説明

特定疾患医療情報管理システム

【課題】特定の疾患について、患者のプライバシーの保護と医師による医療情報の利用の利便性とを両立させた特定疾患医療情報管理システムと、転院先を容易に見つけだす転院支援システムを提供する。
【解決手段】データベースとウエブサーバとを備えた特定疾患情報管理システムであって、前記データベースには特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートが登録されており、当該レポートに対しては医師用端末及び患者用端末からネットワークを介してアクセスすることができるものの、患者が自身のレポートに関してはアクセス権の設定、剥奪を行うことができる特定疾患医療情報管理システムと、転院の必要性のある患者について上記レポートから患者個人を特定できる情報を除いてウエブ上で開示することによって、転院の受入先からのエントリを募ることにより、転院先を迅速かつ容易に見出すことができる転院支援システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定疾患医療情報管理システム並びに転院支援システムに関し、詳細には、例えば、脳卒中、糖尿病、高血圧、高脂血症等の再発や入退院を繰り返すことが比較的多い特定の疾患についての医療情報の管理システム並びに転院支援システム、及び、コンピュータにそれらのシステムを実現させるためのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中や糖尿病、高血圧、高脂血症等のいわゆる生活習慣病と呼ばれる疾患は、その原因が生活習慣にあることが多く、入院し治療を受けて症状が緩解して退院できた場合でも、在宅での薬の服用や食事の管理、血圧、血糖値の監視等が必要であり、場合によっては、残念ながら、症状が悪化したり再度発症したりして再入院を余儀なくされることの多い疾患である。再入院の入院先が以前に入院したことのある医療機関であれば、診療記録が残っており、一貫性のある適切な治療を施すことができるので好都合であるが、当事者が転居していたり、再度の発症先がたまたま遠隔地であったりして、以前入院したことのある医療機関以外の医療機関が新たな入院先とならざるを得ない場合がある。このような場合、以前に入院したことのある医療機関での診療及び治療の記録を参照することができれば適切な治療を施す上で極めて有用ではある。しかしながら、異なる医療機関同士の間で、特定の患者についてのそのような診療及び治療の記録を相互に開示し合うことは希であり、また、仮に開示し合うことがあったとしても、様式や記録項目、記録方式等が異なり、参照が容易でないという不都合がある。また、先の入院から再入院までの間に、当該患者が在宅でどのような薬を実際に服用し、どのような健康状態にあったかについては、殆ど記録がないのが実状である。
【0003】
一方、医療情報の電子化に伴い、近年、診療や治療の記録を電子データとして保存し、そのデータベース化や共有化を図る試みも多数為されている。例えば、特許文献1においては、複数の病院端末と、複数のユーザ端末と、個人医療情報のデータベースを管理するデータベース端末とを、通信ネットワークを介して相互に接続し、患者であるユーザが、病院を含む第三者が前記データベース端末が管理する個人医療情報のデータベースにアクセスすることを制限することができるようにした個人医療情報の共有化方法が提案されている。しかしながら、この共有化方法においては、共有化された個人医療情報は、その個人についての医療情報の全体を一つの単位としてアクセスの制限ないしは許可が為され、データべースに登録されている個人の医療情報のうち特定の医療情報についてのみのアクセスを特定の病院に許可するというような柔軟な対応ができず、患者であるユーザのプライバシーを適切に保護することができないという問題がある。また、当然のことながら、この共有化方法においては、在宅治療が必要であったり再入院の可能性の高い特定の疾患についての医療情報を、医師と患者との両者で合理的に共有化するというような発想はみられない。
【0004】
上述のような個人医療情報の共有化方法の欠点を解消するために、共有化される個々の医用データに管理ファイルを付随させ、その管理ファイルに患者、医師等の会員のアクセス権を記録することにより、医用データ単位でアクセスの制限ないしは許可を可能にした医用データ管理システムも提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この医用データ管理システムが管理する医用データとは、医師のコメント、処方、臨床検査データ、X線撮影写真等、医師の診察等によって発生するあらゆる医用データを含み、これら全てに管理ファイルを付随させ個々にアクセス権を管理するとなると、その数は膨大なものとなり、特に、専門家でない患者にとっての負担は極めて大きく、現実的に有効なアクセス権の管理を行うことは困難である。
【0005】
また、本発明の特定疾患医療情報管理システムが対象とする疾患の中でも、特に脳卒中などは、発症直後には急性期病院と呼ばれる医療機関が治療を担当し、その後、症状が落ち着いた時点で他の医療機関に転院し、そこでリハビリや長期療養を行うという治療経過をたどることが多く、急性期病院への入院後、一定期間後には他の医療機関への転院が必要となる疾患であるが、これまでは、入院患者の転院に関しては、担当医又はその所属する医療機関が、個別に他の医師や医療機関に連絡を取り、転院の可否を問い合わせているのが実状である。しかしながら、このようなやり方では、転院先を見つけるまでに多大の労力と時間を要し、医師又は医療機関の大きな負担となっている。
【特許文献1】特開2001−297153号公報
【特許文献2】特開2004−102863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決するために為されたもので、再発や入退院を繰り返すことが比較的多い特定の疾患について、患者のプライバシーの保護と医師による医療情報の利用の利便性とを両立させた特定疾患医療情報管理システムと、転院先を容易に見つけだすことができる転院支援システム、並びに、コンピュータにそれらのシステムを実現させるためのコンピュータプログラムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも、データベースと、そのデータベースに常時又は随時接続するウエブサーバとを備えた特定疾患情報管理システムであって、(A)前記データベースには、少なくとも、特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートと、そのレポートについてのアクセス権に関する情報と、登録会員に関する会員情報と、登録会員の認証に関する認証情報とが登録されており、(B)前記ウエブサーバは、医師用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった医師用端末に医師用のトップページを提供する手段と;その医師用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその医師用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、その医師用端末からの要求を待って或いは要求を待たずに、その医師用端末に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページ及び新規レポート作成ボタンを提供する手段と;その医師用端末において新規レポート作成ボタンが選択された場合には新規レポート作成ページを提供する手段と;その医師用端末においてレポート一覧から特定の既存のレポートが選択された場合には、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、当該レポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート編集ページを提供する手段と;医師用端末から新規レポートの登録要求又は既存レポートの更新要求と共に、新規登録すべきレポート又は更新登録すべきレポートの送信があったときに、作成された新規レポート又は更新された既存レポートを前記データベースに登録する手段と;登録された新規レポートについて当該レポートの作成者並びに当該レポートの対象患者をアクセス権を有する者として前記データベースに登録する手段とを備え、(C)さらに前記ウエブサーバは、患者用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった患者用端末に患者用のトップページであって、医師用のトップページと同じか若しくは異なるトップページを提供する手段と;その患者用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその患者用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、患者用端末からの要求を待って或いは待たずに、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その患者用端末に、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページを提供する手段と;その患者用端末においてレポート一覧ページから特定のレポートが選択された場合に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その患者用端末に、選択されたレポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート入力ページを提供する手段と;患者用端末からレポートの更新要求と共に、更新登録すべきレポートの送信があったときに、更新されたレポートを前記データベースに登録する手段とを備えている、特定疾患医療情報管理システムを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0008】
すなわち、本発明の特定疾患医療情報管理システムによれば、データベースに登録されるのは、特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートであり、これらのレポートの各々にはアクセス権が登録されているので、医師、或いは場合によっては医療スタッフは、医師用端末を通じて、自分にアクセス権があるレポートを参照したり、編集したりすることができる。特定のレポートに関してアクセス権がある者としては、通常、そのレポートを作成した医師が想定される。医師は、新たにレポートを作成してデータベースに登録することができ、また、付与されているアクセス権の内容にも依るが、自分にアクセス権のあるレポートを編集して、データベースに登録されているレポートを更新することができる。一方、患者は、自分のレポートについてはアクセス権を有しており、患者用端末を通じて、自分のレポートを参照したり、そこにデータを入力し、登録されている自分のレポートを更新したりすることができる。患者が自分のレポートについて入力するデータとしては、薬の服用履歴や、自分の体温、血圧、脈拍、血糖値等が挙げられる。
【0009】
本発明の特定疾患医療情報管理システムの好ましい態様においては、医師は、自分にアクセス権のあるレポートについて、他の医師若しくは他の医療スタッフにアクセス権を設定したり、他の医師若しくは他の医療スタッフから設定されているアクセス権を剥奪したりすることができる。医師の権限で設定ないしは剥奪することができるアクセス権としては、例えば、特定のレポートについてその内容を見ることだけができる、いわゆるレポート参照権や、そのレポートに新たな情報を追加したり、既存の情報を変更したりすることができるレポート編集権、更には、更に他の医師若しくは医療スタッフにレポート参照権やレポート編集権を設定したり剥奪したりする権利が挙げられる。場合によっては、1つのレポート内の各項目ごと、又は項目のグループごとに、レポート参照権やレポート編集権の設定ないしは剥奪ができるようにすることも可能である。ただし、当該レポートの作成した医師のアクセス権は剥奪することができないようにしておくのが望ましい。
【0010】
本発明の特定疾患医療情報管理システムの他の好ましい態様においては、患者は、自分が対象となっている個々のレポートについて、患者用端末を通じて、特定の医師にアクセス権を与えたり、特定の医師に既に与えているアクセス権を剥奪したりすることができる。このようにしておくことによって、患者は、自分のレポートを必要な医師には見せ、見せたくないと思われる医師には見せないようにすることができるので、自己の判断で自己のプライバシーを守ることができる。ただし、当該レポートを作成した医師のアクセス権は、たとえ当該レポートの患者によっても剥奪されないようにしておくのが望ましい。
【0011】
本発明の特定疾患医療情報管理システムの他の好ましい態様においては、医師は、患者名、医療機関名、入院した年及び月の情報に基づいて、特定患者についての既存のレポートの有無を検索することができる。上記の情報は、例えば、患者自身から聞くことによって得ることができる。本発明の特定疾患医療情報管理システムは、上記の全ての情報の入力があったときに検索を実行するので、例えば、患者名のみに基づく検索は、たとえ医師であっても、することができない。換言すれば、患者がこの医師であれば過去の入院歴を開示しても良いと思う医師だけが、上記の情報を患者本人から聞いて、過去のレポートを検索することができることになる。このようにしておくことにより、必要な場合にはレポートの検索が可能でありながら、検索手段の存在によってアクセス権が実質上無意味なものとなることを避けることができる。
【0012】
本発明の特定疾患医療情報管理システムの他の好ましい態様においては、事務局端末が設けられており、この事務局端末によって、新規会員の登録及び既存会員の登録抹消を含めた会員情報の管理や、登録会員の認証に関する認証情報の管理や、データベースに登録されているレポートの統計処理を行うことができる。
【0013】
本発明は、さらに、少なくとも、データベースと、そのデータベースに常時又は随時接続するウエブサーバとを備えた転院支援システムであって、(A)前記データベースには、少なくとも、医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートと、そのレポートについてのアクセス権に関する情報と、登録会員に関する会員情報と、登録会員の認証に関する認証情報とが登録されており、(B)前記ウエブサーバは、医師用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった医師用端末に医師用のトップページを提供する手段と;その医師用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその医師用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、その医師用端末からの要求を待って或いは待たずに、その医師用端末に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページ及び新規レポート作成ボタンを提供する手段と;その医師用端末において新規レポート作成ボタンが選択された場合には新規レポート作成ページを提供する手段と;その医師用端末においてレポート一覧から特定の既存のレポートが選択された場合には、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、当該レポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート編集ページを提供する手段と;医師用端末から新規レポートの登録要求又は既存レポートの更新要求と共に、新規登録すべきレポート又は更新登録すべきレポートの送信があったときに、作成された新規レポート又は更新された既存レポートを前記データベースに登録する手段と;登録された新規レポートについて当該レポートの作成者をアクセス権を有する者として前記データベースに登録する手段とを備え、(C)さらに前記ウエブサーバが医師用端末に提供する新規レポート作成ページ、レポート編集ページ、及びその他のページの少なくともいずれか1つには、転院支援の利用の選択肢が設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院支援の利用を選択したときに、転院依頼ページをその医師用端末に提供する手段と;医師用端末から、転院依頼ページを介して、特定のレポートの患者についての転院依頼要求があったとき、当該レポートから、患者個人を特定できる情報を除外し、転院受入の可否の判断に必要な情報のみを抽出し、ウエブを介して転院依頼(受入側)一覧ページとして、若しくはその転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして送信可能にする手段を備えているとともに、(D)前記ウエブサーバが、医師用端末の使用者の認証を完了した後、医師用端末に提供する少なくともいずれか1つのページには、転院依頼(依頼側)一覧ボタン及び/又は転院依頼(受入側)一覧ボタンが設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院依頼(依頼側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末の使用者が転院依頼を行っている患者個人を特定できる情報と、エントリしている医療機関名等の情報を少なくとも含む転院依頼(依頼側)一覧ページを当該医師用端末に提供する手段と;医師用端末の使用者がその転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末に、前記転院依頼(受入側)一覧ページを提供する手段を備え、(E)かつ、前記ウエブサーバは、転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択した医師用端末から、転院依頼(受入側)一覧ページを介して、受入可能な患者を特定した上で、エントリの要求があったときこれを受領する手段と;当該患者の転院にエントリがあったこと、及び、その機関名等の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;エントリがあったことを当該転院依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末から、更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを介して、エントリの受入通知があったときこれを受領する手段と;エントリの受入があったことを、当該エントリを行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該エントリを行った使用者の医師用端末から、当該患者の転院受入完了の通知があったときこれを受領する手段と;転院受入完了の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;転院受入完了の通知があったことを当該転院の依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院の依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に転院受入完了の情報が付加された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末からの、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者に対する当該レポートについてのアクセス権付与の要求があったときこれを受領し、データベースに登録されている当該レポートについてのアクセス権に関する情報を更新する手段と;アクセス権の付与があったことを、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;必要に応じて、当該レポートのコピーを作成する手段とを備えている転院支援システムを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0014】
すなわち、本発明の転院支援システムによれば、患者名や具体的な住所といった患者個人を特定することができる患者情報を伏せたまま、転院受入の可否の判断に必要な情報だけを開示して、転院受入先を募集することができる。転院受入側としては、開示された情報を十分に吟味して転院受入が可能かどうかを判断して、転院依頼にエントリすることができる。一方、転院を依頼した側においても、エントリの状況を見て、エントリが複数あった場合には、その中から最適の転院受入先を選択することができる。このような本発明の転院支援システムは、独立したシステムとして存在しても良く、また本発明の上記特定疾患医療情報管理システムと一体化させたシステムとしても、その優れた機能を発揮するものである。
【0015】
上記のような本発明に係る特定疾患医療情報管理システム及び/又は転院支援システムにおいて、医師用端末の使用者の認証は、IDと、例えば、医師用端末からのシステムへの接続要求があったときに生成され、しかも有効期限が設定され、その接続時にのみ使用可能なパスワードを用いて行うのが望ましい。生成されたパスワードは、接続要求のあった医師用端末の使用者の予め登録されているメールアドレスにメール送信することによってその使用者に伝えることができる。また、場合によっては、メール送信する代わりに、接続要求のあった医師用端末の使用者の予め登録されている携帯電話から予め定められたウエブページに接続があったときに、そのウエブページに生成したパスワードを表示することによって伝えるようにしても良い。いずれにしても、生成したパスワードには有効期限が設定され、その接続時にのみ有効であるので、極めて安全である。
【0016】
また、本発明は、コンピュータ及びデータベースを上記の本発明の特定疾患医療情報管理システム及び/又は本発明の転院支援システムとして機能させるコンピュータプログラムを提供することによって、上記の課題を解決するものである。このようなコンピュータプログラムによって、本発明の特定疾患医療情報管理システム及び転院支援システムを実現することができる。なお、本発明でいう特定疾患とは、再発や入退院を繰り返すことの多い、いわゆる生活習慣病と呼ばれる疾患を意味し、典型的な例としては、脳卒中、糖尿病、高血圧、高脂血症等が挙げられるが、決してこれらの疾患に限られるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特定疾患医療情報管理システムは、上記のとおり、特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートを医療情報の単位として、アクセス権の登録や、医師用端末及び患者用端末への提供を行っているので、医療に精通しておらず個々の医用データについて開示・不開示の選択に不慣れな患者はもとより、医療に精通している医師にとっても、その取り扱いが容易であり、アクセス権の設定や剥奪も直感的かつ合理的に行えるという利点がある。また、本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいては、医師が自分にアクセス権のあるレポートの編集を行えるとともに、患者も自分のレポートに薬の服用履歴や体温、血圧、脈拍、血糖値等を入力し、また、それを医師が医師用端末を介して見ることができるので、退院後の在宅治療にも極めて有効である。
【0018】
さらには、本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいては、医師も個々のレポートについて他の医師若しくは医療スタッフについてアクセス権の設定や剥奪を行うことはできるものの、その設定や剥奪は原則的には患者本人の了承を得た上で行われるものであり、また、患者本人が患者用端末を通じてアクセス権の設定や剥奪を行うことも可能である。したがって、本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいては、アクセス権の設定剥奪の最終的な権限は当該レポートの対象患者本人にあり、患者本人が自己の意志に基づいて自分の医療情報を開示非開示を選択できるので、医療面からの利便性と患者のプライバシーとを、合理的に両立させることが可能である。
【0019】
また、本発明の転院支援システムによれば、従来は多大の労力と時間とを要した転院受入先の決定が、複数のエントリがあった場合には、それらの条件を互いに見比べながら、極めて容易かつ適切に行うことが可能になるという利点が得られる。このような利点は、特に、急性期病院からリハビリ或いは長期療養先への転院が必然的に必要な脳卒中患者の場合には、極めて有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、実施例に基づいて本発明を詳述するが、本発明が実施例のものに限られないことは勿論である。
【0021】
〈システム構成〉
図1は、本発明の特定疾患医療情報管理システムの一例の全体図である。図1において、1及び2は、それぞれ、本発明の特定疾患医療情報管理システムを構成するデータベース及びウエブサーバであり、インターネットデータセンター3内に存在している。ウエブサーバ2は、データベース1に常時ないしは随時接続し、データベース1からの情報の読み出しやデータベース1への情報の記録などを行うと共に、アンチウイルス機能や暗号化通信の機能を備えたプロキシサーバ4、ファイャーウォール5、及びルータ6を介して、インターネット網7に接続されている。図示の例では、データベース1とウエブサーバ2とは、共に同じインターネットデータセンター3内に存在しているけれども、データベース1とウエブサーバ2とは、必ずしも物理的に近接した場所になくても良く、例えば、遠隔地や異なるインターネットデータセンター内に存在して、随時ネットワークを介して接続されるようになっていても良い。
【0022】
データベース1には、少なくとも、後述する特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートと、そのレポートについてのアクセス権に関する情報と、登録会員に関する氏名、所属医療機関名、メールアドレス、携帯電話の機器固有番号などの会員情報と、ID番号やパスワード、場合によっては生体認証情報などの登録会員の認証に関する認証情報とが登録されている。なお、データベース1は、図示の例では物理的に単一のデータベースとして示されているけれども、複数のデータベースから構成されていても良く、それら複数のデータベースは、必ずしも物理的に近接した場所になくても良い。また、ウエブサーバ2も、図示の例では単一のサーバとして示されているけれども、その機能を分割して負担する2又はそれ以上のサーバから構成されていても良く、例えば、データベース1との間にデータベースサーバを介しても良い。
【0023】
8、8は医師用端末、9は患者用端末、10は事務局端末であり、いずれも図示しないプロバイダ等を介してインターネット網7に接続若しくは接続可能な状態にある。11、11、11は携帯電話であり、それぞれ、医師用端末8、8の使用者、または事務局端末の使用者が使用するものであり、その電話番号や機器固有の番号、携帯メールアドレス等は、データベース1に登録されている。12は非接触ICカードリーダライタであり、患者用端末9に装備されているものである。なお、後述するICカードを用いた認証を行わない場合には、非接触ICカードリーダライタ12は不要である。13は携帯電話会社であり、14は携帯電話会社に設置されているメールサーバである。なお、15はICカードである。
【0024】
〈医師用端末使用者の認証〉
図2は、医師用端末8の使用者である医師がインターネット網7を介して本発明のシステムを構成するウエブサーバ2に接続要求を出し、認証を受けるまでの流れを示した図である。すなわち、図2に示すとおり、医師が医師用端末8から、本発明のシステムの医師用ポータルとなるサイトのURLを入力してウエブサーバ2に接続要求を出すと、ウエブサーバ2は、医師用端末8に、ID入力ウインドを備えたトップメニューページを送信する。医師用端末8の使用者が自己のIDを入力してそのページを送り返すと、ウエブサーバ2は、データベース1にアクセスし、データベース1に登録されている登録会員の認証に関する情報と照らし合わせ、入力されたIDが医師会員のものとして存在しているかどうか、また、存在している場合にはその有効、無効を確認する。
【0025】
入力されたIDが医師会員のものとしてその存在が確認され、かつ、その有効であることが確認された場合には、ウエブサーバ2は、パスワード入力用のページを医師用端末8に送信すると共に、今回の認証に限り一回だけ使用するパスワード、すなわちワンタイムパスワードを生成し、その有効期限を設定して、それらをデータベース1に登録すると共に、予め登録されている当該医師会員のメールアドレスに、生成したワンタイムパスワードをメール送信する。予め登録されている当該医師会員のメールアドレスとしては、例えば携帯電話やパーソナルコンピュータなどのメールアドレスが挙げられ、このパーソナルコンピュータは医師用端末8であっても良い。このとき、医師用端末8に送信するパスワード入力用のページに、ワンタイムパスワードが携帯電話にメール送信されるか若しくはメール送信された旨が表示されるので、医師用端末8の使用者は自分の携帯電話に着信するメールを確認して、割り当てられたパスワードを知ることができる。ただし、ワンタイムパスワードが携帯電話にメール送信されるか若しくはメール送信された旨を他の手段で医師用端末8の使用者に通知することができる場合、或いは、その通知の必要がない場合には、パスワード入力用のページにワンタイムパスワードが携帯電話にメール送信されるか若しくはメール送信された旨を表示しなくても良いことは勿論である。ワンタイムパスワードは、図1における携帯電話会社13のメールサーバ14を経由して、医師用端末8の使用者である医師会員の携帯電話に着信し、医師会員は今回の認証に使用するワンタイムパスワードを取得することとなる。
【0026】
或いは、ウエブサーバ2は、生成したワンタイムパスワードを医師会員の携帯電話にメール送信する代わりに、ウエブサーバ2が提供する他のウエブページに医師会員の予め登録済みの携帯電話からの接続があるのを待っても良い。他のウエブページに携帯電話からの接続があったとき、ウエブサーバ2は、その接続元の携帯電話の機器固有番号をデータベース1に照会してそれが当該医師会員の予め登録された携帯電話の機器固有番号であるかどうかを確認し、確認が為された場合には、ワンタイムパスワードを接続されているウエブページに表示し、それによって、今回の認証に使用するワンタイムパスワードを医師会員に伝えることができる。なお、この場合においても、医師用端末8に送信するパスワード入力用のページに、登録済みの携帯電話によって所定のURLに接続することによってワンタイムパスワードを取得することを促すメッセージを表示するのが望ましい。
【0027】
医師用端末8の使用者である医師会員がワンタイムパスワードを取得して、パスワード入力用のページに入力して送信すると、ウエブサーバ2は、送信されてきたワンタイムパスワードとその有効期限をデータベース1に照会して確認し、確認が為されたとき、認証完了をデータベース1に登録すると共に、認証完了のページ及び/又はメニューページを医師用端末8に送信する。
【0028】
以上が、医師会員による医師用端末8からの接続要求から認証までの流れであるけれども、認証の仕方は、必ずしも上記のようなIDとワンタイムパスワードとの組み合わせに限られるものではない。ワンタイムパスワードの代わりに、通常の固定パスワードを用いても良いし、指紋、手のひら静脈パターン、網膜パターン等の生体認証を用いても良いし、認証の手順も必ずしも上述のとおりでなくても良い。
【0029】
〈医師用端末によるレポートの作成/編集〉
以上のようにして医師用端末8からの接続要求に基づいてその使用者の認証が完了すると、医師用端末8の使用者は、本発明のシステムが提供する各種のサービスを利用することができる。本発明のシステムが提供するサービスの代表的なものとしては、特定疾患による医療機関への1患者の1入院毎に作成されるレポートの作成、編集、又は参照がある。
【0030】
図3は、医師会員によるレポートの作成若しくは編集の手順の一例を示す流れ図である。認証完了後、ウエブサーバ2は、例えば、既存レポートの編集及び/又は参照か、新規レポートの作成の選択肢があるメニューページを医師用端末8に提供する。このメニューページから医師用端末8の使用者である医師会員は、既存レポートの編集及び/又は参照か、新規レポートの作成かを選択することができる。医師用端末8の使用者が新規レポートの作成を選択した場合には、ウエブサーバ2は、その医師用端末8に、新規レポート作成ページを提供する。医師用端末8の使用者が既存レポートの編集及び/又は参照を選択した場合には、ウエブサーバ2は、データベース1に登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、医師用端末8に、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページを提供する。医師用端末8の使用者である医師会員が有しているアクセス権によっては、特定のレポートに関しては、参照と編集の双方が可能であるけれども、特定の他のレポートに関しては、編集はできず、参照だけが可能である場合がある。そのような場合には、その違いを、レポート一覧中に色分けして表示するか、各レポートに「編集」と「参照」の表示を設け、いずれか有効な方のみを強調するか、有効な表示の側にURLを埋め込んで、マウスのポインタを変化させ、「編集」或いは「参照」のページにジャンプできることを表示しても良い。
【0031】
また、必要があれば、あるレポート中の特定の項目については参照と編集の双方が可能であるけれども、他の項目については参照だけが可能であったり、特定の項目についてのみ参照することができるように、アクセス権の内容をレポート中の項目ごと、若しくは項目群ごとに区別して詳細に設定することも可能である。そのような場合には、参照権のない項目については参照要求のあった医師用端末8には表示しないようにすることは勿論であり、参照権はあるけれども編集権のない項目については、入力を受け付けないようにしておくのが良い。
【0032】
また他の例としては、上記のようなメニューページを提供する代わりに、ウエブサーバ2は、データベース1に登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、医師用端末8の使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページを、直ちに、医師用端末8に提供することもできる。この場合、提供されるレポートの一覧ページには、新規レポート作成ボタンを設けておくのが良い。医師用端末8の使用者がこの新規レポート作成ボタンを選択した場合には、ウエブサーバ2は、上記と同様に、その医師用端末8に新規レポート作成ページを提供する。なお、この場合においても、医師用端末8の使用者が有するアクセス権に基づいて、参照のみが可能なレポートであるか、参照のみならず編集もできるレポートであるかの違いが存在する場合には、その違いをレポート一覧ページ上で分かるように表示するのが望ましい。また、レポート中の項目ごとにアクセス権の種類が異なる場合には、上記の場合と同様に、参照権のない項目については参照要求のあった医師用端末8には表示しないようにし、参照権はあるけれども編集権のない項目については、入力を受け付けないようにしておくのが良い。
【0033】
以上のようにして表示されたレポートの一覧ページ上で、医師用端末8の使用者が特定のレポートを選択すると、ウエブサーバ2は、その選択されたレポートのレポート参照ページ又はレポート編集ページを医師用端末8に提供する。レポート参照ページ又はレポート編集ページは共に共通した所定の書式からなっており、入力項目としては、例えば、基本情報として、患者の氏名、生年月日、年齢、性別、住所、身長、体重、血液型等の情報、入院に関するものとして、入院年月日、入院時の所見、入院時の検査結果など、画像に関するものとして、X線撮影写真、CT画像、MRI画像、超音波画像等についての撮影情報や所見、治療に関するものとして、投薬の種類、量、手術した場合にはその術式など、退院に関するものとして、退院予定日や、病状や麻痺の程度、認知証の有無、Barthel Index(BI)と呼ばれる日常生活動作レベルの指標値などが挙げられるが、入力される項目や情報は決してこれらに限られるものではなく、また、各医療情報を上述したように区分することも必須ではない。いずれにせよ、本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいては、対象とする医療情報が特定の疾患に関連したものであるので、上記のようなレポートの入力項目の設定やその書式の設定が比較的容易であり、統一したフォーマットでレポートを作成して、データベースに登録することが容易であるという利点がある。
【0034】
また、本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいては、医師用端末8の使用者の当該レポートについてのアクセス権を、各項目毎又は使用者の職制毎に細かく設定することも可能である。例えば、医師用端末8の使用者は通常医師であるけれども、医師用端末8の使用者として看護師や放射線技師、薬剤師などの医師以外の医療スタッフを想定することも可能であり、この場合、例えば、医師用端末8の使用者が看護師である場合には、参照可能なレポートの項目としては全項目を表示しても、編集可能な項目としては体温や血圧等のバイタルの項目のみを表示したりすることができる。また、医師用端末8の使用者が、例えば放射線技師又は薬剤師の場合には、アクセス権のあるレポートについて参照だけが可能であるように設定したり、或いは、アクセス権のあるレポート中の放射線技師又は薬剤師が特に関連を有する項目のみを参照することができるようにしても良い。
【0035】
新規作成レポートに関しても、基本的には、既存のレポートと同じであるけれども、新規レポートの作成者は医師に限られ、例えば、医師用端末8の認証された使用者が医師でない場合には、新規レポートの選択や、新規レポート作成ボタンは、ウエブサーバ2によって無効と判断される。新規レポートの作成者には、通常、そのレポートについてのアクセス権が無条件に与えられる。すなわち、医師用端末8の使用者が新規レポートを作成し、その登録を要求して、ウエブサーバ2がデータベース1にそのレポートを新規登録した場合には、そのレポートのアクセス権に関する情報として、そのレポートの作成者のアクセス権が登録される。
【0036】
いずれにせよ、選択した特定のレポートの編集又は新規レポートの作成を行う医師用端末8の使用者は、必要に応じて、患者の氏名、年齢、生年月日等の上述した基本情報を入力し、そのような基本情報の入力が終了するか、既に終了している場合には、上述した入院、画像、治療、若しくは退院に関する医療情報のうち、その時点で入力可能なものを適宜入力する。レポート参照の権限しか与えられていないレポートに関しては、これらの医療情報を入力することができないのは言うまでもない。なお、図3には、「転院支援の利用」という選択肢が示されているけれども、これについては後述する。
【0037】
上述したレポート編集ページ、レポート参照ページ、又はレポート新規作成ページには、入力されている医療情報を、制定された所定のタグ規約に従ってXML形式でエクスポートするボタンを設けることができる。このようにしておくことによって、入力された医療情報を他の医療情報システムや統計ソフトなどで使用することが可能となる。
【0038】
以上のようにして、レポートに必要な基本情報及び/又は医療情報の入力が終わると、医師用端末8の使用者は、レポート編集ページもしくは新規レポート作成ページ上にあるレポート完了ボタンを選択して、レポートの編集又は新規作成の完了を宣言し、その編集若しくは作成したレポートをウエブサーバ2に送信して、その更新又は新規登録をウエブサーバ2に要求する。ウエブサーバ2は、レポートの更新又は新規登録要求と、更新又は新規作成されたレポートの送信を受け、必要に応じてその書式等をチェックした後、不都合がなければデータベース1にある既存レポートを更新するか、データベース1に新規レポートを登録する。
【0039】
図3に示す例においては、レポート完了ボタンの選択は、レポートの編集又は新規作成が、再度の編集の可能性を残して一応終了した場合と、患者が退院をしたりしてレポートの作成ないしは編集が完全に完了した場合の両方を意味することができ、ウエブサーバ2は、そのいずれであるかを認識することはできないけれども、例えば、レポート編集ページもしくは新規レポート作成ページ上に、レポート完了ボタンと編集終了ボタンとを区別して設け、レポートの編集又は作成が完全に終了した場合にのみ、レポート完了ボタンを選択し、再度編集を行う余地ないしは可能性がある場合には、編集終了ボタンを選択するようにして、両者を区別するようにしても良い。この場合、レポート完了ボタンが選択されたときには、ウエブサーバ2は、その後の当該レポートの編集を不可とすることが望ましい。
【0040】
なお、レポートの作成にインセンティブを付与するために、レポート完了ボタンが選択されたとき、そのレポートを編集若しくは新規作成した医師用端末8の使用者にポイントを付与するようにしても良い。そのようなポイントは、ウエブサーバ2によって自動的に使用者に付与され、データベース1に登録される。
【0041】
図3に示すとおり、本発明の特定疾患医療情報管理システムには、以上の機能の他、作成されたレポートに基づいて、サマリを作成し印刷したり、所定の種々の書式で診断書を自動的に作成して印刷する機能が付加されている。印刷されたサマリは各医療機関においてカルテに綴じ込むことができ、診断書は患者に与えたり、必要に応じて保険会社に提出したりすることができる。
【0042】
〈医師用端末からのアクセス権の変更〉
本発明の特定疾患医療情報管理システムの好ましい態様においては、上述したレポート編集ページ、レポート参照ページ、レポート新規作成ページ、又はレポート一覧ページのうちの少なくともいずれか1つには、アクセス権設定ボタンが設けられている。アクセス権設定ボタンがレポート編集ページ、レポート参照ページ、又はレポート新規作成ページに設けられている場合には、そのアクセス権設定ボタンを選択すると、当該編集、参照、又は新規作成されているレポートについてのアクセス権の設定要求がウエブサーバ2に送信されることになる。一方、アクセス権設定ボタンがレポート一覧ページに設けられている場合には、予めレポート一覧で対象とするレポートを選択した後で、アクセス権設定ボタンを選択するか、アクセス権設定ボタンを選択した後で、レポート一覧から対象とするレポートを選択することによって、その選択されたレポートについてのアクセス権の設定要求がウエブサーバ2に送信される。勿論、以上のページ以外の他のページにもアクセス権設定ボタンを設けても良く、その場合には、アクセス権設定ボタンを選択した後で、レポート一覧を呼び出して、そのレポート一覧から対象とするレポートを選択すると、その選択されたレポートについてのアクセス権の設定要求がウエブサーバ2に送信されることになる。いずれにせよ、医師用端末8の使用者がこのアクセス権設定ボタンを選択して特定のレポートについてのアクセス権の設定要求を送信すると、ウエブサーバ2は、例えば図4に示すようなアクセス権設定ページを医師用端末8に提供する。
【0043】
図4に示すアクセス権設定ページに見られるとおり、「権限状況」を書かれた下には、その時点での当該レポートに関してのアクセス権の登録状況が表示されている。すなわち、図4に示す例においては、当該レポートについては、「こうなん」病院の「しみず」という1名の会員がアクセス権を許可されていることが分かる。当該レポートについてアクセス権を有する会員が2名以上存在する場合には、その名前が表示されることは勿論である。また、当該レポートに関してのアクセス権に設定や剥奪の履歴がある場合には、必要に応じてその設定や剥奪を行った会員名と共に、その履歴も併せて表示される。これにより、当該「権限状況」を見た会員は、当該レポートについてのアクセス権の現況とその履歴を知ることができる。
【0044】
図4において、「こうなん」病院の「しみず」という会員名の左には「剥奪」と記されたボックスがあり、例えばこのボックスにチェックを入れて、右下の「登録」を選択すると、その情報がウエブサーバ2に送信され、ウエブサーバ2は、「こうなん」病院の「しみず」という会員の当該レポートについてのアクセス権の剥奪をデータベース1に登録する。他方、「登録」の左側には「付与」のボックスがあり、このボックスにアクセス権を付与したい会員名を入力して「登録」を選択すると、その情報がウエブサーバ2に送信され、ウエブサーバ2は、その入力された会員の存在をデータベース1に照会し、存在が確認できた場合には、その入力された会員の当該レポートについてのアクセス権の付与をデータベース1に登録する。
【0045】
なお、図4に示すアクセス権設定ページには、便宜上、付与ないしは剥奪されるアクセス権の種類についての表示はしていないけれども、当該レポートについて付与若しくは剥奪するアクセス権の内容を、参照だけのアクセス権か、参照だけでなく編集もできるアクセス権かを区別して指定したり、レポート中の項目ごと若しくは項目群ごとに参照又は編集についてのアクセス権の付与又は剥奪が指定できるようになっている。通常、他の会員に編集のアクセス権を付与したり剥奪したりすることができるのは、そのレポートについて編集のアクセス権を有している会員に限られ、参照のアクセス権しか付与されていない会員が、他の会員に付与したり他の会員から剥奪したりすることができるのは、参照のアクセス権だけである。また、そのレポートについてのレポート作成者の地位を他の医師会員に変更することも可能である。ただし、レポート作成者の地位を他の医師会員に変更することができるのは、当該レポートの作成者に限られることは勿論である。これらの場合、アクセス権設定ページからウインドを開くことによって、登録されている医師等の名前とその所属する医療機関名等のリストが表示されるか、或いは、名前の頭文字を入力するか、所属医療機関名を入力すると、該当する医師等の医療スタッフのリストが表示されるようにしておくと便利である。
【0046】
剥奪又は付与のいずれの場合であってもアクセス権の変更要求が医師用端末8からアクセス権設定ページを介して送信された場合には、ウエブサーバ2は、そのような変更要求をデータベース1に登録する。医師用端末8から為されたこのようなアクセス権の変更については、当該レポートの対象患者は、後述するとおり、患者用端末を介してウエブサーバ2にアクセスしてその変更内容の詳細を知ることができ、万が一不都合があった場合には、自己の患者用端末から、アクセス権を更に変更することができる。このような仕組みを設けることによって、本発明のシステムにおいては、患者には自己のレポートについてのアクセス権の付与、剥奪についての最終的な権限を保証しながら、医師用端末8の使用者である医師には、選択したレポートについてのアクセス権を変更する自由度を与えることが可能となる。
【0047】
〈医師用端末からのレポート検索〉
本発明の特定疾患医療情報管理システムの他の好ましい態様においては、上述したレポート編集ページ、レポート参照ページ、レポート新規作成ページ、レポート一覧ページ、アクセス権設定ページ、又はその他のページのうちの少なくともいずれか1つには、例えば図5に示すようなレポート検索ウインドが設けられている。レポート検索ウインドには、過去に入院した年月を入力するボックスと、医療機関名を入力するボックス、及び対象患者名を入力するボックスがあり、医師用端末8の使用者が、これら全ての項目を入力した後、「検索」ボタンを選択すると、その情報はウエブサーバ2に送信され、ウエブサーバ2は、上記全ての項目が入力されていることを確認し、入力されている場合には、それら全ての条件を満たすレポートが存在するかどうかをデータベース1に照会して、その結果を、該当するレポートの件数でのみ、医師用端末8に提供する。したがって、ウエブサーバ2からの検索結果の回答があった時点では、たとえ該当するレポートが存在したとしても、医師用端末8の使用者には、該当したレポートの件数が分かるだけで、その詳細は分からない。該当するレポートの詳細を知るには、そのレポートの対象患者に依頼してそのレポートについてのアクセス権を付与してもらうことが必要となる。
【0048】
過去の入院に関する情報は、例えば、患者自身から聞くことによって得ることができ、上記のようなレポート検索ウインドは、例えば、新規入院患者の記憶を元に、過去の入院記録を検索する場合に有用である。本発明のシステムは、レポート検索ウインドを介して、レポート検索ウインドが指定する上記の全ての情報の入力があったときに検索を実行するので、例えば、患者名のみに基づく検索は、たとえ医師であっても、することができない。このため、新規入院患者は、過去に他の医療機関に入院した経験があっても、そのことを当該医療機関の担当医には明かしたくない場合、過去の入院年月や医療機関名を言わないことで、自己のプライバシーを守ることができる。このようにしておくことにより、本発明のシステムにおいては、必要な場合にはレポートの検索が可能でありながら、検索手段の存在によってアクセス権が実質上無意味なものとなることを避けることができる。
【0049】
〈患者用端末の使用者の認証と提供されるサービス〉
図6は、患者用端末の使用者の認証と、認証後に本発明のシステムから患者用端末に提供されるサービスの概略を示す図である。図6に示すとおり、患者用端末9の使用者は、本発明のシステムの患者用ポータルとなるサイトのURLを入力してウエブサーバ2に接続要求を出すと、ウエブサーバ2は、患者用端末9に、ID入力ウインドを備えたトップメニューページを送信する。この場合、患者用ポータルとなるサイトのURLは、医師用ポータルのURLと同じであっても良いけれども、好ましくは、医師用とは別に患者用のポータルサイトを別に設けておくのが良い。患者用のポータルと医師用のポータルとを別個に設けておくことにより、それぞれのポータルには、特定の疾患を患っている患者又は特定の疾患の治療に携わっている医師という選択された利用者が訪れることになるので、それぞれのポータルサイトの広告スペースとしての価値が高まるという利点が得られる。
【0050】
患者用端末9の使用者が自己のIDを入力してそのページを送り返すと、ウエブサーバ2は、データベース1にアクセスし、データベース1に登録されている登録会員の認証に関する情報と照らし合わせ、入力されたIDが患者会員のものとして存在しているかどうか、また、存在している場合にはその有効、無効を確認する。入力されたIDが患者会員のものとしてその存在が確認され、かつ、その有効であることが確認された場合には、ウエブサーバ2は、患者用端末9に装備されている非接触ICカードリーダライタ12に、例えばEdyカードなどの予めデータベースに登録されている所定のICカード15を近接させて、ICカードに記録されている番号をウエブサーバ2に送信することを促す。そして、送信されてきたICカードの番号が、既にデータベース1に登録されている当該患者のICカード番号と一致したとき、ウエブサーバ2は認証完了をデータベース1に登録すると共に、認証完了のページ及び/又はメニューページを患者用端末9に送信する。
【0051】
上述した認証の仕方はあくまでも一例であって、患者用端末9の使用者の認証には、医師用端末8の使用者の認証と同じく、ワンタイムパスワードを使用する認証方式を用いても良いし、通常のID番号と固定式のパスワードを使用する認証や、生体認証を利用しても良い。なお、ICカードによる認証方式を利用しない場合には、患者用端末9に非接触ICカードリーダライタ12を装備する必要がないことは言うまでもない。
【0052】
以上のようにして認証が完了すると、ウエブサーバ2は、患者用端末9にメニューページを提供し、そのメニューページには、例えば、図6に示すとおり、「レポートの参照」、「情報の入力」、「アクセス権の変更」といった選択肢がある。患者用端末9の使用者である患者が、レポートの参照を選択した場合、ウエブサーバ2は、データベース1に登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、当該患者がアクセス権を有しているレポート、つまりは当該患者についてのレポートの一覧ページを患者用端末9に提供する。或いは、メニューページを提供する代わりに、患者用端末9からの要求を待つことなく、認証完了後に、当該患者がアクセス権を有しているレポートの一覧ページを、直ちに患者用端末9に提供するようにしても良い。その場合には、情報の入力ボタン及びアクセス権の変更ボタンを、当該レポート一覧ページに設けておくのが望ましい。
【0053】
患者用端末9の使用者である患者は、提供されたレポート一覧から参照を希望するレポートを選択することによって、当該レポートを参照することができる。この場合、患者自身が、例えば医師の所見等の自己のレポート中の特定の項目については予め自身の参照権限を剥奪し、それをデータベース1に登録しておくことができる。こうすることによって、患者には、レポート中の見たくない項目については見ないでおくという権利が保証される。
【0054】
患者用端末9の使用者である患者が、メニューページから「情報の入力」を選択するか、レポート一覧ページから特定のレポートを選択することなく情報の入力ボタンを選択すると、ウエブサーバ2は、当該患者がアクセス権を有しているレポートの一覧ページを患者用端末9に提供し、その提供されたレポートの一覧ページ上で当該患者が情報の入力を希望するレポートを選択すると、ウエブサーバ2は、その選択されたレポートについての情報入力ページを患者用端末9に提供する。患者用端末9の使用者である患者が、レポート一覧ページから特定のレポートを選択した上で情報の入力ボタンを選択した場合には、ウエブサーバ2は、その選択されたレポートについての情報入力ページを患者用端末9に提供する。
【0055】
当該患者が特定のレポートについての情報入力ページ上で、例えば、その日又は前日の薬の服用履歴や食事の内容、体温、血圧、脈拍、血糖値などのデータを入力し、入力完了ボタンを選択すると、その内容がウエブサーバ2に送信され、ウエブサーバ2は、送信されてきた内容に基づいて、データベース1に登録されている当該レポートを更新する。一方、医師等は、アクセス権を有していることを条件に、この更新されたレポートを自己の医師用端末8を介して見ることができ、在宅治療している当該患者の健康状態や治療状態をつぶさに監視して、適切なアドバイスや、必要な場合には投薬の種類や用量の変更についての指示を、当該患者に与えることができる。
【0056】
患者用端末9の使用者である患者が、メニューページから「アクセス権の変更」を選択するか、レポート一覧ページから特定のレポートを選択することなくアクセス権の変更ボタンを選択すると、ウエブサーバ2は、当該患者がアクセス権を有しているレポートの一覧ページを患者用端末9に提供し、その提供されたレポートの一覧ページ上で当該患者がアクセス権の変更を希望するレポートを選択すると、ウエブサーバ2は、その選択されたレポートについてのアクセス権の変更ページを患者用端末9に提供する。患者用端末9の使用者である患者が、レポート一覧ページから特定のレポートを選択した上でアクセス権の変更ボタンを選択した場合には、ウエブサーバ2は、その選択されたレポートについてのアクセス権変更ページを患者用端末9に提供する。
【0057】
患者用端末9に提供されるアクセス権変更ページは、基本的に図4に示した医師用端末8に提供されるアクセス権設定ページと同じである。このアクセス権変更ページには、当該レポートについて現在設定されているアクセス権の内容が、これまでのアクセス権の設定ないしは剥奪の履歴とともに表示されるので、患者用端末9の使用者である患者は、その内容を確認して、既に設定ないしは剥奪されているアクセス権について万が一不都合がある場合には、このページ上で、特定の医師等に付与されているアクセス権を剥奪したり、特定の医師等にアクセス権を付与したりして、当該レポートについてのアクセス権を変更することができる。ただし、当該レポートを作成した医師についてのアクセス権の剥奪は禁止されている。
【0058】
以上のような場合において、アクセス権変更ページから更にウインドを開くことによって、登録されている医師等の名前とその所属する医療機関名等のリストが表示されるか、或いは、名前の頭文字を入力するか、所属医療機関名を入力すると、該当する医師等の医療スタッフのリストが表示されるようにしておくと便利である。
【0059】
変更されたアクセス権についての情報は、アクセス権変更ページ上の「登録」ボタンを選択することによってウエブサーバ2に送信され、ウエブサーバ2は、アクセス権の付与の要求があった場合には、アクセス権を付与された会員の存在を確認した上で、また、アクセス権の剥奪の要求があった場合には、そのアクセス権が剥奪される会員が当該レポートを作成した医師でないことを確認した上で、データベース1に登録されているアクセス権に関する情報を更新する。
【0060】
〈事務局端末〉
本発明の特定疾患医療情報管理システムは、前記データベース1及び前記ウエブサーバ2を適宜管理する手段として、ウエブサーバ2及び/又はデータベース1に直接若しくはネットワークを介して随時接続する事務局端末10を備えているのが好ましい。事務局端末10は、当該システムを管理する事務局員によって操作され、ウエブサーバ2及び/又はデータベース1に接続して、少なくとも、新規会員の登録及び既存会員の登録抹消を含めた会員情報の管理を行う手段と、登録会員の認証に関する認証情報を管理する手段と、前記データベースに登録されているレポートを統計処理する手段とを備えている。したがって、新規会員の登録受付やデータベース1への登録、或いは、脱会による登録会員の登録抹消は事務局端末10を介して行われる。図示しない事務局は、新規会員の登録時に、その会員にIDを付与し、それを事務局端末10を介してデータベース1に登録すると共に、会員が所有する携帯電話の番号やその機器固有番号、更には携帯メールアドレス、インターネットメール等のメールアドレス、ICカードの番号等の新規登録や変更、停止なども受け付け、それを事務局端末10を介して、適宜データベース1に登録する。
【0061】
また、事務局端末10は、自己の内部若しくはウエブサーバ2内に統計処理手段を備えており、データベース1に登録されている多数のレポートを、特定の項目をキーに検索してリストアップしたり、並べ替えたり、積算したりすることを要求する手段を有しており、異なる医療機関にまたがる特定疾患に関しての統計処理を行うことができる。さらには、会員が所属する若しくは所属しない医療機関のリストや、特定疾患に関連する薬剤名とその薬剤についての情報や、特定疾患の治療に用いられる各種術式などを総合して管理する機能も併せ持つことができる。また、各医師用端末8に提供されるXML形式による医療情報のエクスポートに関し、制定されたXMLタグについての管理や、新たなタグの設定等を行い、必要に応じてデータベース1に登録し、ウエブサーバ2を通じて、制定されたXMLタグの周知徹底を促す手段も備えている。
【0062】
また、事務局端末10は、ウエブサーバ2及び/又はデータベース1に接続して、アクセス権についての基本情報として、例えば医師、看護師、放射線技師、薬剤師、患者等の区分によって、基本的に付与されているアクセス権の種類を設定、管理する手段も備えている。なお、事務局端末10からのウエブサーバ2への接続要求から認証完了までの流れは、医師用端末8からのウエブサーバ2への接続要求から認証完了までの流れについて説明したのと同様である。
【0063】
〈転院支援システム〉
上述した本発明の特定疾患医療情報管理システムは、転院支援システムを包含することができる。転院支援システムとは、入院患者を他の医療機関に転院させるに際し、その受入先を探し出す作業を支援するシステムである。転院が必要となる状況としては、例えば、旅先での突然の発症による地元医療機関への入院後、症状が落ち着いた段階での本来の居住地域近辺の医療機関への転院や、脳卒中のように、突然発症し、発症直後は急性期病院と呼ばれる医療機関での入院治療が必要であるものの、症状が落ち着いた段階では、リハビリや長期療養のために他の医療機関への転院が必要になる場合などがある。本発明の転院支援システムは、対象となる転院患者の疾患の種類に関わらず、転院先を見出す作業を容易で簡単なものとするのに有効である。
【0064】
以下、本発明の転院支援システムを、本発明の特定疾患医療情報管理システムに包含されている例に基づいて説明するけれども、本発明の転院支援システムは、本発明の特定疾患医療情報管理システム中の一機能として十分に有用であることは勿論、特定疾患に関連した転院支援に限ることなく、通常一般の医療機関における種々の原因による転院の必要時にも、独立して、その機能を発揮するものである。
【0065】
本発明の特定疾患医療情報管理システムにおいて、転院支援システムを利用するには、前述した図3において、「転院支援の利用」を選択すれば良い。図3において、「転院支援の利用」の選択肢は、特定レポートについての編集、参照又は新規作成ページにあるので、この状態で「転院支援の利用」を選択すると、ウエブサーバ2は、その選択されている特定のレポートについての「転院支援の利用」であると判断し、例えば図7に示すような、特定レポートについての転院依頼ページを医師用端末8に提供する。
【0066】
「転院支援の利用」の選択肢が設けられるページは、特定レポートについての編集、参照又は新規作成ページだけに限られるものではなく、ウエブサーバ2が認証完了後に医師用端末8に提供するその他のページのいずれか1つ若しくは2つ以上に設けることができる。ただし、対象となるレポートを特定せずに「転院支援の利用」を選択した場合には、ウエブサーバ2は、レポート一覧ページ等を例えばウインドとして転院依頼ページと共に医師用端末8に提供して、対象となるレポートの指定を促すことができる。医師用端末8の使用者が対象となるレポートを選択して指定すると、レポート一覧ページ等のウインドは消去しても良い。
【0067】
本発明の転院支援システムにおける転院依頼から転院完了までの流れは、例えば図8に示すように進行する。すなわち、転院を依頼する側の医療機関においては、前提として、医師用端末8を介して、転院対象患者のレポートを作成することが必要である。当該レポートには、基本情報として、当該患者の氏名、性別、年齢、生年月日、住所などが記載され、更には、当然のことながら疾患の種類も記載されている。次に、図7に示されるような転院依頼ページを介して転院依頼を行うに先立ち、転院受入側の医療機関が当該患者を受け入れることができるかどうかを判断する上で重要な、例えば、麻痺、嚥下、呼吸、認知等の当該患者に認められる障害種や、当該患者のBarthel Index(BI)と呼ばれる日常生活活動レベルの指標値等の医療情報を入力することが必要となる。これらの医療情報が既にレポート中に存在する場合はそれで良いが、もしもいずれかが未だ入力されていない場合には、その入力が必要である。入力は、転院依頼ページから行うようにしても良いし、レポート編集ページや新規レポート作成ページから行っても良い。入力された医療情報は当然に当該レポートの医療情報となる。必要な医療情報を入力した上で、申込日を入力し、図示しない申込ボタンを選択すると、当該情報は転院依頼要求としてウエブサーバ2に送信される。
【0068】
ウエブサーバ2は、依頼側の医師用端末8から転院依頼要求があった場合、これを受領して、転院依頼に必要な項目が入力されているかどうかを必要に応じて確認した後、当該レポートに記入されている医療情報の中から、患者個人を特定することができる情報を除外して、受入側が転院受入の可否を判断するのに必要な情報のみを抽出し、ウエブを介して転院依頼(受入側)一覧ページとして送信可能にする手段を備えている。受入側が転院受入の可否を判断するのに必要な情報が多くあり、転院依頼(受入側)一覧ページ若しくはその所定欄に収まりきらない場合には、ウエブサーバ2は、受入側が転院受入の可否を判断するのに必要な情報の全部又は一部を転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして、送信可能にする手段を更に備えている。受入側が転院受入の可否を判断するのに必要な情報とは、例えば、上述した麻痺、嚥下、呼吸、認知等の当該患者に認められる障害種や、当該患者のBI値であり、患者個人の基本情報に関しては、性別、年齢、おおよその住所エリア等であるけれども、必要に応じて、レポート中に含まれる患者個人を特定できる情報以外の全ての情報を、受入側が転院受入の可否を判断するのに必要な情報とするのが良い。
【0069】
ウエブサーバ2は、当該患者のレポートから受入側の転院受入可否の判断に必要な情報を抽出し、他の転院依頼に基づいて抽出される他のレポートからの情報と共に、ウエブを介して、転院依頼(受入側)一覧ページとして、及び、必要に応じて、転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして、送信可能状態にする。他の転院依頼に基づいて抽出される他のレポートからの情報としては、同じ医師用端末8又は異なる医師用端末8からの他の転院依頼要求に基づいて他のレポートから抽出されるものがある。ウエブサーバ2は、転院受入候補側の医師用端末8からの要求に基づいて、それら受入側の転院受入可否の判断に必要な情報を転院依頼(受入側)一覧ページ又は転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして、要求のあった医師用端末8に提供する。転院依頼(受入側)一覧ページ又は転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページを構成する情報は、各レポートから抽出されてウエブサーバ2内又はデータベース1内にファイルとして送信可能状態で存在していても良いし、転院受入候補側の医師用端末8からの要求に応じて送信するときに、その都度、該当するレポートから必要な情報を抽出することで送信可能状態とされていても良い。
【0070】
一方、転院受入候補側の医療機関においては、医師用端末8を介して、適宜、本発明のシステムに接続し、転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択することによって、転院依頼(受入側)一覧ページを見ることができる。転院依頼(受入側)一覧ボタンは、ウエブサーバ2が使用者の認証完了後に医師用端末8に提供する少なくともいずいれか1つのページにあれば良い。転院受入候補側の医療機関においては、転院依頼(受入側)一覧ページの中から、受入可能な患者を、その患者の障害種の種類や程度、住所エリア、性別、年齢、疾患の種類、BI値などや、場合によっては、例えば転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして提供されるその他の情報に基づいて総合的に判断し、受入可能な患者を選択して、当該患者についてのチェックボックスにチェックを入れるか、当該患者についての入院可能日を入力した上で、例えば「登録」ボタンを選択して、エントリ要求をウエブサーバ2に送信する。ウエブサーバ2は、送信されてきた情報に基づいて、それをエントリ要求と判断することができる。
【0071】
エントリ要求を受けたウエブサーバ2は、当該患者のレポートに、エントリした医療機関名及び/又は医師名、入院可能日等のエントリ情報を付加して、同じ医師又は同じ医療機関が既に転院依頼をしている他の患者のレポートと、それらに不随するエントリ情報がある場合にはそれらのエントリ情報とを共に、ウエブを介して、転院依頼(依頼側)一覧ページ及び転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして送信可能状態にすることによって、転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する。
【0072】
ウエブサーバ2は、受入候補側の医療機関の医師用端末8からのエントリ要求を受領すると、上述のとおり、転院依頼(依頼側)一覧ページを更新すると共に、エントリがあったことを、当該転院依頼を行った医師用端末8の使用者に、例えば、携帯メールや電子メール等で通知する。このようにウエブサーバ2が、エントリがあったときに自動的にその事実をメール等で通知することにより、転院依頼を行った医療機関側の医師が、遅滞なく、エントリの事実を知ることが保証される。
【0073】
メール等の通知によってエントリのあったことを知らされた医師は、医師用端末8を介して本発明のシステムに接続し、転院依頼(依頼側)一覧ボタンを選択することによって、転院依頼(依頼側)一覧ページを見て、受入可能を表明した医療機関名及び/又は医師名やその受入可能日などのエントリの具体的な内容を知ることができる。転院依頼(依頼側)一覧ボタンは、ウエブサーバ2が使用者の認証完了後に医師用端末8に提供する少なくともいずいれか1つのページにあれば良い。
【0074】
転院依頼を行った医療機関側の医師は、転院依頼(依頼側)一覧ページを見て、エントリの具体的な内容を知り、エントリした医療機関や医師、入院可能日などの条件を検討し、更にはエントリが複数ある場合にはそれぞれの条件を比較検討して、受入側の医師及び/又は医療機関を決定する。決定は、例えば、転院依頼(依頼側)一覧ページ上で行うことができ、一覧ページに示された各エントリのいずれかを選択して、決定ボタンを選択すれば良い。転院依頼を行った医療機関側の医師が、受入側の医師及び/又は医療機関を決定し、その旨を、例えば転院依頼(依頼側)一覧ページを介してウエブサーバ2に送信すると、ウエブサーバ2は、転院依頼(受入側)一覧ページにその旨を記入して、転院依頼(受入側)一覧ページを更新すると共に、受入先として決定された医師及び/又は医療機関に転院受入先として決定されたことをメール等で通知する。これにより、決定された医師及び/又は医療機関は、転院受入先として決定されたことを知り、必要に応じて、医師用端末8を介して本発明のシステムに接続し、転院依頼(受入側)一覧ページを見ることによってそのことを確認することができる。
【0075】
以上のようにして転院の受入先が決まると、転院を依頼した医師は、当該患者に転院の受入先について説明をし、必要であれば、患者と転院受入先の医療機関ないしは医師との面談を促し、面談の結果、転院受入先の医療機関ないしは医師が最終的に受入を決定すると、その医療機関又は医師は、医師用端末8を介して本システムに接続し、例えば、転院依頼(受入側)一覧ページ上で、最終的に転院受入が完了したことを入力し、ウエブサーバ2に送信する。ウエブサーバ2は、送信されてきた情報に基づいて、それを転院受入完了の通知であると判断して受領し、その旨を転院依頼(依頼側)一覧ページに記入して、転院依頼(依頼側)一覧ページを更新すると共に、受入側の医療機関又は医師から最終的な受入完了の連絡があったことを、依頼側の医療機関又は医師にメール等で通知する。
【0076】
メール等によって、最終的な受入完了の連絡があったことの通知を受けた依頼側の医療機関ないしは医師は、医師用端末8を介して、本システムに接続し、転院依頼(依頼側)一覧ページ上でその事実を確認することができる。また、その事実を確認した医療機関又は医師は、例えば、転院依頼(依頼側)一覧ページ上の該当するボックスにチェックを入れて送信するか、該当するボタンを選択するかして、対象となる患者のレポートについてのアクセス権を、受入側の医療機関又は医師に付与することをウエブサーバ2に指示する。ウエブサーバ2は、その指示を受け、データベース1に登録されているアクセス権に関する情報を更新し、必要に応じて当該レポートのコピーを作成し、転院受入側の医療機関又は医師に提供する。このようにして転院依頼手続が完了したとき、本システムの利用にインセンティブを与えるため、転院依頼側及び/又は転院受入側の医師にポイントを付与するようにしても良い。ポイントはウエブサーバ2が自動的に付与し、データベース1に登録する。
【0077】
またウエブサーバ2は、当該転院患者のレポートについてのアクセス権が転院受入側の医師に付与されたこと、したがって、当該患者のレポートについては、個人を特定する情報も含めて全てが参照可能であることをメール等で転院受入側の医療機関又は医師に通知する。転院受入側の医師は、その後は、自分の医師用端末8から当該患者のレポートを適宜参照することができ、また、ウエブサーバ2から提供される当該レポートのコピーに基づいて、新たなレポートを作成することができる。
【0078】
以上、本発明の特定疾患医療情報管理システムに包含された状態での本発明の転院支援システムについて説明したけれども、本発明の転院支援システムは、特定疾患によって医療機関に入院した患者の転院だけに有効なものでなく、疾患の種類を問わず、一の医療機関から他の医療機関への転院が必要な場合すべてについて有用であることは明かである。
【0079】
以上のような本発明の特定疾患医療情報管理システム並びに本発明の転院支援システムは、サーバとなるコンピュータとデータベースを特定疾患医療情報管理システムまたは転院支援システムとして機能させるコンピュータプログラムによって実現される。そのようなコンピュータプログラムは極めて有用なものであり、たとえ具体的なプログラムリストの開示がなくとも、どのようなプログラムであるかは、上記の本発明の特定疾患医療情報管理システム並びに本発明の転院支援システムの説明から、当業者には自明の事項である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明の特定疾患医療情報管理システムは、再発や転院、再入院の可能性の高い生活習慣病と呼ばれる疾患に罹患している患者にとって、医療機関や医師が変わっても、必要な自己のプライバシーは保持しつつ、常に継続した一貫性のある治療を受けることを容易にする有用な手段であり、さらには在宅治療の有効な補助手段ともなるものである。また、特定疾患の治療等に携わる医師等の医療関係者にとっても、特定の疾患に罹患している患者についての共通したフォーマットのデータベースを利用できる利点には大きなものがある。さらに、発明の転院支援システム或いはこれを包含する本発明の特定疾患医療情報管理システムによれば、従来は個別に情報を開示して個別に探すしかなかった転院の受入先を、短時間に僅かな労力で見出すことができ、医師等の医療関係者にとっても、患者にとっても、極めて有用であり、その医療業界にもたらす利便性の向上には実に多大のものがある。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の特定疾患医療情報管理システムの一例の全体構成図である。
【図2】医師用端末からの接続要求から認証完了までの流れを示す図である。
【図3】医師用端末によるレポートの作成若しくは編集の手順の一例を示す流れ図である。
【図4】アクセス権設定ページの一例を示す図である。
【図5】レポート検索ウインドの一例を示す図である。
【図6】患者用端末の使用者の認証と、認証後に本発明のシステムから患者用端末に提供されるサービスの概略を示す図である。
【図7】転院依頼ページの一例を示す図である。
【図8】本発明の転院支援システムにおける転院依頼から転院完了までの流れを示す図である
【符号の説明】
【0082】
1 データベース
2 ウエブサーバ
3 インターネットデータセンター
4 プロキシサーバ
5 ファイヤーウォール
6 ルータ
7 インターネット網
8 医師用端末
9 患者用端末
10 事務局端末
11 携帯電話
12 非接触ICカードリーダライタ
13 携帯電話会社
14 メールサーバ
15 ICカード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、データベースと、そのデータベースに常時又は随時接続するウエブサーバとを備えた特定疾患情報管理システムであって、(A)前記データベースには、少なくとも、特定疾患による医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートと、そのレポートについてのアクセス権に関する情報と、登録会員に関する会員情報と、登録会員の認証に関する認証情報とが登録されており、(B)前記ウエブサーバは、医師用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった医師用端末に医師用のトップページを提供する手段と;その医師用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその医師用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、その医師用端末からの要求を待って或いは待たずに、その医師用端末に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページ及び新規レポート作成ボタンを提供する手段と;その医師用端末において新規レポート作成ボタンが選択された場合には新規レポート作成ページを提供する手段と;その医師用端末においてレポート一覧から特定の既存のレポートが選択された場合には、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、当該レポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート編集ページを提供する手段と;医師用端末から新規レポートの登録要求又は既存レポートの更新要求と共に、新規登録すべきレポート又は更新登録すべきレポートの送信があったときに、作成された新規レポート又は更新された既存レポートを前記データベースに登録する手段と;登録された新規レポートについて当該レポートの作成者並びに当該レポートの対象患者をアクセス権を有する者として前記データベースに登録する手段とを備え、(C)さらに前記ウエブサーバは、患者用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった患者用端末に患者用のトップページであって、医師用のトップページと同じか若しくは異なるトップページを提供する手段と;その患者用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその患者用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、患者用端末からの要求を待って或いは待たずに、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その患者用端末に、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページを提供する手段と;その患者用端末においてレポート一覧ページから特定のレポートが選択された場合に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その患者用端末に、選択されたレポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート入力ページを提供する手段と;患者用端末からレポートの更新要求と共に、更新登録すべきレポートの送信があったときに、更新されたレポートを前記データベースに登録する手段とを備えている、特定疾患医療情報管理システム。
【請求項2】
前記ウエブサーバが医師用端末に提供するアクセス権を有するレポートの一覧ページ、新規レポート作成ページ、レポート参照ページ、及びレポート編集ページの少なくともいずれか1つには、アクセス権設定ボタンが設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者が、アクセス権を有するレポートの一覧ページからいずれかのレポートを選択した上でアクセス権設定ボタンを選択したとき、又は、新規レポート作成ページ、レポート参照ページ、又はレポート編集ページのアクセス権設定ボタンを選択したとき、選択されたか若しくは選択されているレポートに関してのアクセス権設定ページを、当該レポートについてその時点で登録されているアクセス権に関する情報と、必要に応じて当該レポートについてのアクセス権の設定変更の履歴情報と共に、その医師用端末に提供する手段と;医師用端末から、アクセス権設定ページを介して、アクセス権を設定若しくは剥奪する登録会員の特定と、場合によっては、設定若しくは剥奪するアクセス権の範囲の特定とを含むアクセス権の変更要求があったときこれを受領する手段と;その特定された登録会員の存在を必要に応じて前記データベースに照会して確認する手段と;受領した当該レポートについてのアクセス権の変更要求に基づいて前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報を更新する手段とを備えている請求項1記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項3】
前記ウエブサーバが患者用端末に提供するアクセス権を有するレポートの一覧ページ、レポート参照ページ、及びレポート入力ページの少なくともいずれか1つには、アクセス権設定ボタンが設けられており、前記ウエブサーバは、患者用端末の使用者が、アクセス権を有するレポートの一覧ページからいずれかのレポートを選択した上でアクセス権設定ボタンを選択したとき、又は、レポート参照ページ又は入力ページのアクセス権設定ボタンを選択したとき、選択されたか若しくは選択されているレポートに関してのアクセス権設定ページを、当該レポートについてその時点で登録されているアクセス権に関する情報と、必要に応じて当該レポートについてのアクセス権の設定変更の履歴情報と共に、その患者用端末に提供する手段と;患者用端末から、アクセス権設定ページを介して、アクセス権を設定若しくは剥奪する登録会員の特定と、場合によっては、設定若しくは剥奪するアクセス権の範囲の特定とを含むアクセス権の変更要求があったときこれを受領する手段と;その特定された登録会員の存在を必要に応じて前記データベースに照会して確認する手段と;受領したアクセス権の変更要求に基づいて前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報を更新する手段とを備えている請求項1又は2記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項4】
アクセス権を剥奪される登録会員が当該レポートの作成者である場合には、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報を更新しない手段を備えている請求項2又は3記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項5】
前記ウエブサーバが医師用端末に提供するアクセス権を有するレポートの一覧ページ、新規レポート作成ページ、レポート参照ページ、レポート編集ページ、アクセス権設定ページ、又はその他のページの少なくともいずれか1つには、レポート検索ウインドが設けられており、前記ウエブサーバは、そのレポート検索ウインドを介して、少なくとも入院年、入院月、医療機関名、及び患者名の全ての入力があったとき、前記データベースにその全ての条件を満たすレポートが存在するかどうかを照会する手段と;存在している場合にはその該当するレポートの件数のみを医師用端末に提供する手段とを備えている請求項1〜4のいずれかに記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項6】
(A)前記ウエブサーバが医師用端末に提供する新規レポート作成ページ、レポート参照ページ、編集ページ又はその他のページの少なくともいずれか1つには、転院支援の利用の選択肢が設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院支援の利用を選択したときに、転院依頼ページをその医師用端末に提供する手段と;医師用端末から、転院依頼ページを介して、特定のレポートの患者についての転院依頼要求があったとき、当該レポートから、患者個人を特定できる情報を除外し、転院受入の可否の判断に必要な情報のみを抽出し、ウエブを介して転院依頼(受入側)一覧ページとして、若しくはその転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして送信可能にする手段を備えているとともに、(B)前記ウエブサーバが、医師用端末の使用者の認証を完了した後、医師用端末に提供する少なくともいずれか1つのページには、転院依頼(依頼側)一覧ボタン及び/又は転院依頼(受入側)一覧ボタンが設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院依頼(依頼側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末の使用者が転院依頼を行っている患者個人を特定できる情報と、エントリしている医療機関名等の情報を少なくとも含む転院依頼(依頼側)一覧ページを当該医師用端末に提供する手段と;医師用端末の使用者がその転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末に、前記転院依頼(受入側)一覧ページを提供する手段を備え、(C)かつ、前記ウエブサーバは、転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択した医師用端末から、転院依頼(受入側)一覧ページを介して、受入可能な患者を特定した上で、エントリの要求があったときこれを受領する手段と;当該患者の転院依頼にエントリがあったこと、及び、その機関名等の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;エントリがあったことを当該転院依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末から、更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを介して、エントリの受入通知があったときこれを受領する手段と;エントリの受入があったことを、当該エントリを行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該エントリを行った使用者の医師用端末から、当該患者の転院受入完了の通知があったときこれを受領する手段と;転院受入完了の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;転院受入完了の通知があったことを当該転院の依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院の依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に転院受入完了の情報が付加された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末からの、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者に対する当該レポートについてのアクセス権付与の要求があったときこれを受領し、データベースに登録されている当該レポートについてのアクセス権に関する情報を更新する手段と;アクセス権の付与があったことを、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;必要に応じて、当該レポートのコピーを作成する手段とを備えている請求項1〜5のいずれかに記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項7】
上記ウエブサーバ及び/又は上記データベースに直接若しくはネットワークを介して接続する事務局端末を備え、前記事務局端末は、少なくとも、新規会員の登録及び既存会員の登録抹消を含めた会員情報の管理を行う手段と;登録会員の認証に関する認証情報を管理する手段と、前記データベースに登録されているレポートを統計処理する手段とを備えている請求項1〜6のいずれかに記載の特定疾患医療情報管理システム。
【請求項8】
少なくとも、データベースと、そのデータベースに常時又は随時接続するウエブサーバとを備えた転院支援システムであって、(A)前記データベースには、少なくとも、医療機関への1患者の1入院ごとに作成されるレポートと、そのレポートについてのアクセス権に関する情報と、登録会員に関する会員情報と、登録会員の認証に関する認証情報とが登録されており、(B)前記ウエブサーバは、医師用端末からのネットワークを介しての接続要求に応じて接続要求のあった医師用端末に医師用のトップページを提供する手段と;その医師用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその医師用端末の使用者を認証する手段と;認証の完了後に、その医師用端末からの要求を待って或いは待たずに、その医師用端末に、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、その使用者がアクセス権を有するレポートの一覧ページ及び新規レポート作成ボタンを提供する手段と;その医師用端末において新規レポート作成ボタンが選択された場合には新規レポート作成ページを提供する手段と;その医師用端末においてレポート一覧から特定の既存のレポートが選択された場合には、前記データベースに登録されているアクセス権に関する情報に基づいて、当該レポートの全項目若しくは一部の項目についてのレポート参照ページ又はレポート編集ページを提供する手段と;医師用端末から新規レポートの登録要求又は既存レポートの更新要求と共に、新規登録すべきレポート又は更新登録すべきレポートの送信があったときに、作成された新規レポート又は更新された既存レポートを前記データベースに登録する手段と;登録された新規レポートについて当該レポートの作成者をアクセス権を有する者として前記データベースに登録する手段とを備え、(C)さらに前記ウエブサーバが医師用端末に提供する新規レポート作成ページ、レポート編集ページ、及びその他のページの少なくともいずれか1つには、転院支援の利用の選択肢が設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院支援の利用を選択したときに、転院依頼ページをその医師用端末に提供する手段と;医師用端末から、転院依頼ページを介して、特定のレポートの患者についての転院依頼要求があったとき、当該レポートから、患者個人を特定できる情報を除外し、転院受入の可否の判断に必要な情報のみを抽出し、ウエブを介して転院依頼(受入側)一覧ページとして、若しくはその転院依頼(受入側)一覧ページからアクセス可能なウエブページとして送信可能にする手段を備えているとともに、(D)前記ウエブサーバが、医師用端末の使用者の認証を完了した後、医師用端末に提供する少なくともいずれか1つのページには、転院依頼(依頼側)一覧ボタン及び/又は転院依頼(受入側)一覧ボタンが設けられており、前記ウエブサーバは、医師用端末の使用者がその転院依頼(依頼側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末の使用者が転院依頼を行っている患者個人を特定できる情報と、エントリしている医療機関名等の情報を少なくとも含む転院依頼(依頼側)一覧ページを当該医師用端末に提供する手段と;医師用端末の使用者がその転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択したときに、その医師用端末に、前記転院依頼(受入側)一覧ページを提供する手段を備え、(E)かつ、前記ウエブサーバは、転院依頼(受入側)一覧ボタンを選択した医師用端末から、転院依頼(受入側)一覧ページを介して、受入可能な患者を特定した上で、エントリの要求があったときこれを受領する手段と;当該患者の転院依頼にエントリがあったこと、及び、その機関名等の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;エントリがあったことを当該転院依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末から、更新された転院依頼(依頼側)一覧ページを介して、エントリの受入通知があったときこれを受領する手段と;エントリの受入があったことを、当該エントリを行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該エントリを行った使用者の医師用端末から、当該患者の転院受入完了の通知があったときこれを受領する手段と;転院受入完了の情報を付加して転院依頼(依頼側)一覧ページを更新する手段と;転院受入完了の通知があったことを当該転院の依頼を行った医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;当該転院の依頼を行った使用者の医師用端末からの要求に応じて、その医師用端末に転院受入完了の情報が付加された転院依頼(依頼側)一覧ページを提供する手段と;当該医師用端末からの、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者に対する当該レポートについてのアクセス権付与の要求があったときこれを受領し、データベースに登録されている当該レポートについてのアクセス権に関する情報を更新する手段と;アクセス権の付与があったことを、当該転院受入を完了した医師用端末の使用者にメール等で通知する手段と;必要に応じて、当該レポートのコピーを作成する手段とを備えている転院支援システム。
【請求項9】
医師用端末から入力された認証に必要な情報と前記データベースに登録されている認証情報とに基づいてその医師用端末の使用者を認証する手段が、医師用端末から入力されたIDを受領する手段と、そのIDの存在と有効無効とを前記データベースに登録されている認証情報に基づいて確認する手段と;そのIDの存在と有効性とが確認されたときに当該医師用端末にパスワードの入力画面を提供する手段と;当該医師用端末の使用者用のパスワードを生成し、その有効期限を設定し、それらを前記データベースに登録する手段と;当該医師用端末の使用者の予め前記データベースに登録されているメールアドレスに生成したパスワードをメール送信するか、或いは、当該医師用端末の使用者の予め前記データベースに登録されている携帯電話から予め定められたウエブページに接続があったとき、そのウエブページに生成したパスワードを表示する手段と;当該医師用端末から入力されたパスワードを受領する手段と、受領したパスワードとその有効期限を前記データベースに登録されている情報に基づいて確認する手段と、受領したパスワードの存在とそれが有効期限内のものであることが確認されたときに、当該医師用端末の使用者の認証完了を前記データベースに登録する手段とを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の特定疾患医療情報管理システム又は請求項8記載の転院支援システム。
【請求項10】
コンピュータ及びデータベースを請求項1〜9のいずれかに記載の特定疾患医療情報管理システム又は転院支援システムとして機能させるコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−94943(P2007−94943A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286219(P2005−286219)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(505124683)株式会社ヴァイタス (4)
【出願人】(505367073)
【Fターム(参考)】