説明

現像装置

【課題】接着部の剥がれを低減できるシール部材を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置28は、現像ローラ31の軸方向に沿って延びるようにフレーム50に設けられ、フレーム50と現像ローラ31の外周面との間をシールするシール部材60を備える。フレーム50は、シール部材60を片持ち式に支持するシール支持面52を有する。シール部材60は、現像ローラ31の軸に交差する方向における一端部72がシール支持面52に固定され、他端部74が現像ローラの外周面に当接するロアフィルム70と、ロアフィルム70の一端部72をシール支持面52に固定する、弾性を有する弾性接着部材80とを含む。弾性接着部材80は、ロアフィルム70に接着される第一の面82と、シール支持面52に接着される第二の面84とを含み、スリット90が、現像ローラ31の軸方向に沿って、第二の面84から第一の面82に向かって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給口の周囲をシールした現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像カートリッジは、トナーを収容するとともに、トナー収容部内のトナーを供給するための長尺なトナー供給口を有するフレームと、トナー収容部内でフレームに回転自在に支持され、トナー供給口に沿って延びる供給ローラと、トナー供給口に沿ってトナー収容部の外側でフレームに回転自在に支持され、供給ローラからトナーが供給される現像ローラとを含む。
【0003】
現像カートリッジからのトナー漏れを防止するため、一般にトナー供給口の周囲では、フレームと現像ローラの外周面との間にシート状のシール部材を渡すことで、フレームと現像ローラの間がシールされている。このシール部材は、その一辺に沿って両面接着テープによりフレームに貼り付けられている。すなわち、この接着された一辺を基端として、片持ち状にフレームに支持されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2005−234144号公報(段落0068〜0069、図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現像ローラは常にシール部材と圧接しており、この圧接力に起因してシール部材に生じる撓みは、両面接着テープを剥がすように作用する。そして、シール部材が部分的に剥がれると、トナー漏れが生じる虞がある。
【0006】
この問題に対して、両面接着テープの面積を増加させることで両面接着テープの剥がれを防ぐことも考えられるが、現像カートリッジの小型化の要請により、現像ローラの周囲のフレーム部分に広い接着面を形成することは困難となっている。
【0007】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、シール部材とフレームとの接着部の面積を増加させることなく、接着部の剥がれを低減できるシール部材を備えた現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明の現像装置は、現像ローラと、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部と連通するとともに、前記現像ローラの軸方向に沿って延びる現像剤供給口と、を有するフレームと、前記現像ローラの軸方向に沿って延びるように前記フレームに設けられ、前記フレームと前記現像ローラの外周面との間をシールするシール部材とを備え、前記フレームは、前記現像ローラの軸方向に沿って延び、前記シール部材が前記現像ローラに当接するように、前記シール部材を片持ち式に支持するシール支持面を有し、前記シール部材は、前記現像ローラの軸に交差する方向における一端部が前記シール支持面に固定され、他端部が前記現像ローラの外周面に当接するシート部材と、前記シート部材の前記一端部を前記シール支持面に固定する、弾性を有する弾性接着部材とを含み、前記弾性接着部材は、前記シート部材に接着される第一の面と、前記シール支持面に接着される第二の面とを含むとともに、少なくとも一つのスリットが、前記現像ローラの軸方向に沿って、前記第二の面から前記第一の面に向かって形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような現像装置によると、少なくとも一つのスリットが、現像ローラの軸方向に沿って、弾性接着部材の第二の面から第一の面に向かって形成されているので、片持ち式に支持されたシート部材の自由端部に現像ローラが圧接することで、フレームのシール支持面に固定されたシート部材の一端部に引張力が加わる場合でも、弾性接着部材が剥がれることを抑制し、フレームと現像ローラの外周面との間を確実にシールすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シール部材とフレームとの接着部の面積を増加させることなく、接着部の剥がれを低減できるシール部材を備えた現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像カートリッジを備えたレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】現像カートリッジを示す側断面図である。
【図3】現像カートリッジからサイドカバーや現像ローラを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】現像剤カートリッジ左側のシール部材周辺を示す断面図である。
【図5】(a)はシール部材の平面図を示し、(b)は(a)のI−I線に沿った拡大断面図である。
【図6】弾性接着部材の構成を示す断面図であり、(a)は不織布に接着剤を含浸させた構成を示し、(b)は基材の両面に接着剤を塗布した構成を示す。
【図7】シール部材とフレームとの接着面に加わる力によって、弾性接着部材が変形し、剥がれる過程を示す比較例に係る説明図である。
【図8】シール部材とフレームとの接着面に加わる力によって、スリットを設けた本発明によるシール部材が変形する過程を示す説明図である。
【図9】(a)および(b)は、独立して構成された複数の接着部材から形成される弾性接着部材を示す断面図である。
【図10】(a)から(d)は、シール部材を裏側から見た底面図であり、それぞれ長手方向に沿って形成された複数のスリットの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、本発明の現像装置が装着されて用いられるレーザプリンタ1(画像形成装置)の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することにする。
【0013】
また、以下の説明においては、レーザプリンタ1の使用時におけるユーザを基準にした方向で説明することにする。すなわち、図1においては、右側を「手前側」とし、左側を「奥側」とし、紙面垂直方向のうち奥側を「右側」とし、紙面垂直方向のうち手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
<レーザプリンタの全体構成>
レーザプリンタ1は、図1に示すように、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するための給紙部4や、用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0015】
給紙部4は、本体ケーシング2内の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、用紙3の搬送などを行う各種ローラ11とを備えている。給紙トレイ6内に収容された用紙3は、用紙押圧板7によって上方に寄せられ、各種ローラ11によって画像形成部5に搬送される。
【0016】
画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスカートリッジ17、定着部18などを備えている。
【0017】
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、画像データに基づくレーザ光が、ポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを通って(2点鎖線参照)、感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0018】
プロセスカートリッジ17は、本体ケーシング2の手前側に設けられたフロントカバー2Aを開くことで、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17は、現像装置の一例としての現像カートリッジ28と、ドラムユニット39とで主に構成されている。
【0019】
現像カートリッジ28は、ドラムユニット39に装着された状態で、本体ケーシング2に対して着脱自在となっている。なお、現像カートリッジ28は、本体ケーシング2に固定されたドラムユニット39に対して着脱自在に構成されていてもよい。
【0020】
現像カートリッジ28は、図2に示すように、フレーム50、現像ローラ31(現像剤担持体)、層厚規制ブレード32および供給ローラ33を備えている。フレーム50は、トナー収容室34(現像剤収容室)と、トナー収容室34に隣接する現像室35を形成している。
【0021】
この現像カートリッジ28では、トナー収容室34内のトナー(現像剤)が、アジテータ34Aで撹拌された後、現像室35内で供給ローラ33により現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定の厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
現像ローラ31には、下方からシール部材60が当接しており、層厚規制ブレード32とともに、現像室35内のトナーが現像ローラ31の上下から外に漏れることを防止している。
【0022】
ドラムユニット39は、感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30を主に備えている。そして、このドラムユニット39内において、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザ光の高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0023】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31の表面に担持されている正帯電されたトナーが、感光ドラム27の表面上に形成された静電潜像に供給されて、感光ドラム27の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム27と転写ローラ30の間で用紙3が搬送されることで、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0024】
図1に示すように、定着部18は、加熱ローラ41と、加熱ローラ41を加圧する加圧ローラ42とを備えている。そして、定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させている。なお、定着部18で熱定着された用紙3は、定着部18の下流側に配設される排紙ローラ45に搬送され、この排紙ローラ45から排紙トレイ46上に送り出される。
【0025】
<現像カートリッジの詳細構造>
次に、現像カートリッジ28の構造の詳細について説明する。
図3に示すように、フレーム50は、内部にトナーを収容するとともに、後側(図3における手前側)の側壁に長尺なトナー供給口51(現像剤供給口)が形成されている。
フレーム50には、トナー供給口51に沿って延びる供給ローラ33が現像室35内で回転自在に支持されるとともに、現像室35の外側で、トナー供給口51を塞ぐように現像ローラ31が回転自在に支持される。
【0026】
トナー供給口51の上縁には、層厚規制ブレード32が左右に延びるように設けられ、トナー供給口51の左右両側の縁には、サイドシール36が設けられている。図4に示すように、サイドシール36は2層構造で形成されており、例えば、弾性を有するウレタンゴム36aと、その表面に接着される、摺動性を有するテフロン(登録商標)フェルト36bとからなる。層厚規制ブレード32には、層厚規制ブレード32とフレーム50との間からのトナー漏れを防止するため、ウレタンスポンジからなるブレード裏シール37が設けられている。
さらに、トナー供給口51の下縁には、シール部材60が設けられている。そして、図3に示すように、サイドシール36の内側には、サイドシール36に隣接してロアサイドシール38が設けられている。ロアサイドシール38は、シール部材60の長手方向の両端部が上から重なるように配置されることで、サイドシール36とシール部材60との間からのトナー漏れを防止している。
このようにトナー供給口51の周囲をシールすることで、現像室35からのトナー漏れが防止される。
【0027】
シール部材60は、現像ローラ31の軸方向に沿って延びる長尺な部材であり、図4に示すように、短手方向の一端部がフレーム50のシール支持面52に固定され、他端部が現像ローラ31の外周面に当接することで、フレーム50に片持ち式に支持された状態で、フレーム50と現像ローラ31の外周面との間をシールしている。
なお、フレーム50に片持ち式に支持された状態とは、シール部材60の短手方向の一端部のみがフレーム50に固定され、他端部が自由端部となっている状態をいう。
【0028】
図5(a)に示すように、シール部材60は、フレーム50のシール支持面52に固定される一端部72と、現像ローラ31の外周面に当接する反対側の他端部74とを有する、長尺なシート部材としてのロアフィルム70と、ロアフィルム70の一端部72をフレーム50に固定する、弾性を有する弾性接着部材80とを含む。
【0029】
ロアフィルム70は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成された透明なシート状の部材である。
【0030】
図5(b)に示すように、弾性接着部材80は、ロアフィルム70の一端部72に接着される第一の面82と、フレーム50のシール支持面52に接着される第二の面84とを含み、スリット90が第二の面84から第一の面82に向かって形成されている。スリット90は、弾性接着部材80を第一の面82まで貫通することなく延びており、スリット90の両側には、2つの隣接する接着部材80a,80bが形成される。図5(a)に示すように、スリット90は、弾性接着部材80の一端から他端まで長手方向に連続して延びている。
【0031】
弾性接着部材80は、シール部材60をフレーム50のシール支持面52に接着する際、シール支持面52の表面に存在する微細な凹凸を吸収して、シール支持面52と弾性接着部材80との接着面からトナーが漏れることを防止するのに十分な厚さと弾性を有する。なお、弾性接着部材80が弾性を有することにより、シール部材60とシール支持面52との接着面全体に荷重がかかり易く(弾性により荷重が分散し易く)なり、荷重不足による接着不良を防ぐことができる。
【0032】
図6(a)に示すように、弾性接着部材80は、基材の一例としての不織布86に接着剤88を含浸させることで構成される。弾性接着部材80の厚さは、0.2mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。
この弾性接着部材80としては、例えば、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の「UT1140」を用いることができる。
【0033】
弾性接着部材80の変形例として、図6(b)に示すように、基材87の上下両面に接着剤88からなる接着剤層89を形成してもよい。基材87は、ゴムやスポンジ等の弾性材料から構成され、弾性接着部材80の弾性を発揮する。このような基材87を用いることで、使用する接着剤の量を少なくすることが可能となり、結果として接着剤のはみ出しを防止することができる。
なお、スポンジの空隙同士が互いに連通する構成を有する場合には、図6(a)の構成に代えて、スポンジからなる基材に接着剤88を含浸させてもよい。
弾性接着部材80は、基材87のみが弾性を有する構成に限らず、弾性接着剤を用いることで、接着剤層89が弾性を有する構成とすることもできる。つまり、弾性接着部材80全体として弾性を有していればよく、基材87と接着剤層89のいずれか一方、または両方が弾性を有する構成が可能である。
【0034】
シール部材60を現像カートリッジ28に貼り付ける際には、まず弾性接着部材80の第二の面84を覆う剥離シート(図示せず)を剥がす。そして、図3に示すように、現像ローラ31を組み付ける前の状態で、トナー供給口51の下縁に沿って、シール部材60をフレーム50のシール支持面52に貼り付ける。その後、ロアフィルム70の上から加圧を行うことで、弾性接着部材80の第二の面84をシール支持面52の表面の凹凸に追従させ、弾性接着部材80をシール支持面52に密着させる。
その際、弾性接着部材80が弾性を有するので、圧着作業を円滑に行うことができる。
【0035】
さらに、シール部材60は、ロアフィルム70が透明であり、不織布86および接着剤88も透明であるため、その不織布86に接着剤88を含浸させた弾性接着部材80も透明となり、弾性接着部材80をシール支持面52に接着する際に、ロアフィルム70の上から接着状態を目視することができる。
そのため、接着状態を確認しながらシール部材60の浮きを加圧することで、弾性接着部材80のシール支持面52に対する接着強度不足が生じることを防ぐことができるので、圧着作業の作業性を向上させることができる。
また、不織布86に接着剤88を含浸させた弾性接着部材80を用いた場合、単に接着剤88のみを用いる場合に比べて、接着剤88に厚みを持たせることができ、弾性を効率的に生じさせることができる。
【0036】
次に、図7および図8を参照して、フレーム50のシール支持面52に接着したシール部材に現像ローラからの押圧力が作用する際、シール部材がどのように変形するかを説明する。
【0037】
初めに、図7の比較例について説明する。図7(a)に示すように、現像ローラからの押圧力が作用しない状態(例えば、現像ローラが非装着でシール部材を貼り付けた直後の状態)では、シール支持面52とシール部材との接着部分においては、弾性接着部材80の両端部とフレーム50とのなす角は略90°である。
しかしながら、図7(b)に示すように、現像ローラ31をフレーム50に装着すると、シール支持面52に固定されたシール部材の一端部では、現像ローラ31の外周面が他端部に当接して作用する押圧力によってモーメントが発生する。その結果、図7(b)に模式的に示すように、ロアフィルム70とシール支持面52が相互に離間するような方向に力が加わることになり、弾性接着部材80は上方に伸びるような変形をする。このとき、現像ローラ31から離れた側の端部では、弾性接着部材80に、内側に引張られる方向に力が加わるので、シール支持面52とシール部材との接着部分においては、弾性接着部材80の端部を剥がそうとする力が大きくなる(端部の角度θが小さくなる)。
弾性接着部材80の変形がさらに進行すると、図7(c)に示すように、弾性接着部材80は、現像ローラ31から離れた側の端部において、シール支持面52から剥離し始める。さらに剥離が広がると、フレーム50と現像ローラ31の外周面との間を十分にシールすることができなくなり、現像ローラ31とロアフィルム70との間からトナーが漏れたり、弾性接着部材80とシール支持面52との接着面を通してトナーが漏れたりする。
【0038】
次に、図8を参照して、弾性接着部材80にスリット90を設けた本実施形態のシール部材60について説明する。図8(a)に示すように、現像ローラからの押圧力が作用しない状態では、フレーム50のシール支持面52とシール部材60との接着部分においては、弾性接着部材80の両端部とフレーム50とのなす角は略90°である。
シール支持面52に固定されたシール部材60の一端部でモーメントが発生すると、図8(b)に模式的に示すように、ロアフィルム70とシール支持面52が相互に離間するような方向に力が加わることになり、弾性接着部材80は上方に伸びるような変形をする。これに伴い、現像ローラ31から離れた側の端部では、内側に引張られる方向に力が加わる。しかしながら、弾性接着部材80にスリット90を設けたことにより、スリット90に面する側面においても変形が可能になるので、内側方向に引張られる分の変形量が分散され、弾性接着部材80の変形時に端部に加わる力が大きくならずに済む(角度θが、図7の比較例ほどには小さくならない)。従って、弾性接着部材80のシール支持面52からの剥離が起こり難く、十分なシール性を維持したままで、現像カートリッジからのトナー漏れを防止することができる。
【0039】
本実施形態の現像カートリッジ28によれば、以下のような効果を奏する。
スリット90が、現像ローラ31の軸方向に沿って、弾性接着部材80の第二の面84から第一の面82に向かって形成されているので、片持ち式に支持されたロアフィルム70の自由端部(他端部74)に現像ローラ31が圧接することで、フレーム50のシール支持面52に固定されたロアフィルム70の一端部72に引張力が加わる場合でも、弾性接着部材80の変形を抑制して、フレーム50と現像ローラ31の外周面との間を確実にシールすることができる。
【0040】
図6(a)に示す弾性接着部材80は不織布86に接着剤88を含浸させて構成され、ロアフィルム70は透明な部材であるので、弾性接着部材80をフレーム50に接着する際に、ロアフィルム70の上から接着状態を目視することができる。そのため、浮きを確認しながら加圧することで、弾性接着部材80をシール支持面52に対して確実に密着させることができるので、圧着作業の作業性を向上させることができる。
【0041】
弾性接着部材80に設けたスリット90が、第一の面82まで貫通せずに、弾性接着部材80の途中まで延びる寸法を有するので、シール部材60の裏側(弾性接着部材80側)から切断刃を入れてスリット90を形成する際、ロアフィルム70を傷つけることなく容易に形成することができる。
【0042】
図6(b)に示す弾性接着部材80は、基材87と、この基材87の両側に位置し、第一の面82および第二の面84を形成する接着剤層89とを備える構成であるので、十分な厚さを有し、変形量の大きい弾性接着部材80を提供することができる。さらに、基材87を設けたことにより、弾性接着部材80にスリット90を形成しても、スリット90の両側に形成された2つの隣接する接着部材80a,80b同士が再接着し難くなるので、2つの接着部材80a,80b間の独立性を高めることができる。
【0043】
弾性接着部材80に設けたスリット90が、現像ローラ31の軸方向に沿って、弾性接着部材80の一端から他端まで連続して延びているので、弾性接着部材80は長手方向の全範囲に亘って剥がれを防止することができる。
【0044】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0045】
前記実施形態では、弾性接着部材80に設けたスリット90が、弾性接着部材80の一端から他端まで長手方向に連続して延びるとともに、弾性接着部材80の第一の面82まで貫通することなく延びているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9(a)に示すように、弾性接着部材100が、独立して構成された2つの接着部材102で形成され、相互に離間して配置された2つの接着部材102の隙間によりスリット95を形成してもよい。
この場合、2つの接着部材102は、例えば、図6(a)に示す弾性接着部材80と同様の構成とすることができる。もちろん、図6(b)に示す弾性接着部材80と同様の構成とすることもできる。
【0046】
また、図9(b)に示すように、弾性接着部材100が、独立して構成された3つの接着部材102,104で形成され、相互に離間して配置された3つの接着部材102,104の隙間によりスリット95を形成してもよい。
この場合、接着部材102を、例えば、図6(a)に示す弾性接着部材80と同様の構成として、接着部材104を、図6(b)に示す弾性接着部材80と同様の構成とすることができる。
【0047】
各接着部材102,104は、帯状の細片形状に構成され、ロアフィルム70の一端部72において、それぞれ平行に接着される。
なお、フレーム50に対する弾性接着部材100の接着面積を確保できる範囲内であれば、スリット95の本数を増加させるため、幅を狭くした多数の接着部材を用いることも可能である。
【0048】
このように、スリット95は、第二の面から第一の面まで弾性接着部材100を貫通して延びているので、スリット95の両側に形成された2つの隣接する接着部材同士が再接着し難くなり、2つの接着部材間の独立性を高めることができる。
【0049】
さらに、弾性接着部材100は、独立して構成された複数の接着部材で構成され、スリット95は、相互に離間して配置された複数の接着部材の隙間により形成されるので、隣接する接着部材同士がさらに再接着し難くなるので、2つの接着部材間の独立性をより高めることが可能となる。
【0050】
このような弾性接着部材100においては、複数の接着部材を同一材料から構成することで、製造コストを抑えることができる。
【0051】
図9(b)に示す構成では、複数列のスリット95が、弾性接着部材100の短手方向、すなわち現像ローラ31の軸に交差する方向に並んで形成されているので、現像ローラ31から最も離れた端部側に位置する接着部材104が仮にフレーム50のシール支持面52から剥がれた場合でも、残りの接着部材102,104によって、シール部材がシール支持面52から剥がれることを防止することができる。つまり、剥がれを防止するために、各スリット95の両側に形成された接着部材102,104のエッジの数を増加することができる。
【0052】
前記各実施形態では、スリット90,95は、弾性接着部材80を長手方向に貫通して延びているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10(a)から(d)に示すような様々なパターンのスリットを形成することができる。
図10(a)に示すスリットパターンS1は、複数のスリット90が弾性接着部材80の長手方向に一列に並んで配置されたものである。
図10(b)に示すスリットパターンS2は、弾性接着部材80を長手方向に貫通して延びる1つのスリット95と、弾性接着部材80の長手方向に一列に並んで配置された複数のスリット90を組み合わせたものである。
図10(c)に示すスリットパターンS3は、弾性接着部材80の長手方向に断続的に並んで配置された複数のスリット90を三列に配置したものであり、弾性接着部材80の短手方向断面によっては、スリットがない断面が存在することもある。
図10(d)に示すスリットパターンS4は、複数のスリット90をランダムに配置したものである。但し、弾性接着部材80を長手方向におけるどの断面位置で切断しても、スリット90が存在するように配置している。換言すると、複数列のスリット90が、弾性接着部材80の長手方向で全範囲に亘って配置されている
なお、上記したスリットパターンS1〜S4では、各スリットは、弾性接着部材を第二の面から第一の面まで貫通して形成されても、第一の面まで貫通することなく形成されてもよい。
【0053】
前記したスリットパターンS1〜S4を有するシール部材を貼り付けた現像カートリッジによっても、弾性接着部材がフレームのシール支持面から剥がれることを抑制して、フレームと現像ローラ31の外周面との間を確実にシールすることができる。
【0054】
特に、スリットパターンS2〜S4を有するシール部材を貼り付けた現像カートリッジでは、複数列のスリット90,95が、弾性接着部材80の短手方向、すなわち現像ローラ31の軸に交差する方向に並んで形成されているので、剥がれを防止するためのエッジの数を増加することが可能となる。
また、スリットパターンS2およびS4を有するシール部材を貼り付けた現像カートリッジでは、複数列のスリット90,95が、現像ローラ31の軸方向で、弾性接着部材80の全範囲に亘って配置されているので、弾性接着部材80は長手方向の全範囲に亘って剥がれを防止することができる。
【0055】
前記各実施形態では、シール部材を現像カートリッジ28のフレーム50に貼り付けた構成を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナーカートリッジによって、トナー収容室の部分のみを交換可能として、ドラムユニット39、現像ローラ31、現像室35等を画像形成装置の本体に固定する構成においても、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 レーザプリンタ
28 現像カートリッジ
31 現像ローラ
50 フレーム
51 トナー供給口
52 シール支持面
60 シール部材
70 ロアフィルム
80 弾性接着部材
80a,80b 接着部材
82 第一の面
84 第二の面
86 不織布
87 基材
88 接着剤
89 接着剤層
90 スリット
95 スリット
100 弾性接着部材
102,104 接着部材
S1〜S4 スリットパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ローラと、
現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部と連通するとともに、前記現像ローラの軸方向に沿って延びる現像剤供給口と、を有するフレームと、
前記現像ローラの軸方向に沿って延びるように前記フレームに設けられ、前記フレームと前記現像ローラの外周面との間をシールするシール部材とを備えた現像装置であって、
前記フレームは、前記現像ローラの軸方向に沿って延び、前記シール部材が前記現像ローラに当接するように、前記シール部材を片持ち式に支持するシール支持面を有し、
前記シール部材は、
前記現像ローラの軸に交差する方向における一端部が前記シール支持面に固定され、他端部が前記現像ローラの外周面に当接するシート部材と、
前記シート部材の前記一端部を前記シール支持面に固定する、弾性を有する弾性接着部材とを含み、
前記弾性接着部材は、
前記シート部材に接着される第一の面と、前記シール支持面に接着される第二の面とを含むとともに、
少なくとも一つのスリットが、前記現像ローラの軸方向に沿って、前記第二の面から前記第一の面に向かって形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記弾性接着部材は基材に接着剤を含浸させて構成され、前記基材は透明な部材であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記弾性接着部材を前記第一の面まで貫通することなく延びることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記弾性接着部材を前記第一の面まで貫通して延びることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記弾性接着部材は、独立して構成された複数の接着部材で形成され、
前記スリットは、相互に離間して配置された複数の接着部材の隙間により形成されることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記複数の接着部材は、同一材料から構成されることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記弾性接着部材は、
基材と、
この基材の両側に位置し、前記第一の面および前記第二の面を形成する接着剤層とを備えることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項8】
複数列のスリットが、前記現像ローラの軸に交差する方向に並んで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記スリットは、前記現像ローラの軸方向に沿って、前記弾性接着部材の一端から他端まで連続して延びていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記複数列のスリットは、前記現像ローラの軸方向で、前記弾性接着部材の全範囲に亘って配置されていることを特徴とする請求項8に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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