説明

玄関構造

【課題】玄関土間を通路として捉える概念に基づく客人に配慮した玄関において、玄関土間の占有面積を抑える構成を提供する。
【解決手段】住宅の玄関側外壁6から突出する様にして玄関扉7を備える玄関壁8を設け、玄関先に構える屋根1に設けた採光部2の直下に導入筒3を配置して玄関側外壁6と玄関扉7を備える玄関壁8との狭間に生じる空間に外光が射し込める様にし、玄関扉7と対向する第1上がり框9を設け、第1上がり框9と玄関側外壁6を介する第1上がり框9に横付けされた状況の第2上がり框10を設け、玄関天井の下方における玄関側外壁6と玄関扉7を備える玄関壁8との狭間に生じる空間に玄関収納11を配置し、玄関扉7と第1上がり框9を介する玄関側壁12を設け、第1上がり框9と第2上がり框10を隔てる仕切り壁13を設けることで玄関扉7と第1上がり框9の経路間を通路として捉える概念を明確にしつつ玄関土間14の占有面積を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅に設ける玄関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2008−184887号公報に示される様に玄関収納は玄関側壁に沿って配置されない状況及び、玄関扉と上がり框の経路間の位置から隠蔽される状況を呈することで玄関土間を通路として捉える概念に基づいた玄関がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2008−184887号公報の様な構成により客人に配慮した玄関にすることができる。但し、玄関とホ−ルの往来を2箇所で行える様にした構成の場合はスロ−プの設置や玄関収納の規模により玄関土間の占有面積が拡大する懸念がある。これを解決して玄関土間の占有面積を抑える構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
屋根1に採光部2を設け、屋根1内部と玄関天井裏に導入筒3を設け、玄関天井に第1窓4を設け、採光部2と導入筒3と第1窓4を連結する採光構造5であって、住宅の玄関側外壁6から突出する様にして玄関扉7を備える玄関壁8を設け、これにより屋根1を上限とする範囲の玄関側外壁6を除去し、玄関先に構える屋根1に採光部2を設け、屋根1内部に導入筒3を設け、採光部2の直下に導入筒3を配置して玄関側外壁6と玄関扉7を備える玄関壁8との狭間に生じる空間に外光が射し込める様にし、玄関扉7と対向する第1上がり框9を設け、第1上がり框9と玄関側外壁6を介する、第1上がり框9に横付けされた状況の第2上がり框10を設け、玄関天井の下方における玄関側外壁6と玄関扉7を備える玄関壁8との狭間に生じる空間に玄関収納11を配置し、第1上がり框9に対応する玄関収納は設けない様にし、第2上がり框10に対応する玄関収納11を設ける様にし、玄関扉7と第1上がり框9を介する玄関側壁12を設け、第1上がり框9と第2上がり框10を隔てる仕切り壁13を設けることで玄関扉7と第1上がり框9の経路間を通路として捉える概念を明確にしつつ玄関土間14の占有面積を抑える様にする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特開2007−162441号公報に示される様に玄関側外壁6と玄関扉7を備える玄関壁8との狭間に生じる空間に外光が射し込める様にした採光構造5がある。この様な構成において、玄関扉7と対向する第1上がり框9を設け、第1上がり框9と玄関側外壁6を介する、第1上がり框9に横付けされた状況の第2上がり框10を設ける様にする。
採光構造5は屋根1内部における玄関側外壁6と玄関壁8との狭間に生じる空間に設けられるものである。因って、玄関天井の下方における玄関側外壁6と玄関壁8との狭間に生じる空間を新たに活用することができる。つまり、第1上がり框9に横付けされた状況の第2上がり框10があると共に、玄関収納11が玄関扉7と第2上がり框10の経路間にあることで、第2上がり框10に対応して使用される玄関収納11をこの空間に配置したものである。この様な新規の空間活用により玄関土間14の占有面積を抑えることができる。
併せて、特開2008−184887号公報に示される様な、生活空間と玄関土間14の段差に順応するスロ−プ又は、スロ−プに代替できる踏み段を撤廃して玄関土間14に繋がる一般的な第2上がり框10を構成したことにより玄関土間14の占有面積を抑えることができる。
又、玄関扉7と第1上がり框9を介する玄関側壁12を設け、又、第1上がり框9と第2上がり框10を隔てる仕切り壁13を設けることで玄関扉7と第1上がり框9の経路間を通路として捉える概念を明確にすることができる。
【実施例】
【0006】
例えば、訪問した客人は第1上がり框9で靴を脱ぎ正面の突き当たり壁15を左折して至近の部屋16へ通される。
又、例えば、帰宅した住人は第2上がり框10で靴を脱ぎ2階へ行く場合は正面の階段17を上がることになり、同様にして住人がキッチン18やトイレ19、洗面室20へ行く場合は第2上がり框10を左折することになる。又、同様にして住人がキッチン18に繋がるリビングダイニング21へ行く場合は第2上がり框10からホ−ル22を経て扉23より入室することになる。
このホ−ル22は第1上がり框9と第2上がり框10の中間に位置するLの鏡文字形状のものであり、又、ホ−ル22において、第1上がり框9と交差する側に部屋16が配置され、第1上がり框9と対向する側にリビングダイニング21が配置されている。なお、24は洗面室20に繋がる浴室であり、又、トイレ19は階段17の真下に配置される。なお、25は窓に設ける格子であるが、図1においては格子25が記される窓以外は記載しないことで見易くしてある。
又、図2に示す様に玄関収納11が天板を備えるげた箱である場合は玄関天井の下方において、天板上方の玄関側外壁6と玄関壁8との狭間に生じる空間を塞ぐ化粧壁26を設け、化粧壁26に埋設される第2窓27を設ける様にする。この第2窓27は採光構造5を構成する第1窓4に代替するものであるため、第2窓27に対応する採光構造5からは第1窓4が撤廃されている。
なお、図2に示す様な玄関からは臨めない屋根1や採光構造5の部位は透視された状況にある。又、屋根1は庇の様なものを想定して屋根1内部は手狭な空間に記されている。
【発明の効果】
【0007】
(イ) 本発明の構成により玄関土間14の占有面積を抑えると共に、玄関収納11を玄関側外壁6の内側壁と面を同じくすることで外観を整えることができる。
(ロ) 玄関扉7と対向する第1上がり框9は玄関正面にあることで客人は通常の感覚で使用することができる。又、玄関扉7と第1上がり框9の経路間には玄関収納が無く、併せて、第1上がり框9から部屋16までの距離が近い等、移動の過程で客人に生活感を感じさせることがない。パソコンの普及による在宅ワ−クや学習、趣味等生活が多様傾向にある現代であるが、それに伴う来客の機会も増えることになる。本発明はこれに対応した構成により客人に配慮した玄関を目指すものである。
(ハ) 収納量を優先する場合は玄関収納11は壁収納にし、又、玄関の明るさを優先する場合は玄関収納11はげた箱にするという様に適切に選択を行う。
(ニ) 部屋16とリビングダイニング21を住宅の南側に併設しつつ、住宅の各部屋を第1上がり框9や第2上がり框10の使用目的に応じて割り振りしている。又、動線への配慮に関しては、例えば、第2上がり框10からキッチン18までの距離が近いことで食材購入の際には便利であり、併せて、第2上がり框10から延びる通路の両側にキッチン18やトイレ19があると共に、通路の突き当たりに洗面室20があることで同じ方向に集約できることも好都合である。
(ホ) 玄関土間14から臨む仕切り壁13はリビングダイニング21の扉23を隠蔽できることでプライバシ−を保護することができる。
(ヘ) 外壁に沿う階段17により北側2階窓からの平坦な採光ができることで安全に昇降できる。採光に関しては、天空方向から採る玄関の明かりにより、例えば、客人による「幸運に肖れるかも」等の様に会話を和ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の間取り図
【図2】 第1上がり框9から臨む正面図
【符号の説明】
1 屋根 2 採光部 3 導入筒
4 第1窓 5 採光構造 6 玄関側外壁
7 玄関扉 8 玄関壁 9 第1上がり框
10 第2上がり框 11 玄関収納 12 玄関側壁
13 仕切り壁 14 玄関土間 15 突き当たり壁
16 部屋 17 階段 18 キッチン
19 トイレ 20 洗面室 21 リビングダイニング
22 ホ−ル 23 扉 24 浴室
25 格子 26 化粧壁 27 第2窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根(1)に採光部(2)を設け、屋根(1)内部と玄関天井裏に導入筒(3)を設け、玄関天井に第1窓(4)を設け、採光部(2)と導入筒(3)と第1窓(4)を連結する採光構造(5)であって、住宅の玄関側外壁(6)から突出する様にして玄関扉(7)を備える玄関壁(8)を設け、これにより屋根(1)を上限とする範囲の玄関側外壁(6)を除去し、玄関先に構える屋根(1)に採光部(2)を設け、屋根(1)内部に導入筒(3)を設け、採光部(2)の直下に導入筒(3)を配置して玄関側外壁(6)と玄関扉(7)を備える玄関壁(8)との狭間に生じる空間に外光が射し込める様にし、玄関扉(7)と対向する第1上がり框(9)を設け、第1上がり框(9)と玄関側外壁(6)を介する、第1上がり框(9)に横付けされた状況の第2上がり框(10)を設け、玄関天井の下方における玄関側外壁(6)と玄関扉(7)を備える玄関壁(8)との狭間に生じる空間に玄関収納(11)を配置し、第1上がり框(9)に対応する玄関収納は設けない様にし、第2上がり框(10)に対応する玄関収納(11)を設ける様にし、玄関扉(7)と第1上がり框(9)を介する玄関側壁(12)を設け、第1上がり框(9)と第2上がり框(10)を隔てる仕切り壁(13)を設けることで玄関扉(7)と第1上がり框(9)の経路間を通路として捉える概念を明確にしつつ玄関土間(14)の占有面積を抑える様にした玄関構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−163097(P2011−163097A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39361(P2010−39361)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(594072856)
【Fターム(参考)】