説明

狭額縁タッチ入力シートとその製造方法

【課題】 狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適する狭額縁タッチ入力シート、積層狭額縁タッチ入力シート及び狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の狭額縁タッチ入力シートおよびその製造方法は、透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が同一パターンで位置ずれなく順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより中央窓部に透明導電膜の回路パターンを露出形成する方法で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適する狭額縁タッチ入力シート、積層狭額縁タッチ入力シート及び狭額縁タッチ入力シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明電極の引き出し端子の各端子上に金属膜を形成した後、入力パネル領域の透明電極パターンと引き出し端子列の金属膜及び透明電極を同時にエッチングして、タッチ入力装置を形成する発明の文献として特許文献1があった。
【0003】
上記特許文献1の発明は、図3に示すように、ポリエステルフィルム30上にITO膜31からなる透明電極を形成し、その上にフォトレジスト膜32をパターン形成し、次いでフォトレジスト膜32上をマスク33で覆った後、In膜からなる金属膜34を形成し、マスク33を外し、フォトレジスト膜32をレジスト剥離液で除去して、金属膜34をパターン形成するものであり、その後パターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成し(図3(e)参照)、塩化第2鉄水溶液等で金属膜35とITO膜31を同時にエッチング除去し、最後にフォトレジスト膜35をレジスト剥離液で除去する方法の発明である。
【0004】
【特許文献1】特開平5−108264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、図3(e)のパターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成する際、マスク33の位置が少しでもずれてしまうと、一方の金属膜34は細く他方の金属膜34は太くなり金属膜34が所望の電気抵抗にならない問題があった。したがって、金属膜34が細線で所定の電気抵抗範囲内に収めなければならない狭額縁のタッチ入力シートには適用できない問題があった。
【0006】
また、静電容量式のタッチ入力シートでは、通常X方向に形成された透明導電膜のパターンとY方向に形成された透明導電膜のパターンとを絶縁層を挟んで積層形成する必要があり、特許文献1の方法では金属膜及び透明電極を両面に位置をあわせて形成することはできないため、作製したタッチ入力シートを二枚、位置をあわせて貼り合わせるなどの工程を経て作製しなければならない問題があった。その結果、生産が低下し、透明窓部の透過率が低くなることや厚みが厚くなってかさばるなどの問題もあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適する狭額縁タッチ入力シート、積層狭額縁タッチ入力シート及び狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、基体シート上の中央窓部に透明導電膜の回路パターンが形成され、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンが形成されている狭額縁タッチ入力シートであって、該細線引き回し回路パターンの透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が同一パターンで位置ずれなく積層形成されている。狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0009】
本発明の第2態様によれば、前記透明導電膜の回路パターンおよび前記細線引き回し回路パターンが、基体シートの両面に形成されている、第1態様の狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0010】
本発明の第3態様によれば、前記基体シートが二層構造からなる、第2態様の狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0011】
本発明の第4態様によれば、前記狭額縁タッチ入力シートが静電容量方式である、第2態様または第3態様の狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0012】
本発明の第5態様によれば、第1態様の狭額縁タッチ入力シートが複数積層された積層狭額縁タッチ入力シートであって、基体シートと透明導電膜の回路パターンおよび前記細線引き回し回路パターンとが順次積層して形成され、該積層狭額縁タッチ入力シートが抵抗膜方式または静電容量方式である、積層狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0013】
本発明の第6態様によれば、前記遮光性の電極用導電膜層が、20〜1000nmの厚みの銅箔からなる、第1〜第4態様のいずれかの狭額縁タッチ入力シートを提供する。
【0014】
本発明の第7態様によれば、基体シート上に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成した後、該透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない中央窓部の遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより透明導電膜の回路パターンを露出形成する、第1態様の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第8態様によれば、基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成した後、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、前記透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、基体シートの両面外枠縁部に各々、透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該各々両面細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより各々両面中央窓部に透明導電膜の回路パターンを露出形成する、第2態様の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の第9態様によれば、二枚の基体シート上にそれぞれ透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成し、該基体シートどうしを対向して積層することにより積層された基体シートの両面に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を形成した後、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、前記透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、両面外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない中央窓部の遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより透明導電膜の回路パターンを露出形成する、第3態様の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の狭額縁タッチ入力シートおよびその製造方法は、透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が同一パターンで位置ずれなく順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより中央窓部に透明導電膜の回路パターンを露出形成する方法で形成したことを特徴とする。したがって、精巧で微細な細線引き回し回路パターンを形成できるため、非常に狭額縁のタッチ入力シートを製造できる効果がある。
【0018】
また、位置合わせの必要な第二レジスト層の形成過程は外枠縁部の細線引き回し回路パターンを被覆さえすればよい程度の位置合わせ精度でよいので、狭額縁タッチ入力シートを高い生産効率で得ることができる効果がある。
【0019】
また、本発明の狭額縁タッチ入力シートおよびその製造方法は、前記透明導電膜の回路パターンおよび前記細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されていることを特徴とする。そして、本発明の狭額縁タッチ入力シートは、静電容量方式であることを特徴とする。したがって、中芯にある基体シート一枚だけでXYの複数の透明導電膜の回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが形成された静電容量式の狭額縁タッチ入力シートを製造できる効果がある。
【0020】
また、中芯にある基体シートだけで構成可能なため、高透過性に富み、厚みの薄い静電容量式の狭額縁タッチ入力シートを製造できる効果がある。
【0021】
また、本発明は、前記遮光性の電極用導電膜層が20〜1000nmの厚みの銅箔からなることを特徴とする狭額縁タッチ入力シートであることを特徴とする。したがって、導電性が良い電極用導電膜層であるため、応答性のよい狭額縁タッチ入力シートを効率よく製造できる効果がある。
【0022】
また、遮光性の高い電極用導電膜層であるため、表面に第一レジスト層を形成した後、裏面に第一レジスト層を露光などの方法でパターン形成する際、あるいは両面同時に第一レジスト層を露光などの方法でパターン形成する際、該露光の光線が反対面の第一レジスト層に達するのを防ぐ効果が高いため、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートを生産性よく高品質で製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る狭額縁タッチ入力シートのうち、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの一実施例を示す模式断面図である。
【図2(a)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図2(b)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図2(c)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図2(d)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図2(e)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図2(f)】狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式図である。
【図3】特許文献1に記載のタッチ入力装置の電極形成工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。図1は本発明に係る静電容量式タッチセンサーのうち、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの一実施例を示す模式断面図であり、図2(a)〜(f)はその静電容量式タッチセンサーを製造する工程を示す模式断面図である。図中、1は遮光性の電極用導電膜層、3は透明導電膜、5は狭額縁タッチ入力シート、7は基体シート、10は細線引き回し回路パターン、12はマスク、14は露光光線、16は第一レジスト層、18は第二レジスト層、20は静電容量式タッチセンサー、22は狭額縁タッチ入力シート5の外枠縁部、24は狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部、28は外部回路を示す。
【0026】
本発明の狭額縁タッチ入力シート5は、基体シート7上の中央窓部24に透明導電膜3の回路パターンが形成され、外枠縁部22に透明導電膜3および遮光性の電極用導電膜1が順次積層された細線引き回し回路パターン10が形成されている狭額縁タッチ入力シートであって、該細線引き回し回路パターン10の透明導電膜3および遮光性の電極用導電膜1が同一パターンで位置ずれなく積層形成されていることを特徴とする。そして、透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10は、片面だけでなく両面にも形成することができる(図1参照)。
【0027】
このような透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10を両面に形成する狭額縁タッチ入力シート5の製造方法は、まず基体シート7の表裏両面に、透明導電膜3、遮光性の電極用導電膜1、第一レジスト層16を順次全面形成した後、表裏それぞれ所望のパターンのマスク12を載せ、露光・現像して第一レジスト層16をパターン形成する(図2(a)参照)。あるいは厚みの薄い二枚の基体シート7を用いて、それぞれの片面に透明導電膜3、遮光性の電極用導電膜1、第一レジスト層16を順次全面形成した後、これらの二枚の基体シート7が対向するように積層し、表裏それぞれ所望のパターンのマスク12を載せ、露光・現像して第一レジスト層16をパターン形成した狭額縁タッチ入力シート5としてもよい(図2(b)参照)。その際、遮光性の電極用導電膜1が反対側の面の露光光線14を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第一レジスト層16のパターンに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、第一レジスト層16の表裏の位置あわせがしやすく一回の工程で両面パターン化でき、生産性も向上する。なお、基体シート7の積層手段としては熱ラミネートや接着剤層を介したドライラミネートなどが挙げられる。
【0028】
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜3および遮光性の電極用導電膜1を同時にエッチングし、細線パターンを形成する(図2(c)参照)。次いで、レジスト剥離液でもって第一レジスト層16を剥離し、遮光性の電極用導電膜1を露出させた後、露出した遮光性の電極用導電膜1のうち外枠縁部22の部分のみに第二レジスト層18を形成する(図2(d)参照)。第二レジスト層18は外枠縁部22の遮光性の電極用導電膜1およびその下の透明導電膜3を被覆さえすればよいので、それほど精密な位置合わせ精度は必要ない。そのため、第二レジスト層18を形成する際の不良はほとんど発生せず生産性が向上する。
【0029】
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングすると、第二レジスト層18が形成されている外枠縁部22はそのまま残り、第二レジスト層18が形成されず遮光性の電極用導電膜1が露出されたままの中央窓部24は遮光性の電極用導電膜1がエッチング除去され、その下にある透明導電膜3が露出する(図2(e)参照)。中央窓部24は両面に透明の導電膜が形成されたディスプレイ部となり、外枠縁部22に形成された遮光性の電極用導電膜1およびその下に同一のパターンで形成された透明導電膜3は細線引き回し回路パターン10となる。
【0030】
以上の方法により得られた狭額縁タッチ入力シート5の両面に形成された細線引き回し回路パターン10の端部をICチップが搭載された外部回路28に接続すれば、基体シート7を挟んで透明導電膜3が両面に形成された静電容量式タッチセンサー20が製造される(図2(f)参照)。
【0031】
以上、静電容量式タッチセンサーの効率的な製造方法を示したが、本発明は必ず両面に透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10を形成することに限定するわけではなく、片面のみに形成してもよい。たとえば、抵抗膜方式のように透明導電膜3を対向して積層しなければならないタッチセンサーの場合は、従来のように片面のみに回路パターンを形成した狭額縁タッチ入力シート5を積層貼り付けして積層狭額縁タッチ入力シートを形成することができる(図示せず)。その場合でも従来のタッチセンサーよりも狭額縁にすることができるため大きなメリットがある。
【0032】
次に、上記狭額縁タッチ入力シート5を形成する各層について詳細に説明する。
【0033】
まず、基体シート7は、厚みが30〜2000μm程度の透明なシートからなり、材質としてはポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などのプラスチックフィルムのほか、各種ガラスなどが挙げられる。
【0034】
遮光性の電極用導電膜層1としては、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。そして、透明導電膜ではエッチングされないが自身はエッチングされるというエッチャントが存在することも必要である。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れ、透明導電膜はエッチングされない酸性雰囲気下での過酸化水素水で容易にエッチングできるほか、外部回路との接続のしやすさも併せ持つため非常に好ましい。
【0035】
透明導電膜3は、インジウムスズ酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。厚みは数十から数百nm程度で形成され、塩化第二鉄などの溶液では遮光性の電極用導電膜1とともに容易にエッチングされるが、酸性雰囲気下での過酸化水素水など遮光性の電極用導電膜層1のエッチング液では容易にエッチングされないことが必要である。そして、80%以上の光線透過率、数mΩから数百Ωの表面抵抗値を示すことが好ましい。
【0036】
第一レジスト層16としては、レーザー光線やメタルハライドランプなどで露光しアルカリ溶液などで現像が可能なテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのフォトレジスト材料で構成するのが好ましい。フォトレジスト材料による露光・現像により線幅の細い細線引き回し回路パターン10が確実性よく形成でき、より狭額縁の狭額縁タッチ入力シート5が製造できるからである。また本発明では、前述したように遮光性を持つ電極用導電膜層1を形成するため、第一レジスト層16がフォトレジスト材料で構成されていると、表裏同時に露光・現像ができるため非常に生産性よく狭額縁タッチ入力シート5を製造できるからである。第一レジスト層16の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法により形成するとよい。
【0037】
第二レジスト層18は、酸性雰囲気下での過酸化水素水など遮光性の電極用導電膜層1のエッチング液に耐性をもつ材料であればとくに限定されない。また外部回路28との接続端子を除いてそのまま保護膜として永久的に残存させても良いので、必ずしも第一レジスト層16のように現像で除去しなくともよい。そのような保護膜としての機能も有する材料としては、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの熱硬化性樹脂や、ウレタンアクリレート系、シアノアクリレート系などの紫外線硬化型樹脂が挙げられる。形成方法は第一レジスト層18と同様の方法が可能である。厚みとしては、
【0038】
また、この第二レジスト層18の上に、細線引き回し回路パターン10を隠し外観意匠を向上させるための絵柄層を設けてもよい。絵柄層は、ポリビニル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、アルキッド系などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、着色剤としてアルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料等を用いることもできる。絵柄層の形成方法としては、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用印刷法や各種コート法、塗装などの方法がある。
【0039】
《実施例1》
(1)狭額縁タッチ入力シートの作製
基体シートとして厚さ1mmの無色透明ソーダガラスを用い、その表裏両面に透明導電膜としてインジウムスズ酸化物からなるスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、その上に遮光性の電極用導電膜として銅膜をスパッタリング法で500nmの厚みで形成し、その上に第一レジスト層としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをスピンコートで形成し、表側にはX方向の電極パターンからなるマスクを載置し、裏側にはY方向の電極パターンからなるマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、アルカリ溶液に浸して現像した。
【0040】
次いで、塩化第二鉄のエッチング液でインジウムスズ酸化物膜および銅膜を同時にエッチングしたところ、中央窓部表面にはX方向の電極パターン、その裏側にはY方向の電極パターンが露出して形成され、その中央窓部を囲む外枠縁部には平均線幅20μmの細線引き回しパターンが表裏両面に露出して形成されていた。次いで、これらの細線引き回しパターンを覆うように第二レジスト層として熱硬化アクリル樹脂層をスクリーン印刷で10nmの厚みに形成した。次いで、酸性雰囲気下での過酸化水素水に浸すと露出していた中央窓部の露出していた銅膜がエッチング除去され、その下に形成されていたインジウムスズ酸化物膜のみが残った。
【0041】
(2)静電容量式タッチセンサーの作製と評価
以上の方法により、中央窓部には基体シートの両面にそれぞれX方向の電極パターン、Y方向の電極パターンのインジウムスズ酸化物膜のみが形成され、各々の外枠縁部にはインジウムスズ酸化物膜の上に同じパターンの銅膜が形成された細線引き回し回路が形成され、それを覆うように熱硬化アクリル樹脂層が被覆された狭額縁タッチ入力シートが得られた。この狭額縁タッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をICチップが搭載された外部回路に接続して、静電容量式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、良好な結果が得られた。また、中央窓部の光線透過率を測定してみたところ90%と良好な数値を示していた
【0042】
《実施例2》
基体シートとして厚さ500μmの無色ポリエステルフィルムを二枚用い、透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層、第二レジスト層をそれぞれ片面に形成し、中央窓部表面にX方向の電極パターンが形成された狭額縁タッチ入力シートと、中央窓部表面にY方向の電極パターンが形成された狭額縁タッチ入力シートとをそれぞれ別々に形成した他は実施例1と同様の方法によって、狭額縁タッチ入力シートを二枚得た。この二枚の狭額縁タッチ入力シートを中央窓部の電極パターンどうしが対向するよう積層し積層狭額縁タッチ入力シートとした後、それぞれの狭額縁タッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をICチップが搭載された外部回路に接続して、抵抗膜式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、良好な結果が得られた。
【0043】
《実施例3》
基体シートとして厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを二枚用い、各々の基体シートの片面に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層、第二レジスト層を順次形成し、該基体シートどうしを対向して積層することにより積層された基体シートの両面に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を形成した後、表側中央窓部表面にX方向の電極パターンを形成し、裏側の中央窓部表面にY方向の電極パターンを形成した他は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。この狭額縁タッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をICチップが搭載された外部回路に接続して、静電容量式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0044】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明は、液晶パネルなどの映像画面を設けるような携帯電話やPDA、小型PC、などの入力デバイスに適用できる狭額縁タッチ入力シートの発明である。
【符号の説明】
【0046】
1 遮光性の電極用導電膜層
3 透明導電膜
5 狭額縁タッチ入力シート
7 基体シート
10 細線引き回し回路パターン
12 マスク
14 露光光線
16 第一レジスト層
18 第二レジスト層
20 静電容量式タッチセンサー
22 狭額縁タッチ入力シート5の外枠縁部
24 狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部
28 外部回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体シート上の中央窓部に透明導電膜の回路パターンが形成され、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンが形成されている狭額縁タッチ入力シートであって、該細線引き回し回路パターンの透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が同一パターンで位置ずれなく積層形成されていることを特徴とする狭額縁タッチ入力シート。
【請求項2】
前記透明導電膜の回路パターンおよび前記細線引き回し回路パターンが、基体シートの両面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の狭額縁タッチ入力シート。
【請求項3】
前記基体シートが二層構造からなることを特徴とする請求項2に記載の狭額縁タッチ入力シート。
【請求項4】
前記狭額縁タッチ入力シートが静電容量方式であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の狭額縁タッチ入力シート。
【請求項5】
前記請求項1記載の狭額縁タッチ入力シートが複数積層された積層狭額縁タッチ入力シートであって、基体シートと透明導電膜の回路パターンおよび前記細線引き回し回路パターンとが順次積層して形成され、該積層狭額縁タッチ入力シートが抵抗膜方式または静電容量方式であることを特徴とする積層狭額縁タッチ入力シート。
【請求項6】
前記遮光性の電極用導電膜層が、20〜1000nmの厚みの銅箔からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の狭額縁タッチ入力シート。
【請求項7】
基体シート上に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成した後、該透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない中央窓部の遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより透明導電膜の回路パターンを露出形成することを特徴とする請求項1に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項8】
基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成した後、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、前記透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、基体シートの両面外枠縁部に各々、透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該各々両面細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより各々両面中央窓部に透明導電膜の回路パターンを露出形成することを特徴とする請求項2に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項9】
二枚の基体シート上にそれぞれ透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を順次形成し、該基体シートどうしを対向して積層することにより積層された基体シートの両面に透明導電膜、遮光性の電極用導電膜、第一レジスト層を形成した後、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、前記透明導電膜および遮光性の電極用導電膜を同時にエッチングし、第一レジスト層を剥離することにより、両面外枠縁部に透明導電膜および遮光性の電極用導電膜が順次積層された細線引き回し回路パターンを形成した後、該細線引き回し回路パターン上に第二レジスト層を被覆形成し、該第二レジスト層が形成されていない中央窓部の遮光性の電極用導電膜層のみをエッチングすることにより透明導電膜の回路パターンを露出形成することを特徴とする請求項3に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図2(e)】
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【図2(f)】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−60146(P2011−60146A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211002(P2009−211002)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【特許番号】特許第4601710号(P4601710)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】