説明

特典サービス付のコンテンツ配信システム

【課題】 回線異常等による再ダウンロードについては特典サービスのサービス数を増やさず許容する一方、追加料金を支払っての追加ダウンロードについてはサービス数をその分増加させることを可能としたコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】 暗号化コンテンツを配信するコンテンツ配信装置11と、暗号解読の再生鍵を含むライセンス情報を配信するライセンス情報配信装置12と、コンテンツの注文番号からサービス番号を発生して該当サービス数と共に暗号化し、コンテンツに付加して配信する特典サービス情報配信装置13と、を備え、その特典サービス情報配信装置に、サービス番号と注文番号とを対にして所定期間記憶するサービス番号保持手段16を備え、該所定期間中に同じ注文番号が再入力されてきた場合に、対をなすサービス番号をサービス番号保持手段から出力してサービス数と共に暗号化するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを介したデジタルコンテンツの配信システムに関し、特に、有料コンテンツの購入、配信に際して特典サービスを付加するようにした配信システムの不正防止に関する。
【背景技術】
【0002】
映画や音楽等をデジタルコンテンツとして、インターネットを介し有料で配信する商取引が今では一般化してきている。このようなコンテンツ配信では、ダウンロードしたコンテンツの複製利用が問題となっており、たとえば特許文献1〜5に示すごとく所定のライセンス情報により制限を加える技術が提案されている。特許文献1,2は再送信回数の制限等の利用条件を制限する例、特許文献3は複製条件を制限する例、特許文献4,5は何回もダウンロードを実行しようとする不正使用を制限する例である。
【0003】
一方、このような利用制限をかけた有料のコンテンツ配信においては、ユーザに便宜を図る目的で、購入コンテンツに付随して特典サービスが設定されることも多く、たとえば、音楽コンテンツの特典サービスとして、当該アーチストのライブコンサートチケットの無償提供があったり、映画や音楽コンテンツの特典サービスとして、ダウンロードしたコンテンツを一回に限りコピー許可するといったサービスが設定されている。
【0004】
その特典サービス付コンテンツの配信システムについて、図3に概要を示してある。当該コンテンツ配信システム1は、取引対象のコンテンツを暗号化して配信するコンテンツ配信装置2と、ライセンス情報を配信するライセンス情報配信装置3と、購入されたコンテンツに付随した特典サービスの情報を配信する特典サービス情報配信装置4と、から構成される。そして、ユーザ所有のPC等の端末であるユーザ端末Tがこれにアクセスする。
【0005】
コンテンツ配信装置2は、暗号鍵により暗号化したコンテンツを通信網へ送出する。そして、ライセンス情報配信装置3が、その暗号化を解除する暗号解読用の再生鍵を含むライセンス情報をコンテンツとは別に配信する。ライセンス情報には、コンテンツの所有者(又はライセンス管理者)が決定する利用上の条件(ライセンス期間、ダウンロード可能回数等)が含まれる。このライセンス情報に含まれる再生鍵は、ユーザ端末TのMACアドレス等を利用して端末に固有の鍵として生成され、他の端末では使用できないものとされる。すなわち、暗号化コンテンツのファイルを友人からコピー等で入手したとしても、ライセンス情報は別途に自分の端末専用のものを購入しなければ、再生鍵は得られないようになっている。これらコンテンツ配信装置2とライセンス情報配信装置3は、コンテンツ購入が決まり、決済方法が確定して注文番号が発生されると、該当する暗号化コンテンツを配信すると共に、ライセンス情報を生成して暗号化コンテンツとは別に配信する。したがって、ユーザ端末Tの記憶装置(ハードディスク等)には、暗号化コンテンツとライセンス情報とが別々にダウンロードされる。
【0006】
このように配信されるコンテンツに付随した特典サービスの情報を提供する特典サービス情報配信装置4は、サービス番号発生手段5と暗号化手段6とを備えている。本例の特典サービスは、購入した音楽コンテンツのCD−Rへのコピーをコピーコントロール付で(1世代コピー許可)、3枚まで許可するというサービスが設定されている。このサービス設定のために、ダウンロードされるコンテンツの注文番号を受け、その注文番号毎に一意のサービス番号を発生するサービス番号発生手段5が設けられている。そして、該当のコンテンツに設定されているサービス数、すなわち本例で3回までのコピーを許可するサービス数の情報とサービス番号とがサービス情報として暗号化手段6により暗号化され、暗号化コンテンツに付加されて配信される。この暗号化されたサービス情報の復号は、ライセンス情報の再生鍵で行われる。
【0007】
ユーザ端末Tでは、ダウンロードしたコンテンツを再生するためにメディア再生手段のプログラムが立ち上がる。当該メディア再生手段(メディアプレーヤー)は、再生鍵により暗号解読して複合再生を実行する。一方、特典サービスを処理するための専用の処理プログラムが、サイトから同時にダウンロードされる等の手法でユーザ端末Tにインストールされる。この特典処理プログラムは、特典サービス情報配信装置4からダウンロードされるサービス情報(サービス番号とサービス数)の暗号解読を実行し、3回までのコンテンツコピーを許容するコピープログラムを実行する。すなわち、特典処理プログラムは、サービス番号とサービス数を対応させたテーブルを有し管理しており、ダウンロードされたサービス番号に対して、特典サービス処理を行う毎に、つまりコピーを行う毎にサービス数を1ずつ減算し且つ一度減算したサービス数は二度と回復させない。これにより、コンテンツをバックアップして再利用することでサービス数が回復(増加)するような不正使用を防止する。
【0008】
このようなコンテンツ配信システム1は、上述の特許文献によるような不正使用の防止処理を、コンテンツ配信装置2からのコンテンツダウンロードに対し実施しているが、上記のような特典サービスを付加した場合の問題として、2回目のダウンロードに対するシステム上の対応問題がある。すなわち、最初のコンテンツダウンロード時に回線異常があって上手く行かず、仕方なく2回目の同一コンテンツダウンロードを行うケースと、追加料金を支払ってもう1回分特典サービスを追加して受けるために2回目の同一コンテンツダウンロードを行うケースとを、明確に区別する必要があるということである。
【0009】
前者の、最初のダウンロードが上手くいかなかった場合の2回目ダウンロードについては、不正使用の防止処理をかけずに許容しなければならないが、1回目のダウンロードが上手くいっている可能性もあり、2回目ダウンロードでサービス数が増加するようなことがあってはならない。さもないと、故意に2回、3回と無料ダウンロードを行って特典サービスを不正に多数回受けようとすることも可能になってしまう。一方、後者の、有料で追加特典サービスを要求して2回目ダウンロードを行う場合については、当然のことながら、ダウンロードを許容して且つサービス数を増加させなければならない。この一見相矛盾するシステムを実現する必要がある。
【0010】
【特許文献1】特開2001−094554
【特許文献2】特開2003−114830
【特許文献3】特開2003−337754
【特許文献4】特開2000−242604
【特許文献5】特開2004−078514
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような背景に鑑みて本発明は、回線異常等による同一コンテンツの再ダウンロードについては特典サービスのサービス数(チケット発券数やコピー回数等)を増やすことなく許容する一方、追加料金を支払っての同一コンテンツの追加ダウンロードについては特典サービスのサービス数をその分増加させることを可能としたコンテンツ配信システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、暗号化したコンテンツを配信するコンテンツ配信装置と、配信されるコンテンツの暗号解読を行う再生鍵を含むライセンス情報を配信するライセンス情報配信装置と、配信されるコンテンツの注文番号(文字、数字、記号等)に対応してサービス番号(文字、数字、記号等)を発生し且つ当該コンテンツのサービス数と共にサービス情報として暗号化し、コンテンツ配信装置から配信されるコンテンツに付加して配信する特典サービス情報配信装置と、を備えたコンテンツ配信システムにおいて、特典サービス情報配信装置に、発生されたサービス番号とこれに該当する注文番号とを対にして所定期間記憶するサービス番号保持手段を備え、該所定期間中に同じ注文番号が再入力されてきた場合に、その対として記憶されているサービス番号をサービス番号保持手段から出力してサービス数と共にサービス情報として暗号化するようにしたことを特徴とする。
【0013】
この発明では、サービス番号保持手段の存在により、所定期間に限り、同じ注文番号に応じた同一コンテンツの再ダウンロードを許容している。この所定期間は、1日や1週間の期間を想定することができる。すなわち、ダウンロードしたコンテンツは視聴するまでに人により時間がかかることを考慮し、たとえば音楽ダウンロードであればダウンロードが完了して1日以内には試聴するであろうし、映画ダウンロードであればダウンロードが完了して観るまでに1週間は要するだろうという期間の推定の上に設定される。このように、最初に視聴してダウンロードの失敗に気が付くまでにある程度の時間を要するとの知見に基づき、所定の期間だけ注文番号とこれに対するサービス番号を記憶しておくことで、不具合による同じ注文番号の無料再ダウンロードを許容する。一方、追加料金を支払った追加ダウンロードの場合は、異なる注文番号が発生されることで、新しいサービス番号が生成され、これに伴う新たなサービス数と共にダウンロードされるので、追加サービス時のサービス数増加の要求にも応えることができる。そして、再ダウンロードの場合はクライアントにおいてファイルの上書きとし、追加の場合は新規ファイルの作成とする等の処理を考慮しておくと良い。
【0014】
コンテンツのダウンロードを受けるのは各家庭のユーザ端末に限らず、たとえばコンビニエンスストアやレコード店の店頭端末でも良く、この場合はコピーコントロール付きのCD−RやDVD−Rといった書き込み可能なメディアにダウンロードするようにする。すなわち、上記のコンテンツ配信システムは、第1の態様として、暗号化したコンテンツ、該コンテンツに付加したサービス情報、及びライセンス情報をすべてユーザ端末に配信する方式とすることが可能であるし、又は第2の態様として、注文番号をユーザ端末に配信し、該配信した注文番号と同じ注文番号が店頭端末から送られてくると、これに応じて暗号化したコンテンツ、該コンテンツに付加したサービス情報、及びライセンス情報を該店頭端末に配信することも可能である。第2の態様で特典サービスは、店頭端末にて管理されることになる。
【0015】
第2の態様の場合は、たとえばユーザ所有のパソコン等であるユーザ端末からまずコンテンツ購入の発注を出し、売買が成立するとこれに応じてコンテンツ配信システムからユーザ端末へ注文番号がダウンロードされる。このダウンロードされた注文番号を控えてユーザはレコード店等へ赴き、その店頭に配置された店頭端末に注文番号を入力する。すると、店頭端末からコンテンツ配信システムへ注文番号が送られ、一致する注文番号があれば、コンテンツ配信装置から暗号化コンテンツが店頭端末に配信される。同時に、ライセンス情報配信装置からライセンス情報が配信され、特典サービス情報配信装置からはサービス情報がコンテンツに付加される。
【0016】
当該店頭端末は、暗号化コンテンツをライセンス情報に含まれた再生鍵により暗号解読して複合し、用意されたコピーコントロール付の書き込み可能なメディアへ書き込む。このときにサービス情報が上記同様に店頭端末において管理され、たとえば特典サービスとして、残り3枚までなら更なるメディアへの書き込みが許容される。書き込み後のメディアはユーザが持ち帰り、所定の再生装置で再生すれば視聴することができる。そして、視聴した結果、コンテンツが不完全なものであった場合は、上述の第1の態様同様に再ダウンロードが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、特典サービス情報配信装置にサービス番号保持手段を設けたことにより、回線異常等によるダウンロード失敗に対しては、サービス数の上乗せという不正を防止して無料再ダウンロードを可能とする一方、追加料金を支払った追加ダウンロードについてはサービス数をその分増やすことを可能とし、両者を区別して確実、公正な特典サービスをユーザに提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に、本発明に係る第1実施形態の概念図を示し説明する。
【0019】
この例のコンテンツ配信システム10は、取引対象のコンテンツを暗号化して配信するコンテンツ配信装置11と、その暗号化を解除する再生鍵を含むライセンス情報を配信するライセンス情報配信装置12と、購入されたコンテンツに付随した特典サービスのサービス番号とサービス数をサービス情報として暗号化し、暗号化コンテンツに付加して配信する特典サービス情報配信装置13と、を備えており、当該コンテンツ配信システム10に、インターネットを介してPC等のユーザ端末Tがアクセスするようになっている。
【0020】
コンテンツ配信装置11は、暗号鍵により暗号化したコンテンツを通信網へ送出し、ライセンス情報配信装置12が、その再生鍵を含むライセンス情報を暗号化コンテンツとは別にセキュアな通信手法でユーザ端末Tに配信する。
【0021】
ライセンス情報には、コンテンツの所有者(又はライセンス管理者)が決定する利用上の条件(ライセンス期間、ダウンロード可能回数等)が含まれる。そして、このライセンス情報に含まれる再生鍵は、ユーザ端末TのMACアドレス等を利用して端末に固有の鍵として生成され、他の端末では使用できないものとされる。すなわち、暗号化コンテンツのファイルを友人からコピー等で入手したとしても、ライセンス情報は別途に自分の端末専用のものを購入しなければ、再生鍵は得られないようになっている。これらコンテンツ配信装置11とライセンス情報配信装置12は、コンテンツ購入が決まり、決済方法が確定して注文番号が発生されると、該当する暗号化コンテンツを配信すると共に、ライセンス情報を生成して暗号化コンテンツとは別に配信する。したがって、ユーザ端末Tの記憶装置には、暗号化コンテンツとライセンス情報とが別々にダウンロードされる。
【0022】
特典サービス情報配信装置13は、従来どおりのサービス番号発生手段14及び暗号化手段15とを備えている。本例の特典サービスは、購入した音楽コンテンツのCD−Rへのコピーを1世代許可のコピーコントロール付で、3枚まで許可するというサービスが設定されており、このために、ダウンロードされるコンテンツの注文番号を受け、その注文番号毎に一意のサービス番号を発生するサービス番号発生手段14が設けられると共に、当該コンテンツに設定されているサービス数、すなわち本例で3回までのコピーを許可するサービス数の情報とサービス番号とをサービス情報として暗号化する暗号化手段15が設けられている。これにより発生された暗号化サービス情報は暗号化コンテンツに付加されて(ラッピング)配信される。この暗号化されたサービス情報の復号は、ライセンス情報の再生鍵で行われる。
【0023】
これに加えて、この第1実施形態の特典サービス情報配信装置13には、サービス番号発生手段14により発生されたサービス番号を所定の期間記憶しているサービス番号保持手段16を備えている。このサービス番号保持手段16は、発生されたサービス番号を、その基になった注文番号と対にして記憶しており、特典サービス情報配信装置13に注文番号が入力されると、まず最初にサービス番号保持手段16において当該注文番号が既に記憶されているものかどうか検索され、該当する注文番号があれば、対応して記憶してあるサービス番号が出力される。この既存のサービス番号が出力された場合は、サービス番号発生手段14におけるサービス番号発生は抑止され、サービス番号保持手段16から出力されたサービス番号とサービス数がサービス情報として暗号化手段15で暗号化され、暗号化コンテンツに付加されてユーザ端末Tに配信される。
【0024】
一方、入力された注文番号がサービス番号保持手段16に記憶されていないものであった場合は、サービス番号発生手段14から新たなサービス番号が発生され、このサービス番号が注文番号と対にしてサービス番号保持手段16に新たに記憶される一方、サービス数と共にサービス情報として暗号化手段15へ送られる。
【0025】
サービス番号保持手段16がサービス番号及び注文番号を記憶している所定の期間は、コンテンツが音楽であれば1日、映画であれば1週間等とすることが考えられる。すなわち、上述のように、音楽の場合は大抵はダウンロードしたその日のうちに試聴してしまうであろうし、映画の場合は鑑賞に時間がかかると推定されるからである。したがって、音楽コンテンツであれば24時間以内ならダウンロードに失敗しても再ダウンロード可能であり、映画コンテンツであれば1週間以内ならダウンロードに失敗しても再ダウンロード可能である。
【0026】
ユーザ端末Tには、ダウンロードしたコンテンツを再生するディア再生手段のプログラムがインストールされており、当該メディア再生手段(メディアプレーヤー)が再生鍵により暗号解読して複合再生を実行する。一方、特典サービスを処理するための専用の処理プログラムが、コンテンツ配信システム10のサイトから同時にダウンロードされる等の手法でユーザ端末Tにインストールされる。この特典処理プログラムは、特典サービス情報配信装置13からダウンロードされるサービス情報、つまりサービス番号とサービス数の暗号解読を再生鍵により実行し、3回までのコンテンツコピーを許容するコピープログラムを実行する。すなわち、特典処理プログラムは、サービス番号とサービス数を対応させたテーブルを有し管理しており、ダウンロードされたサービス番号に対して、特典サービス処理を行う毎に、つまりコピーを行う毎にサービス数を1ずつ減算し且つ一度減算したサービス数は二度と回復させない。これにより、コンテンツをバックアップして再利用することでサービス数が回復するような不正使用を防止する。
【0027】
以上の構成からなるコンテンツ配信システム10によれば、まず、ユーザはユーザ端末Tを操作してブラウザを立ち上げ、コンテンツ配信システム10を運営しているWebサイトを閲覧する。そこで所定の手続を踏んで所望のコンテンツを購入し決済が完了すると、注文番号が生成されてユーザ端末Tに伝えられ、ブラウザに表示される(あるいは電子メールで受信される)。一方、その注文番号に応じて該当するコンテンツが暗号化されてコンテンツ配信装置11からユーザ端末Tへダウンロードされる。さらに、ライセンス情報配信装置12から、当該ユーザのライセンス情報がユーザ端末Tへ配信される。
【0028】
また、注文番号は特定サービス情報配信装置13へ伝達され、サービス番号保持手段16にて記憶されているものかどうか検索される。今回は最初の注文なのでサービス番号保持手段16に該当するものが無いため、サービス番号発生手段14から新たなサービス番号が発生され、そのサービス番号と該当注文番号が対としてサービス番号保持手段16に記憶される。一方、この新たに発生されたサービス番号は、該当コンテンツのサービス数と共に暗号化手段15へ入力されて暗号化され、この暗号化サービス情報が、コンテンツ配信装置11から配信される暗号化コンテンツに付加されてユーザ端末Tへ送られる。
【0029】
このダウンロード時に、回線異常でデータの一部が破損し、ダウンロードに失敗したとする。ダウンロードしたコンテンツを視聴したユーザが失敗に気付き、ユーザ端末Tのブラウザから所定の手続を踏んで無料の再ダウンロードを要求すると、このときには先に発生されている注文番号がそのまま使用され、コンテンツ配信装置11とライセンス情報配信装置12から暗号化コンテンツ及びライセンス情報がダウンロードされる。一方、当該注文番号が特典サービス情報配信装置13に伝達されると、サービス番号保持手段16にて記憶されているものかどうか検索される。その結果、既に記憶されている注文番号があるので、これに対として記憶されているサービス番号が出力されることになる。このときには、サービス番号発生手段14によるサービス番号発生は抑止され、サービス番号保持手段16から暗号化手段15へ記憶済みのサービス番号が読み出される。そして、当該コンテンツのサービス数と共にサービス情報として暗号化手段15で暗号化され、コンテンツ配信装置11から配信される暗号化コンテンツに付加されてユーザ端末Tへ配信される。
【0030】
このときのユーザ端末Tでは、最初のダウンロード時に作成されているコンテンツ、ライセンス情報、サービス番号、サービス数のデータの上に、再ダウンロードしたデータが上書きされて保存される。したがって、サービス数が増加することなく失敗したコンテンツの無料再ダウンロードが行われ、3回のコピーを可能とした所望のコンテンツがユーザ端末Tに所持される。
【0031】
一方、再ダウンロード要求でも、サービス番号保持手段16の所定期間を過ぎている場合は、サービス番号保持手段16で既にデータが破棄されているので検索にかからない。しかし、注文番号は所定の規則の連番で発生される一意の番号なので、このときのサービス番号発生手段14では以前に受けた注文番号であることが把握され、サービス番号発生手段14からサービス番号が発せられることはなく、新たなサービス数の発生もない。
【0032】
追加料金を払っての追加ダウンロードの場合は、ユーザ端末Tのブラウザで所定の手続を踏めば、新しい注文番号が生成され、これに基づいてライセンス情報、サービス番号、サービス数が発生されるので、追加注文する毎に6回、9回とサービス数を上乗せすることができる。このときのユーザ端末Tでは、サービス番号毎にデータが作成されるようになっている。
【0033】
上記では特典サービスをコピー回数としているが、これをライブチケットの発券サービスとする例も可能である。この場合は、ユーザ端末Tで実行される特典処理プログラムにおいて、サービス数に従い3回までチケットの発券を許可する発券プログラムが実行されるようにし、図示せぬ発券サーバへアクセスして発券の手続が行われるようにする。
【0034】
図2に、本発明に係る第2実施形態の概念図を示す。
【0035】
この例は、ユーザ所有のユーザ端末Tの他に、店頭設置の店頭端末TTがあり、この店頭端末TTにて、コピーコントロール付きのCD−RやDVD−Rといった書き込み可能メディアMへコンテンツを書き込むようにしている。
【0036】
コンテンツ配信システム10のコンテンツ配信装置11、ライセンス情報配信装置12、特典サービス情報配信装置13の基本構成は上記第1実施形態と同じであるが、ユーザ端末T及び店頭端末TTに対する注文番号、コンテンツ、サービス情報、ライセンス情報の流れが第1実施形態と異なっている。
【0037】
すなわち本例では、上記第1実施形態同様にして注文番号が発生されると、これがユーザ端末Tにも伝えられ、ブラウザに表示され(もしくは電子メールで受信され)且つ記憶される。ユーザは、配信された注文番号を印刷する等して出力し、店頭へ赴いて店頭設置の店頭端末TTに、マウスやキーボード入力により当該注文番号を入力する。店頭端末TTに入力された注文番号はコンテンツ配信システム10へ送信され、これに該当するコンテンツが暗号化されてコンテンツ配信装置11から店頭端末TTへダウンロードされる。またこのときに、ライセンス情報配信装置12からライセンス情報も店頭端末TTにダウンロードされる。一方、注文番号に応じて特典サービス情報配信装置13から上記第1実施形態同様にしてサービス情報が暗号化出力され、コンテンツ配信装置11から配信される暗号化コンテンツに付加されて配信される。
【0038】
コンテンツ、ライセンス情報、サービス情報がダウンロードされると、店頭端末TTにおいて暗号化コンテンツが解読復号され、メディアMに書き込まれる。このときに、サービス数に応じた枚数のメディアMにコンテンツを書き込むことができる。すなわち、店頭端末TTでは、ユーザ毎にデータを保持するフォルダが記憶手段に生成され、店頭端末TTを使用するユーザ毎にコンテンツ、ライセンス情報及びサービス情報が管理されている。
【0039】
ユーザは、メディアMを受け取って自宅へ帰り、ユーザ端末T等にて再生する。このメディアMは、たとえばCD−Rであれば、通常の音楽CDと同様にステレオ装置等で再生可能とされているが、PC等のユーザ端末TでメディアMが再生された場合にはコピーがプロテクトされている。
【0040】
ユーザが再生してみたところ、ダウンロードの失敗等でメディアMのコンテンツが完全ではなく、再生が上手くいかない場合は、店頭端末TTから注文番号を再入力する等の手法により、第1実施形態同様にして無料再ダウンロードを要求することが可能である。この場合の再ダウンロードは、店頭端末TTにてメディアMへの再書き込みを行うものとする。
【0041】
この再ダウンロードにおける特典サービス情報配信装置13の動作は第1実施形態同様であり、サービス番号保持手段16における所定期間以内であれば同じサービス番号とサービス数が再発行される。所定期間を過ぎていればサービス番号の発生は抑止され、サービス数の情報も出力されることはない。
【0042】
一方、追加料金を払っての追加ダウンロードの場合は、第1実施形態同様に、再度注文番号が発せられて新たなサービス番号及びサービス数が発生されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態を説明した概念図。
【図2】本発明の第2実施形態を説明した概念図。
【図3】従来のシステムを説明した概念図。
【符号の説明】
【0044】
10 コンテンツ配信システム
11 コンテンツ配信装置
12 ライセンス情報配信装置
13 特典サービス情報配信装置
14 サービス番号発生手段
15 暗号化手段
16 サービス番号保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化したコンテンツを配信するコンテンツ配信装置と、配信されるコンテンツの暗号解読を行う再生鍵を含むライセンス情報を配信するライセンス情報配信装置と、配信されるコンテンツの注文番号に対応してサービス番号を発生し且つ当該コンテンツのサービス数と共にサービス情報として暗号化し、前記コンテンツ配信装置から配信されるコンテンツに付加して配信する特典サービス情報配信装置と、を備えたコンテンツ配信システムにおいて、
前記特典サービス情報配信装置に、発生されたサービス番号とこれに該当する注文番号とを対にして所定期間記憶するサービス番号保持手段を備え、該所定期間中に同じ注文番号が再入力されてきた場合に、その対として記憶されているサービス番号を前記サービス番号保持手段から出力してサービス数と共にサービス情報として暗号化するようにしたことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
暗号化したコンテンツ、該コンテンツに付加したサービス情報、及びライセンス情報をユーザ端末に配信する請求項1記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
注文番号をユーザ端末に配信し、該配信した注文番号と同じ注文番号が店頭端末から送られてくると、これに応じて暗号化したコンテンツ、該コンテンツに付加したサービス情報、及びライセンス情報を当該店頭端末に配信する請求項1記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−164014(P2006−164014A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356683(P2004−356683)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(504221923)株式会社アドービジネスコンサルタント (2)
【Fターム(参考)】