたものと判定する。
【0031】
本実施形態における電源Vccの電圧は+5Vとなっており、図2に示すように、0.5Vをロークランプリミット電圧、4.5Vをハイクランプリミット電圧とし、0.5V〜4.5Vの範囲を規格電圧範囲として、信号入力端子SIの電圧値が0.5V〜4.5Vの範囲内である場合には、検出信号が通知されたものと判定し、信号入力端子SIの電圧値が0.5V未満または4.5Vよりも高い場合には、異常信号が通知されたものと判定する。
【0032】
上記した構成において、センシング素子11により検出された検出信号は、演算増幅器12により予め定められたゲインで増幅され、この増幅された信号は演算増幅器100の非反転入力端子に入力される。
【0033】
ここで、故障通知制御部15より故障信号が入力されていない場合、アナログスイッチ40はオン状態となり、演算増幅器100の出力端子と外部信号出力端子との間は短絡される。演算増幅器100はボルテージフォロアとなっており、演算増幅器100の出力端子から非反転入力端子に入力される信号と同電圧の信号が出力される。そして、演算増幅器100の出力信号は、アナログスイッチ40、外部信号出力端子SOおよび信号ラインL2を介してAD変換回路52に入力される。
【0034】
なお、信号入力端子SIの電圧値が規格電圧範囲内となるように演算増幅器12のゲインが調整されており、信号入力端子SIの電圧値は規格電圧範囲内となるようになっている。したがって、CPU53は、検出信号が通知されたものと判定する。
【0035】
ここで、例えば、電源ラインL1または接地ラインL3の接触不良などにより、各ラインの接触抵抗が大きくなり、電源電圧検出部13により電源VCCの電圧異常が検出され、故障通知制御部15より故障信号が入力されると、アナログスイッチ40はオフ状態となり、演算増幅器100の出力端子と外部信号出力端子SOとの間は開放される。このとき、外部信号出力端子SOには演算増幅器100の反転入力端子のみが接続されることとなり、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスはハイインピーダンスとなる。
【0036】
したがって、ECU50の信号入力端子SIの電圧値は、電源Vccにプルアップ接続された抵抗51により、電源Vccとほぼ等しい5Vとなり規格電圧範囲外となる。したがって、CPU53は、異常信号が通知されたものと判定する。
【0037】
また、故障検出部14による故障が検出され、故障通知制御部15より故障信号が入力された場合も、同様に、アナログスイッチ40はオフ状態となり、演算増幅器100の出力端子と外部信号出力端子SOとの間は開放され、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスはハイインピーダンスとなる。
【0038】
上記した構成によれば、ECU50に設けられた信号入力端子SIは、抵抗51を介してプルアップ接続されており、電源電圧検出部13または故障検出部14により異常が検出されたときに、アナログスイッチ40により演算増幅回路100の出力端子と外部信号出力端子SOとの間が開放となり、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスがハイインピーダンスとなるので、ECU50に設けられた信号入力端子SIの電圧は規格電圧範囲外となり、より確実に異常を通知することができる。
【0039】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、故障通知制御部15より故障信号が入力されたときに、演算増幅回路100の出力端子と外部信号出力端子との間に設けられたアナログスイッチ40を開放するようにして、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにする構成を示したが、本実施形態では、故障通知制御部15より故障信号が入力されたときに、演算増幅回路100の出力インピーダンスがハイインピーダンスとなるように構成されている。以下、上記実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0040】
本実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を図3に示す。本物理量検出装置10は、図1に示したアナログスイッチ40を備えていない。また、演算増幅器100には、故障通知制御部15より故障信号が入力されるようになっている。
【0041】
図4に、演算増幅器100の回路構成を示す。演算増幅回路100は、Pチャネル型MOSトランジスタ101、102、105、106、107、111、112、113、115、117、Nチャネル型MOSトランジスタ103、104、108、109、110、114、116、抵抗120〜122およびコンデンサ130を備えている。
【0042】
図に示す回路において、切替回路としてのPチャネル型MOSトランジスタ115およびNチャネル型MOSトランジスタ114、116を除く各部は、周知の構成となっている。なお、MOSトランジスタ111〜113により、電源VCCから出力端子Voutに電流が供給され、MOSトランジスタ110により出力端子Voutの電圧が決定されるようになっている。また、コンデンサ130は位相補償用コンデンサとして設けられている。
【0043】
MOSトランジスタ114、116の各ゲートには、故障通知制御部15よりハイレベルの故障信号が入力されるようになっている。すなわち、故障信号が入力されていない場合、すなわちMOSトランジスタ114、116の各ゲートはローレベルとなっており、MOSトランジスタ114、115、116は、それぞれオフとなっている。
【0044】
図に示す構成において、MOSトランジスタ106のゲート端子には、非反転入力端子と反転入力端子の電位差に応じた電圧が印加され、MOSトランジスタ106のソース端子、すなわちMOSトランジスタ108のゲート端子は、非反転入力端子と反転入力端子の電位差に応じて変化する。MOSトランジスタ110とともにカレントミラー回路を構成しているMOSトランジスタ109には、抵抗120およびMOSトランジスタ108を介してMOSトランジスタ108のゲート端子の電圧に応じた電流が流れるようになっており、MOSトランジスタ110には、MOSトランジスタ109と等しい電流が流れる。そして、このMOSトランジスタ110により出力端子Voutの電圧が決定されるようになっている。
【0045】
ここで、故障通知制御部15よりハイレベルの故障信号が入力されると、MOSトランジスタ114、116は、それぞれオンとなり、MOSトランジスタ115もオンとなる。したがって、MOSトランジスタ109、110は、それぞれオフとなり、MOSトランジスタ111〜113もオフとなる。すなわち、本演算増幅器100の出力インピーダンスは、ハイインピーダンスとなる。
【0046】
上記した構成によれば、演算増幅回路100は、外部信号出力端子SOに接続された演算増幅回路100の出力端子と電源端子との間に配置され、当該電源端子から出力端子へ電流を供給する第1のトランジスタ111〜113と、演算増幅回路100の出力端子とグランド端子との間に配置され、出力端子の電圧を決定する第2のトランジスタ110と、を有し、電源電圧検出部13または故障検出部14により異常が検出されたときに、切替回路115〜117により第1、第2のトランジスタ110〜113がオフし、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスがハイインピーダンスとなるので、ECU50に設けられた信号入力端子SIの電圧は規格電圧範囲外となり、より確実に異常を通知することができる。
【0047】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、MOSトランジスタを用いて演算増幅回路100を構成したが、本実施形態では、バイポーラトランジスタを用いて演算増幅回路100を構成する点が異なる。
【0048】
本実施形態に係る演算増幅回路100の構成を図5に示す。演算増幅回路100は、PNP型トランジスタ150、151、152、155、156、157、161、162、163、165、NPN型トランジスタ153、154、158、159、160、164、166、抵抗170〜177およびコンデンサ180を備えている。
【0049】
図に示す回路において、トランジスタ164〜166を除く各部は、周知の構成となっている。なお、直接接続されたトランジスタ161と抵抗174、直接接続されたトランジスタ162と抵抗175、直接接続されたトランジスタ163と抵抗175により、電源VCCから出力端子Voutに電流が供給され、トランジスタ160と抵抗177により出力端子Voutの電圧が決定されるようになっている。
【0050】
故障信号が入力されていない場合、すなわちトランジスタ164、166の各ベースはローレベルとなっており、バイポーラトランジスタ164、165、166は、それぞれオフとなっている。
【0051】
そして、故障通知制御部15よりハイレベルの故障信号が入力されると、トランジスタ164、166は、それぞれオンとなり、トランジスタ165もオンとなる。したがって、トランジスタ159、160は、それぞれオフとなり、トランジスタ161〜163もオフとなる。すなわち、本演算増幅器100の出力インピーダンスは、ハイインピーダンスとなる。
【0052】
(第4実施形態)
本実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を図6に示す。上記第1〜第3実施形態では、演算増幅回路100の反転入力端子と出力端子との間を直接接続して演算増幅回路100をボルテージフォロアとして用いたが、図7に示すように、演算増幅回路100の反転入力端子と出力端子との間に抵抗16を設け、この抵抗16を介して演算増幅回路100の反転入力端子と出力端子との間を接続するように構成としてもよい。
【0053】
(第5実施形態)
本実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を図7に示す。上記第1実施形態では、図1に示したように、演算増幅回路100の反転入力端子と外部信号出力端子SOとの間を接続し、演算増幅回路100の出力端子と演算増幅回路100の反転入力端子との間にアナログスイッチ40を備えた構成を示したが、図7に示すように、演算増幅回路100の反転入力端子と出力端子との間を接続し、この演算増幅回路100の出力端子と外部信号出力端子SOとの間にアナログスイッチ40を備えた構成としてもよい。
【0054】
(第6実施形態)
本実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を図8に示す。上記第1実施形態では、ECU50内において信号入力端子SIが抵抗51を介して電源端子Pにプルアップ接続された構成となっているが、本実施形態では、ECU50内において信号入力端子SIが抵抗51を介して接地端子Eにプルダウン接続されている。この場合、異常検出時に、ECU50内において信号入力端子SIが接地電位となり、確実に異常を通知することができる。なお、上記第2〜第5実施形態においても、同様に、ECU50内において信号入力端子SIが抵抗51を介して接地端子Eにプルダウン接続した構成としてもよい。
【0055】
(その他の実施形態)
上記第1〜第6実施形態では、物理量検出装置10の電源端子V、外部信号出力端子SOおよび接地端子Gと、ECU50の電源端子P、信号入力端子SIおよび接地端子Eとの間を、信号ラインL1〜L3を介して接続した構成を示したが、各端子間をコネクタ接続するようにしてもよい。
【0056】
また、上記第1〜第6実施形態では、圧力センサを用いてセンシング素子を構成したが、圧力センサに限定されるものではなく、例えば、加速度センサ、光センサ等、各種物理量を検出するセンサを用いて構成してもよい。
【0057】
また、上記第1、第5、第6実施形態では、アナログスイッチ40を用いてスイッチ手段を構成したが、アナログスイッチに限定されるものではなく、例えば、半導体リレー、電磁式リレー等を用いてスイッチ手段を構成するようにしてもよい。
【0058】
また、上記第1〜第6実施形態では、アナログスイッチ40や切替回路により異常が検出されたときに、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにする構成を示したが、上記第1〜第6実施形態に示した構成に限定されるものではなく、要するに、異常が検出されたときに、外部信号出力端子SOから装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにする構成とすることにより、より確実に異常を通知することができるといった効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を示す図である。
【図2】規格電圧範囲について説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る演算増幅回路の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る演算増幅回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を示す図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を示す図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る物理量検出システムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
10 物理量検出装置
11 センシング素子
12 演算増幅器
13 電源電圧検出部
14 故障検出部
15 故障通知制御部
100 演算増幅器
50 ECU
51 抵抗
52 AD変換回路
53 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を検出するセンシング素子(11)と、外部装置(50)内で抵抗(51)を介してプルアップ接続またはプルダウン接続された信号入力端子(SI)と接続される外部信号出力端子(SO)とを有し、当該外部信号出力端子(SO)を介して前記センシング素子(11)により検出された物理量に応じた信号を前記外部装置(50)へ出力する物理量検出装置であって、
異常を検出する異常検出回路(13〜15)と、
前記センシング素子(11)により検出された検出信号が非反転入力端子に入力され、反転入力端子および出力端子が前記外部信号出力端子(SO)に接続された演算増幅回路(100)と、
前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、前記外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにするインピーダンス変更手段(40、114〜116、164〜166)と、を備えたことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項2】
前記インピーダンス変更手段は、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と、反転入力端子と前記外部信号出力端子(SO)との接続点との間に配置され、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と前記外部信号出力端子(SO)との間を短絡し、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と前記外部信号出力端子(SO)との間を開放するスイッチ手段(40)により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項3】
前記演算増幅回路(100)は、前記外部信号出力端子(SO)に接続された前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と電源端子との間に配置され、当該電源端子から前記出力端子へ電流を供給する第1のトランジスタ(111〜113、161〜163)と、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子とグランド端子との間に配置され、前記出力端子の電圧を決定する第2のトランジスタ(110、160)と、を有し、
前記インピーダンス変更手段は、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、前記第1、第2のトランジスタ(110〜113、160〜163)をオンさせ、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、前記第1、第2のトランジスタ(110〜113、160〜163)をオフさせる切替回路(114〜116)により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項4】
前記演算増幅回路(100)を構成する各トランジスタは、MOSトランジスタであることを特徴とする請求項3に記載の物理量検出装置。
【請求項5】
前記演算増幅回路(100)を構成する各トランジスタは、バイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項3に記載の物理量検出装置。
【請求項6】
前記インピーダンス変更手段は、前記演算増幅回路(100)の前記反転入力端子と前記演算増幅回路(100)の前記出力端子の接続点と前記外部信号出力端子(SO)との間に配置され、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されないときに、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と前記外部信号出力端子(SO)との間を短絡し、前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、前記演算増幅回路(100)の前記出力端子と前記外部信号出力端子(SO)との間を開放するスイッチ手段(40)により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項7】
前記演算増幅回路(100)の前記反転入力端子と前記出力端子との間は、直接接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の物理量検出装置。
【請求項8】
前記演算増幅回路(100)の前記反転入力端子と前記出力端子との間は、抵抗(16)を介して接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の物理量検出装置。
【請求項9】
前記センシング素子(11)により検出された検出信号を増幅する信号増幅回路(12)を備え、
前記演算増幅回路(100)の前記非反転入力端子には、前記信号増幅回路(12)により増幅された前記検出信号が入力されていることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1つに記載の物理量検出装置。
【請求項10】
物理量を検出するセンシング素子(11)と、当該センシング素子(11)により検出された物理量に応じた信号を出力する外部信号出力端子(SO)を有する物理量検出装置と、前記外部信号出力端子(SO)に接続されるとともに、抵抗(51)を介してプルアップ接続またはプルダウン接続される信号入力端子(SI)を有する外部装置とを備えた物理量検出システムであって、
前記物理量検出装置は、
異常を検出する異常検出回路(13〜15)と、
前記センシング素子(11)により検出された検出信号が非反転入力端子に入力され、反転入力端子および出力端子が前記外部信号出力端子(SO)に接続された演算増幅回路(100)と、
前記異常検出回路(13〜15)により異常が検出されたときに、前記外部信号出力端子(SO)から装置内部を見たインピーダンスをハイインピーダンスにするインピーダンス変更手段(40、114〜116、164〜166)と、を備えたことを特徴とする物理量検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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