説明

特殊糸製造装置

【課題】少ない入力データで、織布にスラブの繰り返しによる柄が現れ難いスラブ糸を再現性良く製造することができる特殊糸製造装置を提供する。
【解決手段】特殊糸製造装置は紡出糸の太さの変化を示す複数のパターンデータに基づいてフロントローラ17の変速を行って、少なくともスラブ間ピッチの情報を含む前記パターンデータに対応する特殊糸SYを製造する。CPU24は作業用メモリ26に記憶されたパターンデータに基づいて該パターンデータの数より多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行するための実行プログラムに従って、前記1サイクルの繰り返しパターンが実行された紡出糸を紡出するように第1サーボモータ18を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊糸製造装置に係り、詳しくは紡出糸の太さが一定ではなく太さが変化するスラブ糸あるいは意匠糸と呼ばれる特殊糸を製造(紡出)する特殊糸製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紡出糸の太さが一定ではなく、太さが部分的に太く形成されたスラブ糸あるいは意匠糸と呼ばれる特殊糸がある。図2に示すように、特殊糸(スラブ糸)SYは、スラブS(太糸部)の太さ(スラブ太さD)、長さ(スラブ長さL)及び間隔(スラブ間ピッチP)が変化するように製造される。この特殊糸を製造する場合、基本構成はリング精紡機と同じでドラフトパート(ドラフト装置)のフロントローラとバックローラとがそれぞれ独立して変速駆動可能な精紡機が使用される。特殊糸の製造装置として、精紡機のフロントローラ系及びバックローラ系の少なくとも一方のローラ系を可変速モータによって駆動する駆動装置と、該可変速モータの回転数を制御する制御装置と、該制御装置に制御データを出力する出力装置とを設け、該制御データによりドラフト比を変更する装置が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1には、スラブ(太さムラ)形成のための太さムラのパターンデータを制御データとして予め記憶装置に記憶させておく方法と、可変速モータの制御電圧及び時間をコンピュータによりランダムに発生させてドラフト比を変更させて、実質的に周期性を持たないスラブを有する特殊糸を製造する方法とが提案されている。
【特許文献1】特開昭62−110926号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特殊糸SYをデザインする場合、スラブ太さD、スラブ長さL及びスラブ間ピッチPの設定データが少ないと、その特殊糸SYで織った布にパターンの繰り返しによる柄が現れる状態となり、好ましくない。これを防止するためには設定データ数を多くする必要があり、データ数が100程度では不十分で、1サイクルのパターンデータが1000程度欲しい。しかし、その場合はデータ入力に手間がかかる。一方、パターンデータをランダムにコンピュータが作成する方法では、データ入力の手間はほとんどなく、織布に前記柄が発生することは防止できる。しかし、スラブSの前記各データがランダムとなるため、満管糸間で一致した糸を生産できない。その結果、その特殊糸で織った布の再現性が保証されないという問題がある。
【0004】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、少ない入力データで、織布にスラブの繰り返しによる柄が現れ難いスラブ糸を再現性良く製造することができる特殊糸製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ドラフトパートを構成するフロントローラとバックローラとがそれぞれ別の可変速モータで駆動され、紡出糸の太さの変化を示す少なくともスラブ間ピッチの情報を含むパターンデータに基づいてフロントローラ及びバックローラの少なくとも一方の変速を行って前記パターンデータに対応する特殊糸を製造する特殊糸製造装置である。そして、複数のパターンデータを記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶されたパターンデータに基づいて該パターンデータの数より多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行するための実行プログラムを記憶する第2の記憶手段と、実行中のパターンデータに関する情報を記憶する第3の記憶手段と、前記実行プログラムに従って前記1サイクルの繰り返しパターンが実行された紡出糸を紡出するように前記可変速モータを制御する制御手段とを備えている。
【0006】
ここで「複数のパターンデータを記憶する」とは、1つの基準パターンデータを記憶しておき、記憶された基準パターンデータに含まれる値に所定規則に従って所定の割合を掛けて生成される複数のパターンデータを使用して繰り返しパターンを実行することにより、実質的に複数のパターンデータが記憶されたのと同じ場合をも含む。また、「1サイクルの繰り返しパターン」とは、複数の異なるパターンデータが同じ繰り返しパターンを含むことなく順次実行可能に配列されたパターンデータの配列を意味する。「記憶されたパターンデータに基づき」とは、記憶されたパターンデータそのものに限らず、記憶されたパターンデータを基準データとして、該基準データに含まれる値に所定規則に従って所定の割合を掛けて生成されるパターンデータを使用することをも意味する。また、「実行中のパターンデータに関する情報」とは、現在実行されているパターンデータと、そのパターンデータの次に実行するパターンデータを特定するための情報を含む。
【0007】
この発明では、記憶されたパターンデータより多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行する制御装置により、フロントローラ及びバックローラの少なくとも一方の変速が行われる。従って、少ない入力データで、織布にスラブの繰り返しによる柄が現れ難いスラブ糸を再現性良く製造することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記パターンデータは複数のパターンテーブルに記憶されており、異なるパターンテーブルのパターンデータが交互に並ぶように前記実行プログラムが設定される。この発明では、同じパターンデータ数において、パターンテーブルが1つの場合に比較して、同じパターンデータが連続せずにパターンデータ数の多い前記1サイクルの繰り返しパターンの設定が容易になる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記複数のパターンテーブルに記憶されるパターンデータの数がそれぞれ素数とされる。従って、合計のパターンデータ数が同じでも得られる1サイクルの繰り返しパターンを構成するパターンデータの数が多くなる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記パターンテーブルは二つ設けられ、各パターンテーブルには異なる数のパターンデータが記憶されており、各パターンテーブルからのパターンデータの読み出し順は、予め決められた順に一つずつ読み出し、最後の読み出し順のパターンデータを実行し終えたなら、最初のパターンデータから再び順に実行するようになっている。この発明では、パターンデータの実行順序の決定が簡単になる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記パターンテーブルは二つ設けられ、各パターンテーブルに記憶されたパターンデータの数が異なる場合は、各パターンテーブルからのパターンデータの読み出し順は、予め決められた順に一つずつ読み出し、最後の読み出し順のパターンデータを実行し終えたなら、最初のパターンデータから再び順に実行するようにする。各パターンテーブルに記憶されたパターンデータの数が同じnの場合は、一方のパターンテーブルに関しては1サイクル目からnサイクル目まで、それぞれ予め決められた順に各パターンデータが実行され、他のパターンテーブルに関しては、2サイクル目からは、前のサイクルで2番目のパターンデータから順に実行してそのサイクルの最後は前のサイクルで1番目のパターンデータを実行するようになっている。この発明では、各パターンテーブルに入力するデータ数の設定の自由度が高くなる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記パターンデータはスラブ太さ及びスラブ長さの情報も含んでいる。従って、この発明では、より複雑なパターンの特殊糸を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少ない入力データで、織布にスラブの繰り返しによる柄が現れ難いスラブ糸を再現性良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明をフロントローラの変速によりスラブを形成する特殊糸製造装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。図1は特殊糸製造装置の構成図、図2は特殊糸の部分模式図である。
【0015】
特殊糸製造装置は基本的にリング精紡機と同じに構成されている。図1に示すように、スピンドル1はモータ2により駆動される駆動プーリ3と、被動プーリ4と、両プーリ3,4間に巻き掛けられたタンゼンシャルベルト5とを備えたスピンドル駆動系により回転駆動されるようになっている。モータ2にはインバータ6を介して駆動される可変速モータが使用され、ロータリエンコーダ2aを備えている。スピンドル列に沿ってラインシャフト7が回転自在に配設されている。ラインシャフト7にはトラベラTが走行するリング8aを備えたリングレール8と、スネルワイヤ9を備えたラペットアングル(図示せず)とを昇降させる昇降ユニット10が所定間隔で配設されている(1個のみ図示)。
【0016】
昇降ユニット10はラインシャフト7に一体回転可能に嵌着固定されたねじ歯車11と、リングレール8を支持するポーカピラー12の下部に形成されたスクリュー部12aに螺合するとともにねじ歯車11と噛合するナット体13とを備えている。ラインシャフト7はサーボモータ14の駆動軸に歯車機構(図示せず)を介して連結されており、サーボモータ14が正逆回転駆動されることによりリングレール8が昇降するようになっている。なお、これらの構成は例えば特開平2−277826号公報に開示された装置と基本的に同様である。サーボモータ14はロータリエンコーダ14aを備え、サーボドライバ15を介して制御される。ラインシャフト7、昇降ユニット10、ポーカピラー12等がリフティング駆動系を構成する。
【0017】
ドラフトパート16を構成するフロントローラ17(ボトムローラのみ図示)は可変速モータとしての第1サーボモータ18に連結されている。バックローラを構成するミドルローラ19(ボトムローラのみ図示)は可変速モータとしての第2サーボモータ20に連結され、同じくバックローラを構成するバックボトムローラ21は歯車列22を介してミドルローラ19と連結されている。即ち、フロントローラ17とフロントローラより上流の他のドラフトローラ即ちバックローラとは、それぞれ別の可変速モータで駆動されるようになっている。両サーボモータ18,20はロータリエンコーダ18a,20aをそれぞれ備えている。ミドルローラ19はエプロン19aを備えている。フロントローラ17に一体回転可能に固定された歯車17aの近傍にはフロントローラ17の回転に対応してパルス信号を出力するセンサS1が配設されている。
【0018】
前記各モータ2,14,18,20を制御する制御装置23は、制御手段を構成するCPU(中央処理装置)24を備えている。制御装置23は第2の記憶手段としてのプログラムメモリ25、第1及び第3の記憶手段としての作業用メモリ26、入力装置27、入力インタフェース28、出力インタフェース29、モータ駆動回路30,31、第1サーボモータ駆動回路32及び第2サーボモータ駆動回路33を備えている。CPU24は入力インタフェース28を介してロータリエンコーダ2a,14a,18a,20a、センサS1及び入力装置27とそれぞれ接続されている。CPU24は出力インタフェース29及びモータ駆動回路30を介してインバータ6に、出力インタフェース29及びモータ駆動回路31を介してサーボドライバ15にそれぞれ接続されている。CPU24は出力インタフェース29、第1サーボモータ駆動回路32及びサーボドライバ34を介して第1サーボモータ18に接続され、出力インタフェース29、第2サーボモータ駆動回路33及びサーボドライバ35を介して第2サーボモータ20にそれぞれ接続されている。
【0019】
CPU24はプログラムメモリ25に記憶された所定のプログラムデータに基づいて動作する。プログラムメモリ25は読出し専用メモリ(ROM)よりなり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種データとが記憶されている。
【0020】
プログラムデータとしては巻き取り運転中のモータ2及びサーボモータ14の制御プログラム、フロントローラ17の変速によりスラブを形成する際に第1サーボモータ18を変速制御するためのプログラムがある。
【0021】
プログラムデータとして、作業用メモリ26に記憶されたパターンデータに基づいて該パターンデータの数より多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行するための実行プログラムがある。
【0022】
図2に示すように、特殊糸SYは紡出糸の基準となる太さの基準部Y0と、基準部Y0より太い部分であるスラブSとが交互に連続する紡出糸であり、1パターンは一つの基準部Y0と一つのスラブSとの組を意味する。そして、特殊糸SYは異なる複数のパターンが順次並んだ状態に紡出されたものである。
【0023】
スラブSの太さ(スラブ太さ)をD、スラブSの長さ(スラブ長さ)をL、隣り合うスラブSの間隔であるピッチ(スラブ間ピッチ)をPとしたとき、パターンデータは一つのパターンのスラブ太さD、スラブ長さL、スラブ間ピッチPの値で構成されている。スラブ太さDは、基準部Y0の太さを100%とした場合の%で表され、例えば、太さが1.5倍であればD=150%、2倍であればD=200%となる。そして、1サイクルの繰り返しパターンとは、複数の異なるパターンデータが同じ繰り返しパターンを含むことなく順次実行可能に配列されたパターンデータの配列を意味する。
【0024】
パターンデータは複数(この実施形態では2個)のパターンテーブルに記憶されている。即ち、作業用メモリ26には、図3に示すように、2個のパターンテーブル40A,40Bが設けられ、各パターンテーブル40A,40Bにはそれぞれ複数のパターンデータA1,A2・・・A(n−1),An及びパターンデータB1,B2・・・B(k−1),Bkが記憶されている。各パターンデータA1,A2・・・A(n−1),An及びパターンデータB1,B2・・・B(k−1),Bkの少なくともスラブ間ピッチPが互いに異なる値となるように設定されている。両パターンテーブル40A,40Bに記憶されるパターンデータの数は異なる数となっている。各パターンデータA1,B1等は、スラブ太さD、スラブ長さL、スラブ間ピッチPのデータ値の組み合わせ(Da1,La1,Pa1)、(Db1,Lb1,Pb1)等として記憶されている。
【0025】
前記実行プログラムは、CPU24が異なるパターンテーブル40A,40Bから順に一つのパターンデータを順次実行するシーケンスとなるように構成されている。即ち、パターンテーブル40AのパターンデータA1,A2等の内の一つと、パターンテーブル40BのパターンデータB1,B2等の内の一つとが交互に並ぶように前記1サイクルの繰り返しパターンが設定される。例えば、パターンテーブル40Aのパターンデータに関してA1からAnまでを順に実施し、その間にパターンテーブル40Bのパターンデータに関してB1からBkまでを順に実施する。そして、当該パターンテーブルの最後のパターンデータを実行し終えたなら、そのパターンテーブルに関しては最初のパターンデータから再び順に実行することを繰り返すようになっている。
【0026】
プログラムメモリ25に記憶された各種データには、種々の繊維種、基準太さの紡出糸番手及びドラフト率等の紡出条件と、定常運転時のスピンドル回転速度、第1サーボモータ18及び第2サーボモータ20の回転速度、リングレール8の昇降速度との対応データ等がある。また、各種データとしてスラブを形成する際の第1サーボモータ18の変速制御時の加速勾配及び減速勾配や、特殊糸のパターンデータに対応するスラブ太さD(%)にするためのフロントローラ17の回転速度の演算式等がある。
【0027】
作業用メモリ26は読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置27により入力されたデータやCPU24における演算処理結果等を一時記憶する。作業用メモリ26はバックアップ電源(図示せず)を備えている。
【0028】
入力装置27は特殊糸のパターンデータ、基準太さの紡出糸番手、基準太さの紡出糸の紡出時のスピンドル回転速度、リフト長、チェイス長等の紡出条件データの入力に使用される。
【0029】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。機台の運転に先立ってまず、入力装置27により紡出条件が入力される。紡出条件としては特殊糸のパターンデータ、基準太さの紡出糸番手、基準太さの紡出糸の紡出時のスピンドル回転速度、リフト長、チェイス長等のデータが入力される。これらの紡出条件のうち、前回の運転時と同じ紡出条件で作業用メモリ26に既に記憶されて残っている場合は、異なる運転条件のみが入力される。
【0030】
そして、機台の起動に伴い制御装置23からの指令により、モータ2、サーボモータ14、第1サーボモータ18及び第2サーボモータ20が駆動制御される。CPU24は各ロータリエンコーダ2a,14a,18a,20aの出力信号に基づいて各モータの回転速度を演算する。そして、CPU24はスピンドル駆動系、ドラフトパート駆動系及びリフティング駆動系を紡出条件に対応した所定の速度で同期駆動するための指令信号を出力インタフェース29、各駆動回路30〜33を介してインバータ6及び各サーボドライバ15,34,35に出力する。スピンドル駆動系、ドラフトパート駆動系及びリフティング駆動系はそれぞれ独立した状態で同期駆動され、ドラフトパート16から送出された特殊糸SYはスネルワイヤ9及びトラベラTを経てボビンBに巻き取られる。
【0031】
CPU24は、実行プログラムで規定されたシーケンスに従って、実行すべきパターンデータをパターンテーブル40A及びパターンテーブル40Bから交互に読み出して、作業用メモリ26に記憶させ、そのパターンデータの示すスラブ太さD、スラブ長さL、スラブ間ピッチPとなるように、フロントローラ17の回転数を変速制御する。CPU24は、センサS1からの出力信号に基づいてフロントローラ17の回転数からスラブ長さL及びスラブ間ピッチPに対応する紡出糸の長さを演算し、フロントローラ17の加速開始時点及び減速開始時点を決定する。
【0032】
CPU24は、基準部Y0の紡出を行う際には、フロントローラ17が基準部Y0の太さに対応する基準速度N0で回転するように第1サーボモータ18を制御する。また、スラブSの紡出を行う際には、スラブ太さD%に対応するフロントローラ17の回転速度を演算してその回転速度まで減速し、減速開始後、スラブ長さL紡出された時点で再び基準速度N0となるように加速するように第1サーボモータ18を制御する。これにより、1パターンデータ分の紡出が完了する、以下、順次パターンデータに対応した回転速度となるようにフロントローラ17の変速を行う。
【0033】
各パターンテーブル40A,40Bから各パターンデータA1,A2・・・A(n−1),An及びパターンデータB1,B2・・・B(k−1),Bkを読み出す順序は、パターンテーブル40Aに関してはA1から順にAnまで行われ、パターンテーブル40Bに関してはB1から順にBkまで行われる。パターンテーブル40Aでは最後のパターンデータAnを実行し終えたなら、最初のパターンデータA1から再び順に実行し、パターンテーブル40Bでは最後のパターンデータBkを実行し終えたなら、最初のパターンデータB1から再び順に実行することを繰り返すようになっている。このシーケンスに従って得られる1サイクルの繰り返しパターンのパターンデータの数(パターンデータ数)は、各パターンテーブル40A,40Bのパターンデータ数の最小公倍数の2倍となる。
【0034】
例えば、nが3、kが2であれば、CPU24の実行シーケンスは、A1、B1、A2、B2、A3、B1、A1、B2、A2、B1、A3、B2、A1、B1・・・となる。この場合、A1、B1〜A3、B3というデータ数12で構成される繰返しパターンが実行される。入力されるパターンデータ数はn+k=3+2=5であるが、パターンテーブル40Aのパターンデータ数n(=3)と、パターンテーブル40Bのパターンデータ数k(=2)の最小公倍数(3×2=6)の2倍の12のデータを入力したのと同じ効果を得ることができる。
【0035】
また、nが4、kが2であれば、CPU24の実行シーケンスは、A1、B1、A2、B2、A3、B1、A4、B2、A1、B1・・・となる。この場合、パターンデータ数はn+k=4+2=6であるが、パターンデータ数n(=4)と、パターンデータ数k(=2)との最小公倍数(2×2=4)の2倍の8データを入力したのと同じ効果を得ることができる。
【0036】
即ち、両パターンテーブル40A,40Bの一方に入力されたパターンデータ数が他方に入力されたパターンデータ数の約数となる場合は、最小公倍数が大きな方のパターンデータ数と同じになるため、最小公倍数がパターンデータ数の和(n+k)に比較して大きな数にならない。従って、一方のパターンテーブルのパターンデータ数が、他方のパターンテーブルのパターンデータ数の約数にならないように両パターンテーブル40A,40Bに入力するパターンデータ数を設定するのが好ましく、両パターンテーブルのパターンデータ数が素数であるのがより好ましい。
【0037】
特殊糸SYで織った布にパターンの繰り返しによる柄が現れない状態となパターンデータ数は100程度では不十分で、1サイクルのパターンデータが1000程度欲しい。そして、実用的な入力パターンデータ数をパターンテーブル40A,40Bの合計で50とし、パターンデータ数を素数として例えば33と17とすれば、1サイクルの繰り返しパターンのパターンデータ数は33×17×2=1122となる。即ち、入力データ数に比較して1サイクルの繰り返しパターンのパターンデータ数を大きく拡張することができる。
【0038】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1)作業用メモリ26に記憶されたパターンデータに基づき、前記パターンデータの数より多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行するための実行プログラムがプログラムメモリ25に記憶されている。そして、前記実行プログラムに従って1サイクルの繰り返しパターンが実行された紡出糸が紡出されるように第1サーボモータ18を制御するCPU24(制御手段)を備えている。従って、少ない入力データ(パターンデータ)で、織布にスラブの繰り返しによる柄が現れ難い特殊糸SY(スラブ糸)を再現性良く製造することができる。
【0039】
(2)パターンデータは複数のパターンテーブル40A,40Bに記憶されており、異なるパターンテーブルのパターンデータが交互に並ぶように前記1サイクルの繰り返しパターンが設定される。従って、同じパターンデータ数において、パターンテーブルが1つの場合に比較して、同じパターンデータが連続せずにパターンデータ数の多い前記1サイクルの繰り返しパターンの設定が容易になる。
【0040】
(3)パターンデータは複数のパターンテーブル40A,40Bに異なる数ずつ記憶されており、パターンデータの実行順序を決める実行プログラムは、異なるパターンテーブル40A,40Bから順に一つのパターンデータを順次実行するシーケンスとなるように構成されている。従って、パターンデータの実行順序の決定が簡単になる。
【0041】
(4)複数のパターンテーブル40A,40Bに記憶されるパターンデータの数を素数とした場合は、合計のパターンデータ数が同じでも得られる1サイクルの繰り返しパターンを構成するパターンデータの数が多くなる。
【0042】
(5)パターンデータは、スラブ間ピッチPの情報だけでなく、スラブ太さD及びスラブ長さLの情報も含んでいる。従って、より複雑なパターンの特殊糸を製造することができる。
【0043】
(6)複数のパターンテーブル40A,40Bにそれぞれ記憶させた複数のパターンデータを使用して1サイクルの繰り返しパターンデータの配列を設定する場合、1サイクルの繰り返しパターンデータの配列全体を作業用メモリ26に記憶することはない。従って、1サイクルの繰り返しパターンデータの配列全体を作業用メモリ26に記憶する場合に比較して作業用メモリ26の容量を少なくできる。
【0044】
(7)紡出糸の太さの変更がフロントローラ17の変速により行われる。ミドルローラ19の変速によりドラフト比を変更してスラブSを形成する方法では、ミドルローラ19が加速されてドラフト比が小さくなっても、ミドルローラ19のエプロン19a先端とフロントローラ17のニップ点との間に存在するフリースの影響でスラブSの出現状態が明確になり難い。そのため、スラブ長が短い(数十mm程度)場合、スラブSが明確にならない。しかし、この実施形態では紡出糸の太さの変更がフロントローラ17の変速により行われるため、スラブ長さLが短い場合でもスラブSが明確になる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。この実施形態ではCPU24がパターンテーブル40A,40Bから各パターンデータA1,A2・・・A(n−1),An及びパターンデータB1,B2・・・B(k−1),Bkを読み出す順序を決定する規則が異なる点と、パターンテーブル40A,40Bのパターンデータ数が同じであってもよい点とが前記第1の実施形態と異なる。その他の構成は前記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の構成部分は同一符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0046】
この実施形態においては、各パターンテーブル40A,40Bのパターンデータ数が異なる場合は第1の実施形態と同じ規則で、各パターンテーブル40A,40Bから各パターンデータA1,A2・・・A(n−1),An及びパターンデータB1,B2・・・B(k−1),Bkを順次交互に読み出す。
【0047】
一方、各パターンテーブル40A,40Bのパターンデータ数が同じ場合、即ちk=nの場合は、パターンテーブル40Aに関しては1サイクル目からnサイクル目まで、それぞれパターンデータA1からパターンデータAnまで順に各パターンデータが実行される。しかし、パターンテーブル40Bに関しては、1サイクル目はパターンデータB1からパターンデータBnまで順に各パターンデータが実行され、次のサイクルでは2番目のパターンデータB2から順に実行してそのサイクルの最後はB1を実行する。即ち、パターンテーブル40Bに関しては、iサイクル目ではi番目のパターンデータから実行して、i番目より一つ前のパターンデータが最後に実行される。
【0048】
例えば、nが3、kも3であれば、CPU24の実行シーケンスは、A1、B1、A2、B2、A3、B3、A1、B2、A2、B3、A3、B1、A1、B3、A2、B1、A3、B2、A1、B1・・・となる。この場合、パターンデータ数はn+k=3+3=6であるが、パターンテーブル40Aのパターンデータ数n(=3)と、パターンテーブル40Bのパターンデータ数k(=3)との積(3×3=9)の2倍の18のデータを入力したのと同じ効果を得ることができる。
【0049】
例えば、nが4、kも4であれば、CPU24の実行シーケンスは、A1、B1、A2、B2、A3、B3、A4、B4、A1、B2、A2、B3、A3、B4、A4、B1、A1、B3、A2、B4、A3、B1、A4、B2、A1、B4、A2、B1、A3、B2、A4、B3、A1、B1・・・となる。この場合、パターンデータ数はn+k=4+4=8であるが、パターンテーブル40Aのパターンデータ数n(=4)と、パターンテーブル40Bのパターンデータ数k(=4)との積(4×4=16)の2倍の32のデータを入力したのと同じ効果を得ることができる。
【0050】
即ち、パターンテーブル40A,40Bのパターンデータ数がそれぞれn、kの場合、1サイクルの繰り返しパターンのパターンデータ数は、パターンテーブル40Aのパターンデータから1個選ぶ組み合わせと、パターンテーブル40Bのパターンデータから1個選ぶ組み合わせと、パターンテーブルの数との積=××2となる。
【0051】
従って、この実施形態においては、前記第1の実施形態の効果(1),(2),(5)〜(7)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(8)各パターンテーブル40A,40Bに記憶されたパターンデータ数のn及びkが、同じか否か、また、n及びkの一方が他方の約数であるか否かに拘わらず、1サイクルの繰り返しパターンのパターンデータ数は、各パターンテーブル40A,40Bからそれぞれ1個選ぶ組み合わせと、パターンテーブルの数との積=××2となる。従って、各パターンテーブル40A,40Bに入力するデータ数の設定の自由度が、第1の実施形態に比較して高くなる。
【0052】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を説明する。この実施形態ではパターンテーブルが一つである点と、パターンテーブルに記憶されるデータ数が一つである点とが前記第1及び第2の実施形態と異なる。その他の構成は前記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の構成部分は同一符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0053】
この実施形態では、図4に示すように、一つのパターンテーブル40Cに一つの基準パターンデータC0が、スラブ太さD、スラブ長さL、スラブ間ピッチPのデータ値の組み合わせ(Dc0,Lc0,Pc0)として記憶されている。そして、実行プログラムは、CPU24が基準パターンデータC0のデータ値から、所定の規則で設定された複数の異なるパターンデータCiを作成し、複数のパターンデータCi(Dci,Lci,Pci)を決められた順に実行するシーケンスとなるように構成されている。
【0054】
例えば、CPU24は、基準パターンデータC0のデータ値に所定の割合(例えば、5%)増加させた係数を順次掛けてパターンデータCi(Dci,Lci,Pci)を作成する。但し、iは所定の数列のi番目の数を意味する。そして、その数列としては等差数列や等比数列が使用される。Dci=Dc0×1.05×i、Lci=Lc0×1.05×i、Pci=Pc0×1.05×i。そして、CPU24は、前記複数のパターンデータCi(Dci,Lci,Pci)を決められた順に実行する。
【0055】
即ち、この実施形態では、パターンテーブル40Cには1つの基準パターンデータC0を記憶しておき、記憶された基準パターンデータC0に含まれるスラブ太さD、スラブ長さL、スラブ間ピッチPの値に所定規則に従って所定の割合を掛けて設定されたパターンデータを使用する。従って、実質的に複数のパターンデータが記憶されたのと同様な効果が得られる。
【0056】
従って、この実施形態においては、前記第1の実施形態の効果(1),(5)〜(7)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(9)パターンデータを記憶するパターンテーブル40Cが1個のため、パターンテーブル40Cの記憶に必要な作業用メモリ26の記憶領域を少なくできる。
【0057】
(10)パターンテーブル40Cに一つの基準パターンデータC0を入力する(記憶させる)だけであるため、パターンデータの入力の手間が非常に少なくなる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0058】
○ パターンデータは、少なくともスラブ間ピッチPに関する情報を含んでいればよい。例えば、特殊糸SYのパターンを構成するスラブ太さD及びスラブ長さLの少なくとも一方を一定としてもよい。その場合、一定である条件に関してはパターンデータとしてわざわざ設定する必要がなく、パターンデータの構成が簡単になる。
【0059】
○ パターンデータを作業用メモリ26に入力する構成に代えて、書き換え可能なROM(EPROM、EEPROM)に入力する構成や、予めプログラムメモリ25に記憶させた構成としてもよい。この場合、書き換え可能なROMあるいはプログラムメモリ25が第1の記憶手段を構成する。
【0060】
○ 第1及び第2の実施形態において、各パターンテーブルにおけるパターンデータの読み出し順は、A1及びB1からに限らず、予め設定された順であればどこから始めてもよい。
【0061】
○ 第1の実施形態のように複数のパターンテーブルにそれぞれ記憶させた複数のパターンデータを使用して1サイクルの繰り返しパターンデータの配列を設定する場合、必ずしも異なるパターンテーブルのパターンデータが交互に並ぶ配列に限らず、同じパターンテーブルのパターンデータが一部で連続するのを許容する構成としてもよい。この場合、パターンテーブルに入力されたパターンデータ数が同じであっても、1サイクルの繰り返しパターンデータ数を多くすることができる。
【0062】
○ 第1及び第2の実施形態のようにパターンテーブルに記憶されたパターンデータを全て使用して1サイクルの繰り返しパターンを実行する構成に限らず、パターンテーブルには予め1サイクルの繰り返しパターンを実行する際に使用するパターンデータより多くのパターンデータを記憶させておく。そして、その中から選択されたパターンデータを使用して、1サイクルの繰り返しパターンを実行するようにしてもよい。この場合、パターンデータをプログラムメモリ25に記憶させておけば、パターンデータの入力の手間がすくなくて済み、しかも、異なる特殊糸SYを製造するたびに新たにパターンデータの入力を行う必要が無く、特殊糸SYの製造が容易になる。
【0063】
○ 複数のパターンデータを複数のパターンテーブルに記憶する構成に代えて、複数のパターンデータを一つのパターンテーブルに記憶する構成としてもよい。
○ 複数のパターンデータを使用して1サイクルの繰り返しパターンデータの配列を設定する場合、1サイクルの繰り返しパターンデータの配列全体を作業用メモリ26に記憶してもよい。この場合、パターンデータの配列順を例えば乱数表を使用して設定する場合でも、設定後のパターンデータの配列を作業用メモリ26に記憶しておくことにより、同じ特殊糸SYを再現性良く製造することができる。
【0064】
○ 入力装置27でパターンデータを入力する際、スラブ太さD(%)と、スラブ長さLと、スラブ間ピッチPとを順に入力する構成に代えて、プログラムメモリ25に予め記憶されている複数種のパターンデータの中から入力装置27で選択する構成としてもよい。
【0065】
○ 紡出糸の太さを変更する際、フロントローラ17を変速する代わりに、ミドルローラ19(バックローラ)を変速する構成としてもよい。リング精紡機では満管時期をフロントローラ17の回転速度の積算値から推定して、その時期に合わせて玉揚げ準備を行ったり、機台に沿って走行している清掃装置を玉揚げ作業に支障とならない位置に自動的に退避させたりしている。フロントローラ17の変速によりドラフト比を変更してスラブSを形成する方法では、満管時期の推定が難しく、前記玉揚げ準備や清掃装置を自動的に退避位置へ移動させるのに支障をきたす。しかし、紡出糸の太さの変更がミドルローラ19の変速により行う場合は、満管時期の推定を今までのリング精紡機と同様に行うことができる。
【0066】
○ スラブSの太さがフロントローラ17又はミドルローラ19(バックローラ)の一方の変速のみでは対応できない太さのスラブSを主として有する特殊糸(スラブ糸)SYを製造する場合は、フロントローラ17及びミドルローラ19の両方を変速してスラブSを紡出してもよい。スラブSの太さを基準部Y0の太さに対して大きく変更する場合は、フロントローラ17又はミドルローラ19の回転速度の変更だけでは所望の太さに対応するドラフト比が得られない場合がある。しかし、スラブSを紡出する際にフロントローラ17を基準部Y0の紡出時より減速し、ミドルローラ19(バックローラ)を基準部Y0の紡出時より加速することにより、所望の太さに対応するドラフト比が得られる。
【0067】
○ パターンデータの示すスラブ太さD(%)が所定の値(例えば、200%)以上のときに、フロントローラ17及びミドルローラ19の両方を変速してスラブSを紡出し、スラブ太さD(%)が所定の値未満のときは、フロントローラ17のみ又はミドルローラ19の変速のみで紡出を行う構成としてもよい。この場合、スラブ太さD(%)に拘わらず、フロントローラ17及びミドルローラ19の両方を変速する構成に比較して、制御が簡単になる。
【0068】
○ スラブSの紡出時にフロントローラ17の変速を行わない構成の場合、スピンドル1とフロントローラ17とを同じモータで駆動する構成としてもよい。
○ ミドルローラ19とバックボトムローラ21とを歯車列22で連結する構成に代えて、ミドルローラ19とバックボトムローラ21とを別の可変速モータで駆動する構成としてもよい。
【0069】
○ 4線以上のドラフトローラを有する特殊糸製造装置に本発明を適用してもよい。
前記実施形態から把握される発明(技術的思想)について、以下に記載する。
(1)請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記パターンデータの示すスラブ太さが所定の値以上のときに、フロントローラ及びバックローラの両方を変速してスラブを紡出し、スラブ太さが所定の値未満のときは、フロントローラのみ又はバックローラの変速のみで紡出を行う制御手段を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】特殊糸製造装置の構成図。
【図2】特殊糸の部分模式図。
【図3】(a),(b)はパターンテーブルに記憶されているパターンデータを示す模式図。
【図4】第3の実施形態のパターンテーブルを示す模式図。
【符号の説明】
【0071】
D…スラブ太さ、L…スラブ長さ、P…スラブ間ピッチ、A1,A2,An,B1,B2,Bn…パターンデータ、SY…特殊糸、16…ドラフトパート、17…フロントローラ、18…可変速モータとしての第1サーボモータ、19…バックローラを構成するミドルローラ、20…可変速モータとしての第2サーボモータ、24…制御手段としてのCPU、25…第2の記憶手段としてのプログラムメモリ、26…第1及び第3の記憶手段としての作業用メモリ、40A,40B,40C…パターンテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラフトパートを構成するフロントローラとバックローラとがそれぞれ別の可変速モータで駆動され、紡出糸の太さの変化を示す少なくともスラブ間ピッチの情報を含むパターンデータに基づいてフロントローラ及びバックローラの少なくとも一方の変速を行って前記パターンデータに対応する特殊糸を製造する特殊糸製造装置であって、
複数のパターンデータを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されたパターンデータに基づいて該パターンデータの数より多くのパターンデータからなる1サイクルの繰り返しパターンを実行するための実行プログラムを記憶する第2の記憶手段と、
実行中のパターンデータに関する情報を記憶する第3の記憶手段と、
前記実行プログラムに従って前記繰り返しパターンが実行された紡出糸を紡出するように前記可変速モータを制御する制御手段と
を備えた特殊糸製造装置。
【請求項2】
前記パターンデータは複数のパターンテーブルに記憶されており、異なるパターンテーブルのパターンデータが交互に並ぶように前記実行プログラムが設定される請求項1に記載の特殊糸製造装置。
【請求項3】
前記複数のパターンテーブルに記憶されるパターンデータの数をそれぞれ素数とした請求項2に記載の特殊糸製造装置。
【請求項4】
前記パターンテーブルは二つ設けられ、各パターンテーブルには異なる数のパターンデータが記憶されており、各パターンテーブルからのパターンデータの読み出し順は、予め決められた順に一つずつ読み出し、最後の読み出し順のパターンデータを実行し終えたなら、最初のパターンデータから再び順に実行するようになっている請求項2又は請求項3に記載の特殊糸製造装置。
【請求項5】
前記パターンテーブルは二つ設けられ、各パターンテーブルに記憶されたパターンデータの数が異なる場合は、各パターンテーブルからのパターンデータの読み出し順は、予め決められた順に一つずつ読み出し、最後の読み出し順のパターンデータを実行し終えたなら、最初のパターンデータから再び順に実行するようにし、各パターンテーブルに記憶されたパターンデータの数が同じnの場合は、一方のパターンテーブルに関しては1サイクル目からnサイクル目まで、それぞれ予め決められた順に各パターンデータが実行され、他のパターンテーブルに関しては、2サイクル目からは、前のサイクルで2番目のパターンデータから順に実行してそのサイクルの最後は前のサイクルで1番目のパターンデータを実行するようになっている請求項2に記載の特殊糸製造装置。
【請求項6】
前記パターンデータはスラブ太さ及びスラブ長さの情報も含んでいる請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の特殊糸製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate