説明

特定の官能基有機珪素化合物の、補強無機充填剤を含むイソプレンエラストマー組成物におけるカップリング剤としての使用

本発明は、イソプレンエラストマーと補強無機充填剤とを含むエラストマー組成物における、無機充填剤とエラストマーとのカップリング材としての官能化有機珪素化合物の使用であって、該化合物が少なくとも1個の二重結合C=C又はC=Nを有し、かつ、C=C−C=O結合又はN=Nのいずれかを有せず、しかも電子環化反応に従って、特に標準的な付加環化反応[2+1]、[2+2]、[3+2]若しくはディールス・アルダー[4+2]又はイソプレン単位とC=C−C=O若しくはN=N官能基とのエン合成反応とは異なるエン合成反応に従ってイソプレン単位と反応する官能化有機珪素化合物のなかから選択されることを特徴とするものに関する。また、本発明は、得られるエラストマー組成物及び該組成物を使用して製造された物品に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ゴムなどのイソプレンエラストマーと、特に分散性の高い沈降シリカなどの補強充填剤としての無機充填剤とを含むエラストマー組成物において、無機充填剤−エラストマーカップリング剤として特定の有機珪素化合物(シラン)を使用することに関する。
【0002】
また、本発明は、対応するエラストマー組成物及び該組成物を含む物品、特にタイヤに関するものでもある。
【背景技術】
【0003】
エラストマーから作られた物品は、一般に、例えば温度の変化、動的条件での負荷の高頻度の変化、高い静的応力及び/又は動的条件での無視できない程の曲げ疲労といった様々なストレスにさらされることが知られている。このような物品は、例えばタイヤ、靴底、床仕上げ材、コンベヤーベルト、動力伝達用のベルト、ホース、密封材、特に家電機器の密封材、金属強化又はエラストマー内の油圧油によりエンジンの振動を抽出する役割を果たす取付物、ケーブルシース、ケーブル、空中ケーブルローラーである。
【0004】
特に、好ましくは高い分散性を有する、「強化用」として説明される特定の無機充填剤で強化されたエラストマー組成物を使用することが提案されている。これらの充填剤、特に沈降シリカのような白色充填剤は、少なくとも強化剤として使用するという観点から、慣用されているカーボンブラックに匹敵する又はそれを上回り、また、それに加えて、これらの組成物に概して低いヒステリシスを付与することができる。この低いヒステリシスは、使用の間に、エラストマーから作製された物品の内部加熱が低いことと同義である。
【0005】
通常は、該補強充填剤と、該無機充填剤(好ましくは特に分散性の高い沈降シリカ)の粒子の表面とエラストマーとの結合を確保すると同時にエラストマーマトリックス内における該無機充填剤の分散を促進させる機能を有するカップリング剤(結合剤とも呼ばれる)とを含有するエラストマー組成物を使用する必要があることが当業者に知られている。
【0006】
周知のように、無機充填剤−エラストマーカップリング剤とは、無機充填剤とエラストマーとの間で十分な化学的及び/又は物理的性質の結合を確立することのできる試剤を意味する。
【0007】
少なくとも2官能性であるこのようなカップリング剤は、例えば、単純化された一般式「N−V−M」を有する。式中、
・Nは、無機充填剤に物理的及び/又は化学的に結合することのできる官能基(官能基「N」)を表し、また、該結合は、カップリング剤の珪素原子と、無機充填剤の表面のヒドロキシル基(OH)(たとえばシリカの場合には表面シラノール)との間で確立され得る;
・Mは、特に、所定の原子又は好適な原子(例えば硫黄原子)の基を介してエラストマーに物理的及び/又は化学的に結合することのできる官能基(官能基「M」)を表す;
・Vは、「N」と「M」とを互いに結合させることを可能にする基(2価/炭化水素)を表す。
【0008】
カップリング剤を、周知のように、無機充填剤に対して活性な官能基「N」を有することができるがただしエラストマーに対して活性な官能基「M」を有しない、無機充填剤を被覆するための単純な薬剤と混同してはならない。
【0009】
カップリング剤、特に(シリカ−エラストマー)は、多くの従来技術の文献に記載されており、最もよく知られているのが、(ポリ)スルフィドシラン、特に(ポリ)スルフィドアルコキシシランである。これらの(ポリ)スルフィドシランのなかでは、特にビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPTと省略)が挙げられ、これは、今日一般に、依然として補強充填剤としてシリカのような無機充填剤を含む加硫物に対して、スコーチ安定性、使用の容易さ及び強化能力の点で非常に良好な又はさらには最良のバランスを与える物質とみなされている。
【0010】
変成エラストマーの組成物において、沈降シリカ、特に分散性の高いものと、ポリスルフィドシラン(又は官能化有機珪素化合物)とを組み合わせて使用したところ、自家用車(小型乗用車)用の「環境に優しいタイヤ」を開発することが可能になった。この組み合わせは、耐摩耗性に関して、カーボンブラックで強化されたエラストマー化合物の性能に匹敵する性能を達成すると同時に、転がり抵抗(つまり燃料消費の減少)及び濡れた表面への密着を有意に改善することを可能にした。
【0011】
したがって、重量物運搬車用のタイヤ(該タイヤは、イソプレンエラストマー、主として天然ゴムを主成分とする組成物から得られる)においてシリカのような無機充填剤を使用することができることも有益なことであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、天然ゴムなどのイソプレンエラストマーに適用される同じシリカ/ポリスルフィドシランの組み合わせでは、充填剤としてカーボンブラックを使用した場合に得られる強化レベル(単軸引っ張りにおける応力・伸び曲線によって示すことができる)に対して十分な強化レベルが得られず、この強化の低下により、結局月並みな耐摩耗性となってしまう。
【0013】
本発明の目的は、特に、天然ゴムなどのイソプレンエラストマーを含むエラストマー組成物用の既知のカップリング剤の代替物と、補強無機充填剤、特に沈降シリカなどの白色充填剤、好ましくは分散性の高いものとを含むカップリング剤を提案することであり、該カップリング剤は、さらに、それらの流動学的特性、機械的特性及び/又は動的特性、特にヒステリシスに対して、非常に満足のいくバランスを与える。有利には、これらは、ヒステリシス/強化のバランスをよりよいものに改善する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の目的は、
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤
を含むエラストマー組成物(変形例1)における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての少なくとも1種の官能化有機珪素化合物(又はシラン)の使用であって、該化合物が、少なくとも1個のC=C又はC=N結合を有し、かつ、電子環化型の反応に従ってイソプレン単位と反応する官能化有機珪素化合物から選択されることを特徴とする使用に関する。
【0015】
「電子環化型の反応」とは、二重結合を有する環状化合物をもたらす、単一の共有結合が2個の二重結合間に形成される分子内転位(特にフリーラジカルが形成しない環の再構成)を意味する。
【0016】
また、本発明は、その第1の目的において、
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤、
を含むエラストマー組成物(変形例2又は好ましくは変形例1の変形例)における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての、少なくとも1種の官能化有機珪素化合物(又はシラン)の使用であって、該化合物は、少なくとも1個のC=C又はC=N二重結合を有し、かつ、[2+1]、[2+2]、[3+2]若しくはディールス・アルダー[4+2]型の付加環化反応又はイソプレン単位とC=C−C=O若しくはN=N官能基とのエン合成反応とは異なるエン合成反応に従ってイソプレン単位と反応する官能化有機珪素化合物から選択されること;好ましくは、該官能化有機珪素化合物は、ディールス・アルダー[4+2]型の付加環化反応又はイソプレン単位とC=C−C=O若しくはN=N官能基とのエン合成反応とは異なるエン合成反応に従ってイソプレン単位と反応するというものであることを特徴とする使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
使用する官能化有機珪素化合物(シラン)は、有利には、マレアミン酸、アクリルアミド、アクリル酸、イソマレイミド、マレイミド、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイン酸アミド、フマル酸、フマル酸エステル、フマラミン酸、フマラミン酸エステル、フマル酸アミドから選択される活性化エチレン二重結合を有しない。
【0018】
使用する官能化有機珪素化合物は、有利にはC=C−C=O結合を有しない。
【0019】
該化合物は、N=N結合を有しない。
【0020】
本発明は、その第2の主題において、
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤
を含むエラストマー組成物における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての、少なくとも1種の官能化有機珪素化合物(シラン)の使用であって、該化合物が次式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の一つに相当することを特徴とする(式中、Cは炭素原子を表す)使用を提供する:
式(I)
【化1】

式中:
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表し;
R”は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状若しくは芳香族アルキル基、一般には直鎖状若しくは分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は、好ましくは、水素原子Hを表し;
Xは、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
Aは、アルキル基、特に直鎖若しくは分岐、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルカリル(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Bは、水素原子又はアルキル基、特に直鎖若しくは分岐、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルカリル(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し、Bは好ましくはAに等しく;
基−Wは随意であり(好ましい変形例)又は式 −Z−SiR’3-n(OR)nを含む(特に該式からなる)。
【0021】
本発明に従って使用する式(I)の化合物の好ましい例としては、次式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)の化合物が挙げられる:
【化2】

【0022】
・式(II)
【化3】

式中:
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表し;
R”は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状若しくは芳香族アルキル基、一般には直鎖状若しくは分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は、好ましくは、水素原子Hを表し;
Xは、N、N+、CH及びCR”から選択される基を表し、そして結合X−Bは、C=C又はN=Cであることができ;
Yは、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
A及びBは、異なるもの又は同一のものであってよく、それぞれ、アルキル基、特に直鎖若しくは分岐、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、アルキレン基、特C1〜C8アルキレン基、又はC=Oを表し、ここで、A及びBは、それぞれ、YがCの場合にはC=Oとは異なるものとする。
【0023】
・式(III)
【化4】

式中:
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表す。
【0024】
式(IV)
【化5】

式中:
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表し;
R”は、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状若しくは芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は水素原子Hを表し;
Xは、ハロゲン原子、特にClである。
【0025】
本発明に従って使用する式(III)及び(IV)の化合物の好ましい例としては、次式(IIIa)及び(IVa)の化合物が挙げられる:
【化6】

(N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール)
【化7】

【0026】
式(V)
【化8】

【0027】
式(VI)
【化9】

式(V)及び(VI)において、
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表し;
R”は、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は、好ましくは、水素原子Hを表し;
Xは、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
1は、N、N+、S+、CH及びCR”、好ましくはN、CH及びCR”から選択される基を表し;
2及びX3は、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ、N、CH及びCR’から選択される基を表し;
Aは、アルキル基、特に直鎖若しくは分岐アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、アリール基、特にC6〜C18アリール基(例えばフェニル、o−クレシル)又は C=Oを表し、好ましくは、Aは、XがCを表す場合にはC=Oとは異なるものとし;
Bは、アルキル基、特に直鎖又は分岐アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、アリール基、特にC6〜C18アリール基(例えばフェニル、o−クレシル)又はC=Oを表し、好ましくは、Bは、XがCを表す場合にはC=Oとは異なるものとする。
【0028】
式(VI)は、二重結合での互変異性型を包含する。
【0029】
本発明に従って使用する式(VI)の化合物の例としては、次式(VIa)、(VIb)、(VIc)の化合物が挙げられる:
【化10】

【0030】
・式(VII)
【化11】

式中:
nは、1、2又は3に等しい整数であり(nは(RO)に適用され、3−nはR’に適用される);
Rは、水素原子H、又は、好ましくは、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基(一般には直鎖状又は分岐状アルキル基)、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよいアルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又はアルカリル基(特にC1〜C8アルキル、C6〜C18アリール)を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない、飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される(2価)基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有する又は有しない飽和、不飽和及び/又は芳香族、単環式若しくは多環式の炭素環式基並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持し;一般に、Zは、アルキル鎖、特に直鎖又は分岐アルキル鎖、特にC1〜C12のアルキル鎖(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)、又は少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN若しくはO)若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えばS、好ましくはN又はO)を有していてよい芳香族部分、特にC6〜C18芳香族部分、例えばフェニル、アントラセニル、ピリジニルを有していてよいアルキリデンを表し;
Xは、O、N、NH、NR”、CH及びCR”から選択される基を表し、R”は、アルキル基、特に直鎖状、分岐状、環状又は芳香族アルキル基、一般には直鎖状又は分岐状アルキル基、特にC1〜C8アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)であり;好ましくは、Xは酸素原子Oを表す。
【0031】
本発明に従って使用する式(VII)の化合物の好ましい例としては、次式(VIIa)の化合物が挙げられる:
【化12】

【0032】
本発明に従って使用する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物は、好ましくはC=C−C=O結合を有しない。
【0033】
有利には、本発明に従って使用する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物は、硫黄含有化合物ではない。
【0034】
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の化合物は、本発明の第1の主題で使用できる化合物の例である。
【0035】
好ましくは、式(IIIa)の化合物((N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール)が本発明に従って使用される。
【0036】
本発明で使用される官能化有機珪素化合物(シラン) は、特に既に官能化されかつ市販されているアルコキシシラン原料、例えばクロルアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアミノアルキルアルコキシシランから、1つ以上の合成工程を有する既知の方法によって製造できる。
【0037】
例えば、A基が1個(又は1個以上)のヘテロ原子、例えばNを有する式(I)のシランについて、その到達経路は、特に、シラン誘導体上での求核置換反応(特にSi−Z−Cl+NH2−(A)−CR”=XBN)、オレフィン誘導体上での求核置換反応(特にSi−Z−NH2+Cl−(A)−CR”=XBN)又はヒドロシリル化反応(Si−H+C=C−(Z)−A−C=XBN)を含むことができる。ビニルベンジル官能基を有する式(I)の化合物(例えば式(Ia)の化合物)は、塩化ビニルベンジル型の化合物(又はその誘導体)との反応によって、アミノアルキルアルコキシシラン又はアミノアルキルアミノアルキルアルコキシシランから製造できる。
【0038】
特にジヒドロイミダゾール型(X=Y=N)の式(III)の所定の化合物、例えば式(IIIa)のシランは、アミノアルキルアミノアルキルアルコキシシラン及びオルト蟻酸エステル誘導体(例えばオルト蟻酸アルキル)から得ることができる。イミダゾリニウム型の式(IV)の化合物は、ハロアルキルシラン上のイミダゾールの求核置換(Si−Z−Cl+イミダゾール)によって製造できる。
【0039】
天然ゴム(ポリ(cis−1,4−イソプレン))とは、エラストマーであって、該エラストマー処方物製造の際の混合工程の間における温度及び機械的せん断という複合的な影響下において、鎖を構成するイソプレン単位が切断されるというラジカル機構に至り、そのため粘度の減少に至るもののことである。
【0040】
本出願人は、思いがけなく、本発明に従って使用するカップリング剤、特に式(I)〜(IV)に相当するものが、一方では追加のラジカル反応を生じさせず及び/又は混合工程の間に形成されたラジカルを安定化させ、他方ではシリカなどの無機充填剤とエラストマーのイソプレン単位との共有結合を創り出すことができることを可能にすることを見いだした。
【0041】
有利には、本発明で使用するカップリング剤は、反応性に関して有効であり、しかも産業上使用するのが容易である。
【0042】
本願明細書において、「無機充填剤」又は「補強無機充填剤」とは、その起源(天然又は合成)にかかわらず、他の手段なしにそれだけで強化が可能な、白色充填剤又は透明充填剤とも呼ばれる無機充填剤又は無機物を意味するが、ただし、カップリング剤、天然及び/又は合成エラストマーの組成物は除くものとする。
【0043】
補強無機充填剤は、任意の物理的状態であることがでできる。すなわち、該充填剤は、例えば、粉末、顆粒又はマイクロビーズの状態であることができる。
【0044】
一般に、本発明で使用する補強無機充填剤は、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノシリケート、二酸化チタン、シリカ及び/又はアルミナで完全に若しくは部分的に被覆されたカーボンブラック、或いはこれらの種、特にシリカ及びアルミナの混合物から形成できる。
【0045】
好ましくは、補強無機充填剤はシリカからなる。
【0046】
本発明で使用できる好適なシリカとしては、特に、全ての沈降シリカ又は焼成シリカ、特に450m2/g以下のBET比表面積を含むものが挙げられる。
【0047】
好ましい変形例によれば、慣用の又は有利には(高)分散性であってよい沈降シリカを使用する。
【0048】
高分散性シリカとは、特に、薄片上において特に電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察可能な、重合体マトリックス中へのかなりの離散及び分散容量を有する任意のシリカを意味する。
【0049】
例えば、450m2/g以下、特に50〜350m2/gのCTAB比表面積を有する高分散性シリカを使用することが可能である。
【0050】
EP−A−0520862、WO−A−95/09127、WO−A−95/09128、WO−A−98/54090及びWO−A−03/016215の一つに従うシリカを使用することが可能である。
【0051】
分散性シリカの例としては、Akzo社製のシリカPerkasil KS430、Evonik社製のシリカBV3380及びUltrasil 7000、ロディア社製のシリカZeosil 1165MP及び1115MP、HRS 1200MP及びZeosil Premium 200MP、PPG社製のシリカHi−Sil2000、Huber社製のシリカZeopol 8745が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
また、処理を受けた沈降シリカ、例えば、EP−A−0735088号、同0762992号及び同0762993号の特許出願に記載されたアルミニウムを含有するシリカも好適である。
【0053】
特に、60〜280m2/g、特に70〜250m2/g、特に100〜240m2/g、例えば110〜190m2/gのCTAB比表面積、60〜300m2/g、特に70〜280m2/g、特に100〜250m2/g、例えば110〜200m2/gのBET比表面積、随意に、300mL/100g未満、例えば200〜295mL/100gのDOP吸油量、及び随意に、1.0〜1.6のBET比表面積/CTAB比表面積比を有する沈降シリカが極めて好適である。
【0054】
また、シリカとは、異なるシリカのブレンドも意味する。
【0055】
CTAB比表面積とは、NF T45007法(1987年11月)に従って決定できる外部表面積のことである。BET比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society」,第60巻,第309頁(1938)に記載された、NF T45007基準法(1987年11月)に相当するブルナウアー・エメット・テラー法に従って測定できる。DOP吸油量は、ISO787/5基準法に従ってフタル酸ジオクチルを使用して決定できる。
【0056】
補強用アルミナとしては、特許出願第EP−A−0810258号に記載されるような、30〜400m2/g、例えば60〜250m2/gのBET比表面積、多くとも500nmに等しい、例えば多くとも200nmに等しい平均粒度、及びAl−OH表面反応性官能基の高い割合を有する分散性アルミナを使用することが可能である。
【0057】
補強用アルミナの例としては、特に、Baikowski社製のアルミナA125、CR125、D65CRが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
カップリング剤として本発明に従って使用される官能性有機珪素化合物は、無機充填剤が特に高分散性の沈降シリカの場合には特に、補強充填剤として使用される無機充填剤と予め混合できる。実際に、該有機珪素化合物は、補強無機充填剤上に予めグラフトすることができるため、該補強無機充填剤は、エラストマー組成物と混合される前に「予備カップリング」する。
【0059】
本発明に従って使用される官能化有機珪素化合物のいくつか又は全てを、該官能化有機珪素化合物に相当する化学構造に対応する固体上に担持された状態のカップリング剤(担体への適用は、その使用前に実施される)を使用することが可能であり、該固体担体は、例えばカーボンブラックであることができる。
【0060】
上記カップリング剤を本発明に従って使用するエラストマー組成物は、補強充填剤として使用される無機充填剤を被覆するための少なくとも1種の薬剤を含有することができる。この被覆剤は、既知の方法で、原料の状態のエラストマー組成物の適用の容易さを改善することができる。該被覆剤は、例えば、アルキルアルコキシシラン(特にアルキルトリエトキシシラン)、ポリオール、ポリエーテル(特にポリエチレングリコール)、ポリエーテル−アミン、第一級、第二級又は第三級アミン(特にトリアルカノールアミン)、α,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン又はα,ω−ジアミノポリジメチルシロキサンからなることができる。
【0061】
上記カップリング剤を本発明に従って使用するエラストマー組成物は、少なくとも1種の他の無機充填剤(特に、沈降シリカ、特に高分散性沈降シリカなどの補強白色充填剤)− エラストマーカップリング剤、好ましくはスルフィド又はポリスルフィドシランを含むことができる。
【0062】
該カップリング剤の例としては、
−次式:
(C25O)3Si−(CH23−S2−(CH23−Si(OC253
のビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド(TESPDと省略)
−次式:
(C25O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OC253
のビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPTと省略)
−次式:
(HO)(CH32Si−(CH23−S4−(CH23−Si(CH32(OH)
のビス−モノヒドロキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド
−次式:
(C25O)(CH32Si−(CH23−S2−(CH23−Si(CH32(OC25
のビス−モノエトキシジメチルシリルプロピルジスルフィド(MESPDと省略)
−次式:
(C25O)(CH32Si−(CH23−S4−(CH23−Si(CH32(OC25
のビス−モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド(MESPTと省略)
−次式:
(C25O)(CH32Si−CH2−CH−(CH3)−S4−(CH3)−CH−CH2−Si(CH32(OC25
のビス−モノエトキシジメチルシリルイソプロピルテトラスルフィド(MESiPrTと省略)
が挙げられる。
【0063】
ポリスルフィドシランのスルフィドは、様々な文献、例えば:EP−A−0680997、EP−A−0945556、EP−A−1043357、WO−A−02/30939、WO−A−03/053983に記載された様々な公知の合成方法に従って製造できる。
【0064】
スルフィド又はポリスルフィドシランは市販されている:TESPDは、例えばダウ・コーニング社がZ−6920という商品名で、Evonik社がSi75という商品名で、又はMomentive社がSilquest A1589という商品名で販売している;TESPTは、例えばダウ・コーニング社がZ−6940という商品名で、Evonik社がSi69(又はカーボンブラックに50重量%担持されている場合にはX50S)という商品名で、又はMomentive社がSilquest A1289という商品名で販売している。
【0065】
本発明に従って使用するエラストマー組成物は、概して、
(1)イソプレン又は2−メチル−1,3−ブタジエンの単独重合によって得られる合成ポリイソプレン;
(2)イソプレンと、1種以上のエチレン系不飽和単量体であって、
(2.1)4〜22個の炭素原子を有する、イソプレン以外の共役ジエン単量体;
(2.2)8〜20個の炭素原子を有する芳香族ビニル単量体;
(2.3)3〜12個の炭素原子を有するビニルニトリル単量体;
(2.4)アクリル酸又はメタクリル酸と1〜12個の炭素原子を有するアルカノールとから誘導されるアクリル酸エステル単量体;
(2.5)上記単量体(2.1)〜(2.4)のうち少なくとも2種の混合物
から選択されるものとの共重合によって得られる合成イソプレン;20〜99重量%のイソプレン単位と、80〜1重量%のジエンと、芳香族ビニル、ビニルニトリル及び/又はアクリル酸エステル単位とを有し、かつ、例えばポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなるポリイソプレン共重合体;
(3)天然ゴム;
(4)イソブテン及びイソプレンの共重合によって得られる共重合体(ブチルゴム)並びにこれらの共重合体のハロゲン化、特に塩素化又は臭素化変種;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマー(1)又は(3)を50重量%超(好ましくは99.5重量未満、例えば70〜99重量%)含有し、かつ、イソプレン以外の1種以上のジエンエラストマーを50重量%未満(好ましくは0.5重量%超、例えば1〜30重量%)含有する混合物
から選択される少なくとも1種のイソプレンエラストマー(天然又は合成)を含む。
【0066】
イソプレン以外のジエンエラストマーとは、それ自体周知の態様で、特に:上記(2.1)で定義した共役ジエン単量体の1種の重合によって得られる単独重合体、例えばポリブタジエン及びポリクロルプレン;上記共役ジエン(2.1)の少なくとも2種の共重合体によって得られる共重合体又は上記共役ジエン(2.1)と1種以上の上記不飽和単量体(2.2)、(2.3)及び/又は(2.4)との共重合によって得られる共重合体、例えばポリ(ブタジエン−スチレン)及びポリ(ブタジエン−アクリロニトリル);エチレンと、3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィンと、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエン単量体との共重合によって得られる三元共重合体、例えばエチレンと、プロピレンと、上記タイプの非共役ジエン単量体、特に1,4−ヘキサジエン、エチリデン−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどとから得られるエラストマー(EPDM エラストマー)を意味する。
【0067】
本発明に従って使用するエラストマー組成物は、少なくとも1種のイソプレンエラストマー(例えば天然ゴム)と、イソプレン以外の少なくとも1種のジエンエラストマーとを含むことができ、ここで、エラストマーの総量に対するイソプレンエラストマーの量は、好ましくは、50重量%を超える(一般には99.5重量%未満、例えば70〜99重量%)である。
【0068】
好ましくは、エラストマー組成物は、
(1)単独重合合成ポリイソプレン;
(2)ポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなる共重合合成ポリイソプレン;
(3)天然ゴム;
(4)ブチルゴム;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマーを50重量%超(好ましくは99.5重量%未満、例えば70〜99重量%)と、ポリブタジエン、ポリクロルプレン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)又は三元共重合体(エチレン−プロピレン−非共役ジエン単量体)からなるイソプレン以外のジエンエラストマー50重量%未満(好ましくは0.5重量%超、例えば1〜30重量%)とを含有する混合物
から選択される少なくとも1種のイソプレンエラストマーを含む。
【0069】
より好ましくは、エラストマー組成物は、(1)単独重合合成ポリイソプレン;(3)天然ゴム;(5)上記エラストマー(1)と(3)との混合物;(6)上記エラストマーを50重量%超(好ましくは99.5重量%未満、例えば70〜99重量%)及びポリブタジエン及びポリ(ブタジエン−スチレン)からなるイソプレン以外のジエンエラストマーを50重量%未満(好ましくは0.5重量%超、例えば1〜30重量%)含有する混合物から選択される少なくとも1種のイソプレンエラストマーを含む。
【0070】
本発明の好ましい変形例によれば、エラストマー組成物は、イソプレンエラストマーとして、少なくとも天然ゴムを含み、又はさらには天然ゴムのみを含む。
【0071】
一般に、本発明に従って使用するエラストマー組成物は、エラストマー組成物の分野において通常使用されている他の成分及び助剤のいくつか又は全てをさらに含む。
【0072】
すなわち、一般に、該組成物は、硬化剤(例えば硫黄又は硫黄供与体(チウラム誘導体など))、加硫促進剤(例えばグアニジンの誘導体又はチアゾールの誘導体)、加硫活性剤(例えば酸化亜鉛、ステアリン酸及びステアリン酸亜鉛)、カーボンブラック、保護剤(特に酸化防止剤及び/又はオゾン化防止剤、例えばN−フェニル−N’−(ジメチル−1,3−ブチル)−p−フェニレンジアミン、可塑剤から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0073】
上記特定の官能化有機珪素化合物、特に式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)に相当するものは、本発明に従って、特に靴底、床仕上げ材、ガスバリヤ、耐火材料、空中ケーブルローラー、家電機器の密封材、液体又は気体用パイプの密封材、ブレーキシステムの密封材、シース、ケーブル、伝動ベルト、或いは、好ましくはタイヤ、有利には重量物運搬車用のタイヤに使用できる。
【0074】
本発明に従って使用することにより得られるエラストマー組成物は、 有効量の上記少なくとも1種の官能化有機珪素化合物を含有する。
【0075】
特に、本発明のエラストマー組成物は、イソプレンエラストマー100部(重量部)当たり:
10〜200部、特に20〜150部、特に30〜110部、例えば30〜75部の補強無機充填剤;
1〜20部、特に2〜20部、特に2〜12部、例えば2〜10部の、カップリング剤として本発明に従って使用される上記の官能化有機珪素化合物
を含むことができる。
【0076】
好ましくは、カップリング剤の量、特に上記範囲で選択される量は、補強無機充填剤の重量に対して1〜20重量%、特に2〜15重量%、例えば4〜12重量%を占めるように決定される。
【0077】
一般に、カップリング剤(+随意の被覆剤)の総量は、本発明に従うカップリング剤の他に、別のカップリング剤(特にスルフィド型又はポリスルフィド型)及び/又は被覆剤を使用する場合には、上記の総量に等しい。
【0078】
本発明は、第3の主題として、上記エラストマー組成物、すなわち、
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・少なくとも1種の補強無機充填剤、
・本発明の第1及び第2の主題に従って使用される無機充填剤−エラストマーカップリング剤として使用される少なくとも1種の官能化有機珪素化合物
を含むものを有する。
【0079】
本発明の第1の主題及び第2の主題に従う使用の文脈において上記した全てのことが、これらのエラストマー組成物に当てはまる。
【0080】
本発明に従うエラストマー組成物は、従来の手順に従って2段階で製造できる。第1段階(非製造段階という)は、高温での熱機械的作業の段階である。その後、硬化系を導入する、一般に110℃未満の温度での機械作業(製造段階という)を行う。
【0081】
第3の主題で考えられる本発明は、未処理の状態(すなわち硬化前)及び硬化状態(すなわち架橋又は加硫後)のエラストマー組成物に関するものである。
【0082】
本発明に従うエラストマー組成物は、該組成物を含む完成品又は半製品の製造のために使用できる。
【0083】
すなわち、本発明は、第4の主題として、上記少なくとも1種のエラストマー組成物を含む物品であって、靴底、床仕上げ材、ガスバリヤ、耐火材料、空中ケーブルローラー、家電機器の密封材、液体又は気体用パイプの密封材、ブレーキシステムの密封材、ホース、ケーブルシース、ケーブル、エンジン取付物、コンベヤーベルト、伝動ベルト又は好ましくは、タイヤ、有利には重量物運搬車用のタイヤからなるものを有する。
【0084】
次の実施例は本発明を例示するものであって、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0085】

例1〜5は本発明で使用するものに従う官能化有機珪素化合物(シラン)の製造を例示する。
【0086】
例1
トリエトキシ(4−ビニルフェンチル)シラン
(式(I)に従う)
36.1gのトリクロルシラン(HSiCl3、0.27mol)を1時間以内に+40℃でパラジウム塩PdCl2(PPh32(0.5g、0.7mmol)の1,4−ジビニルベンゼン(39g、0.3mol)への懸濁液に添加する。この懸濁液を反応物質が完全に消費されるまで(3時間)40〜45℃で保持する。100mLのシクロヘキサン及び127gの分散液(0.98mol)を+20℃でこの未処理反応生成物に添加する。次いで、この反応混合物に無水エタノール(49.7g、1.08mol)をゆっくりと添加する。反応温度を+20℃に4時間にわたって保持する。過剰のエタノールを真空下で蒸発させ、そして塩をろ過する。50mLの水をこの有機溶液に添加する。相を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして溶媒を真空下で蒸発させる。次いで、所期の生成物(44.1g)を単離する。
【0087】
例2
3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン
(式(I)に従う)
14g(0.1mol)の塩化4−ビニルベンジルを撹拌しながら+20℃で窒素雰囲気下においてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(26.4g、0.1mol)のメタノール(40g)溶液に添加する。この混合物の温度を還流するまで上昇させ、そして反応物質が完全に消費されるまで(3時間)保持する。反応混合物の温度を+20℃まで戻した後に、メタノールを蒸発させ、そして残留物を50mLのトルエンに取り入れる。塩をろ過する。15gの炭酸カリウムを濾液に添加して残留アンモニウム塩酸塩を中和する。+20℃で1時間にわたり撹拌下の値に、塩をろ過し、そして溶媒を真空下で蒸発させる。続いて、26.4gの所期の生成物を単離する。
【0088】
例3
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール
(式(IIIa)に従う)
53.2gのオルト蟻酸エチル(0.36mol)を+20℃で80gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(0.3mol)に添加する。この混合物の温度を、もはやエタノールの形成が認められなくなるまで還流状態にする。続いて、反応混合物を不完全真空(2〜5mbar)下で蒸発させ、所期の生成物(69.1g)を回収する(温度:130〜135℃)。
【0089】
例4
1−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)−1H−ピロール
(式(VIc)に従う)
ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中1.6M、187mL、0.3mol)を−10℃に冷却されたピロール(20g、0.3mol)のTHF(200mL)溶液に1時間以内に添加する。この溶液を1時間にわたり0℃で保持する。72.3gの3−クロルプロピルトリエトキシシラン(0.3mol)をこの溶液に添加し、続いて反応混合物の温度を8時間にわたって+65℃まで上昇させた。反応混合物の温度を20℃にまで戻した後に、THFを真空下で蒸発させる。粗生成物をシクロヘキサン(150mL)に取り入れ、塩化リチウムの塩を濾過し、そしてこの水溶液を50mLの蒸留水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させそして溶媒を真空下で蒸発させる。次いで、所期の生成物(57.8g)を回収する。
【0090】
例5
(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン
(式(VIa)に従う)
55g(1.8mol)の水素化ナトリウム(NaH)を窒素雰囲気下で拡販しながら−10℃で、新たに解重合されたシクロペンタジエン(120mL、1.44mol)の無水THF(150mL)溶液に分割して添加した。反応混合物の温度を2時間にわたって−10℃で保持した後、過剰のNaHをデカントし、そしてナトリウムシクロペンタジエニドの溶液をトリエトキシクロルプロピルシラン(313.1g、1.3mol)のTHF溶液(500mL)に2時間以内に移す。反応混合物の温度が+30℃を超えてはならない。反応物を消費させた後に(反応混合物の温度:+20℃)、塩化ナトリウムを濾過し、THFを真空下で蒸発させ、そして粗反応混合物を真空下で蒸留する(圧力:500mbar)。所期の生成物(186.2g)を単離する(温度:+50〜60℃)。
【0091】
例6
この例は、官能化有機珪素化合物N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール(式(IIIa)の化合物、本発明に従う使用)のカップリング剤(無機充填剤 − エラストマー(天然ゴム))としての使用及び挙動を例示するものである。
【0092】
エラストマー組成物の構成
エラストマー組成物(エラストマー100部当たり(phe)の重量部で表される構成を以下の表Iに示す)をブラベンダー型の内部ミキサーで製造する。
【0093】
【表1】

【0094】
(1)天然ゴムSMR:CV60(サフィック・アルカン社が供給)
(2)ロディア社製シリカZ1165MP
(3)TESPT(OSi−Witco社製A−1289)
(4)N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール
(5)N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニル−p−フェニレンジアミン(フレキシス社製Santoflex 6−PPD)
(6)2,2,4−トリメチル−1H−キノリン(フレキシス社製Permanax TQ)
(7)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェナミド(バイエル社製Rhenogran CBS−80)。
【0095】
シランをカップリング剤として珪素のイソモルの割合で使用する、すなわち、シリカ及びその表面ヒドロキシル基に対して反応性のある官能基「N」の同じモル数を使用する(ここで、「N」=Si(OC253)。
【0096】
エラストマー組成物の製造方法
組成物の製造方法を2つの連続製造工程で実施する。第1工程は、高温での熱機械的作業工程からなる。その後、110℃未満の温度での機械的作業である第2工程を行う;この工程は、硬化系の導入を可能にする。
第1工程をブラベンダー型の内部ミキサーで行う(容量70mL)。充填率は0.75である。初期温度及びローター速度を、130〜180℃に近い混合物降下温度に到達するようにその都度一定にする。
これにより、エラストマー(天然ゴム)を導入し、続いてシリカからなる補強無機充填剤を一部又は全部導入し(分割導入)、続いて各種加硫活性剤(ステアリン酸、酸化亜鉛)と保護剤(6−PPD)を導入することが可能になる。この工程の継続期間は、3〜10分である。
この混合物を冷却(100℃未満の温度)した後、硬化系(硫黄及び促進剤CBS)を第2工程で導入することができる。これは、好ましくは、50℃に予熱したローラーミキサー上で行う。この工程の継続期間は、2〜6分である。
続いて、各最終混合物を2〜3mmの厚みのプレートの状態でカレンダー仕上げを行う。
得られたこれらの所謂粗混合物についてそれらのレオロジー特性を評価することにより、加硫の時間及び温度を最適化することが可能になる。
続いて、最適条件で加硫された混合物の機械的性質及び動的性質を測定する。
【0097】
レオロジー特性
測定は、好ましくは粗製状態の組成物で行う。表IIは、 MDRレオメーター(モンサントMDR2000E)を使用して基準法DIN53529に従って150℃で実施したレオロジー試験に関する結果を示している。
この試験に従って、試験される組成物を150℃の温度に調節された試験室に30分間放置し、そして、組成物が抵抗する抵抗トルクを、該組成物で完全に満たされた試験室に収容されている2個の円錐ローターの小振幅振動(0.5℃)で測定する。
時間に応じたトルク変動の曲線から次のことを決定する:
・最小トルク(S’min);
・最大トルク(S’max);
・デルタトルク(ΔS’=S’max−S’min);
・完全な加硫の98%に相当する加硫状態を得るのに必要な時間(この時間を最適加硫とみなす);
・考慮される温度(150℃)で最小トルクを上回る2ポイントの増加を得るのに必要な時間に相当し、かつ、加硫を開始させることなくこの温度で粗混合物を使用することが可能な時間を反映するスコーチ時間TS2(該混合物はTS2から硬化し始める)。
得られた結果を表IIに与える。
【0098】
【表2】

【0099】
加硫物の機械的性質
測定は、好ましくは、150℃の温度について最適加硫(T98)を有する組成物で行う。
単軸引っ張りでの試験は、好ましくは、基準法NF T46−002に従ってH2型の試験片を用いてInstron5564テスターにより500mm/分の速度で行う。モジュラス値x%は、引っ張った状態でのx%の歪みで測定される応力に相当する。300%歪みでのモジュラス対100%歪みでのモジュラスの比に等しい強化係数(R.I.)を決定することが可能である。
加硫物のショア硬さAを基準法ASTM D2240に従って測定する。所定の値を15秒で測定する。
測定した特性を表IIIにまとめる。
【0100】
【表3】

【0101】
加硫物の動的性質
動的性質を基準法ASTM D5992に従ってビスコアナライザー(Metravib VA3000)で測定する。
(断面積95mm2及び高さ14mmの円筒形試験片)加硫サンプルについて、損失係数(tanδ)及び動的圧縮での複素弾性率(E*)の値を記録する。開始時に、試料に10%の歪みを受けさせ、続いて±2%の交互の圧縮状態での正弦波歪みを受けさせる。測定は、好ましくは60℃及び10Hzの周波数で行う。
表IVに与える結果は、圧縮状態での複素弾性率(E*−60℃−10Hz)及び損失係数(tanδ−60℃−10Hz)である。
加硫試料(断面積8mm2及び高さ7mmの平行六面体試験片)について、損失係数(tanδ)及び動的せん断の状態での弾性率の振幅(ΔG’)を記録する。この試料に、40℃の温度及び10Hzの周波数での交互の二重せん断の状態で正弦波歪みを受けさせる。歪み振幅スキャンニング方法を、0.1〜100%の範囲、続いて100〜0.1%に戻す、ホワード・リターンサイクルに従って実施する。
表IVに与える結果は、リターン時の歪み振幅スキャンニングからのものであり、かつ、損失係数の最大値(tanδ最大リターン−40℃−10Hz)並びに0.1%及び50%歪み値間での弾性率の振幅(ΔG’−40℃−10Hz)(ペイン効果)に関する。
【0102】
【表4】

【0103】
表II〜IVの結果から、本発明の組成物(組成物I)が、基準組成物(基準R)に対して、非常に良好な特性のバランス、特に大きな歪みでの強化/最大引張特性/60℃でのヒステリシス特性について良好なバランスを付与することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の物質:
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤
を含むエラストマー組成物における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての少なくとも1種の官能化有機珪素化合物の使用であって、該化合物が少なくとも1個のC=C又はC=N二重結合を有し、かつ、電子環化型の反応に従ってイソプレン単位と反応する官能化有機珪素化合物から選択されることを特徴とする使用。
【請求項2】
次の物質:
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤
を含むエラストマー組成物における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての少なくとも1種の官能化有機珪素化合物の特に請求項1に記載の使用であって、該官能化有機珪素化合物が、少なくとも1個のC=C又はC=N二重結合を有し、かつ、[2+1]、[2+2]、[3+2]若しくはディールス・アルダー[4+2]型の付加環化反応又はイソプレン単位とC=C−C=O若しくはN=N官能基とのエン合成反応とは異なるエン合成反応に従ってイソプレン単位と反応する官能化有機珪素化合物から選択されることを特徴とする使用。
【請求項3】
前記官能化有機珪素化合物が、次の結合:C=C−C=O及びN=Nのいずれかを有しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
次の物質:
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・補強充填剤として少なくとも1種の無機充填剤、
を含むエラストマー組成物における無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての少なくとも1種の官能化有機珪素化合物の使用であって、該化合物が次式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)の一つに相当することを特徴とする使用:
【化1】

該式(I)において、
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
R”は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基又は好ましくは水素原子Hを表し;
Xは、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
Aは、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル又はアルカリル基を表し;
Bは、水素原子、又は少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル若しくはアルカリル基を表し、Bは好ましくはAに等しく;
基−Wは随意であり又は式 −Z−SiR’3-n(OR)nを含む;
【化2】

該式(II)中、
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
R”は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基又は好ましくは水素原子Hを表し;
Xは、N、N+、CH及びCR”から選択される基を表し、そして結合X−Bは、C=C又はN=Cであることができ;
Yは、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
A及びBは、異なるもの又は同一のものであってよく、それぞれアルキル基、アルキレン基又はC=Oを表し、ここで、A及びBは、それぞれY=Cの場合にはC=Oとは異なるものとする;
【化3】

式中:
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
【化4】

式中:
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
R”はアルキル基又は水素原子Hを表し;
Xは、ハロゲン原子、特にClである;
【化5】

【化6】

該式(V)及び(VI)において、
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
R”は、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ少なくとも1個のヘテロ原子を有するアルキル基、又は好ましくは水素原子Hを表し;
Xは、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ、N、CH及びCR”から選択される基を表し;
1は、N、N+、S+、CH及びCR”、好ましくはN、CH及びCR”から選択される基を表し;
2及びX3は、同一のもの又は異なるものであってよく、それぞれ、N、CH及びCR’から選択される基を表し;
Aはアルキル基、アリール基又はC=Oを表し、好ましくは、Aは、XがCを表す場合にはC=Oとは異なるものとし;
Bはアルキル基、アリール基又はC=Oを表し、好ましくは、Bは、XがCを表す場合にはC=Oとは異なるものとする;
【化7】

式中:
nは1、2又は3の整数であり;
Rは水素原子H又は好ましくはアルキル基若しくはアルカリル基を表し;
R’は、少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよいアルキル基、又はアルカリル基を表し;
Zは、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上で定義した炭素環式部分とを有する基から選択される基を表し;ここで、該基は、硫黄原子及び/又は、好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子で置換又は中断されていてよく、該窒素原子は、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、少なくとも1個のヘテロ原子を有する又は有しない飽和又は不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基及び飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分を有する基から選択される1価の基を保持するものとし;
Xは、O、N、NH、NR”、CH及びCR”から選択される基を表し、R”はアルキル基であり、好ましくはXは酸素原子Oである。
【請求項5】
前記官能化有機珪素化合物が次式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)の一つに相当することを特徴とする、請求項4に記載の使用:
【化8】

【請求項6】
前記官能化有機珪素化合物が次式(IIIa)及び(IVa)に相当することを特徴とする、請求項4に記載の使用:
【化9】

(N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール)
【化10】

【請求項7】
前記官能化有機珪素化合物が次式(VIa)、(Vlb)、(VIc)及び(VIIa)の一つに相当することを特徴とする、請求項4に記載の使用:
【化11】

【請求項8】
補強充填剤として使用する前記無機充填剤がシリカ、特に沈降シリカであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
前記官能化有機珪素化合物を補強充填剤として使用される無機充填剤と予め混合しておくことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記エラストマー組成物が前記補強充填剤として使用される無機充填剤用の少なくとも1種の被覆剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
前記エラストマー組成物が少なくとも1種の他の無機充填剤−エラストマーカップリング剤、好ましくはスルフィドシラン又はポリスルフィドシランをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
前記エラストマー組成物が少なくとも1種のイソプレンエラストマー及びイソプレン以外の少なくとも1種のジエンエラストマーを含み、該エラストマーの総量に対するイソプレンエラストマーの量が好ましくは50重量%を超えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
前記エラストマー組成物が、
(1)イソプレン又は2−メチル−1,3−ブタジエンの単独重合によって得られる合成ポリイソプレン;
(2)イソプレンと、1種以上のエチレン系不飽和単量体であって、
(2.1)4〜22個の炭素原子を有する、イソプレン以外の共役ジエン単量体、例えば1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン(又はクロルプレン)、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン;
(2.2)8〜20個の炭素原子を有する芳香族ビニル単量体、例えばスチレン、オルト、メタ又はパラメチルスチレン、市販混合物の「ビニル−トルエン」、p−t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロルスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタリン;
(2.3)3〜12個の炭素原子を有するビニルニトリル単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル;
(2.4)アクリル酸又はメタクリル酸と1〜12個の炭素原子を有するアルカノールとから誘導されるアクリル酸エステル単量体、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチル−2−ヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル;
(2.5)上記単量体(2.1)〜(2.4)のうち少なくとも2種の混合物
から選択されるものとの共重合によって得られる合成ポリイソプレン;20〜99重量%のイソプレン単位と、80〜1重量%のジエンと、芳香族ビニル、ビニルニトリル及び/又はアクリル酸エステル単位とを有し、かつ、例えばポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなるポリイソプレン共重合体;
(3)天然ゴム;
(4)イソブテン及びイソプレンの共重合によって得られる共重合体並びにこれらの共重合体の水素化変種;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマー(1)又は(3)を50重量%超含有し、かつ、イソプレン以外の1種以上のジエンエラストマーを50重量%未満含有する混合物
から選択される少なくとも1種のイソプレンエラストマーを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記エラストマー組成物が、
(1)単独重合合成ポリイソプレン;
(2)ポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなる共重合合成ポリイソプレン;
(3)天然ゴム;
(4)ブチルゴム;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマー(1)又は(3)を50重量%超含有し、かつ、ポリブタジエン、ポリクロルプレン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)又は三元共重合体からなるイソプレン以外のジエンエラストマーを50重量%未満含有する混合物
から選択される少なくとも1種のイソプレンエラストマーを含むことを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記エラストマー組成物がイソプレンエラストマーとして少なくとも天然ゴムを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
前記エラストマー組成物が硬化剤、加硫促進剤、加硫活性剤、カーボンブラック、保護剤、可塑剤から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
靴底、床仕上げ材、ガスバリヤ、耐火材料、空中ケーブルローラー、家電機器の密封材、液体又は気体用パイプの密封材、ブレーキシステムの密封材、シース、ケーブル、伝動ベルト又は、好ましくはタイヤにおける請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
重量物運搬車用のタイヤにおける請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
次の物質:
・少なくとも1種のイソプレンエラストマー、
・少なくとも1種の補強無機充填剤、
・無機充填剤−エラストマーカップリング剤としての少なくとも1種の官能化有機珪素化合物
を含むエラストマー組成物であって、該化合物が請求項1〜7のいずれかに記載のものであることを特徴とする、エラストマー組成物。
【請求項20】
前記補強無機充填剤がシリカ、特に沈降シリカであることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記官能化有機珪素化合物が補強無機充填剤と予め混合された、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
前記補強無機充填剤用の少なくとも1種の被覆剤をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の他の無機充填剤−エラストマーカップリング剤、好ましくはスルフィドシラン又はポリスルフィドシランをさらに含むことを特徴とする、請求項19〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記エラストマー組成物がイソプレン以外の少なくとも1種のジエンエラストマーをさらに含み、該エラストマーの総量に対するイソプレンエラストマーの量が好ましくは50重量%を超えることを特徴とする、請求項19〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記イソプレンエラストマーが
(1)イソプレン又は2−メチル−1,3−ブタジエンの単独重合によって得られる合成ポリイソプレン;
(2)イソプレンと、1種以上のエチレン系不飽和単量体であって、
(2.1)4〜22個の炭素原子を有する、イソプレン以外の共役ジエン単量体;
(2.2)8〜20個の炭素原子を有する芳香族ビニル単量体;
(2.3)3〜12個の炭素原子を有するビニルニトリル単量体;
(2.4)アクリル酸又はメタクリル酸と1〜12個の炭素原子を有するアルカノールとから誘導されるアクリル酸エステル単量体;
(2.5)上記単量体(2.1)〜(2.4)のうち少なくとも2種の混合物
から選択されるものとの共重合によって得られる合成ポリイソプレン;20〜99重量%のイソプレン単位と、80〜1重量%のジエンと、芳香族ビニル、ビニルニトリル及び/又はアクリル酸エステル単位とを有し、かつ、例えばポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなるポリイソプレン共重合体;
(3)天然ゴム;
(4)イソブテン及びイソプレンの共重合によって得られる共重合体並びにこれらの共重合体の水素化変種;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマー(1)又は(3)を50重量%超含有し、かつ、イソプレン以外の1種以上のジエンエラストマーを50重量%未満含有する混合物
から選択されることを特徴とする、請求項19〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記イソプレンエラストマーが
(1)単独重合合成ポリイソプレン;
(2)ポリ(イソプレン−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−スチレン)及びポリ(イソプレン−ブタジエン−スチレン)からなる共重合合成ポリイソプレン;
(3)天然ゴム;
(4)ブチルゴム;
(5)上記エラストマー(1)〜(4)の少なくとも2種の混合物;
(6)上記エラストマー(1)又は(3)を50重量%超含有し、かつ、ポリブタジエン、ポリクロルプレン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)又は 三元共重合体からなるイソプレン以外のジエンエラストマーを50重量%未満含有する混合物
から選択されることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記エラストマー組成物がイソプレンエラストマーとして少なくとも天然ゴムを含むことを特徴とする、請求項19〜26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記エラストマー組成物が硬化剤、加硫促進剤、加硫活性剤、カーボンブラック、保護剤、可塑剤から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
請求項19〜28のいずれかに記載の少なくとも1種の組成物を含む物品であって、該物品が靴底、床仕上げ材、ガスバリヤ、耐火材料、空中ケーブルローラー、家電機器の密封材、液体若しくは気体用パイプの密封材、ブレーキシステムの密封材、ホース、ケーブルシース、ケーブル、エンジン取付部材、コンベヤーベルト、伝動ベルト、又は、好ましくはタイヤからなる物品。
【請求項30】
重量物運搬車用の、請求項29に記載のタイヤ。

【公表番号】特表2012−528912(P2012−528912A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513617(P2012−513617)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057739
【国際公開番号】WO2010/139743
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】