説明

特定のサイズの球状粒子から作られ、金属ナノ粒子をメソ構造化マトリクス中に捕捉されて有する無機材料

少なくとも2つの基本球状粒子からなり、前記球状粒子のそれぞれは、1〜300nmのサイズを有する金属ナノ粒子と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジム並びにこれらの元素少なくとも2種の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとするメソ構造化マトリクスとを含み、前記メソ構造化マトリクスは、1.5〜30nmの細孔径を有し、1〜30nmの厚さの無定形壁を有し、前記基本球状粒子の径Dは10μm超かつ100μm以下である、無機材料が記載される。前記材料はまた、ゼオライトナノ結晶を、前記メソ構造化マトリクス内に捕捉されて含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機酸化物材料の分野に関し、特には、遷移金属および/または希土類金属を含有し、組織化された均一なメソ多孔性領域の多孔性を有するものに関する。本発明はまた、EISA(Evaporation Induced by Self-Assembly:蒸発誘起自己集合)法を使用して得られるこれらの材料の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな合成戦略により、十分明確な、非常に幅広い範囲の多孔性を有する材料(ミクロ細孔材料からマクロ細孔材料、階層的多孔性材料、すなわちいくつかのサイズの細孔を有する材料まで)を得ることが可能となっているが、この合成戦略は、90年代半ばから科学界において大きな発展を成し遂げている。(非特許文献1)。細孔サイズが制御されている材料が得られる。特に、「ソフトケミストリー」と称される合成方法の開発により、水溶液または極性溶媒中で無機前駆体を構造化剤、通常はイオン性または中性の分子のまたは超分子の界面活性剤と共存させることで、低温でのメソ構造化材料の合成がもたらされた。無機前駆体の加水分解/縮合反応と一緒に関連しての静電的相互作用の制御または無機前駆体と構造化剤との水素結合を通じた制御、有機相および無機相の協調集合をもたらし、無機マトリクス内に均一かつ制御されたサイズの界面活性剤のミセル凝集物が生じる。特に構造化剤濃度によって支配されるこの協調自己集合現象は、構造化剤濃度が多くの場合臨界ミセル濃度より低い反応物の溶液を徐々に蒸発させることによって誘起され得、このことにより、基材上に沈着させる場合にメソ構造化薄膜が生じる(浸漬塗工技術)か、または、噴霧後にメソ構造化粉体が生じる(エアロゾル技術)かのいずれかである。例えば、特許文献1は、浸漬塗工技術によるメソ構造化有機−無機ハイブリッドフィルムの形成を開示しており、これらの著者らはさらに、高純度のメソ構造化シリカ材料を合成するためにエアロゾル技術を使用している(非特許文献2)。多孔性のクリアランスは、界面活性剤の除去により得られるが、これは、従来、化学的抽出法により、または熱処理により実施される。使用される無機前駆体および構造化剤の性質ならびに適用される操作条件に応じて、いくつかの族のメソ構造化材料が開発されている。例えば、当初Mobilによって開発されたM41S族(非特許文献3)が広く研究された。これは、イオン性界面活性剤、例えば、第四級アンモニウム塩を用いて得られるメソ細孔性の材料からなり、一般的には六方晶系、立方晶系またはラメラ構造を有し、均一な径の細孔は1.5〜10nmの範囲にわたり、無定形壁の厚みは1〜2nm程度のものである。後には、様々な化学的性質の構造化剤が、ブロック共重合体タイプの両親媒性高分子として使用されているが、このものは、一般に六方晶系、立方晶系またはラメラ構造を有するメソ構造化材料をもたらし、細孔の均一な径は4〜50nmの範囲にわたり、無定形壁の厚みは3〜7nmの範囲にわたる。
【0003】
無機前駆体および構造化剤の、それらが存在する溶液内での進行性濃縮の現象を用いる、上記の浸漬塗工または粉末形成(エアロゾル/排水)を使用する合成技術に加えて、構造化剤の臨界ミセル濃度の値を使用することにより水溶液または著しい極性の溶媒中で直接的に沈殿させることにより、メソ構造化材料が得られ得る。通常、沈殿により得られるこれらの材料の合成は、オートクレーブ中での熟成段階を必要とし、全ての反応物が化学量論的割合で生成物中に集積されるわけではない。それらは上澄み中に見出され得るからである。最終メソ構造化材料で必要とされる構造および組織化度に応じて、これらの合成は、酸性媒体中(pH≦1)で(特許文献2)、または中性媒体中で(特許文献3)行われ得、使用される構造化剤の性質もまた、重要な役割を果たす。このようにして得られた基本粒子は、規則的な形状を有さず、通常、500nmをかなり超えるサイズにより特徴づけられる。
【0004】
均一かつ組織化された多孔性を有するこれらの材料の発見は、触媒、化学的分子分離、並びに光学素子、電子光学および生化学のような種々の分野における有望な用途のために革新的な固体を合成することに関して新たな展望を開いている。特に、主にシリカ性のメソ構造化酸化物材料に金属ナノ粒子を導入する研究が、数多くの刊行物および特許をもたらしている。実際に、金属ナノ粒子を合成する間にこのようなホストネットワークを使用することは、以下の化学的進展に寄与している:金属ナノ粒子のサイズおよび形態のより良好な制御(これは例えば触媒の分野において、研究された反応により新規な活性および選択性をもたらす)、およびホストネットワークの多孔性の組織化に起因する金属前駆体の促進された分散による担体内の金属ナノ粒子のより良好な分散。メソ構造化シリカネットワークに金属ナノ粒子を組み込むことを可能にする従来の方法の一つは、第1段階において上記の合成方法に従ってホストネットワークを合成し、次いで第2段階において、こうして生じた多孔性内に金属ナノ粒子を、下記の限定的方法に従って形成することからなる:前駆体無機塩の含浸、金属イオンのホストネットワークの表面に存在するイオンとの交換、有機金属錯体、金属結晶(クラスターとも称される)または有機リガンドなどにより安定化された予め形成されたナノ粒子のグラフト。この方法によりまた、メソ構造化された主にシリカの固体であって、その細孔内に金、貴金属、酸化鉄、酸化銀などのナノ粒子を有するものを合成することができる(非特許文献4〜7)。別の選択肢は、メソ構造化ホストネットワークを合成した直後に所望のナノ粒子を導入することからなる。それ故に、合成の際に構造化剤によって形成されたミセルに、金属ナノ粒子前駆体を、それらの疎水性または静電特性を用いることによって導入することが可能である(非特許文献8〜9)。
【0005】
しかしながら、全てのこれらの方法により、メソ構造化マトリクスの多孔性の部分的、さらには全体的な閉塞に至り、これは、場合によっては、メソ構造化および金属ナノ粒子の組織的(textural)および/または構造的な特性の両方の利点を得ることを可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6387453号明細書
【特許文献2】国際公開第99/37705号パンフレット
【特許文献2】国際公開第96/39357号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ジー・ジェイ・デ・エイ・エイ・ソレール・イリッア(G. J. de A. A. Soler-Illia)、シー・サンチェス(C. Sanchez)、ビー・レビュー(B. Lebeau)ジェイ・パタリン(J. Patarin)著、「Chemical. Rev.」、2002年、第102巻、p.4093
【非特許文献2】シー・ジェイ・ブリンカー(C. J. Brinker)、ワイ・ル(Y. Lu)、エイ・セリンジャー(A. Sellinger)、エイチ・ファン(H. Fan)著、「Adv. Mat.」、1999年、第11巻、p.7
【非特許文献3】ジェイ・エス・ベック(J. S. Beck)、ジェイ・シー・バルツリ(J. C. Vartuli)、ダブリュー・ジェイ・ロス(W. J. Roth)、エム・イー・レオノビッチ(M. E. Leonowicz)、シー・ティー・クレスゲ(C. T. Kresge)、ケイ・ディー・シュミット(K. D. Schmitt)、シー・ティー・ダブリュー・チュ(C. T. -W. Chu)、ディー・エイチ・オルソン(D. H. Olson)、イー・ダブリュー・シェパード(E. W. Sheppard)、エス・ビー・マクレン(S. B. McCullen)、ジェイ・ビー・ヒギンズ(J. B. Higgins)、ジェイ・エル・シュレンカー(J. L. Shlenker)著、「J. Am. Chem. Soc.」、1992年、第114巻、第27号、p.10834
【非特許文献4】エイ・フクオカ(A.Fukuoka)、エイチ・アラキ(H.Araki)、ワイ・サカモト(Y.Sakamoto)、エス・イナガキ(S.Inagaki)、ワイ・フクシマ(Y.Fukushima)、エム・イチカワ(M.Ichikawa)、「Inorganica Chimica Acta」、2003年、第350巻、p.371
【非特許文献5】エス・ベーレンス(S.Behrens)、ジー・スピッテル(G.Spittel)、「Dalton Trans.」、2005年、p.868
【非特許文献6】ケイ−ジェイ・チャオ(K-J.Chao)、エム−エイチ・チェン(M-H.Cheng)、ワイ−エフ・ホ(Y-F.Ho)、ピー−エイチ・リウ(P-H.Liu)、「Catalysis Today」、2004年、第97巻、p.49
【非特許文献7】エム・フレーバ(M.Froba)、アール・ケーン(R.Kohn)、ジー・ボウファウド(G.Bouffaud)、「Chem.Mater.」、1999年、第11巻、p.2858
【非特許文献8】ジー・リュ(G.Lu)、ディー・ジ(D.Ji)、ジー・キャン(G.Qian)、ワイ・キ(Y.Qi)、エックス・ワン(X.Wang)、ジェイ・ソー(J.Suo)、「Applied Catalysis A:General」、2005年、第280巻、p.175
【非特許文献9】オー・ダグ(O.Dag)、オー・サマルスカヤ(O.Samarskaya)、エヌ・クーム(N.Coombs)、ジー・エイ・オジン(G.A.Ozin)、「J.Mater.Chem.」、2003年、第13巻、p.328
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要約)
本発明は、少なくとも2つの基本球状粒子からなる材料であって、前記球状粒子のそれぞれが、金属ナノ粒子とメソ構造化マトリクスとを含み、該金属ナノ粒子は1〜300nmの範囲のサイズであり、メソ構造化マトリクスは、少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとし、該元素Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択され、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択され、前記メソ構造化マトリクスは、1.5〜30nmの範囲の細孔サイズを有し、1〜30nmの範囲の厚さの無定形壁を有し、前記基本球状粒子の径Dは、10μm超かつ100μm以下(10<D(μm)≦100)である、材料に関する。金属ナノ粒子と称されるものは、遷移金属族(IUPAC分類による周期表の第3族から第12族)および/または希土類金属族(ランタノイドおよびアクチノイド)に属する少なくとも1種の金属を含むナノメートルサイズの粒子を意味する。本発明による材料はまた、金属ナノ粒子に加えて、メソ構造化酸化物マトリクス中に捕捉されているゼオライトナノ結晶を含有してもよく、前記ゼオライトナノ結晶は、0.2〜2nmの細孔開口部を有する。
【0009】
本発明はまた、本発明による材料の調製に関する。「本発明による主要な調製方法」と称される本発明による材料を調製する方法は、a)300nmに等しい最大ナノメートルサイズを有する金属粒子を合成して、前記ナノ粒子が分散している安定なコロイド溶液を得る段階;b)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による少なくとも1種の安定なコロイド溶液であって、少なくとも300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している、コロイド溶液とを溶液に混合する段階;c)スプレーノズルを使用して段階b)で得られた溶液をエアロゾル噴霧して、300μm以下の直径の液状小滴を形成させる段階;d)前記小滴を乾燥させる段階;e)段階d)において得られた固体生成物を破砕する段階;f)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による少なくとも1種の安定なコロイド溶液であって、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している、コロイド溶液と、段階e)において得られた固体生成物の少なくとも一部とを溶液に混合して、懸濁液を形成させる段階;g)スプレーノズルを使用して段階f)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、懸濁小滴を形成させる段階であって、該懸濁小滴は、本発明による材料の径Dが10<D(μm)≦100である構成球状基本粒子の前駆体である、段階;h)段階g)において得られた前記小滴を乾燥させる段階;およびi)段階b)および段階f)において導入された前記界面活性剤を除去して、金属ナノ粒子が捕捉されているメソ構造化材料を得る段階を含む。
【0010】
本発明による材料のマトリクスの秩序だった構造は、EISA法により誘起されるミセル化または自己集合現象による。
【0011】
(発明の関連)
本発明による材料は球状粒子からなるものであり、該球状粒子は、金属ナノ粒子を含み、該球状粒子は、メソ構造化マトリクス中に捕捉され、該メソ構造化マトリクスは、無定形壁を有し、少なくとも前記元素Xの酸化物をベースとし、本発明による材料は、同時に、金属粒子に特有の構造的特性、水素化−脱水素化特性および酸化還元特性と、少なくとも前記元素Xの酸化物をベースとする材料に特有の構造的特性、組織的特性および場合による酸−塩基特性および酸化還元特性を有する。メソ構造化マトリクスおよび金属ナノ粒子からなる複合酸化物材料の「サブミクロン」スケールの合成は、単一球状粒子内での金属ナノ粒子と、酸化物マトリクスの均一かつ組織化されたメソ多孔性との特権的な(privileged)結合をもたらす。
【0012】
本発明による材料は、径Dが10<D(μm)≦100、好ましくは11〜70μmの範囲であるような球状基本粒子からなる。出願人によるEISA法の実施および制御から生じるこれらの粒子の制御可能なサイズと、さらにはそれらの完璧に球状な形状により、本発明による材料を可能性のある工業的用途で使用した場合に、化合物の分散をより良好に制御することができる。
【0013】
他方、本発明による材料を調製する方法であって、少なくとも1種の界面活性剤(イオン性または非イオン性)と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、300nmに等しい最大ナノメートルサイズの金属粒子が分散している少なくとも1種のコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種のコロイド溶液とを好ましくは酸性媒体中で相互作用させ、材料の秩序だった構造は、EISA法によって誘発されるミセル化または自己集合の現象による、方法によって、前記粒子(場合による前記結晶)が、300nmに等しい最大ナノメートルサイズの粒子の形態、場合によってはゼオライト結晶の形態で溶液中、とりわけ酸溶液中、より好ましくは酸性の水−有機溶液に分散するという特性を有するならばそれらの当初の合成方法が何であれ、メソ構造化複合材料/金属粒子(ナノ結晶を含む場合もある)を容易に合成すること、広範囲の金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶と連動することが可能になる。
【0014】
その上、金属ナノ粒子の捕捉に加えて場合によりゼオライトナノ結晶をメソ構造化酸化物マトリクス中に捕捉することにより、ワンポット合成法を介して、基本球状粒子のサイズおよび形態(morphology)と酸化物マトリクスのメソ構造化による特権的な結合を示す酸機能および水素化−脱水素化(hydro-dehydrogenizing)機能を同時に有する材料を合成することができる。
【0015】
さらに、既知のメソ構造化材料の合成に関して、本発明による材料の調製は連続的に実施され、その調製時間は短縮され(オートクレーブ処理を使用する場合の12〜24時間に対して、数時間)、当初反応溶液中に存在する不揮発性種の化学量論は、本発明の材料では維持される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本発明の対象は、少なくとも2つの基本球状粒子からなる無機材料であって、前記球状粒子のそれぞれは、金属ナノ粒子と、メソ構造化マトリクスとを含み、該金属ナノ粒子は、1〜300nmの範囲のサイズであり、該メソ構造化マトリクスは、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジム、およびこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとし、前記メソ構造化マトリクスは、1.5〜30nmの範囲の細孔径を有し、1〜30nmの範囲の厚さの無定形壁を有し、前記基本球状粒子の径Dは10μm超かつ100μm以下(10<D(μm)≦100)である、ものである。
【0017】
本発明によると、本発明による材料の前記球状粒子のそれぞれに含有されているメソ構造化マトリクス中に酸化物の形態で存在する元素Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択され、好ましくは、酸化物の形態で存在する元素Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される。少なくとも前記元素Xの酸化物をベースとする前記マトリクスは、メソ構造化されている:これは、1.5〜30nmの範囲、好ましくは1.5〜10nmの範囲の均一な径を有し、前記粒子のそれぞれ中に均質かつ均等に分散しているメソ細孔を示す。メソ構造化マトリクスのメソ細孔の間に含有される物質は無定形であり、1〜30nmの範囲の厚さの壁を形成している。壁の厚さは、第1のメソ細孔と第2のメソ細孔との間の距離に対応し、第2のメソ細孔は、前記第1のメソ細孔に最も近接している細孔である。上記のメソ多孔性の組織化により、ラメラ、六方晶系、バーミキュラ状、立方晶系、コレステリックまたは連続二相状(bicontinuous)であり得、好ましくはバーミキュラである前記マトリクスの構造化が生じている。ミクロ孔性の多孔性がまた、本発明による材料の調製の際に用いられる界面活性剤を無機壁と、本発明による前記材料の無機成分のメソ構造化の際に展開される有機−無機界面のレベルで覆瓦構造化(imbrication)させることから生じ得ることが留意される。本発明による材料はまた、粒子間の組織的マクロ多孔性を有する。
【0018】
本発明による材料の各基本球状粒子中に存在するメソ構造化マトリクスは、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物の酸化物をベースとし、好ましくは、酸化物の形態で存在する前記元素Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される。本発明では、前記メソ構造化マトリクスは有利には、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムの中から選択される第1元素Xと、前記第1元素Xとは異なり、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムの中から選択される第2元素Xとからなる。より好ましくは、前記メソ構造化マトリクスは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとを、または酸化ケイ素と酸化ジルコニウムとをベースとする。本発明では、前記メソ構造化マトリクスが第1元素Xの酸化物および第1元素Xとは異なる第2元素Xの酸化物をベースとする場合、マトリクスの組成物中の第2元素Xの割合との関連で第1元素Xの割合は可変である。
【0019】
本発明によると、金属ナノ粒子と称されるものは、遷移金属族(IUPAC分類による周期表の第3族から第12族)および/または希土類金属族(ランタノイドおよびアクチノイド)に属する少なくとも1種の金属を含むナノメートルサイズの粒子を意味する。より正確には、本発明による材料の各基本球状粒子中に存在するメソ構造化マトリクス中に捕捉されている前記金属ナノ粒子は、前記粒子の第1の実施形態では、次の限定的リストに属する酸化度0の少なくとも1種の遷移金属を含む:Au、Pd、Pt、Ni、Co、Cu、Ag、Rh、Ru、Ir、Fe、これらの混合物およびこれらに由来する合金。前記遷移金属は好ましくは、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウムおよびその混合物の中から選択され、より好ましくは、前記遷移金属は、鉄または金である。前記金属ナノ粒子は、その第2の実施形態では、以下の限定的リストに属する少なくとも1種の遷移金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物を含む:Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、W、Fe、Co、Cu、Y、La、Ni、Cr、Pd、Pt、Ce、Eu、Nd、Gdおよびその混合物。少なくとも前記遷移金属酸化物の金属および/または少なくとも前記希土類金属酸化物の金属は好ましくは、次のリストに属する:Ti、Zr、Nb、Mo、W、Co、Ni、Ceおよびその混合物。さらに、前記金属粒子の第2の実施形態に記載されている金属酸化物ナノ粒子は、場合によっては追加的に、ケイ素元素を、金属元素に加えて含有し得る。金属ナノ粒子は、第3の実施形態では、スピネルAB、ペロブスカイトABOまたはイルメナイトABOタイプの結晶学的構造を有する少なくとも1種の多金属酸化物を含有する(Aおよび/またはBは、少なくとも1種の遷移金属および/または希土類金属である)。スピネルタイプの構造では、AおよびBはそれぞれ、二価および三価カチオンであり、ペロブスカイトタイプの構造では、AおよびBはそれぞれ、二価および四価カチオンである。AまたはBが遷移金属でも希土類金属でもない場合には、AまたはBは、場合によってはIUPAC分類による周期表の1族および2族からの金属であり得る。イルメナイトABOに関しては、元素AおよびBは同様のサイズを有し、これらは、+6に等しいその電荷の合計により定義される。限定的な例では、スピネルタイプの混合金属酸化物は好ましくは、化合物Fe、MgFe、ZnFe、Coであり、ペロブスカイトタイプの混合金属酸化物は好ましくは、化合物BaTiO、CaTiO、SrZnO、SrTiO、LaFeO、LaCeCoO、SrHfO、SrSnO、BaSnOであり、イルメナイトタイプの混合金属酸化物は特に、化合物NiMnOおよびFeTiOである。前記金属ナノ粒子のこの第3の実施形態では、異なるタイプの複数種の多金属酸化物(スピネル、ペロブスカイト、イルメナイト)が、球状粒子のメソ構造化マトリクス中に捕捉されていてよい。前記金属ナノ粒子は、第4の実施形態では、遷移金属Mと、硫黄、セレン、およびテルルの中から選択されるカルコゲン元素C、好ましくは硫黄とからなる少なくとも1種のカルコゲナイドを含む。金属ナノ粒子として好適に使用される金属カルコゲナイドは、以下の限定的リストに属する:MoS、NiS(x=1または2)、Ni、WS、Co、PtS、PdS、RuS、Rh、NbS(x=1、2または3)、FeS、FeS、AuS、ZnS、CdS、より好ましくは、MoS、NiS(x=1または2)、Ni、WS、Co、PtS、PdS、RuS、Rh、NbS(x=1、2または3)。
【0020】
本発明によると、金属ナノ粒子は有利には、本発明の材料の0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%を示す。金属ナノ粒子は、最大サイズ300nmを有し、それらのサイズは、好ましくは1〜300nm、より好ましくは2〜50nmの範囲である。前記金属ナノ粒子は、上記された前記ナノ粒子の4つの実施形態の1つ以上に記載された形態で、本発明による材料の各基本球状粒子のメソ構造化マトリクス中に捕捉されている。特に、球状粒子のメソ構造化マトリクスは、上記された前記金属ナノ粒子の実施形態による複数の形態で存在する金属ナノ粒子を捕捉し得る。4つの実施形態のうちの1つにおいて上記された形態の1つで存在している第1の金属ナノ粒子および前記第1のナノ粒子以外の形態で存在している第2の金属ナノ粒子(4つの実施形態の1つにおける上記形態の1つの中から選択される)が、球状粒子のメソ構造化マトリクス内に捕捉されていてよい。例えば、上記の第1の実施形態による金属ナノ粒子がとる形態の酸化度0の遷移金属および上記の第2の実施形態による金属ナノ粒子がとる形態の遷移金属酸化物が、本発明による材料の基本球状粒子のメソ構造化マトリクスに捕捉されていてよい。
【0021】
有利には、各球状粒子はまた、ゼオライトナノ結晶を含む。前記ゼオライトナノ結晶は、各基本球状粒子に含有されるメソ構造化マトリクス中に金属ナノ粒子と共に捕捉されている。メソ構造化マトリクス中にゼオライトナノ結晶を捕捉することからなる本発明のこの実施形態では、本発明による材料は、各基本球状粒子において、マトリクス自体の内のメソ多孔性(1.5〜30nm、好ましくは1.5〜10nmの範囲の均一なサイズのメソ細孔)と、メソ構造化マトリクス中に捕捉されているゼオライトナノ結晶により生じているゼオライトタイプのミクロ多孔性を同時に示す。前記ゼオライトナノ結晶は、0.2〜2nm、好ましくは0.2〜1nm、より好ましくは0.2〜0.6nmの範囲の細孔開口部のサイズを有する。前記ゼオライトナノ結晶は有利には、本発明による材料の0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%を示す。ゼオライトナノ結晶は、300nmの最大サイズを有し、それらのサイズは好ましくは、10〜100nmの範囲である。任意のゼオライト、特に、しかし限定的に、“Atlas of zeolite framework types”, 6th revised Edition, 2007, C. Baerlocher, L. B. McCusker, D. H. Olsonに列挙されているものが、本発明による材料を構成する各基本球状粒子中に存在するゼオライトナノ結晶において使用され得る。ゼオライトナノ結晶は好ましくは、次のゼオライトの中から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む:ZSM−5、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−2、EU−11、シリカライト、ベータ、ゼオライトA、フォージャサイト、Y、USY、VUSY、SDUSY、モルデナイト、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、フェリエライトおよびEU−1。より好ましくは、ゼオライトナノ結晶は、MFI、BEA、FAUおよびLTA構造型の中から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む。異なるゼオライト、特に異なる構造型のゼオライトのナノ結晶が、本発明による材料を構成する各球状粒子中に存在してよい。特に、本発明による材料を構成する各球状粒子は有利には、少なくとも第1のゼオライトナノ
結晶とゼオライトが第1のゼオライトナノ結晶のゼオライトとは異なる少なくとも第2のゼオライトナノ結晶とを含み得る。第1のゼオライトナノ結晶のゼオライトは、以下のゼオライト:ZSM−5、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−2、EU−11、シリカライト、ベータ、ゼオライトA、フォージャサイト、Y、USY、VUSY、SDUSY、モルデナイト、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、フェリエライトおよびEU−1の中から、好ましくは、MFI、BEA、FAUおよびLTA構造型のゼオライトの中から選択され、第2のゼオライトナノ結晶のゼオライトは、以下のゼオライト:ZSM−5、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−2、EU−11、シリカライト、ベータ、ゼオライトA、フォージャサイト、Y、USY、VUSY、SDUSY、モルデナイト、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、フェリエライトおよびEU−1の中から、好ましくは、MFI、BEA、FAUおよびLTA構造型のゼオライトの中から選択される。ゼオライトナノ結晶は有利には、全体的にシリカ性であるか、または、ケイ素に加えて、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムの中から選択される少なくとも1種の元素T、好ましくはアルミニウムを含有する少なくとも1種のゼオライトを含む。
【0022】
本発明によると、本発明による材料を構成する前記基本球状粒子の径(ミクロンで表される)は厳密に10μm超かつ100μm以下(10<D(μm)≦100)である。好ましくは、前記球状粒子の径Dは有利には、11〜70μmの範囲である。本発明による材料の特定の実施形態では、前記基本球状粒子は、11〜50μm、より好ましくは15〜50μmの範囲の径Dを有する。より正確には、前記基本球状粒子は、本発明による材料中に凝集体の形態で存在する。本発明による材料は有利には、100〜1100m/g、より有利には200〜600m/gの範囲の比表面積を有する。
【0023】
本発明の対象はまた、本発明による材料の調製である。「本発明による主要な調製方法」と称される本発明による材料を調製する方法は、a)300nmに等しい最大ナノメートルサイズを有する金属粒子を合成して、前記ナノ粒子が分散している安定なコロイド溶液を得る段階;b)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)で得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液とを溶液に混合する段階;c)スプレーノズルを使用して、段階b)で得られた溶液をエアロゾル噴霧して、300μm以下の径を有する液状小滴を形成させる段階;d)前記小滴を乾燥させる段階;e)段階d)で得られた固体生成物を破砕する段階;f)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、段階e)で得られた固体生成物の少なくとも一部を溶液に混合して、懸濁液を形成させる段階;g)スプレーノズルを用いて段階f)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、懸濁小滴を形成させる段階であって、該懸濁小滴は、本発明による材料の径Dが10<D(μm)≦100である構成球状単位粒子の前駆体である、段階;h)段階g)において得られた前記小滴を乾燥させる段階;およびi)段階b)およびf)で導入された前記界面活性剤を除去して、金属ナノ粒子が捕捉されているメソ構造化材料を得る段階を含む。
【0024】
本発明による主要な調製方法の段階f)による懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率は、少なくとも7%、好ましくは少なくとも7.5%、より好ましくは少なくとも10%である。不揮発性化合物の前記体積百分率は、噴霧後に得られた各基本球状粒子中の縮合酸化物(単数または複数)の形態の不揮発性の無機部によって占められる体積に同一の固体粒子中に見出される不揮発性有機部(界面活性剤)によって占められる体積を加えた体積/総体積の比×100として定義される。より正確には、不揮発性の無機部により占められる体積Vinorgは、比minorg/ρinorgにより定義され、ここで、minorg=各基本球状粒子中に存在する縮合酸化物(単数または複数)の形態の無機部分、すなわち、少なくとも1種の酸化物、金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶(それぞれ、本発明による主要な調製方法の段階b)および段階f)において存在する元素Xの少なくとも1種の前駆体、ゼオライトナノ結晶を含む安定なコロイド溶液に由来する)に本発明による主要な調製方法の段階e)の固体生成物の無機部分を加えたものの最終質量である。ρinorgは、様々な無機成分に関する密度であり、当業者であれば容易に得ることができる。同様に、不揮発性有機部分により占められる体積Vorgは、比morg/ρorgにより定義され、ここで、morg=各基本球状粒子中に存在する界面活性剤、すなわち、本発明による主要な調製方法の段階b)および段階f)中に存在する界面活性剤に、本発明による主要な調製方法の段階e)の固体生成物の有機部分を加えた質量である。全体積は、V=Vinorg+Vorg+Vsolventであり、VinorgおよびVorgは、上記定義の通りであり、Vsolventは、水と、場合による有機溶媒とからなる溶媒の全体積に相当する。
【0025】
本発明の主要な調製方法によると、段階e)において得られかつ前記段階f)を実施するために使用される固体生成物の一部は、段階e)において破砕される固体生成物の全量の1〜100重量%、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは5〜50重量%を示す。
【0026】
本発明の主要な調製方法の第1の特定の実施形態によると、段階d)からの固体生成物の一部のみが本発明の方法の段階e)の間に粉砕される;破砕されなかった部分は通常、後で使用されない。
【0027】
本発明の主要な調製方法の第2の特定の実施形態によると、界面活性剤除去の段階i)を行った後に段階e)による粉砕段階が行われ、その結果、前記段階e)は、有機界面活性剤を含有しない固体生成物で行われる。段階a)、b)、c)、d)、i)、e)、f)およびg)は、本発明による前記第2調製方法の特定の場合に連続的であり、それらに次いで、段階h)およびi)により記載されたような小滴乾燥および段階f)において導入された界面活性剤除去の新たなサイクルが行われる。
【0028】
径Dが11〜50μm、好ましくは15〜50μmの範囲である基本球状粒子からなる本発明による材料の特定の場合には、「本発明による単純化された調製方法」と称される単純化された調製方法が好ましくは行われる。この方法は、以下の段階を含む:a)300nmに等しい最大ナノメートルサイズの金属粒子を合成し、前記ナノ粒子が分散している安定なコロイド溶液を得る段階;b)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液を溶液に混合する段階;c)スプレーノズルを用いて段階b)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、300μm以下の径の液状小滴を形成させる段階;d)前記小滴を乾燥させる段階;およびi)段階b)において導入された前記界面活性剤を除去して、金属ナノ粒子が捕捉されたメソ構造化材料を得る段階。
【0029】
前記単純化された方法によると、本発明の単純化された調製方法の段階b)による溶液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率は、少なくとも7%、好ましくは少なくとも7.5%、より好ましくは少なくとも10%である。不揮発性化合物の前記体積百分率は、噴霧後に得られた各固体単位球状粒子中の縮合酸化物(単数または複数)の形態の不揮発性無機部分によって占められる体積に同一固体粒子中に見出される不揮発性有機部分(界面活性剤)によって占められる体積を加えたもの対総体積の比×100として定義される。より正確には、不揮発性無機部分により占められる体積Vinorgは、比minorg/ρinorgにより定義され、ここで、minorg=各基本球状粒子中に存在する縮合酸化物(単数または複数)の形態の無機部分、すなわち、少なくとも1種の酸化物、金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶(それぞれ、本発明による単純化された調製方法の段階b)において存在する元素Xの少なくとも1種の前駆体、金属ナノ粒子を含む安定なコロイド溶液および場合によるゼオライトナノ結晶を含む安定なコロイド溶液に由来する)の最終質量である。ρinorgは、様々な無機成分に関する密度であり、当業者であれば容易に得ることができる。同様に、不揮発性有機部分により占められる体積Vorgは、比morg/ρorgにより定義され、ここで、morg=各基本球状粒子中に存在する界面活性剤、即ち、本発明による単純化された調製方法の段階b)において存在する界面活性剤の質量である。全体積は、V=Vinorg+Vorg+Vsolventであり、VinorgおよびVorgは、上記定義の通りであり、Vsolventは、水と、場合による有機溶媒とからなる溶媒の全体積に相当する。
【0030】
本発明の主要な調製方法の段階a)または本発明の単純化された調製方法の段階a)によると、コロイド溶液中に分散している前記金属ナノ粒子は、当業者に知られている合成手順を介して得られる。それ故に、酸化度0の少なくとも1種の遷移金属を含むコロイド溶液中に分散しているナノ粒子(上記のナノ粒子の第1の実施形態)の合成は、一般に、前記遷移金属の無機塩(前記塩は、有利には、MZ(式中、Mは前記遷移金属であり、Z=ClまたはBrであり、n=2または3である)の形態でくる)を、有機または水性媒体に可溶な化学還元剤、例えば、ヒドロトリオルガノホウ化物、ボロヒドリド、ヒドラジン、アルコール(メタノール、エタノール、ポリオール)、有機化合物(アルデヒド、ケトン、グルコース、クエン酸塩)または還元ガス(水素、一酸化炭素)によって還元することによる(H. Bonnemann, W. Brijoux, R. Brinkmann, E. Dinjus, T. Jouber, R. B. Korall, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1991, 30, 10, 1312; Y. Nakao, S. Fugishige, J. of Catal., 1992, 74, 323: H. Hirai, J. Macromol. Sci. Chem., 1979, A13, 5, 633; N. Toshima,T. Takahashi, H. Hirai, Chem. Lett., 1985, 1245)この方法の変法は、前記ナノ粒子を有機相中水のマイクロエマルションから合成することからなる(M. Boutonnet, J. Kizling, P. Stenius, G. Maire, Coll. And Surf., 1982, 5, 209)。酸化度0の少なくとも1種の遷移金属の形態で前記金属ナノ粒子が分散しているコロイド溶液を前記遷移金属の有機金属錯体の熱分解を通じて(T. Tano, K. Esumi, K. Meguro, J. Coll. And Interface Sci., 1989, 133, 2, 530)、気相での凝縮(金属原子の気化、次いで、液体窒素中で冷却された溶媒中でのその捕捉)により(K. J. Klabunde, Platinium Metals Rev., 1992, 36, 2, 80)、光還元、放射線分解または電気化学的還元により(N. Toshima, T. Takahashi, H. Hirai, Chem. Lett., 1985, 1245; M. Mostafavi, N. Keghouche, M. O. Delcourt, J. Belloni, Chem. Physics Lett., 1990, 167, 3, 193; M. T. Reetz, W. Helbig, J. am. Chem. Soc., 1994, 116, 7401)、得ることが可能である。金属ナノ粒子の溶液への分散は、安定化剤、例えば、重合体(ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエチレン)または共重合体またはアニオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)またはカチオン界面活性剤(塩化ドデシルトリメチルアンモニウム)の存在を介して、または、本発明による主要な調製方法の段階a)または本発明による単純化された調製方法の段階a)を行うために用いられる溶媒自体により提供され得る。
【0031】
少なくとも1種の遷移金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物(上記金属ナノ粒子の第2実施形態)を含むか、または少なくとも1種の多金属酸化物(上記金属ナノ粒子の第3実施形態)を含む、コロイド溶液中に分散している金属ナノ粒子は、酸塩基反応(酸または塩基の添加)による前記遷移金属または希土類金属の塩からの金属カチオンのヒドロキシル化の段階からなる第1の方法によって、または、熱加水分解反応と、その後の、ナノ粒子をもたらすオール化(olation)またはオキソ化の反応を含む縮合(condensation)の段階とによって得られ得る。これらの金属ナノ粒子を、コロイド溶液中に分散している少なくとも1種の金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物の形態または少なくとも1種の多金属酸化物(polymetallic oxide)の形態で得ることも、式M(OR)(式中、Mは遷移金属または希土類金属であり、Rはアルキル基である)の前記金属のアルコキシド前駆体の加水分解および縮合の反応から行われ、一般に、錯化剤の溶液中の存在によって制御される第2の方法によって可能である(ゾル−ゲル法)。これらの方法のいずれかを実施することを望む当業者は、次の刊行物を情報のため参照することができる:J-P. Jolivet, Metal Oxyde Chemistry and Synthesis. From Solution to Solid State, J. Wiley and Sons, Chichester, 2000; F. Schueth, K. S. W. Sing, J. Weitkamp, Handbook of Porous Solids, Wiley-VCH, 2002, Volume 3; J. Livage, C. Sanchez, J. Non Cristalline Solids, 1992, 145, 11。最後に、少なくとも1種の遷移金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物を含むか(上記金属ナノ粒子の第2の実施形態)、または少なくとも1種の多金属酸化物(上記金属ナノ粒子の第3の実施形態)を含む、コロイド溶液中に分散している金属ナノ粒子を得ることを目的とする第3の方法は、非加水分解法を一般に低温で実施することからなり、この際、研究されている系は、有機溶媒(例えばベンジルアルコール)中の金属前駆体(塩またはアルコキシド)からなる(M. Niederberger, M. H. Bard, G. D. Stucky,J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 46, 13642)。
【0032】
前記金属ナノ粒子が少なくとも1種の遷移金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物を含むだけでなく、さらに、ケイ素元素を含む場合、ケイ素元素は、金属酸化物前駆体とシリカ前駆体との組み合わせ(3つの上記方法の1つの合成手順において)を介して導入され、シリカ前駆体は、任意のシリカ源から、有利には、式SiO・NaOHのケイ酸ナトリウム、式SiClの塩素含有前駆体、式Si(OR)(式中、R=H、メチル、エチル)の有機金属前駆体または式Si(OR)4−xCl(式中、R=H、メチル、エチルであり、Xは0〜4の範囲である)のクロロアルコキシド前駆体から得られ得る。
【0033】
少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとするメソ構造化マトリクス中に捕捉されている金属ナノ粒子が少なくとも1種の酸化度0の遷移金属を含む特定の場合(ナノ粒子の第1の実施形態)、本発明による主要な方法または本発明による単純化された方法の段階a)により上記の通り金属ナノ粒子を還元形態(酸化度0)で直接合成する代わりに、前記段階a)の間に、金属ナノ粒子が前記遷移金属の酸化物形態で分散している安定なコロイド溶液を合成し、次いで、本発明による主要な方法または本発明による単純化された方法の段階i)の後に、前記遷移金属の酸化物を還元して、本発明による材料の各球状粒子の前記メソ構造化マトリクス中に捕捉されている前記金属ナノ粒子の遷移金属が酸化度0を有するようにする追加の段階j)を実施することが可能である。使用される還元技術は、以前に記載され、かつ、本発明による主要な方法または本発明による単純化された方法の段階a)の間に用いられる、酸化度0の少なくとも1種の遷移金属を含む金属ナノ粒子を合成するための技術と同様である。特に、本発明による主要な調製方法または本発明による単純化された調製方法の段階i)の後の追加の段階j)は、還元ガス雰囲気(水素、一酸化炭素)中、周囲温度からT=800℃まで、好ましくは周囲温度からT=550℃までの温度範囲で少なくとも1種の遷移金属酸化物を含む金属ナノ粒子を還元することによって効率的に行われ得、その際の考慮されるガス流量は、0.5〜10L/h/g(固体)、好ましくは0.5〜5L/h/g(固体)の範囲内に設定される。
【0034】
少なくとも1種の遷移金属の硫化物を含むコロイド溶液中に分散している金属ナノ粒子(上記の金属ナノ粒子の第4の実施形態)は、次の限定的な合成技術から得られ得る:酸化度0のまたは酸化された形態の前記遷移金属のナノ粒子の直接硫化(A. Zak, Y. Feldman, V. Alperovich, R. Rosentsveig, R. Tenne, J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 11108)、硫化剤の存在下での前記遷移金属の金属塩の非水性溶液中の沈殿、チオメタレートなどの水性相中での前記遷移金属の塩の熱分解。
【0035】
上記金属ナノ粒子の4つの実施形態で示された4種の形態のいずれか1種でコロイド溶液中に分散している金属ナノ粒子の合成のための上記の大抵の合成方法は、B. L. Cushing, V. L. Kolesnichenko, C. J. O’Connor, Chem. Rev., 2004,104, 3893による論文中に記載されている。
【0036】
本発明の主要な調製方法または本発明の単純化された調製方法の段階a)によると、本発明による前記金属ナノ粒子はまた、市販のものであってもよい(例えば、Rhodia Electronics and catalysisによって提供される希土類(La、Ceなど)金属酸化物粒子、Millenium Chemicalsによって提供される酸化チタン粒子など)。
【0037】
本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)または本発明の単純化された調製方法の段階b)によると、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される、好ましくはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの前駆体(単数または複数)は、当業者に知られている無機酸化物前駆体(単数または複数)である。少なくとも前記の元素Xの前駆体(単数または複数)は、元素Xを含み、かつ、この元素を溶液、例えば、水−有機溶液、好ましくは、酸性の水−有機溶液中に活性な形態で放出し得るあらゆる化合物であってよい。Xがケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される好ましい場合、少なくとも前記元素Xの前駆体(単数または複数)は有利には、式XZ(n=3または4であり、Zは、ハロゲン、NO基またはパークロラートであり、Zは好ましくは、塩素である)の前記元素Xの無機塩である。考えられる少なくとも前記元素Xの前駆体(単数または複数)はまた、式X(OR)(式中、R=エチル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど)の有機金属前駆体(単数または複数)またはX(C(n=3または4)などのキレート前駆体であってもよい。考えられる少なくとも前記元素Xの前駆体(単数または複数)はまた、前記元素Xの酸化物(単数または複数)または水酸化物(単数または複数)であってもよい。元素Xの性質に応じて、考えられる元素Xの前駆体はまた、XOZ(Zは、ハロゲンまたはNO基などの一価アニオンである)の形態を有してもよい。好ましくは、前記元素(単数または複数)Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される。少なくとも1種の元素Xがケイ素である場合、前記シリカ前駆体は、あらゆるシリカ源から、有利には、式SiO・NaOHのケイ酸ナトリウム、式SiClの塩素含有前駆体、式Si(OR)(式中、R=H、メチル、エチル)有機金属前駆体または式Si(OR)4−xCl(式中、R=H、メチル、エチルであり、xは0〜4の範囲である)のクロロアルコキシド前駆体から得られる。シリカ前駆体はまた有利には、式Si(OR)4−XR’(式中、R=H、メチル、エチルであり、R’は、アルキル鎖か、例えばチオール、アミノ、βジケトンまたはスルホン酸基により官能化されているアルキル鎖であり、xは0〜4の範囲である)の有機金属前駆体であってよい。
【0038】
本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された調製方法の段階b)のそれぞれによる混合物を調製するために使用される界面活性剤は、イオン性または非イオン性の界面活性剤またはその混合物である。好ましくは、イオン性界面活性剤は、ホスホニウムおよびアンモニウムイオンの中から、より好ましくは、臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium bromide:CTAB)などの第4級アンモニウム塩の中から選択される。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、両親媒性超分子特性をもたらす異なる極性の少なくとも2つの部分を有する任意の共重合体であってよい。これらの共重合体は、次の共重合体の族の限定的リストに属する少なくとも1個のブロックを含むことができる:フッ化共重合体(−[CH−CH−CH−CH−O−CO−R1]−、R1=C、C17など)、ポリアミノ酸(ポリリシン、アルギナートなど)などの生物学的共重合体、デンドリマー、ポリ(アルキレンオキシド)鎖からなる共重合体。一般的に言えば、当業者に知られている両親媒性特性の任意の共重合体が使用され得る(S. Foerster, M. Antionnetti, Adv. Mater, 1998, 10, 195-217; S. Foerster, T. Plantenberg, Angew. Chem. Int. Ed, 2002, 41, 688-714; H. Coelfen, Macromol. Rapid Commun, 2001, 22, 219-252)。好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)鎖からなるブロック共重合体が、本発明の範囲内で使用される。前記ブロック共重合体は好ましくは、2、3または4個のブロックを有するブロック共重合体であり、各ブロックは、ポリ(アルキレンオキシド)鎖からなる。2−ブロック共重合体では、ブロックの一方は、親水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなり、他方のブロックは、疎水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなる。3−ブロック共重合体では、少なくとも1個のブロックは、親水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなり、他のブロックのうちの少なくとも1個は、疎水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなる。好ましくは、3−ブロック共重合体の場合、親水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖は、(PEO)および(PEO)により示されるポリ(エチレンオキシド)鎖であり、疎水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖は、(PPO)により示されるポリ(プロピレンオキシド)鎖、ポリ(ブチレンオキシド)鎖または混合鎖(その各鎖は、複数のアルキレンオキシドモノマーの混合である)である。より好ましくは、3−ブロック共重合体の場合、式(PEO)−(PPO)−(PEO)の化合物が用いられ、ここで、xは5〜300の範囲であり、yは33〜300の範囲であり、zは5〜300の範囲である。好ましくは、xおよびzの値は同一である。x=20、y=70およびz=20である化合物(P123)およびx=106、y=70およびz=106である化合物(F127)が、非常に有利に用いられる。Pluronic(登録商標)(BASF)、Tetronic(登録商標)(BASF)、Triton(登録商標)(Sigma)、Tergitol(登録商標)(Union Carbide)、およびBrij(登録商標)(Aldrich)として知られている市販の非イオン界面活性剤が、本発明による主要な方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された方法の段階b)のそれぞれにおいて非イオン性界面活性剤として用いられ得る。4−ブロック共重合体では、ブロックの2種は、親水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなり、他の2種のブロックは、疎水性のポリ(アルキレンオキシド)鎖からなる。
【0039】
本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)または本発明の単純化された調製方法の段階b)によると、コロイド溶液は、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散していて、場合によって、本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)の混合物および本発明の単純化された調製方法の段階b)の混合物のそれぞれに加えられ、このものは、構造化剤の存在下に、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライトナノ結晶を先行して合成するか、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのナノ結晶の形態で溶液中、例えば、酸性の水−有機溶液中に分散している特徴を示すゼオライト結晶を使用することによって得られる。ゼオライトナノ結晶の先行する合成からなる第1の変法に関して、そのゼオライトナノ結晶は、当業者に知られている操作手順に従って合成される。特に、ベータゼオライトナノ結晶の合成は、T. Bein et al., Micropor. Mesopor. Mater., 2003, 64, 165に記載されている。Yゼオライトナノ結晶の合成は、T. J. Pinnavaia et al., J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 8791に記載されている。フォージャサイトゼオライトナノ結晶の合成は、Kloetstra et al., Microporous Mater., 1996, 6, 287に記載されている。ZSM−5ゼオライトナノ結晶の合成は、R. Mokaya et al., J. Mater. Chem., 2004, 14, 863に記載されている。シリカライト(またはMFI構造型)ナノ結晶の合成は、様々な刊行物に記載されている:R. de Ruiter et al., Synthesis of Microporous Materials, Vol. I; M. L. Occelli, H. E. Robson(eds.), Van Nostrand Reinhold, New York, 1992, 167; A. E. Persson, B. J. Schoeman, J. Sterte, J. -E. Otterstedt, Zeolites, 1995, 15, 611-619。ゼオライトナノ結晶は通常、少なくとも1種のシリカ源と、場合による、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムの中から選択される少なくとも1種の元素Tの少なくとも1種の源、好ましくは、少なくとも1種のアルミナ源と、少なくとも1種の構造化剤とを含有する反応混合物を調製することにより合成される。反応混合物は水性混合物、または水−有機混合物、例えば、水−アルコール混合物である。反応混合物は、有利には、自己生成圧力下に、場合によってはガス(例えば、窒素)を加え、50〜200℃、好ましくは60〜170℃の範囲の温度における、より好ましくは、120℃を超えない温度における水熱条件下に、ゼオライトナノ結晶が形成されるまで置かれる。前記水熱処理の終了時に、ナノ結晶が分散状態にあるコロイド溶液が得られる。構造化剤は、合成されるべきゼオライトに応じて、イオン性であっても、中性であってもよい。下記の限定的リストからの構造化剤が往々にして使用される:窒素含有有機カチオン、アルカリ族からの元素(Cs、K、Naなど)、クラウンエーテル、ジアミン、さらに、当業者に知られている任意の他の構造化剤。ゼオライト結晶を直接的に使用することからなる第2の変法に関して、このゼオライト結晶は、当業者に知られている方法により合成される。前記ゼオライト結晶は、既にナノ結晶の形態であることもある。有利には300nm超、例えば300nm〜200μmの範囲のサイズのゼオライト結晶であって、溶液中、例えば、水−有機溶液、好ましくは酸性の水−有機溶液に、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのナノ結晶の形態で分散しているものを用いることも可能である。ナノ結晶表面の官能基化(functionalization)を行うことによって、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのナノ結晶の形態で分散するゼオライト結晶を得ることも可能である。使用されるゼオライト結晶は、それらの合成されたままの形態、即ち、構造化剤を依然として含有している形態であるか、またはそれらの焼成された形態、即ち、前記構造化剤が除去された形態のいずれかである。使用されるゼオライト結晶がそれらの合成されたままの形態である場合、前記構造化剤は、本発明による主要な調製方法および本発明による単純化された調製方法のそれぞれの段階i)の間に除去される。
【0040】
本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)によるか、または本発明の単純化された調製方法の段階b)による、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも前記元素Xの少なくとも1種の前駆体、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種のコロイド溶液および場合による300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液が混合されている溶液は、酸性、中性または塩基性であってよい。好ましくは、前記溶液は酸性であり、最大pH値3を有し、好ましくは0〜2の範囲である。3に等しい最大pH値の酸性溶液を得るために使用される酸は、限定的な例であるが、塩酸、硫酸および硝酸である。本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)による前記溶液および本発明の単純化された調製方法の段階b)による前記溶液のそれぞれは、水性であってよく、若しくはそれらは水および有機溶媒の混合物であってもよく、有機溶媒は好ましくは、THFなどの水混和性極性溶媒またはアルコールであり、アルコールの場合、好ましくはエタノールである。本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)による前記溶液および本発明の単純化された調製方法の段階b)による前記溶液のそれぞれはまた、実際的に有機性、好ましくは実際的にアルコール性であってよく、水の割合は、無機前駆体の加水分解が確実になされる割合である(化学量論量)。より好ましくは、本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)による前記溶液および本発明の単純化された調製方法の段階b)による前記溶液のそれぞれであって、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも前記元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)(本発明による主要な方法または単純化された方法)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種のコロイド溶液(本発明の主要なまたは単純化された方法)と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種のコロイド溶液とが混合されている、溶液は、酸性の水−有機混合物、より好ましくは、酸性の水−アルコール混合物である。
【0041】
遷移金属族(IUPAC分類による周期表の3〜12族)および/または希土類金属族(ランタノイドおよびアクチノイド)に属する少なくとも1種の金属を含む金属ナノ粒子の量は、前記金属ナノ粒子が本発明による材料の有利には0.1〜30重量%、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%を示すようにされる。
【0042】
コロイド溶液中に分散しているゼオライトナノ結晶であって、構造化剤の存在下に、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライトナノ結晶を先行して合成する変法によりまたはゼオライト結晶を用い、該ゼオライト結晶は、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのナノ結晶の形態で溶液中、例えば、酸性の水−有機溶液中に分散する特徴を有する変法により得られ、場合によっては、本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された調製方法の段階b)において導入される、ゼオライトナノ結晶の量は、ゼオライトナノ粒子が本発明による材料の有利には0.1〜30重量%、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%を示すようにされる。
【0043】
本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された調製方法の段階b)による混合物中に導入される界面活性剤の当初濃度は、cと定義され、cは、当業者に知られている臨界ミセル濃度(cmc)に対して定義される。cmcは、それを超えると界面活性剤分子の自己集合現象が溶液中で生じる限界濃度である。濃度cはcmc未満でも、それに等しくても、それを超えてもよく、好ましくはcmc未満である。本発明による材料の調製の好ましい実施形態では、濃度cは、cmc未満であり、本発明の主要な調製方法の段階b)による前記溶液および段階f)による溶液および本発明の単純化された調製方法の段階b)による溶液は、酸性の水−アルコール混合物である。本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された調製方法の段階b)のそれぞれによる溶液が、水−有機溶媒混合物(好ましくは酸性)である場合、本発明の主要な調製方法の段階b)およびf)または本発明による単純化された調製方法の段階b)において、マトリクスメソ構造化の開始時における界面活性剤濃度は臨界ミセル濃度より低いことが好ましく、それにより、エアロゾル技術による、本発明による主要な調製方法の段階c)およびg)における、水−有機溶液(好ましくは酸性)の蒸発、または、本発明による単純化された調製方法の段階c)における水−有機溶液(好ましくは酸性)の蒸発によって、ミセル化または自己集合現象が誘発され、本発明による主要な調製方法の段階c)、g)およびd)、h)または本発明による単純化された調製方法の段階c)およびd)の間に形状およびサイズが未変化のままである金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ粒子の周囲で本発明による材料のマトリクスのメソ構造化がもたらされる。c<cmcである場合、上記の本発明の主要な調製方法または上記の本発明の単純化された調製方法により調製された本発明による材料のマトリクスのメソ構造化は、各小滴内で、前記元素Xの少なくとも前駆体および界面活性剤が、水−有機溶液(好ましくは酸性)の蒸発により界面活性剤濃度c>cmcまで徐々に濃縮された結果である。
【0044】
一般に、加水分解された少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と界面活性剤とを合わせた濃度の上昇により、前記元素Xの少なくとも前記加水分解された前駆体の沈殿が自己組織化した界面活性剤の周囲に引き起こされ、結果として、本発明による材料のマトリクスの構造化がもたらされる。無機/無機相、有機/有機相および有機/無機相の相互作用により、協同的自己集合メカニズムを通じて、少なくとも前記加水分解された元素Xの前駆体が、自己組織化された界面活性剤の周囲で縮合するに至る。この自己集合現象の間に、金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶が、本発明の材料を構成する各基本球状粒子中に存在する少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとする前記メソ構造化マトリクス中に捕捉される。
【0045】
スプレーノズルの使用は、本発明による主要な方法の段階c)およびg)または本発明による単純化された方法の段階c)において存在する反応物を拘束し、互いに相互作用させるのに特に有利であり、溶媒、すなわち、溶液、好ましくは水溶液(好ましくは酸性であり、場合によっては極性溶媒が加えられる)を除いて物質の損失がないことが可能であり、それ故に、最初に存在する元素Xおよび金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶の全てが、当業者に知られた従来の合成方法において遭遇する、ろ過および洗浄の段階の間に除去されることなく、本発明による材料の調製を通して完全に保存される。
【0046】
EISA法により、特に、本発明に特有のエアロゾル技術を使用して、径Dが10<D(μm)≦100である球状基本粒子を得るには、本質的に本発明による主要な調製方法の段階b)、c)、f)およびg)または本発明による単純化された方法の段階b)およびc)のための合成操作パラメータのさらなる知識および制御を必要とし、種々の無機前駆体の加水分解/縮合反応と連帯した界面活性剤の自己集合を通じたメソ構造化方法が維持される。実際に、300μm以下の径を有する小滴の製造は、かなり遅い水−有機溶液または懸濁液の蒸発の速度論(kinetics)をもたらす。それというのも、小滴が大きいからである(蒸発するべき小滴の径の二乗に比例するため)。全蒸発時間が、小滴外面上の有機物質の縮合時間よりも遅いならば、縮合した物質の層が蒸発界面に生じ、追加的な蒸発障壁が生じる。十分な溶媒、すなわち、有機溶媒が場合によっては加えられる水が蒸発する前にこの追加的な層が堅くなるならば、本発明の主要な方法の段階b)およびf)による混合物中または本発明の単純化された方法の段階b)による混合物中の極性成分の体積と非極性成分の体積の比(Vpol/Vapol=(Vinorg+Vsolvent+Vorg polar)/(Vorg hydrophobic)で示され、メソ構造化の出現を条件付ける臨界パラメータである)は、「硬質表面フィルム」と「粒子コア」帯域の間で可変である(本明細書において上記に定義される通りVinorg=minorg/ρinorgであり、同様に本明細書において上記に定義される通りVorg polar+Vorg hydrophobic=Vorgであり、Vsolvent=溶媒の総体積であり、溶媒は、水と場合による有機溶媒とからなり、Vorg polar=有機反応物の極性部分の体積であり、Vorg hydrophobic=有機反応物の非極性部分の体積である)。コア部では、その場合に存在する元素は、メソ構造化を、最適値を上回る全体積(硬質表皮部に内接する体積により定義される)に適応させる必要がある。比Vpol/Vapolが最適なメソ構造化値から離れすぎているならば、製造される粒子のメソ構造化の均質性が低下し、消失して、十分にメソ構造化された外皮部とメソ構造化されていないコア部(無定形である、または使用された構成元素および溶媒に応じてスピノーダル分解に由来する)とからなる粒子が生じ得る。本発明による材料の合成を妨げる可能性があるこの現象を回避するために、蒸発させられるべき溶媒の体積は、本発明による主要な方法の段階c)およびg)および本発明による単純化された方法の段階c)のそれぞれにおいて制限されなければならず、言い換えると、エアロゾル化溶液は、cmcに近いまたはそれより大きい値cで好適に機能するように濃縮されなければならない。このことは、本発明の主要な調製方法の段階f)による懸濁液中および本発明の単純化された調製方法の段階b)による溶液中の不揮発性化合物が、前記懸濁液および前記溶液のそれぞれ中に存在する前記化合物の体積百分率が少なくとも7%であるような量で存在すると言い換えられる。この体積百分率の最大値は、各系に特有であり、これは主に、以下の3つの基準により制限される:(i)本発明の主要な方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された方法の段階b)のそれぞれにおいて得られた溶液の安定性の欠如、(ii)高すぎる濃度での溶液の自発的沈殿(1種以上の成分の溶解性の欠如を通じて、または本発明の主要な方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された方法の段階b)のそれぞれにおいて得られた溶液中に存在する無機成分の縮合反応を通じて)および(iii)スプレーノズルによる小滴形成に不適切になり得る、本発明の主要な方法の段階b)およびf)および本発明の単純化された方法の段階b)のそれぞれにおいて得られた溶液の流動学的性質(例えば、高すぎる粘度)。
【0047】
本発明の主要な調製方法の段階c)およびg)による溶液噴霧段階または本発明の単純化された調製方法の段階c)による溶液噴霧段階は、スプレーノズルを使用することにより径が300μm以下である球状小滴を生じさせ、前記ノズルは、当業者に周知のような「一流体」または「二流体」であってよい(圧縮空気または窒素などのガスの圧力の制御を伴う)。例えば、Spraying System Emaniからのノズルが使用され得る(例えばN22(登録商標)タイプの「一流体」ノズルまたはSU4(登録商標)タイプの「二流体」ノズル)。これらの小滴のサイズ分布は、正規対数型である。溶液の噴霧は、キャリアガス(より小さいプラントでは乾燥空気/窒素の混合物、より大きいプラントでは窒素のみ)が送られる室において行われる。本発明の主要な調製方法の段階d)およびh)または本発明の単純化された方法の段階d)により、前記小滴が乾燥させられる。乾燥処理は、前記小滴を前述のガスと接触させることを通じて行われ、これにより、本発明による主要な調製方法の段階b)および段階f)において得られた溶液および懸濁液のそれぞれ(酸性の水−有機溶液および酸性の水−有機懸濁液のそれぞれ)が徐々に蒸発し、または、本発明による単純化された調製方法の段階b)において得られた溶液が徐々に蒸発し、それ故に、単位球状粒子がもたらされるに至る。噴霧室中で乾燥処理を提供する出口温度は、80〜250℃の範囲である。噴霧室中の小滴または粒子の滞留時間の分布は、数秒程度である。本発明の主要な方法の段階e)の間に、粒子は粉砕されて(例えば、エアジェットミルNetzsch CGS10)、数μmまで小さくされる(通常3〜5μm)。設備に応じて、粒子はサイクロンの出口においてまたはバグフィルタ内に集められる。本発明の主要な方法の段階d)およびh)または本発明の単純化された調製方法の段階d)による粒子の乾燥処理の後に有利には、50〜300℃の範囲の温度でのさらなる熱処理が行われ、その後、本発明の主要な方法または単純化された方法の段階i)で界面活性剤を除去して、本発明によるメソ構造化多孔性材料が得られる。本発明による主要な方法の段階b)およびf)または本発明による単純化された方法の段階b)において導入された界面活性剤の前記除去は、有利には、化学抽出方法または熱処理、好ましくは、空気中、300〜1000℃の範囲、好ましくは300〜600℃の範囲の温度での、1〜24時間にわたる、好ましくは2〜6時間にわたる焼成を用いて行われる。
【0048】
本発明によるメソ構造化材料であって、基本球状粒子からなり、該基本球状粒子は、金属ナノ粒子をメソ構造化酸化物マトリクス中に捕捉されて含む、メソ構造化材料は、粉体、ボール、ペレット、顆粒または押出物の形態で得られ得、形状化操作は、当業者に知られている従来の技術を用いて行われる。好ましくは、本発明による材料は、径Dが10<D(μm)≦100である基本球状粒子からなる粉体の形態で得られ、これは、本発明による材料が有望な工業用途において使用される場合に、可能性のある反応物の拡散を容易にする。
【0049】
本発明によるメソ構造化材料であって、基本球状粒子からなり、該基本球状粒子は、金属ナノ粒子をメソ構造化酸化物マトリクス中に捕捉されて含み、メソ多孔性領域において組織化されかつ均一な多孔性を有する、メソ構造化材料は、複数の分析技術、特に、小角X線回折(small-angle X-ray diffraction:SAXD)、広角X線回折(wide-angle X-ray diffraction:WAXD)、窒素容積測定分析(nitrogen volumetric analysis:BET)、透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)、走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy:SEM)および誘導結合プラズマ発光分光法(inductively coupled plasma emission spectrometry:ICP)によって特徴付けられる。
【0050】
小角X線回折技術(角度2θ値は0.5〜6°の範囲である)により、本発明による材料のメソ構造化マトリクスの組織化されたメソ多孔性により生じる周期性をナノメートルスケールで特徴付けることが可能である。以降の記載では、X線の分析は、粉体について、後方モノクロメータを備えた反射回折計により、銅放射線(波長:1.5406Å)を用いて行われる。角度2θの所与の値に対応するディフラクトグラムにおいて通常観察されるピークは、ブラッグの関係式:2d(hkl)sin(θ)=nλにより材料の構造対称性に特徴的である格子面間隔(inter-reticular distance)d(hkl)((hkl)は、逆数のネットワークのミラー指数である)と関連する。この指数付けにより、直結ネットワークの格子パラメータ(abc)の決定が可能となり、これらのパラメータの値は、得られた六方晶系、立方晶系、またはバーミキュラ状、コレステリック状、ラメラ状または連続二相状の構造と相関関係がある。例えば、本発明によるメソ構造化材料であって、基本球状粒子からなり、該基本球状粒子は、臭化セチルトリメチルアンモニウムCH(CH15N(CHBr(cethyltrimethylammonium bromide:CTAB)等の第4級アンモニウム塩の使用を介して本発明の主要な調製方法または本発明の単純化された調製方法により得られたケイ素およびアルミニウムをベースとする酸化物メソ構造化マトリクスを含む、ものの小角X線ディフラクトグラムは、バーミキュラタイプの構造の特徴でありかつブラッグの式2d(hkl)sin(θ)=nλによって定義される細孔間の相関距離dに相当する完全に分解されたピークを有する。広角X線回折技術(角度2θ値が5〜100°の範囲である)により、分子スケールで、ユニットモチーフまたは基本格子(elementary cell)の繰り返しにより定義される結晶固体を特徴付けることが可能である。これは、小角X線回折技術を支配する原理と同じ物理的原理に従っている。したがって、広角XRD技術は、本発明の材料を分析するために使用される。それというのも、これは、本発明により定義される材料を構成する各基本球状粒子中に存在する結晶化され得る金属ナノ粒子および場合によるゼオライトナノ結晶の構造的特徴付けのために特に
適しているからである。特に、存在する場合には、これによりゼオライトナノ結晶の細孔サイズを得ることが可能になる。例えば、本発明の主要な調製方法または本発明の単純化された調製方法により得られる本発明によるメソ構造化材料であって、基本球状粒子からなり、該基本球状粒子は、酸化鉄金属ナノ粒子γ−Feを、第4級アンモニウム塩、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウムCH(CH15N(CHBr(CTAB)の使用を介して得られたケイ素およびアルミニウムをベースとする酸化物メソ構造化マトリクス中に捕捉されて含む、ものは、広角XRDでは、広角において結晶化された酸化鉄ナノ粒子の対称性fd3mの群と関連するディフラクトグラムを、小角XRDでは、小角において完全に分解され、かつ、細孔の間の相関距離dに相当するメソ構造化マトリクスのバーミキュラタイプの構造と関係する相関ピークを示す。前記酸化物メソ構造化マトリクス中に捕捉されたゼオライト結晶、例えば、ZSM−5(MFI)タイプのゼオライトナノ結晶が存在する可能性がある場合、広角ディフラクトグラムは、前記酸化鉄金属ナノ粒子に関連したピークに加えて、ZSM−5ゼオライトの対称性Pnma(No.62)の群に割り当てられるピークを示す。XRディフラクトグラムにおいて得られた角度値は、ブラッグの法則:2d(hkl)sin(θ)=nλにより相関距離dを見出すことを可能にする。
【0051】
窒素容積測定分析は、一定の温度で徐々に加圧されることを介した材料の細孔中の窒素分子の物理的吸着に相当し、本発明による材料の特定の表面組織的特徴(textural characteristics)(細孔径、多孔性のタイプ、比表面積)についての情報を提供する。特に、これにより、材料の比表面積およびメソ細孔分布について知ることが可能となる。比表面積と称されているものは、“The Journal of American Society”, 1938, 60, 309に記載されるBrunauer-Emmett-Teller法から確立されたASTM D 3663-78基準による窒素吸着によって決定されるBET比表面積(SBET /g)である。1.5〜50nmの範囲を中心としたメソ細孔集団を表す細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda (BJH)モデルによって測定される。このようにして得られたBJHモデルによる窒素吸脱着等温線は、E.P. Barrett, L.G. JoynerおよびP.P. Halenda による“The Journal of American Society”, 1951, 73, 373に記載されている。以下の記載において、メソ構造化マトリクスのメソ細孔径φは、この径以下のサイズを有する細孔のすべてが窒素等温線の脱着分岐線で測定される細孔体積(Vp)の50%を占めるような径として定義される窒素脱着による平均径に相当する。更に、窒素吸着等温線およびヒステリシスループの形状によりメソ多孔性の性質および酸化物メソ構造化マトリクス中に存在する場合にはゼオライトナノ結晶に関連するミクロ多孔性の存在の可能性についての情報を得ることができる。例えば、本発明の主要な調製方法または本発明の単純化された調製方法により得られる、本発明によるメソ構造化材料であって、基本球状粒子からなり、該基本球状粒子は、第4級アンモニウム塩、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム臭化セチルトリメチルアンモニウムCH(CH15N(CHBr(CTAB)の使用を介して調製されたアルミニウムおよびケイ素をベースとする酸化物メソ構造化マトリクスを含む、メソ構造化材料に関連する窒素吸着等温線は、0.2〜0.3の範囲のP/P0値(P0は温度Tでの飽和蒸気圧である)についての吸着工程の存在によるクラスIVcの吸着等温線によって特徴付けられ、関連する細孔分布曲線によって確認されるように2〜3nm程度の細孔の存在と関連している。
【0052】
メソ構造化マトリクスに関して、細孔径φの値と上記の小角XRDによって定義される格子パラメータaとの差によって、式e=d−φの量eを得ることが可能となり、これは、本発明による材料の各球状粒子に含まれるメソ構造化マトリクスの無定形壁の厚さの特徴である。前記格子パラメータaは、相の表面形状(geometry)に特徴的な幾何学的因子による細孔間の相関距離dに関連している。例えば、六方晶系の格子の場合、e=a−φ、ここで
【0053】
【数1】

【0054】
であり、バーミキュラ構造の場合、e=d−φである。
【0055】
透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy: TEM)分析も、これらの材料の構造を特徴付けるために一般に用いられる技術である。TEMは、研究される固体の画像の形成を可能にし、観察されるコントラストは、観察される粒子の構造組織化、表面組織、または形態(morphology)の特徴であり、この技術の分解能は、最大0.2nmに達する。以下の記載において、TEM写真は、サンプルのミクロトーム断片から得られ、本発明による材料の基本球状粒子の断片が可視化される。例えば、本発明の主要な調製方法または本発明の単純化された調製方法により得られ、球状粒子からなり、該球状粒子は、酸化度0の金の金属ナノ粒子を、第4級アンモニウム塩、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム臭化セチルトリメチルアンモニウムCH(CH15N(CHBr(CTAB)の使用を介して調製された酸化チタンをベースとするメソ構造化マトリクス中に捕捉されて含む、本発明の材料のために得られたTEM画像は、単一の球状粒子内に、バーミキュラメソ構造(この物は、暗領域によって規定される)を示し、このバーミキュラメソ構造内に、メソ構造化マトリクス中に捕捉された金の金属ナノ粒子を示す不透明な物体が視覚化される。画像分析はまた、メソ構造化マトリクスの特徴である上記規定のパラメータd、φおよびeを得ることを可能にする。場合によっては、この画像内に、前述の不透明な物体の代わりに、結晶化されていてよい金属ナノ粒子の網状平面(reticular plane)、並びに、メソ構造化マトリクス中に存在する場合にはゼオライトナノ結晶を視覚化して、これにより、それらの結晶学的構造を得ることも可能である。
【0056】
基本粒子の形態およびサイズ分布は、走査電子顕微鏡法(SEM)により得られた写真を分析することにより確立された。
【0057】
本発明による材料の各粒子に含有されるメソ構造化マトリクスの構造は、構造化剤として選択された界面活性剤の性質に応じて、立方晶系、バーミキュラ状、六方晶系、ラメラ、コレステリックまたは連続二相状の構造であってよい。
【0058】
本発明は、下記の実施例により例証される。
【0059】
(実施例)
下記の実施例において、使用されるエアロゾル技術は、本発明の記載における上記の技術である。
【0060】
(実施例1:最終材料の3重量%に相当する金の金属ナノ粒子を、酸化チタンTiOメソ構造化マトリクス中に捕捉されて有する材料の調製(本発明による主要な調製方法))
1モルのBrij(登録商標)58をエタノール10kgに周囲温度で溶解させる。この溶液に、激しく撹拌しながら、TiCl 2.4kgを加える。0.014モル/Lの金コロイド溶液(J. Turkevitch, P. C. Stevenson, J. Hillier, Discuss. Faraday Soc.、 1951, 11, 55)11.1リットルを、遠心分離により2.2リットル(0.071モル/L)に濃縮し、前記のTiClベースの溶液に徐々に加える。合わせたものを約1分間にわたって超音波にかけ、次いで、「一流体」スプレーノズルを用いて、キャリアガスである乾燥空気/窒素混合物が送られる室内に噴霧する。噴霧により得られた小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階d)により100℃で乾燥させる。粒子をバグフィルター(bag filter)に集める。前記粒子をジェットミルにより破砕し、数μm(3〜5μm)まで小さくする。次いで、これらの破砕された粒子の30重量%分を、最初の溶液と同じ配合を有する溶液に再び供給し、次いで、懸濁液を上記の通りの「一流体」ノズルにより再び噴霧し、小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階h)により100℃で乾燥させる。次いで、バグフィルターに集められた粉末を空気中、5時間にわたってT=550℃で焼成する。本発明による主要な方法の第2噴霧(段階f)の前に懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率は11.2%である。固体は、小角および広角のXRD、窒素容積測定分析、TEMおよびSEMにより特徴付けられる。TEM分析により、最終材料は、金のナノ粒子と、該金のナノ粒子を捕捉しているバーミキュラ構造により特徴付けられる組織化されたメソ多孔性を有する酸化チタンマトリクスとからなることが示される。窒素容積測定分析により、最終材料の比表面積SBET=220m/gおよび酸化チタンメソ構造化マトリクスに特徴的なメソ細孔径φ=2.6nmが得られる。広角XRD分析により、平均サイズ19nmの金のナノ粒子に特徴的なディフラクトグラムが得られる。小角XRD分析により、メソ構造化マトリクスのバーミキュラ組織に関連した相関ピークが可視化される。ブラッグ関係式により、2dsin(1)=1.5
406、即ち、d=4.4nmが得られる。したがって、e=d−φにより定義されるメソ構造化マトリクスの無定形壁の厚さは、e=1.8nmである。こうして得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が15〜100μmの範囲の径により特徴付けられるサイズを有し、これらの粒子のサイズ分布は約50μmであることが示される。
【0061】
(実施例2:最終材料の8重量%に相当する酸化セリウムナノ粒子を、ジルコニウムおよびケイ素をベースとし、モル比Si/Zr=4である酸化物マトリクス中に捕捉されて有する材料の調製(本発明による主要な調製方法))
ZrCl 1.1kgを、エタノール7kgに周囲温度で非常にゆっくりと加える。次いで、激しく撹拌しながら、HO 7kgを非常にゆっくりと加える。その後、CTAB1.5kgを、次いで、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)4kgを依然として非常にゆっくりと加える。次いで、0.3モル/Lに濃縮された酸化セリウム溶液3L(酸化セリウムCeOの粒子は、Rhodia Companyによる60質量%酸化セリウムの水溶液の形態で供給される)を、無機前駆体ZrClを含有する溶液に加える。こうして得られた溶液を、「一流体」スプレーノズルにより、キャリアガスである乾燥空気/窒素混合物が供給される室内に噴霧する。噴霧により得られた小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階d)により100℃で乾燥させる。粒子をバグフィルターに集める。前記粒子をジェットミルにより破砕し、数μm(3〜5μm)まで小さくする。次いで、これらの破砕された粒子の30重量%分を、最初の溶液と同じ配合を有する溶液に再び供給し、次いで、懸濁液を上記の通りの「一流体」ノズルにより再び噴霧し、小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階h)により100℃で乾燥させる。次いで、バグフィルターに集められた粉末を空気中、5時間にわたってT=550℃で焼成して、界面活性剤CTABを除去する。本発明による主要な方法の第2の噴霧(段階f)の前に懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率は12.4%である。固体は、小角および広角のXRD、窒素容積測定分析、TEM、SEMおよびICPにより特徴付けられる。TEM分析により、最終材料は、酸化セリウムナノ粒子と、該粒子を含むSiO−ZrOマトリクスとからなり、該マトリクスのモル比Si/Zr=4であり、該マトリクスは、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化されたメソ多孔性を有することが示される。窒素容積測定分析により、最終材料の比表面積SBET=430m/gおよびメソ構造化マトリクスに特徴的なメソ細孔径φ=2.0nmが得られる。広角XRD分析により、サイズ3nmの酸化セリウムナノ粒子に特徴的なディフラクトグラムが得られる。小角XRD分析により、メソ構造化マトリクスのバーミキュラ組織に関連した相関ピークが可視化される。ブラッグの関係式により、2dsin(1.9)=1.5406、即ち、d=5nmが得られる。したがって、e=d−φにより定義されるメソ構造化マトリクスの無定形壁の厚さは、e=3nmである。こうして得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が15〜100μmの範囲の径により特徴付けられるサイズを有し、これらの粒子のサイズ分布は約50μmであることが示される。
【0062】
(実施例3:最終材料の5重量%に相当する逆スピネル構造の多金属CoFeナノ粒子を、アルミニウムおよびケイ素をベースとし、かつ、そのモル比がSi/Al=4である酸化物メソ構造化マトリクス中に捕捉されて有する材料の調製(本発明による主要な調製方法))
AlCl・6HO 1.0kgを、エタノール5kg、HO 2kg、HCl 36mlおよびP123 1.4kgを含有する溶液に加える。塩化アルミニウムが溶けたら、TEOS3.6kgをこの溶液に加える。次いで、0.03モル/Lに濃縮されたFeCoナノ粒子の1,2−プロパンジオール溶液9.5Lを加える。この1,2−プロパンジオール溶液は、文献に記載された手順に従って調製される(S. Ammar, A. Helfen, N. Jouini, F. Fievet, I. Rosenman, F. Villain, P. Molinie, M. Danot, J. Mater. Chem., 2001, 11, 186)。こうして得られた溶液を、「一流体」スプレーノズルにより、キャリアガスである乾燥空気/窒素混合物が送られる室内に噴霧する。噴霧により得られた小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階d)により100℃で乾燥させる。粒子をバグフィルターに集める。前記粒子をジェットミルにより破砕し、数μm(3〜5μm)まで小さくする。次いで、これらの破砕された粒子の30重量%分を、最初の溶液と同じ配合を有する溶液に再び供給し、次いで、懸濁液を上記のような「一流体」ノズルにより再び噴霧し、小滴を、本発明の上記記載において記載された手順に従って、本発明の主要な方法の段階h)により100℃で乾燥させる。次いで、バグフィルターに集められた粉末を空気中、5時間にわたってT=550℃で焼成して、界面活性剤P123を除去する。本発明による主要な方法の第2の噴霧(段階f)の前に懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率は10.6%である。固体は、小角および広角のXRD、窒素容積測定分析、TEM、SEMおよびICPにより特徴付けられる。TEM分析により、最終材料は、CoFeナノ粒子と、該粒子を捕捉するアルミノケイ酸塩マトリクスからなり、該アルミノケイ酸塩マトリクスは、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化されたメソ多孔性を有することが示される。窒素容積測定分析により、最終材料の比表面積SBET=300m/gおよびメソ構造化マトリクスに特徴的なメソ細孔径φ=5.6nmが得られる。広角XRD分析により、サイズ5nmのCoFeナノ粒子に特徴的なディフラクトグラムが得られる。小角XRD分析により、メソ構造化マトリクスのバーミキュラ組織に関連した相関ピークが可視化される。ブラッグの関係式により、2dsin(0.32)=1.5406、即ち、d=13.1nmが得られる。したがって、e=d−φにより定義されるメソ構造化マトリクスの無定形壁の厚さは、e=7.5nmである。こうして得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が15〜100μmの範囲の径により特徴付けられるサイズを有し、これらの粒子のサイズ分布は約50μmであることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの基本球状粒子からなる無機材料であって、前記球状粒子のそれぞれは、1〜300nmの範囲のサイズの金属ナノ粒子と、メソ構造化マトリクスとを含み、該メソ構造化マトリクスは、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジム、並びに、これら元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの酸化物をベースとし、前記メソ構造化マトリクスは、1.5〜30nmの範囲の細孔径を有し、1〜30nmの範囲の厚さの無定形壁を有し、前記基本球状粒子の径Dは10μm超かつ100μm以下である、無機材料。
【請求項2】
前記球状粒子の径Dは、11〜70μmの範囲である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記球状粒子の径Dは、11〜50μmの範囲である、請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記球状粒子の径Dは、15〜50μmの範囲である、請求項3に記載の材料。
【請求項5】
元素Xは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウムおよびセリウムならびにこれらの元素の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の材料。
【請求項6】
前記マトリクスの細孔径は、1.5〜10nmの範囲である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の材料。
【請求項7】
前記メソ構造化マトリクスは、六方晶系、立方晶系、バーミキュラ、ラメラ、コレステリックまたは連続二相状の構造を有する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の材料。
【請求項8】
前記メソ構造化マトリクスは、酸化ケイ素および酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素および酸化ジルコニウムをベースとする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の材料。
【請求項9】
前記金属ナノ粒子は、遷移金属族および/または希土類金属族に属する少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載の材料。
【請求項10】
前記金属ナノ粒子は、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、銅、銀、ロジウム、ルテニウム、鉄、イリジウム、その混合物およびそれに由来する合金の中から選択される酸化度0の少なくとも1種の遷移金属を含む、請求項9に記載の材料。
【請求項11】
前記金属ナノ粒子は、少なくとも1種の遷移金属酸化物および/または少なくとも1種の希土類金属酸化物を含み、前記金属は、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、W、Fe、Co、Cu、Y、La、Ni、Cr、Pd、Pt、Ce、Eu、Nd、Gdおよびその混合物の中から選択される、請求項9に記載の材料。
【請求項12】
前記金属ナノ粒子は、スピネルAB、ペロブスカイトABOまたはイルメナイトABOタイプの結晶構造を有する少なくとも1種の多金属酸化物を含み、Aおよび/またはBは、少なくとも1種の遷移金属および/または希土類金属である、請求項9に記載の材料。
【請求項13】
前記金属ナノ粒子は、遷移金属Mと、硫黄、セレン、およびテルルの中から選択されるカルコゲン元素Cとからなる少なくとも1種のカルコゲナイドを含む、請求項9に記載の材料。
【請求項14】
前記金属ナノ粒子は、前記材料の0.1〜30重量%を示す、請求項1〜13のいずれか1つに記載の材料。
【請求項15】
前記球状ナノ粒子のそれぞれが、ゼオライトナノ結晶を含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の材料。
【請求項16】
前記ゼオライトナノ結晶は、0.2〜2nmの範囲の細孔開口サイズを有する、請求項15に記載の材料。
【請求項17】
前記ゼオライトナノ結晶は、MFI、BEA、FAUおよびLTA構造型のゼオライトの中から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む、請求項15または16に記載の材料。
【請求項18】
前記ゼオライトナノ結晶は、少なくとも1種の全体的にシリカ性のゼオライトを含む、請求項15〜17のいずれか1つに記載の材料。
【請求項19】
前記ゼオライトナノ結晶は、ケイ素およびアルミニウムを含有する少なくとも1種のゼオライトを含む、請求項15〜17のいずれか1つに記載の材料。
【請求項20】
100〜1100m/gの範囲の比表面積を有する、請求項1〜19のいずれか1つに記載の材料。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の材料を調製する方法であって、
a)300nmに等しい最大ナノメートルサイズの金属粒子を合成して、前記ナノ粒子が分散している安定なコロイド溶液を得る段階;
b)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群の中から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)において得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液とを溶液に混合する段階;
c)スプレーノズルを使用して段階b)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、300μm以下の径の液状小滴を形成させる段階;
d)前記小滴を乾燥させる段階;
e)段階d)で得られた固体生成物を破砕する段階;
f)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、段階e)において得られた固体生成物の少なくとも一部とを溶液に混合して、懸濁液を形成させる段階;
g)スプレーノズルを使用して、段階f)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、懸濁小滴を形成させる段階であって、該懸濁小滴は、本発明による材料の径Dが10<D(μm)≦100である構成単位球状粒子の前駆体である、段階;
h)段階g)において得られた前記小滴を乾燥させる段階;および
i)段階b)およびf)において導入された前記界面活性剤を除去して、金属ナノ粒子が捕捉されているメソ構造化材料を得る段階
を含む方法。
【請求項22】
前記段階f)による懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率が少なくとも7%である、請求項21に記載の調製方法。
【請求項23】
請求項3〜20のいずれか1つに記載の材料を調製する方法であって、
a)300nmに等しい最大ナノメートルサイズの金属粒子を合成して、前記ナノ粒子が分散している安定なコロイド溶液を得る段階;
b)少なくとも1種の界面活性剤と、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、バナジウム、鉄、マンガン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、イットリウム、セリウム、ガドリニウム、ユーロピウムおよびネオジムからなる群から選択される少なくとも1種の元素Xの少なくとも1種の前駆体と、段階a)により得られた金属ナノ粒子の少なくとも1種の安定なコロイド溶液と、場合による、300nmに等しい最大ナノメートルサイズのゼオライト結晶が分散している少なくとも1種の安定なコロイド溶液とを溶液に混合する段階;
c)スプレーノズルを使用して段階b)において得られた溶液をエアロゾル噴霧して、300μm以下の径の液状小滴を形成させる段階;
d)前記小滴を乾燥させる段階;および
i)段階b)において導入された前記界面活性剤を除去して、金属ナノ粒子が捕捉されているメソ構造化材料を得る段階
を含む方法。
【請求項24】
前記段階b)による懸濁液中に存在する不揮発性化合物の体積百分率が少なくとも7%である、請求項23に記載の調製方法。

【公表番号】特表2011−517439(P2011−517439A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502409(P2011−502409)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000208
【国際公開番号】WO2009/130401
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】