説明

犬用低カロリージャーキー様おやつ及びその製造方法

【課題】低カロリーで嗜好性が高い犬用ジャーキー様おやつ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部、カードラン3〜9質量部、サイリウムシードガム3〜12質量部、グアガム0.1〜1.2質量部含む生地を成型し加熱後、乾燥したことを特徴とする犬用低カロリージャーキー様おやつ及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬用低カロリージャーキー様おやつ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運動不足や食事の与えすぎなどによりペットとして飼われている犬の肥満が問題となっている。
ドライフードは毎日の主食であり直接的な影響が大きいため総合的な栄養バランスやカロリーコントロールのための提案が多々なされている。
一方、しつけのごほうびや犬とのコミュニケーションを図る目的で一時的に与えるおやつは、栄養バランスなどより嗜好性が高いものが好まれ、肉類や油脂類の配合比が比較的高くそのため高カロリーのものが多い。
しかし、一時的にあたえるおやつでも与えすぎなどにより肥満をまねくため低カロリーで嗜好性の良いものが求められている。
例えば、肉類と乾燥したのり状の炭水化物とを含む犬の補助食が提案されている。
この「肉類」としては、牛皮、牛肉、羊肉、鶏肉、魚肉等を例示できる。
この「のり状の炭水化物」としては、澱粉を主成分とするタピオカ、マンナンC10を主成分とするこんにゃく、ガラクトースを主成分とする寒天等を例示できる。
この補助食の実施態様としては、粒状又は片状の肉類が、乾燥したのり状の炭水化物で固められてなる態様や、棒状又は塊状の肉類が、乾燥したのり状の炭水化物で包まれてなる態様等を例示できる(例えば特許文献1参照)。
また、β−サイクロデキストリン等のサイクロデキストリンを含有するジャーキー様ドックフードが知られている(例えば特許文献2参照)。
また、愛玩動物用の餌であって、非加熱の生の馬肉をミンチ又は挽肉としたもの単独か、又はそれを含むものを一定量毎に所要の形状に成形して冷凍し真空包装したことを特徴とする愛玩動物用の餌が知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−328910号公報
【特許文献2】特開2000−116337号公報
【特許文献3】特開2007−129979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低カロリーで嗜好性が高い犬用ジャーキー様おやつ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部、カードラン3〜9質量部、サイリウムシードガム3〜12質量部、グアガム0.1〜1.2質量部含む生地を成型し加熱後、乾燥した犬用のジャーキー様おやつは、肉や脂分を一切使わずカロリーを従来品より大幅に減少させているにもかかわらず、嗜好性や肉様の食感を損なわずに、肥満を気にしているが犬に美味しいものを食べさせたいという飼い主のニーズを満たすものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部、カードラン3〜9質量部、サイリウムシードガム3〜12質量部、グアガム0.1〜1.2質量部含む生地を成型し加熱後、乾燥したことを特徴とする犬用低カロリージャーキー様おやつ及びその製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の犬用低カロリージャーキー様おやつは、肉や脂分を一切使わずカロリーを従来品より大幅に減少させているにもかかわらず、嗜好性や肉様の食感を損なわない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用できる食物繊維は、従来ペットフードに使用されていた食物繊維であれば特に限定はなく、例えば、セルロース、ポリデキストロース、タマリンドシードガム、グァーガム酵素分解物、小麦胚芽、難消化性デンプン、水溶性大豆食物繊維、プルラン、アラビアガム、湿熱処理デンプン、ビートファイバー、低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、コーンファイバー、水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)、小麦ふすま、specialty dextrin、難消化性デンプン、コーングルテンフィードなどを挙げることができる。
これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
食物繊維の配合量を調整することによりカロリーを調整することができる。
【0008】
本発明で使用する穀粉及び/又は澱粉は、従来ペットフードに使用されていた穀粉及び/又は澱粉であれば特に限定はなく、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、グラハム粉、セモリナ粉、浮き粉)、大麦粉、ライ麦粉、米粉(もち米粉、うるち米粉)、とうもろこし粉、豆粉(大豆粉、ヒヨコマメ粉、エンドウマメ粉)、ヒエ粉、テフ粉、そば粉、アランサス粉、栗粉、どんぐり粉、デンプン(コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、米デンプン、豆デンプン)などを挙げることができる。
これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
穀粉及び/又は澱粉の配合量を調整することにより熱凝固性、生地のまとまりや食感を微調整することができる。
【0009】
本発明において使用するカードランは、食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対して3〜9質量部である。
配合量は3質量部未満では、生地の熱凝固性が悪く、弾力と硬さに欠けたゲルが出来る。
配合量が9質量部を超えると、ミキサーでの混ざりが悪く均一な生地にならない。
【0010】
本発明において使用するサイリウムシードガムは、食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対して3〜12質量部である。
配合量は3質量部未満では、生地が緩く成形性に欠ける。
配合量が12質量部を超えるとミキサーでの混ざりが悪く均一な生地ならない。
【0011】
本発明において使用するグアガムは、食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対して0.1〜1.2質量部である。
配合量は0.1質量部未満では、生地の滑らかさに欠けたまとまりの悪い生地になる。
配合量が1.2質量部を超えると、生地のまとまりが強くなり、硬く弾力性に欠ける。
【0012】
さらに、本発明の生地には必要に応じて調味料、品質保持剤、保湿剤などを適宜配合することができる。
調味料としては、例えば、砂糖、黒糖、食塩、岩塩、醤油、味噌、畜肉レバー分解物、植物蛋白加水分解物、動物蛋白加水分解物、魚粉、ミール類(ビーフ、ポーク、チキン、ラム)、グルタミン酸ナトリウム、アミノ酸類、ビール酵母、トルラ酵母などを挙げることができる。
品質保持剤、保湿剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビン酸、液糖、没食子酸などを挙げることができる。
【0013】
本発明のジャーキー様おやつの製造方法の一例を以下に説明するがジャーキー状に乾燥することができればこの製造方法に限定されない。
(1)カードランと水をサイレントカッターミキサー、真空ミキサーなどを使用してミキシングしカードランを十分に分散させる。
水の配合量は生地の求める生地の固さにより適宜調製する。
水の配合量のめやすは、原料の無水物100質量部に対して100質量部程度である。
(2)カードランを十分に分散させた後、さらに残りの原料を入れてサイレントカッターミキサー、真空ミキサーなどを使用してミキシングし生地を調製する。
(3)前記生地を棒状、板状に成型する(型に押し出す)。
(4)前記成型した生地を加熱し生地をゲル化する。
加熱方法は特に限定されず、湿熱加熱方法、乾熱加熱方法などが使用できるが作業性の面で湿熱加熱方法が好ましい。
湿熱加熱方法の場合は、トンネルスチーマーにより80〜100℃で3〜20分蒸気加熱する方法を挙げることができる。
乾熱加熱方法の場合は、トンネルオーブンや焼成乾燥機を使用して60〜180℃で5〜30分直火により加熱する方法を挙げることができる。
(5)前記ゲル化した生地をギロチンカッターや回転カッターで数cmの長さにカットする。
(6)カット後、自然乾燥、減圧乾燥、熱風乾燥などにより水分含有量が5〜20%程度になるように乾燥する。
このようにして得られたジャーキー様おやつのカロリーは150Kcal/100g程度であり、市販の肉を使用したジャーキーのカロリーの約半分程度に減らすことができる。
なお、本発明において、○○〜△△とは○○以上△△以下をいい、例えば1〜3とは1以上3以下を意味する。
【実施例】
【0014】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
カードラン2質量部に水52質量部を加えサイレントカッターミキサーでカードランを水によく分散させた後、セルロース8質量部、ポリデキストロース15質量部、サイリウムシードガム3質量部、グアガム0.3質量部、強力小麦粉13質量部、チキンレバーパウダー2質量部及びグリセリン4質量部を加え、さらにミキシングして生地を得た。
前記生地を押出し成型機で幅1.0cm 厚さ0.5cmの板状に成型し、トンネルスチーマーで95℃7分加熱して、長さ8.0cmにカットしてバッチ式熱風乾燥機で、60℃で6時間乾熱加熱して、本発明のジャーキー様おやつを得た。
水分含有量は15質量%であった。
得られた本発明のジャーキー様おやつを10頭1群の犬にこの本開発品を1本ずつ与えたところ、全ての供試犬が10分以内に完食した。
また、鶏肉、牛肉を主原料とした市販のジャーキータイプドッグフード(カロリー300kcal/100g)を用いて20頭に2皿給与試験(目の前に同時に2つの餌を与えて食い付き状態と食い付き量を確認する試験)を行ったところ、50:50と同等の嗜好性を示した。
得られた本発明のジャーキー様おやつ生地の硬さ、ゲル硬さを下記の方法で測定した。
生地の硬さは、ミキシング後成型前の生地の硬さである。
ゲル硬さは加熱後乾燥前の生地の硬さである。
測定には、Stable Micro Systems社のテクスチャーアナライザー「TEXTURE EXPONENT 32」を使用した。
機械の専用台に試料を水平になるよう載置し、試料の上から垂直に棒状のアタッチメント(株式会社レオテック社製
歯形押棒A)が下降してきて生地を5mm押し込んだ際の押した強さを重さ(g)で測定した。
押した部分や生地質などで数値が振れるため、今回の数値は各生地とゲルについて3回計測したものの平均値(小数点第二位四捨五入)を採用している。
得られた本発明のジャーキー様おやつ生地の、作業性の評価を10名のパネラーにより下記の評価基準で行い平均点を求めた。
作業性
5・・・生地粘度が十分に高いためラインへの張り付きや落ち込みがなく、加熱によるゲルの凝固が大変良くゲル弾力が極めて強いため作業性が非常に良い
4・・・生地粘度が高いためラインへの張り付きや落ち込みがほとんど見られず、加熱によるゲルの凝固が良くゲル弾力が強いため作業性が良い
3・・・生地に粘性があるためラインへの張り付きや落ち込みが少なく、加熱によるゲルの凝固が認められゲル弾力あるため作業性が普通
2・・・生地粘度が弱くラインへの張り付きや落ち込みが発生しやすく、加熱によるゲルの凝固が悪くゲル弾力が弱いため作業性が悪い
1・・・生地粘度がほとんどないためラインへの張り付きや落ち込みが頻発し、加熱によるゲルの凝固が大変悪くゲル弾力が極めて弱いため作業性が非常に悪い
結果を表1に示す。
【0015】
[実施例2〜3、比較例1〜2]カードランの配合試験
実施例1において、カードランの配合を表1に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にしてジャーキー様おやつを得て評価を行った。
表中カードランの配合は食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対する質量部である。
結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
実施例1は生地硬さ、ゲル硬さ、熱凝固性及びゲル弾力がともに優れていた。
実施例2、3の生地も実施例1に劣るが優れていた。
カードランの配合量を少なくした場合(比較例1)は生地の硬さ、熱凝固性ともに劣っていた。
配合量が多い場合(比較例2)は生地やゲルの硬さは強いものの、ゲルに弾力がなく作業中にゲルの割れが発生し作業性が劣った。
【0018】
[実施例2〜3、比較例1〜2]サイリウムシードガムの配合試験
実施例1において、サイリウムシードガムの配合を表2に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にしてジャーキー様おやつを得て評価を行った。
表中サイリウムシードガムの配合は食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対する質量部である。
結果を表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
実施例4〜6は、実施例1には劣るものの熱凝固性、ゲル弾力が優れていた。
サイリウムシードガムの配合量が少ない場合(比較例3)では生地の熱凝固性が見られずゲル形成が見られなかった。
サイリウムシードガムの配合量が多い場合(比較例4)ではゲル弾力がなく非常に硬いゲルになったため、作業中に割れが発生し作業性が劣った。
【0021】
[実施例7〜9、比較例5〜6]グアガムの配合試験
実施例1において、グアガムの配合を表3に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にしてジャーキー様おやつを得て評価を行った。
表中グアガムの配合は食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部に対する質量部である。
結果を表3に示す。
【0022】
【表3】

【0023】
実施例9は実施例1と同程度に生地硬さ、ゲル硬さ、熱凝固性及びゲル弾力が優れていた。
実施例7及び実施例8は実施例1に比べやや熱凝固性に劣る生地となった。
比較例5は、生地に滑らかさがなく作業性が劣っていた。
また比較例6は生地が硬くなり作業中にゲルの割れが発生した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部、カードラン3〜9質量部、サイリウムシードガム3〜12質量部、グアガム0.1〜1.2質量部含む生地を成型し加熱後、乾燥したことを特徴とする犬用低カロリージャーキー様おやつ。
【請求項2】
食物繊維と穀粉及び/又は澱粉の混合物100質量部、カードラン3〜9質量部、サイリウムシードガム3〜12質量部、グアガム0.1〜1.2質量部含む生地を成型し加熱後、乾燥したことを特徴とする犬用低カロリージャーキー様おやつの製造方法。