説明

特にピレスロイド耐性の蚊を死滅させるためのジノテフラン及びPBOを含有する蚊帳

ジノテフラン及びPBOは、蚊を死滅させるのに使用される。PBOが、ジノテフランが蚊をノックダウンさせる速度を増大させるためである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PBOを殺昆虫剤と組み合わせて含有する、殺昆虫性の蚊帳(mosquito net)に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアに対抗する方法の一つは、マラリアを伝播するアノフェリン(Anopheline)蚊の吸血から人間を保護するための、殺昆虫性の持続性の市販の蚊帳の使用である。ピレスロイドは、迅速なノックダウン効果のため、そのようなネット表面の殺昆虫剤として効果的に使用されているが、近年、これらの蚊の間で、ピレスロイドに対する耐性を有するものが増加しつつある。
【0003】
耐性のタイプの一つは代謝的な耐性で、これは、ネット上に止まった蚊に対してピレスロイドと同時にピペロニルブトキシド(PBO)を取り込ませることにより対処される。当該PBOは、耐性に関連する代謝酵素の阻害剤であって、ピレスロイド耐性の蚊の死亡率を増大させる。
【0004】
他の耐性のタイプは、ノックダウン耐性(kdr)として知られるピレスロイドの標的部位の突然変異によるもので、ネット上に止まった蚊のノックダウン作用を顕著に遅延させて、蚊が麻痺(死滅に至る)の前に吸血することを可能にする。この標的部位の機能は、電位依存性ナトリウムチャンネル遺伝子に関し、当該遺伝子は、2007年にPintoらによりインターネット上のPLoS ONE 2(11): e1243. doi:10.1371/journal.pone.0001243に掲載された"Multiple Origins of Knockdown-resistance Mutations in the Afrotropical Mosquito Vector Anopheles gambiae."に記載されている。
【0005】
ピレスロイドに対するノックダウン耐性に関しては、PBOの添加は問題を解決するものではなく、よってPBOは、代謝的な耐性に対してのみ効果を発揮する。
【0006】
従って、殺昆虫性のネットにより、蚊、特にピレスロイドに対するノックダウン耐性を有する蚊を死滅させるのに使用出来る他の殺昆虫剤が目下探索されている。
【0007】
J. Med. Entomol. 41(4): 712.717(2004)に掲載されたCorbelらの"Dinotefuran: A potential Nicotinoid Insecticide Against Resistant Mosquitoes"において、ジノテフランは、ベッドネット用の殺昆虫剤として提案されている。この文献において、アノフェレス・ガムビアエ(Anopheles gambiae)、アエデス・アエギプティ(Aedes aegypti)及びクレックス・キンケファシアツス(Culex quinquefasciatus)の種類の蚊に対して致死的な効果を有することが示されていた。また、蚊アノフェレス・ガムビアエ(Anopheles gambiae)のVKPR(VKPERとも表記される)系統は、ピレスロイドに対するノックダウン耐性の突然変異を有しているにもかかわらず、ジノテフランは致死的な効果を有していた。
【0008】
ジノテフランに晒された蚊の死亡率は比較的高いが、ベッドネットにおけるジノテフランの使用はジノテフランの作用が比較的遅くなるという問題を有しているため、蚊に死滅する前に吸血する機会を与えてしまう。従って、ピレスロイドにおける、kdr突然変異を有するアノフェレス・ガムビアエ(Anopheles gambiae)系統のノックダウン作用の遅延を経験した使用者は、ベッドネットにおけるジノテフランの使用は、明白な変化を導くものではないと推定する。言い換えると、前記使用者は、迅速な効果を確認できず、更に吸血される前に蚊を殺すことが出来ないという事実から、ジノテフランの死滅効果の遅延は、ジノテフランのベッドネットにおける使用への関心の低下を暗示する。
【0009】
殺昆虫作用が明らかに遅延するという問題は、ジノテフランの製造業者Mitsui Chemicalsの米国特許第5532365号にも言及されている(col. 17 line 47-55)が、ジノテフランと他の活性物質、例えばピレスロイド等とを組み合わせることにより、「より良好な殺昆虫活性をもたらす」ことが示唆されている。
【0010】
蚊のピレスロイドに対する耐性は、ジノテフランの製造業者Mitsui Chemicalsの日本国特許出願JP 10 139604にも開示されており、当該文献には、蚊帳への対策として、多くのグアニジン組成物が挙げられている。この開示中には殺昆虫効率が低いことは明示的に表現されていないが、グアニジン組成物を協調剤(synergist)及び他の殺昆虫剤と組み合わせることにより、効率が有利に向上し得ることには言及されている。多くの殺昆虫剤の中で、PBOは、多くの協調剤および合成ピレスロイドの1つとして言及されている。しかしながら、組成物及び協調剤及び追加の殺昆虫剤のいずれであるか、明確な区分がなされていない。また、特にアノフェレス(Anopheles)のKDR系統のノックダウンの速度について、議論されていない。
【0011】
ジノテフランで処理したベッドネットについての関心の低さは、ジノテフランが、ピレスロイドとは対照的に、蚊に対する忌避効果を有しないという事実に基づくものであって、このことは、日本国特許出願JP 10 139604号にも言及されている。このような忌避の欠如は、デルタメスリン等のピレスロイドを用いたベッドネットと比較して、蚊がベッドネットの下の人間を吸血する(蚊がそれを潜る/通り抜ける道を見つけた場合)リスクを増大させる。
【0012】
ジノテフランの全体的な利点、特に、kdr突然変異を有してピレスロイドに耐性であるアノフェレス・ガムビアエ(Anopheles gambiae)のVKPR系統の蚊にこれを曝露したときの致死的効果に関して、ジノテフランのノックダウン効果の速度を増大できる解決策は未だ見つかっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、ジノテフランによる、特にピレスロイドに耐性の蚊の死滅速度を増大させる方法の提供である。更なる目的は、ジノテフランを含有する基質、特に蚊帳であって、特にVKPR等のピレスロイド耐性の蚊系統において、ジノテフランを単独で含有する基質よりも迅速なノックダウン効果を有する当該基質の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の説明
上記目的は以下の工程
-ポリマー製の基質の表面にジノテフラン及び更なる活性成分を提供する工程、
-当該基質上の蚊にジノテフランを取り込ませる工程であって、当該ジノテフランは、蚊を一定の速度でノックダウンさせる性質を有する前記工程、
-ジノテフランによる蚊のノックダウンの速度を増大させる工程であって、当該増大は、蚊が前記更なる活性成分を取り込むことにより生じ、好ましくは当該更なる活性成分はPBOである前記工程
を含む方法を用いて達成される。
【0015】
本発明の解決策は、基質、例えば蚊帳の繊維に、ジノテフランと促進剤、好ましくはPBOとを組み合わせて提供することである。本発明の目的を考えると、この解決策は、特にPBOを採用する点で驚異的である。PBOはジノテフランに晒された蚊のノックダウンの速度を増大させるものとは考えられていないからである。しかしながら、詳細な研究により、蚊のジノテフランの取り込みの速度がPBOにより増大し、より迅速なノックダウンが達成されることが明らかにされた。故に、基質にジノテフラン及びPBOを組み合わせて提供することにより、ジノテフランの欠点は、ノックダウンの速度に関して克服される。
【0016】
本発明の以下の説明は本来PBOに関するものであるが、他の物質、例えばグアニジンの分野のものも同様に驚異的な効果を有することが示されている。しかしながら、これらの予備的な結果は、他の様々な潜在的な促進剤において実験的に未だに評価されていない。
【0017】
前記基質は、好ましくは蚊帳又は防水シートである。前記ポリマーは、好ましくは熱可塑性ポリマーであって、例えばポリオレフィン又はポリエステル(テレフタル酸ポリエチレン)である。
【0018】
Pestic. Manage. Sci. 58: 669-676(2002)に掲載されたKiriyama及びNisimuraの"Structural effects of dinotefuran and analogues in insecticidal and neural activities"を参照して、Corbelらは、上記文献中で、PBOがオキシダーゼ阻害剤として添加されたとき、ジノテフランのゴキブリに対する毒性が増大したことを報告した。Kiriyamaの実験において、ジノテフランは通常の致死量の数倍に相当する用量でゴキブリの胃に注入され、数分で死に至った。PBOがkdr突然変異を有するピレスロイド耐性の蚊系統に明白な効果を有することは予想外であるという事実に関して、特にジノテフランのノックダウン効果を増大させるためにPBOと組み合わせて使用することは、上記記載からは明らかではない。なぜなら、ゴキブリの胃にジノテフロンを注入した結果は、蚊帳、内張り(wall lining)又は防水シートに止まった蚊に対するジノテフラン及びPBOの挙動に対して情報を残しておらず、また、取り込みの方法が異なるだけでなく、実験対象の昆虫や実験条件も異なるからである。
【0019】
好ましくは、前記基質は、熱可塑性ポリマーを含む。そのようなポリマーは、シート又は繊維等、所望の形状に自由に成形できる。任意で、熱可塑性ポリマーマトリックスは、被覆用の担体材料として使用されてもよい。
【0020】
一つの態様において、ジノテフラン及びPBOは、前記ポリマーの熱可塑性材料内に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーは、ジノテフラン及びPBOがポリマー材料内部から基質表面に移動するように調整されている。
【0021】
第二の態様において、ジノテフランは、前記熱可塑性ポリマー内に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーは、包埋されたジノテフランが移動するように調整されている。PBOは当該熱可塑性ポリマー表面の被覆材中に提供され、当該被覆材は、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材を通過して当該被覆材の表面に移動するように調整されている。
【0022】
第三の態様において、PBOは、前記熱可塑性ポリマー内に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーは、包埋されたPBOが移動するように調整されている。ジノテフランは当該熱可塑性ポリマー表面の被覆材中に提供され、当該被覆材は、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材を通過して当該被覆材の表面に移動するように調整されている。
【0023】
第四の態様において、ジノテフラン及びPBOは、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材の表面に移動するように調整された被覆材中に提供される。
【0024】
ジノテフラン若しくはPBOのいずれか、又はそれらの両方が蚊帳の繊維材料内に包埋される場合、当該繊維材料は、これらの活性成分が、当該繊維材料を通過して、当該繊維材料内部から、当該繊維の表面に移動するように調整されている。当該繊維が含浸法においても被覆される場合、活性成分ジノテフラン及びPBOが、当該繊維の表面に到達するために、この被覆材料を通過できるかが確認される。
【0025】
第五の態様において、PBO若しくはジノテフランのいずれか、又はそれらの両方が、熱可塑性ポリマー材料の被覆材中に提供される。この被覆材は、含有する活性成分の貯蔵体(reservoir)として機能する。この被覆材は、洗浄及び機械的磨耗からの保護のための、更なる被覆材により被覆される。例えば、この更なる被覆材は、油、水又は他の洗浄剤からの保護のために、フッ化炭素を含有してもよい。
【0026】
上記態様及び下記において、PBOは、ジノテフランのノックダウン効果の速度を増大させる他の活性成分により置き換えられていてもよい。現在はPBOが最も効率的であると考えられているが、グアジニン等の他の促進剤も同様に使用され得ることが示唆されている。
【0027】
ジノテフラン若しくはPBOのいずれか、又はそれらの両方の、基質材料、例えば蚊帳の繊維への包埋は、当該活性成分をポリマー材料と混合して、その混合物を押出し成形することにより達成できる。これに関連して、前記材料の押出し成形の温度が、活性成分の大部分が劣化する温度を超えないことが確認される。例えば、当該温度は、押出し成形された材料が冷却されるまでの間に、ジノテフラン若しくはPBOのいずれか、又はそれらの両方の劣化のレベルが、1%又は10%又は30%又は50%又は90%を超えない温度から選択されてもよい。
【0028】
繊維の押出し成形に適切なポリマーは、ポリオレフィンである。好ましい押出し成形用のポリマーは、ポリエチレン及びポリプロピレンを含有する。
【0029】
PBO及び殺昆虫剤等の協調剤を含有する繊維の押出し成形の検討は、国際特許出願WO2008/098572に開示されている。特に、この検討は、押出し成形装置の設計や、押出し成形装置の温度が材料全体の温度よりも高くなること、及び押出し成形の時間の活性成分に与える影響についての検討は、本発明にも適用することができる。
【0030】
本発明は、特に、ピレスロイドに耐性の蚊系統を指向している。上記のように、特に、標的部位に耐性を有するアノフェレス・ガムビアエ(Anopheles gambiae)の集団は、本発明に関して、好ましい標的昆虫の一つである。kdr突然変異を有する蚊のピレスロイドに対する耐性は、PBO対抗(PBO-counteraction)が不十分だからである。
【0031】
蚊帳又は不織布等を形成する前記基質の繊維は、モノフィラメント糸であってもよく、若しくはマルチフィラメント糸でもよく、又はそれらの組合せであってもよい。蚊帳は、その一部、例えば当該蚊帳の天井部分がモノフィラメント糸製であってもよく、及びその一部、例えば当該蚊帳の壁部分がマルチフィラメント糸製であってもよい。
【0032】
一つの選択肢は、例えばポリオレフィンモノフィラメント糸等の材料の中に活性成分PBO+ジノテフランを包埋させたもので蚊帳の天井を作り、そして当該蚊帳の壁を、他の材料、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)糸の表面に有効成分を含浸により被覆材中に提供したもので作ることである。
【0033】
含浸を使用する場合、一つの方法は、任意で、国際特許出願WO 01/37662に開示され、更にWO2008/098572及びWO/2008/122287で議論されているようにして適用されてもよい。
【0034】
前記プロセスの例示的な態様において、繊維を含浸させる場合、当該繊維を、活性成分及び促進剤、又はそれらの組合せの溶液又はエマルジョン、例えば水エマルジョンで被覆することにより達成され、ここで当該活性成分はジノテフランであり、及び当該促進剤は、好ましくはPBOである。例えば、当該プロセスは、以下の工程:
a)活性成分、及び繊維の表面、例えば繊維の周囲に水及び場合によっては油に耐性のフィルムを形成することにより当該活性成分の洗い落ち(wash off)及び分解を低下させるフィルム形成成分の溶液又はエマルジョンを調製し、そして当該溶液又はエマルジョンを繊維に適用する工程、又は
b)第一の活性成分の溶液又はエマルジョンを調製し、続いて無生物材料の表面上に、例えば繊維の周囲に水及び場合によっては油に耐性のフィルムを形成することにより殺昆虫剤の洗い落ち及び分解を低下させるフィルム形成成分の溶液又はエマルジョンを調製し、続いて当該活性成分の溶液又はエマルジョンを繊維上に適用し、その後当該フィルム形成成分の溶液又はエマルジョンを当該繊維上に適用する工程
を含み、ここで当該フィルム形成成分は、ポリマー骨格定着剤、並びにパラフィン油若しくは蝋、シリコーン、シリコーン油若しくは蝋、ポリフルオロ炭素及びポリパーフルオロ炭素又はそれらの誘導体から選択される1つ以上の成分を含有する。
【0035】
更なる態様において、前記フィルム形成成分は、パラフィン油若しくは蝋、シリコーン、シリコーン油若しくは蝋、ポリフルオロ炭素及びポリパーフルオロ炭素又はそれらの誘導体から選択される1つ以上の成分、好ましくはポリフルオロ炭素及びパラフィン油の混合物、又はポリフルオロアルキル及びポリシロキサンの混合物を含有する。例えば、前記シリコーン油若しくは蝋は、ポリシロキサンである。
【0036】
更なる態様において、前記ポリフルオロ炭素、パラフィン油若しくは蝋、シリコーン、シリコーン油若しくは蝋、又はそれらの誘導体は、ポリマー骨格と結合する。例えば、前記ポリマー骨格定着剤は、樹脂、ポリウレタン又はポリアクリルである。
【0037】
好ましい態様において、前記フィルム形成成分は、無生物材料の乾燥プロセスで、又は硬化プロセスで、又は乾燥及び硬化プロセスで、ポリマー骨格のポリフルオロ炭素側鎖を用いてフィルムに重合する、ポリマー骨格定着剤を含有する。
【0038】
前記組み合わせられた溶液又はエマルジョンは、前記活性成分が、繊維に適用される前に耐洗浄剤に包含されている場合、含浸用の組成物として、又は含浸用の組成物の部分として使用されてもよく、それは、他の成分と混合させられてもよい。そのような成分は、他の殺昆虫剤、共力剤、UV保護剤、保存料、洗剤、充填剤、衝撃改質剤、曇り防止剤(anti-fogging agent)、発泡剤、清澄剤、核形成剤(nucleating agent)、カップリング剤、静電気を防止するための電気伝導性促進剤、安定化剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカル捕捉剤、並びに過酸化物分解剤等、難燃剤、離型剤、光学的光沢剤、展着剤、ブロッキング防止剤、移動防止剤、移動促進剤、発泡剤、防汚剤(anti-soiling agent)、汚染防止剤(anti-fouling agent)、増粘剤、更なる殺生物剤、湿潤剤、可塑剤、粘着剤若しくは粘着防止剤、香料、色素及び染料、並びに水又は有機溶媒等の他の液体であってもよい。
【0039】
上記及び下記のジノテフラン及びPBOの使用は、これらの2つの活性成分に限定されず、ジノテフランと、本発明の範囲内にある他の殺昆虫剤との組合せであってもよいことを強調したい。例えば、ピレスロイドに耐性の無い蚊に対して有効なピレスロイドを、耐性の蚊に対して作用するジノテフランと組み合わせてもよい。好ましいピレスロイドは、デルタメスリンである。また、ピレスロイド以外の殺昆虫剤が、ジノテフラン、例えばカルバミン酸塩及び有機リン酸エステル等と組み合わされてもよい。
【0040】
しかしながら、ジノテフラン及びPBOの組合せの効率のため、及び交差耐性を避けるため、他の殺昆虫剤の基質上での提供が避けられ、又は少なくとも、基質上でジノテフランよりも僅かな死滅効率しか有しない量が組み合わされて存在する場合がある。
【0041】
本発明の方法及び蚊帳は、kdr突然変異によるピレスロイド耐性を有するアノフェレス種が同定された場所で、特に有用である。
【0042】
上記方法は、蚊に対するジノテフランのノックダウン速度を増大させるためのPBOの使用のより一般的な発明の選択発明である。より広い意味では、ジノテフラン及びPBOの組合せは、他の基質、例えば織物又は防水シート等にも使用されて、蚊のジノテフランのノックダウン速度、特にジノテフランの取り込みの速度を増大させてもよい。
【0043】
本発明において、基質中のジノテフランの好ましい量は、10〜5000 mg/m2、より好ましくは50〜750 mg/m2、そして最も好ましくは100〜500 mg/m2である。
【0044】
基質中、好ましくはベッドネット中のPBOの好ましい量は、5〜50 g/kg、好ましくは15〜30 g/kg、例えば約25 g/kgである。
【0045】
ジノテフランとPBOの組合せに更にデルタメスリン(DM)を組み合わせる場合、1kgの基質あたりの良好な組合せは、PBOが20〜30g、より好ましくは約25gで、DMが1.8〜2.8g、例えば約4gである。
【0046】
例えば100デニールの糸からなるベッドネットにおいて、良好な数値は、mg/m2を単位として、
-DMは40〜320、より好ましくは100〜200、最も好ましくは140〜180、例えば160;
-BPOは、250〜2000、より好ましくは500〜1500、最も好ましくは800〜1200、例えば約1000;
-ジノテフランは、10〜5000、好ましくは50〜750、より好ましくは100〜500、最も好ましくは200〜400、例えば約300である。
【0047】
例えば、ベッドネット又は不織布等の基質において、mg/m2を単位として、DMが40〜320、PBOが250〜2000、そしてジノテフランが10〜5000、又はより好ましくはジノテフランが50〜750の組合せは、好ましい態様の一つである。
【0048】
他の例において、ベッドネット又は不織布等の基質において、mg/m2を単位として、DMが100〜200、PBOが500〜1500、そしてジノテフランが100〜500の組合せは、好ましい態様の一つである。
【0049】
更なる例において、ベッドネット又は不織布等の基質において、mg/m2を単位として、DMが140〜180、PBOが800〜1200、そしてジノテフランが200〜400の組合せは、好ましい態様の一つである。
【0050】
言及した全ての範囲において、その範囲の終点は、任意で含まれる。換言すると、最初の数値と2番目の数値との間の範囲は、当該最初の数値及び2番目の数値を含んでもよい。
【0051】
他の有用な組合せは、DMが1.8〜2.8g/kg、PBOが20〜30g/kg、ジノテフランが300mg/m2の組合せである。
【0052】
ジノテフランとPBOの組合せは、一般に、例えば無生物材料にPBO及びジノテフランを提供し、それを蚊又は他の昆虫に対して使用することにより、ジノテフランの取込み速度を増大させるために使用されてもよい。当該組合せは、ジノテフランの取込みを増大させ、又は死滅効果の速度を増大させ、特にノックダウン効果の速度を増大させる。
【0053】
例えば、より広い用途として、無生物材料上のジノテフランにより蚊又は他の昆虫を死滅させる方法であって、
-無生物材料にジノテフランを提供し、当該無生物材料の表面に更なる活性成分を提供する工程、
-当該無生物材料上の蚊又は他の昆虫に、当該無生物材料からジノテフランを取り込ませる工程であって、当該ジノテフランは、蚊又は他の昆虫を一定の速度でノックダウンさせる性質を有する前記工程、
-ジノテフランによる蚊又は他の昆虫のノックダウンの速度を増大させる工程であって、当該増大は、蚊又は他の昆虫が前記更なる活性成分を取り込むことにより生じる前記工程
を含む。好ましくは、前記他の活性成分は、PBOである。
【0054】
前記基質は、好ましくはベッドネットであるが、他の用途も同様に有用である。例えば、前記基質は、防水シートであってもよい。他の例として、網状又は布状の内張りが挙げられる。アフリカ等の小屋(hut)において、そのような内張りは、壁の上端と屋根の端の間の軒(eave)を覆うのにも使用される場合がある。
【0055】
好ましい態様として、熱可塑性ポリマー糸製の不織布の中に、前記活性成分を包埋させる場合もある。
【0056】
織物又は不織布は、組み合わせられた糸で作られてもよく、ここで、第一の種類の繊維にはPBOが提供されるがジノテフランは提供されず、そして第二の種類の繊維には、ジノテフランが提供されるがPBOが提供されない。布において、これらの2つの種類は、機織り(weaving)又は編み(knitting)プロセスを通じて組み合わせられ、又は機織り若しくは編みプロセスの前に、両方の種類の繊維を含む一種類の糸を紡ぐ。
【0057】
任意で、前記糸に第三の種類の繊維が加えられて、3つの種類の繊維を有する複合糸(composite yarn)を形成してもよく、又は前記製品の製造の過程で、例えば機織り若しくは編みプロセスを通じて、若しくは不織布の製造の過程で加えられてもよい。任意で、この第三の種類の繊維は、第三の活性成分、例えばDMを含有し、当該活性成分は、当該第三の種類の繊維中に包埋され、又は当該第三の種類の繊維を含浸するための被覆材中に含有される。
【0058】
ジノテフラン若しくはPBOを含有する一種類の繊維を、当該2つの活性成分以外の活性成分を被覆材で含浸した第二の種類の繊維と組み合わせることも可能である。任意で、前記2つの種類の繊維は、編み又は機織り等の更なる生産の前に、単一の糸に組み合わせられてもよい。更なる代替的な態様として、前記2つの種類の繊維は、不織布の材料の製造プロセスにおいて組み合わせられてもよい。そのような2つの種類の繊維の組合せは、不織布の材料として使用されてもよい。
【0059】
任意で、第三の種類の繊維が加えられてもよく、当該第三の種類の繊維には、材料中にDMを包含するが、PBO又はジノテフランを有しない。当該添加は、機織り若しくは編みプロセス、又は不織布製品の製造プロセスの前に行われ、例えば糸が前記3つの活性成分を含有するように、3つの種類の繊維を有する一種類の糸が提供されてもよい。
【0060】
ジノテフラン及びPBOを含有するがDMを含有しない第一の種類の繊維とDMを含有するがジノテフラン及びPBOを含有しない第二の種類の繊維とを組み合わせることも可能である。他の可能性は、DM及びPBOを含有するがジノテフランを含有しない繊維とジノテフランを含有するがDM及びPBOを含有しない繊維とを組み合わせることである。本件において、「含有する(含む)」という用語は、活性成分が繊維ポリマーに包埋されること、又は活性成分を含有する被覆材で繊維を含浸することを含む。
【0061】
活性成分PBO及びジノテフランを日光の紫外線放射から保護するために、材料中、又は材料表面の被覆材中に、UV保護剤も同様に移動可能に含有される。活性成分PBO及びジノテフラン、及び任意で第三の活性成分、例えばDMが様々な方法で組み合わせられる、上記様々な態様において、各活性成分に対応する、UV保護剤が含まれても良い。当業者は、全ての殺昆虫剤及び協調剤を保護する1つのUV保護剤を選択してもよく、又は当業者は、各殺昆虫剤及び協調剤に特異的なUV保護剤を選択してもよい。当該UV保護剤は、材料中に包埋されてもよく、又は含浸プロセスで被覆材中に含有されていてもよい。当該UV保護剤は、材料内部から材料表面に移動するように調整されている。
【0062】
協調剤及びジノテフランと組み合わせるための安定化剤の中で、以下のものが好ましい。ここで、含有量は、安定化剤を含有するポリマーに対する重量パーセントで表現される。安定化剤は、材料中、若しくは被覆材中、又はそれらの両方に包埋される。
-ベンゾフェノンのクラスのUV吸収剤、例えば0.1〜1%w/w。
-ベンゾトリアゾールのクラスのUV吸収剤、例えば0.05〜0.5%w/w。
-有機リン酸塩のクラスのヒドロペルオキシドクエンチャー、例えば0.5〜1.5%w/w。
-有機チオエーテルのクラスのヒドロペルオキシドクエンチャー、例えば0.01〜0.5%w/w。
-ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ベンゾフラノン、アリールアミン、芳香族アミン、ヒドロキシルアミンのクラスのラジカルクエンチャー、例えば0.1〜2%w/w。
-有機キレートのクラスの金属不活性化剤、例えば0.1〜2%w/w。
-ニッケルキレートのクラスの励起状態クエンチャー、例えば0.05〜0.75%w/w。
-ナノサイズの色素、例えば1〜10%w/w、又はこれらの任意の組合せ。
【0063】
モノフィラメント及びマルチフィラメントの中から、異なる種類の繊維が選択される。例えば、1つの種類の繊維は、活性成分が包埋されたポリオレフィンモノフィラメントである。他の例として、活性成分を含有する被覆材で含浸されたポリエステルマルチフィラメントが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1a】図1aは、ジノテフラン及びPBOの一方がポリマーマトリックス中に、そして他方が被覆材中に包埋された基質の断面図である。
【0065】
【図1b】図1bは、ジノテフラン及びPBOが基質の表面に移動した後の、図1aの基質を図示している。
【0066】
【図2】図2は、ジノテフラン及びPBOがポリマーマトリックス中に包埋された基質の断面図である。
【0067】
【図3】図3は、被覆材を有する繊維を図示している。
【0068】
【図4】図4は、スポット状に被覆材を有する繊維を図示している。
【0069】
【図5】図5は、第一の貯蔵被覆材及び第二の保護被覆材を有する繊維の断面図である。
【0070】
【図6】図6は、蚊帳を図示している。
【0071】
【図7】図7は、組み合わせられた糸を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0072】
下記の実施態様の例は、促進剤としてPBOを用いている。しかしながら、特に、例えばそのような他の促進剤がPBOよりも効果的であることが判明した場合、そのような他の促進剤の知見に従って、PBOは、他の促進剤に置き換えられてもよい。
【0073】
図1aは、円で表した第一の活性成分及び三角形で表した第二の活性成分を有する無生物1を図示する。第一及び第二の活性成分は、それぞれPBO及びジノテフラン、又はそれぞれジノテフラン及びPBOである。図示されるように、第一の活性成分2は、典型的には熱可塑性ポリマーマトリックスであるポリマーマトリックス3に包埋され、全体に分布している。このマトリックス3は、第二の活性成分5を含有するフィルム4で被覆されている。マトリックス3がこのようなフィルム4で被覆されている場合、前記第一の成分2は、フィルム4を通過して、無生物1の表面6に移動する。これを図1bに図示している。前記第二の成分5も表面6に移動するため、当該表面6は、両方の活性成分を含有することとなり、これらが、昆虫、好ましくは蚊に取り込まれる。
【0074】
加えて、図1bに示されるように、第二の活性成分5がマトリックス中を移動できる場合は、第二の成分5'のように、フィルム4からマトリックス3に移動する場合もある。しかしながら、このようなマトリックス中の第二の成分5'は、形成時点では存在せず、ポリマーマトリックスを被覆した後に生じる場合がある。
【0075】
前記被覆材は、典型的にはポリマー自体であって、例えば、国際特許出願WO 01/37662に開示され、更にWO2008/098572及びWO/2008/122287で検討されているものである。
【0076】
図2は、前記2つの成分がポリマーマトリックス中に包埋され、当該マトリックスの表面にそれらが移動する、更なる態様を示している。
【0077】
図3は、フィルム4で被覆した繊維の形態のマトリックス3を示す。この図は、原理を示すものであって、スケールを示すものではない。繊維等のマトリックス3の被覆材4は、図3に示すような連続的なフィルムの形態であってもよく、又は当該被覆材は、図4に示すような顕微鏡レベルの断片の形態であってもよい。そのような断片は、フィルム形成成分を使用する場合は、フィルムの形態であってもよい。そのような断片的な被覆は、例えば噴霧技術等により達成されてもよい。
【0078】
図5は、コア3並びにPBO及びジノテフランを含有する第一の被覆材4を有する繊維の断面図を示す。第一の被覆材4は、前記活性成分の貯蔵体として起用し、活性成分は、当該線維の表面6に移動する。貯蔵被覆材4は、磨耗による活性成分の洗い落ち及び除去を防御するが、被覆された繊維の表面への活性成分の移動を可能とする、第二の被覆材10に囲まれている。この第二の被覆材10は、被覆材4よりも大幅に薄くてもよいが、油及び水、又は他の洗剤及び溶媒を効果的にはじく。
【0079】
図6は、天井8及び側壁9を備えた直方体の形状の蚊帳7を示す。任意で、天井8は、側壁9と材質が異なるものであってもよい。
【0080】
そのような組合せの例として、天井8が内部に活性成分PBO又はジノテフランを包埋した糸製で、側壁がポリマー製のフィルムで含浸により被覆された糸製のものが挙げられる。当該フィルムは、PBO及びジノテフランを含有し、当該PBO及びジノテフランを溶媒から保護するためのポリフルオロ炭素も含有する。任意で、天井はポリエチレンモノフィラメント製で、側壁はポリエステルマルチフィラメントであってもよい。
【0081】
図7は、3種類の繊維11、12、13で構成される組み合わせられた糸を示す。第一の繊維11はジノテフランを含むがPBOを含まず、第二の繊維12はPBOを含むがジノテフランを含まない。第三の繊維13は追加の第三の活性成分が提供されるが、PBO又はジノテフランを含有しない。例えば、前記第三の活性成分は、デルタメスリン(DM)である。そのような組み合わせられた糸は、3つの活性成分を提供するが、生産のための様々な選択肢を残す。例えば、前記繊維の1つ又は2つが活性成分を包埋して有する材料で形成されてもよく、前記第三の繊維は、包埋された、又は被覆材として含浸された第三の活性成分を有していてもよい。前記3つの活性成分のそれぞれにおいて、生産は、選択されたパラメーター及び基準に従って効率化することができる。そのようなパラメーター及び基準の非限定的な例として、速度、コスト及び生産プロセスの有用性、並びに活性成分が生産の過程で可能な限り劣化せず、かつ生産物が長期間活性を維持する基準が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー基質上のジノテフランにより蚊を死滅させる方法であって、
-基質の表面にジノテフラン及び更なる活性成分を提供する工程、
-当該基質上の蚊にジノテフランを取り込ませる工程であって、当該ジノテフランは、蚊を一定の速度でノックダウンさせる性質を有する、前記工程、
-ジノテフランによる蚊のノックダウンの速度を増大させる工程であって、当該増大は、蚊が前記更なる活性成分を取り込むことにより引き起こされる、前記工程、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記更なる活性成分がPBOである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ノックダウンの速度の増大が、蚊が同時に取り込んだPBOの作用よりジノテフランの取り込み速度が増大することにより達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Kdr突然変異を有するピレスロイド耐性アノフェレス(Anopheles)種の蚊が生息する特定の場所を同定する工程、及び前記基質を当該場所に提供する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
担体材料として熱可塑性ポリマーを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法における基質。
【請求項6】
ジノテフラン及びPBOが熱可塑性ポリマー中に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーが、ジノテフラン及びPBOがポリマー内部から基質表面に移動するように調整されている、請求項5に記載の基質。
【請求項7】
ジノテフランが熱可塑性ポリマー中に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーが、包埋されたジノテフランが移動するように調整されており、そして、PBOは当該熱可塑性ポリマー表面の被覆材中に提供され、当該被覆材は、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材を通過して当該被覆材の表面に移動するように調整されている、請求項5に記載の基質。
【請求項8】
PBOが熱可塑性ポリマー中に包埋され、当該ポリマー全体に分布しており、そして当該熱可塑性ポリマーが、包埋されたPBOが移動するように調整されており、そして、ジノテフランは当該熱可塑性ポリマー表面の被覆材中に提供され、当該被覆材は、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材を通過して当該被覆材の表面に移動するように調整されている、請求項5に記載の基質。
【請求項9】
ジノテフラン及びPBOが前記熱可塑性ポリマー表面の被覆材中に提供され、そして当該被覆材が、ジノテフラン及びPBOが当該被覆材を通過して当該被覆材の表面に移動するように調整されている、請求項5に記載の基質。
【請求項10】
前記被覆材が、前記PBO及びジノテフランの貯蔵体(reservoir)として使用され、溶媒からPBO及びジノテフランを保護する更なる被覆材により被覆されている、請求項9に記載の基質。
【請求項11】
表面にジノテフラン及びPBOを含有する蚊帳(mosquito net)である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の基質。
【請求項12】
表面にジノテフラン及びPBOを含有する防水シート(tarpaulin)である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の基質。
【請求項13】
ジノテフランが、100 mg/m2〜500 mg/m2の量で存在する、請求項5〜12のいずれか1項に記載の基質。
【請求項14】
PBOが、10〜50 mg/ネットkgの量で存在する、請求項5〜13のいずれか1項に記載の基質。
【請求項15】
ベッドネットであって、活性成分の含有量が、mg/m2の単位でDMにおいて40〜320、PBOにおいて250〜2000、そしてジノテフランにおいて50〜750である、請求項5〜14のいずれか1項に記載の基質。
【請求項16】
ジノテフランが蚊をノックダウンさせる速度を増大させるための、PBOの使用。
【請求項17】
蚊がジノテフランを取り込む速度を増大させることを指向する、請求項16に記載の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−523439(P2012−523439A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505047(P2012−505047)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050082
【国際公開番号】WO2010/118743
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(508310263)ベステルガールド フランドセン ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】