現像装置及び画像形成装置
【課題】現像剤担持体の長手方向端部の現像剤による汚れを防止し、装置内のトナー汚染を防ぐ現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転する現像スリーブ17に磁性現像剤を担持して感光体ドラム1に形成された静電像を現像する現像装置において、現像スリーブ17の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために現像スリーブ17と非接触に対向して配置された磁気シール部材19と、現像剤と同極性に帯電する絶縁テープであって、前記現像スリーブ17の長手方向端部であって磁気シール部材19と対向している周方向全体に設けられた絶縁テープ20と、を有することを特徴とする。
【解決手段】回転する現像スリーブ17に磁性現像剤を担持して感光体ドラム1に形成された静電像を現像する現像装置において、現像スリーブ17の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために現像スリーブ17と非接触に対向して配置された磁気シール部材19と、現像剤と同極性に帯電する絶縁テープであって、前記現像スリーブ17の長手方向端部であって磁気シール部材19と対向している周方向全体に設けられた絶縁テープ20と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式により形成された静電像を現像するための現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置において、従来これら画像形成装置に適用される現像装置としてはパウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等によるものが知られている。このうち、二成分現像方式の磁気ブラシ法の場合は、磁性キャリア、トナー等を混合して含んでいる二成分現像剤を磁界発生手段に吸着し、磁極部分において現像剤をブラシ状に穂立ちさせ、感光体ドラム上の静電像を摺擦することにより現像するものである。このとき、現像剤中の磁性キャリア自体はやわらかい現像電極として働くため、トナーを静電像の電荷密度に比例して付着させることが可能、即ち、階調画像の再生に適しているものである。また、現像装置自体としても小型に構成できるという特徴を有している。
【0003】
この二成分現像方式の磁気ブラシ現像装置としては、現像剤担持体である現像スリーブを用いた磁気ブラシ現像方法が一般化されている。これは、感光体ドラム上の静電像を効率よく現像する目的を達成するために、磁性体の粉末、例えばフェライト等である磁性キャリアと、樹脂中に顔料を分散させたトナーと、を含む二成分現像剤を攪拌混合する。そして、これらの互いの摩擦による摩擦帯電によってトナーに電荷を保有させる一方、この現像剤をその内部に磁極を有する非磁性体で作られた中空の円筒状の現像剤担持体である現像スリーブに保持させる。そして、現像スリーブによって、現像剤容器から感光体ドラムに対向する現像領域まで現像剤を搬送させ、この現像領域で上記磁界の作用により現像剤を穂立ちさせて感光体ドラム表面を摺擦させることにより、感光体ドラム上に形成された静電像を現像させる。
【0004】
上記現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方法は、白黒デジタル複写機や高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの製品で用いられている。
【0005】
上記現像装置にあっては、現像剤容器内の現像剤は、現像剤容器内での循環移動によって、図12に示す現像スリーブ50の表面に沿って、該現像スリーブ50の軸受51の部分へ移送される。このため、現像剤が軸受51の部分に侵入して現像スリーブ50の円滑な回転を阻害したり、現像剤が軸受51の部分を通過して現像容器外に漏れたりするおそれがある。
【0006】
そのため、従来からこのような現像スリーブの端部からの現像剤漏れに関しては、現像スリーブの両端部に弾性シール部材を取り付け、このシール部材端部からトナーが漏れないようにシールする方法が提案されている。しかし、前記シール構成では弾性シール部材を現像スリーブ外周面に圧設しているため、現像スリーブへの負荷が大きく、また弾性シール部材の劣化によりシール性が低下してしまうという問題もある。
【0007】
そこで、磁気吸着するトナーないしキャリアを使用する現像装置にあっては磁力発生手段によって磁気シールすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。これは、図12に示すように、現像スリーブ50の表面と所定間隔を維持して対向する対向面に着磁した磁気シール部材52を設け、現像剤を磁気吸着して保持する構成である。
【0008】
前記磁気シール構成は現像スリーブ50と磁気シール部材52とが非接触であるために、現像スリーブ50の回転負荷を小さくし、また摩耗等による劣化を生じないために長寿命となる利点がある。
【0009】
現像スリーブ50を非接触に包囲するように板状の磁石を磁気シール部材52として貼ると、現像スリーブ50内の磁石ローラ53と磁石との間に現像剤による磁気穂が形成されて漏れを防止できる。このとき、磁石として1面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いた場合は、現像スリーブ内部の磁石ローラ53の反撥磁界を形成する極(例えばSとS)と異なる極の面を現像スリーブ側の面としなければトナー漏れが生じやすなる。
【0010】
なぜなら、磁石ローラ53の磁極と磁気シール部材52が同極で対向した場合、磁石ローラ53と磁気シール部材52間にも反撥磁界が形成されてしまう。このため、図13aに示すように、磁気シール部材52の磁力線は現像スリーブ50の長手方向外側に向かって曲がって伸びてしまう。このとき、現像剤は図13bに示すように、磁力線に沿って配列されるため、現像剤が現像スリーブの端部方向に向かって伸び、端部方向に現像剤が抜け易くなっている。
【0011】
さらに、図13cには、磁気シール部材52と現像スリーブ50に囲まれた領域で、磁性キャリアにかかる力を模式的に示した。矢印はその位置における力の方向、また矢印の長さは力の大きさを表している。同極で磁石が対向している場合、磁石と磁石の間には磁性キャリアに働く磁気力のほとんどない領域(磁石に働く力の方向が反転する領域)が磁石間に連続して存在することとなる。図13cに磁性キャリアに働く磁気力が小さくほとんどない領域を○印で示している。この図のように、磁性キャリアに働く力のほとんどない領域が、磁気シール部材と現像スリーブ間に連続して存在する。その場合、磁性キャリアが、磁気シール部材や磁石ローラに引かれることなく、図13cに示した点線矢印のような流れに従って漏れ出すおそれが生ずる。その結果、現像剤領域の外側に現像剤が流出し易くなり、良好なシール性が発揮できなくなる。
【0012】
そこで、反撥磁界と磁気シール部材を異極で対向させる構成が提案されている。異極で対向させると、図14aに示すように、磁気シール部材52の磁力線は現像スリーブ50の方向に伸びるので、長手方向外側に向かって伸び難くなる。このため、現像剤は現像スリーブ端部方向に抜け難くなる。このとき、現像剤は、図14bに示すように、現像剤が現像スリーブ50の方向に伸び、現像スリーブ50と磁気シール部材52の間に現像剤による磁気穂が形成される。この磁気穂が端部方向へ抜けようとする現像剤をシールする役目を果たし、さらに漏れ出し難くなる。
【0013】
図14cには、磁気シール部材52と現像スリーブ50に囲まれた領域で、磁性キャリアにかかる力を図13cと同様に模式的に示した。異極で磁石が対向している場合、磁石と磁石の間には磁性キャリアに働く磁気力のほとんどない領域(○印で示す)は存在するが磁石間に連続して存在することはない。そのため、磁気シール部材と現像スリーブに囲まれた領域の磁性キャリアは、現像スリーブ端部方向に移動する過程で、必ず磁気シール部材52や磁石ローラ53に引かれ、その結果、現像領域の外側に現像剤が流出し難くなり、良好なシール性が発揮できる。
【0014】
また、磁気シール部材としてその内周面にNS極が多磁極に着磁された磁石を用いる構成も提案されている。このような構成では、磁気シール部材の多磁極間で磁力線が伸びるため、磁力線が現像スリーブの長手方向外側に伸び難くなり、良好なシール性が発揮できる。
【0015】
【特許文献1】特開平11−133750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、最近の高速複写機では、感光体ドラムの回転速度の高速化が進み、高速回転する感光体ドラムに対して、十分な現像効率を得るために現像スリーブの周回転速度が高くなってきており、トナーの飛散が起こり易くなっている。
【0017】
ここで、現像スリーブ50は画像形成領域周面にブラスト処理が施されている。一方、図15に示すように、磁気シール52が設けられている長手方向両端部にはブラスト処理が施されていない非ブラスト領域54がある。
【0018】
上記非ブラスト領域54は、現像バイアスVdcの電圧がかかっており、非ブラスト領域54に対向する像担持体55の端部はVdに帯電している。このため、飛散トナーには図15中の矢印cの方向に力がかかる。従って、高速回転する現像スリーブ50において、非ブラスト領域54が飛散トナーで汚れ易くなっている。
【0019】
一方で、高速回転する現像スリーブにおいては、図16に示すように、磁気シール部材52から現像スリーブ50に向かって延びる現像剤の磁気穂と、高速回転する現像スリーブ50の摺擦が大きくなる。このため、非ブラスト領域に付着したトナーが摺擦によって特に図中の領域56で遊離し、画像形成装置本体を汚染する可能性がある。
【0020】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像剤担持体の長手方向端部の現像剤による汚れを防止し、装置内のトナー汚染を防ぐ現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、回転する現像剤担持体に磁性現像剤を担持して像担持体に形成された静電像を現像する現像装置において、前記現像剤担持体の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために前記現像剤担持体と非接触に対向して配置された磁性部材と、前記現像剤と同極性に帯電する絶縁部材であって、前記現像剤担持体の長手方向端部であって前記磁性部材と対向している周方向全体に設けられた絶縁部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記構成にあっては、絶縁部材が現像剤との摺擦により現像剤と同極性に帯電するため、該絶縁部材の部分に現像剤が付着し難くなる。このため、磁性部材により磁気シールされた現像剤担持体長手方向端部の現像剤汚れを防止し、装置内の汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の一実施形態に係る現像装置について、これを備えた画像形成装置とともに図面を参照して説明する。
【0024】
[画像形成装置及び現像装置の全体構成]
図1は本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の模式説明図である。画像形成装置及び現像装置の全体構成について、画像形成動作とともに説明する。
【0025】
本実施形態の画像形成装置Aは、図1に示すように、像担持体である感光体ドラム1を回転自在に設け、この感光体ドラム1を一次帯電器2で一様に帯電し、レーザー発光素子3によって画信号を露光して静電像を形成する。この静電像を現像装置Bによって現像して可視像化する。
【0026】
次に前記可視像化された現像剤像を転写帯電器4により搬送ベルト5で搬送されるシート6に転写し、更に定着器7にて定着した後、装置外へ排出する。また、感光体ドラム1上の転写残現像剤はクリーニング装置8により除去する。
【0027】
本実施形態の現像装置Bはトナーとキャリアを有する2成分現像剤であって、磁性を帯びた磁性現像剤を用いて現像するものである。現像装置Bは、図2に示すように、現像剤容器11を備え、該現像剤容器11内にはスクリュー12,13が配置されている。前記スクリュー12,13により現像剤14は現像剤容器11内で往復循環される。
【0028】
また、現像装置Bは、図2の矢印a方向に回転する感光体ドラム1上に形成された静電像を現像するために、現像剤容器11内の現像剤14を感光体ドラム1へと搬送するために現像剤担持体15を有する。本実施形態の現像剤担持体15は、図2に示すように、磁化された固定の磁石ローラ16と、該磁石ローラ16の周囲に図2の矢印b方向に回転自在に取り付けられ、現像剤14を感光体ドラム1へと搬送する円筒状の現像スリーブ17とから構成される。
【0029】
画像形成に際しては、磁石ローラ16の磁力によって回転する現像スリーブ17の周面に沿って現像剤が送られ、この現像剤が現像スリーブ17への現像バイアス印加により感光体ドラム1に形成された静電像に応じて付着することで現像が行われる。
【0030】
なお、現像に際し、所定濃度に対応して形成されたパッチ静電像は現像装置Bによりトナーで現像され、転写されずに濃度検知センサでパッチ画像の濃度が検知される。この検知濃度に基づき現像装置内へ適量のトナーが補給されることでトナーとキャリアの比が一定に保たれる。
【0031】
[現像スリーブの端部シール構成]
次に本実施形態の現像装置における、現像スリーブ17の端部シール構成について説明する。図3は現像スリーブの端部シール構成の模式説明図である。なお、図3は現像スリーブの長手方向一方端のみを示しているが、他方端側も同様である。
【0032】
現像スリーブ17は長手方向両端部が軸受18によって回転可能に支持されている。この現像スリーブ17を回転させて現像する場合、前述したように現像剤容器11内での現像剤の循環移動によって、現像スリーブ17の表面に沿って、現像剤が現像スリーブ17の軸受18の部分へ移送される。このとき、現像スリーブ17の長手方向端部からの現像剤漏れや、現像剤の軸受18内への侵入による現像スリーブ17の回転不良を防ぐ必要がある。そのため、本実施形態では現像スリーブ17の表面と所定間隔を維持して(非接触)対向する対向面に着磁した磁性部材である磁気シール部材19が設けられている。
【0033】
上記磁気シール部材19の磁極は、図4に示すように、対向する磁石ローラ16の反撥磁界S2及びS3と異極となるN極が対向するように構成されている。このように、反撥磁界と異極で対向させることで、前述したように磁気シール部材19の磁力線は現像スリーブ17の方向に伸びて、磁力線に沿って現像剤の磁気穂ができ、現像剤の端部からの漏れが防止される。
【0034】
また、本実施形態の現像スリーブ17の周面は長手方向においてブラスト処理されたブラスト領域と、その両端にブラスト処理されない非ブラスト領域とが形成されている。すなわち、現像スリーブ17の現像剤担持領域はブラスト処理が施されており、磁気シール部材19が配置されている長手方向両端部はブラスト処理が施されていない。
【0035】
[絶縁部材]
上記のように磁気シール部材の磁極を対向する磁石ローラ16の磁極と異極にすることで磁気シール性を高めている。しかし、前述したように現像スリーブ17の周回転速度が速くなると、現像剤の飛散が多くなり、飛散した現像剤で汚れ易い非ブラスト領域と、磁気シール部材19の作る磁気穂との摺擦で、現像剤が遊離して画像形成装置内を汚染する可能性がある。
【0036】
そこで、図3に示すように、現像剤と同極性に帯電する絶縁部材20を、前記現像スリーブ17の長手方向端部であって磁気シール部材19と対向している周方向全体に設けている。
【0037】
本実施形態では、前記絶縁部材として、絶縁性を有するテープを用い、この絶縁テープ20を非ブラスト領域に貼り付けている。具体的には、現像剤の極性と同じくマイナスに帯電する幅13mmの絶縁テープ20を、図5に示すように、磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19よりも現像スリーブ17の長手方向内側2mmのところから貼り付けた。
【0038】
このとき、図5に示すように、絶縁テープ20を貼り付けた領域は−600Vに帯電している。これは絶縁テープ20が磁気穂との摺擦でマイナスに摩擦帯電する性質を持つために、現像バイアス−400Vに対して、さらに−200V帯電したからである。
【0039】
したがって、絶縁テープ20を貼り付けた領域は、感光体ドラム1に対して同電位になっている。このために飛散現像剤を引き付けることが無く、かつ、ブラスト領域に比べて低い電位のためにマイナスに帯電した現像剤はブラスト領域に引き付けられことになる。これにより、絶縁テープ20を貼り付けた非ブラスト領域は現像剤で汚れることが無くなり、磁気穂との摺擦でも現像剤の遊離が起こらない。
【0040】
[実験結果]
ここで、本実施形態の現像装置において、絶縁テープ20の貼り位置と、現像スリーブ17の非ブラスト領域の汚れ方の関係について調べた結果を示す。
【0041】
磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19は端部が、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界から外側に2mmの位置を基準に設けてあるとき、図6に示すように、幅13mmの絶縁テープ20を、以下のように貼り付けた。
【0042】
(1)磁気シール部材よりも2mm内側の位置を基準に貼り付ける。
【0043】
(2)磁気シール部材の内側の端部を基準に貼り付ける。
【0044】
(3)磁気シール部材の外側の端部を基準に貼り付ける。
【0045】
上記のように3種類の位置に絶縁テープ20を貼り付けて、現像スリーブ17の端部の汚れ方を調べた。
【0046】
その結果、(1)の位置に絶縁テープを貼り付けた場合は非ブラスト領域の現像剤汚れは発生しなかった。
【0047】
一方、(2)の位置に絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅2mm)で現像剤汚れが発生し、さらに、絶縁テープ20と非ブラスト領域の境界では遊離した現像剤が確認できた(図7参照)。これは、磁気シール部材19から伸びた磁気穂と非ブラスト領域の摺擦が、磁気シール部材19に近い程強いためである。
【0048】
さらに、(3)の位置に絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅7mm)で現像剤汚れが発生し、剥き出しの非ブラスト領域の全域で磁気穂との摺擦による現像剤の遊離が起こった(図8参照)。
【0049】
従って、本実施形態では、絶縁テープ20の貼り付け位置は、磁気シール部材19の内側端部より内側を基準に貼り付けるのが好ましいことがわかる。このため、絶縁テープ20は、現像スリーブ17の長手方向において磁気シール部材19と対向した領域よりも広い領域に設けることが望ましく、より好ましくは非ブラスト領域全体を覆うように設けることが望ましい。
【0050】
次に、絶縁テープ20の長さを変えて、現像スリーブ17の非ブラスト領域の汚れ方を調べた。
【0051】
磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19が、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界から外側に2mmの位置を基準に設けてあるとき、図9に示すように、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界を基準として、以下の絶縁テープを貼り付けた。
【0052】
(4)幅5mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0053】
(5)幅7mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0054】
(6)幅13mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0055】
上記のように3種類の幅の絶縁テープ20を貼り付けて、現像スリーブ17の端部の汚れを調べた。
【0056】
その結果、(4)の幅5mmの絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅8mm)で現像剤汚れが発生した。さらに、磁気シール部材19から伸びた磁気穂と剥き出しの非ブラスト領域の摺擦が強い領域で、現像剤の遊離が発生した(図10参照)。
【0057】
一方、(5)の幅7mmの絶縁テープを貼り付けた場合は、絶縁テープの貼られていない非ブラスト領域(幅6mm)で現像剤汚れが発生し、さらに、絶縁テープと非ブラスト領域の境界では遊離した現像剤が確認できた(図11参照)。
【0058】
さらに、(6)の幅13mmの絶縁テープを貼り付けた場合は、上記検討(1)の結果と同じく非ブラスト領域の現像剤汚れは発生せず。強い摺擦による現像剤の遊離も起きなかった。
【0059】
従って、本実施形態では、絶縁テープの幅は、磁気シール部材と現像スリーブの対向している幅よりも長いほうが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態を適用できる画像形成装置の模式説明図である。
【図2】磁気ブラシ現像方式の現像装置の例を示す図である。
【図3】本実施形態の現像スリーブ端部の構成の説明図である。
【図4】本実施形態の磁気シール部材近傍の様子を示す図である。
【図5】本実施形態における現像スリーブ端部の電位を説明する図である。
【図6】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図7】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図8】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図9】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図10】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図11】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図12】従来の現像装置の現像スリーブ端部の構成を表す図である。
【図13a】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力線の向きを表す図である。
【図13b】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁気穂の様子を表す図である。
【図13c】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力の大きさを表す図である。
【図14a】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力線の向きを表す図である。
【図14b】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁気穂の様子を表す図である。
【図14c】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力の大きさを表す図である。
【図15】従来の現像装置で発生する課題を説明するための図である。
【図16】従来の現像装置で発生する課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
A …画像形成装置
B …現像装置
1 …感光体ドラム
2 …一次帯電器
3 …レーザー発光素子
4 …転写帯電器
5 …搬送ベルト
6 …シート
7 …定着器
8 …クリーニング装置
11 …現像剤容器
12,13 …スクリュー
14 …現像剤
15 …現像剤担持体
16 …磁石ローラ
17 …現像スリーブ
18 …軸受
19 …磁気シール部材
20 …絶縁テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式により形成された静電像を現像するための現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置において、従来これら画像形成装置に適用される現像装置としてはパウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等によるものが知られている。このうち、二成分現像方式の磁気ブラシ法の場合は、磁性キャリア、トナー等を混合して含んでいる二成分現像剤を磁界発生手段に吸着し、磁極部分において現像剤をブラシ状に穂立ちさせ、感光体ドラム上の静電像を摺擦することにより現像するものである。このとき、現像剤中の磁性キャリア自体はやわらかい現像電極として働くため、トナーを静電像の電荷密度に比例して付着させることが可能、即ち、階調画像の再生に適しているものである。また、現像装置自体としても小型に構成できるという特徴を有している。
【0003】
この二成分現像方式の磁気ブラシ現像装置としては、現像剤担持体である現像スリーブを用いた磁気ブラシ現像方法が一般化されている。これは、感光体ドラム上の静電像を効率よく現像する目的を達成するために、磁性体の粉末、例えばフェライト等である磁性キャリアと、樹脂中に顔料を分散させたトナーと、を含む二成分現像剤を攪拌混合する。そして、これらの互いの摩擦による摩擦帯電によってトナーに電荷を保有させる一方、この現像剤をその内部に磁極を有する非磁性体で作られた中空の円筒状の現像剤担持体である現像スリーブに保持させる。そして、現像スリーブによって、現像剤容器から感光体ドラムに対向する現像領域まで現像剤を搬送させ、この現像領域で上記磁界の作用により現像剤を穂立ちさせて感光体ドラム表面を摺擦させることにより、感光体ドラム上に形成された静電像を現像させる。
【0004】
上記現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方法は、白黒デジタル複写機や高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの製品で用いられている。
【0005】
上記現像装置にあっては、現像剤容器内の現像剤は、現像剤容器内での循環移動によって、図12に示す現像スリーブ50の表面に沿って、該現像スリーブ50の軸受51の部分へ移送される。このため、現像剤が軸受51の部分に侵入して現像スリーブ50の円滑な回転を阻害したり、現像剤が軸受51の部分を通過して現像容器外に漏れたりするおそれがある。
【0006】
そのため、従来からこのような現像スリーブの端部からの現像剤漏れに関しては、現像スリーブの両端部に弾性シール部材を取り付け、このシール部材端部からトナーが漏れないようにシールする方法が提案されている。しかし、前記シール構成では弾性シール部材を現像スリーブ外周面に圧設しているため、現像スリーブへの負荷が大きく、また弾性シール部材の劣化によりシール性が低下してしまうという問題もある。
【0007】
そこで、磁気吸着するトナーないしキャリアを使用する現像装置にあっては磁力発生手段によって磁気シールすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。これは、図12に示すように、現像スリーブ50の表面と所定間隔を維持して対向する対向面に着磁した磁気シール部材52を設け、現像剤を磁気吸着して保持する構成である。
【0008】
前記磁気シール構成は現像スリーブ50と磁気シール部材52とが非接触であるために、現像スリーブ50の回転負荷を小さくし、また摩耗等による劣化を生じないために長寿命となる利点がある。
【0009】
現像スリーブ50を非接触に包囲するように板状の磁石を磁気シール部材52として貼ると、現像スリーブ50内の磁石ローラ53と磁石との間に現像剤による磁気穂が形成されて漏れを防止できる。このとき、磁石として1面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いた場合は、現像スリーブ内部の磁石ローラ53の反撥磁界を形成する極(例えばSとS)と異なる極の面を現像スリーブ側の面としなければトナー漏れが生じやすなる。
【0010】
なぜなら、磁石ローラ53の磁極と磁気シール部材52が同極で対向した場合、磁石ローラ53と磁気シール部材52間にも反撥磁界が形成されてしまう。このため、図13aに示すように、磁気シール部材52の磁力線は現像スリーブ50の長手方向外側に向かって曲がって伸びてしまう。このとき、現像剤は図13bに示すように、磁力線に沿って配列されるため、現像剤が現像スリーブの端部方向に向かって伸び、端部方向に現像剤が抜け易くなっている。
【0011】
さらに、図13cには、磁気シール部材52と現像スリーブ50に囲まれた領域で、磁性キャリアにかかる力を模式的に示した。矢印はその位置における力の方向、また矢印の長さは力の大きさを表している。同極で磁石が対向している場合、磁石と磁石の間には磁性キャリアに働く磁気力のほとんどない領域(磁石に働く力の方向が反転する領域)が磁石間に連続して存在することとなる。図13cに磁性キャリアに働く磁気力が小さくほとんどない領域を○印で示している。この図のように、磁性キャリアに働く力のほとんどない領域が、磁気シール部材と現像スリーブ間に連続して存在する。その場合、磁性キャリアが、磁気シール部材や磁石ローラに引かれることなく、図13cに示した点線矢印のような流れに従って漏れ出すおそれが生ずる。その結果、現像剤領域の外側に現像剤が流出し易くなり、良好なシール性が発揮できなくなる。
【0012】
そこで、反撥磁界と磁気シール部材を異極で対向させる構成が提案されている。異極で対向させると、図14aに示すように、磁気シール部材52の磁力線は現像スリーブ50の方向に伸びるので、長手方向外側に向かって伸び難くなる。このため、現像剤は現像スリーブ端部方向に抜け難くなる。このとき、現像剤は、図14bに示すように、現像剤が現像スリーブ50の方向に伸び、現像スリーブ50と磁気シール部材52の間に現像剤による磁気穂が形成される。この磁気穂が端部方向へ抜けようとする現像剤をシールする役目を果たし、さらに漏れ出し難くなる。
【0013】
図14cには、磁気シール部材52と現像スリーブ50に囲まれた領域で、磁性キャリアにかかる力を図13cと同様に模式的に示した。異極で磁石が対向している場合、磁石と磁石の間には磁性キャリアに働く磁気力のほとんどない領域(○印で示す)は存在するが磁石間に連続して存在することはない。そのため、磁気シール部材と現像スリーブに囲まれた領域の磁性キャリアは、現像スリーブ端部方向に移動する過程で、必ず磁気シール部材52や磁石ローラ53に引かれ、その結果、現像領域の外側に現像剤が流出し難くなり、良好なシール性が発揮できる。
【0014】
また、磁気シール部材としてその内周面にNS極が多磁極に着磁された磁石を用いる構成も提案されている。このような構成では、磁気シール部材の多磁極間で磁力線が伸びるため、磁力線が現像スリーブの長手方向外側に伸び難くなり、良好なシール性が発揮できる。
【0015】
【特許文献1】特開平11−133750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、最近の高速複写機では、感光体ドラムの回転速度の高速化が進み、高速回転する感光体ドラムに対して、十分な現像効率を得るために現像スリーブの周回転速度が高くなってきており、トナーの飛散が起こり易くなっている。
【0017】
ここで、現像スリーブ50は画像形成領域周面にブラスト処理が施されている。一方、図15に示すように、磁気シール52が設けられている長手方向両端部にはブラスト処理が施されていない非ブラスト領域54がある。
【0018】
上記非ブラスト領域54は、現像バイアスVdcの電圧がかかっており、非ブラスト領域54に対向する像担持体55の端部はVdに帯電している。このため、飛散トナーには図15中の矢印cの方向に力がかかる。従って、高速回転する現像スリーブ50において、非ブラスト領域54が飛散トナーで汚れ易くなっている。
【0019】
一方で、高速回転する現像スリーブにおいては、図16に示すように、磁気シール部材52から現像スリーブ50に向かって延びる現像剤の磁気穂と、高速回転する現像スリーブ50の摺擦が大きくなる。このため、非ブラスト領域に付着したトナーが摺擦によって特に図中の領域56で遊離し、画像形成装置本体を汚染する可能性がある。
【0020】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像剤担持体の長手方向端部の現像剤による汚れを防止し、装置内のトナー汚染を防ぐ現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、回転する現像剤担持体に磁性現像剤を担持して像担持体に形成された静電像を現像する現像装置において、前記現像剤担持体の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために前記現像剤担持体と非接触に対向して配置された磁性部材と、前記現像剤と同極性に帯電する絶縁部材であって、前記現像剤担持体の長手方向端部であって前記磁性部材と対向している周方向全体に設けられた絶縁部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記構成にあっては、絶縁部材が現像剤との摺擦により現像剤と同極性に帯電するため、該絶縁部材の部分に現像剤が付着し難くなる。このため、磁性部材により磁気シールされた現像剤担持体長手方向端部の現像剤汚れを防止し、装置内の汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の一実施形態に係る現像装置について、これを備えた画像形成装置とともに図面を参照して説明する。
【0024】
[画像形成装置及び現像装置の全体構成]
図1は本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の模式説明図である。画像形成装置及び現像装置の全体構成について、画像形成動作とともに説明する。
【0025】
本実施形態の画像形成装置Aは、図1に示すように、像担持体である感光体ドラム1を回転自在に設け、この感光体ドラム1を一次帯電器2で一様に帯電し、レーザー発光素子3によって画信号を露光して静電像を形成する。この静電像を現像装置Bによって現像して可視像化する。
【0026】
次に前記可視像化された現像剤像を転写帯電器4により搬送ベルト5で搬送されるシート6に転写し、更に定着器7にて定着した後、装置外へ排出する。また、感光体ドラム1上の転写残現像剤はクリーニング装置8により除去する。
【0027】
本実施形態の現像装置Bはトナーとキャリアを有する2成分現像剤であって、磁性を帯びた磁性現像剤を用いて現像するものである。現像装置Bは、図2に示すように、現像剤容器11を備え、該現像剤容器11内にはスクリュー12,13が配置されている。前記スクリュー12,13により現像剤14は現像剤容器11内で往復循環される。
【0028】
また、現像装置Bは、図2の矢印a方向に回転する感光体ドラム1上に形成された静電像を現像するために、現像剤容器11内の現像剤14を感光体ドラム1へと搬送するために現像剤担持体15を有する。本実施形態の現像剤担持体15は、図2に示すように、磁化された固定の磁石ローラ16と、該磁石ローラ16の周囲に図2の矢印b方向に回転自在に取り付けられ、現像剤14を感光体ドラム1へと搬送する円筒状の現像スリーブ17とから構成される。
【0029】
画像形成に際しては、磁石ローラ16の磁力によって回転する現像スリーブ17の周面に沿って現像剤が送られ、この現像剤が現像スリーブ17への現像バイアス印加により感光体ドラム1に形成された静電像に応じて付着することで現像が行われる。
【0030】
なお、現像に際し、所定濃度に対応して形成されたパッチ静電像は現像装置Bによりトナーで現像され、転写されずに濃度検知センサでパッチ画像の濃度が検知される。この検知濃度に基づき現像装置内へ適量のトナーが補給されることでトナーとキャリアの比が一定に保たれる。
【0031】
[現像スリーブの端部シール構成]
次に本実施形態の現像装置における、現像スリーブ17の端部シール構成について説明する。図3は現像スリーブの端部シール構成の模式説明図である。なお、図3は現像スリーブの長手方向一方端のみを示しているが、他方端側も同様である。
【0032】
現像スリーブ17は長手方向両端部が軸受18によって回転可能に支持されている。この現像スリーブ17を回転させて現像する場合、前述したように現像剤容器11内での現像剤の循環移動によって、現像スリーブ17の表面に沿って、現像剤が現像スリーブ17の軸受18の部分へ移送される。このとき、現像スリーブ17の長手方向端部からの現像剤漏れや、現像剤の軸受18内への侵入による現像スリーブ17の回転不良を防ぐ必要がある。そのため、本実施形態では現像スリーブ17の表面と所定間隔を維持して(非接触)対向する対向面に着磁した磁性部材である磁気シール部材19が設けられている。
【0033】
上記磁気シール部材19の磁極は、図4に示すように、対向する磁石ローラ16の反撥磁界S2及びS3と異極となるN極が対向するように構成されている。このように、反撥磁界と異極で対向させることで、前述したように磁気シール部材19の磁力線は現像スリーブ17の方向に伸びて、磁力線に沿って現像剤の磁気穂ができ、現像剤の端部からの漏れが防止される。
【0034】
また、本実施形態の現像スリーブ17の周面は長手方向においてブラスト処理されたブラスト領域と、その両端にブラスト処理されない非ブラスト領域とが形成されている。すなわち、現像スリーブ17の現像剤担持領域はブラスト処理が施されており、磁気シール部材19が配置されている長手方向両端部はブラスト処理が施されていない。
【0035】
[絶縁部材]
上記のように磁気シール部材の磁極を対向する磁石ローラ16の磁極と異極にすることで磁気シール性を高めている。しかし、前述したように現像スリーブ17の周回転速度が速くなると、現像剤の飛散が多くなり、飛散した現像剤で汚れ易い非ブラスト領域と、磁気シール部材19の作る磁気穂との摺擦で、現像剤が遊離して画像形成装置内を汚染する可能性がある。
【0036】
そこで、図3に示すように、現像剤と同極性に帯電する絶縁部材20を、前記現像スリーブ17の長手方向端部であって磁気シール部材19と対向している周方向全体に設けている。
【0037】
本実施形態では、前記絶縁部材として、絶縁性を有するテープを用い、この絶縁テープ20を非ブラスト領域に貼り付けている。具体的には、現像剤の極性と同じくマイナスに帯電する幅13mmの絶縁テープ20を、図5に示すように、磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19よりも現像スリーブ17の長手方向内側2mmのところから貼り付けた。
【0038】
このとき、図5に示すように、絶縁テープ20を貼り付けた領域は−600Vに帯電している。これは絶縁テープ20が磁気穂との摺擦でマイナスに摩擦帯電する性質を持つために、現像バイアス−400Vに対して、さらに−200V帯電したからである。
【0039】
したがって、絶縁テープ20を貼り付けた領域は、感光体ドラム1に対して同電位になっている。このために飛散現像剤を引き付けることが無く、かつ、ブラスト領域に比べて低い電位のためにマイナスに帯電した現像剤はブラスト領域に引き付けられことになる。これにより、絶縁テープ20を貼り付けた非ブラスト領域は現像剤で汚れることが無くなり、磁気穂との摺擦でも現像剤の遊離が起こらない。
【0040】
[実験結果]
ここで、本実施形態の現像装置において、絶縁テープ20の貼り位置と、現像スリーブ17の非ブラスト領域の汚れ方の関係について調べた結果を示す。
【0041】
磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19は端部が、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界から外側に2mmの位置を基準に設けてあるとき、図6に示すように、幅13mmの絶縁テープ20を、以下のように貼り付けた。
【0042】
(1)磁気シール部材よりも2mm内側の位置を基準に貼り付ける。
【0043】
(2)磁気シール部材の内側の端部を基準に貼り付ける。
【0044】
(3)磁気シール部材の外側の端部を基準に貼り付ける。
【0045】
上記のように3種類の位置に絶縁テープ20を貼り付けて、現像スリーブ17の端部の汚れ方を調べた。
【0046】
その結果、(1)の位置に絶縁テープを貼り付けた場合は非ブラスト領域の現像剤汚れは発生しなかった。
【0047】
一方、(2)の位置に絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅2mm)で現像剤汚れが発生し、さらに、絶縁テープ20と非ブラスト領域の境界では遊離した現像剤が確認できた(図7参照)。これは、磁気シール部材19から伸びた磁気穂と非ブラスト領域の摺擦が、磁気シール部材19に近い程強いためである。
【0048】
さらに、(3)の位置に絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅7mm)で現像剤汚れが発生し、剥き出しの非ブラスト領域の全域で磁気穂との摺擦による現像剤の遊離が起こった(図8参照)。
【0049】
従って、本実施形態では、絶縁テープ20の貼り付け位置は、磁気シール部材19の内側端部より内側を基準に貼り付けるのが好ましいことがわかる。このため、絶縁テープ20は、現像スリーブ17の長手方向において磁気シール部材19と対向した領域よりも広い領域に設けることが望ましく、より好ましくは非ブラスト領域全体を覆うように設けることが望ましい。
【0050】
次に、絶縁テープ20の長さを変えて、現像スリーブ17の非ブラスト領域の汚れ方を調べた。
【0051】
磁力500ガウスで幅5mmの磁気シール部材19が、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界から外側に2mmの位置を基準に設けてあるとき、図9に示すように、ブラスト領域と非ブラスト領域の境界を基準として、以下の絶縁テープを貼り付けた。
【0052】
(4)幅5mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0053】
(5)幅7mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0054】
(6)幅13mmの絶縁テープを貼り付ける。
【0055】
上記のように3種類の幅の絶縁テープ20を貼り付けて、現像スリーブ17の端部の汚れを調べた。
【0056】
その結果、(4)の幅5mmの絶縁テープ20を貼り付けた場合は、絶縁テープ20の貼られていない非ブラスト領域(幅8mm)で現像剤汚れが発生した。さらに、磁気シール部材19から伸びた磁気穂と剥き出しの非ブラスト領域の摺擦が強い領域で、現像剤の遊離が発生した(図10参照)。
【0057】
一方、(5)の幅7mmの絶縁テープを貼り付けた場合は、絶縁テープの貼られていない非ブラスト領域(幅6mm)で現像剤汚れが発生し、さらに、絶縁テープと非ブラスト領域の境界では遊離した現像剤が確認できた(図11参照)。
【0058】
さらに、(6)の幅13mmの絶縁テープを貼り付けた場合は、上記検討(1)の結果と同じく非ブラスト領域の現像剤汚れは発生せず。強い摺擦による現像剤の遊離も起きなかった。
【0059】
従って、本実施形態では、絶縁テープの幅は、磁気シール部材と現像スリーブの対向している幅よりも長いほうが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態を適用できる画像形成装置の模式説明図である。
【図2】磁気ブラシ現像方式の現像装置の例を示す図である。
【図3】本実施形態の現像スリーブ端部の構成の説明図である。
【図4】本実施形態の磁気シール部材近傍の様子を示す図である。
【図5】本実施形態における現像スリーブ端部の電位を説明する図である。
【図6】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図7】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図8】本実施形態における最適な絶縁テープ位置を調べる説明図である。
【図9】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図10】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図11】本実施形態における最適な絶縁テープ幅を調べる説明図である。
【図12】従来の現像装置の現像スリーブ端部の構成を表す図である。
【図13a】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力線の向きを表す図である。
【図13b】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁気穂の様子を表す図である。
【図13c】反撥極と同極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力の大きさを表す図である。
【図14a】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力線の向きを表す図である。
【図14b】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁気穂の様子を表す図である。
【図14c】反撥極と異極の端部磁気シール部材を用いたときの磁力の大きさを表す図である。
【図15】従来の現像装置で発生する課題を説明するための図である。
【図16】従来の現像装置で発生する課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
A …画像形成装置
B …現像装置
1 …感光体ドラム
2 …一次帯電器
3 …レーザー発光素子
4 …転写帯電器
5 …搬送ベルト
6 …シート
7 …定着器
8 …クリーニング装置
11 …現像剤容器
12,13 …スクリュー
14 …現像剤
15 …現像剤担持体
16 …磁石ローラ
17 …現像スリーブ
18 …軸受
19 …磁気シール部材
20 …絶縁テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する現像剤担持体に磁性現像剤を担持して像担持体に形成された静電像を現像する現像装置において、
前記現像剤担持体の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために前記現像剤担持体と非接触に対向して配置された磁性部材と、
前記現像剤と同極性に帯電する絶縁部材であって、前記現像剤担持体の長手方向端部であって前記磁性部材と対向している周方向全体に設けられた絶縁部材と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記現像剤担持体の長手方向において前記磁性部材と対向した領域よりも広い領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体は、長手方向においてブラスト処理されたブラスト領域と、その両端にブラスト処理されない非ブラスト領域とを有し、
前記絶縁部材は、前記非ブラスト領域を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
像担持体に画信号に応じた露光をして静電像を形成し、前記静電像を現像装置によって現像して画像を形成する画像形成装置において、
前記現像装置として請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
回転する現像剤担持体に磁性現像剤を担持して像担持体に形成された静電像を現像する現像装置において、
前記現像剤担持体の長手方向の端部に、現像剤漏れを防ぐために前記現像剤担持体と非接触に対向して配置された磁性部材と、
前記現像剤と同極性に帯電する絶縁部材であって、前記現像剤担持体の長手方向端部であって前記磁性部材と対向している周方向全体に設けられた絶縁部材と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記現像剤担持体の長手方向において前記磁性部材と対向した領域よりも広い領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体は、長手方向においてブラスト処理されたブラスト領域と、その両端にブラスト処理されない非ブラスト領域とを有し、
前記絶縁部材は、前記非ブラスト領域を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
像担持体に画信号に応じた露光をして静電像を形成し、前記静電像を現像装置によって現像して画像を形成する画像形成装置において、
前記現像装置として請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−185663(P2008−185663A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17420(P2007−17420)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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