説明

現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及び画像形成装置

【課題】攪拌部材による液体現像剤の攪拌負荷を粘度、すなわち現像剤濃度の代用特性として使用しながら、攪拌部材に対する残留現像剤の乾燥固着等によるトナー濃度検知異常の不具合発生を防止し、精度のよい濃度調整を可能とする現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】濃度調整開始時に、濃度調整槽へ攪拌部材清掃用の現像剤を供給し、濃度調整槽内において攪拌部材を清掃用現像剤に浸漬させて攪拌動作を行い、攪拌部材を清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に使用する液体現像剤の濃度を調整するための現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及びそれらを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(像担持体)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリヤ液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。しかし、感光体上の潜像を現像した後も、現像ローラ上には液体現像剤が残留し、次の現像に悪影響を及ぼす。
【0005】
このような問題に対応するため、現像後残留した現像ローラ上の現像剤をクリーニングして回収する技術が開発されてきた。またそのように回収した現像剤を再利用することにより、現像剤を有効利用できるような技術が提案されてきた。
【0006】
しかしながら、現像に供する現像剤は高濃度の現像剤であるが、それが像担持体上の潜像を現像した後では、トナーを相当部分消費するなど、残留現像剤としてはかなり濃度が変化していることが多い。これがそのまま現像剤槽に注ぎ込まれると、現像剤槽内の現像剤自体が濃度変化していき、所定の濃度を確保することが難しくなる。
【0007】
こういった問題に対処するために、回収現像剤を現像剤槽に注ぎ込む前に、濃度調整のための現像剤(高濃度現像剤または低濃度現像剤など)を補給して回収現像剤の濃度調整を行う技術が提案されてきた。
【0008】
しかしながら、上記のような濃度調整を行い所望の濃度の現像剤を得るには、調整しながら簡便に現像剤の濃度を測定する必要がある。
【0009】
簡便に現像剤の濃度を測定する方法としては、濃度によって現像剤の光透過率が変化することを利用し、現像剤濃度を算出する技術などが提案されてきた。
【0010】
しかしながら、近年もっぱら使用されている高濃度の現像剤においては、上記の方法は問題がある。すなわち、現像剤が高濃度になるほど、光の透過率は小さくなり飽和してしまうため、感度が低下し、濃度変化に対する透過率の変化が小さくなってしまう。
【0011】
高濃度の現像剤を簡便に効率よく濃度測定する方法として、粘度を利用する技術も提案されてきている。高濃度領域での濃度変化に対して、粘度は比較的大きく変化し、応答してくれる。また、こういった現像剤の粘度の測定方法としては、現像剤の攪拌時の回転トルクのように、比較的簡単に測定できる特性値を粘度の代用特性として使用することができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0012】
特許文献1では、濃度調整槽に開口部を設け、攪拌時にオーバーフローさせながら攪拌負荷を測定することによって、濃度調整のための補給液を補給しながらも一定の現像剤量を維持して、測定精度を確保する技術が提示されている。
【0013】
また特許文献2では、濃度調整前に、現像剤のない状態で空攪拌を行い、その負荷電流に基づいて、濃度調整用の現像剤に対する攪拌負荷の測定を補正し、測定精度を確保する技術が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−209716号公報
【特許文献2】特開2009−3346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1及び2に記載されたように、現像剤の粘度の測定方法として、現像剤の攪拌時の回転トルクのように、比較的簡単に測定できる特性値を粘度の代用特性として使用することができる。
【0016】
しかしながら、攪拌するために用いる攪拌部材には、当然ながら液体現像剤が付着する。特許文献1及び2では、濃度調整終了後に濃度調整済みの液体現像剤が排出された空の状態となるが、現像剤が付着した攪拌部材の扱いについては特に記載がない。
【0017】
特に揮発性の高いキャリヤ液を使用していると、液体現像剤が排出された空の状態で乾燥すると、攪拌部材表面に高粘度の現像剤が残留し、トナーの固着等が生ずる恐れがある。
【0018】
攪拌負荷を測定するための攪拌部材にトナーの固着が生ずると、攪拌部材と液体現像剤との摩擦抵抗が変化し、液体現像剤の粘度測定に影響を及ぼし、その結果、正しく濃度調整を行うことができなくなる不具合が発生する可能性がある。
【0019】
週末や長期休暇期間中など、濃度調整のために攪拌部材が設けられた濃度調整槽が、液体現像剤が空の状態で長時間放置されることも十分あり得ることである。
【0020】
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0021】
本発明の目的は、攪拌部材による液体現像剤の攪拌負荷のように、比較的簡単に測定できる特性値を粘度、すなわち現像剤濃度の代用特性として使用しながら、攪拌部材に対する残留現像剤の乾燥固着等によるトナー濃度検知異常の不具合発生を防止し、精度のよい濃度調整を可能とする現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及びそれらを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0023】
1.トナーとキャリヤ液を含む液体現像剤のトナー濃度を所定の濃度に調整するため、
濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を攪拌するための攪拌部材と、
前記攪拌部材による前記液体現像剤の攪拌時に、攪拌負荷を検出する負荷検出手段と、
濃度調整のための補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給手段と、
前記負荷検出手段により検出された攪拌負荷に基づいて、前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
空の状態の前記濃度調整槽に前記液体現像剤を収容して濃度調整を行う前に、前記濃度調整槽内における前記攪拌部材に残留付着しているトナーを除去するために、前記攪拌部材を清掃用の液体現像剤に浸漬させた状態で、前記濃度調整を行うときとは異なる攪拌条件で攪拌動作させて清掃するよう制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整装置。
【0024】
2.前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時に用いる前記清掃用の液体現像剤は、
前記キャリヤ液もしくは前記所定の濃度より低濃度でかつ濃度調整用の液体現像剤の濃度より低濃度の液体現像剤である
ことを特徴とする前記1に記載の現像剤濃度調整装置。
【0025】
3.前記補給手段は、
前記所定の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第1の補給手段と、前記所定の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第2の補給手段と、を有し、
前記清掃用の液体現像剤は、第2の補給現像剤もしくは第2の補給現像剤と濃度調整用の液体現像剤の混合現像剤である
ことを特徴とする前記2に記載の現像剤濃度調整装置。
【0026】
4.前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、前記攪拌負荷を検出するために攪拌するときよりも高速で駆動させる
ことを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0027】
5.前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、速度を変化させて駆動する
ことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0028】
6.前記濃度調整槽内に超音波振動部材を有し、
前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記超音波振動部材による振動が付加される
ことを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0029】
7.前記制御手段は、
前記濃度調整槽から液体現像剤が排出され、空の状態になってからの時間を測定し、測定した前記時間に基づいて前記攪拌部材の清掃を行うかどうかを判定する
ことを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0030】
8.前記濃度調整槽は、円筒形状の容器であり、
収容された液体現像剤が一定の液面高さに達するとオーバーフローする開口部を有し、
前記負荷検出手段は、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が前記攪拌部材により攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている、あるいはした後の状態で、前記攪拌負荷を検出する
ことを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【0031】
9.トナーとキャリヤ液を含む液体現像剤のトナー濃度を所定の濃度に調整するため、
濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤を収容する現像剤収容工程と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を攪拌部材により攪拌しながら、攪拌負荷を検出する負荷検出工程と、
濃度調整のための補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給工程と、
前記負荷検出工程において検出された攪拌負荷に基づいて、前記補給工程の実行を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
空の状態の前記濃度調整槽に前記液体現像剤を収容して濃度調整を行う前に、前記濃度調整槽内における前記攪拌部材に残留付着しているトナーを除去するために、前記攪拌部材を清掃用の液体現像剤に浸漬させた状態で、前記濃度調整を行うときとは異なる攪拌条件で攪拌動作させて清掃するよう制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整方法。
【0032】
10.前記制御工程において前記攪拌部材の清掃時に用いる前記清掃用の液体現像剤は、
前記キャリヤ液もしくは前記所定の濃度より低濃度でかつ濃度調整用の液体現像剤の濃度より低濃度の液体現像剤である
ことを特徴とする前記9に記載の現像剤濃度調整方法。
【0033】
11.前記補給工程は、
前記所定の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第1の補給工程と、前記所定の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第2の補給工程と、を有し、
前記清掃用の液体現像剤は、第2の補給現像剤もしくは第2の補給現像剤と濃度調整用の液体現像剤の混合現像剤である
ことを特徴とする前記10に記載の現像剤濃度調整方法。
【0034】
12.前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、前記攪拌負荷を検出するために攪拌するときよりも高速で駆動させる
ことを特徴とする前記9から11の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0035】
13.前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、速度を変化させて駆動する
ことを特徴とする前記9から12の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0036】
14.前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
超音波振動部材による振動が付加される
ことを特徴とする前記9から13の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0037】
15.前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記濃度調整槽から液体現像剤が排出され、空の状態になってからの時間を測定し、測定した前記時間に基づいて前記攪拌部材の清掃を行うかどうかを判定する
ことを特徴とする前記9から14の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0038】
16.前記現像剤収容工程では、
円筒形状の容器であり、開口部を有する前記濃度調整槽に収容された液体現像剤が、一定の液面高さに達すると、前記開口部よりオーバーフローし、
前記負荷検出工程では、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が前記攪拌部材により攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている、あるいはした後の状態で、前記攪拌負荷を検出する
ことを特徴とする前記9から15の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【0039】
17.表面に潜像を形成する像担持体と、
前記像担持体の表面の潜像を液体現像剤で現像し、トナー像を形成する液体現像装置と、を有する画像形成装置であって、
前記1から8の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置を有し、
前記現像剤濃度調整装置により所定の現像剤濃度に調整された液体現像剤を、前記液体現像装置に供給する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0040】
18.前記画像形成装置の電源投入時に、あるいは駆動開始時に、前記現像剤濃度調整装置の制御手段は前記攪拌部材の清掃を行うよう制御する
ことを特徴とする前記17に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及びそれらを用いた画像形成装置によれば、濃度調整開始時に、濃度調整槽へ攪拌部材清掃用の現像剤を供給し、濃度調整槽内において攪拌部材を清掃用現像剤に浸漬させて攪拌動作を行い、攪拌部材を清掃する。これにより、攪拌部材に対する残留現像剤の乾燥固着等によるトナー濃度検知異常の不具合発生を防止し、精度のよい濃度調整を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る画像形成装置10の概略構成例を示す断面図である。
【図2】図1における液体現像装置4の概略構成例を示す配置図である。
【図3】図2における現像剤濃度調整装置60の概略構成例を示す配置図である。
【図4】図3における現像剤濃度測定部50の動作を説明するための装置構成図である。
【図5】攪拌部材の清掃時の攪拌条件として、清掃時間と回転速度の関係((a)通常回転、(b)高速回転、(c)速度可変回転)を示すグラフである。
【図6】現像剤濃度調整装置の濃度調整方法の処理例を示すフローチャートである。
【図7】図6における攪拌部材の清掃工程の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に係る実施形態を、図を参照して説明する。
【0044】
液体現像剤を用いる液体現像装置は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが、共通して用いられている。まずその電子写真方式による湿式の画像形成装置を、図1を参照して説明し、さらに回収現像剤を再利用する液体現像装置(図2参照)とそこで用いられている現像剤濃度調整装置について、その構成と機能動作を説明する(図3参照)。
【0045】
(画像形成装置の構成と機能動作)
図1を用いて、本実施形態の画像形成装置の構成例を説明する。図1は、湿式画像形成装置の概略構成例を示す断面図である。
【0046】
図1において、1は感光体ドラムであり、像担持体として機能する。画像形成装置10はこの感光体ドラム1を中心に、その周囲に配設された、前記感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2、帯電した感光体ドラム1上にLEDまたはレーザビームを照射して静電潜像を形成する露光装置3、その静電潜像を、液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4、現像されたトナー像を転写材7に転写する転写装置5、そして転写後の感光体ドラムの表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6などを備える。
【0047】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設ける場合もある。転写材7は、そのまま記録用紙などの記録材であってもよいし、転写材7として中間転写ベルトなどを用いて、再度記録材に転写するような構成であってもよい。
【0048】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、現像ローラ41に当接して、その表面に液量調整された液体現像剤を転移させる搬送ローラ42、そしてその搬送ローラ42に当接して、その表面に現像剤槽44内の液体現像剤8を供給する供給ローラ43を備える。
【0049】
図1においては、液体現像装置4が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置されていてもよい。カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置を採ることができる。
【0050】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印A方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。帯電装置2より感光体ドラム回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0051】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0052】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒(以後キャリヤ液とも呼称する)中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、供給ローラ43によって搬送ローラ42表面に液体現像剤8が供給される。
【0053】
搬送ローラ42は液体現像剤8の薄層を搬送し、現像ローラ41に転移させる。そして現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。さらに現像ローラ41と感光体ドラム1の静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0054】
転写装置5では、感光体ドラム1の周速と同速度で搬送される転写材7に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が転写材7上に転写される。
【0055】
転写装置5の下流側には、感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0056】
転写装置5でトナー像が転写された転写材7は、記録材であれば、図示しない定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。転写材7が中間転写ベルトなどの中間転写体であれば、その後、トナー像が記録材に再転写され、トナー像を転写された記録材が、同じく定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0057】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリヤ液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0058】
キャリヤ液としては、絶縁性の溶媒が用いられる。トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0059】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0060】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜40%程度が適当である。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリヤ液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。40%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0061】
(現像装置の構成と動作)
図2には、図1における液体現像装置4の概略構成例を示す。図2を用いて、液体現像装置4の構成と動作について説明する。
【0062】
現像剤槽44には、上述の液体現像剤8が収容されている。
【0063】
供給ローラ43は、現像剤槽44内の液体現像剤8に浸漬するよう配置され、矢印D方向に回転し、現像剤槽44から液体現像剤8をくみ上げる。高粘度の液体現像剤8はその粘着力で供給ローラ43の表面に付着した状態で搬送される。
【0064】
規制部材45は、図のように供給ローラ43に対向して、その回転に対してカウンタ方向に当接して配置され、供給ローラ43の表面に付着して搬送される現像剤の量を規制するものである。これにより余分な現像剤量が剥ぎ落とされ、供給ローラ43表面上には現像剤薄層が形成され、次の搬送ローラ42に向かって搬送されていくことになる。
【0065】
搬送ローラ42としては、一般にゴムローラが用いられる。搬送ローラ42は供給ローラ43に対向して配置され、当接しながら矢印C方向に回転する。このニップ部で、供給ローラ43表面に形成された現像剤薄層は搬送ローラ42の表面に写し取られ、現像ローラ41へ向かって搬送されていく。
【0066】
現像ローラ41としては低硬度のゴムローラが用いられる。現像ローラ41は搬送ローラ42に対向して配置され、当接しながら矢印B方向に回転する。このニップ部で、搬送ローラ42表面に搬送された現像剤薄層は、現像ローラ41に掻き取られ、現像ローラ41表面に現像剤薄層が担持、搬送されることになる。従って現像ローラ41が現像剤担持体として機能する。
【0067】
ここでは、搬送ローラ42が現像剤薄層を形成し、現像剤担持体に受け渡しするが、供給ローラ43がその機能を合わせ持ってもよい。すなわち、供給ローラ43から直接現像ローラ41に現像剤を転移させる方法を採ることも可能である。
【0068】
現像ローラ41は、像担持体である感光体ドラム1とも当接して回転しており、感光体ドラム1とのニップ部、すなわち現像領域に搬送された現像剤薄層は、感光体1上の潜像を現像することになる。
【0069】
しかしながら、感光体ドラム1の潜像を現像した後も、現像ローラ41表面には現像剤の薄層が残存する。残存した現像剤がそのまま再度現像領域まで搬送されると、次の現像に悪影響を及ぼす。除去部材46はクリーニングのためのブレードであり、この残存した現像剤を除去するものである。
【0070】
(現像剤の回収と再利用のための構成)
図2にはまた、図1における液体現像装置4において除去された残存現像剤を回収し、再利用するための概略構成についても合わせて示している。図2を用いて、液体現像装置4における液体現像剤の回収、再利用に関する構成について説明する。
【0071】
上述したように、現像ローラ41上に残存する現像剤薄層は、除去部材46によって除去される。しかし、そこで回収した現像剤は溜まっていくため、回収して廃棄するにしても保管容器を必要とする。そこで本実施形態では回収した現像剤を再利用することにより、そのような容器も必要なく、また現像剤を有効利用できるような構成を採っている。
【0072】
除去部材46によって現像ローラ41表面から掻き取られた現像剤は、回収現像剤として、回収現像剤槽53に一旦貯留される。
【0073】
一旦回収現像剤槽53に貯留された回収現像剤は、所定の濃度に調整して再利用するため、現像剤濃度調整装置60に送られる。
【0074】
現像剤濃度調整装置60で所定の濃度に調整された回収現像剤は、液体現像装置4の現像剤槽44に供給され、再利用される。または、一旦供給槽(不図示)に貯留してから現像剤槽44に供給するようにしてもよい。
【0075】
<現像剤濃度調整装置の構成>
図2に示した現像剤濃度調整装置60については、図3にまた、その概略構成例を示している。図2及び図3を用いて、現像剤濃度調整装置60における回収現像剤の濃度調整に関する構成について説明する。
【0076】
現像剤濃度調整装置60は、現像剤濃度測定部50と、第1の補給手段として機能する第1の補給現像剤槽54及び第1の補給現像剤供給部54a、そして第2の補給手段として機能する第2の補給現像剤槽55及び第2の補給現像剤供給部55aを含む。これらは補給手段として機能する。
【0077】
第1の補給現像剤槽54には、第1の補給現像剤として、例えば所定の濃度より高濃度の液体現像剤が収容されており、第1の補給現像剤供給部54aにより現像剤濃度測定部50に補給される。
【0078】
また第2の補給現像剤槽55には、第2の補給現像剤として、例えば所定の濃度より低濃度の液体現像剤(キャリヤ液のみの場合も含む)が収容されており、第2の補給現像剤供給部55aにより現像剤濃度測定部50に補給される。
【0079】
現像剤濃度調整装置60において、濃度調整のために送られてきた回収現像剤は、濃度調整用現像剤として現像剤濃度測定部50に送られる。
【0080】
現像剤濃度測定部50では濃度調整用現像剤の濃度(実際は粘度に対応する攪拌負荷としてのモータ電流値)を測定する。所定の濃度(所定の電流値、すなわち目標電流値)との比較結果に応じて、上記第1の補給現像剤または第2の補給現像剤が補給される。すなわち、所定の濃度より低濃度である場合は高濃度の現像剤(第1の補給現像剤)を、または高濃度である場合は低濃度の現像剤(第2の補給現像剤)を補給する。
【0081】
現像剤濃度調整装置60においては、濃度調整用現像剤が所定の濃度に達するまで、上記の現像剤濃度測定部50による濃度測定と補給現像剤の補給とが継続される。
【0082】
濃度調整用現像剤が所定の濃度に達すると、濃度調整は終了し、濃度調整済みの濃度調整用現像剤が現像剤濃度調整装置60から液体現像装置4の現像剤槽44に供給される。現像剤濃度調整装置60における濃度調整の詳細な処理手順は後述する。
【0083】
<現像剤濃度測定部の構成>
図2に示した現像剤濃度測定部50については、図3にまた、その概略構成例を示している。図2及び図3を用いて、現像剤濃度測定部50における回収現像剤の濃度測定に関する構成について説明する。
【0084】
現像剤濃度測定部50は、濃度調整槽51、排出現像剤槽52、制御部61、攪拌部材62、駆動装置63、そして負荷検出装置64を含む。
【0085】
濃度調整槽51は、濃度調整用現像剤を収容し、濃度調整するための槽である。駆動装置63により攪拌部材62を駆動させて濃度調整槽51内の濃度調整用現像剤を攪拌し、負荷検出装置64でその負荷を検出することで濃度を測定する。図4にそれらの構成を図示する。
【0086】
図4も合わせて参照し、説明を続ける。
【0087】
本実施形態では、濃度調整槽51は円筒形の容器であり、開口部51aを有している。開口部51aは、収容された濃度調整用現像剤の液量が多くなり、開口部の位置を液面が超えるとオーバーフローすることによって、濃度調整用現像剤の液量を一定量に維持する機能を有している。
【0088】
排出現像剤槽52は、そうして溢れ出た濃度調整用現像剤を受けて、収容する槽である。溜まった現像剤は廃棄してもよいが、次の濃度調整時に再度濃度調整用現像剤として戻すような構成とし、効率的に再利用することが望ましい。また、排出現像剤槽52なしで、直接回収現像剤槽53に戻すような構成としてもよい。
【0089】
攪拌部材62は、例えば攪拌羽根であり、濃度調整槽51内に設置され、駆動装置63により回転駆動されることで、収容された濃度調整用現像剤を攪拌する。駆動装置63は例えばモータであり、攪拌部材62としての攪拌羽根を所定の条件で回転させる。すなわち、攪拌部材62と駆動装置63は、攪拌手段として機能する。
【0090】
負荷検出装置64は、駆動装置63による攪拌部材62の駆動における負荷を検出する装置であり、液体現像剤の粘度に対応する検出値を得る。粘度は濃度に依存する。すなわち負荷検出装置64は負荷検出手段として機能する。
【0091】
負荷検出装置64としては、モータによる回転羽根の回転に対する負荷として、所定の条件でのモータの回転に要する電流値を測定する電流計を用いている。攪拌部材62は回転する攪拌羽根に限定されない。攪拌部材62の形態に応じて駆動装置63と負荷検出装置64は設定すればよい。
【0092】
制御部61はこれらの構成要素の動作を制御して濃度調整用現像剤の濃度もしくは濃度に相当する電流値を取得する。また、所定の濃度(あるいはそれに対応する目標電流値)との比較に基づき、濃度調整のための第1の補給手段もしくは第2の補給手段などの補給動作を制御する。すなわち制御部61は制御手段として機能する。
【0093】
制御手段としての制御部61はまた、濃度調整用現像剤の濃度調整槽51への収容から濃度調整済み現像剤の現像剤槽44への排出に至る液体現像剤の処理全般を制御する。
【0094】
(現像剤濃度測定部の濃度測定機構)
上記の現像剤濃度測定部50の構成は、濃度調整用現像剤を、攪拌手段を用いて攪拌する時の負荷としてのモータ電流値を、負荷検出手段が検出することで濃度を算出するための構成である。それは、濃度調整用現像剤の濃度に依存してその粘度が異なること、また現像剤の粘度が異なることにより、攪拌するための負荷が異なることに基づいている。
【0095】
以下、本実施形態とは異なる、従来の現像剤濃度測定法について述べる。
【0096】
液体現像剤は、既述したようにキャリヤ液にトナーが分散されている。液体現像剤の濃度は、現像剤中のトナーの濃度で表される。この濃度を測定する方法としては、従来、光の透過率で測定することがよく行われていた。
【0097】
しかしながら、これも既述したように近年では高濃度の液体現像剤がもっぱら使用されている。高濃度の現像剤に対しては、光の透過率では低い値に飽和してしまい、十分な測定の感度が得られない。
【0098】
かわりに粘度を測定することで濃度を求めることが考えられてきた。現像剤の濃度が変化すると粘度も変化する。特に高濃度の領域に対して粘度の変化量が大きく、十分な測定の感度を得ることもできる。
【0099】
また、現像剤の粘度が変化するとそれを攪拌するのに要する負荷も変動する。これを利用して攪拌の負荷から粘度を、そしてさらに濃度を測定することもできる。本実施形態もこの方法を採用している。
【0100】
攪拌の負荷としては、攪拌羽根などの駆動に用いるモータの電流値を測定するのが簡便である。所定の回転数で回転させるために要する電流値を電流計で測定すればよい。
【0101】
<濃度調整用現像剤の液量制御>
しかしながら、攪拌の負荷から粘度を求めるには、攪拌時の条件が一定でなければならない。装置の条件はもとより、攪拌羽根を回転させるのであれば、回転条件、さらには攪拌される現像剤の液量も制御する必要がある。
【0102】
本実施形態では、測定する現像剤の液量を一定にするために濃度調整槽51に開口部51aを設け、オーバーフローさせる構成としている。実際は攪拌すると液面がすり鉢状になり、粘度によって、オーバーフローしている、あるいはした後の状態での液量が異なってくる。
【0103】
図4を参照して分かるように、攪拌羽根の回転により、現像剤の液が遠心力で外側方向へ移動し、液面81が大きくすり鉢状となっている。
【0104】
従って、開口部51aがあると、最外側部での液面高さの上限が規制されるので、現像剤粘度により液量が変化することになる。
【0105】
本実施形態(図4参照)では、攪拌時の液量を粘度によらず常に一定に制御するという考え方は採らない。そのかわり、同じ粘度の現像剤であれば、攪拌時の液量が一定であるように構成しておくことを前提とした。本実施形態(図4参照)では、同じ粘度の現像剤であれば、開口部51aによって液面を規制することで、同じすり鉢状の液面状態が実現し、同じ液量が達成される。
【0106】
もちろん現像剤の粘度が異なれば液量は異なってくるが、それぞれの粘度に応じて所定の液面、すなわち所定の液量が達成されるため、液量と粘度に応じた攪拌の負荷を対応させることができる。
【0107】
粘度測定のために液量制御をその都度行う必要がなく、必要な制御は開口部51aが自動的に行う。測定中に濃度の異なる現像剤を補給しても、それによる粘度変化に応じて液量制御は自動的に行われることになる。
【0108】
<攪拌負荷としての電流値の測定>
攪拌の負荷としては、攪拌羽根62などの駆動に用いるモータ63の電流値を測定することを既述した。攪拌羽根を所定の回転数で回転させ、そのときの電流値を電流計64で測定すればよい。
【0109】
所定の濃度の現像剤に対する攪拌の負荷としてのモータ電流値を予め取得しておき、目標電流値とする。濃度調整用現像剤の攪拌時に測定した電流値を、保持している目標電流値と比較して、その大小関係から第1の補給現像剤、あるいは第2の補給現像剤を補給するように制御部61が制御すればよい。
【0110】
あるいは、目標電流値に許容範囲を加えて目標範囲とし、その範囲内であれば濃度調整を終了し、あるいは目標範囲を上回るか下回るかによって第1の補給現像剤、または第2の補給現像剤の補給を実行するよう制御してもよい。
【0111】
(攪拌部材における現像剤の乾燥固着防止)
既述したように、本実施形態に係る現像剤濃度調整装置は、濃度調整用現像剤を、攪拌部材を用いて攪拌するときの攪拌負荷を検出することで現像剤の粘度、すなわち濃度を算出する構成である。
【0112】
従って、攪拌負荷が正確に粘度と対応している必要があり、そのため上述したように、測定する現像剤量を一定とする構成を採ることが望ましい。またその他の環境条件(例えば液体現像剤の温度など)も管理することが望ましい。
【0113】
しかしながら、攪拌部材を用いて攪拌する時の負荷と粘度を対応させる構成を採る場合、次のような点の考慮も忘れてはならない。それは、攪拌するために用いる攪拌部材62には、当然ながら液体現像剤が付着することである。
【0114】
濃度調整終了後、濃度調整済みの液体現像剤は、現像に供するため濃度調整槽51から現像剤槽44へと排出される。そうすると、場合によっては、週末や長期休暇期間中など、濃度調整のために攪拌部材62が設けられた濃度調整槽51が長時間、液体現像剤が空の状態で放置されることもあり得る。
【0115】
特に揮発性の高いキャリヤ液を使用していると、液体現像剤が排出された空の状態で攪拌部材62の表面が乾燥すると、攪拌部材表面に高粘度の現像剤が残留し、トナーの固着等が生ずる恐れがある。不揮発性のキャリヤ液を使用しても、液が垂れて攪拌部材表面に高粘度の現像剤が残留し、トナーの固着等が生ずる恐れがある。
【0116】
攪拌負荷を測定するための攪拌部材にトナーの固着が生ずると、攪拌部材と液体現像剤との摩擦抵抗が変化し、液体現像剤の粘度測定に影響を及ぼし、その結果、正しく濃度調整を行うことができなくなる不具合が発生する可能性がある。
【0117】
こういった乾燥による攪拌部材へのトナーの固着等を防止するために、本実施形態では以下のような制御を行っている。
【0118】
<攪拌部材における付着現像剤の清掃機構>
要点は、制御部61の制御により、濃度調整開始時に、濃度調整槽51へ攪拌部材清掃用の現像剤を供給し、濃度調整槽51内において攪拌部材62を清掃用現像剤に浸漬させて攪拌動作を行い、攪拌部材62を清掃することである。
【0119】
すなわち、攪拌部材62の表面に残留付着している高粘度の現像剤、あるいはトナー等を清掃用の現像剤に浸漬するような状態で攪拌することにより洗い落とす。
【0120】
清掃用の現像剤は、キャリヤ液もしくは現像剤槽44に供給する所定の濃度に調整した現像剤より低濃度の液体現像剤を用いるのがよい。濃度調整時よりも低濃度の現像剤を用いることで付着したトナー等が効率よく除去できる。
【0121】
清掃のために攪拌部材62で攪拌するときは、濃度調整のために攪拌するときと攪拌条件を変更する。
【0122】
濃度調整時は攪拌負荷、すなわち現像剤の粘度を測定することが目的であるが、清掃は攪拌部材62に付着した現像剤を除去するのが目的である。従って、攪拌部材62の駆動速度を上げて、攪拌羽根表面に対する清掃用現像剤の摺擦する圧力を増やした方がよい。
【0123】
具体的には、濃度調整時より攪拌羽根の回転速度を上げることで遠心力が掛かり、付着したトナー等が除去しやすくなる。また清掃中に回転速度を可変にすることで攪拌羽根への圧力が掛かり、付着したトナー等が除去しやすくなる。
【0124】
また濃度調整槽51に超音波振動部材を設置しておき、清掃時に清掃用現像剤を介して超音波振動を付与することも、付着したトナー等が除去しやすくなるので望ましい。
【0125】
<清掃用現像剤の量>
攪拌部材62を浸漬させる清掃用現像剤の量は、濃度調整用の液体現像剤の量より少なめがよい。濃度調整時には、攪拌負荷を安定させるため、濃度調整槽51の攪拌部材(攪拌羽根)の位置より液面が十分高い液量(オーバーフロー状態の液量)にしているが、攪拌羽根の清掃時には回転駆動時に攪拌羽根が液面から出ないぎりぎりの液量が効率よく汚れを除去できる。
【0126】
また、清掃に用いた清掃用現像剤は、清掃後に一旦排出した後で、あるいはそのまま濃度調整槽51に残して、濃度調整用の現像剤として用いることもできるので、特に清掃用現像剤としてキャリヤ液を用いる場合等、なるべく少量で清掃する方が低濃度になりすぎず、所定の濃度への濃度調整が効率よく行える。
【0127】
<清掃用現像剤の再使用>
清掃用現像剤をそのまま濃度調整槽51に残して、濃度調整用の現像剤として用いるかどうかは、任意に設定すればよい。制御部61が効率のよい方等を考慮して選択するよう制御してもよい。
【0128】
そのまま濃度調整槽51に残さない場合は、一旦排出現像剤槽52等へ排出してもよい。この場合も廃棄して廃棄液を増やすのではなく、適切なタイミングで濃度調整の補給液として、あるいは清掃用現像剤として再利用することが望ましい。
【0129】
そのまま濃度調整用現像剤として利用する場合、現像剤の排出等の搬送時間を省略することができる。また濃度調整しようとする回収現像剤等が高濃度の場合、残った低濃度の清掃用現像剤に直接回収現像剤が投入されることで濃度調整の効率が時間的にも、補給現像剤投入量からしても効率的となる。
【0130】
一方、濃度調整しようとする回収現像剤等が低濃度の場合、低濃度の清掃用現像剤をそのまま残していると、高濃度の補給現像剤を大量に投入することになり、濃度調整の効率が時間的にも、補給現像剤投入量からしてもよくない。清掃用現像剤は一旦排出現像剤槽52等へ排出して、効率のよくなる適切なタイミングで再利用するのが望ましい。
【0131】
<濃度調整用(回収)現像剤の濃度に応じた処理>
回収現像剤等の濃度がどの程度であるかは、それまでに出力していた画像のB/W比から推測するようにしてもよいし、回収現像剤槽53にも攪拌部材を設けて攪拌負荷から算出してもよい。もちろん回収現像剤の濃度を推定せずに、濃度調整動作に入ってもかまわない。
【0132】
濃度調整して再利用する回収現像剤は、現像ローラの残存現像剤以外に、像担持体等の表面残留現像剤でもよいし、その他液体現像剤が付着する任意の部材から回収することができる。しかしこれらは、すべて濃度が異なる。これらを再利用する場合は、すべてを一括して使用してもよいが、濃度調整用現像剤、高濃度の第1の補給現像剤、低濃度の第2の補給現像剤等々、適切に使い分ければ効率的で望ましい。
【0133】
<攪拌部材の清掃タイミング>
清掃を行うタイミングは、濃度調整槽51が空の状態で放置されていた後に行えばよい。連続的に濃度調整を行っている間には、清掃を行う必要はない。
【0134】
具体的には、例えば画像形成装置の電源投入時や駆動開始時等に、制御部61が所定のタイミングで清掃用現像剤の濃度調整槽51への注入を制御し、攪拌部材62を清掃用現像剤に浸漬している状態で駆動させる。
【0135】
また例えば、一定時間、濃度調整が行われなかった後、すなわち濃度調整槽が空の状態であった後に濃度調整を開始しようとするときに、清掃用現像剤を濃度調整槽51へ注入し、攪拌部材62を清掃用現像剤中で駆動させ、清掃を行う。
【0136】
一定の時間は、現像剤の特性に応じて設定すればよい。一般的には、数時間から数日の単位である。
【0137】
濃度調整が行われずに、設定した一定の時間が経過したことを検知する方法としては、例えば最後に攪拌負荷検出動作を停止してからの時間カウント、濃度調整槽から液体現像剤を排出する動作を終了してからの時間カウント、その他適当な動作タイミングからの時間カウントを利用することができる。
【0138】
画像形成装置は、駆動中に随時濃度調整動作を行うように設定されている場合が一般的なので、画像形成装置の駆動停止からの時間カウントに従ってもよい。
【0139】
濃度調整を開始するに際して、一定の時間が経過したかどうかにより清掃の実行を判定し、その実行を制御する攪拌部材清掃の処理手順例を以下に説明する。
【0140】
(濃度調整方法処理例)
図6は現像剤濃度調整装置の濃度調整方法の処理例を示すフローチャートである。図6を用いて、現像剤濃度調整装置の濃度調整方法の処理例を説明する。
【0141】
現像剤濃度調整の開始に際して、まず、ステップS11では、濃度調整槽51は液体現像剤が空の状態である。制御部61は、所定の処理手順に従い、攪拌部材の清掃を行うかどうか判定し、清掃の実行を制御する。
【0142】
図7は、図6における攪拌部材の清掃工程(ステップS11)の処理手順例を示すフローチャートである。図7を用いて、攪拌部材の清掃工程の処理手順例を説明する。
【0143】
<攪拌部材清掃の処理手順例>
図7において、まずステップS1では、濃度調整槽51が空の状態になってからの時間を取得し、制御部61は所定の処理手順に従い、攪拌部材の清掃を行うかどうか判定する。判定は、取得した時間カウントの結果が予め設定した一定の時間に到達しているかどうかによる。
【0144】
ステップS1で一定の時間が経過している場合(ステップS1:Yes)は、ステップS2へ進み、清掃の実行を開始する。ステップS1で一定の時間が経過していない場合(ステップS1:No)は、清掃の実行を行わず、図6のフローにリターンして攪拌部材の清掃工程(ステップS11)を終了する。
【0145】
次にステップS2では、攪拌部材62の清掃のために、制御部61は所定の処理手順に従い、所定量の清掃用の現像剤を濃度調整槽51に注入する。清掃用の現像剤とは、例えば第2の補給現像剤として用意してあるキャリヤ液である。
【0146】
ステップS3では、制御部61は所定の条件で攪拌部材62による攪拌を行い、攪拌部材62を清掃する。所定の条件とは、例えば攪拌部材(攪拌羽根)の回転速度や時間であり、濃度調整時の回転速度より速く設定する。
【0147】
ステップS4では、制御部61は、濃度調整槽51から清掃用現像剤を排出する。これは引き続く濃度調整で濃度調整用現像剤を収容するために、一旦空の状態にするものである。もちろん、清掃用現像剤をそのまま濃度調整槽51に残して、引き続く濃度調整に用いてもよいことは、既に述べたとおりである。
【0148】
以上で攪拌部材の清掃工程を終了する。図6の濃度調整方法の処理例を示すフローチャートへ戻る。
【0149】
<濃度調整方法の処理手順例>
図6において、ステップS11の攪拌部材清掃工程は上記のように終了し、ステップS12へ進み、濃度調整処理を開始する。
【0150】
ステップS12では、濃度調整する現像剤、例えば回収現像剤槽53の回収現像剤を、濃度調整槽51に濃度調整用現像剤として収容する。すなわち、ステップS12は現像剤収容工程として機能する。もちろん、これも既述したように清掃用現像剤をそのまま残している場合もある。そのときは、そのまま投入する。
【0151】
続いてステップS13も、制御部61からの指示により駆動装置63が攪拌部材62を駆動し、所定の回転数で濃度調整用現像剤の攪拌を開始する。合わせて、負荷検出装置64がその攪拌負荷としての電流値を測定する。すなわち、ステップS13は、負荷検出工程として機能する。
【0152】
次のステップS14以降は制御工程である。
【0153】
次のステップS14は、濃度調整用現像剤を攪拌し測定した測定電流値を所定の目標値に基づく目標範囲と比較する。
【0154】
測定電流値が、目標範囲内であれば(ステップS14:Yes)、ステップS18へ進む。すなわち濃度調整を終了する。測定電流値が、目標範囲内でなければ(ステップS14:No)、ステップS15へ進む。
【0155】
ステップS15は、目標範囲外である測定電流値が、目標範囲を下回っているかどうかを判定する。目標範囲を下回っている場合(ステップS15:Yes)には、ステップS16を実行する。目標範囲を上回っている場合(ステップS15:No)には、ステップS17を実行する。
【0156】
ステップS16は第1の補給工程であり、測定した濃度調整用現像剤が目標の濃度を下回っているため第1の補給現像剤(高濃度現像剤)の補給を実行する。その後ステップS13へ戻り、負荷検出工程からの処理を繰り返す。
【0157】
ステップS17は第2の補給工程であり、測定した濃度調整用現像剤が目標の濃度を上回っているため第2の補給現像剤(低濃度現像剤)の補給を実行する。その後ステップS13へ戻り、負荷検出工程からの処理を繰り返す。
【0158】
上述のようにステップS16及びステップS17は、補給工程として機能する。
【0159】
ステップS14で反復処理を抜け、ステップS18で調整を終了した後は、さらにステップS19を実行し、濃度調整槽51内の調整済み現像剤を排出し、現像に使用するため現像剤槽44に供給する。
【0160】
このときに、制御部61の制御により、濃度調整槽51は空の状態になる。空の状態になってから次の濃度調整を行うまで、例えば次の清掃実行を判定するための時間カウントが行われる。
【0161】
以上で、現像剤濃度調整装置の濃度調整方法の処理手順例説明を終了する。
【実施例】
【0162】
図3の濃度調整装置、図4の濃度測定部を用いて濃度調整するに際し、攪拌部材の清掃の効果を確認する実験を行った。清掃の有無による濃度測定の精度への影響を評価した結果について述べる。
【0163】
<装置条件>
装置条件について以下に示す。
【0164】
濃度調整槽は内径φ85mmである。攪拌羽根は、底から10mmの位置にφ75mm、高さ10mmの6枚羽根を設けた。
【0165】
開口部として、底から80mmの位置に高さ20mm幅30mmの開口を設けた。
【0166】
攪拌羽根の回転速度は、濃度調整時は200rpmとした。
【0167】
<現像剤>
液体現像剤は、キャリヤ液中にトナーを分散した液体現像剤を使用した。
【0168】
キャリヤ液としてIPソルベント液を用い、トナーは平均粒径1.9μmのポリエステルトナーを湿式粉砕して作成した。
【0169】
濃度調整する所定の濃度はT/C比25%と設定した。
【0170】
<実験方法>
実験方法としての手順を以下に示す。
【0171】
(1) 上記濃度調整装置、現像剤を用いて所定の濃度(T/C比25%)に濃度調整処理後、濃度調整槽を空の状態にして、1週間放置した。
【0172】
(2) その後、実施例については、以下の因子を変化させて攪拌羽根の清掃を行った。比較例については、そのまま清掃を行わなかった。
【0173】
清掃用現像剤については、以下の5種類の清掃用現像剤を用いた。
【0174】
a.キャリヤ液100%(質量比)
b.キャリヤ液70%回収現像剤30%(質量比)
c.キャリヤ液50%回収現像剤50%(質量比)
d.キャリヤ液70%回収現像剤30%(質量比)
e.回収現像剤100%(質量比)
キャリヤ液は濃度0%、回収現像剤は濃度20%の場合と濃度28%の場合で実験を行った。各清掃用現像剤は、清掃の直前に投入し、清掃の直後に排出した。清掃用現像剤の投入量は、攪拌羽根が液面からぎりぎり出ない程度とした。濃度調整時の約1/4である。
【0175】
攪拌羽根回転速度については、攪拌羽根は3種類のモードで回転させた。
【0176】
a.通常回転(濃度調整時と同じr=200rpm)
b.高速回転(濃度調整時の倍の2r=400rpm)
c.速度可変回転(r=200rpm、1.5r、2r)
攪拌羽根回転時間は、5分間一定とした。
【0177】
図5に各モードでの時間と回転速度の関係を示す。図5(a)は通常回転、(b)は高速回転、(c)は速度可変回転をそれぞれ表している。
【0178】
また、実施例の一部は、超音波振動部材を設けて、清掃中超音波振動を付加した。
【0179】
(3) 濃度調整槽に濃度が既知の現像剤(T/C比25%)を収容し、攪拌羽根の攪拌負荷を測定し、トナー濃度を求めた。清掃の効果を評価するため、各実施例、比較例での濃度測定結果を以下の評価方法で評価した。
【0180】
<評価方法>
目標値である既知の濃度(25%)からの測定結果のズレ(±%)を以下のようにランク評価した。
【0181】
ランク5 目標値からのズレが0.6%未満
ランク4 目標値からのズレが0.6%以上で0.8%未満
ランク3 目標値からのズレが0.8%以上で1.0%未満
ランク2 目標値からのズレが1.0%以上で3.0%未満
ランク1 目標値からのズレが3.0%以上
ランク5が測定精度がよく、ランク1が悪い。ランク3以上がOKレベルである。
【0182】
<評価結果>
表1に実施例1から19、及び比較例1、2の各清掃条件と評価結果を示す。
【0183】
【表1】

【0184】
表1の結果に示されるように、以下のことが分かる。
【0185】
1. 濃度調整を行うときとは異なる攪拌条件で攪拌動作させて清掃を行った実施例1から19の評価結果はすべて、濃度調整を行うときと同じ条件で攪拌動作を行った比較例1と清掃を行わなかった比較例2の評価結果よりも良好なランクを示している。濃度調整処理に入る前に清掃を行うことで、攪拌羽根に付着したトナー等が除去され、回転負荷の測定、すなわち濃度の測定精度が安定している。これにより、安定した精度の濃度調整処理が行える。
【0186】
なお、使用を終えた各清掃用現像剤は、別途濃度調整用として再利用したが、濃度調整、及びその後の現像装置での使用に何の障害もなかった。
【0187】
2. 実施例1から19は何れもランク3以上であるが、清掃用現像剤がより低濃度であるほど、清掃の効率がよく、ランク評価がよい傾向が見られる。より清掃の効果を向上させるため、なるだけ低濃度の清掃現像剤を用いて清掃することが望ましい。
【0188】
結果からも分かるように、清掃用現像剤は、キャリヤ液もしくは所定の濃度より低濃度でかつ濃度調整用の液体現像剤の濃度より低濃度の液体現像剤であることが望ましい。またそのような現像剤としては、所定の濃度より低濃度の第2の補給現像剤もしくは第2の補給現像剤と濃度調整用の液体現像剤の混合現像剤を用いればよい。
【0189】
3. 実施例1から19は何れもランク3以上であるが、清掃時の攪拌羽根回転速度がより高速であるほど、遠心力が掛かり除去しやすく、ランク評価がよい傾向が見られる。より清掃の効果を向上させるため、なるだけ高速回転の攪拌羽根を用いて清掃することが望ましい。
【0190】
なお、回転速度は、清掃中に変化させることも、攪拌羽根への圧力が掛かり除去しやすくするので望ましい。
【0191】
4. 実施例10と11は清掃時に超音波振動を付加している。超音波を印加することで、振動で除去しやすくなり、ランク評価がよい傾向が見られる。より清掃の効果を向上させるため、できれば超音波振動を付加して清掃することが望ましい。
【0192】
上述のように、本実施形態に係る現像剤濃度調整装置、現像剤濃度調整方法、及びそれらを用いた画像形成装置によれば、濃度調整開始時に、濃度調整槽へ攪拌部材清掃用の現像剤を供給し、濃度調整槽内において攪拌部材を清掃用現像剤に浸漬させて攪拌動作を行い、攪拌部材を清掃する。
【0193】
これにより、攪拌部材に対する残留現像剤の乾燥固着等によるトナー濃度検知異常の不具合発生を防止し、精度のよい濃度調整を可能とすることができる。
【0194】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0195】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 転写材
8 液体現像剤
10 画像形成装置
41 現像ローラ(現像剤担持体)
42 搬送ローラ
43 供給ローラ
44 現像剤槽
45 規制部材
46 除去部材
50 現像剤濃度測定部
51 濃度調整槽
51a 開口部
52 排出現像剤槽
53 回収現像剤槽
54 第1の補給現像剤槽(高濃度現像剤槽)
55 第2の補給現像剤槽(低濃度現像剤槽)
54a 第1の補給手段
55a 第2の補給手段
60 現像剤濃度調整装置
61 制御部(制御手段)
62 攪拌部材(攪拌羽根)
63 駆動装置(モータ)
64 負荷検出装置(負荷検出手段)
81 濃度調整用現像剤の攪拌時液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリヤ液を含む液体現像剤のトナー濃度を所定の濃度に調整するため、
濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を攪拌するための攪拌部材と、
前記攪拌部材による前記液体現像剤の攪拌時に、攪拌負荷を検出する負荷検出手段と、
濃度調整のための補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給手段と、
前記負荷検出手段により検出された攪拌負荷に基づいて、前記補給手段による前記補給現像剤の補給を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
空の状態の前記濃度調整槽に前記液体現像剤を収容して濃度調整を行う前に、前記濃度調整槽内における前記攪拌部材に残留付着しているトナーを除去するために、前記攪拌部材を清掃用の液体現像剤に浸漬させた状態で、前記濃度調整を行うときとは異なる攪拌条件で攪拌動作させて清掃するよう制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整装置。
【請求項2】
前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時に用いる前記清掃用の液体現像剤は、
前記キャリヤ液もしくは前記所定の濃度より低濃度でかつ濃度調整用の液体現像剤の濃度より低濃度の液体現像剤である
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項3】
前記補給手段は、
前記所定の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第1の補給手段と、前記所定の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第2の補給手段と、を有し、
前記清掃用の液体現像剤は、第2の補給現像剤もしくは第2の補給現像剤と濃度調整用の液体現像剤の混合現像剤である
ことを特徴とする請求項2に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項4】
前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、前記攪拌負荷を検出するために攪拌するときよりも高速で駆動させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項5】
前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、速度を変化させて駆動する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項6】
前記濃度調整槽内に超音波振動部材を有し、
前記制御手段による前記攪拌部材の清掃時には、
前記超音波振動部材による振動が付加される
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記濃度調整槽から液体現像剤が排出され、空の状態になってからの時間を測定し、測定した前記時間に基づいて前記攪拌部材の清掃を行うかどうかを判定する
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項8】
前記濃度調整槽は、円筒形状の容器であり、
収容された液体現像剤が一定の液面高さに達するとオーバーフローする開口部を有し、
前記負荷検出手段は、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が前記攪拌部材により攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている、あるいはした後の状態で、前記攪拌負荷を検出する
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置。
【請求項9】
トナーとキャリヤ液を含む液体現像剤のトナー濃度を所定の濃度に調整するため、
濃度調整槽に濃度調整用の液体現像剤を収容する現像剤収容工程と、
前記濃度調整槽内に収容された前記液体現像剤を攪拌部材により攪拌しながら、攪拌負荷を検出する負荷検出工程と、
濃度調整のための補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する補給工程と、
前記負荷検出工程において検出された攪拌負荷に基づいて、前記補給工程の実行を制御し、前記液体現像剤の濃度を調整する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
空の状態の前記濃度調整槽に前記液体現像剤を収容して濃度調整を行う前に、前記濃度調整槽内における前記攪拌部材に残留付着しているトナーを除去するために、前記攪拌部材を清掃用の液体現像剤に浸漬させた状態で、前記濃度調整を行うときとは異なる攪拌条件で攪拌動作させて清掃するよう制御する
ことを特徴とする現像剤濃度調整方法。
【請求項10】
前記制御工程において前記攪拌部材の清掃時に用いる前記清掃用の液体現像剤は、
前記キャリヤ液もしくは前記所定の濃度より低濃度でかつ濃度調整用の液体現像剤の濃度より低濃度の液体現像剤である
ことを特徴とする請求項9に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項11】
前記補給工程は、
前記所定の濃度より高濃度の第1の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第1の補給工程と、前記所定の濃度より低濃度の第2の補給現像剤を前記濃度調整槽に補給する第2の補給工程と、を有し、
前記清掃用の液体現像剤は、第2の補給現像剤もしくは第2の補給現像剤と濃度調整用の液体現像剤の混合現像剤である
ことを特徴とする請求項10に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項12】
前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、前記攪拌負荷を検出するために攪拌するときよりも高速で駆動させる
ことを特徴とする請求項9から11の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項13】
前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記攪拌部材を、速度を変化させて駆動する
ことを特徴とする請求項9から12の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項14】
前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
超音波振動部材による振動が付加される
ことを特徴とする請求項9から13の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項15】
前記制御工程における前記攪拌部材の清掃時には、
前記濃度調整槽から液体現像剤が排出され、空の状態になってからの時間を測定し、測定した前記時間に基づいて前記攪拌部材の清掃を行うかどうかを判定する
ことを特徴とする請求項9から14の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項16】
前記現像剤収容工程では、
円筒形状の容器であり、開口部を有する前記濃度調整槽に収容された液体現像剤が、一定の液面高さに達すると、前記開口部よりオーバーフローし、
前記負荷検出工程では、
前記濃度調整槽内の液体現像剤が前記攪拌部材により攪拌され、前記開口部よりオーバーフローしている、あるいはした後の状態で、前記攪拌負荷を検出する
ことを特徴とする請求項9から15の何れか1項に記載の現像剤濃度調整方法。
【請求項17】
表面に潜像を形成する像担持体と、
前記像担持体の表面の潜像を液体現像剤で現像し、トナー像を形成する液体現像装置と、を有する画像形成装置であって、
請求項1から8の何れか1項に記載の現像剤濃度調整装置を有し、
前記現像剤濃度調整装置により所定の現像剤濃度に調整された液体現像剤を、前記液体現像装置に供給する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
前記画像形成装置の電源投入時に、あるいは駆動開始時に、前記現像剤濃度調整装置の制御手段は前記攪拌部材の清掃を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107365(P2011−107365A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261619(P2009−261619)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】