説明

珪素精製方法

本発明では、珪素の精製法、精製珪素を得る方法を提供し、ひいては、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C. 119(e)に則り、U.S. Provisional Application Serial No. 60/788,708(2006年04月04日出願、この参照により本開示の一部とみなす)の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
珪素(シリコン)の不純物の量を減らすために、数多の方法と装置が発表されてきた。そうした例としては、帯熔融法(ゾーンメルティング法)、シランガス蒸留法、ガス注入法、酸 浸出法、排渣法(滓出し法、スラッギング法) 、および方向性凝固法などがある。しかし現在知られている手法では、硼素、燐、チタン、鉄、および他のいくつかの元素を取り除いて必要な純度を得るためには、多大な困難があり、かつ/あるいは、高額な処理工程段階を踏まねばならない。
【0003】
現在のところ、珪素を精製するにあたっては通常、超高純度揮発性珪素化合物(トリクロロシランなど)の還元および/もしくは熱分解のかかわる工程を用いている。この工程は珪素の製造方法としては、非常に費用が嵩む資本集約的な仕方であって、しかも太陽電池などの用途については必要以上の高純度が得られてしまうのである。
【発明の開示】
【0004】
本発明では、珪素の精製法、精製珪素を得る方法を提供し、ひいては、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法も提供する。本明細書に記載の方法により、費用からみた効率が比較的よい仕方を以って、商売になる量(例えば約45kg以上)の精製珪素が効率的に得られる。より具体的には、本明細書に記載の方法により、費用からみた効率が比較的よい仕方を以って、少なくとも約200トン/年の精製珪素、少なくとも約500トン/年の精製珪素、もしくは少なくとも約1,000トン/年の精製珪素が効率的に得られる。こうして得られる比較的純度の高い珪素としては例えば、多結晶珪素もしくは単結晶珪素がある。さらに云えば、こうして得られる比較的純度の高い珪素を使って、多結晶もしくは単結晶のインゴット(鋳塊)、または合成単結晶(boule)を成長させてもよい。また、こうして得られる比較的純度の高い珪素を使って、太陽電池パネルもしくは集積回路の製造を行うことも可能である。
【0005】
このような得られる比較的純度の高い珪素は、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム、(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上から精製できる。具体的には、このような得られる比較的純度の高い珪素に、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上が、各々約10ppm未満で含まれていてもよい。より具体的には、このような得られる比較的純度の高い珪素には、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)のうちの一種以上が、各々約10ppm未満で含まれていてもよい。さらには、このような得られる比較的純度の高い珪素に、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、
塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上が、各々約1ppm未満で含まれていてもよい。
【0006】
本発明では、珪素の精製方法を提供する。この方法には、 (a) 珪素および溶媒金属から第一の熔湯をつくるステップであって、ここでその溶媒金属は、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、これらの合金、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、というステップと、 (b) 第一の熔湯に第一の気体を接触させることで、垢(湯垢; dross)および第二の熔湯を得るステップと、 (c) 垢と第二の熔湯とを分離するステップと、 (d) 第二の熔湯を冷却して、第一の珪素結晶および第一の母液を得るステップと、 (e) 第一の珪素結晶と第一の母液とを分離するステップと、が含まれる。
【0007】
また本発明では、別の珪素の精製方法を提供する。この方法には、 (a) 珪素、ならびに、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、これらの合金、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される溶媒金属を使って、第一の熔湯をつくるステップと、 (b ) 第一の熔湯に、第一の気体を接触させることで、第二の熔湯および垢を得るステップと、 (c) 第二の熔湯を加熱するステップと、(d) 垢と第二の熔湯とを分離するステップと、 (e) 第二の熔湯を冷却して、第一の珪素結晶および第一の母液をつくるステップと、 (f) 第一の珪素結晶と第一の母液とを分離するステップと、 (g) 第一の珪素結晶を加熱して、第一の熔湯浴をつくるステップと、 (h) 第一の熔湯浴を方向性凝固させることで、第二の珪素結晶および第二の母液をつくるステップと、(i) 第二の珪素結晶を加熱して、第二の熔湯浴を得るステップと、 (j) 第二の熔湯浴に、第二の気体を接触させることで、第三の熔湯浴の湯面に浮かぶようにつくられる滓(金屎、スラグ; slag)が形成されるステップと、(k) 滓と第三の熔湯浴とを分離するステップと、を含んでおり、そしてさらには以下のステップ (l) からステップ (o) のうちのひとつ以上を含む。すなわち、 (l) 第二の熔湯浴を冷却して、珪素インゴットを形成するステップ、 (m) 第二の熔湯浴を、粒状化珪素へと転換するステップ、 (n) 第三の熔湯浴を鋳型に流し入れてから、第三の熔湯浴を冷却することで、第二の珪素を形成するステップ、 (o) 第三の熔湯浴を融点を下回る温度で方向性凝固させることで、第三の珪素結晶を形成して上部と下部とに分離するステップ、である。なお、上部は第三の母液を含み、且つ下部は第三の珪素を含む。
【0008】
本発明の実施形態群をもっともよく理解するには、それらの実施形態を示す以降の説明と付随の図面を参照すればよい。本明細書の図面での参照番号のふりかたは、図面でふってある参照番号の先頭が、その図面自体の番号と関連するようにしてある。複数の図面にわたって 存在している同じ要素に対しては、参照番号も同じにしてある。例えば、粒状化珪素 (148) という要素を描いたブロックフロー図が図1にあるわけだが、その同じ要素が別の図に出てきても、参照番号は変わらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここからは、本発明の特定の請求項に関する詳細な参照を行ってゆく。それらの請求項にかかる例示を、付随する構造体と式に表してある。列挙した請求項に合わせて本発明を説明してゆくが、そうだからといって本発明をそれらの請求項に限定しようとしているわけではない、ということを理解されたい。むしろ本発明は、あらゆる代替例、変形例、および均等例を包括することを志向したものであり、それらはすべて請求項により定義される本発明の範囲内に含まれることになる。
【0010】
「或る実施形態(例)」("one embodiment", "an embodiment", "an example embodiment")を参照する、とは、本明細書では、『その記載した実施形態が特定の特徴、構造体
、もしくは特性を含んでいるが、すべての実施形態が、その特定の特徴、構造体、もしくは特性を含んでいる必要はない』、ということを意味する。また、この語句が同じ実施形態を指す必要もない。そして、特定の特徴、構造体、もしくは特性を或る実施形態にからめて説明している場合には、そういった特定の特徴、構造体、もしくは特性を別の実施形態にからめることもまた、その別の実施形態が明示的に記載されていようがなかろうが、当業者の知識の裡 である。
【0011】
本発明は、珪素の精製法、精製珪素を得る方法に関し、そして、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法に関する。このような珪素の精製法、精製珪素を得る方法、そして、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法を説明する際には、特にほかに定めない限りは、後述の語は後述する意味である。
【0012】
〔定義〕
特にほかに定めない限りは、本明細書で用いられる以降の語句は、以下に挙げる意味を有する。
【0013】
本明細書に記載する製造方法においては、ステップの実施順は、本発明の原則に背かないかぎりは任意である。ただし、時系列もしくは操作順序が明示されている場合を除く。まず或るステップが行われてから、何かほかのステップがつづけて行われる、という作用を請求項で列挙的に述べていた場合には、『その第一のステップを他のステップ群のいずれかに先立って行うが、それら他のステップ群の実行順を特に定めていないかぎりは、それら他のステップ群を任意の適切な順番で行うことができる』、と解釈されたい。例えば、「ステップA、ステップB、ステップC、ステップD、およびステップE」を引用する請求要素は、『ステップAをまずはじめに行い、ステップEは最後に行い、ステップBとステップCとステップDはそのステップAとステップEの間で任意の順番で行うことができ、どんな順番でも請求する工程の文言上の範囲内に収まる』という意味であると解釈されたい。
【0014】
さらには、請求項の文言にて指定したステップを別々に行うよう明示的に引用していたときを除き、指定したステップを同時に行ってもかまわない。例えば、「Xをするステップ」と「Yをするステップ」を請求していたとすると、これらを一回の動作内で同時に行うことができる。そのようにして行われる工程も、請求された工程の文言上の範囲内に収まることになる。
【0015】
本明細書では、「複数の」("multiple")とは、二つ以上だということであって、例えば2や3や4やら5のことである。
【0016】
本明細書では、「精製する」("purifying")とは、対象とする化学物質を、異物もしくは夾雑物から物理的に分離するということを指す。
【0017】
本明細書では、「接触する」("contacting")とは、触れる行為、接させる行為、もしくはすぐ近くに置く行為、のことを指す。
【0018】
本明細書では、「結晶する(結晶化する)」("crystallizing")には、物質の結晶(結晶質)を溶液からつくる工程が含まれる。こうした工程では、液体供給流を冷却するかまたは沈澱剤を添加することによって、所望する産物の溶解度を下げて結晶化させることで、液体供給流からそうした産物を(ときには超高純度で)分離する。その後、濾過もしくは遠心分離を行い、純粋な固体結晶を残液から分離する。
【0019】
本明細書では、「結晶構造の(結晶の)」("crystalline")とは、原子が規則的・幾
何的に配列して固体となっていることを含む。
【0020】
本明細書では、「傾瀉する」("decanting")もしくは「傾瀉」("decantation")とは、析出物もしくは沈澱物を残すようにして流体を流し捨てることで、流体をそうした析出物もしくは沈澱物から分離すること、を含む。
【0021】
本明細書では、「濾過/濾別する」("filtering")もしくは「濾過/濾別」("filtration")とは、固体をとどめて液体のほうは通すような多孔質のシート(セラミックもしくは金属の膜など)に、供給流を通すことにより、固体を液体から分離するための機械的な方法のことを指す。こうした方法は、重力、圧力、もしくは真空(吸引)によって行える。濾過により、析出物もしくは沈澱物を液体から効率的に分離できる。
【0022】
本明細書では、「分離する」("separating")とは、或る物質を別の物質から取り除く工程(固体もしくは液体を混合物から除去することなど)を指す。この工程では、当業者に周知である任意の手法を採ることができ、例えば、混合物を傾瀉すること、混合物から一種以上の液体を垢取りすること、混合物を遠心分離すること、混合物から固体を濾別すること、もしくはそれらの組み合わせ、などといった手法を採用できる。
【0023】
本明細書では、「濾過/濾別する」("filtering")とは、液体をフィルターに通し、固体をフィルターにひっかけることで、(その液体と固体の)混合物から固体を除去する工程を指す。
【0024】
本明細書では、「傾瀉する」("decanting")とは、析出物をかきみださないようにして液体を流し去る工程のことか、あるいは、析出物を極力かきみださないようにして液体を流し去る工程のことを指す。
【0025】
本明細書では、「遠心分離する(遠心する)」("centrifuging")とは、求心力を利用して混合物の分離を行うこと(固体を混合物から分離することなど)を含んだ工程を指す。試験管に掛かる実質的な重力を増してゆき、沈澱(かたまり "pellet")をより高速且つ完全にベシクル (vesicle)の底に集められる。その後、溶液(上清 "supernatant")を、沈澱物をかきみだすことなくベシクル(vesicle)から素早く傾瀉できる。遠心速度は、試料にかける加速度(通常は回転数毎分(RPM)で測る)によって指定できる。遠心分離での微粒子の沈降速度は、その微粒子の大きさおよび形状、遠心加速度、存在する固体の体積分率、微粒子と液体との密度の違い、ならびに粘度、の関数となる。
【0026】
本明細書では、「垢取り」("skimming")とは、一種以上の液体、固体の組み合わせ を、混合物から除去する工程であって、その一種以上の液体は混合物の最上部に浮いた状態になっている。
【0027】
本明細書では、「かき混ぜる」("agitating")とは、混合物を荒い力で動かす状態に置くことを指す。かき混ぜるための適切な方法としては、攪拌すること、混合すること、振盪すること、などがある。
【0028】
本明細書では、「沈澱する」("precipitating")とは、固体物質(結晶など)を溶液から分離させる工程のことを指す。沈澱することには、結晶化することなどが含まれる。
【0029】
本明細書では、「母液」("mother liquor")とは、液体に固体を溶かした溶液の混合物から、固体(結晶など)を除去した後に得られる、固体もしくは液体のことを指す。なので、母液それ自体は、それら固体の評価可能な量を含まないことになる。
【0030】
本明細書では、「珪素」("silicon")とは、記号 Si と原子番号 14 を持つ化学元素のことを指す。質量で計測すると、珪素は地殻の25.7%にも及び、地球では酸素に次いで二番目に豊富な元素である。純粋な珪素の結晶は天然ではまれにしか採掘されず、金に含まれた状態か、もしくは火山噴気の中で見つけられるのみである。通常の珪素は、二酸化珪素(シリカとも呼ばれる)か珪化物の形態で産する。シリカは、純粋な二酸化珪素から(実質的に)できている鉱物として、さまざまな結晶形態をとる(石英、玉髄、オパール)。また、砂(珪砂)、紫水晶、瑪瑙、石英、水晶、火打ち石、碧玉、およびオパールは、二酸化珪素の形態群のうちである(これらは、「生物起源(biogenic)」のシリカとは対照的な、「岩石起源(lithogenic)」のものであるとしても知られている)。珪素は、珪化物(珪素、酸素、および一種以上の他の金属を含んださまざまな鉱物)としても産する。珪化物の例としては長石がある。こうした鉱物は、粘土、砂、および、さまざまな種類の岩(花崗岩や砂岩など)として産する。石綿、長石、粘土、角閃石、および雲母は、そうした珪酸塩鉱物のほんの一例である。珪素は隕石(流星体の一種)の主要成分であり、しかもテクタイト(天然硝子)の成分でもある。
【0031】
本明細書では、「冶金品位の珪素」("metallurgical grade silicon")とは、比較的純度の高い(例えば約98.0 wt.%以上の)珪素のことを指す。
【0032】
本明細書では、「熔けた」("molten")とは、融解した物質のことを指す。なお融解とは、固体物質を或る温度("融点"という)へと加熱して、液化させる工程のことである。
【0033】
本明細書では、「溶媒金属」とは、加熱されると珪素を有効に溶かしこんでその結果熔湯が得られるような、一種以上の金属もしくはそれらの合金のことを指す。適切な溶媒金属の例としては、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせ、がある。
【0034】
本明細書では、「合金」("alloy")とは、一種以上の金属を含んだ二種以上の元素の均等な混合物であり金属の特性を有するもののことである。得られる金属性物質の特性は、その成分の特性と(ときにはまったく)異なっている。
【0035】
本明細書では、「液相線」("liquidus")とは、状態図の線のことであって、その液相線の上では、所与の物質が安定に液相となる。だいたいのところ、液相線は相転移温度を示している。こうした液相線は、物質に依って直線であったり曲線であったりする。液相線は、固溶体(合金など)などの二相系においてもっともよく使われる。液相線は固相線とは対照的な場合がある。液相線と固相線とは、沿っていたり重なっていたりする必然性はない。液相線と固相線とに間隔があいていたならば、その間隔内においては物質は液体としても固体としても安定ではない。
【0036】
本明細書では、「固相線」("solidus")とは、状態図の線のことであって、その固相線の下では、所与の物質が安定に固相となる。だいたいのところ、固相線は相転移温度を示している。こうした固相線は、物質に依って直線であったり曲線であったりする。固相線は、固溶体(合金など)などの二相系においてもっともよく使われる。固相線は液相線とは対照的な場合がある。固相線と液相線とは、沿っていたり重なっていたりする必然性はない。固相線と液相線とに間隔があいていたならば、その間隔内においては物質は固体としても液体としても安定ではない。そうした場合は例えば、橄欖石(苦土橄欖石-鉄橄欖石)系で観られる。
【0037】
本明細書では、「放出する」("evolve")もしくは「気体を放出する」("evolve a gas")とは、液体もしくは固体が、化学反応もしくは化学分解にかけられて、或る条件下(高温であるのが普通)で気体を放つという過程のことを指す。
【0038】
本明細書では、「垢」("dross")とは、融けた金属浴に浮いた固体不純物のかたまりのことを指す。垢は通常、低融点である金属もしくは合金(錫、鉛、亜鉛、もしくはアルミニウムなど)の熔融または酸化から生じてくる。垢を除去するには例えば、湯面で垢取りすればよい。また、錫および鉛を使う場合、水酸化ナトリウムのペレットを加えて酸化物を溶かして滓をつくることでも、垢を除去できる。他の金属を使う場合、塩のフラックスを加えることで、垢を除去できる。垢は滓とは違うものである。垢とは合金に浮いた(粘性のある)液体であり、また、滓は固体である。
【0039】
本明細書では、「滓」("slag")とは、鉱石を精錬して金属を精製する際に生じる副産物のことである。滓は金属酸化物の混合物と見做せるが、金属硫化物および元素形態の金属原子を含んでいてもかまわない。金属精錬において、滓は廃物除去機構として使われるのが通常である。鉄、銅、アルミニウムおよびその他の金属などの金属鉱石は、天然では純度の低い状態で産する。また、酸化されて別の金属の珪化物と混ざっていることもある。精錬中、鉱石を高温に曝すと、そうした不純物は熔融金属から分離されるので、除去可能になる。そうして除去される化合物の集まりが、滓である。
【0040】
本明細書では、「不活性気体」("inert gas")とは、通常の条件下では反応しないような任意の気体もしくは気体群の組み合わせのことを指す。希ガスとは違って、不活性気体は元素形態である必要はなく、多くの場合分子気体である。また希ガスと同様に、その非反応性傾向は価数に因るものであって、あらゆる不活性気体では最外殻が埋まっている。不活性気体の例としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、および窒素(N2)がある。
【0041】
本明細書では、「回転式脱気手段」("rotary degasser")とは、熔融金属から不純物を取り除くための装置のことを指す。この装置は、脱気シャフト、羽根車ブロック、および結合手段を有する。このシャフトは、中空式で気体が通貫できるようになっているのが好ましい。羽根車ブロックは、脱気シャフトに接続しており、通常は耐熱材料でつくられ、また金属を搬送するためのひとつ以上の凹部を有する。ブロックが回転すると、この凹部が熔融金属を移す。ブロックは、脱気シャフトの中空部に接続したひとつ以上の気体入口と、各金属搬送凹部に形成された気体放出口と、を有するのが好ましい。各気体放出口は、気体入口のうちのひとつと接続する。また結合手段は、脱気シャフトを駆動シャフトに接続しており、二個以上の結合部品からできている。本明細書では、「渦流」("vortex")とは、荒いこともある回転する流れ(もしくは任意の渦状運動)であって、閉じた流線を持つ。或る中心の周りを高速に旋回する媒体もしくは質量塊の形状によって、渦流がつくられる。渦流は回転運動をする。
【0042】
本明細書では、「方向性凝固をする」("directionally solidifying")とは、熔融金属を凝固するにあたり、その凝固が進んでいる部位において供給金属が継続的に利用できるようにするやりかたのことを指す。
【0043】
本明細書では、「多結晶珪素」("polycrystalline silicon")もしくは poly-Si とは、多数の小型珪素結晶からなる材料のことを指す。
【0044】
本明細書では、「単結晶珪素」("monocrystalline silicon")とは、単独の連続する結晶格子構造を有し、ほとんど欠陥も不純物も持たないような珪素のことを指す。
【0045】
本明細書では、「インゴット(鋳塊)」(ingot")とは、扱いと輸送が比較的やりやすい形にした成形材料の塊のことを指す。例えば、金属をその融点以上に加熱して、棒状も
しくはブロック状に成形したもののことを、インゴットと呼ぶ。
【0046】
本明細書では、「合成単結晶」("boule")とは、合成した単結晶インゴットのことを指す。例えば、Czochralski(CZ)法においては、種結晶を使って大きな結晶もしくはインゴットをつくる。ここでは種結晶を純粋な熔融珪素に漬け、ゆっくり引き上げる。熔融珪素が種結晶に付いて、結晶として成長してゆく。種結晶が引き上げられると、珪素のまとまり、ひいては大きな円状の合成単結晶ができあがる。
【0047】
本明細書では、「粒状化珪素」("granulized silicon")とは、約2ミリメートル(mm)から4mmの特定の粒径を有する珪素のことを指す。
【0048】
「太陽電池パネル」("solar panel")という語は、発電に使われる太陽電池の部品である光起電モジュールのことを指す。あらゆる場合において、太陽電池パネルは平らであるのが普通であり、さまざまな高さと幅を持ったものが入手可能である。アレイとは太陽熱電池パネルもしくは光起電(PV)モジュールの集まりのことである。そしてパネルは設計目的に応じて並列にも直列にも接続できる。太陽電池パネルは通常、住宅用途、商業用途、公共用途、および光産業用途に使える。
【0049】
本明細書では、「集積回路」("integrated circuit")(IC、マイクロ回路、マイクロチップ、シリコンチップ、コンピュータチップ、もしくはチップ、としても知られる)とは、(半導体装置そして受動部品の主要素である)小型化された電子回路のことを指す。こうした小型化された電子回路は、半導体材料でできた薄型基板の表面に構築されている。
【0050】
本明細書では、"mm" はミリメートルを意味し、"ppm" は百万分率を意味し、"℃" は摂氏温度を意味し、 "wt.%" は重量百分率(重量パーセント)を意味し、 "hr" は時間を意味し、 "kg" はキログラムを意味し、そして "ppm wt.%" は重量百万分率を意味する。
【0051】
図1を参照して、珪素の精製法、精製珪素を得る方法を提供し、ひいては、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法も提供する。図2では、本発明の方法を実施する上で有用な装置系例を描いている。図3を参照して、珪素の精製法、精製珪素を得る方法、そして、精製珪素結晶を得る方法、を提供する。
【0052】
要約すると、第一の熔湯 (104) を珪素 (102) および溶媒金属 (103) からつくる。第一の熔湯 (104) を第一の気体 (106) に接触させることで、第二の熔湯 (108) および垢 (110) を得る。第二の熔湯 (108) を冷却して、第一の珪素結晶(114) および第一の母液 (116) を得る。第一の珪素結晶 (114) は加熱 (118) してもよいし、後述するように再利用 (117) してもかまわない。
【0053】
あるいは別の手法として、第一の熔湯 (104) を珪素 (102) および溶媒金属 (103) からつくる。第一の熔湯 (104) を第一の気体 (106) に接触させることで、第二の熔湯 (108) および垢 (110) を得る。第二の熔湯 (108) を冷却して、第一の珪素結晶(114) および第一の母液 (116) を得る。第一の珪素結晶 (114) を加熱して、第一の熔湯浴 (120) を得る。第一の熔湯浴 (120) を方向性凝固 (122) させて、第二の珪素結晶 (124) および第二の母液 (126) を得る。第二の珪素結晶 (124) を加熱 (128) して、第二の熔湯浴 (130) を得る。そして第二の熔湯浴(130) を第二の気体 (132) に接触させることで、第三の熔湯浴 (134) および滓 (136) を得る。第三の熔湯浴 (134) を型に流し入れ、冷却して第二の珪素 (140) を得る。あるいは別の手法として、第三の熔湯浴 (134) を冷却して珪素インゴット(144) を得てもよい。あるいは別の手法として、第三の熔湯浴 (134) を、粒状化珪素 (148) へと転換してもよい。あるいは別の手法として、第三の熔湯浴 (1
34) を方向性凝固 (150) させることで、第三の結晶 (152) を得て、その第三の結晶(152) を上部 (154) と下部 (155) に分離 (153) してもよい。分離 (153) をすることにより、上部 (154) は第三の母液 (158) を、下部 (155) は第三の珪素結晶 (156) を、それぞれ含むようになる。
【0054】
上述したように、第一の熔湯(104) は珪素 (102) および溶媒金属 (103) からつくる。第一の熔湯 (104) は完全に熔解しているべきであって、半融けの部分が多めに残っているべきではない。
【0055】
任意の適切な珪素 (102) を使用できる。例えば冶金品位の珪素、もしくはアルミニウム精錬品位の珪素(aluminum smelter grade silicon)を、珪素 (102) として使用できる。さらに云えば、用いる珪素 (102) には、それなりの量(約10.0 ppm wt.%よりも多い量、約50.0 ppm wt.%よりも多い量、もしくは約100.0 ppm wt.%よりも多い量、など)の不純物が含まれていてもよい。そうした不純物としては燐や硼素がある。例えば珪素 (102) の純度は、約95 wt.%から約99.9 wt.%の範囲とできる。より具体的には、珪素 (102) が、約10 ppm wt.%から約120 ppm wt.%の範囲の硼素と燐を含んでいてもよい。特定の実施形態のひとつ(図3参照)では、用いる珪素 (102) が、従前の精製で得られた第一の珪素結晶 (114) であってもよい。
【0056】
溶媒金属 (103) には、任意の適切な金属、金属の組み合わせ、もしくはそれらの合金が含まれてよい。溶媒金属(103) は加熱すると、珪素を有効に溶かしこみ、そして熔湯が得られる。適切な溶媒金属 (103) の例としては、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせ、がある。
【0057】
第一の熔湯 (104) を有用につくりだせるかぎりは、珪素 (102) および溶媒金属 (103)
はそれぞれが、任意の適切な量もしくは比率で存在してよい。例えば、珪素 (102) を約20 wt.%から約50 wt.%の範囲で使用でき、アルミニウムもしくはその合金を溶媒金属 (103) として約50 wt.%から約80 wt.%の範囲で使用できる。
【0058】
上述したように、第一の熔湯(104) を第一の気体 (106) と接触させることで、第二の熔湯 (108) および垢 (110) が得られる。なんらかの特定の理論に縛られたいわけではないが、第一の気体 (106) の泡 (202) の表面が、第一の熔湯 (104) からその湯面へと、塩(Mg+、Ca+、およびNa+など)を有効に垢 (110) として搬送するのだと考えられる。具体的には、第一の気体 (106) の泡 (202) に塩およびその他の不純物が付着して、第二の熔湯 (108) の湯面へと押し出されてゆき、そして垢 (110) として除去可能となる、ということである。比較的小さい泡 (202) であっても、体積比にして比較的大きな表面積を持つので、本発明では特に適切であるといえる。
【0059】
用いる第一の気体 (106) を、第一の母液 (104) を含むベシクル(vesicle)に直接導入してもいい。こうした場合、塩素(Cl2)、酸素(O2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、六弗化硫黄(SF6)、ホスゲン(COCl2)、四塩化炭素(CCl4)、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、テトラクロロシラン(SiCl4)、およびテトラフルオロシラン(SiF4)、のうちの一種以上を、第一の母液 (104) を含むベシクル(vesicle)に直接導入できると考えられる。あるいは別の手法として、第一の母液 (104) を含むベシクル(vesicle)に、第一の気体 (106) を有効に放出可能な前駆体として、用いる第一の気体 (106) を導入することもできる。こうした前駆体自体としては、固体、液体、もしくは塩フラックスを使用できる。通常、比較的高温である第一の熔湯 (104) のもとで、液体もしくは固体の前駆体を化学反応もしくは化学分解にかけると、第一の気体 (106) が放出されることになる。
【0060】
或る具体的な実施形態では、第一の気体 (106) が、100 wt.%の塩素(Cl2)を含む。別の具体的な実施形態では、第一の気体 (106) が、塩素(Cl2)および窒素(N2)を含む。別の具体的な実施形態では、第一の気体 (106) が、塩素(Cl2)および窒素(N2)を最大で比率約1:20で含む。
【0061】
或る実施形態では、回転式脱気手段 (204) を用いて、第一の熔湯 (104) を第一の気体
(106) に接触させることができる。回転式脱気手段 (204) により、第一の気体 (106) を効率的に第一の熔湯 (104) に導入できる。加えて、回転式脱気手段 (204) により、第一の気体 (106) を第一の熔湯 (104) に導入しつつ、第一の熔湯 (104) を効率的にかき混ぜる(攪拌するなど)ことができる。こうすると、比較的小さな泡ができる。
【0062】
その後、垢 (110) を第二の熔湯 (108) から(垢取り手段などを使って)除去できる。典型的には垢 (110) は、第二の熔湯 (108) の湯面に浮かんだ、白粉、母液と混ざった酸化物を含んだ半固体垢、もしくは黒粉などである。或る実施形態では、回転式脱気手段 (204) によって第二の熔湯 (108) に渦流をつくりだし、垢 (110) を第二の熔湯 (108) に効率的に混ぜこめる。こうした実施形態では、渦流が酸素に接触するので、垢 (110) がさらに得られる。
【0063】
或る実施形態では、第一の熔湯(104) を、第一の気体 (106) に触れさせる前に冷却してもよい。具体的には、第一の熔湯 (104) を、第一の気体 (106) に触れさせる前に、液相点を下回る温度(液相点から液相点を約10℃下回る温度までの範囲、など)にまで冷却できる。もっと具体的には、第一の熔湯 (104) を、第一の気体 (106) に触れさせる前に、約825℃未満にまで冷却できる。もっと具体的には、第一の熔湯 (104) を、第一の気体 (106) に触れさせる前に、約730℃から約815℃の範囲の温度にまで冷却できる。
【0064】
或る実施形態では、第一の熔湯(104) を第一の気体 (106) に接触させた後であって、垢 (110) および第二の熔湯 (108) を分離する前の時点において、第二の熔湯 (108) を加熱できる。具体的には、第一の熔湯 (104) を第一の気体 (106) に接触させた後であって、垢 (110) と第二の熔湯 (108) を分離する前の時点において、第二の熔湯 (108) を液相点よりも高い温度へと加熱できる。もっと具体的には、第一の熔湯 (104) を第一の気体 (106) に接触させた後であって、垢 (110) と第二の熔湯 (108) を分離する前の時点において、第二の熔湯 (108) を、液相点から液相点を約20℃上回る温度の範囲の温度へと、加熱できる。
【0065】
上述したように、第二の熔湯(108) を冷却 (112) することによって、第一の珪素結晶 (114) および第一の母液 (116) が得られる。或る実施形態では、第二の熔湯 (108) をかき混ぜながら冷却 (112) できる。なんらかの特定の理論に縛られたいわけではないが、冷却 (112) 中にかき混ぜることで、比較的小さな珪素結晶 (114) が得られると考えられる。このような比較的小さな珪素結晶は、歪みづらくしかも比較的高純度に作成できる。少し混合を行うと、約1 mm(厚)×約5 mm(巾)×約5 mm(長)の珪素結晶 (114) が得られる。
【0066】
さらに云えば、第一の珪素結晶(114) を第一の母液 (116) から得られる限りは、第二の熔湯 (108) を任意の適切かつ妥当な 温度へと冷却 (112) できる。具体的には、第二の熔湯(108) を、約700℃未満へと冷却 (112) できる。もっと具体的には、第二の熔湯 (108) を、固相点を上回る近傍温度(例えば、固相点から固相点を約10℃上回る温度の範囲、固相点から固相点を約15℃上回る温度の範囲、もしくは固相点から固相点を約25℃上回る温度の範囲、など)へと冷却 (112) できる。もっと具体的には、第二の熔湯 (108) を、約650℃から約700℃の範囲へと冷却 (112) できる。もっと具体的には、第二の熔湯
(108) を、固相点を上回り液相点を下回る温度へと冷却 (112) できる。
【0067】
第一の珪素結晶 (114) を第一の母液 (116) から得られるかぎりは、第二の熔湯 (108)
を、任意の適切な任意の速度で冷却(112) できる。例えば、第二の熔湯 (108) を冷却 (112) するにあたっては、約100℃/hr未満、約50℃/hr未満、もしくは約20℃/hr未満の速度を用いることができる。
【0068】
第一の珪素結晶 (114) を第一の母液 (116) から得られるかぎりは、第二の熔湯 (108)
を、任意の適切な任意の期間にわたり冷却 (112) できる。例えば、第二の熔湯(108) を、約二時間以上、約四時間以上、もしくは約八時間以上にわたって冷却 (112) できる。
【0069】
或る実施形態では、第一の珪素結晶 (114) と第一の母液 (116) を分離できる。この分離は、任意の適切なやりかたで実行できる。例えば、滓取りによって、第一の母液 (116)
を第一の珪素結晶 (114) から流し去る(切る)ことで、分離を実行できる。あるいは別の手法として、遠心分離を使って分離を行ってもよい。図2(b)からわかるように、滓取り手段 (115) を使って、第一の珪素結晶(114) に加圧することで、分離を促進できる。
【0070】
特定の実施形態のひとつ(図3参照)では、得られた第一の珪素結晶 (114) を使うか再利用 (117) して、珪素 (102) としてさらなる精製にかけることもできる。この再利用言い換えればリサイクリング (117) を複数回(例えば二回、三回、四回、もしくは五回)にわたり実行することにより、第一の珪素結晶 (114) を必要な純度で得ることもできる。
【0071】
上述したように、第一の珪素結晶(114) を加熱 (118) して、第一の熔湯浴 (120) をつくる。第一の熔湯浴 (120) を有用につくることができるような任意の適切な温度へと、第一の珪素結晶 (114) を加熱 (118) できる。具体的には、第一の珪素結晶 (114) を、約1100℃から約1500℃の範囲の温度へ加熱 (118) できる。さらに云えば或る実施形態では、第一の珪素結晶 (114) を、不活性気体、真空、もしくはそれらの組み合わせの存在下で加熱 (118) できる。適切な不活性気体としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、もしくはそれらの組み合わせ、がある。なんらかの特定の理論に縛られたいわけではないが、不活性気体の存在下で第一の珪素結晶 (114) を加熱 (118) することで、昇温した後の温度(約1100℃から約1500℃の範囲など)での二酸化珪素(SiO2)を含んだ垢および/もしくは滓の形成を抑止できると考えられる。さもなくば、珪素から二酸化珪素への酸化により、精製珪素の全体的な収率が下がってしまうと思われる。
【0072】
上述したように、第一の熔湯浴(120) を方向性凝固 (122) させることで、第二の珪素結晶 (124) および第二の母液 (126) をつくる。こうした方向性凝固により、ベシクル
(vesicle)(坩堝など)の底に結晶を形成でき、そして上部(つまり熔湯)を除去できるようになる。
【0073】
或る実施形態では、方向性凝固をすることに、第一の熔湯浴の上部を加熱すること、第一の熔湯浴の下部を冷却すること、もしくはそれらの組み合わせ、が含まれる。あるいは別の手法として、第一の熔湯浴 (120) を冷却して、第二の珪素結晶(124) および第二の母液 (126) をつくることもできる。あるいは別の手法として、方向性凝固 (122) をすることに、第一の熔湯浴 (120) を融点を下回るように冷却することで第二の珪素結晶 (124) を形成することと、上部と下部とを分離すること、が含まれる。なおここで上部には第二の母液(126) が、下部には第二の珪素結晶 (124) が、それぞれ含まれる。
【0074】
上述したように、第二の珪素結晶(124) を加熱 (128) して、第二の熔湯浴 (130) を得
る。第二の珪素結晶 (124) を、第二の熔湯浴 (130) を有効に得られるような任意の適切な温度で加熱 (128) できる。具体的には、第二の珪素結晶 (124) を、液相点を上回る温度へと加熱 (128) して、第二の熔湯浴 (130) を得る。もっと具体的には、第二の珪素結晶 (124) を、約1300℃以上の少なくとも近傍の温度まで加熱 (128) して、第二の熔湯浴
(130) を得ることができる。
【0075】
上述したように、第二の熔湯浴(130) を第二の気体 (132) に接触させることで、第三の熔湯浴 (134) の湯面に浮かぶ滓および/もしくは垢 (136) が得られる。用いる第二の気体 (132) を、第二の熔湯浴 (130) を含むベシクル(vesicle)に直接導入してもいい。こうした場合、塩素(Cl2)、酸素(O2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、六弗化硫黄(SF6)、ホスゲン(COCl2)、四塩化炭素(CCl4)、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、テトラクロロシラン(SiCl4)、およびテトラフルオロシラン(SiF4)、のうちの一種以上を、第二の熔湯浴 (130) を含むベシクル(vesicle)に直接導入できると考えられる。あるいは別の手法として、第二の熔湯浴 (130) を含むベシクル(vesicle)に、第二の気体 (132) を有効に放出可能な前駆体として、用いる第二の気体 (132) を導入することもできる。こうした前駆体自体としては、固体もしくは液体を使用できる。通常、比較的高温である第二の熔湯浴 (130) のもとで、液体もしくは固体の前駆体を化学反応もしくは化学分解にかけると、第二の気体 (132) が放出されることになる。
【0076】
或る実施形態では、回転式脱気手段 (204) を用いて、第二の熔湯浴(130) を第二の気体 (132) に接触させることができる。回転式脱気手段 (204) によって、第二の気体 (132) を第二の熔湯浴 (130) に効率的に導入できる。加えて、回転式脱気手段 (204) により、第二の気体 (132) を第二の熔湯浴 (130) に導入しつつ、第二の熔湯浴 (130) を効率的にかき混ぜる(攪拌するなど)ことができる。
【0077】
或る実施形態では、回転式脱気手段 (204) によって第二の熔湯浴 (130) に渦流をつくりだし、滓 (136) を第三の熔湯 (134) に効率的に混ぜこめる。別の実施形態では、第二の気体 (132) を接触させる前に、第二の熔湯浴(130) を冷却できる。具体的には、第二の気体 (132) を接触させる前に、第二の熔湯浴 (130) を液相点を下回る温度(例えば、液相点から液相点を約10℃下回る温度の範囲)へと冷却できる。
【0078】
或る実施形態では、第二の熔湯浴(130) を第二の気体 (132) に接触させた後であって、滓 (136) と第三の熔湯 (134) を分離する前の時点において、第三の熔湯浴 (134) を加熱できる。具体的には、第二の熔湯浴 (130) を第二の気体 (132) に接触させた後であって、滓 (136) と第三の熔湯浴 (134) を分離する前の時点において、第三の熔湯浴 (134) を液相点を上回る温度へと加熱できる。もっと具体的には、第二の熔湯浴 (130) を第二の気体 (132) に接触させた後であって、滓 (136) と第三の熔湯浴 (134) を分離する前の時点において、第三の熔湯浴 (134) を、液相点から液相点を約20℃上回る温度の範囲へと加熱できる。
【0079】
上述したように、滓 (136) と第三の熔湯浴 (134) を分離できる。これらの分離にあたっては、任意の適切な方法を使用できる。例えば、滓 (136) を第三の熔湯浴 (134) から垢取り手段を用いて除去できる。
【0080】
上述したように、第三の熔湯浴(134) を融点以下で方向性凝固 (150) させることで、第三の珪素結晶 (152) を形成できる。加えて、上部 (154) と下部 (155) を分離 (153) することもでき、ここで上部(154) は第三の母液 (158) を、下部 (155) は第三の珪素 (156) を、それぞれ含む。或る実施形態では、方向性凝固をすることに、第三の熔湯浴 (134) の上部 を加熱すること、第三の熔湯浴 (134) の下部 を冷却すること、もしくはそれらの組み合わせ、が含まれる。あるいは別の手法として、第三の熔湯浴 (134) を冷却 (142) することで、珪素インゴット (144) を得るようにしてもよい。
【0081】
本明細書に記載した方法群により、費用からみた効率が比較的よい仕方を以って、商売になる量(例えば約45kg以上)の精製珪素を効率的に得られる。より具体的には、本明細書に記載の方法により、費用からみた効率が比較的よい仕方を以って、少なくとも約200トン/年の精製珪素、少なくとも約500トン/年の精製珪素、もしくは少なくとも約1,000トン/年の精製珪素が効率的に得られる。こうして得られる比較的純度の高い珪素としては例えば、多結晶珪素もしくは単結晶珪素がある。さらに云えば、こうして得られる比較的純度の高い珪素を使って、多結晶もしくは単結晶のstring ribbon、球状粒、インゴット(鋳塊)、または合成単結晶(boule)を成長させてもよい。また、こうして得られる比較的純度の高い珪素を使って、太陽電池パネルもしくは集積回路の製造を行うことも可能である。
【0082】
得られる比較的純度の高い珪素は、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上から精製できる。具体的には、得られる比較的純度の高い珪素が、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上を、各約10 ppm未満で含んでもよい。もっと具体的には、得られる比較的純度の高い珪素が、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)のうちの一種以上を、各約10ppm未満の濃度で含んでよい。さらに云えば、得られる比較的純度の高い珪素が、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上を、各約1ppm未満の濃度で含んでもよい。
【0083】
〔本発明にかかる方法〕
本明細書にかかる方法群の各々は、化学、冶金学、および材料科学の当業者にとって周知な適切な技法のうちのいずれかを用いて実施可能である。以降に述べる、限定を旨としない実施済と未実施の実施例を以って、本発明を説明してゆく。
【実施例】
【0084】
〔実施例1: 珪素の精製法〕
{ステップA: 約10ppm以下になるまでPを除去する}
50-50 Al-Si混合物(重量比)を、誘導炉で約1000℃で完全に融かした。1/3:1/3:1/3 Cu:Al:Si混合物も同様に使える。純粋なアルミニウムでは、燐の含有量を可能なかぎり低くする(約1 ppmから10 ppmの範囲など)べきである。Cuの燐含有量も同様に低くする(例えば約30 ppm未満が好ましい)べきである。冶金する珪素のカルシウム含有量が少なければ、カルシウムを足して、Ca3P4 沈澱体ができやすくしてもよい。このようにすると、Cl2および不活性気体を内包した気泡によって、燐を湯面へと簡単にひきずりだせる。約4%のCl2と96%のアルゴンを有する気体を、約800 RPMでまわる回転羽根車を介して注入した。燐の含有量が、約10 ppmwにまで低下するか、または次のステップで燐の含有量を約2 ppmw以下にまで減らす上で充分な程度にまで低くなるまで、気体の注入を数時間にわたり続けた。清浄な器具を使って熔湯を汚染しないようにしつつ、定期的に湯面から垢と塩を紗幕った(scrimmed)。
【0085】
{ステップB: アルミニウム/銅の大部分の除去}
混合中、誘導炉を約700℃から1000℃になるようゆっくりと約四時間にわたり冷ました。混合時に徐冷したことで、珪素結晶がゆっくりと形成され、純度と大きさが向上した。700℃に達したところで、大型の詰め具(tamper)を使って、結晶を炉の底に詰める。詰め具には直径約3/16"の多数の小孔をあけて、詰め具を通して湯を逃がせるようにしたほうがよい。炉の底で結晶をぎっしりと詰めるために充分な力で、詰め具をまっすぐ押しこみ、炉を傷つけないようにするのがよい。詰め具を下ろしつつ、炉を傾けて、アルミニウム-珪素の湯を炉から流し出した。その後、炉を再加熱して、残った珪素結晶(90% 珪素と10% Alであると好ましかった)を再熔融した。このステップをくりかえし行って、珪素の純度を上げた。ステップBにて流し出したアルミニウム-珪素の湯は、成形用合金としてアルミニウム鋳物業者に販売できる。
【0086】
{ステップC: 残った溶媒金属の大部分を方向性凝固で除去する}
珪素が湯となったところで、珪素を新たな坩堝炉に流し入れて、方向性凝固させた。珪素は加熱領域を通って流れ落ち、坩堝の底で珪素がまず凍るようにした。冷却した坩堝立てを使って、坩堝の底から熱を逃がした。珪素を冷やしつつ、湯を混ぜた。元の湯の約80%が凍り、20%が湯として最上部に残るようになるまで、温度を下げた。最上部から採取したアルミニウム-珪素の湯は、アルミニウム-珪素のマスター合金として販売することもできるし、あるいは、この工程の開始点に戻すようリサイクルして使ってもかまわない。坩堝の底は約99%の珪素であり、ほとんどのアルミニウムは最上部に在って、炉から流し出した。その後、残った珪素を再加熱して液体状態にし、ステップDの開始に備えた。この珪素は約1%のアルミニウムを含んでいて、燐は1 ppmwから2 ppmw程度になるまで除去されていた。Ca、Mg、Li、Sr、およびNaのほとんどが除去された。Bridgeman法、浮遊帯熔融法、もしくはCzochralski法などの結晶成長工程によりTiとFeを許容範囲内にまで除去できるような量にまで、TiとFeを減らした。
【0087】
{ステップD: 気体注入と滓出し(スラッギング)による硼素および他の酸化可能元素の除去}
H2O蒸気および/もしくは4% O2、ならびに96% アルゴンガスの混合物を、約800 RPMでまわる回転羽根車を介して、約1475℃の熔融珪素へと、数時間にわたり注入した。 SiO2 、 Al2O3 、および他の酸化された元素から、滓が形成されはじめた。この滓は、熔融珪素へと混ざりこんでいた。滓を定期的に除去した。あるいは、滓が熔融珪素の湯面に湧きだしてくるようにもできたと考えられる。珪素中の不純物は、熔融珪素ではなく滓に入るようにするのがよい。滓の燐含有量は、熔湯の汚染を相当に抑止できるかぎりの少なさにしなくてはならない。回転式脱気手段がまき起こす渦流によって、熔融滓を熔融珪素に混ぜこむことができる。これによって、反応速度が増して、不純物が滓と塩に入り込みやすくなった。また、フラックス注入を使って、塩を足してもよい。不純物が滓もしくは塩に移った後、回転羽根車を減速して、渦流発生を止めた。こうすることで、滓/塩が、湯面に浮かびあがるか、底に沈むか、もしくは機械的に除去された坩堝の傷みの端(the edges of the crucible wear it was mechanically removed)にへばりつくようになった。ステップD中に追加の気体注入を行うことで、さらに滓を得ることもできる。
【0088】
硼素が約0.5 ppmwから2 ppmwの範囲へ減ったところで、100% アルゴンを羽根車を介して注入し、残った酸化物および炭化物を熔湯の最上部に浮かびあがらせて、滓として除去できるようにした。この段階では、回転羽根車が渦流をつくりださないように注意を払った。なおこの回転羽根車は減速させなかった。炉を覆って、雰囲気から酸素および炭素が熔湯中に入りこむ量を最小限に抑えた。必要であればこの時点で添加剤を珪素に加えてお
いてもよい。なお多くの用途で、硼素濃度は燐濃度よりも高くする必要がある。その後、熔融珪素をセラミック発泡フィルターを通して流し、必要であったならば余剰の酸化物もしくは炭化物を除去できた。熔融珪素に真空処理をかけることも、酸化物および炭化物の除去を促進した。こうして得られた珪素は、商業的に利用可能な方法での処理にかけることができるようになっており、例えば、Bridgeman法、浮遊帯熔融法、帯精錬(ゾーンリファイニング)法、多結晶方向性凝固法、もしくはCzochralski法などの処理にかけることが可能となっていた。ステップDから得られる珪素を、Bridgeman法へと移したこと(熔湯移送もしくはインゴットの大きさに関する別の特許として切り離して出願することも可能であろう )によって、工程を加速し、表面積対質量の比を小さくしつつ汚染を減らした。最後のステップが完了する前の段階で、この珪素を、結晶成長工程を行うことになる別の会社へと販売してもかまわない。
【0089】
{ステップE: 方向性凝固法}
Bridgeman法、浮遊帯熔融法、Czochralski法、または、他の結晶もしくは多結晶の成長工程を使った方向性凝固により、合成単結晶もしくは多結晶インゴットを作成した。このステップにより、珪素の不純物をさらに取り除いて、太陽電池で求められる純度を得た。
【0090】
こうしたステップ群を組み合わせるための起用できるやりかたは他にもいろいろあり、いずれにせよ今回観察された結果が得られることになる。以降の実施例では、珪素を精製するためのステップ群を再配列した別の実施可能なやりかたを示してゆく。
【0091】
〔実施例2〕
実施例2と実施例1の主な違いは、溶媒の追加の前に、まず気体の注入および/もしくは熔融珪素の滓出しを行う、ということである。
【0092】
{ステップA}
熔融珪素へと気体の注入および滓を混入する。このステップでは、ステップCとステップDにて燐と硼素の濃度を太陽電池品位の珪素の水準にまで下げることが可能であるような程度に、硼素および燐の量を許容可能なところまで減らすことができる。またこのステップでは、Ca、Mg、Al、Sr、Liなどの元素も減らし、方向性凝固ステップを行いやすくする。
【0093】
{ステップB}
珪素を溶媒に溶かす。この溶媒はアルミニウムか、またはアルミニウムおよび銅かであるのが好ましい。
【0094】
{ステップC}
分別結晶化を用いて溶媒金属の大部分と珪素を機械的に分離する。熔融混合物を徐冷して珪素結晶を作成すると、精製珪素結晶ができる。こうして得られた珪素結晶は、さまざまな利用可能な方法を以って機械的に取り出せる。詰め具(tamp)を使って炉中の珪素結晶を押さえつつ、母熔湯を流し出すようにして、結晶の分離をするのが好ましい。
【0095】
{ステップD}
その後に方向性凝固を使うことで残った溶媒の大部分を珪素から分離する。熔湯に温度勾配をかけてゆっくりと凝固させ、そうしてから残った凍りそうにない母液を、流し出すかもしくは取り除くことができる。燐は固化した珪素結晶よりも熔融した溶媒のほうへ入りやすい性質があるので、このステップによって燐を減らせるのである。
【0096】
{ステップE}
熔融珪素への気体注入および滓の混入、ならびに滓の混合をする。このステップは、気
体注入か滓出しかのみで行ってもよいし、またはそうした二種のステップを組み合わせて行ってもよい。不純物の大部分は既に除去されているので、このステップでは、残った溶媒金属の除去に焦点を絞っている。アルミニウムを溶媒金属として使うなら、酸素を含んだ反応性気体が、アルミニウムと反応して、熔湯から除去可能な酸化アルミニウムの滓ができる。気体を細かな泡として注入するための系(回転式脱気手段など)により、このステップの効率を向上できる。
【0097】
{ステップF}
Bridgeman法、浮遊帯熔融法、Czochralski法、もしくは他の結晶成長工程を使って、方向性凝固/結晶引き上げにより精製珪素を形成する。
【0098】
〔実施例3〕
実施例3と実施例1との主な違いは、ステップC「方向性凝固」が無いことであって、これは、反応性気体(酸素など)を注入することで、溶媒金属(アルミニウムなど)を酸化物にして除去できるからである。
【0099】
[I] 珪素を溶媒および注入ガスに溶かしこむか、または塩を添加することで、不純物を取り除く。
【0100】
[II] 分別結晶化を用いて溶媒金属の大部分と珪素を機械的に分離する。
【0101】
[III] 熔融珪素に気体を注入し滓を混ぜこむことで、不純物と溶媒を取り除く。
【0102】
[IV] Bridgeman法、浮遊帯熔融法、Czochralski法、もしくは他の結晶成長工程を使って、方向性凝固/結晶引き上げにより精製珪素を形成する。
【0103】
〔実施例4〕
実施例4と実施例1との主な違いは、ステップB「分別結晶化」が無いことである。反応性気体(酸素など)を注入することで、溶媒金属(アルミニウムなど)を酸化物にして除去できる。ステップB「酸素注入による分別結晶化」を外したのは、酸素注入でアルミニウムを除去できるからである。
【0104】
[I] 珪素を溶媒および注入ガスに溶かしこむか、または塩を添加することで、不純物を取り除く。
【0105】
[II] 方向性凝固により、残った溶媒の大部分を珪素から分離する。
【0106】
[III] 熔融珪素に気体を注入し滓を混ぜこむ。
【0107】
[IV] Bridgeman法、浮遊帯熔融法、Czochralski法、もしくは他の結晶成長工程を使って、方向性凝固/結晶引き上げにより精製珪素を形成する。
【0108】
〔実施例5: 珪素からの不純物除去〕
【0109】
【表1】

【0110】
上述にて教示したところにしたがえば、本発明にかかる数多の改変例および変形例を実施できることは明らかである。つまり、付随する請求項の範囲内において、本明細書にて具体的に示したもの以外のやりかたで本発明を実施可能である、ということを理解されたい。
【0111】
ここにて参照したすべての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書に含まれる。ここまでの明細書にて本発明を特定の好ましい実施形態群に関して説明し、例示を目的としてさまざまな詳細を述べてきた。しかしながら、本発明の基本原理から逸脱することなく、本発明ではさらなる実施形態群が可能であって、本明細書で述べた特定の詳細を相当に変更可能である、ということが当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】珪素の精製法、精製珪素を得る方法、そして、精製珪素結晶、精製粒状化珪素、および/もしくは精製珪素インゴットを得る方法、についてのブロックフロー図である。
【図2A】本発明の方法を実施する上で有用な、装置系例を描いたものである。
【図2B】本発明の方法を実施する上で有用な、装置系例を描いたものである。
【図2C】本発明の方法を実施する上で有用な、装置系例を描いたものである。
【図2D】本発明の方法を実施する上で有用な、装置系例を描いたものである。
【図2E】本発明の方法を実施する上で有用な、装置系例を描いたものである。
【図3】珪素の精製法、精製珪素を得る方法、そして、精製珪素結晶を得る方法、についてのブロックフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 珪素および溶媒金属から第一の熔湯をつくるステップであって、ここで前記溶媒金属は、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、これらの合金、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、というステップと、
(b) 前記第一の熔湯に第一の気体を接触させることで、垢および第二の熔湯を得るステップと、
(c) 前記垢と前記第二の熔湯とを分離するステップと、
(d) 前記第二の熔湯を冷却して、第一の珪素結晶および第一の母液を得るステップと、
(e) 前記第一の珪素結晶と前記第一の母液とを分離するステップと
を含む、珪素の精製方法。
【請求項2】
ステップ (a) において、前記第一の熔湯を、液相点よりも高い温度に加熱することでつくる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ (a) において、前記第一の熔湯を、約900℃以上の温度に加熱することでつくる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ステップ (a) において、冶金品位の珪素を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ステップ (a) において、珪素を約20wt.%から約50wt.%の範囲で用いる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ステップ (a) において、アルミニウム、もしくはアルミニウムの合金を、溶媒金属として且つ約50wt.%から約80wt.%の範囲で用いる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ステップ (b) において、前記第一の熔湯に、液体、固体、もしくはそれらの組み合わせを接触させることによって、前記第一の気体を実質的に発生させることで、前記第一の気体をつくる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ステップ (b) において、前記第一の気体が、塩素(Cl2)、酸素(O2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、六弗化硫黄(SF6)、ホスゲン(COCl2)、四塩化炭素(CCl4)、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、テトラクロロシラン(SiCl4)、およびテトラフルオロシラン(SiF4)、のうちの一種以上を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ステップ (b) を、一回は塩素(Cl2)および不活性気体を用いて、一回は酸素(O2)および不活性気体を用いて、計二回行う、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ステップ (b) を、前記第一の熔湯をかき混ぜながら行う、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ステップ (b) において、気相垢もしくは黒粉が生じて取り除かれる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ステップ (b) を、回転式脱気手段を用いて行う、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ステップ (b) において、前記第一の気体が、塩素(Cl2)および不活性気体を、重量比約1:20以下で含む、 請求項1記載の方法。
【請求項14】
ステップ (b) において、前記第一の気体が、塩素(Cl2)およびアルゴン(Ar)を、重量比約1:20以下で含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ステップ (b) において、前記第一の気体が、塩素(Cl2)および窒素(N2)を、重量比約1:20以下で含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ステップ (b) において、回転式脱気手段が、前記第一の熔湯中の前記垢を混合する渦流をつくる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
ステップ (b) において、前記第一の熔湯中に渦がつくられ、前記渦流が酸素(O2)と接触してさらなる垢を出す、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ステップ (b) において、前記第一の熔湯中に渦流がつくられ、前記渦流が大気中の酸素(O2)と接触してさらなる垢を出す、請求項1記載の方法。
【請求項19】
ステップ (b) において、前記垢が、前記第二の母液の湯面につくられる、請求項1記載の方法。
【請求項20】
ステップ (a) の後且つステップ (b) の前に、前記第一の熔湯が液相点を下回るように冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
ステップ (a) の後且つステップ (b) の前に、前記第一の熔湯を約825℃未満の温度になるよう冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
ステップ (a) の後且つステップ (b) の前に、前記第一の熔湯を約730℃から約815℃の範囲の温度になるよう冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
ステップ (a) の後且つステップ (b) の前に、前記第一の熔湯を、液相点から液相点を約10℃下回る温度までの範囲になるよう冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
ステップ (b) の後且つステップ (c) の前に、前記第二の熔湯を加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
ステップ (b) の後且つステップ (c) の前に、前記第二の熔湯を、液相点よりも高い温度になるまで加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項26】
ステップ (b) の後且つステップ (c) の前に、前記第二の熔湯を、液相点から液相点を約20℃上回る温度までの範囲になるように加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項27】
ステップ (c) を、垢取り手段を用いて行う、請求項1記載の方法。
【請求項28】
ステップ (c) において、前記垢を、前記第二の熔湯の湯面から取り除く、請求項1記載の方法。
【請求項29】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、約700℃未満の温度になるよう冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項30】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、固相点から固相点を約10℃上回る温度までの範囲になるように冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項31】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、約650℃から約700℃の範囲の温度になるように冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項32】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、固相点を上回り液相点を下回る範囲の温度になるように冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項33】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、約75℃/hr未満の速度で冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項34】
ステップ (d) において、前記第二の熔湯を、約二時間以上にわたって冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項35】
ステップ (d) を、前記第二の熔湯をかき混ぜながら行う、請求項1記載の方法。
【請求項36】
ステップ (e) を、前記第一の珪素結晶を残して前記第一の母液を流し出すことで行う、請求項1記載の方法。
【請求項37】
ステップ (e) を、遠心分離を用いて行う、請求項1記載の方法。
【請求項38】
ステップ (a)-(e) のうちのひとつ以上を、複数回行う、請求項1記載の方法。
【請求項39】
ステップ (a)-(e) の各々を複数回行う、請求項1記載の方法。
【請求項40】
ステップ (a)-(e) の各々を複数回行い、また、
ステップ (e) で得られる前記第一の母液を、その後のステップ (a) で前記溶媒金属として用いる
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項41】
前記第一の珪素結晶が、約65wt.%から約95wt.%の範囲で珪素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項42】
ステップ (e) の後に、
(f) 前記第一の珪素結晶を加熱して、第一の熔湯浴をつくるステップ
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項43】
前記第一の珪素結晶を、約1100℃から約1500℃までの範囲の温度へと加熱する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記第一の珪素結晶を、不活性気体、真空、もしくはそれらの組み合わせ、の存在下で加熱する、請求項42記載の方法。
【請求項45】
前記第一の珪素結晶を、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、もしくはそれらの組み合わせ、の存在下で加熱する、請求項42記載の方法。
【請求項46】
ステップ (f) の後に、
(g) 前記第一の熔湯浴を方向性凝固させて、第二の珪素結晶および第二の母液をつくるステップ
をさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項47】
ステップ (g) が、
前記第一の熔湯浴の上部を加熱すること、前記第一の熔湯浴の下部を加熱すること、もしくはそれらの組み合わせ
を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
ステップ (g) が、
前記第一の熔湯浴を冷却して、第二の珪素結晶および第二の母液をつくるステップ
を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記方向性凝固が、
前記第一の熔湯浴を、融点を下回るように冷却することで、第二の珪素結晶を形成して、前記第一の熔湯浴を上部と下部とに分離させるステップ
を含み、ここで、
前記上部が第二の母液を含み、前記下部が第二の珪素結晶を含む
ことを特徴とする、請求項46記載の方法。
【請求項50】
ステップ (g) の後に、
(h) 前記第二の珪素結晶を加熱して、第二の熔湯浴を得るステップと、
(i) 前記第二の熔湯浴に、第二の気体を接触させて、第三の熔湯浴の湯面に浮くようにつくられる滓を得るステップと、
(j) 前記滓および前記第三の熔湯浴を分離するステップと
をさらに含む、請求項42から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
ステップ (h) において、前記第二の珪素結晶を、液相点よりも高い温度になるまで加熱する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
ステップ (h) において、第二の珪素結晶を、約1300℃以上の温度の少なくとも近傍である温度になるまで加熱する、請求項50記載の方法。
【請求項53】
ステップ (i) において、前記第二の熔湯浴に、液体、固体、もしくはそれらの組み合わせを接触させることによって、前記第二の気体を実質的に発生させることで、前記第二の気体をつくる、請求項50記載の方法 。
【請求項54】
ステップ (i) において、前記第二の気体が、塩素(Cl2)、酸素(O2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、六弗化硫黄(SF6)、ホスゲン(COCl2)、四塩化炭素(CCl4)、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、テトラクロロシラン(SiCl4)、およびテトラフルオロシラン(SiF4)、のうちの一種以上を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項55】
ステップ (i) およびステップ (j) を、約二回以上行う、請求項50記載の方法。
【請求項56】
ステップ (i) およびステップ (j) を、はじめの一回はステップ (i) で水蒸気(H2O)、水素(H2)、もしくはそれらの組み合わせ、ならびに酸素(O2)および不活性気体を用い、そしてつぎの一回はステップ (i) で不活性気体を用いるようにして、二回にわたり行う、請求項50記載の方法。
【請求項57】
ステップ (i) およびステップ (j) を、はじめの一回はステップ (i) で水蒸気(H2O)、酸素(O2)、および不活性気体を用い、そしてつぎの一回はステップ (i) で不活性気体を用いるようにして、二回にわたり行う、請求項50記載の方法。
【請求項58】
ステップ (i) およびステップ (j) を、はじめの一回はステップ (i) で水素(H2)、酸素(O2)、および不活性気体を用い、そしてつぎの一回はステップ (i) で不活性気体を用いるようにして、二回にわたり行う、請求項50記載の方法。
【請求項59】
ステップ (i) を、前記第二の熔湯浴をかき混ぜながら行う、請求項50記載の方法。
【請求項60】
ステップ (i) を、回転式脱気手段を用いて行う、請求項50記載の方法。
【請求項61】
ステップ (j) を、垢取り手段を用いて行う、請求項50記載の方法。
【請求項62】
ステップ (j) の後に、
(k) 前記第三の熔湯浴を冷却して、珪素インゴットを形成するステップ
をさらに含む、請求項50から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
ステップ (j) の後に、
(l) 前記第三の熔湯浴を、粒状化珪素へと転換するステップ
をさらに含む、請求項50から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
ステップ (j) の後に、
(m) 前記第三の熔湯浴を鋳型に流し入れてから冷却することで、第二の珪素を形成するステップ
をさらに含む、請求項50から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
ステップ (j) の後に、
(n) 前記第三の熔湯浴を融点を下回る温度で方向性凝固させることで、第三の珪素結晶を形成して上部と下部とに分離するステップ
をさらに含み、ここで、
前記上部が第三の母液を含み、前記下部が第三の珪素を含む
ことを特徴とする、請求項50から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
ステップ (n) が、
前記第三の熔湯浴の上部を加熱すること、前記第三の熔湯浴の底部を加熱すること、もしくはそれらの組み合わせ
を含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
ステップ (n) が、
前記第三の熔湯浴を冷却するステップ
を含む、請求項65記載の方法。
【請求項68】
(a) 珪素、ならびに、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、これらの合金、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される溶媒金属を使って、第一の熔湯をつくるステップと、
(b) 前記第一の熔湯に、第一の気体を接触させることで、第二の熔湯および垢を得るステップと、
(c) 前記第二の熔湯を加熱するステップと、
(d) 前記垢と前記第二の熔湯とを分離するステップと、
(e) 前記第二の熔湯を冷却して、第一の珪素結晶および第一の母液をつくるステップと、
(f) 前記第一の珪素結晶と前記第一の母液とを分離するステップと、
(g) 前記第一の珪素結晶を加熱して、第一の熔湯浴をつくるステップと、
(h) 前記第一の熔湯浴を方向性凝固させることで、第二の珪素結晶および第二の母液をつくるステップと、
(i) 前記第二の珪素結晶を加熱して、第二の熔湯浴を得るステップと、
(j) 前記第二の熔湯浴に、第二の気体を接触させることで、第三の熔湯浴の湯面に浮かぶようにつくられる滓が形成されるステップと、
(k) 前記滓と前記第三の熔湯浴とを分離するステップと
を含んでおり、そしてさらに、
(l) 前記第二の熔湯浴を冷却して、珪素インゴットを形成するステップ、
(m) 前記第二の熔湯浴を、粒状化珪素へと転換するステップ、
(n) 前記第三の熔湯浴を鋳型に流し入れてから、前記第三の熔湯浴を冷却することで、第二の珪素を形成するステップ、
(o) 前記第三の熔湯浴を融点を下回る温度で方向性凝固させることで、第三の珪素結晶を形成して上部と下部とに分離するステップ、
というステップ (l) からステップ (o) のうちのひとつ以上を含み、ここで、
前記上部が第三の母液を含み、前記下部が第三の珪素を含む
ことを特徴とする、珪素の精製方法。
【請求項69】
多結晶珪素が得られる、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
単結晶珪素が得られる、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
精製された珪素を使って、多結晶のもしくは単結晶のインゴット、または合成単結晶を成長させる、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素を切削して、ウェハを得るステップ
をさらに含む、請求項1から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上から、前記珪素が精製される、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素が、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上を、各約10ppm未満の濃度で含む、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素が、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)のうちの一種以上を、各約10ppm未満の濃度で含む、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素が、リチウム(Li)、硼素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、燐(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)、のうちの一種以上を、各約1ppm未満の濃度で含む、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素が、太陽電池パネルの製造に用いられる、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素が、集積回路の製造に用いられる、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素を、約45キログラム以上得られる、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素を、約200トン/年以上得られる、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記第一の珪素結晶、前記第二の珪素結晶、前記粒状化珪素、前記珪素インゴット、前記第二の珪素、前記第三の珪素結晶、もしくは前記第三の珪素を、約1,000トン/年以上得られる、請求項1から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
請求項1から81のいずれか一項に記載の方法によって得た、精製珪素。
【請求項83】
請求項1から41、46から49、および68のうちのいずれか一項に記載の方法によって得た、珪素結晶。
【請求項84】
請求項63および68のいずれか一項に記載の方法によって得た、粒状化珪素。
【請求項85】
請求項62および68のいずれか一項に記載の方法によって得た、珪素インゴット。
【請求項86】
請求項64から68のいずれか一項に記載の方法によって得た、珪素。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−532316(P2009−532316A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503383(P2009−503383)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000574
【国際公開番号】WO2007/112592
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508298352)6エヌ シリコン インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】6N SILICON INC.
【Fターム(参考)】