説明

現像処理液用パッケージ

【課題】 現像処理の品質を維持しつつ利便性を向上する。
【解決手段】 パッケージPCG1は、CD液が封入されるCD部PC11と、BL液が封入されるBL部PC12と、FIX液が封入されるFIX部PC13と、STB液が封入されるSTB部PC14と、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14を一体として連結する連結部PC16とを備え、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14には、使用濃度の処理液がフィルムを2本処理する量だけ封入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理液を、各処理液を一時的に収容する中間タンクを経由して現像タンクに順次充填し、前記現像タンク内で長尺のフィルムを各処理液に順次浸漬させることによってフィルムの現像を行うための、前記複数の処理液が封入された現像処理液用パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真フィルムは、複数種類の処理液に順次浸漬させて、このフィルムの一面側に設けられている乳剤面内の感光剤と処理液とを反応させることにより、現像処理するのが一般的である。従来、このような写真フィルムの現像処理を自動的に実行させるフィルム現像装置として、処理液を貯留する処理槽を処理液毎に複数設け、搬送ローラ等により構成される搬送部でフィルムを停止させることなく連続的に搬送させるとともに各処理槽の処理液に潜らせて現像処理するものが知られている。
【0003】
このような装置では、各処理液は、それぞれ容器に収容されており、使用する際に開封して調合し、各処理槽へ適量だけポンプ等によって補給されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の処理液は、1本の容器に多量の(例えば、10L)処理液が封入されているため、所定の消費期間内(例えば、開封後1ヶ月以内)に消費するためには所定量以上(例えば、25本/日以上)のフィルムを現像する必要がある。
【0005】
しかしながら、ディジタルカメラの普及等に伴い、1台のフィルム現像装置で現像するフィルム本数が減少しており、消費期間内に処理液を消費できない場合がある。このような場合には、処理液の品質が劣化して現像品質が損われる虞れがある。
【0006】
また、従来の処理液には、処理液が複数の原液から構成されており(または、濃縮された原液を希釈する必要があり)、作業者等によって調合(または、希釈)される場合がある。このような場合には、適正な調合(希釈)を行うために調合(希釈)作業における作業者等の熟練を要するため、利便性が充分であるとは言えなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、現像処理の品質を維持しつつ利便性に優れた現像処理液用パッケージを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の現像処理液用パッケージは、複数の処理液を、各処理液を一時的に収容する中間タンクを経由して現像タンクに順次充填し、前記現像タンク内で長尺のフィルムを各処理液に順次浸漬させることによってフィルムの現像を行うための、前記複数の処理液が封入された現像処理液用パッケージであって、各処理液をそれぞれ収容する処理液収容部材を備え、前記各処理液収容部材が、予め使用濃度に調合された処理液をそれぞれ収容することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、処理液収容部材によって、各処理液がそれぞれ収容されている。そして、各処理液収容部材によって、予め使用濃度に調合されてそれぞれ収容される。
【0010】
従って、処理液が予め使用濃度に調合されて収容されているため、作業者等が調合する必要がなく利便性が向上される。ここで、各処理液を、現像タンク内に充填し現像に使用する際の濃度を使用濃度という。
【0011】
請求項2に記載の現像処理液用パッケージは、前記各処理液収容部材が、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍に計量された処理液をそれぞれ収容することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、各処理液収容部材によって、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍に計量された処理液がそれぞれ収容される。
【0013】
従って、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍に計量された処理液がそれぞれ封入されているため、処理液を無駄なく使用することが可能となる。また、使用時に開封して使用され得るため、整数倍が比較的小さい倍率である場合には、使用時までに処理液の品質が経時劣化することが防止され、現像品質が維持される、
請求項3に記載の現像処理液用パッケージは、前記処理液収容部材が、処理液を構成する原液をそれぞれ収容する原液収容部材を有することを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、処理液収容部材の原液収容部材によって、処理液を構成する原液がそれぞれ収容される。
【0015】
従って、処理液を構成する原液がそれぞれ収容されるため、複数の原液が混合されて時間が経過すると活性(フィルムの乳剤との反応性)が低下する等の処理液の品位が低下する場合には、使用時に原液が中間タンク内で混合され得るため、良好な性状の処理液が使用される。
【0016】
請求項4に記載の現像処理液用パッケージは、前記原液収容部材が、対応する処理液毎に積層されていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、原液収容部材が、対応する処理液毎に積層されているため、例えば、針状体を1回昇降するだけで、処理液を構成する原液のパッケージが貫通されるため、簡単な構造で且つ効率的に、パッケージに液抜き用の開口が形成され、処理液が容易に現像タンクに供給される。
【0018】
請求項5に記載の現像処理液用パッケージは、各処理液収容部を一体として連結する連結部材を備え、前記連結部材が、前記各処理液収容部材間に介設された板状の部材からなり、その下面が略面一に形成されていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、連結部材によって、各処理液収容部が一体として連結されているため、作業者等による可搬性が向上され利便性が向上される。また、連結部材が、各処理液収容部材間に介設された板状の部材からなり、その下面が略面一に形成されているため、連結部材が容易に保持され、可搬性が向上されると共に、現像装置の構造が簡単になる。例えば、中間タンクの側壁の上面で連結部材を支持することによって、現像処理液用パッケージが容易に支持され得る。
【0020】
請求項6に記載の現像処理液用パッケージは、少なくとも前記中間タンクを洗浄する洗浄液を収容する洗浄液収容部を備え、前記連結部材が、各処理液収容部と洗浄液収容部とを一体として連結することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、洗浄液収容部によって、少なくとも中間タンクを洗浄する洗浄液が収容されており、連結部材によって、各処理液収容部と洗浄液収容部とが一体として連結される。
【0022】
従って、少なくとも中間タンクを洗浄する洗浄液が収容されているため、作業者等が洗浄液を準備する必要がなくなり、利便性が向上される。また、連結部材によって、各処理液収容部と洗浄液収容部とが一体として連結されているため、作業者等による可搬性が向上され利便性が向上される。
【0023】
請求項7に記載の現像処理液用パッケージは、前記処理液収容部材が、針状体によって開口容易な材料からなることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、処理液収容部が、針状体によって開口容易な材料からなるため、例えば、処理液収容部を貫通させるべく針状体を昇降させることによって処理液収容部に液抜き用の開口が容易に形成され、処理液が容易に中間タンクに供給される。
【0025】
請求項8に記載の現像処理液用パッケージは、前記処理液収容部材が、樹脂からなることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、処理液収容部材が、樹脂からなるため、処理液収容部材が容易に且つ安価に製造される。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、処理液が予め使用濃度に調合されて収容されているため、作業者等が調合する必要がなく利便性を向上できる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍に計量された処理液がそれぞれ封入されているため、処理液を無駄なく使用することができる。また、使用時に開封して使用され得るため、整数倍が比較的小さい倍率である場合には、使用時までに処理液の品質が経時劣化することが防止され、現像品質を維持できる、
請求項3に記載の発明によれば、処理液を構成する原液がそれぞれ収容されるため、複数の原液が混合されて時間が経過すると活性(フィルムの乳剤との反応性)が低下する等の処理液の品位が低下する場合には、使用時に原液が中間タンク内で混合されるため、良好な性状の処理液を使用できる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、原液収容部材が、対応する処理液毎に積層されているため、例えば、針状体を1回昇降するだけで、処理液を構成する原液のパッケージが貫通されるため、簡単な構造で且つ効率的に、パッケージに液抜き用の開口が形成され、処理液を容易に現像タンクに供給できる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、連結部材によって、各処理液収容部が一体として連結されているため、作業者等による可搬性が向上され利便性を向上できる。また、連結部材が、各処理液収容部材間に介設された板状の部材からなり、その下面が略面一に形成されているため、連結部材を容易に保持でき、可搬性を向上できると共に、現像装置の構造を簡略化できる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、現像タンクを洗浄する洗浄液が収容されているため、作業者等が洗浄液を準備する必要がなくなり、利便性を向上できる。また、連結部材によって、各処理液収容部と洗浄液収容部とが一体として連結されているため、作業者等による可搬性が向上され利便性を向上できる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、処理液収容部が、針状体によって開口容易な材料からなるため、例えば、処理液収容部を貫通させるべく針状体を昇降させることによって処理液収容部に液抜き用の開口が容易に形成され、処理液を容易に中間タンクに供給できる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、処理液収容部材が、樹脂からなるため、処理液収容部材を容易に且つ安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1〜図5は、本発明に係るフィルム現像装置の一実施形態を示す概略図である。このうち、図1は、装置の全体を示す全体斜視図、図2は、同装置の正面図である。また、図3は、後述する液供給部を示す概略斜視図であり、図4、5は、同液供給部および後述する液排出部を示す概略正面図である。なお、ここでは、両端部にパーフォレーションを有する写真用の35mmのフィルム2(図1参照)、いわゆる135フィルムを現像するフィルム現像装置について説明するが、APS(Advanced Photo System)フィルム等その他の長尺のフィルムを現像する場合にも適用可能である。
【0036】
ここで、フィルム2は、長手方向後端部がスプール3aに係止され、スプール3aに巻き付けられてパトローネ3内に収容されている(図1参照)。フィルム2は、この巻き付け状態で内面側に画像が形成され感光材料を含む乳剤が塗布された乳剤面2aとされている。この乳剤面2aの幅方向中央部分は画像形成領域として機能する。
【0037】
フィルム2を現像するフィルム現像装置1は、図1〜図5に示すように、フィルム2が収容されたパトローネ3が支持されるパトローネ支持部20と、パトローネ3からフィルム2を引き出して搬送する第1搬送部30と、フィルム2を現像する現像部40と、この現像部40から現像後のフィルム2を引き出して搬送する第2搬送部50と、現像後のフィルム2を乾燥する乾燥部60と、現像部40に対して処理液や洗浄液を供給する液供給部70と、現像部40から処理液や洗浄液を排出する液排出部90とを備える。これらの各部20,30,40,50,60は、外部からの光の侵入を遮断することにより内部が暗室として機能するハウジング10内に配設されている。パトローネ支持部20等の各部20,30,40,50,60はハウジング10内の前面側に配設され(図1および図2参照)、ここではフィルム現像装置1の左側から右側に向けてフィルム2が搬送されるべく各部20,30,40,50,60が配置されている。そして、これらの各部20,30,40,50,60の背面側には液供給部70,液排出部90等が配設されている(図1参照)。
【0038】
パトローネ支持部20は、図2に明示するように、ハウジング10の上部における左側部に配設されている。このパトローネ支持部20は、パトローネ3のスプール3aを回転自在の状態で支持するものであり、ここではフィルム2がパトローネ3から全長に亘って引き出されたあと、スプール3aに係止されているフィルム後端部を切断するカッタ21を含んで構成されている。ただし、パトローネ支持部20がカッタ21を含まない形態でもよい。
【0039】
カッタ21は、図2に明示するように、パトローネ支持部20に支持されるパトローネ3の下流側(図1の右側)であって、第1搬送部30の後述する第1搬送ローラ対31の上流側に配設され、上下2枚刃からなる、いわゆる押し切り型ものである。後述するフィルム後端センサ324によりフィルム2の後端が検出された場合にフィルム搬送路の上下2枚刃のうち、例えば下側の刃が搬送路内に進入することによってフィルム2を押し切るものである。
【0040】
第1搬送部30は、パトローネ支持部20の下流側に配設され、フィルム搬送路に沿ってフィルム2を現像部40まで搬送するものである。具体的には、第1搬送部30は、フィルム搬送路に沿って配設された第1搬送ローラ対31及び第2搬送ローラ対32と、その下流側における現像部40近傍に設けられ、各搬送ローラ対31,32によって搬送されるフィルム2を現像部40に導入するための挿入ガイド33とを備える。この第1搬送部30に配設される搬送ローラ対31,32は、共通の駆動源300によって回転駆動される。なお、この第1搬送部30に配設される搬送ローラ対の対数は、ここでは2対であるが、2対に限定するものではなく、搬送経路の長さや搬送されるフィルム2の長さ、また搬送路の経路形状等を考慮して決定される。
【0041】
第1搬送部30は、フィルム搬送路の途中に、フィルム2のカール(フィルム2がスプール3aに巻き付けられることによりその長手方向に付与されている反り)方向と逆方向に略直角に屈曲して形成された部位を有する。ここでは、パトローネ支持部20から現像部40に至るフィルム搬送路は、パトローネ支持部20から略水平方向に延び、第2搬送ローラ対32の直径50mmの駆動ローラ321に沿って垂直下方に方向変換して現像部40へ通じるように形成されている。このフィルム搬送路の方向変換部の上流側(フィルム2の駆動ローラ321への巻付け開始位置)および下流側(フィルム2の駆動ローラ321への巻付け終了位置)に、駆動ローラ321に圧接される従動コロ322,323が配置され、これらの搬送ローラ対32でフィルム2を挟んで搬送するものとなされている。このように駆動ローラ321がフィルムのカール方向と逆方向である非乳剤面側に配設され、駆動ローラ321の外周面に沿ってフィルム2を搬送することにより、フィルム2の搬送力を確保するとともに、フィルム2のカールを軽減するべく構成されている。
【0042】
また、これらの従動コロ312,322,323のいずれか、例えば中間部に配設されている従動コロ322には、その回転及び停止を検出することによりフィルム後端を検出するフィルム後端センサ324が設けられている。このフィルム後端センサ324は、パルスエンコーダ等からなり、駆動ローラ311,321が回転しているにも拘わらず従動コロ322が回転していない場合にフィルム2がパトローネ3から全て引き出されたとみなすもので、この検出結果をカッタ21に出力して、カッタ21でフィルム2の後端部を切断するものである。
【0043】
なお、前記のフィルム後端センサ324を採用する場合には、従動コロ322に設ける形態に限らず、その他の従動コロ312,323に設ける形態でもよい。
【0044】
挿入ガイド33は、第1搬送部30から現像部40へのフィルム2の受け渡しを円滑に行うべくフィルム2の先端部をガイドするものであり、第1搬送部30における下流端部であって、現像部40の上流側に配設されている。この挿入ガイド33は、図9に示すように、上流端部を中心に搬送方向と直交する方向(フィルム2の厚み方向)に揺動可能に構成され、これにより現像部40の後述する現像リール41にフィルム2を挿入するために適した位置である挿入位置(図11(a)に示す位置)と、この挿入位置から現像リール41に対して離間する方向に揺動し、現像処理中に現像部40と干渉しない現像位置(図11(b)に示す位置)と、この現像位置から現像リール41に対してさらに離間する方向に揺動し、現像処理後に、現像処理後のフィルム2を現像リール41から排出するために適した(図11(c)に示す位置)とに位置変更可能に構成されている。
【0045】
具体的には、図8に示すように、挿入ガイド33は、上流端部を中心に搬送方向と直交する方向(フィルム2の厚み方向)に揺動可能に構成された挿入ガイド本体33aと、この挿入ガイド本体33aを揺動させるガイド揺動機構33bとを備え、ガイド揺動機構33bに駆動されて挿入ガイド本体33aが前記3つの位置(挿入位置、現像位置、排出位置)間で位置変更するべく構成されている。なお、ここでは、挿入ガイド33は、第2搬送部50の後述する排出ガイド51と機械的に連結されて連動されている。このため、この挿入ガイド33のガイド揺動機構33bは、共通ガイド揺動機構55として、排出ガイド51のガイド揺動機構51bを兼用している。共通ガイド揺動機構55(33b,51b)については後述する。
【0046】
図8および図9を用いてこの挿入ガイド本体33aを説明する。なお、図9は、挿入ガイド本体33aおよび後述する排出ガイド本体51aを示す概略正面図であり、各ガイド33,51が挿入位置にある場合を実線で示し、排出位置にある場合を2点鎖線で示している。
【0047】
挿入ガイド本体33aは、上流端部に揺動中心軸331aが設けられフィルム搬送路の一面側を形成する第1揺動部材331と、この第1揺動部材331に対向して配置され第1揺動部材331とともにフィルム搬送路を形成する第2揺動部材332と、第1揺動部材331に軸支されるガイド駆動ローラ333と、このガイド駆動ローラ333に圧接され第2揺動部材332に軸支されるガイド従動コロ334と、共通ガイド揺動機構55に係合される係合ピン336とを備えている。
【0048】
揺動中心軸331aは、第1揺動部材331の上部に、フィルム搬送方向と直交する幅方向と平行に配設されるとともに、両端がハウジング10の適所に軸支され、これにより挿入ガイド33を揺動可能にハウジング10に支持している。第1揺動部材331と第2揺動部材332とは、対向する面が所定の間隔を隔てた状態で相対位置が固定されている。この第1および第2揺動部材331,332によって形成されるフィルム搬送路内に周面の一部が突出する状態でガイド駆動ローラ333と幅方向両側のガイド従動コロ334とが配置され、これらのローラ333とコロ334とでフィルム2を挟んで後述する現像リール41内にフィルム2を挿入するものとなされている。
【0049】
このフィルム搬送路の下流端となるフィルム排出口335の幅方向の寸法は、現像リール41のフィルム挿入口411よりも小さく設定されている。係合ピン336は、第1揺動部材331の下流端部に搬送方向に直交する幅方向と平行に配設され、後述する共通ガイド揺動機構55のスライド杆554に係合されてスライド杆554のスライド移動に応じて挿入ガイド本体33aを揺動させるものとなされている(図10参照)。
【0050】
また、ガイド駆動ローラ333とガイド従動コロ334とは、各揺動部材331,332の下流端近傍であって、後述する現像リール41の外周縁からフィルム搬送方向に所定距離(図9においてL1で示す距離:例えば、L1=25mm)だけ離間した位置に配設されている。このようにガイドローラ333およびコロ334を配置することにより、フィルム2の後端部が現像リール41のフィルム挿入口411から所定距離分だけ突出した状態でフィルム2を現像リール41に収容することができ、このため現像処理の終了後に現像リール41からフィルム2の取り出しが容易になる。
【0051】
現像部40は、図1および図2に示すように、第1搬送部30、詳しくは挿入ガイド33の下流側に配設され、フィルム乳剤面内の感光剤と複数の処理液とを反応させることによりフィルム2を現像するものである。特に、この現像部40は、第1搬送部30から搬送されてきたフィルム2をその全長に亘って螺旋状に丸めた状態で収容し、フィルム2の搬送を停止させた状態で順次処理液を入れ換えてフィルム2を1本毎に現像処理するべく構成されている。
【0052】
すなわち、現像部40は、図8に明示するように、第1搬送部30から搬送されてきたフィルム2を所定ピッチで螺旋状に巻回し収容する現像リール41と、複数の処理液が順次入れ換え供給されるとともに、供給される処理液中に現像リール41の一部が浸漬可能に構成された現像タンク42と、現像リール41をそのリール中心軸413回りに回転させる現像リール駆動部43とを備え、この現像リール駆動部43によって現像リール41がリール中心軸回りに回転駆動されることにより現像リール41に収容されたフィルム2をその全長に亘って現像タンク42内に充填される処理液中に浸漬させて現像処理するものである。
【0053】
ここでは、現像タンク42内に、フィルム2を現像して色画像を形成するための発色現像液(以下、「CD液」という)、銀画像などの銀をハロゲン化銀などの銀塩に変えるための漂白液(以下、「BL液」という)、フィルム乳剤面に残存しているAgXを溶解除去して光に対して安定化させるための定着液(以下、「FIX液」という)、色画像を安定化させるための安定液(以下、「STB液」という)を順次供給、排出することにより、フィルム2をその全長に亘って各処理液に浸漬させて現像処理している。
【0054】
現像リール41は、外周縁の1箇所に設けられたフィルム挿入口411を通じて押し込み挿入されたフィルム2を螺旋状に巻回し、かつ、フィルム2の幅方向両端部の非画像形成領域を係止した状態で収容保持するものであり、側面視略円形状に形成されている。
【0055】
具体的に、図8を用いて説明する。現像リール41は、フィルム2の略幅寸法だけ離間して並設され、各々対向する内面にフィルム挿入口411に連通する螺旋状のフィルムガイド溝412aが形成された側板412と、この側板412の内径口412bを貫通することにより両側板412の間隔を保持するとともに、側板412を供回りさせるリール中心軸413とを備え、各フィルムガイド溝412aにフィルム2の幅方向端部がそれぞれ係合されることによりフィルム2を保持するものである。
【0056】
側板412の外周縁に設けられたフィルム挿入口411は、側板412の略接線方向に開口しているとともに、その開口縁がガイド溝412aの幅よりも大きく拡開して形成され、フィルム2が挿入され易くなされている。側板412のフィルムガイド溝412aは、所定ピッチ、すなわち螺旋の径方向に隣接するフィルムガイド溝412a間の間隔が所定の間隔となるように形成されており、この所定ピッチはフィルムガイド溝412aに保持されるフィルム2の径方向に隣接する巻き位置間に現像処理に必要な量の処理液を導入できる寸法に設計されている(ここでは、1mmピッチに設定されている)。さらに、このフィルムガイド溝412aの巻回回数は、適宜設定されるが、例えば3〜10回(ここでは、5回)巻回されるように形成される。また、ガイド溝412aは、その全長が長尺寸法を有するサイズのフィルム2の全長に略対応する長さ(ここでは、約1600mm)に形成され、フィルム2の略全長を支持可能に構成される。そして、この側板412には、径方向に隣接するフィルムガイド溝412a間に側板412の外面側から処理液を導入するための通液孔412cが適宜間隔置きに側板412を貫通して形成されている。
【0057】
現像リール駆動部43は、ハウジング10の適所に軸支されたリール中心軸413に直結されるステッピングモータ等の駆動モータとして構成され、現像リール41をリール中心軸413回りにフィルムガイド溝412aの中心側の内端から外側に向かう螺旋方向に対して正逆回転駆動させるものである。この現像リール駆動部43は、現像処理中に現像リール41を所定の回転速度で(例えば、25回/分)回転させるように設定される。なお、挿入ガイド33から現像リール41へのフィルム2の受け渡し、現像後のフィルム2を現像リール41から排出ガイド51への受け渡しを実行する際には、現像リール駆動部43は、所定の位置に現像リール41を固定する。
【0058】
すなわち、挿入ガイド33から現像リール41へのフィルム2の受け渡しにあたっては、現像リール駆動部43が駆動されて、現像リール41のフィルム挿入口411と挿入ガイド33の下流端部のフィルム排出口335とが対向する位置で現像リール41が停止される。そして、この現像リール41に収容されているフィルム2の現像処理を実行する場合には、現像リール41をその螺旋方向と同一方向(図1および図2では反時計回り)に所定回転速度(例えば、25回/分)で所定時間回転させる。現像処理終了後には、現像リール41を現像時と逆方向に回転させてフィルム挿入口411を排出ガイド51の後述するフィルム導入口515に略対向する状態、例えば現像リール41のフィルム挿入口411が形成された外周縁の1箇所における接線方向にフィルム導入口515が位置するまで、または少し行きすぎる程度にまで現像リール41を回転させる。この現像リール駆動部43の各種制御は後述する制御部100によって行われる。
【0059】
なお、リール中心軸413または駆動モータの回転軸の適所には、ロータリーエンコーダ、或いは現像リール駆動部43の回転基準位置を検出するフォトセンサ等の回転位置検出手段が設けられており、この検出結果を用いて現像リールに対するそれぞれの状態での停止位置が制御部100により制御されるようになっている。また、現像リール駆動部43からリール中心軸413に駆動力を伝達する構造は、前記のように、現像リール駆動部43としての駆動モータの出力軸をリール中心軸413に直結する場合の他、歯車列等によって間接的に連結するものであってもよい。
【0060】
現像タンク42は、現像リール41の下方にハウジング10に固定された状態で配設され、現像リール41に収容されたフィルム2を現像するために、液供給部70から供給された処理液を貯留するためのものである。現像タンク42は、現像リール41の外周形状に対応して円弧形状に曲成された所定幅を有する底壁部421と、この底壁部421の幅方向両端部に各々対向して形成された側壁部422とを備え、その上端開口部に外側に向かって延出するフランジ部423が形成されている。対向する側壁部422のうち一方側の側壁部422には、液供給部70から処理液を導入するための液供給口424が側壁部422を貫通して形成されている。この液供給口424は、現像タンク42内に供給された処理液の液面よりも高い位置に形成されている。
【0061】
一方、底壁部421には、その最下位置に現像タンク42内に貯留されている処理液等を排出する液排出口425a,425bが設けられている。なお、液排出口425a,425bの一方は、CD液の排出流路を他の処理液と異ならせるためのものである。このようにCD液について、排出流路を異ならせることにより、CD液に含有される銀を容易に回収して再利用することができる。
【0062】
現像タンク42の深さは、現像リール41との相対位置関係やその形状により設定される。ここでは、フィルムガイド溝412aの先端(螺旋の中心側起点である内端)が最下位位置にある状態に現像リール41の回転位置決めをした場合に、このフィルムガイド溝412aの先端よりも高い位置に現像タンク42の上端開口縁が位置するべく設定されている。従って、この現像タンク42内に、フィルムガイド溝412aの先端を浸漬させる程度の現像処理液を充填することができる。また、この現像タンク42には、図略のヒータ等からなる保温手段が設けられており、供給された処理液を所定の温度に保つものとなされている。なお、現像タンク42の適所には、液面のレベルが所定レベル以上か否かを検出するフロート(浮子)タイプの液面計(図示省略)が配設されている(図3参照)。
【0063】
現像リール41と現像タンク42との相対位置関係について説明すると、現像リール41と現像タンク42とは、現像リール41のリール中心軸413の位置と、現像タンク42の底壁部421の円弧形状の曲率中心位置とが略一致する状態に配置されている。
【0064】
前記構成の現像部40で現像処理が完了したフィルム2は、この現像部40から第2搬送部50を通って乾燥部60に搬送される。
【0065】
第2搬送部50は、図1および図2に示すように、現像部40の下流側、より詳しくは現像部40の側方に配設され、略水平方向に延びるフィルム搬送路に沿ってフィルム2を乾燥部60まで搬送するものである。具体的には、第2搬送部50は、その上流部に配設された排出ガイド51と、排出ガイド51の下流側で乾燥部60の近傍に設けられたスクイズローラ対52とを備える。
【0066】
排出ガイド51は、現像部40から後述するフィルム導入口515を通じて第2搬送部50へのフィルム2の受け渡しを円滑に行うためフィルム2の先端部をガイドするものである。この排出ガイド51は、図8に示すように、挿入ガイド33から現像リール41にフィルム2を挿入するために適した位置である挿入位置(図11(a)に示す位置)と、現像部40で現像する際に適した現像位置(図11(b)に示す位置)と、現像リール41から現像後のフィルム2を排出するために適した排出位置(図11(c)に示す位置)とに位置変更可能に構成されている。そして、この排出ガイド51は、図9に示すように、その位置に応じて、すなわちその位置が挿入位置から現像位置を経て排出位置に変位するにつれて、フィルム導入口515の開口高さ(フィルム搬送方向に直交する高さ方向)が拡開するとともに、現像リール41に近接する方向にスライド移動するものとなされている。
【0067】
具体的には、図8に示すように、排出ガイド51は、下流端部を中心に搬送方向と直交するフィルム2の厚み方向に揺動可能に構成された排出ガイド本体51aと、この排出ガイド本体51aを揺動させるガイド揺動機構51bとを備え、ガイド揺動機構51bを駆動させて排出ガイド本体51aを前記の3つの位置(挿入位置、現像位置、排出位置)間で位置変更させるべく構成されている(図11参照)。なお、前記のように、排出ガイド51は、第1搬送部30の挿入ガイド33と機械的に連結されて連動するものであり、そのガイド揺動機構51bは、共通ガイド揺動機構55として、挿入ガイド33のガイド揺動機構33bを兼用している。
【0068】
この排出ガイド本体51aを図9および図10を用いて説明する。排出ガイド本体51aは、その下流端部に揺動中心軸511aが設けられるとともにフィルム搬送路の一面側(図では上面側)を形成する第1揺動部材511と、第1揺動部材511と対向して配置され第1揺動部材511とともにフィルム搬送路を形成する第2揺動部材512と、第1揺動部材511および第2揺動部材512にそれぞれ軸支され共通の駆動手段によって回転駆動されるガイド駆動ローラ対513とを備える。
【0069】
第1揺動部材511は、フィルム搬送路に沿って略水平方向に延び、その下流端部に設けられた揺動中心軸511aによって下方に付勢された状態で、ハウジング10の適所に軸支されている。一方、この第1揺動部材511の下流端部には共通ガイド揺動機構55の後述するスライド杆554のガイド突片554bに当接する回転コロ514が設けられ、この回転コロ514がガイド突片554bに案内されることにより第1揺動部材511が揺動するものとなされている。
【0070】
第2揺動部材512は、第1揺動部材511に沿って略水平方向に延び、その下流端部に設けられた図略の揺動中心軸によって揺動自在で、かつ、搬送方向に沿ってスライド可能にハウジング10の適所に支持されている。この第2揺動部材512は、フィルム2の現像処理面側を受ける底壁部5121と、この底壁部5121の幅方向両端部から第1揺動部材511の方向に延びる側壁部5122とを有し、この側壁部5122が第1揺動部材511に向かうにつれて外側に拡がるテーパ状に形成され、これにより、現像リール41に収容されているフィルム2の後端部がテーパ状の側壁部5122に案内されて底壁部5121に係合され、フィルム2の姿勢を矯正しつつ確実にフィルム2が現像リール41から引き出される。また、第2揺動部材512は、その揺動中心軸よりもさらに下流側の端部に逆U字状の係合部512aが設けられている。この係合部512aには、共通ガイド揺動機構55の後述する揺動杆552の先端部に設けられた連結ピン552eが係合され、この揺動杆552の揺動に伴って現像リール41に接離する方向にスライド移動するものとなされている。
【0071】
ガイド駆動ローラ対513は、上側の駆動ローラが第1揺動部材511に軸支される一方、下側の駆動ローラがハウジング10の適所に軸支され、第1揺動部材511の揺動に伴って接離するものとなされている。そして、排出ガイド51が排出位置にある場合に、ガイド駆動ローラ対513の両ローラが離間して現像リール41からフィルム2が受け渡され、この受け渡し後に、排出ガイド51が挿入位置に移動し、ガイド駆動ローラ対513の両ローラが圧着され、これによりフィルム2が挟まれて搬送されるものとなされている。このガイド駆動ローラ対513は、図10に示すように、排出ガイド51が排出位置にある場合に、現像リール41の外周縁からの距離(図10においてL2で示す距離:例えば、L2=20mm)がガイドローラ333およびガイドコロ334から現像リール41の外周縁までの距離L1よりも短く設定されている(L1>L2)。
【0072】
つぎに、共通ガイド揺動機構55について、図10および図11を用いて説明する。図10は、共通ガイド揺動機構55を示す概略正面図であり、各ガイド33,51が排出位置にある場合を実線で示し、挿入位置にある場合を2点鎖線で示している。
【0073】
共通ガイド揺動機構55は、揺動用カム551と、この揺動用カム551によって搬送方向に沿って前後揺動する揺動杆552と、この揺動杆552を搬送方向前方側に付勢する付勢部553と、揺動杆552に軸支され搬送方向前後方向にスライド移動するスライド杆554とを備え、揺動用カム551が駆動部56により回転駆動されることにより挿入ガイド本体33aおよび排出ガイド本体51aを揺動させるものである。
【0074】
具体的には、揺動用カム551は、側面視異形扇形に形成されたカム本体551aと、このカム本体551aのカム用回転中心軸551bとを有する。カム本体551aは、カム用回転中心軸551bから外周縁までの長さが長短3段階となるようなカムノーズ5511〜5513を有し、本実施形態ではこれらのカムノーズ5511〜5513が滑らかな曲線によって結ばれて前記側面視略異形扇形に形成されている。そして、図8に示すように、これらのカムノーズ5511〜5513が揺動杆552の後述する回転コロ552cにそれぞれ当接することにより、挿入ガイド33および排出ガイド51が挿入位置、現像位置、排出位置の各3つの位置に位置変更し得るものとなされている。すなわち、カム用回転中心軸551bから外周縁までの長さが最短のカムノーズ5511が揺動杆552の回転コロ552cに当接する場合には挿入ガイド本体33aおよび排出ガイド本体51aは挿入位置にあり(図11(a)参照)、前記長さが中間のカムノーズ5512が回転コロ552cに当接する場合には挿入ガイド本体33aおよび排出ガイド本体51aは現像位置にあり(図11(b)参照)、前記長さが最長のカムノーズ5513が回転コロ552cに当接する場合には挿入ガイド本体33aおよび排出ガイド本体51aは排出位置にある(図11(c)参照)。
【0075】
揺動杆552は、上下方向に細長い、幅方向一対の揺動杆本体552aと、一対の揺動杆本体552aの下端部を貫いて相互に所定間隔を隔てた状態で連結する揺動中心軸552bと、揺動杆本体552aにおける揺動中心軸552bの上方に軸支された回転コロ552cと、付勢部53が係止されるとともにスライド杆554が軸支される連結棒552dと、揺動杆本体552aの上端部に設けられ排出ガイド51の係合部512aに係合される連結ピン552eとを備える。そして、この揺動杆552は、連結棒552dに係止された付勢部553(ここでは、つる巻きばね)により揺動用カム551側に付勢されて回転コロ552cが揺動用カム551の周面に圧接した状態となっている。従って、揺動用カム551が回転することにより回転コロ552cが当該カム本体551aの周面を転動し、これにより揺動杆552が現像部40に対して近接方向または離間方向に揺動する。
【0076】
スライド杆554は、搬送方向に沿って細長く下流端部が揺動杆552に軸支された幅方向一対のスライド杆本体554aと、各スライド杆本体554aの搬送方向中間部やや上流側よりに上方に突出して形成されたガイド突片554bとを備える。
【0077】
スライド杆本体554aは、その上流側端部に挿入ガイド33の係合ピン336が係合される係合孔554cが貫設されている。ガイド突片554bは、搬送方向に向かって上方に傾斜する傾斜案内面554dを有し、この案内面554dに排出ガイド51の回転コロ514が当接し、スライド杆554が搬送方向に前後スライド移動すると、傾斜案内面554dに沿って排出ガイド51の回転コロ514が転動し、これにより排出ガイド51の第1揺動部材511が上下方に揺動するものとなされている。
【0078】
一方、スクイズローラ対52は、図1および図2に示すように、第2搬送部50における下流端部に設けられ、フィルム2の乳剤面や非乳剤面に残存している各種処理液を除去するものである。また、このスクイズローラ対52は、乾燥部60にフィルム2を押し込み搬送する搬送ローラとしても機能するものであり、各ローラは例えば共通の駆動手段によって回転駆動するものとなされている。
【0079】
つぎに、乾燥部60について説明する。乾燥部60は、図1および図2に示すように、第2搬送部50の下流側、詳しくはスクイズローラ対52の下流側に配設され、現像リールと同様に、ガイド溝に現像後のフィルム2を所定ピッチで螺旋状に挿入した状態で収容して、この収容状態でフィルム2を乾燥させるものである。具体的には、乾燥部60は、第2搬送部50から搬送されてきたフィルム2を所定ピッチで螺旋状に巻回し収容する乾燥リール61と、この乾燥リール61の背面側に配設されたヒータ付き送風ファン62とを備え、乾燥リール61によって保持されているフィルム2間に温風を吹き込むことによりフィルム2を乾燥させるものである。
【0080】
ここで、乾燥部60の温度制御方法について簡単に説明する。乾燥部60には、乾燥リール61内の雰囲気温度を測定する温度センサ(図示省略)が配設されており、この温度センサによる測定温度を用いて、ヒータ付き送風ファン62の動作が制御される。例えば、温度センサによる測定温度が60℃以下の場合には、ヒータ及び送風ファン62が連続して「ON」状態とされ、温度センサによる測定温度が60℃超で80℃未満の場合には、ヒータ及び送風ファン62が間欠的に「ON」状態とされ(例えば、1秒毎に「ON」状態と「OFF」状態とを切り換え)、温度センサによる測定温度が80℃以上の場合には、ヒータ及び送風ファン62が「OFF」状態とされる。このような制御を行うことにより、乾燥リール61内の雰囲気温度が略60〜80℃の範囲に制御されるため、フィルム2を好適に乾燥することが可能となる。なお、上述の乾燥リール61内の雰囲気温度の温度制御は、後述する制御部100によって行われる。
【0081】
この乾燥部60で乾燥されたフィルム2は、乾燥リール61ごと、ハウジング10に設けられた蓋体12を開放することにより開口する取出口を通じて取り出される。
【0082】
ここで、図3〜5を用いて、現像タンク42に処理液等を供給する液供給部70、及び、現像タンク42に貯留されている処理液等を外部へ排出する液排出部90について説明する。図3、4は、液供給部を示す概略斜視図であり、図5は、液供給部70および液排出部90を示す概略正面図である。
【0083】
液供給部70は、各種処理液等が封入されたパッケージPCG1の所定位置に後述するピンユニット72を移動(横行)させる横行駆動部71と、各種処理液等が封入されたパッケージPCG1を貫通して開口するべくピン721を昇降させるピンユニット72と、パッケージPCG1に形成された開口部から流下する各種処理液等を一時的に貯蔵する中間タンク部73と、中間タンク部73に貯留される各種処理液を現像タンク42に供給する液供給ホース74と、液供給ホース74による供給流路を開閉する流路開閉機構75と、液供給ホース74の途中に設けられ供給する処理液を温める液加熱用ヒータ76とを備える。
【0084】
横行駆動部71は、制御部100によって制御されるモータ711と、ピンユニット72と連結されると共に、モータ711の駆動軸に張架された無端ベルト712と、無端ベルト712によって横行駆動されるピンユニット72を横行可能に支持するレール713とを備えている。
【0085】
ピンユニット72は、鋭利な先端を有する強度の高い材料(例えばステンレス鋼等)からなるピン721と、一端がピン72の上端位置で連結軸722bを介して係合されると共に、他端が後述する回転円板723の外周の所定位置で連結軸722aを介して係合されたクランク722と、後述するモータ725によって回転駆動される回転円板723と、ピン721を昇降可能に支持する軸受724と、回転円板723を駆動するモータ725とを備えている。
【0086】
図6は、ピンユニット72の動作の一例を示す正面図である。(a)は、ピン721が上昇限位置にある状態であり、(c)はピン721が下降限位置にある状態であり、(b)は、ピン721が(a)と(c)との中間の位置にある状態である。(a)に示すように、連結軸722aが上端位置にある場合には、連結軸722a、クランク722、連結軸722b、ピン721が、直線上に位置する。
【0087】
そして、モータ725によって回転円板723が反時計回りに駆動されると、(b)に示すように、軸受724に支持されているため、クランク722を介してピン721が下降するべく駆動される。更に、モータ725によって回転円板723が反時計回りに駆動されて連結軸722aが下端位置に移動すると、(c)に示すように、軸受724に支持されているため、クランク722を介してピン721が下降限まで下降するべく駆動される。なお、更に回転円板723が反時計回りに駆動されると、クランク722を介してピン721が上昇限まで駆動される。つまり、回転円板723が1回転すると、ピン721が上昇限から下降限まで移動し、その後上昇限まで移動される。
【0088】
図3〜5に示すように、中間タンク部73は、CD液を一時的に貯留するCD用中間タンク731と、BL液を一時的に貯留するBL用中間タンク732と、FIX液を一時的に貯留するFIX用中間タンク733と、STB液を一時的に貯留するSTB用中間タンク734とが一体として配設されており、各中間タンク731〜734を一体として入出自在に支持するレール735と、各中間タンク731〜734を一体として入出させる場合に外部から把持される把持部736とを備える。また、各中間タンク731〜734の側壁の上端は略面一に形成されており、パッケージPCG1の縁部を支持するものである。
【0089】
図4に示すように、パッケージPCG1を交換する場合には、オペレータ等によって把持部736が把持されて、各中間タンク731〜734が一体として図の手前側に引き出された状態とされる。この状態では、各中間タンク731〜734の上側が開放状態となるため、使用済のパッケージPCG1を持上げて各中間タンク731〜734から取外すことができ、新しいパッケージPCG1を各中間タンク731〜734に載置することができる。
【0090】
なお、ここでは、中間タンク部73に貯留された各種処理液および洗浄液を重力による流下(ここでは、便宜上、自然落下という)によって現像タンク42に供給するべく構成されている。更に、各中間タンク731〜734の底面には、液排出口を通じて各処理液毎の液供給ホース74に接続されている。
【0091】
液供給ホース74は、可撓性のホース(例えば、塩化ビニル製のホース)が用いられ、側面から外力を作用させることにより圧潰されて内部流路が閉塞されるものである。各処理液の液供給ホース74は、その下流部において合流されており、一本の合流液供給ホース74aをなし、この合流液供給ホース74aの外周部に各処理液を加熱する液加熱用ヒータ76が設けられている。この合流液供給ホース74aは、現像タンク42の液供給口424に接続され、これによりそれぞれ所定の適温に加熱された処理液が現像タンク42に導入される。
【0092】
この液供給ホース74の合流部の上流側には、各ホース74による液流路を開閉する流路開閉機構75が設けられている。この流路開閉機構75は、全ての液供給ホース74による流路を閉塞する全閉状態と、各液供給ホース74による流路を個別に開放する個別開放状態とを切り換えることにより、中間タンク731〜734から現像タンク42に向かって自然落下する各処理液を流通、停止するものである。
【0093】
ここでは、この流路開閉機構75は、カム機構を用いて液供給ホース74にその側面から圧力を作用させることによりホース74を圧潰して流路を閉塞するとともに、前記圧力を除くことによって液供給ホース74の弾性復元により流路を開放する機構を採用している。具体的には、図3および図4に示すように、流路開閉機構75は、各液供給ホース74に応じて設けられ回転駆動するコロ押圧用カム751と、このコロ押圧用カム751の外周面を転動してカム751の回転角度に応じて液供給ホース74を圧潰する圧潰用コロ752と、これら全てのカム751の回転中心であるカム中心軸753と、出力軸がこのカム中心軸753に直結されるステッピングモータ等からなる駆動部754と、液供給ホース74を挟んで圧潰用コロ752に対向配置され、コロ752との間にホース74を挟んで圧潰する押圧板755とを備えている。
【0094】
コロ押圧用カム751は、略円盤体として形成され、その外周面の一部が径方向内側に凹陥してコロ退避部751aが形成されている。このコロ退避部751aは、各コロ押圧用カム751に応じて異なる位相で形成される。従って、カム中心軸753が1回転する内に、各カム751に対応する圧潰用コロ752が順次対応するコロ退避部751aに収容され、これにより液供給ホース74による流路が順次開放される状態となるとともに、全ての圧潰用コロ752が各々コロ退避部751aから外れたカム751の外周面に当接され、これにより全て(4本)の液供給ホース74による流路が閉塞される状態となる。
【0095】
圧潰用コロ752は、コロ押圧用カム751が回転することにより、コロ退避部751aを出入りし、これにより液供給ホース74に対して接離する方向に揺動して、液供給ホース74を圧潰して流路を閉塞する位置と、液供給ホース74への押圧状態を解除して流路を開放する位置とに切り換え可能に構成されている。
【0096】
なお、流路開閉機構75の駆動部754は、図3に示すように、現像タンク42の適所に配設されているフロート(浮子)タイプの液面計SFLの検出結果に基づいて、制御部100によって行われる。具体的には、液面計SFLは、液面のレベルが所定レベル以上か(現像タンク42に所定の液量、例えば、50mLの処理液が充填されたか)否かを検出するものである。そして、液面計SFLによって、所定レベル以上であると検出された時点で、制御部100によって流路(液供給ホース74)を閉塞するべく駆動部754に指示信号を出力するものである。
【0097】
一方、図5に示すように、液排出部90は、現像タンク42に供給された処理液及び洗浄液を廃液ホース91を通じて外部に排出するものであり、ここでは第1流路開閉機構75と同様の構造を有している。すなわち、液排出部90は、現像タンク42の液排出口425a,425bに接続された一対の廃液ホース91と、この廃液ホース91の途中に設けられ廃液ホース91による流路を開閉する廃液流路開閉機構92とを備え、この廃液流路開閉機構92により一対の廃液ホース91による流路のいずれかを選択して開放し、現像タンク42内の処理液または洗浄液を排出するものである。
【0098】
廃液ホース91は、一本であってもよいが、ここでは特定の処理液(例えばCD液)の廃液流路を他の処理液と異ならせるべく二本設けられている。すなわち、CD液を排出するための廃液ホース911と、その他の処理液および洗浄液を排出するための廃液ホース912とが設けられている。
【0099】
廃液流路開閉機構92は、2本の廃液ホース91による流路を同時に閉塞する全閉状態と、2本の廃液ホース91による流路を別々に開放する個別開放状態と、2本の廃液ホース91による流路を同時に開放する全開状態とを切り換えることにより、現像タンク42から外部に自然落下する各処理液等を流通、停止するものである。ここでは、この廃液流路開閉機構92は、カム機構を用いて廃液ホース91にその側面から圧力を作用させることにより廃液ホース91を圧潰して流路を閉塞するとともに、前記圧力を除くことによって廃液ホース91の弾性復元により流路を開放する機構を採用している。
【0100】
図7は、パッケージPCG1の一例を示す図である。(a)は上面図であり、(b)は正面図である。パッケージPCG1は、CD液が封入されるCD部PC11(処理液収容部材の一部に相当する)と、BL液が封入されるBL部PC12(処理液収容部材の一部に相当する)と、FIX液が封入されるFIX部PC13(処理液収容部材の一部に相当する)と、STB液が封入されるSTB部PC14(処理液収容部材の一部に相当する)と、CD用中間タンク731、BL用中間タンク732、FIX用中間タンク733及びSTB用中間タンク734をそれぞれ洗浄するための洗浄液(ここでは、水)が封入される洗浄液部PC151〜PC154(洗浄液収容部材に相当する)と、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154を一体として連結する連結部PC16(連結部材に相当する)とを備えている。
【0101】
なお、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154は、所定形状(ここでは、略直方体形状)の液収納室を有するものである。また、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154の高さは略同一であり、取扱い易い等の利便性の高い形状に構成されている。更に、ここでは洗浄液は水を用いているが、例えば水に洗剤を混入した洗浄液を用いるものであってもよい。
【0102】
ここで、図4に示すように、CD部PC11と洗浄液部PC151とは、CD用中間タンク731内に載置され、BL部PC12と洗浄液部PC152とは、BL用中間タンク732内に載置され、FIX部PC13と洗浄液部PC153とは、FIX用中間タンク733内に載置され、STB部PC14と洗浄液部PC154とは、STB用中間タンク734内に載置される。
【0103】
また、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14に封入されている各処理液は、フィルムを処理するために好適な濃度に予め設定されて封入されている。更に、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14に封入されている各処理液の量は、各処理液が現像タンク42に充填された場合に、現像リール41が1回転する間にフィルムガイド溝412aの内端が、充填された処理液中に浸漬される深さであり、且つ、現像リール41の全てが浸漬されない深さとなる液量の整数倍(ここでは、2倍)に設定されている。また、洗浄液部PC151〜PC154は、それぞれ2つのサブ洗浄液部PC151a、b〜PC154a、bを有している。
【0104】
ここでは、CD液は4種類の原液が混合されて生成されるものとし、CD部PC11はそれぞれの原液を封入する積層構造を有する。すなわち、CD部PC11は、4種類の原液がそれぞれ封入されたCD原液部PC111〜PC114が積層されて構成されている。同様に、BL液は2種類の原液が混合されて生成されるものとし、BL部PC12はそれぞれの原液を封入する積層構造を有する。すなわち、BL部PC12は、2種類の原液がそれぞれ封入されたBL原液部PC121、PC122が積層されて構成されている。
【0105】
なお、図6を用いて説明したように、パッケージPCG1は、ピン721が昇降されて開口されるものであるが、ピン721の昇降するストローク(回転円板723の直径と略同一である)は、パッケージPCG1を貫通して開口可能とするべく、パッケージPCG1の厚みより大きく設定されている。
【0106】
また、各中間タンク731〜734に各処理液を供給する場合は、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14のそれぞれの平面視略中央部をピン721が貫通するべく横行駆動部71によってピンユニット72が横行されて位置設定されるものである。同様に、各中間タンク731〜734に洗浄液を供給する場合は、サブ洗浄液部PC151a〜PC154a(又は、PC151b〜PC154b)のそれぞれの平面視略中央部を貫通するべく横行駆動部71によってピンユニット72が横行されて位置設定されるものである。
【0107】
なお、各処理液を封入するパッケージPCG1の材質は、各処理液との化学反応による各処理液の劣化が生じず、且つ、ピン721が容易に貫通するべく(ピン721に対して強度が低い)、例えば樹脂が用いられている。また、パッケージPCG1内の空隙には、窒素等の活性の低い気体が封入され、各処理液の劣化を防止する構成とされている。
【0108】
さらに、連結部PC16の下面は略面一に形成されており、パッケージPCG1は、連結部PC16と各中間タンク731〜734の側壁の上面とが面接触することにより、容易に且つ安定的に積載される。
【0109】
ここで、パッケージPCG1の製造方法の一例を説明する。まず、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14、洗浄液部PC151〜PC154及び連結部PC16が一体として成形されると共に、CD原液部PC111〜PC114とBL原液部PC121、PC122とが原液を封入した状態でそれぞれ製造される。つぎに、CD部PC11及びBL部PC12にそれぞれ、CD原液部PC111〜PC114及びBL原液部PC121、PC122が嵌め込まれ、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154に適量のFIX液、STB液、洗浄液がそれぞれ流入される。そして、下面側に粘着剤が塗布され、連結部PC16の外周と略一致する外周を有する略長方形状の封止フィルムが連結部PC16と対向された状態で貼付けられる。最後に、FIX部PC13、STB部PC14等の処理液の液面上にある空気が不活性ガスに置換される。
【0110】
図14、15は、フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、CPU,ROM,RAM等を備え、パーソナルコンピュータ等からなる制御部100によって行われる。具体的には、予めROM(又はRAM)に記憶されているプログラムがCPUによって実行されることによって、フィルム現像装置1全体の動作が制御される。
【0111】
ただし、図1〜図6における、各可動部材の位置及び各種タンクの位置は、下記の状態に初期設定されているものとする。カッタ21は、下限位置にあり、挿入ガイド33はフィルム2を挿入するために適した位置である挿入位置にセットされている(排出ガイド51は、待避位置にある)。現像リール41、送風ファン62は、停止状態であり、液加熱用ヒータ78はOFF状態である。また、液供給ホース74、廃液ホース91は全て閉状態であり、現像タンク42は空の状態である。そして、各中間タンク731〜734は空の状態である。さらに、パトローネ3に格納されたフィルム2がハウジング10の蓋体11を開放してパトローネ支持部20にセットされ、フィルム2の先端がパトローネ3から引き出されて第1搬送ローラ対31に挟み込まれているものとする。また、各中間タンク731〜734は、新しいパッケージPCG1が載置されて図3に示すように押込まれた状態にセットされているものとする。さらに、ピン721は上限位置にあり、ピンユニット72は初期位置(例えば、右端位置)にセットされている。
【0112】
まず、ハウジング10の適所に配設された押しボタンスイッチ(図示省略)がONされたか否かの判定が行われる(ステップS101)。ONされたのではないと判定された場合(ステップS101でNO)には、処理が待機状態とされる。ONされたと判定された場合(ステップS101でYES)には、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が開始され、フィルム2がパトローネ3から引き出されて現像リール41への搬送が開始される(ステップS103)とともに、図16を用いて後述する現像準備処理が開始される(ステップS102)。そして、フィルム後端センサ324によってフィルム2の後端が検出された(フィルム2が後端までパトローネ3から引き出された)か否かの判定が行われる(ステップS105)。具体的には、第2搬送ローラ対32の駆動ローラ321が回転しているにも拘わらず従動コロ322の回転が停止しているか否かをフィルム後端センサ324で検出し、従動コロ322の回転が停止している場合にフィルムの後端を検出する。
【0113】
フィルム2の後端が検出されていないと判定された場合(ステップS105でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が検出されたと判定された場合(ステップS105でYES)には、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が停止され、フィルム2の現像リール41への搬送が停止される(ステップS107)。そして、カッタ21の下刃が上昇され、フィルム2の後端部がカットされる(ステップS109)。次いで、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が再度開始され、フィルム2の現像リール41への搬送が再開される(ステップS111)。
【0114】
つぎに、カッタ21によってカットされたフィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したか否かの判定が行われる(ステップS113)。なお、フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したか否かの判定は、例えば、フィルム搬送路に出没自在な作用杆を有する検出スイッチ等を配設して、このスイッチからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達していないと判定された場合(ステップS113でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したと判定された場合(ステップS113でYES)には、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間T1(例えば、10秒)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS115)。所定時間T1が経過していないと判定された場合(ステップS115でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間T1が経過したと判定された場合(ステップS115でYES)には、第1搬送部30の各駆動ローラ311、321の駆動が停止されて、ガイド溝412aの螺旋方向と反対方向(図2で反時計回り)に現像リール41の回転が開始される(ステップS117)。
【0115】
そして、この現像リール41が回転されるのと略同時に挿入ガイド33及び排出ガイド51が、図11(a)に示すような初期位置である挿入位置から図11(b)に示すような現像位置(挿入ガイド33及び排出ガイド51が待避した位置)に移動される(ステップS119)。図10および図11を用いて具体的に説明すると、駆動部56により揺動用カム551を回転駆動させて、その最短カムノーズ5511が回転コロ552cに当接した状態から、中間長さのカムノーズ5512が回転コロ552cに当接する状態に移行させる。これに伴い、揺動杆552がその下端部を中心にフィルム搬送方向後方に向かって揺動し、これによりスライド杆554も同方向にスライド移動する。揺動杆552の揺動に伴い、排出ガイド51の第2揺動部材512も連結棒552dを介して現像リール41側にスライド移動する。また、スライド杆554の前記スライド移動に伴い、挿入ガイド33の第1および第2揺動部材331,332が係合ピン336を介して現像リール41から離反する方向に揺動するとともに、排出ガイド51の第1揺動部材511がその回転コロ514がスライド杆554のガイド突片554bの傾斜案内面554dに案内されて現像リール41から離反する方向に揺動する。これにより、挿入ガイド33及び排出ガイド51が、挿入位置から現像位置に移動される。
【0116】
次いで、ステップS119及びステップS102の処理が終了すると、図17、18を用いて後述する現像処理が開始される(ステップS121)。つぎに、現像処理が終了すると、図19を用いて後述する洗浄準備処理が開始される(ステップS122)とともに、図15に示すように、現像リール41の回転が停止される(ステップS123)。そして、排出ガイド51が図11(c)に示すような排出位置へ移動される(ステップS125)。図10および図11を用いて具体的に説明すると、駆動部56により揺動用カム551を回転駆動させて、その中間長さのカムノーズ5512が回転コロ552cに当接した状態から、最長のカムノーズ5513が回転コロ552cに当接する状態に移行させる。これに伴い、揺動杆552がその下端部を中心にフィルム搬送方向後方に向かってさらに揺動し、これによりスライド杆554も同方向にスライド移動する。揺動杆552の揺動に伴い、排出ガイド51の第2揺動部材512も連結棒552dを介して現像リール41側にさらに進出する。また、スライド杆554の前記スライド移動に伴い、挿入ガイド33の第1および第2揺動部材331,332が係合ピン336を介して現像リール41からさらに離反する方向に揺動するとともに、排出ガイド51の第1揺動部材511がその回転コロ514がスライド杆554のガイド突片554bの傾斜案内面554dに案内されて現像リール41からさらに離反する方向に揺動する。これにより、挿入ガイド33及び排出ガイド51が、現像位置から排出位置に移動される。
【0117】
続いて、現像リール41が現像処理中と反対方向、すなわちガイド溝412aの螺旋方向(図2で時計回り)に回転される(ステップS127)。この現像リール41の回転過程で、現像リール41のフィルム挿入口411から突出するフィルム後端部(以降、このフィルム2の後端部が搬送方向先端部となるので以下フィルム2の「先端部」という)が排出ガイド51の第2揺動部材512に係止される。そして、フィルム2の先端が排出ガイド51の上(第2揺動部材512の上)に有る(排出ガイド51上へフィルム2の頭出しが完了した)か否かの判定が行われる(ステップS129)。なお、フィルム2の先端が排出ガイド51上に載置されたか否かの判定は、例えば、排出ガイド51の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の先端が排出ガイド51の上にはないと判定された場合(ステップS129でNO)には、現像リール41の回転が継続される。フィルム2の先端が排出ガイド51の上に有ると判定された場合(ステップS129でYES)には、現像リール41の回転が停止される(ステップS131)。この現像リール41の回転が停止された状態では、図12に示すように、そのフィルム挿入口411が排出ガイド51のフィルム導入口515に略対向する位置(より詳しくはフィルム挿入口411が前記対向位置よりも若干現像リール41の回転方向下流側に寄った位置)にある。また、ステップS131における現像リール41の停止状態では、現像リール駆動部43によって、ブレーキ制動ではなくドラグトルクによる制動が加えられている。つまり、ステップS135において、ガイド駆動ローラ対513、スクイズローラ対52が回転駆動された場合に、現像リール41は、フィルム2に引張られて制動されつつ回転される状態となる。
【0118】
そして、挿入ガイド33および排出ガイド51が図11(c)に示す排出位置から同図(a)に示す挿入位置に移動され、これにより排出ガイド51の第1揺動部材511が圧着される(ガイド駆動ローラ対513によってフィルム2の先端が挟持される)(ステップS133)。ここで、第1揺動部材511が圧着されると、ガイド駆動ローラ対513も圧接され、これによりフィルム2を挟んで、図13に示すように、フィルム2の幅方向端部を現像リール41のガイド溝412aから引き剥がしながら、フィルム2を現像リール41から排出し、次のスクイズローラ対52に向かって搬送される。
【0119】
次いで、ガイド駆動ローラ対513、スクイズローラ対52が回転駆動されて、フィルム2の現像リール41から乾燥リール61への搬送が開始される(ステップS135)。
【0120】
そして、フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したか否かの判定が行われる(ステップS137)。なお、フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したか否かの判定は、例えば、乾燥リール61の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の先端が乾燥リール61に到達していないと判定された場合(ステップS137でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したと判定された場合(ステップS137でYES)には、乾燥用ヒータ及びファンがONされる(ステップS139)。そして、フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したか否かの判定が行われる(ステップS141)。なお、フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したか否かの判定は、例えば、乾燥リール61の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。或いは、先端を検出する上述のセンサでフィルムの後端の通過を検出することで行ってもよい。フィルム2の後端が乾燥リール61に到達していないと判定された場合(ステップS141でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したと判定され(ステップS141でYES)、かつ、ステップS122の処理が終了した場合には、ガイド駆動ローラ対513、スクイズローラ対52の駆動が停止され、フィルム2の現像リール41から乾燥リール61への搬送が停止される(ステップS143)。
【0121】
そして、図20を用いて後述する洗浄処理が開始される(ステップS149)とともに、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間T2(例えば、30秒:フィルム2の乾燥に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS145)。所定時間T2が経過していないと判定された場合(ステップS145でNO)には、乾燥処理が継続される。所定時間T2が経過したと判定された場合(ステップS145でYES)には、乾燥用ヒータ及びファンがOFFされ(ステップS147)、処理が終了される。乾燥処理が終了したフィルム2は、乾燥リール61に巻取られた状態で、作業者により蓋体12が開放されて取り出される。
【0122】
図16は、図14に示すフローチャートのステップS102で行われる現像準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。現像準備処理は、ピンユニット72を横行させると共にピン721を昇降させることによって、パッケージPCG1のCD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14から、それぞれ、CD用中間タンク731、BL用中間タンク732、FIX用中間タンク733及びSTB用中間タンク734に、所定量(例えば、CD用中間タンク731、BL用中間タンク732、FIX用中間タンク733及びSTB用中間タンク734には、それぞれ50ml)の各処理液を補給する処理である。
【0123】
まず、給水ホース77、液供給ホース74が全て閉状態にされる(ステップS201)。そして、ピンユニット72がCD部PC11の位置へシフトされる(ステップS203)。次いで、ピン721が下降限まで下降されてCD部PC11が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS205)。つぎに、ピンユニット72がBL部PC12の位置へシフトされる(ステップS207)。そして、ピン721が下降限まで下降されてBL部PC12が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS209)。
【0124】
つぎに、ピンユニット72がFIX部PC13の位置へシフトされる(ステップS211)。そして、ピン721が下降限まで下降されてFIX部PC13が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS213)。更に、ピンユニット72がSTB部PC14の位置へシフトされる(ステップS215)。そして、ピン721が下降限まで下降されてSTB部PC14が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS217)。
【0125】
つぎに、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TSA(例えば、60秒:パッケージPCG1から各処理液がそれぞれ各中間タンク731〜734に流下するのに要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS219)。所定時間TSAが経過していないと判定された場合(ステップS219でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TSAが経過したと判定された場合(ステップ219でYES)には、廃液ホース91が全て閉状態とされ(ステップS221)、処理がリターンされる。
【0126】
図17、18は、図14に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートである。現像処理は、CD,BL,FIX,STBの順に処理液を現像タンク42に供給し、フィルム2を各処理液に浸漬させて各処理液とフィルム2の乳剤とを反応させる処理である。なお、図17、18に示す詳細フローチャートの処理が始まる前に、図14に示すフローチャートのステップS117において、現像リール41の回転が開始されている。
【0127】
まず、CD供給ホース741が開状態とされる(ステップS301)。そして、液面計SFLからの信号に基づいて制御部100によって所定の液量Q1(ここでは、50mL)の供給が完了したか否かの判定が行われる(ステップS303)。供給が完了していないと判定された場合(ステップS303でNO)には、処理が待機状態とされる。供給が完了したと判定された場合(ステップS303でYES)には、液供給ホース74が全閉状態とされる(ステップS305)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS1(例えば、180秒:フィルム2の乳剤とCD液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS307)。所定時間TS1が経過していないと判定された場合(ステップS307でNO)には、処理が待機状態とされる。
【0128】
所定時間TS1が経過したと判定された場合(ステップS307でYES)には、CD用廃液ホース911が開状態とされ(ステップS309)、現像タンク42からCD液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR1(例えば、5秒:現像タンク42からのCD液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS311)。所定時間TR1が経過していないと判定された場合(ステップS311でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR1が経過したと判定された場合(ステップS311でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS313)。
【0129】
つぎに、BL供給ホース742が開状態とされる(ステップS315)。そして、液面計SFLからの信号に基づいて制御部100によって所定の液量Q2(ここでは、50mL)の供給が完了したか否かの判定が行われる(ステップS317)。供給が完了していないと判定された場合(ステップS317でNO)には、処理が待機状態とされる。供給が完了したと判定された場合(ステップS317でYES)には、液供給ホース74が全閉状態とされる(ステップS319)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS2(例えば、64秒:フィルム2の乳剤とBL液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS321)。所定時間TS2が経過していないと判定された場合(ステップS321でNO)には、処理が待機状態とされる。
【0130】
所定時間TS2が経過したと判定された場合(ステップS321でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS323)、現像タンク42からBL液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR2(例えば、5秒:現像タンク42からのBL液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS325)。所定時間TR2が経過していないと判定された場合(ステップS325でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR2が経過したと判定された場合(ステップS325でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS327)。
【0131】
つぎに、図18に示すように、FIX供給ホース743が開状態とされる(ステップS329)。そして、液面計SFLからの信号に基づいて制御部100によって所定の液量Q3(ここでは、50mL)の供給が完了したか否かの判定が行われる(ステップS331)。供給が完了していないと判定された場合(ステップS331でNO)には、処理が待機状態とされる。供給が完了したと判定された場合(ステップS331でYES)には、液供給ホース74が全閉状態とされる(ステップS333)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS3(例えば、133秒:フィルム2の乳剤とFIX液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS335)。所定時間TS3が経過していないと判定された場合(ステップS335でNO)には、処理が待機状態とされる。
【0132】
所定時間TS3が経過したと判定された場合(ステップS335でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS337)、現像タンク42からFIX液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR3(例えば、5秒:現像タンク42からのFIX液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS339)。所定時間TR3が経過していないと判定された場合(ステップS339でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR3が経過したと判定された場合(ステップS339でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS341)。
【0133】
つぎに、STB供給ホース744が開状態とされる(ステップS343)。そして、液面計SFLからの信号に基づいて制御部100によって所定の液量Q4(ここでは、50mL)の供給が完了したか否かの判定が行われる(ステップS345)。供給が完了していないと判定された場合(ステップS345でNO)には、処理が待機状態とされる。供給が完了したと判定された場合(ステップS345でYES)には、液供給ホース74が全閉状態とされる(ステップS347)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS4(例えば、137秒:フィルム2の乳剤とSTB液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS349)。所定時間TS4が経過していないと判定された場合(ステップS349でNO)には、処理が待機状態とされる。
【0134】
所定時間TS4が経過したと判定された場合(ステップS349でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS351)、現像タンク42からSTB液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR4(例えば、5秒:現像タンク42からのSTB液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS353)。所定時間TR4が経過していないと判定された場合(ステップS353でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR3が経過したと判定された場合(ステップS353でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされ(ステップS357)、処理がリターンされる。
【0135】
図19は、図14に示すフローチャートのステップS122で行われる洗浄準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。洗浄準備処理は、各中間タンク731〜734、現像タンク42、現像リール41等に付着した処理液を洗浄する処理である洗浄処理の準備をする処理である。まず、液供給ホース74が全て閉状態とされる(ステップS401)。そして、ピンユニット72が洗浄液部PC151a(又はPC151b)の位置へシフトされる(ステップS403)。次いで、ピン721が下降限まで下降されて洗浄液部PC151a(又はPC151b)が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS405)。つぎに、ピンユニット72が洗浄液部PC152a(又はPC152b)の位置へシフトされる(ステップS407)。そして、ピン721が下降限まで下降されて洗浄液部PC152a(又はPC152b)が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS409)。
【0136】
つぎに、ピンユニット72が洗浄液部PC153a(又はPC153b)の位置へシフトされる(ステップS411)。そして、ピン721が下降限まで下降されて洗浄液部PC153a(又はPC153b)が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS413)。更に、ピンユニット72が洗浄液部PC154a(又はPC154b)の位置へシフトされる(ステップS415)。そして、ピン721が下降限まで下降されて洗浄液部PC154a(又はPC154b)が開口された後、上昇限まで上昇される(ステップS417)。
【0137】
つぎに、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TSB(例えば、30秒:パッケージPCG1から洗浄液が各中間タンク731〜734に流下するのに要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS419)。所定時間TSAが経過していないと判定された場合(ステップS419でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TSAが経過したと判定された場合(ステップ419でYES)には、廃液ホース91が全て閉状態とされ(ステップS421)、処理がリターンされる。
【0138】
図20は、図15に示すフローチャートのステップS149で行われる洗浄処理の一例を示す詳細フローチャートである。洗浄処理は、各中間タンク731〜734、現像タンク42、現像リール41等に付着した処理液を洗浄する処理である。まず、現像リール41の時計回りの回転が開始される(ステップS501)。そして、液供給ホース74(CD供給ホース741、BL供給ホース742、FIX供給ホース743及びSTB供給ホース744)が開状態とされる(ステップS503)。次に、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TC1(例えば、30秒:各中間タンク731〜734から現像タンク42への洗浄液の流下、及び、現像タンク42等の洗浄に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS505)。所定時間TC1が経過していないと判定された場合(ステップS505でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TC1が経過したと判定された場合(ステップS505でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされる(ステップS507)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TC2(例えば、10秒:現像タンク42からの洗浄液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS509)。所定時間TC2が経過していないと判定された場合(ステップS509でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TC2が経過したと判定された場合(ステップS509でYES)には、現像リール41の回転が停止され(ステップS511)、処理が終了される。
【0139】
このようにして、パッケージPCG1(CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14)に処理液が予め使用濃度に調合されて収容されているため、作業者等が調合する必要がなく利便性が向上される。
【0140】
また、パッケージPCG1(CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13及びSTB部PC14)に、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍(ここでは、2倍)に計量された処理液がそれぞれ封入されているため、処理液を無駄なく使用することが可能となる。また、使用時に開封して使用され得るため、整数倍が比較的小さい倍率である場合には、使用時までに処理液の品質が経時劣化することが防止され、現像品質が維持される。
【0141】
更に、連結部PC16によって、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154が一体として連結されているため、作業者等による可搬性が向上され利便性が向上される。
【0142】
加えて、CD原液部PC111〜PC114及びBL原液部PC121、PC122に処理液(ここでは、CD液及びBL液)を構成する原液がそれぞれ収容されるため、複数の原液が混合されて時間が経過すると活性(フィルムの乳剤との反応性)が低下する等の処理液の品位が低下する場合には、使用時に原液が混合されるため、良好な性状の処理液が使用される。
【0143】
CD原液部PC111〜PC114及びBL原液部PC121、PC122が、対応する処理液(ここでは、CD液及びBL液)毎に積層されているため、ピン721を1回昇降するだけで、処理液を構成する原液のパッケージが貫通されるため、簡単な構造で且つ効率的に、パッケージに液抜き用の開口が形成され、処理液が容易に現像タンク42に供給される。
【0144】
洗浄液部PC151〜PC154に、各中間タンク731〜734、現像タンク42等を洗浄する洗浄液が収容されているため、作業者等が洗浄液を準備する必要がなくなり、利便性が向上される。
【0145】
連結部PC16が、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154間に介設された板状の部材からなり、連結部PC16の下面が略面一に形成されているため、現像処理液用パッケージPCG1が容易に支持され、可搬性が向上されると共に、フィルム1現像装置の構造が簡単になる(各中間タンク731〜734の側壁の上面に支持され得る)。
【0146】
CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154が、ピン721によって開口容易な材料からなるため、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154を貫通させるべくピン721を昇降させることによって液抜き用の開口が容易に形成され、処理液及び洗浄液が容易に(各中間タンク731〜734を介して)現像タンク42に供給される。
【0147】
CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154が、樹脂からなるため、CD部PC11、BL部PC12、FIX部PC13、STB部PC14及び洗浄液部PC151〜PC154が容易に且つ安価に製造される。
【0148】
なお、本発明は以下の態様をとることができる。
【0149】
(A)本実施形態においては、各処理液が図7に示すパッケージPCG1に封入されている場合について説明したが、各処理液がその他の状態で封入されている形態でもよい。例えば、図21に示すように、平面視で原液毎に別々に封入されているパッケージPCG2でもよい。ただし、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
【0150】
ここで、パッケージPCG2は、CD液が封入されるCD部PC21と、BL液が封入されるBL部PC22と、FIX液が封入されるFIX部PC23と、STB液が封入されるSTB部PC24と、CD用中間タンク731、BL用中間タンク732、FIX用中間タンク733及びSTB用中間タンク734をそれぞれ洗浄するための洗浄液が封入される洗浄液部PC251〜PC254と、CD部PC21、BL部PC22、FIX部PC23、STB部PC24及び洗浄液部PC251〜PC254を一体として連結する連結部PC26とを備えている。また、CD部PC21は、4種類の原液がそれぞれ封入されたCD原液部PC211〜PC214が平面視で別々の位置に形成され、同様に、BL部PC22は、2種類の原液がそれぞれ封入されたBL原液部PC221、PC222が平面視で別々の位置に形成されており、洗浄液部PC251〜PC254は、それぞれ2つのサブ洗浄液部PC251a、b〜PC254a、bが平面視で別々の位置に形成されている。この場合には、パッケージPCG2の構造が比較的簡単であるため、パッケージPCG2が容易に製造される。
【0151】
また、例えば、図22に示すように、原液毎に別々に封入されていないパッケージPCG3でもよい。ただし、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
【0152】
ここで、パッケージPCG3は、CD液が封入されるCD部PC31と、BL液が封入されるBL部PC32と、FIX液が封入されるFIX部PC33と、STB液が封入されるSTB部PC34と、CD用中間タンク731、BL用中間タンク732、FIX用中間タンク733及びSTB用中間タンク734をそれぞれ洗浄するための洗浄液が封入される洗浄液部PC351〜PC354と、CD部PC31、BL部PC32、FIX部PC33、STB部PC34及び洗浄液部PC351〜PC354を一体として連結する連結部PC36を備えている。なお、洗浄液部PC351〜PC354は、それぞれ2つのサブ洗浄液部PC351a、b〜PC354a、bが平面視で別々の位置に形成されている。この場合には、パッケージPCG3の構造が更に簡単であるため、パッケージPCG3が更に容易に製造される。
【0153】
(B)本実施形態においては、フィルム2が135mmフィルムである場合について説明したが、他の規格のフィルム(例えば、いわゆる、APS規格のフィルム)である形態でもよい。フィルム2が、APS規格のフィルムである場合には、フィルム2の後端を切断するためのカッタ21、フィルム後端検出センサ324は不要となり、装置が簡略化される。
【0154】
(C)本実施形態においては、処理液が、CD液、BL液、FIX液、STB液の4種類からなる場合について説明したが、1種類である形態でもよいし、2種類、3種類、5種類以上のいずれかである形態でもよい。
【0155】
(D)本実施形態においては、現像リール41が1回転する間にフィルムガイド溝412aの内端が処理液に浸漬される最小限に近い深さに、液供給部70が処理液を現像タンク42に充填する場合について説明したが、現像リール41が1回転する間にフィルムガイド溝412aの内端が処理液に浸漬される深さ以上の深さに液供給部70が処理液を現像タンク42に充填する形態でもよい。この場合には、フィルム2の乳剤と処理液との接触がより確実に行われるため、現像品質が更に安定化される。更に、現像リール41全体が処理液に浸漬される深さまで液供給部70が処理液を現像タンク42に充填する形態でもよい。この場合には、フィルム2の乳剤と処理液とを接触させるために現像リール41を回転する必要がない。
【0156】
(E)本実施形態においては、ピン721がパッケージPCG1を貫通する(開口部を形成する)場合について説明したが、その他の方法でパッケージPCG1に開口部を形成する形態でもよい。例えば、レーザビームを照射して処理液を封入している樹脂を溶解して開口部を形成する形態でもよいし、パッケージPCG1の下面側に開口部を塞ぐ栓が配設されており、この栓を外すことにより開口部を形成する形態でもよい。
【0157】
(F)本実施形態においては、パッケージPCG1にフィルム2を1本処理するのに必要な量の2倍の量の処理液及び洗浄液が収容されている場合について説明したが、フィルム2を1本処理するのに必要な量の整数倍(例えば、3倍、4倍、・・・)の量の処理液及び洗浄液が収容されている形態でもよい。パッケージPCG1に多量の処理液及び洗浄液が格納されている程、パッケージPCG1の交換頻度が少なくなり、作業者の負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明に係るフィルム現像装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】同実施形態の概略正面図である。
【図3】同実施形態の液供給部を示す概略斜視図である(中間タンクを収納した状態)。
【図4】同実施形態の液供給部を示す概略斜視図である(中間タンクを引き出した状態)。
【図5】同実施形態の液供給部、液排出部を示す概略正面図である。
【図6】ピンユニットの動作の一例を示す正面図である。
【図7】処理液が封入されるパッケージの一例を示す図である。
【図8】同実施形態の挿入ガイド、現像部、排出ガイド、液排出部を示す分解斜視図である。
【図9】同実施形態の挿入ガイド、排出ガイドを示す概略正面図である。
【図10】同実施形態の共通ガイド揺動機構を示す概略正面図である。
【図11】同実施形態の挿入ガイドおよび排出ガイドと現像リールとの位置関係の一例を示す正面図である。
【図12】同実施形態における現像リールから排出ガイドへの排出態様を示す概略正面図である。
【図13】同実施形態における現像リールからフィルムを引き剥がす態様を示す概略拡大正面図である。
【図14】フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートの前半部である。
【図15】フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートの後半部である。
【図16】図14に示すフローチャートのステップS102で行われる現像準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図17】図14に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートの前半部である。
【図18】図14に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートの後半部である。
【図19】図14に示すフローチャートのステップS122で行われる洗浄準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図20】図15に示すフローチャートのステップS149で行われる洗浄処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図21】処理液が封入されるパッケージの他の一例を示す図である。
【図22】処理液が封入されるパッケージの他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0159】
1 フィルム現像装置
10 ハウジング
20 パトローネ支持部
30 第1搬送部
31 第1搬送ローラ対
32 第2搬送ローラ対
321 駆動ローラ
322,323 従動コロ
33 挿入ガイド
40 現像部
41 現像リール
411 フィルム挿入口
412 側板
412a フィルムガイド溝
413 リール中心軸
42 現像タンク
43 現像リール駆動部
50 第2搬送部
60 乾燥部
70 液供給部
71 横行駆動部
72 ピンユニット
721 ピン
725 モータ
73 中間タンク部
74 液供給ホース
75 流路開閉機構
90 液排出部
100 制御部
PCG1 パッケージ
PC11 CD部(処理液収容部材の一部)
PC12 BL部(処理液収容部材の一部)
PC13 FIX部(処理液収容部材の一部)
PC14 STB部(処理液収容部材の一部)
PC151〜PC154 洗浄液部(洗浄液収容部材)
PC151a、b〜PC154a、b サブ洗浄液部
PC16 連結部(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理液を、各処理液を一時的に収容する中間タンクを経由して現像タンクに順次充填し、前記現像タンク内で長尺のフィルムを各処理液に順次浸漬させることによってフィルムの現像を行うための、前記複数の処理液が封入された現像処理液用パッケージであって、
各処理液をそれぞれ収容する処理液収容部材を備え、
前記各処理液収容部材は、予め使用濃度に調合された処理液をそれぞれ収容することを特徴とする現像処理液用パッケージ。
【請求項2】
前記各処理液収容部材は、1本のフィルムを現像するために必要な量の整数倍に計量された処理液をそれぞれ収容することを特徴とする請求項1に記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項3】
前記処理液収容部材は、処理液を構成する原液をそれぞれ収容する原液収容部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項4】
前記原液収容部材は、対応する処理液毎に積層されていることを特徴とする請求項3に記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項5】
各処理液収容部を一体として連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記各処理液収容部材間に介設された板状の部材からなり、その下面が略面一に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項6】
少なくとも前記中間タンクを洗浄する洗浄液を収容する洗浄液収容部を備え、
前記連結部材は、各処理液収容部と洗浄液収容部とを一体として連結することを特徴とする請求項5に記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項7】
前記処理液収容部材は、針状体によって開口容易な材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の現像処理液用パッケージ。
【請求項8】
前記処理液収容部材は、樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載の現像処理液用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−113338(P2006−113338A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301176(P2004−301176)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】